『ジェヴォーダン、精子ちょうだい』
ここは褐色娘リディアの自室。ベッドの上で胡座をかいた彼女は、ベッド脇で突っ立っていた僕にそう言った。
唐突かつ堂々たる
先日、狐っ子フェリス宅にて第一回〈ジボダンの会〉があった。
それはフェリスとリディア、そして僕を交えた、フェリスの自室で催された三人だけの秘密パーティー。リディアが触れている者同士は直接テレパスで会話できるようになるという性質を利用して、三人でお話しするだけの会なのだった。
僕はとにかくリディアと仲良くなって、頭の制御装置兼、自爆装置を外してもらわなくてはいけない。だからリディアの信頼を勝ち取るために、彼女の要求に可能な限り応え続けている。
リディアの要求。それはフェリスの調教を手伝うことだ。リディアはフェリスをメロメロにして自分の
フェリスは、僕のお話がしたいという要求に応えるために、自分自身をリディアに差し出した。
だから、僕はフェリスとお話しする機会を作ると同時に、リディアに調教の機会を与えているというわけだ。今の僕にとって、フェリスはもはやリディアを釣るための餌に過ぎない。どうぞ、この子は好きなだけ調教しちゃってください。
その日のお話パーティは、つつがなく終わった。
ジボダンの会なる
久しぶりのスナック菓子はマジで美味かった。ポテトチップさいこー!
そして閉幕後、フェリスのベッドの上で、第一回ジボダンの会の報酬であるレズレズが始まったわけだ。
可愛い女の子二人のレズプレイが間近で見られてご褒美です。そう思っていた時期がありました。でもいざ始まってみると、これがとんでもなくキツい。
独房ではタイターニアが僕の暴れん棒をずっと慰めてくれていたから、何とかなっていたけど、その日の僕は見ているしかなかった。拷問だ。
そして、もうひとつ僕を困らせたことがあった。
フェリスが、リディアの愛撫に反応しないんだ。
独房でリディアに責められていたフェリスは、それはそれは気持ちよさそうにトンでいたわけだけど、その日のフェリスはキツく眉をひそめ、リディアの指にも舌にも大変不快そうな反応を見せたのだ。
もちろん約束なので、リディアのすることに抵抗はしないのだけど、フェリスはまったく気持ちよくなさそうだ。
これにショックを受けたのはリディアだ。何故か事後にフェリスが彼女をフォローするほどに、部屋の隅でしょぼくれて落ち込んでいた。負けるなリディア。
フェリスは奥手な上に元々
そこで僕が機転を利かせた。次のお話パーティはリディアの家でやろうと提案したんだ。僕が色々な家を見てみたい、という
こういうのは気分を変えるのがひとつのセオリーだ。雰囲気は大事。他人の部屋で、他人のベッドの上で、といったシチュエーションだと反応が変わる可能性がある。女って半分気分で生きてるところあるから。
リディアの家なら彼女のホームグラウンド。色々とおもちゃとかも持ってそう。
フェリスはふたつ返事で了承した。リディアの目にも希望の光が戻った。
こうして今日。第二回ジボダンの会が催されたわけだ。
今日のお話の内容は彼女達の元の世界、
彼女達の世界には魔王がいて、かつて勇者と呼ばれる存在の勢力と大戦争をしていたのだけど、結局魔王が勝って今の時代に突入したそうだ。勇者、負けちゃったみたい。
そんな続きが気になる今日のお話だったけど、僕は気を利かせて早めにジボダンの会を切り上げた。前回は夜遅くまでお話が続いたため、フェリスが疲れていたという可能性を考慮したからだ。
リディアの幸せ家族計画にこれでもかと貢献する僕。こっそり親指を立てて、グッと「いいね!」ポーズを送ってきたリディア。彼女の中で僕の評価はうなぎ登りだ。しめしめ。
ところがだ。
状況は変わらなかった。
予想通りリディアは、色々なおもちゃも持ち出してきたわけだけど、フェリスはんん……という苦しげな声しか上げなかった。
リディアも頑張った。遠目に見て、もの凄く丁寧にフェリスを可愛がっていた。
キスから始まり、服の上から胸を触り、太ももをさわさわ。緊張させないよう股には手を伸ばさず、時々話しかけながら全身をマッサージするようにフェリスの性感を高める。上手だ。実際、フェリスの息は少し上がったように見えた。
でもやっぱり駄目なんだ。いよいよリディアがフェリスのパンツの中をまさぐり始めても、目をギュッと閉じた彼女の反応は乏しい。
確かに、前回よりは良い線いってるように思う。でもどう見ても快感を得ているとは言いがたい。
そこでリディアが取り出したのは張り型っぽいおもちゃで、ブィーンとなっている例のやつだ。それで強引にエクスタシーを感じさせようという作戦だろう。文明の利器に頼るのは間違いじゃない。頑張れ。
ここで事件が起きた。
リディアがショーツの上から振動する例のやつをフェリスの股に当てると、フェリスがしくしくと泣き出したんだ。
がっくりとベッドの上で崩れ落ちたリディア。
これはいけない。
僕が一番怖れているのは、リディアがフェリスに興味を失うことだ。そうなると僕とリディアの接点がなくなってしまう。それはまずい。何とかしてリディアを満足させなければならない。
焦りに突き動かされた僕が、とりあえず状況を確認しようと、こそっとベッド脇に移動した時だった。リディアに搾精宣言されたのは。
さすがの僕も
見れば彼女の目は本気だ。ゴゴゴゴゴという地鳴りが聞こえてきそうなほど、据わった目つきになっている。
『……舐めさせるの?』
『そう。前みたいに』
『独房では、ザーメン舐めさせる前から気持ちよさそうだったのにね』
『あれは、たぶん充満してた君の香りに酔ってたんだと思う』
なるほど。そういうことなら異存はない。僕の息子は君達のキュートなじゃれ合いを前に、ずっとギンギンですから。
『いいよ。どうすればいい?』
コップに出して持ってくればいいですか? もうギャグだね、その絵面。フェリスも嫌がりそう。僕としてはぶっかけをオススメします。フェリスに素股でもさせてもらえれば最高なんですが。僕も尻尾を
ちなみに、僕の精液に強い魔力が含まれていて、エイリアンが飲むと酔っ払うという事実は、リディアと相談の上で二人だけの秘密となっている。
フェリスもその事は知らない。だから、フェリスに僕のザーメンを舐めさせるというのは、彼女からしてみれば、まさにそれ以外の何ものでもない行為に映る。よほどのド変態でなければ無理だ。ちょっとハードル高そう。
――そうだ。まずはフェリスがこの部屋に来る前に、リディアに抜いてもらって、それをルームフレグランスっぽく部屋に充満させておけばいいのでは? その匂いでフェリスが酔っ払えば、次のステップへのハードルはものすごく低くなる。実際、独房でも、偶然ながらそんな手順を踏んでいた。それがいい。
そんなことを考えつつ、僕がリディアを不快にさせないように言葉を選んでいると、彼女は何やらフェリスに話しかけ始めた。
『ねぇ、フェリス。じゃあさ、今日は一緒にジボダンを気持ちよくさせてあげよっか?』
グスッと鼻をすすり、「ふぇ?」と呆けたようにリディアを見るフェリス。
『ジボダンを?』
『そうそう。ジボダンってさ、ずっと見ててばっかりで、一人だけ仲間はずれは可哀想じゃない?』
そう言って僕のエプロンの膨らみに目配せするリディア。その視線を追ってフェリスが僕を見て、あわわわ……と口を歪ませる。
『ね、ジボダンも、フェリスにだったら……良いよね?』
そう言ってリディアはウィンクした。
上手い。
フェリスなら良い。という限定で、特別感を出してフェリスの心理的ハードルを下げている。
『うん。好き勝手されるのは苦手だけど、フェリスになら、なにをされても大丈夫』
全力で乗っかっていく。するとフェリスが不安げな表情になる。
『……ジボダン、苦しいの?』
『うん。ちょっとだけ』
嘘です。ちょっとなんてもんじゃない。今にもプッツンして襲いかかりそうなほどです。
フェリスは逡巡し、視線をさ迷わせ、やがてその視線がリディアに留まり、おずおずと首を縦に小さく振った。
一瞬の変化だったけど、リディアの口元が悪そうに歪んだのが見えた。
なんか、田舎から出てきたばかりの
『そうそう。ジボダンはフェリスの命を二回も救ってるんだから、恩返しもしないとね~。ジボダンって、任務達成しても報酬らしい報酬がないんだってさ。可哀想だよね~。うんうん♪』
リディアがフェリスの頭をよしよしと撫でながら言った。
今度は負い目を匂わせてフェリスの背中を押している。口達者だなぁ、この子。
『……ジボダンは、どうして欲しいの?』
僕を見上げたフェリスが、不安げな眼差しで言った。
『とりあえず、汚れるから服を脱いだ方が良いよ』
僕の率直なアドバイスに、フェリスはきょとんと目を丸くして、リディアが後ろでくつくつと笑いを堪えていた。