三人は、空間へ武器を呼び出した。
しかし、装具を構え警戒するように見回すものの、周囲は無音のまま彼らを囲っている。
「…なんもねぇな」
「『
「転送前は感じてたんですが、
「まじで? そんなことあんのかよ…」
「…少し歩いてみたいんですが」
「うん、そうしようか」
地を氷が張ったような薄青、空間一帯を淀んだ煤色がはるか彼方まで広がる中、装具を手に三人はあてもないまま歩き始める。
「逃げちゃった、とかはねぇかな?」
「確かに[
「そっかー。どこかに隠れてやがんのかな…」
「…! 待って下さい」
「一瞬ですが、気配が感じられました」
「! 追えそう?」
「なんとか。…集中します」
歩を進めながら
蒼矢が変身する『アズライト』は、固有能力として『索敵』を持ち、[異界のもの]の体躯の弱点部位などを判別し、それによりセイバーたちの敵討伐行動の大幅な時間短縮が望めるという、戦闘の要となるセイバーである。
また[異界のもの]に対する感受性が群を抜いて高く、『転異空間』内では隠れていたりして姿が見えない敵の居場所を特定することも出来る。
『現実世界』にいる段階から近場の[異界のもの]の気配を感じ取ることも出来、転送前
現実世界の時と同様、アズライトを先頭に[目的]を探る中、ふと彼の足が早まる。
「!」
「…これは…」
やがて立ち止まったアズライトの背後からエピドートとサルファーが前方を覗き、彼の両隣に立つ。
横並びになった三人の足元に現れたのは、まるで凍った湖面の氷が丸く割れて出来たような大きな水たまりだった。
どこか神秘的にも見える薄青の地に対して、溜まっている水は食紅を垂らしたように濃い青みを帯びている。