第2ラウンド、セット!
ready……ファイッ!
(ッッカアアーーーーン!)
甘い臭いがする。
自分から出て寝室を満たした臭い。
気持ち悪いくらいに濃いメスの臭いが、酸素を求めて喘ぐ私の鼻を突く。
甘さも過ぎると刺激臭だ。
奥のほうをツンと刺して生理的な涙を誘う。
「はっ……、はっ……」
最初にイッてから何時間過ぎたのか。
あれから何回イカされたのか。
今もイキ続ける体と酸欠で朦朧とする意識では、数えてる余裕なんか無い。
「ここは? ここはどうだ、ユキネ。気持ち良いか?」
「あ、……あ……」
あぐらをかいた男が、汗と唾液と愛液と漏らした尿で全身びしょ濡れになった私を背後から抱え、首筋にキスしながら会陰に押し当てた両手の指先でくるくると円を描く。
膣に近いデリケートな場所を強めに押されてるのに。
溢れて止まらない愛液を更に出そうと誘いかけるのはそこじゃない。ぷっくり膨れ上がった女の芽だ。
男の手のひらが芽の先端を掠める度に、そこからピリッと稲妻が走って腰を揺らす。
「はあ、ぅ……、ああ……」
「ふ……。欲しいか、ユキネ」
男が耳元で楽しそうに笑う。
吹き掛かる息にも反応した敏感な体が、またビクンッと跳ねた。
その瞬間にカウパーで濡れて硬く反り立つ陰茎が尻肉を擦ると、それにも反応して乳房がぶるりと震える。
逃げ場が無い。
絶え間無く押し寄せる快感のせいで体は力を失い、四肢は打ち上げられた魚のように跳ねるばかり。
唇はだらしなく開いたまま、言葉の代わりに唾液を垂らし続ける。
半開きの目には何も見えていない。ただチカチカと明滅する白い光があるだけ。
鬱陶しい男の囁きも鼓膜を通して下腹部を刺激する湿った熱でしかなく、意味を持った言葉としては認識できない。あまりに耳鳴りが酷くて、そもそも音が拾えていない。
「ここを、触って欲しいか?」
私の陰部を包み込んだ男の右手が指先で割れ目をゆっくり開いた。
にちゃあ……と、いやらしく粘る感触。
女の芽が、膣が、直接的な刺激を期待してヒクヒク蠢く。
「ごらんユキネ。お前のここは、ほら。こんなにも濡れて膨れて私を誘っている。私が欲しいと涎を垂らして求めている。分かるだろう? ユキネ」
「……、あ……あ……」
男が私の耳に頬ずりしながら、割れ目を閉じたり開いたりを繰り返す。
女の芽にも膣にも触らないように、それでいて思わせぶりに。
そうしている間に男の左手が私の左の乳房を下から掬いあげ、乳輪と乳頭を避けて揉みしだき始めた。
首筋に、背中に、腰に、下腹部に男の体温が染み込んで、堪らず反り返った私の喉をひきつらせる。
「あ……、んあ、……あ……」
始めこそ表皮を軽くなぞるだけだった男の手は今、肉に食い込む程度の力で性感を刺激する。
だけど、肝心な所には全然触ろうとしない。
《お遊びのようなじゃれつき》が《男女の生温い戯れ》になっただけで、いつまで経っても、どれだけイッても、絶頂と呼べるほどの強烈な解放感に繋がる刺激だけはくれない。
止まらない痙攣の中、曇りガラスみたいな意識の片隅で、小さな不満が雪のように降り積もる。
「気持ち良いか?」
欲しい。
「気持ち良いか? ユキネ」
こんなんじゃない。
こんなんじゃ全然足りない。
もっと強いのが欲しい。
もっと激しいのが欲しい。
「私が欲しいか?」
弾けたい。
飛んでしまいたい。
焼け焦げてしまいたい。
私がよく知ってる、あの光の先にイキたい。
「……ら……」
「ん?」
男の左手が私の顎を掴む。
私に自分の顔を見せ付けるように振り返らせて、覗き込む。
「らい……、らいお、……ねる……」
「ん?」
「おねが……おねがい……、さわ、て……? ゆきねの、よわい、とこ……らいおねるので……ぐりぐり、シて……」
「…………」
男の手が止まる。
唾液と涙でグチャグチャな私の顔をじいっと見て、ふっと笑う。
「愛いな。媚薬で狂っていたお前の品が無いおねだりも、それはそれで私を満足させてくれたが……媚薬を使わないと、こうも愛らしく感じるものか」
「らい……、ん。……んむ……ちゅっ、ん、ぷ、……らいお、ねる……」
男が舌を出しながら私の口を塞ぐ。
私の口の中で二人分の唾液を絡ませた男の舌が、ぐねぐねと形を変えて私の舌をつつき舐め回す。
止まっていた男の右手が、止まる前と同じように割れ目を閉じたり開いたりする。
粘つく卑猥な感触が、もどかしさで足を揺らす。
「や……らいおねる、これ、や……。も、さわて、さわってえ」
「ああ……いくらでも触ってやる。だが、まだ駄目だ」
「なんで、なんでさわてくれないの。ゆきねの、らいおねるのっ」
「もっとだ。もっと解けて、私に体と心を開きなさい。私から離れたくないと思うほど私に溺れなさい。誰といても私の声を、体を、指先を思い出して体の奥から渇望してしまうほどに、私でなければ満たされないほどに、私の存在を強く求めるんだ」
「やだ、らいおねる、これやだっ! やだなのっ! らいおねるっ、らいおねるっ」
男の右手が私の陰部を優しく弄ぶ。
男の左手が私の左の乳房の形を変える。
陰茎はこれ以上無いくらいに張り詰め脈を打っているのに、早く早くと震えているのに、私のナカに入ってこようとはしない。
中途半端に押し寄せる波が、足首にちょこっと絡んでは去っていく。
足りない。
全然足りない。
もどかしくて息苦しい。
私がどれだけ体をくねらせ、押し付け、誘惑しても、男は歯を食い縛って堪えるだけ。
私を解放してくれない。
「やあだあ! らいおねる、らいおねるぅ……っ」
ああ、ダメ。
これはダメだ。
飲まれる。呑み込まれる。
私が、男に呑み込まれる。
「ユキネ。美しいユキネ。お前は私の物。私だけの女だ」
私が。
私を強姦して輪姦させたストーカーに。
恋も愛も、恋愛ごっこですら経験した事が無い十代の幼い女の子の膜を無理矢理突き破って、八年経った今も蹂躙しながら喜んでいるヘンタイに。
私が穢されていく。
「ら、い……あっ、ああっ、や、あ……っ、やあああ──……っ!」
「ああ……こんなにも溢れて……。見えているかユキネ。月光がお前のここを照らしている。お前の全部を暴きたいと、淡い光で舐め回している。濡れて光るお前は実に美しい。もっと出しなさい。もっと濡れなさい。私の為に、体の奥の奥まで開きなさい」
イキ続けて反り返る体を、男の腕が優しく押し上げる。
苦しくて解放されたくて必死でもがいているのに、男の指先が私の呼吸を容赦無く奪っていく。
頭が真っ白になっていく。
私が、消えていく。
「………………し……い」
「ん?」
ひくっ、ひくっと痙攣しながら、男の左手に私の左手を添える。
男の胸元に後頭部を押し付けながら、覗き込んでいるらしい男に力無く微笑む。
「ほしー……、の……。……らいおねるが……ほしいの……。ゆきねを、……らいおねるのに、して……」
「ユキネ」
「らいお、ねる、……すき……」
「っ!」
男の体が微かに跳ねた。
陰部を弄る手が、乳房を弄ぶ手が、ピタリと止まる。
「すき……。らいおねる、……すき。ちょーだい。ゆきねにちょーだい。らいおねる、ちょーだい」
固まった男の手に自分から陰部を押し付けて腰を揺らす。
乳房を握る手に自分の手を重ねて、柔らかな肉に指先を食い込ませる。
「らいおねる、すき。だいすき」
「……っ、ユキネ、もう良い!」
「らいおねる」
「それ以上は良い! 言うな!」
「ゆきね、らいおねる、あいしてんむっ、ん?」
私の手を払い除けた男が私を布団に仰向けで押し倒し、開いた足の間に体を寄せて口を塞ぐ。
舌を捩じ込み、喉に蓋をするような荒々しいキスをする。
「ん、んっ、んぷ、……ふあ」
私も舌を伸ばして男の舌の付け根をチロチロとつついて舐める。
私が応えるとは思わなかったのか、両腕と両足を回して私に固定した男の体が揺れた。
「んちゅ、ふ、……は、あ……、……はあ……らいお、ねる……?」
「…………そんなに……っ! そこまでして、お前は……!」
「らいおねる、ちょーだい。ゆきねに、ちょーだい」
視界は真っ白で、音は耳鳴りに遮られて拾えない。
腕の中に閉じ込めた体だけを確かに感じる。
私を求めて熱を上げ、私を求めて怯える体だけが、ここにある。
私はそれを抱き寄せる。
強く抱き寄せて、私の体を押し付ける。
「らいおねる、だあいすき」
男の体が硬直して、弛緩した。
「…………分かった。よく分かった、ユキネ。お前がそれを望むなら……、……私は……お前の物だ……っ」
「ん……ゃっ、あああああ──────っ!」
私の背中に腕を回して密着した体が、私の穴を探して腰を揺らし……一息で挿入ってきた。
待ちに待った刺激が脳天を貫き、全身に歓喜の稲妻を走らせる。
「い……っあっ、あっ、あっ、いあ、いあ、ああ! あん、あんっ、い、イイ……っ! イイの……っ、らいおねる、イイのおっ! ゆきね、イッちゃう! キモチイイ! キモチよくて、またイッちゃう! もう、もう、あたまおかしくなっちゃううぅうう!」
間を置かずに始まる抽挿。
ヌルヌルした感触が自然と私の腰を浮かせて、男の動きを自分から受け入れた。
亀頭が膣のざらつきをひとつひとつ擦る度、白い視界で星が光る。
粘る体液を纏った竿が穴を出入りする度に、体の内側からちゅぽちゅぽと音なのか振動なのかよく分からない物がせり上がってきて、顎を反らせる。
「ああ……お前のナカも……っ、良いっ、ユキネ……っ、くっ……、締まる……! 吸い込まれるっ……!」
「キて! もっとつよくはやく、おくまでぐぽぐぽして! ぐぽぐぽしてグチャグチャにして! ゆきねに、ちょーだい! らいおねるをゆきねにちょーだい! らいおねる! らいおねる!」
「ユキネ、ユキネ……っ! ああ、……愛してる……! お前を愛している、ユキネ! 私を、全部……っ、私の全部を! 受け止めろ……っ!」
男の腰が速度を上げる。
芽の裏側と突き当たりを痛いほどなぞってゴツゴツ叩いて、衝撃の強さと期待で強張る私の体に、迫りくる終わりを告げる。
チカチカ瞬く光が増えて、大きな空になる。
そして、突き当たりがこじ開けられ、ナカに灼熱が放たれ、空が弾け飛んだ。
「っっきゃ、ああ、ああああ、ああああ──……っ!」
何時間も焦らされ、もどかしさで燻され続けた体が、熱さに堪え切れず悲鳴を上げる。
色に濡れた艶っぽい声というよりは、獣の咆哮だ。
宙を漂っていた足が爪の先まで突っ張り、二人の間にビュクッビュクッと溢れ出る灼熱の飛沫に合わせて揺れる。
「は──……、は──……。……ああ……ユキネ……」
「……あ、…………はうっ、うあ、ぐ、う……うあああ…………っ」
私のナカに収まったまま荒い呼吸を整えていた男が、私の頬を撫でた後、名残惜しげにキスをしながら陰茎を引き抜いた。
責め苦から解放されて脱力した体が、太股を伝い落ちる精液にも微弱に反応する。
「…………お前に新しい装備を与えよう。ひとまず休んで体を清めたら、それを着てすぐにでも勇者ティティの元へ行くと良い」
五感に鮮明さを取り戻してもまだ事後の余韻で身動きできないでいる私に背を向けた男が、いつの間にか脱いでいたバスローブを羽織って、処理もそこそこにベッドを下りた。
「……らい……お、ねる……?」
「私はお前を愛している。だから私はお前の物だ。私が持つ全部を、お前にも与えよう。だが、……聞かせてくれないか。何故、ここまでされても私を拒む? 何故、そんな風に
「らい……」
「答えてくれ、《シンゴ》」
私に背を向けた男の肩が震えている。
項垂れた頭を左手で支えて、震えている。
私は……
陰茎を引き抜かれてすぐ男の体に戻された俺は、目を逸らして瞼を閉じた。
「…………信じ、ない」
真っ暗になった視界の中で、心配そうに俺を見上げる可愛らしい女の子二人と目が合った。
薄い紫の光沢がある銀色の髪を丁寧に結い上げた女の子達は、父親譲りの水色の目を申し訳なさそうに伏せて、深々と頭を下げる。
「信じられる、わけが、ない。そんなの……当たり前だろうが……」
父親と俺の関係など知る筈もないのに、ごめんなさいと謝る。
この国に縛り付けてごめんなさいと、言葉には出さないで、ただ頭を下げる。
「《どんな形であれ結婚相手になった女性達》や、その人達との間に生まれた子供達を、現在進行形で蔑ろにし続けてる奴が騙る愛情、なんて……どうやったって、信じられるわけが……、ない」
力が入らない声で吐き捨てれば、男がハッと息を飲んだ。
沈黙がしばらく続いて、やがて嘲笑混じりの苦い吐息が溢れる。
「…………そう、か……。最初から……出会う前から、私には資格が無かったのだな……」
「アンタも……本当は、分かってたんだろ。だから、《ユキネ》を……憎んでるんだろう? 想っても願っても、所有しようとしても……もう、どうしようもないんだって……分かってるから……」
俺は男に背を向けて体を丸めた。
もう、疲れた。何も考えたくない。
今はバカみたいに眠りたい。
「……すまない、シンゴ。それでも私は、お前を手放してやれない」
「俺は……誰かの所有物じゃない。所有物だとしたら、その《誰か》ってのは、《俺自身》だ。……俺は、俺の物だ。俺は……ユキネは、お前の物じゃ、ない……」
「だとしても……私はお前の物だ。好きに使いなさい」
「……知るか……」
「……お前の《好き》と《大好き》は……想像していたより、ずっと……冷たく響いた。氷の槍で心臓を貫かれたかと思ったよ。《愛してる》だけは……本心で聞きたかった」
「…………あ、そ……」
「…………ゆっくりおやすみ、シンゴ。朝はまだ……来ないから……」
男の震えた声が遠ざかる。
俺は、意識を拐う泥のような眠気に身を任せて……沈んだ。
長丁場はヤメテッ!
拙者の下半身はもうびしょ漏れよ!
ということで、第2ラウンド終了!
勝者、まさかの男の魔法使い~~っ!
女の魔法使い、国王の弱点を突く色仕掛けはポイントが高い!
可愛すぎて、拙者の我慢が臨界点を突破しちゃったでござる!
部屋くっさ。
(おなごは花、おのこはイカ。この差が納得いかぬ)