※この作品はR-18です。

屠殺鬼   作:赤だし滑子

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ブッチャーの凶暴性

 へぇー。エイリアンにしては大人しそうな子だ。珍しい。

 

 そうやって僕が感心した風に眺めていると、格子の外から男が腕を伸ばしてきて、彼女のベレー帽を奪い取った。

 

 すると下からぴょこんと現れたのは綺麗な三角形の耳がふたつ。

 

 女の子は頭の上にピンと立った耳を両手で押さえて、へなへなとその場にへたり込んでしまった。

 

 猫耳……いや、狐耳? これは……獣人系かな? 街でもたくさん見た。

 

 それはいいんだけど、ちょっと腹が立ったぞ。男がベレー帽を取ったから。

 

 これから使おうと思っていた貴重な布を……なにしてくれるんだ……。

 

 状況を考える。

 

 僕の予想はこうだ。この狐っ子は、何らかの理由で罠にかけられた。実行犯が外の二人だ。この狐っ子は僕にあてがわれたわけではなく、事故に見せかけて僕に凌辱させるために、ここに放り込まれた。

 

 虐(いじ)めか何かかな? そんな雰囲気を感じる。

 

 いいように利用されるのも癪(しゃく)だな。

 

 逡巡(しゅんじゅん)する。

 

 僕の答えは――。

 

 ビシュッと音を立ててカエルのように舌を伸ばし、男の手にあったベレー帽を瞬時に奪い取った。

 

 男達はびくりと身体を震わせて、後じさった。

 

 足元に倒れていたソバージュの子を脇に抱えてのしのし。狐っ子を後にする。

 

 離れた場所でベレー帽をバリィッと引き千切りってふたつにし、ソバージュの子の膝の下に敷いた。

 

 布さえあれば狐っ子に用はない。

 

 そんなことよりもバックだ。念願のわんわんスタイルだ。彼女をわんわん、わんわん鳴かせるんだ。

 

 ズプリと、僕の赤黒い獣根がソバージュの子の、たぷっとした尻肉の割れ目に差し込まれていった。

 

「――んぁああああ……ああああああっ!」

 

 やっぱり四つん這いだと力(りき)みが取れていい。後ろからだと、挿入の感覚も違っていて気分転換になる。

 

 うんうん。これはちょうど良い。ベレー帽がフェルト素材だから、ほどよいクッション性を発揮してくれている。彼女の膝は守られた。

 

「――ンア゛ッッ⁉ あ゛ッ、あ゛ッ、あ゛ッ、あ゛ッ‼ あっ……あ゛ん! はひ……ひぃぃぃ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ……ッ‼」

 

 ソバージュの子も髪を振り乱しながら無心に喜んでくれている。声に張りが戻った。後ろから挿入して、乱暴にひと突きしただけで小さなオーガズムを迎えたようだ。今も突くたびに肉襞がしきりにビクビク痙攣して、ピストンを続ける僕の裏筋を細かく刺激してくれる。

 

 彼女、ずっとイキっぱなしじゃないか。大小のオーガズムを乗り越えて、背中を反らしてよがりっぱなし。

 

 ついには僕の動きに合わせて尻をグイッと上に向けてくる。そんなに欲しいの? バックってあんまりできないもんね。任せて。

 

 そこで腰のくびれに手を回して固定し、ストロークを大きく、深くしてパンパンと尻肉を叩いてあげれば、彼女のエクスタシーは最高潮を迎えた。

 

「ン゛ア゛ア゛ア゛ア゛ンッ‼ ア゛ア゛ア゛ア゛ンッ‼ ア゛ア゛ア゛ア゛ンッ‼」

 

 理性なんてない、発情した雌の啼き声。

 

 僕も夢中になって彼女の尻肉に貪(むさぼ)り付く。

 

 突き込んで、ソバージュの子が啼いたら、密着させたまま中をグリグリかき回す。

 

 すると彼女はお尻をキューっと閉めてくれるから、その緊張を揉みしだいてほぐし、柔らかくなった肉壺なら中でしっかり愛液を絡ませる。

 

 バキュームに逆らってゆっくり引き抜いて、ピタリ。

 

 そのまま彼女の膣口の緊張が抜けるのを待って、勢いをつけてからまた尻肉をパァンと叩く。

 

 ソバージュの子の最奥を貫通し、彼女の子宮壁まで僕のブッチャーランスが突き刺さるたびに、彼女の引き締まった形のいい尻が、僕の下腹部に心地よい弾力を返してくれた。

 

「――ヒァ……⁉ ひん……♡」

 

 ついでに舌を伸ばして、彼女のアナルにグリグリとねじ込むのも忘れない。

 

 こうするとソバージュの子の蜜壺の絡みがグッとよくなるんだ。

 

 実は彼女、後ろの穴も開発済みの貴重な女でもある。

 

 彼女が最高傑作たる所以のひとつだ。ソバージュの子はお尻が大好き。

 

 尻孔に挿入するのは、生殖行為とは関係ないから、バレると止められてしまう。だからあんまり出来ないわけだけど、たまにこうしてほぐしておかないと、次に使う時に辛いからね。

 

 今日は久々に突っ込んでみようか。凄く欲しそうにヒクついてる。このまま帰すのは残酷だ。

 

 そうと決めたらまた尻を叩く。あ゛あ゛と啼く。舌を差し込む。ひんと啼く。尻を叩く。啼く。グリグリ。啼く。叩く――。

 

 無限に繰り返せそうな魔性のルーチン。

 

 これぞケダモノのセックスって感じ。

 

 後は一回射精(だ)してから、このルーチンに、後ろの穴に突っ込む、前の穴に突っ込む、を追加すれば完成。

 

 今日という日がソバージュの子でよかった。この子とバックの相性は抜群だ。この密着感は素晴らしい。僕の精子も盛り上がってきた。今や突き込むたびに陰唇の隙間からプシュ、プシュって愛液を噴き出してる。このまま、中イキしっぱなしの彼女の蜜壺の奥に吐き出したら、さぞや――

 

 いてぇ‼

 

 僕が咄嗟(とっさ)に振り返ると、牢の外にいたはずの男が一人、僕の背中に向かって剣を振り下ろした姿勢でなにかを喚いていた。

 

 瞬時に視界が真っ赤に染まり、僕の中のブッチャーの凶暴性が爆発した。

 

 気が付くと、僕は剣を振り下ろした男の頭蓋を――殺す――噛み砕いて、中の桃色の白子(しらこ)を舌ですくい取って食べながら――甘くて美味しい――もう一人の男の首を――不味そう――ブッチャーの剛腕で締め上げて――ハラガヘッタ――壁に押し付けていた。

 

 歯茎剥き出しの口を大きく開けて、吠えた。

 

 何度も、何度も。僕の中で渦巻く狂気を吐き出しながら。

 

 少しずつ落ち着いてくる。

 

 ――馬鹿だろこいつら。看守だって僕を直接傷つけたりなんてしない。ムチで叩くか、スタンランスで刺激を与えるだけだ。

 

 わざわざ中にまで入ってきて剣で切りつけるとか……エクストリーム自殺なら別のとこでやってよ。これでまた独房送りじゃないか。

 

 嬢がその後どうなったか気になるから、それはそれでいいけど、長いこと牢獄を留守にすると、今度は先日の金髪の子が気になる。

 

 僕があまりに長期で仕事を休むと、彼女が別のブッチャーに渡る可能性があった。それはすごく嫌だ。一発で破壊されてしまう。彼女はまだ道半ばなんだ。彼女は僕が仕上げる。彼女は僕のものだから。誰にも渡さない。

 

 ……僕は、仕事を、途中で、邪魔されるのが、嫌いナンダ! ナンテコトシテクレル! コノウスラクソボケガッ‼

 

 ブッチャーの怒声が再び牢獄を恐ろしげに鳴動させた。

 

 ペキリと割り箸を折った時の音が聞こえた。首を締め上げていた男の眼球がギュルリとひっくり返って、その身体が弛緩した。

 

 ぽたぽたと、彼のズボンの下から湯気を上げる液体が漏れていた。

 

 静かに手を離すと、男の身体は湿った音を立てて床に落ちた。

 

「ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ……」

 

 その隣で腰を抜かしていた狐っ子が、尻をずって後ろに下がっていった。引きつけを起こしたのか、細かい息を繋いで苦しそうだ。顔も真っ青。

 

 そうだ、この狐っ子に証言してもらえないかな。僕は剣で切りつけられて、正当防衛で殺したんだって。

 

 ……駄目だ。分かってはいたけど、言葉無しでは無理だ。それに、よしんば僕が話せても、今の彼女の動転した様子だと言い含められる気がしない。

 

 使えないなぁ、この子。

 

 ならせっかくだし、犯(や)っちゃおうか。

 

 ソバージュの子が引き締まった地鶏だとすると、この狐っ子はぷりっぷりの若鶏といったところ。美味しそう。まずは腹ごしらえだ。

 

 食べかけだった男の頭の中身を勢いよく腹に収めた。

 

 口からボタボタと、いろいろな肉を零しながら、頭部を失った身体を引きずって狐っ子に歩み寄る。

 

 僕が一歩踏み出すたびに、彼女は大粒の涙をこぼしてズリズリと後じさった。目はまん丸。狐耳はぺたん。尻尾はぶわーっと逆立ってる。何か言いたげだけど、唇が震えているだけだった。

 

 まぁ、何言われても僕分かんないけどさ。

 

 それにしても柔らかそうな唇だ。でも、ちょっと小さい。

 

 正直あまり興味はない。どうせ僕の息子は入りきらないから。

 

 彼女の小さな口は見るからに入らないし、下の口をフル活用しても無理だろう。それこそ、殺す勢いでハメないと楽しめそうにない。

 

 ――アナルか? アナルなのか? 後ろの穴なら全部入るかも?

 

 いやいや、駄目だ駄目だ。直腸へのダメージの方が致命的だ。あっという間に細菌感染して、やっぱり死んでしまう。これがあるからアナルセックスはハードルが高い。

 

 ああ、でもどうせ死ぬなら、気兼ねなく遊べばいいのかな?

 

 ――落ち着け。落ち着け……。

 

 僕は今、攻撃されたこと、肉を食ったこと、そして射精を寸止めされたことの三重苦で、ブッチャーの凶暴性に飲まれかけている。

 

 この狐っ子も狐っ子で、すごく愛らしくて、僕の中に眠るブッチャーの嗜虐(しぎゃく)性を刺激してくるのがいけない。お人形さんごっこでレイプしたい。

 

 僕は人間だ。

 

 正常な、精神の、持ち主だ。

 

 ここでこの狐っ子を犯し、殺し、食らったら、また一歩獣に近づいてしまう。そんな気がする。それでは駄目だ。ただでさえ思考回路がブッチャーの肉に引っ張られているのに。

 

 僕は人間なんだ。だから、人間らしく――。

 

 人間らしく――。

 

 深呼吸して、太い息を吐く。

 

 狐っ子レイプは諦めて、男どもの肉を食うことにした。

 

 肉を食べるのは好きだ。セックスと同じくらいのエクスタシーを感じる。

 

 生きたままが一番良いんだけど、今回は死体で我慢しよう。絞(し)めたてだから、新鮮なのが救いだ。

 

 バリボリと男どもの身体を骨ごと咀嚼して胃に送り込んでいくと、何かがその底から湧き上がってくるのを感じる。

 

 血肉を胃袋に落とすたびに、熱い水面がせり上がってくるんだ。

 

 それはオーガズムとは違う、別種の、そら恐ろしい何か――。

 

 二人の男を平らげるのに、さほど時間は必要なかった。

 

 振り返ってみると、狐っ子は失禁。白目を剥いて床に倒れていた。

 

 床に残された血痕。主を失った遺留品。遠くには白濁液まみれのソバージュの子が倒れていて、鑑の前にひっくり返ったおもらし狐っ子。そして血塗れのブッチャー。

 

 このシンッとしたバイオレンスな無音空間の中で、さてこれからどうするべきかと自問する。

 

 とはいえ、覆水盆に返らず。狐っ子の小水源(みなもと)に返らず。

 

 食べてしまったものは戻ってこない。僕にできることは少ない。

 

 ――ふと思い至って、足元に落ちていた“それ”を拾い上げた。使いどころが分からないけど、でもこれはいつか役に立つ気がする。

 

 そういえば射精寸前で邪魔されたことを思い出した僕は、とりあえず引き続きソバージュの子に覆い被さることにした。

 

 男の遺留品から覗いていた、小さなメダルを握り締めながら。

 

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