※この作品はR-18です。

ガイアセイバーズ6 -妖艶の糸繰り人形-   作:独楽 悠

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第18話_秘められた約束_02

居間へ入り、葉月(ハヅキ)はひとまず蒼矢(ソウヤ)へ座るよう促した。

 

「今日は、影斗(エイト)に用があって来たんだよね?」

「! はい…」

「今煙草中だから、少しゆっくりしてて」

 

蒼矢の前に緑茶と和菓子を置きながらそう言い、葉月は部屋を出ていった。

 

「…」

 

ひとりきりになった空間で、蒼矢は昨日葉月らから経緯を知らされたうえで苡月(イツキ)へ謝罪した時のことを思い出す。

 

 

――

 

 

『転異空間』から帰還後、ほどなくして目が覚めた蒼矢は、葉月や陽(アキラ)からことの次第を聞き、動揺と混乱を抱えながらもまず先に事情を知らない・知ることができない苡月へフォローしに行った。

 

5人が楠瀬(クスノセ)家へ戻ってきてからも自室に閉じこもっていた苡月は、蒼矢の声掛けに、ことのほかすんなりと扉を開けた。

真相を濁しつつ本意ではなかったことを説明しながら謝ると、苡月はうつむきながら首を横に振ってみせた。

 

「もう、気にしてません。…大丈夫です」

「…」

 

そう返答するも、やはり何かを溜めこんでいるように感じられ、蒼矢は途方に暮れる。

しかしさすがに自分に何を言われたのかまでは聞きだしにくく、遠慮がちに肩に触れ、彼の視線へ合わせた。

 

「…俺は君との間に、壁みたいなものを残したくない。…思ってることがあるなら、話してくれないかな…?」

 

努めて優しく、慎重に問いかける蒼矢を、顔をあげた苡月は上目がちに見つめ返す。

 

「……思ってることって、蒼矢君への"お願い"でもいいですか…?」

「! うん、俺に出来ることなら」

 

苡月の"お願い"が、"なんらかの態度改善"と解釈した蒼矢は思わずほっとしたような表情を浮かべ、耳打ちを請うてくる彼へかがんで耳を近付ける。

 

「――…」

「……えぇっ?」

 

耳傍で告げられた苡月の"お願い"に、一瞬蒼矢の時が止まり、ついでうっかり素のリアクションが漏れる。

口に指を当てた苡月に注意を促された蒼矢は、慌てた風に辺りを見回した後、彼へ視線を戻す。

苡月は頬を染め、兄似のつぶらな瞳を輝かせながら目を細めていた。

その表情を受けて言葉を続けられなくなった蒼矢は、一瞬迷うように逡巡した後、短く息をついた。

 

「…わかった、引き受けるよ。…その代わり、俺の家でってことでいいかな…」

「はい、もちろんです!」

 

 

――

 

 

顎杖をつきながら回想していた蒼矢は、再び長く息を吐き出し、丸テーブルへ顔を伏せた。

 

「…やっぱり…、まだ赦されてない気がする」

 

そう心の声がぼそりと漏れた時、キッチンの方でスマホの通知音が鳴り、葉月がひょっこりと顔を出す。

 

「影斗が"もういい"って。中庭だよ」

「…! はい」

 

声掛けされ姿勢を直した蒼矢の表情は、少しずつ強張っていった。

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