※この作品はR-18です。

屠殺鬼   作:赤だし滑子

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銀髪の託宣、金髪の導き

 今度リディア達とアビゲイルを連れて外に出る。ミフォーシスという異世界に行く。もう少しのところまで来ているのだけど、装置を外してもらう最後の一手が見つからない。正直なところ、八方塞がりになりつつある。そんな最近のお話を込めて僕は射精した。

 

 タイターニアはそれを一心不乱に喉を鳴らして啜(すす)っている。

 

 彼女は口をすぼめて僕の鈴口に唇を押し付け、ペットボトルから水を飲むように、僕の尿道から尽きることなく吐き出される粘つく白濁液を、一滴も残さず舐めしゃぶっていた。

 

 蕩けた目になってチュウチュウと吸う間も、舌でカリの裏をレロ……レロ……と刺激し、両手で乳を搾るような動きで優しく僕の射精を促してくれる。新しいフィニッシュの形だ。これだとタイターニアが飲んでいるっていう感じが強調されて凄く興奮する。彼女の探求心の強さには常々驚かされる。

 

 託宣(たくせん)が下ったのは、その時だった。

 

 背骨を一条の雷(いかずち)が落ちていき、身体が一度大きく跳ねた。

 

 ――そうだ。それがいい!

 

 ついに突破口を見つけた!

 

 僕の自爆装置を外し、自由になる方法‼

 

 ついにこの時が、来た‼

 

 ……これは、僕にとってもリスクのある行為だ。

 

 一回かぎりの大勝負。

 

 でもこれしかない。

 

 そして、この時しかない!

 

 タイターニアの助力があればできる‼

 

 僕がうわついた視線を落とすと、彼女は僕を見上げていた。

 

 白くベトベトに汚れた顔をにっこり崩して、屈託のない笑顔をくれる。

 

 タイターニアもそれがいいって。

 

 僕が失敗すれば、彼女の自由への切符も燃え尽きてしまうわけだけど、それでも彼女は僕の背中を押してくれた。

 

 気が付くと野獣の雄叫びが独房を振動させていた。

 

 ぬらーっと、僕の興奮しきった灼熱棒がタイターニアの綺麗な口に飲み込まれていく。ゾクゾクと僕の背筋を痺(しび)れを含んだリビドーが駆け上がってきて、こらえられずに精を吐いた。

 

 僕のあまりにも早かった射精に、タイターニアが目を見開いた。でも彼女は、すぐに恍惚と目元を崩した。

 

 僕が噴き出す精子を喉奥に送り込みながら、同時に亀頭も喉奥に差し込んでいく。

 

 ペニスの脈動に合わせてぬらりぬらりと裏筋を進んでくる蠕動(ぜんどう)運動。その優しく温かい愛撫の中、僕の吐精は止まらなかった。

 

 興奮の熱気にやられてタガが外れてしまったのかもしれない。タイターニアがベロで睾丸を舐め、射精を促してくれるたびに肉棒が彼女の喉で荒々しく跳ねた。

 

 口内の粘膜全てを使って灼熱の奔流を受け止めていたタイターニアも、さすがに苦しくなったのか、僕の逸物を吐き出して酸素を求めて喘いだ。

 

 それでも僕の噴火は収まらず、肩を上下させる彼女の全身を、ボタボタと瞬く間に獣慾が汚していった。

 

 しばらくそうやってタイターニアに流しかけ続け、興奮はようやく収まった。

 

 ふと、彼女が顔を上げ、口を開ける。

 

 べーっと伸ばした舌の上には……今度はムカデか。

 

 カチカチと牙を鳴らすムカデ。

 

 なるほど? 五号ムカデ君はこの計画を手伝ってくれるのか。

 

 分かったよ、タイターニア。ありがたく五号君を使わせてもらおう。

 

 彼女は立ち上がり、口づけでムカデを僕の口蓋に送り込んでくる。

 

 ふとその時、独房の入り口に気配を感じた。

 

 姿は見えなかったけど、気配と匂いで分かる。

 

 エルフ男トゥルヤルが覗いていたんだ。野暮なやつ。僕らの情事を盗み見るなんて。

 

 タイターニア、安心して。自由になったらあいつを一番に殺そう。君に狼藉(ろうぜき)を働いた報いを受けさせてやる。

 

 僕の心の声に、彼女は頬を緩ませて頷いた。

 

 そうしたら、一緒にハネムーンに行こう。

 

 復讐もしたいけど、それ以上に君が欲しいんだ。

 

 ひょっとすると、アビゲイルもついてくるかも知れないけど、一緒でもいいよね?

 

 タイターニアはジト眼を僕に送り、でもすぐに笑顔に戻って僕の頬にキスしてくれた。

 

「――リーバレン・パイロスマラグダ――」

 

 その囁きと共に、彼女の舌が熱い吐息を伴って僕の首を這い回り、乳首を舐め、臍を舐め、また下腹部へと落ちていく。

 

 静かな独房に、ピチャピチャと淫靡な音が響いた。

 

 

 

 ◇◆◇

 

 

 

 僕はアビゲイルに旅行計画を伝えると同時に、僕の側頭部に刺さった自爆装置を外す最終計画を伝えた。

 

 彼女にも手伝ってもらわないといけない。

 

 というか、彼女の働きがかなり重要になってくる。僕一人では駄目なんだ。

 

 初めこそ険しい面持ちで僕の話を聞いていたアビゲイルも、最後にはこの計画に頷いてくれた。

 

『私に任せて』

 

『君に任せる』

 

 僕がそう伝えると、アビゲイルは僕の歯茎剥き出しの口に唇を押し当ててきた。それで、つい、舌を伸ばそうと口を開けてしまった。

 

 アビゲイルの膣がキュッキュッと締まった。

 

 間近で見た五号君は、かなりのビジュアルインパクトがあったと思う。口の中からカチカチという威嚇音が聞こえてきた。アビゲイルは五号君を睨み付け、僕の伸ばした舌にカプリ。

 

『……それやめて』

 

『今のはわざとじゃ……』

 

 計画の話は終わった。

 

 その日、僕は静かにアビゲイルを抱いた。僕の腕の中で彼女が話すことといえば、計画が成功した後の話ばかりだった。

 

『どこへ行く?』

 

 僕は手当たり次第ぶっ殺したいのだけど、どこでも、と答えた。

 

『海にいきましょう? 私、海を見てみたいの。……それとも、いっそ、異世界に行っちゃおうか。ミフォーシスっていうのよね? 大変かも知れないけど、一からやり直しっていうのも、わくわくするわ』

 

 アビゲイルはとても落ち着いた様子で動きを合わせてくれた。今まで見た中で一番、楽しそうだ。彼女がお話に集中できるよう、僕も出来るだけゆっくりと動いてあげる。

 

「は、ぁ……あぁん……」

 

『ジェヴォーダンは自然に詳しいんでしょう? きっと、自然の中で生活していたことがあるのよ。あなたがいれば、どこに行っても不安なんてないんだから』

 

 ……。

 

『アビゲイルは、怖くないの?』

 

 彼女は動きを止めて僕を見た。

 

『しくじって僕が死ねば、君はもう、死ぬまで牢の中だ』

 

 牢の中どころか、最悪な未来が待っている。

 

 すると、アビゲイルは朗(ほが)らかに表情を崩した。

 

『その時は私も死ぬわ。それ以上、生きていても仕方無いもの。やるだけやって、駄目だったら首輪を引き千切ってジェヴォーダンと一緒に死ぬ。私達、運命共同体だって……パートナーだって、言ったでしょう?』

 

 ……。

 

『タイターニアが一緒でもいいよね?』

 

 僕の言葉に、アビゲイルが静かに眉をひそめた。

 

『嬢の名前、タイターニアっていうんだ』

 

 僕はタイターニアの名前を告白した。

 

 アビゲイルは一瞬だけ何かを言いたげに唇を震わせたけど、彼女はすぐに口をつぐんで全てを飲み込んだ。

 

『もちろん……でも私も一緒よ? みんなでどこか遠くへ行きましょう』

 

 どこか遠くへ、か……。

 

 遠くに行けば、復讐も抹殺もできない。

 

 でもそこにタイターニアがいて、アビゲイルがいれば、僕の腹の底で沸き立つマグマのごとき怨恨も、いずれ冷めていくのだろうか。

 

 それは、そのどこか遠くへ、とやらに行ってから改めて考えてみる。

 

 それでも、いいのかも知れない。

 

 アビゲイルの白い身体を丁寧に征服した。

 

 按摩(あんま)にでもなった気分で彼女の身体をほぐし、足の指の合間から、髪の毛の先に至るまで、優しく、細胞を全て入れ替えてしまうように丹念に僕の白濁液を塗り込んで、彼女の意識が飛ぶ寸前まで、長くじっくりと犯した。

 

 激しさがない代わりに、延々と続くゆっくり執拗な抽送運動は、アビゲイルがオーガズムを乗り越えている最中も容赦なく続いた。

 

 ひぃひぃと涙を流して許しを請い始めたアビゲイルに、最後の射精を一滴残らず飲ませてから、僕は立ち上がった。

 

 ――鏡に映った屠殺鬼(ブッチャー)の赤い眼球が、深い唐紅(からくれない)の光を発していた。

 

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