僕と嬢がそうして見つめ合っていると、入り口からエルフ男が中に入ってきた。
嬢の小さな悲鳴が上がった。
エルフ男が嬢の髪を掴み、僕から乱暴に引き剥がしたからだ。
……なんだこいつ。
エルフ男は嬢の髪を掴んだまま入り口まで引きずっていき、狐女の前に跪かせた。
変態狐女が彼女と話し終えると、エルフ男はそれが終わった途端に嬢を壁に放りつけた。
ズルズルと床に崩れ落ちる嬢。
その時見えた彼女の表情は消えていた。
独房が揺れた。
手枷を引き千切る寸前まで
そんな僕の様子に、興味なさそうに一瞥をくれて去っていったエルフ男。狐女はもうしばらく僕と嬢を眺めてから、同じように帰って行った。
危うく、手枷を壊してしまうところだった。
僕は普通のブッチャーじゃない。僕が本気を出せば、この手枷は壊せる。
でもまだ早い。まだだ――。
渦巻く殺意を落ち着かせるために、静かに深呼吸を繰り返していると、嬢が床の上を這うようにして僕のところにやって来た。ぶつけた時に肩や足を痛めたようだ。かわいそうに。
そうしてズルズルと僕の股下までやって来た嬢。彼女が床に手をついて僕を見上げると、その紫紺の瞳に生気が戻ってくる。
彼女は、エイリアン達の前では意図的に表情を消しているようだった。
大丈夫。あのエルフ男はいつか殺すよ。さぁ、ようやく僕たちだけになった。今回はまだ時間がたっぷりあるから、たくさん飲ませてあげる……んん? どしたの?
僕が見下ろす先で、何かをジェスチャーし始めた嬢。
それは舌をべっと出し、指でつまんで下に伸ばすような仕草。
僕にベロを伸ばして欲しいのかな。僕の愛撫が気に入ったの?
嬢に示されるがまま、
すると嬢は僕の舌を手に取って、一度チュッと口づけてから、顔を伏せて
そして、次に彼女が顔を上げた時。
あーんと開けた彼女の口の中。
その可愛らしい舌の上には、一匹の
拳大に届きそうなほど大きい蜘蛛だ。
――って蜘蛛? どしたのそれ?
しかもタランチュラ・タイプじゃん。さすがにびっくりする。大丈夫?
僕が凝視する先で、彼女はその蜘蛛を、あー……んっ、と口の中に入れ、その口をつぐんだ。ほっぺたがぷっくり膨らんでいる。可愛い。
すると彼女はまた口を開け、べーっと舌を出す。
そのまま舌射後のお披露目みたいにして顔を上げ、蜘蛛を見せつけてくる。
?????
なに? どうしちゃったの⁇ それ食べるの? 食べないの⁇
今この時ほど君と言葉を交わしたいと思ったことはなかった。これはさすがに粘膜コミュニケーションだけでは意図が伝えきれないと思われる。
内心で動揺する僕に向かって、嬢はその動きを何度か繰り返し、次いで僕の舌に彼女の舌先をツンと当てた。するとミニタランチュラが僕の舌に取り付いて、カサカサと登ってくるではないか。
分からん……食べろってことかな。
これは彼女なりの……お礼⁇ エイリアンの生態ってよく知らないけど、蜘蛛食べるのかな? 毒蜘蛛っぽいけど?
やがてミニタランチュラは僕の口まで登り切って、その勢いのままに僕の口の中に飛び込んできた。
蜘蛛は僕の口の中でじっとしているようだ。
やっぱり、これは食べろってことにしか思えない。
思い切って舌を上顎に押し付けて、蜘蛛を潰した。
ブチュッと音がして、口の中に未知の体液が飛び散った。蜘蛛のお尻付近からピューッと飛び出た液体が、僕の頬を叩いた感触があった。うん、まぁまぁイケる。
そんな一連の行動を、あっ……と口を押さえて見ていた嬢が、慌てて首をブンブンと横に振った。
ごめん。食べちゃ駄目だったっぽいね。だとすると何だったんだろう……。
僕の首がコトリと横に倒れた。
それを見た嬢がもう一度顔を伏せて、少ししてから、また顔を上げる。
口の中にはミニタランチュラが。
?????
君は、蜘蛛を生み出せるの? 何その特殊能力。すごいね。
嬢はまた蜘蛛を口の中に入れたり、出したり。
うううう~、分からん……。
……あれか、君に
確認のために僕が一度舌を収納し、口の中の蜘蛛の残骸をまとめてから、んべっと出して見せ、また口に入れ、また出してみせる。それを何度か繰り返すと、嬢はうんうん! と嬉しそうに頷いていた。
改めて僕が舌を伸ばす。
彼女の口からミニタランチュラが乗り移ってきた。
カサカサと歯茎剥き出しの口の前まできて、しかし一度仲間が食べられているからか、その中に入るのを
なるほど。何か意思を持った、それなりに賢い存在みたいだ。食べちゃってごめんよ、一号君。
僕が少し大きめに口を開けてじっとしていると、ミニタランチュラ二号は意を決したように、ぴょんと僕の口の中に飛び込んだ。
口の中の蜘蛛の感触を確かめながら、潰したり飲み込んだりしないようにゆっくりと舌を収納した。
最後に、んべっと舌の上に乗った二号君を出してみせた。
僕の口から現れた二号君は、嬢に向かって両前足を振り上げて、渾身のバンザイを決めていた。
それを見た嬢は両手を胸の前で合わせ、ほっとした様子でにっこり笑った。
ただし、意図は未だに理解できない。
嬢はこの蜘蛛を僕の口に入れておいて欲しいみたいだ。
とはいえ、なんで? とか、いつまで? とか、凄く気になるんですけど。
深い戸惑いを感じつつも、口の中の蜘蛛を潰さないように、口を閉じて二号君を隠した僕。それを見届けた嬢は、抱きつくように僕の逸物におっぱいを押し当ててきて、情熱的にディープスロートしてくれた。
僕は口の中の、もそもそとした感じが気になって、いつもよりは彼女の奉仕を堪能できなかったけど、そこから三回連続で飲ザーしてもらった。涙目になりながらも咥えて離さない彼女の表情が最高だった。
嬢は去り際に、僕の閉じた歯茎剥き出しの口をポンポンと手で押さえていった。
口を開けるな、と。
……いつまで⁇
舌の上のミニタランチュラ二号君は意外とふわふわで、僕の口の中でちょっと震えているようにも感じられ、