牢獄でいつものように女に種付けしていると、檻の外から足音がした。
――ついてこい。
今日の子は新入りで、まだ僕にレイプされ始めて数時間も経っていなかった。これからという時に仕事の邪魔をされてちょっと苛立ったけど、仕方がない。
まだ涙の跡が残る赤髪の女を床に残し、置き土産に熱々のを顔に一発ぶっかけてから立ち上がった。
これくらいの状態で時間をおいたら、次はどういう反応を示すのか。ちょっと興味がある。大抵の女は二度目からは恐る恐る、あるいは嫌々ながらも僕に身体を預けてくるけど、彼女はどうなるのかな。この子は元気が良いタイプだったし、次回が面白そう。
牢獄に入ってきたエイリアンに、いそいそと紙袋とエプロンとつけさせられ、背中を小突かれて外に出る。
少し廊下を歩くと途端に雰囲気が変わった。
木で化粧張りされた温かみのある内装に、綺麗に磨かれた床。奇怪な調度品。立派な文明を感じさせる造り。こっちがエイリアン達の主な活動区域だ。
これくらいは作れるくせに、どうして僕の押し込まれた場所は暗くて冷たい石造り丸出しの牢獄なのか。
独房もそう。手抜き過ぎじゃない? ブッチャーのレイプ会場の雰囲気作りになにか
階段を上っていくと、やがて大きめのドアの前に到着した。
そこには、変態狐女が待っていた。
彼女は、僕を先導していたエイリアンと言葉を交わしてから、颯爽と奥のドアを開け放った。
彼女がふさふさと揺らす尻尾に目を奪われながら中に入ると、そこは執務室のような雰囲気の部屋だった。
偉そうな机には、一匹の豚が座っている。
いや、もちろん知っている。こいつはオークだ。随分と身なりが良いようで、エイリアンの上級将校かな。
ちなみにファンタジー・オークらしく、こいつらに抱かれると女はよがり狂ってしまうって言うジンクスが兵士の間にあったんだけど、真偽のほどはどうなんだろう。実際の戦場って、そんなことしてる余裕
そいつの両脇には護衛らしいエイリアンがいた。一人はすらりと立った男で、エルフっぽい。額にはまった細くて白く輝くサークレットが印象的。
そしてもう一人は女の忍者。
くノ一というか、服装は完全に忍者。ただ、胸の膨らみと腰のくびれで女だと分かる。それにしても、忍者がそんなに堂々としてていいの? 忍者って忍ぶ人たちのことだよ? 間違って日本文化伝わっちゃった系かな。
「&〆、※&〆☆◇★〒?」
「◎□〒▼★△#※§#、◎□〒▼★△#※§#」
変態狐女と、オーク将校が何かを話し始めた。何を言っているのかは分からないけど、たぶん僕のことだろう。だって、わざわざ連れてこられたくらいだし。
するとオーク将校が立ち上がり、僕の前に立った。僕の
豚のくせに生意気な。食べちゃうよ? 僕はE型肝炎なんて怖くない。
オークの顔は、エイリアン陣営においても相当
こいつを見てると何だかほっとする。とんだ癒やし顔だ。
やがて、胡散臭そうな視線で僕を見ていたオーク将校がパンパンと手を叩くと、メイドさんみたいな人が部屋に入ってきた。
すると彼はおもむろにメイドさんの腕を掴み、僕に向かって放り出した。
床に倒れ込むメイドさん。
黒い眼球。縦に割れた銀色の瞳孔が、怯えた風に僕を仰ぎ見ている。
何系? お尻に爬虫類っぽい尻尾が見える。悪魔的な瞳だけど、角がないな。でもリザードマンとも違うし、なんだろう。未知だ。ただ、ひと言で言い表すと、今すぐ突っ込んで、ひぎぃ許してご主人様って言わせたい。
エイリアンにはたまにこういう、僕の知識では
それにしても、あの目玉は弱そうだな。装置を奪い取るのは簡単そうだけど、あそこまで無防備だと、やっぱり予備の仕組みがあるような気がする。
そんなことを考えてぼーっと突っ立っていた僕に、指令が飛んでくる。
――犯せ。
え、いいんですか?
僕がぎょろり、紙袋の下から悪魔っ子メイドに視線を送ると、彼女は倒れたまま小さな悲鳴を上げて震えだした。
四六時中、鏡の向こうから観察され、かつ鏡で自分の醜態を確認しながらセックスに励むという高度な訓練を受けている僕としては、この衆人環視の状態でも
一歩前に踏み出してみる。制止の指令はない。
……やった。初エイリアンだ。
先日のご褒美かな。嬉しいな。
悪魔っ子メイドは、目つきが怖いけど、スタイルは良さそう。手のひらの感じで分かるよ、君は筋肉質だ。見たことないようなフリフリの服もいいね。メイド服のせいで体型がよく分からないのが、逆に僕の期待を膨らませる。まずはその服、着たままいってみようか。
るんるん気分でおっ
――待て。
なん、だと……っ。
紙袋の下で愕然と息が漏れた。ぎりぎりのところで理性のブレーキが掛かって、伸ばした手を停止させる。
次いでガキンッという、僕が歯を打ち鳴らす危険な音が部屋に響いた。その音に、その場の全員の肩が跳ねた。
――下がれ。
指先をピクピクさせながら手を引く。後ろに下がる。フウゥ……という太い鼻息が漏れた。直立不動の姿勢をあえて取って、自分を落ち着かせる。
しばらくして。
――犯せ。
ドッと加速して襲い掛かる。悪魔っ子メイドの服を破り捨てようと腕を振り上げ――待て――て、手を止めた。
――下がれ。
これは……ッ‼
マジで頭にきた僕は、悪魔っ子の眼前で屈み込んだまま、拳で床を打ち据え、図太い野獣の雄叫びを上げた。
部屋中がびりびりと共振し、窓にヒビが入ったほどの怒号だ。
悪魔っ子メイドが失神してパタリと床に倒れたのを見て、少し落ち着きを取り戻す。
立ち上がって後ろに下がる。
イライラ。イライラ。
ブッチャーの体温は高い。興奮し過ぎれば肩から湯気がシューシュー上がる。
それを見て苦い顔になっているオーク将校。僕のエプロンの膨らみを盗み見ている変態狐女。いつの間にか、僕の前に立ちふさがるようにオーク将校の護衛二人が位置取っていた。
それからしばらく狐女とオーク将校が、あーだこーだと話をしていたけど、頭に血が上っていた僕はそれどころではない。
こんなくだらない遊びに僕を連れ出した狐女を、泣いて謝るまで一人輪姦で
ああ、エルフも忍者も踏みにじって、まとめて犯し尽くしたい! エルフは男か。まぁいいや、穴があれば。とにかく暴れたい! あの悪魔っ子メイドの胎が破れるまで僕の汚らわしい子種を注ぎ込みたい‼ あれはもう僕のものだっ‼ 突き刺したまま見せびらかして牢獄に持って帰ればみんな納得する‼
――深呼吸。
深呼吸しろ。なんなら“あの神父”みたいに素数を数えたっていい。二、三、五、七……そういえばブッチャーとちょっと名前似てるかも? 僕の後ろにはいつでも僕の脳を吹っ飛ばせるやつがいるんだ。落ち着け。
……愚か者どもめ。お前ら上官のくせにブッチャーの性欲と凶暴性の関係を知らないのか? ただでさえ仕事の邪魔をされて苛ついているのに。
いつだってクソみたいな上官のせいで現場の兵士が割を食うんだ。お前らみたいな頭でっかちで知ったかぶりの、血の巡りが悪いお花畑の脳味噌タベタイッ‼
脳味噌クワセロッ‼
グルルルッ……という、無意識の内に紙袋の下から転がり出したブッチャーの殺意あふれる唸り声。
それに気が付いたオーク将校が慌ただしく指示を飛ばし、僕は真っ赤に塗りつぶされた思考の中を泳いで牢獄に戻った。
帰ると、アビゲイルがいた。