エロそうでエロくないちょっとエロい話 作:今欲しいものは描写力
追加要素(タグ)
・囁き
・放尿
・放尿サポート
ぴんと、空いていた手が自らの存在を示すように己の乳首を摘まみ弾いた。
ビクンと身体は飛び跳ね、痛みがじんわりと胸に広がる。
初めての感覚だった。
女の尻を揉みしだいていた手は止まり、もどかしく動いていた身体が停止する。
初めての快楽は痛みに似ている。味わったことのない感触はときに痛みや別のものとして誤認される。
女は指の腹で潰すように乳首を捏ねる。周囲をなぞり、乳首の縁を指で撫で上げ、躾けるようにまた潰す。
女は再度、乳首を弾いた。今度は爪を立て、引っ掻くように。
かりかりと連続で引っ掻かれ、最後は思い切り弾かれる。
そのたびにビクン、ビクンと身体を跳ねさせ、未知の快楽に喘ぎ声が漏れる。捏ねられるたび、摘まれるたび、今されているのは快楽を与える情事だと教えられる。
あ、とも、う、ともつかない声は女を楽しめるだけに発せられていて、指の動きに合わせて意図せず発するものだから、まるで楽器にでもなったようだった。
その間も、乳首を弾く方とは反対の手は、下腹部を撫でたり、鼠径部から足の付け根にかけてをなぞったりして、もどかしい快楽を与えてくる。
しまいには、乳首を弾くのに合わせて、下腹部を優しくかといって弱すぎない程度に押してくるのだ。
アルコールにより、理性と合わせて体も緩んでいる己は必死に膀胱を閉めることに力を入れるしかなかった。
ここで女の追撃が来る。
女は身体をさらに密着させて、耳に吐息と甘い囁きを注いできたのだ。
密着が強くなったことで、背中のましゅまろは潰れ、背中全体に広がっている。当然、密着に合わせて、陰嚢と陰茎は太ももに擦り上げられ、押し寄せる快楽に唇を噛んで耐えるしかない。
身体の後ろ全てで感じる女の裸体はやはり極上で、正面ついて抱きしめたいほどだった。思わずしがみつくように今度は両手で女の尻に指を食い込ませる。むっちりと、しかしふんわりとした感触、肌にしみ込む快楽が脳を震わせ、五感全てを鋭敏にしていく。
自ら身体を寄せににいったのだからこうなるのも仕方がないだろう。より一層密着、顔は吐息がかかるほど近づいた。
吐息が耳にかかるたび、背中に走る快感にびくびくと震える。はぁ、と耳全体に息がかかるようにして、生暖かく湿った快楽を与えられたり、ふぅ、と耳の奥まで息が伝わるようにかけて、感じる温度と吐息の冷たさに耳を擽られたりと、息の吹き方でさえ緩急をつけ、性欲を煽ってくる。
女は反対の耳に顔を寄せる。
また吐息をかけられるのか。そう期待したが女は期待を上回ることをやってのけた。
耳を食まれたのである。
かぷ、とも、はむ、とも表せる擬音がつくほど軽い拍子で己の耳に噛みついた女は、耳たぶをふにふにと瑞々しい唇で食み、血管に狙いを定めるようにして、歯を突き立てる場所を選んでいる。食まれた感触から、女の歯列は均等に均整に並んでいるらしい。鋭敏となった触覚が無用な情報を教えてくれる。
甘噛み、頭から下へ降り積もるゆったりとした快感と耳たぶを擦り揉む感触。
噛み、少し噛む力が強くなって奥へと運ばれた耳たぶが口腔内で唾液に浸る。いよいよ女が噛む場所を決めたのだと悟る。
噛み貫く。そう表現できるほど、鋭い歯が肉の刺して食い込み、穴を開ける。ピアッサーで穴を開けたらこうなるだろう、じわりじわりと耳たぶから耳全体に、熱さにも似た痛みが満たす。
しかし、痛む耳は、すぐさま生ぬるいねっとりとした感触に包まれていく。とろっとした感触は痛みを過去に、いや情欲を煽るものにした。
段階を踏んで己の耳に穴を開けた女は開いた穴を舌で舐めあげ、流れる血を味わっていく。
そこで、ようやく己はこの女は人間らしくないな、と気づいたのである。
己の血を味わっていく女は、このこれ以上ない美しい女は、人間という範疇に収まるような者ではない。
正面を見て、はたと気づく。曇った鏡に映る己の耳に噛みつく女は、確かに、出会った時よりも強く、目が妖しく光っていて、尋常のモノではないことを己に理解させた。
淡く、紅く、燐光する瞳に、尋常ならざる目を持つ女に、思わずぽつりとつぶやいた。
綺麗だ
女はその言葉を聞いて、幾らか目を見開いたことが見えた。鉄面皮の顔に驚きの色が浮かんだのである。ここで己はしてやったりと思ったのだ。少しにやつき、その鉄面皮を崩してやったぞと誇らしげにしてみせた。
さぁて、女はどんな顔をするのか。悔しげな表情を見せるのか。そうであったらいいなと思っていると、女は意外にも目を細め、嬉し気な目をしたのだ。目以外は全く変わらない鉄面皮であったが。
あっけにとられる己をさらに驚かすように女が動いた。
なんと喋ったのだ。
食んだ耳たぶを放して、ぽそぽそと、静かに言葉を紡いだ。
妖怪、幽霊、人ならざるモノ、それは人間には理解できない規則に縛られている。
予想よりも低い声、脳の奥、脳幹に沈み込んだドロドロの鉛のような、毒と甘さが混在する、人を惑わす声色だった。
人ではない者は、招かれなければ、人が住む家に入ることは出来ない。家主の許可なしに立ち入ることは出来ない。
耳を通って脳を揺らすその言葉に気付いた。そう、初めて出会ったやりとりと、己の自宅前でのやりとりに。
女は続ける。
貴方がナンパしなければ、鍵を取り出そうとしなければ、私を招こうとしなければ、私は貴方の家に入ることは出来なかった。貴方が招いてくれたのよ。
その言葉の後に息を吹きかけられ、身体をビクつかせる。
どうやら、己は人ならざるモノをナンパしてしまったらしい。
己の後ろに立つ人ではない存在に快楽一色の脳内が陰りを見せる。自分はこれから死ぬのではないか。自分はこれから人の世ではないところに連れて行かれるのではないか。
そんな不安はすぐに打ち消された。羞恥と快楽と焦燥感に上塗りされて。
下腹部を一定のリズムで押されていたからか、ぽそぽそと脳髄を蕩ける囁きに腰砕けで脱力したからか、果たしてその両方か。尿意が限界へと高まっていたのである。
ここは浴室。トイレではない。そんな当たり前のことが、背中に密着する存在やら、今味わっている快楽やらを少しばかり上回った。
だが女はそんなことお構いなしに、下腹部を一定のリズムで押してくる。手の平全体で撫でまわし、ゆったりと押し込んで膀胱を緩ませる。
己は焦って声を上げる。さすがにここでは漏らしたくない。暴れ離れようとするが、やはり背中に密着する存在は尋常のモノではないらしく、理外の力を持って押さえこまれる。
女は陰嚢陰茎を持ち上げていた脚を下ろし、絡めていた反対の脚と同じように脚を絡ませてくる。そうすることで足が開かれ、いよいよ焦りと恥辱が己を襲った。
女は乳首を弾いていた手を下ろし、陰茎をに添える。しごくのではない狙いを定めるようにして、鈴口を下へと向けられ、これまた耳元でぽそぽそと囁かれる。
しーしー、しーしー、ほら、出してしまえ。乳首を弾かれ、太ももに弄ばれ、こうして耳を舐められ囁かれて感じているのだろう?今更やめることなんて我慢できないはずだ。
左右の耳に交互に囁かれ、我慢を丁寧に解かれていく。鉄面皮の女からはまったくもって予想が出来なかった言葉に、身体がさらに脱力してしまう。
しーしー、しーしー、この先をしたいのだろう?乳首で感じ、耳に穴を開けられても興奮するのだから、こうしてあまぁく囁かれて、ゆったりとしごかれて放尿する感覚はさぞかし快楽の極みであろうな。
添えられていた手はいつの間にかゆっくり上下に扱かれていた。射精するための動きではない。身体を脱力させるための快感を、股間周辺を甘く痺れさせるための扱き。まるで幼児のようにトイレの手助けをされている。幼児に言い聞かせるような言葉は己の頭を恥辱に染め上げ、急激に体温を上昇させる。身体から火が出そうだった。体温調節する犬のように、息を荒げて熱を逃がす。
そんな頑張りを無に帰すように、とんとんと下腹部を押すペースが早くなる。それに合わせて、耳元で囁かれる声も次第に早くなっていく。
しーしー、しーしー、出せ、出してしまえ。人ならざるモノに誘導されて、大の大人が人前では決してしないような放尿をしてしまえ。幼子のように、耳元でしーしーと囁かれて我慢できずに溜まった尿をぜんぶ、ぜーんぶ出してしまえ。見ていてやろう。お前が綺麗だというこの目で見ていてやるから。ほら、しーしー、しーしー。
鉄面皮とその甘やかすような低音のギャップにやられ、次第に身体が女の言葉に従っていく。片隅で叫ぶ理性の声はどんどん小さくなり、代わりの理性が、尿意を我慢することは膀胱炎等の病気になる可能性があると積極的に、膀胱を開放する理由を提示し、本能が本格的にヤバイと賛同する。
ほら、他に飛ばないように私が抑えていてやる。気持ちがいいぞ。女に囁かれ、甘く扱かれ、放尿するのは。もう一生、普通にトイレが出来なくなるかもなぁ。そうしたら、ずっと、ずーっと、耳元でしーしー、囁きながら介助してやってもいい。だいじょうぶ、私はお前から離れない。お前の命全てに付き添ってやる。ずっと、ずーっとな。だから出せ。しーしー出せ。しーしー、しーしー…
逝け
今までの甘い言葉とは違う命令口調で冷たい声に驚いてしまった。女の狙い通りなのだろう、驚いてしまった拍子に膀胱を閉めていた筋肉が緩み、止めることが出来ないまま浴室の排水口に向けて放尿していく。
あぁ、やってしまったと顔を真っ赤に染め上げるが、それでも尿は止まらない。丁寧に丁寧に案内されてしまったから、今更下腹部に力を入れて止めることが出来なかった。
出している間も下腹部を押され続ける。とん、とん、そのリズムに合わせて、膀胱に残る尿が排出されていく。
ぶるぶると身体を震わせる。女関係なく生理現象のものだ。震わせることで、尿を出し切ろうとするその動きをまるでサポートするように、吐息が耳に注がれる。
女は己が一通り放尿を終わらせたのを理解すると、手を伸ばしてシャワーを取り、下腹部から下にシャワーを浴びせていく。
温かなシャワーに流されて綺麗になった陰茎は、緩やかな扱きによって甘く勃起していたが、それもシャワーによって徐々に萎えていった。
饒舌に喋っていたはずの女は放尿のサポートをした後から一切喋らず黙々とシャワーを浴びせていく。足の洗体は先の放尿サポートのときにしていたらしい。頭からシャワーを浴びせられ、あまりの変わりように驚きながらも目を瞑る。
そうして、己の身体すべてを洗い流した女は、己を、腋に手を入れてまるで子供の用に持ち上げると、そのまま広い浴槽に肩まで沈めた。
なんだったのだ。今のは。茫然と立っている女に視線を向ける。女は当たり前かのように己が先程座っていた風呂の椅子に座り込むと、自身の身体を丁寧に洗い始めた。
肩筋まで伸びている黒髪を前へと持っていき、丹念に洗っていく。髪の洗い方なんてこだわったことがないためにそうして髪を洗うのかと感心したように見ていたのを覚えている。
ひとまず、先のことは記憶から排除することにしたらしい。
そんな現実逃避を横に、女は髪に指を通して馴染ませるように洗っていく。髪を前にもっていったからか、うなじがやけに輝いて見えた。きっと、下から見上げているから浴室の光でまぶしく感じるのではなく、女の身体がどこをとっても美しいからなのだろう。絵画を観賞するように、浴槽の縁に腕を預け、じっくりと見つめる。
女は続いてトリートメント、コンディショナーと使用し、最後には丹念に洗い流していく。
洗い終わった髪は、なるほど。艶やかで指に何の引っ掛かりも感じさせないほどに滑らかになっていく。尋常ならざるモノもこんなにも美に時間をかけているのだ。世の女性の苦労が垣間見えた。
女は次に身体を洗っていく。
泡立てたシャンプーをもって、腕を上げて手の先から肘、二の腕と部位ごとに丁寧に洗っていた。己が洗われている時も、最初の手だけの時は、確かにそういう洗い方をしていた。あれは効率が悪いからではなく、丁寧に洗っていたのだと理解して、申し訳ない気持ちとなった。
主語もなく脈絡もなく、ごめんとつぶやく。色に塗れた己を省みた。女はこちらに目を向け、じっと見つめるが何も言わずに身体を洗うことに戻っていく。
先程のように喋ってほしいのだが、どうやら必要な時以外喋らないらしい。
若干の固まる空気を嫌って、口説くように一方的に話しかけた。
しかして、女は己の言葉のことごとくを聞き流し、身体を洗い終えた。己は残念がって口を噤む。
己が上がって、女が湯船に浸かる番だ。当たり前にそう思った。
ぬらり、女が脚を湯船に突き入れるまでは。
そのまま、女は身体を沈めてくる。
さすが亡き両親がこだわった浴室で、人一人なら足を伸ばしてもつかないほどに広い。
だが、男女二人、それも今更にながらに気付いたが、自分よりも背丈がある女と混浴できるほど、広くはなかった。
女はするり、身体を滑らせ入浴する。まるで猫だ、液体のようだと思っていたら、女が目を細めた。やはり、目は光っていたが猫のような瞳ではない。人とも、どんな動物とも違う瞳で、妖というものなのだなぁと思う。
すると、女はこちらに片手を伸ばし、頬を撫でた。そこで気付いた。口に出していたらしい。
女はそのまま、もう片方の手も頬に添えると、親指を口の端に半ば突っ込むようにして、頬を揉んだ。
なんとなく、尻を揉んだ仕返しなんだろうと思った。
挟まれ伸ばされ、上下にグニグニと解される。なにが楽しいのかまったくわからぬが、ちょうど己が尻を揉んでいるときと一緒なのだろう。ただの贅肉、揉んでなにが楽しいのか。いやいや、触り心地が極上でずっと揉んでいたいのだ。そんなふうに、女も己を頬について思っているのではないか。
くだらぬ思考で頭を満たす。強制的に変顔にされた己を笑うでもなく、嘲るでもなく、無表情。
ひとしきり頬を揉まれ、その後、両手が後ろへ伸びてくる。
顎の付け根から首の後ろを撫でられた己は、今度はなにをやられるのだろうと思っていると、そのまま力を込められ引き寄せられる。
胸へ胸へと吸い込まれた己は、先に背中に感じていた極上の胸を顔全体で味わうこととなった。
女の胸は湯船に浮いていた。海に浮かぶウキのように、ふよふよと浮いているのだ。
頬に広がる感触は、ましゅまろそのもの、ふわりもちもちと柔らかな弾力を伴っている。
ぎゅうと抱きしめられると、胸の奥、とくん…とくん…と鼓動が聴こえる。
化生のモノも、鼓動はするんだなぁと思いつつ、その温かさと柔らかさに、全身の力を抜いて、人肌で眠りを誘う胸枕に顔を沈める。
そうして、昨夜は眠りについた。
洗体はひとまず終わり。加筆はするかもしれないので、加筆添削したら、その都度、後書きに追記していきます。