「んっ……んん……」
カーテンの隙間から容赦なく射し込む朝日の眩しさに、私は目を覚ます。
どうやら、ソファで眠ってしまっていたらしい。
(頭痛い……なにこれ……)
ガンガンと痛む頭を抱えながらなんとか身体を起こすと、そこには散らばった衣服と空き缶、おつまみの小袋の山が広がっていた。
ついでに私は何故か全裸である。
「うっわ……これはひどい……」
思わずそんな言葉が口から零れてしまうほど、ひどい有様だった。
昨夜のことはよく覚えていないが、状況証拠から導き出される結論はただ一つ……私はお酒に吞まれてしまったらしい。
(私ってほんとバカ……)
二日酔いによる頭痛に顔をしかめながらも、とりあえず適当な服を着て、散乱したゴミを片付けていく。
そしてテーブルの上で開きっぱなしになっていたノートパソコンも片付けようと手に取って、ふとディスプレイに目が留まった。
「ん……?」
よく見れば、そこには明らかにいかがわしい感じのお店のホームページが表示されている。
『女性のお客様限定☆ふたなりレズビアン風俗』という、なんだか見覚えのある気がする文言がそこにはあった。
「ん!?」
その瞬間。脳内に走馬灯のように蘇ってくる記憶の断片たち。
(なにこれ……もしかして、前世の記憶――!?)
……いや、違う。これは昨夜の私だ。
「そうだ……私、昨日風俗に電話した気がする……」
昨夜の奇行をようやく思い出した私は、サーッと血の気が引いていく。
ノリノリで風俗店を調べて電話をしたところまでは確かに覚えているのだが、それ以降の記憶は一切ない。電話で予約した際にどんな会話をしたかさえ、覚えていないのだから救えない。
恐らく、勢いに任せて予約を入れた後、そのまま意識を失うように眠ってしまったのだろう。
(いくらストレス溜まってたからって……なにやってんの私……っ!)
酔いが醒めた今となっては、風俗店への電話など考えるだけでも顔から火が出そうだ。昨夜の自分をぶん殴ってやりたい。
とにかく、仮にも高校教師である私が風俗を利用するだなんて、よろしくないことだけは確実だ。一刻も早く予約をキャンセルしよう。
そう思ってノートパソコンを再び手繰り寄せ、風俗店から届いていた予約確認メールを開いてみるが……そこには『この度は当店をご利用頂きまして誠にありがとうございます。当日キャンセルに関しましては、お支払い料金の100%のキャンセル料が発生いたしますのでご了承ください』という無慈悲な一文が表示されていた。
「あ、あわわわ……」
さらにその下には『お支払い金額:48000円』との文字が書かれている。
「わァ……あ……」
あまりの額に、私は泣いてしまった。
ふたなりの女性は希少であるため、ふたなり風俗店の料金は普通の風俗店よりも料金が高めに設定してあるというのはネットで見かけたことがある。
だが……それにしてもこの金額は……。
「キャ、キャンセルするの、勿体無いかも……」
小心者の私は、残念ながら48000円をドブに捨てる勇気なんて持ち合わせてはいなかった。
そもそも、本当にこの機会を無駄にしてしまって良いのだろうか? それこそ小心者のわたしは、『風俗店に電話して予約を取る』なんて勇気ある行動はもう一生できないような気がする。
「ううっ……」
一度しかない人生だ。キャンセル料金が惜しいというのもあるが……何より、私は一度きりのこのチャンスを逃したくない。
私は悩みに悩んだ末、予約キャンセルのボタンを押す代わりに、風俗店までの経路を検索し始めた。
◇
(き、来てしまった……)
思っていたよりも家から近いところに、例の風俗店はあった。
いかにも……といった雰囲気の外装に、入店するのを躊躇してしまうが……ここまで来てしまった以上は仕方がない。
私は大きく息を吸い込むと、意を決して店内へと足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ、ご予約のお客様でしょうか?」
「あ、あっ、はい↑」
入店してすぐに受付の女性が声を掛けてくる。
私は緊張で声が裏返ってしまわないように気を付けながら返事をしたが、普通に裏返った。
「それでは、予約番号のご提示をお願いします」
「あっ、はい……」
ガチガチになりながらも言われた通りに予約番号を伝えると、受付の女性はパソコンを操作しながら手早く手続きを済ませていく。
「本日ご予約頂いた内容は、90分コースとなっておりますが、お間違いないでしょうか?」
「えっと、多分? それでお願いします」
予約した時のことをほとんど覚えていない私は、曖昧に返事しながら頷く。
「承知しました。それと、キャストのご指名は……『ペニスが一番大きい娘』とお伺いしておりますので、こちらで選ばせていただきました」
「へ!? あっ、そ、そうでしたっけ、あはは……」
「はい。それではこちらへどうぞ。足元にお気をつけくださいませ」
変態かつ挙動不審すぎる私にも嫌な顔一つせずに、受付の女性は丁寧に私を先導してくれる。
きっと彼女は優秀な受付係なのだろう。それに対して私ときたら――。
(ペニスが一番大きい娘……)
お酒に酔っていたとはいえ、人生初の風俗店でそんな要望を出していたらしい私は、世界で一番恥ずかしい女であることは疑いようがない。
あまりの恥ずかしさに今すぐお家に帰りたくなってしまったが……ここで逃げ出してしまっては、『ペニスが一番大きい娘』の予約をドタキャンした迷惑な女性客としてネットで面白おかしく拡散されてしまうかもしれない。
そんなことはなんとしても避けねばならないので、私は緊張と羞恥で震える足をなんとか動かしながら、受付の女性の後についていった。
「それではキャストをお呼びいたしますので、こちらで少々お待ちくださいませ」
「わ、わかりました」
わけのわからない被害妄想をしている間に、気付けば私は一つの部屋に案内されていた。
そこは一見すると高級ホテルのような内装だが……壁を隔てずに置かれた浴槽やクイーンサイズの大きなベッドが全体的に淫靡な雰囲気を醸し出しており、ここがそういう場所であることを如実に物語っていた。
そんな部屋に1人取り残された私は、緊張のあまりベッドに腰掛けることもできずに、部屋の中央で立ち尽くす。
(はぁ……どうしよう……)
それなりに覚悟を決めた上でここまで来たものの、いざ本番が目前になると、やはり怖気づいてしまう自分がいる。
これからどんなふたなりの女性がやって来るのだろうか? 果たして私はどうなってしまうのだろうか……?
未知なる体験への不安と緊張で頭がどうにかなってしまいそうな中、ついにコンコンというノックの音が部屋に響く。
「はっ、はい! どうぞ!」
慌てて返事をするとすぐに部屋のドアが開き、元気な挨拶と共に1人の女の子が入ってきた。
「はじめまして! 本日担当させて頂きます、アヤです! よろしくお願いしま――」
「っ――!?」
瞬間、私は目を疑った。部屋に入ってきたのは、なんとも見覚えのありすぎる女の子だったからだ。
こんなことって、あるのだろうか。
「え……っ?」
そしてたった今後ろ手にドアを閉じた彼女も、私を見て同じく驚愕の表情を浮かべている。
服装こそ学生服とは正反対のセクシーな装いをしているが、その綺麗な栗色の髪と整った顔は、間違いなく私が昨日も出会った彼女そのものだった。
「あ、彩花さん!?」
「ミカ先生……?」
一体全体、何がどうなっているのだろうか。
私の目の前に現れた風俗嬢は、私の教え子である女子生徒――
◇
「どうか……どうかこのことはご内密に……」
「わ、わかってます! 誰にも言いませんから、だからあたしのことも秘密にしててください……っ!」
「もちろんです。私も彩花さんのことは絶対に誰にも言わないですから……!」
それから僅か数分後。
風俗店で教師と生徒が遭遇するという前代未聞の体験をした私たちは、お互いに深々と頭を下げ合うという、奇妙な光景を繰り広げていた。
高校教師である私――特に、若者の健全な性教育を受け持つ“保健の教師”という立場である私が、風俗を利用しただなんて知られたら一巻の終わりであることは確実だ。
下手をしたら教職どころか人生すら棒に振るような大問題になってしまうかもしれない。
「誰にも言えない秘密ができてしまいましたね……あたしたち……」
「そうですね……お互い、絶対にバレないようにしないといけませんね」
そして15歳の現役高校生である彩花さんもまた、風俗で働いていることがバレたらタダでは済まされないことは言うまでもないだろう。
思いもよらぬ形で誰にも言えない秘密を共有することになった私たちの間には、不思議な連帯感が芽生え始めていた。
「それにしても驚きました……ミカ先生にもこういう一面があったんですね……」
「あ、あはは……まあ、そうみたいね……」
お酒で酔っぱらって風俗店へ電話した挙句にキャンセルする勇気もなく、結局来てしまった……なんて恥の上塗りでしかないことを正直に言えるはずもなく。私は苦笑いを浮かべながら言葉を濁す。
とはいえ、驚いたのは私だって同じだった。
「彩花さんこそ、意外でした。優等生のあなたがこんなお店で働いているだなんて……」
「そ、それは……! その……」
(あっ……)
なんとなく口から出た言葉だったが、デリケートな問題に触れてしまいそうになり、私は慌てて口を閉ざす。
あの優等生の彩花さんが風俗店で働くなんて、何か相当深い事情があるに決まっているのだ。
「ごめんなさい。言いたくないなら言わなくても大丈夫だから」
お金に困っていて、学費を自分で稼ぐため……とか、家庭環境に問題を抱えている……とか、そんな感じの事情があるのだろう。
そう思って慌てて謝罪した私だったが、彩花さんはそんな私を見て「ち、違うんです!」と慌てたように言葉を続けた。
「実はあたしっ! すっごく性欲が強くて、オナニーしても全然収まらなくて……」
「へっ!?」
「それで、どうしようもなくなった時はここで発散させてもらってるんですっ!」
「な、なるほど……」
突然放たれた赤裸々な告白に、私は顔に熱が集まるのを感じる。
性欲が強いとかオナニーしても収まらない……なんて言葉が美少女の口から飛び出してきたことに、私は動揺を隠せなかった。
しかしよく考えてみれば無理もないだろう。このお店で働いているということはつまり、彩花さんはふたなりであり――ふたなりの性欲が非常に強いことは、保健の教員免許を持つ私はよく知っている。
(そっか……彩花さんも苦労しているんだろうな……)
先ほどとは別の意味で同情の念を抱く。まさか彩花さんがふたなりだったなんて驚きだが、それはそれで苦労も多いのだろう。
熱くなった顔をパタパタと手で扇ぎながらそんなことを考えていると、不意に彩花さんが口を開いた。
「それで……どうします?」
「え……? なにがですか?」
「あの、だから……します……?」
(……へ?)
すっかりここへ来た目的を忘れかけていた私は、彩花さんの言葉の意味が一瞬理解できなかった。
しかし、うっかりすれば乳首が見えてしまいそうなほどきわどいVネックのブラウスを纏った彼女が上目遣いでこちらを窺ってくるのを見て、次第にその意味を理解し始めた私は、慌てて首を左右に振る。
「えぇっ!? い、いやいや! さすがに教え子とそんなことできませんからっ!」
「そうですか……あたしは、ミカ先生とならしてみたいなって思ってたんですけど……メガネを外した先生すごく綺麗でかわいくて、正直かなり好みですし」
「なっ!?」
(な、なに言ってるのこの子!?)
さすがに教え子といかがわしいことをする流れにはならないだろうとすっかり油断しきっていた私は、彩花さんの大胆な発言に動揺で目をぐるぐると回す。
しかし、彼女はそんな私のことなどお構いなしに言葉を続ける。
「それに……ミカ先生は、大きいのがご希望だったんですよね? あたしなら、きっと満足させられますよ」
「あ、彩花さん……っ!」
私の髪と耳たぶを指先で弄びながら、想像力を掻き立てる意味深な言葉を投げかけてくる彩花さん。
彩花さんの言う通り、私は『ペニスが一番大きい娘』を指名したらしいのだ。(自分では覚えていないが)
だとすれば、この場に現れた彼女は――。
(ま、まさか……)
つい破廉恥な想像をしてしまい、私はごくりと生唾を飲み込む。
しかし、改めて彩花さんの姿を眺めてみると、私よりも一回り小さい小柄な背丈に華奢な肩幅、程よく膨らんだ胸元。そしてスカートから伸びる白くて細い脚が目に入る。
同年代の子と比べたら発育はいい方なのだろうが、明らかに成人女性の私と比べたらまだ未成熟で、成長期特有の瑞々しさを感じる体つきだ。
(いやいや……さすがに、まだ子供よね……)
どこからどう見ても、彩花さんはつい去年まで中学生だった女の子だった。教え子とか以前に、こんな少女と性行為をしようだなんて、とてもじゃないが考えられない。
それに例えふたなりだとしても、こんな可愛らしい彼女がそこまで立派なモノを持っているようには見えないし……きっと何かの手違いでこの部屋に来てしまったのだろう。
私はそんな結論に辿り着き、きちんとお断りしようと口を開こうとしたのだが――。
「あの、彩花さん? 気持ちは嬉しいんですが――」
「全然わかってなさそうなので、ちょっと手、失礼しますね」
「え? 手って……ひゃぁっ!?」
私が失礼なことを考えているのを敏感に感じ取ったのか、いつの間にかすぐそばまで歩み寄っていた彩花さんが私の手を取り、彼女自身のお股へと導いていく。
つい促されるままにそこへ触れると、普通の女性ではあり得ない、ふにふにと柔らかくて太やかな膨らみが指先に触れた。
(これって――!?)
スカート越しでもしっかりと伝わる存在感に私は息を呑む。
人生で初めて触れるソレの生々しい感触に、私は何を言おうとしていたのかも忘れて、頭の中が真っ白になる。
「ふふ……よく見てて下さいね……?」
「え……? あっ!?」
気付けば、私の指は布越しに恐らく彼女の陰茎であろうモノを握っていた。いや、正確には私の手を使って彼女が自らのモノを握らせている。
薄い生地一枚を挟んで、手のひらの中で明らかに硬く、熱くなっていく感覚に、私の鼓動は早鐘を打つように高まっていく。
(なにこれ……硬くて、熱くてっ……! それに――)
彩花さんのソレは、指先から腹の奥まで響くような重い脈動と共にどんどん硬く大きく張り詰めていき、恐ろしくなった私は条件反射的に手をパッと離す。
しかし、それでもなお成長を止めない彼女の肉茎は、びくん、びくんと大きく跳ね上がりながら、窮屈そうにスカートをめくり上げ、その先端を覗かせていく。
(こんな……こんな、大きいなんて……!)
やがて天に向かって屹立した剛直によって彩花さんのスカートは完全に捲れ上がり、彼女の下腹部を隠すものは何一つなくなってしまう。
「ほら……どうですか? 結構、自信はあるんですけど……」
「うっ……ぁ……」
彩花さんの股から顕現した肉の棒はどう見ても、私が知識として知っている『男性器』の域を超えており、私は文字通り言葉を失ってしまった。
ふたなりモノのAVでもなかなかお目にかかれないレベルの超巨根。私の前腕と同じかそれ以上はありそうな陰茎の先端には、握り拳ほどの大きさの亀頭が剥き出しになっている。
そしてその肉棒の根本にぶら下がる睾丸もまた規格外の大きさであり、太い血管をいくつも走らせながらヒクヒクと蠢く双球は、彼女の精力の強さを雄弁に物語っている。
(すごい……)
一周回ってそんな感想しか出てこない。
女子高校生の華奢な体に不釣り合いすぎる、ニ十数センチはあろうかという長大な一物が野太く強靭に勃起している様は、その実物を初めて見る私を狂わせるには十分すぎるほどの破壊力を誇っていた。
視界に広がる現実離れした光景と、そこから漂う雄の臭いが私の思考能力をドロドロに溶かし、判断力を奪っていく。
「ミカ先生……どうしますか……?」
「ど、どうするって……」
そんな私の気持ちを知ってか知らずか。彩花さんは硬く勃起した巨根をブラリと揺らしながら、私ににじり寄ってくる。
彼女が一歩、また一歩と距離を詰める度に全身がぞくりと震え、今まで経験したことがないような強烈な性欲が、お腹の奥底から沸き上がってくる。
そして気付けば壁際に追い詰められた私の耳元で、彩花さんはトドメとばかりにこう囁いた。
「せっかくですから……あたしとセックスしちゃいませんか?」
「っ――!?♡」
その言葉と同時に、私の太ももにぐりっと押し付けられた彼女の肉棒の感触に、私の理性は跡形もなく吹き飛んだ。
元々ふたなりの女性とセックスをしたいという願望はあったのだ。相手がまさか教え子になるだなんて思いもしなかったが、今となってはその背徳感すら私の興奮を煽り立てる。
(したい……したいっ……! 彩花さんとセックス、してみたい……!♡)
理性が働いていれば絶対にあり得ない選択肢であることは言うまでもないだろう。
しかし、目の前のふたなりデカちんぽによって性欲のダムを決壊させれた私には、もうそれ以外考えられなかった。
「……し、します」
こうして私は、教え子に自らの欲望を曝け出す最低最悪の淫行教師へと成り下がってしまったのだ……。