「…池だね」
「…なんだか不自然なくらい青いなー…飲んだら体に悪そう」
ぽつぽつと感想が漏れる中、アズライトは無言で水を見つめている。
「…
「ああ」
「…だよな」
途切れとぎれの問いに間髪入れずに答えられ、
「…行くしかない。ふたりは――」
「……ごめん。僕は…ちょっと無理…かも……」
アズライトは先般の伊豆の海でのことを思い出し、慌ててフォローする。
「エピドート、地上で待機する役目も要りますから…それをお願いしようと思ってたところなんです。落ち着いて下さい」
「いや待てよ。こないだのイカタコ野郎の時みたいに空気吸えるかもしれねぇじゃん? 待ってろ
そう言い、アズライトがエピドートの背中をさする中、サルファーは地にへばりつくようにしゃがみ、勢い勇んで水に後頭部まで突っ込む。
そしてすぐに盛大な水飛沫をあげながら地上へ返り咲く。
「げっはー!! 無理っ、めっちゃ水入る!! 息できない!!!」
口と鼻から水を飲んでしまい悶絶するサルファーと、その様を受けて顔面をみるみる蒼白にし、薄地の戦闘スーツに浮き出る逞しい肩を小刻みに震えさせ始めたエピドートを見、アズライトは小さくため息をついた。
「…俺は水属性だから行ける。お前はエピドートとここで待っててくれ」
「っ待て…、君ひとりじゃ…危険過ぎる…っ!」
過呼吸で息を絶えだえにしながら、必死の形相でエピドートは彼を制止する。
『アズライト』は『索敵』能力を使える一方で、他セイバーが通常能力として持つ攻撃技や防御技をほとんど備えておらず、基本連携攻撃を主とするセイバーたちの中でもとりわけ[異界のもの]との直接戦闘を苦手とする、特殊な立場に置かれたセイバーでもあった。
この場に居る中にそれを理解していない者はいなかったが、それでもアズライトは首を横に振った。
「『
「…っ…」
「逐一応答しますし、何かあったらすぐ引き返します。さっきも言った通り、ここへ入っている隙に地上から来る可能性もありますから、ふたりは周囲を警戒しておいて下さい」
エピドートとサルファーを交互に見ながらそう告げると、アズライトは池の縁へ腰を落とし、脚から入水していく。
「サルファー、エピドートを頼む」
「
泣きそうになる感情をごまかすようにがなるサルファーへ目元を緩ませると、アズライトは池の中へ消えた。