※この作品はR-18です。

天使☆騒々 RE-COMP!   作:雛影

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《2024年3月18日・午前1時頃》
UAが1000を超えてる……!?しかも評価バーに色が付いてる……!?つーか日間ランキング9位……!?

――非常に驚きました、雛影です。嬉しかったから頑張って早く投稿したかったんですが、今回少しだけ登場する李空の父が原作で割と出番が少なかったせいで口調に悩みまくり、なかなか進みませんでした……また2週間も期間を空けてしまってすみません。口調の把握に時間がかかったうえ微妙に違うかもしれませんが、どうかお許しを。
それと今回は少し短いです。理由は次回。


RC.3「耳鳴り」

「ん……」

 

勃起不全になった翌日。俺は目覚ましのアラームよりも早く起きた。

 

「……5時か」

 

昨日は天音に言われた通り早く寝た。具体的な時間を言うなら21時頃。つまり8時間睡眠の早寝早起きで、今の俺は超健康状態――だというのに、

 

「……ダメ、か」

 

俺のズボンは全くもっこりしていなかった。これまでの人生で毎朝朝勃ちしてたわけじゃないが、全くの無反応というのはあまりない。

 

「ハァ――っと、気持ちを沈めちゃダメだ。今は“まだ無反応”ってだけで、すぐに何かしら反応を示すかもしれない」

 

沈みそうになる気持ちを切り替えるため、俺は早朝ランニングに出かけることにした。

 

 

******

 

 

明け方の住宅街を走っていると、ふと思う。

 

「そういやこの時間帯に外を走るの、結構久しぶりだな」

 

昔から体を鍛える一環として早朝ランニングをしてたけど、最近は炎の夢に悩まされてランニングどころじゃなかったからなぁ……って、あれ?

 

「そういや今日は見なかったな、炎の夢」

 

十中八九、というか間違いなく昨日の天使のおかげなんだろうが……マジであの天使、何者だったんだ?いやまぁ天使なのは間違いないはずなんだが、なんで急に俺の前に現れたんだろう?

 

「……一旦、考えるのやめるか」

 

どれだけ考えたって答えは出ないだろうし、魔王の力は鎮まってるんだ。別に天使が本物だろうが偽物だろうが、何者であっても問題はない――はずなんだ。

 

「じゃあ俺のEDは、一体どういうことなんだよ……」

 

魔王の力と俺のちんこに、何かしらの因果関係があるとは到底思えない。でも原因になりそうなのが他に何もないんだよなぁ……マジで今、俺の体に何が起きてるんだ?

 

 

******

 

 

「ふぅ……朝シャワーも久しぶりだったな」

 

結局あまり気持ちの切り替えはできないままランニングを終えて家に帰ってきた俺は、シャワーで軽く汗を流した。そして制服に着替えてリビングに行くが、母さんはまだ起きていなかった。

 

「やることないし眠気もないし、久しぶりに俺が朝飯作るか」

 

ご飯に味噌汁と、ほうれん草の胡麻和えに……そういや一昨日、小雲雀さんに朝食レシピを1つ教えてもらったな。せっかくだし作ってみよう。

 

「名前は確か……ベーコンエッグ丼だったな。あっ、丼だからご飯やめなきゃ」

 

作る物を決めた俺は冷蔵庫の中身を確認する……うん、材料は問題ないな。だが唯一問題なのは、勝手に食材を使ったら怒られるかもしれないこと。

 

「……ま、謝ればなんとかなるだろ」

 

 

―――十数分後―――

 

 

「あら?」

 

そろそろ完成するってところで、後ろから母さんの声がした。

 

「おはよう、母さん」

「おはよう、李空。あんたが朝食作ってくれるの久し……ぶ…………」

 

振り向いて挨拶すると、母さんが目を見開く。え、何その反応?

 

「李空」

「な、何?」

「あんた、もしかして徹夜した?」

「は?――っと、危ねぇ」

 

急な質問に料理の手を止めそうになったが、なんとか持ち直す。もう少しで完成だってのに、ここでやらかすのはマズい。

 

「急になんだよ?」

「いいから答えなさい」

「……してないけど。むしろ早寝早起きした」

「本当に?」

「ああ」

 

俺の答えを聞いた母さんが黙り込む……なんで?

 

「あんた、もう顔洗った?」

「洗った」

「自分の顔、見てないの?」

「見……てないな、そういや」

「あんた今、目がすごく濁ってるわよ」

「え?」

 

フライパンを見て、もう料理の手を止めても問題ないと判断した俺はスマホのインカメラで自分の顔を見る。

 

「……うわぁ」

 

自分でも驚くぐらい、俺の目は濁っていた。

 

「何かあった?昨日の夜も様子変だったけど」

「……あったけど、相談できるような内容じゃない。まぁ深刻ってわけじゃないから、あまり心配しなくていいよ」

「そう……わかった。じゃあ今は訊かないわ。でも本当にヤバいって思ったら強引に聞き出すからね」

「ありがとう」

 

どうやら思ってた以上に、EDによる精神的ダメージがデカかったらしい。これでクラスメイトにまで心配されたら理由的につらい。学院に行くまでには、なんとか正常に戻さなきゃ。

 

「ところで、料理の手止めちゃったけど大丈夫?」

「ん?ああ、もう完成したから大丈夫。あとは盛り付けだけ」

 

そう言って俺はベーコンエッグをご飯の上に乗せ、ガーリック醤油をかける。

 

「それは?」

「ベーコンエッグ丼。一昨日友達に教わったんだ。他は味噌汁、ほうれん草の胡麻和え――っと、そうだった。食材勝手に使ってごめん」

「別にいいわよ。それよりも、李空にそんな話をする友達がいることに嬉しさを覚えてるわ。どんな子なの?」

「めっちゃ簡単に言うなら、陽キャな天才肌。父親の影響で乱読家らしくて、自分は料理できないけどレシピ本を読むこともあるんだとさ」

「おはよう」

 

そんなことを話してると父さん――谷風(たにかぜ)公晴(きみはる)が起きてきた。

 

「「おはよう」」

「李空?この時間に起きてるの久しぶりだな……お前、もしかして寝てない?何か悩み事でもあるのか?」

「父さんもそれ言うのかよ」

「それほど目の濁りがひどいってことよ」

 

まぁ、確かにあれはひどかったな。死んだ魚の目のようだった。

 

「何かはあったらしいんだけど、今日はただ早寝早起きしただけなんですって。何かは教えてくれなかったわ」

「そうか。由月が聞き出せないんなら俺じゃ無理だろうなぁ」

「でしょうね。まぁ本当にヤバそうなら無理やりにでも聞き出すわ」

「頼んだ」

「……そういうのって普通、本人のいないところでする会話じゃない?」

 

2人分の配膳をしながら話を聞いていた俺、少し気まずい。

 

「いいじゃない。さっきあんたにも言ったことなんだし」

「いやまぁ、確かにそうなんだが」

「そんなことより、今日は李空が朝ごはん作ってくれたのか?」

「ああ。久しぶりに早朝ランニングに行って、帰ってきても母さん起きてなかったからな」

「だいぶ早起きしたな。いつ起きた?」

「5時。ちなみに昨日は21時には布団に入った」

「なんか年寄りみたいだな」

「……そうだな」

 

年寄りか……EDも相まって、体が老いてきてるのかと少し心配になってきた。まぁありえない話だろうけど。

 

「つーか父さん、時間大丈夫?6時30分には家を出るんじゃなかったっけ」

「ん?……あ、ちょっとマズいかもしれない」

「あら大変。じゃあ早く食べなきゃね」

「久しぶりの息子の手料理、もう少し味わって食べたかったなぁ……」

「うっせ。また今度作ってやっからそんな女々しいこと言うな」

 

 

******

 

 

「さて、じゃあそろそろ出るわね」

 

そう言って母さんがソファから立ち上がった直後。

 

「ふぁぁ~……っ。おはよぉ~……」

 

リビングのドアが開き、天音があくびをしながら現れた。珍しく早起きである。

 

「あら珍しい。出社前に天音の顔を見られるなんて……天気予報は晴れだったけど、念のため傘持っていこうかしら」

「失礼な。たまにはこういう日もあったっていいでしょ」

「それもそうね。この時間に起きてきたなら、遅刻もサボりもしないでしょうし。まぁそのへんは李空がいるからあまり心配してないけど」

「ああ、任せろ」

「目が濁ってても頼もしいままね。じゃあ、いってきます」

「「いってらっしゃい」」

 

母さんが家を出た後、天音が俺の顔をジッと見てくる。

 

「なんだ?」

「その目って、昨日のアレのせい?」

「だろうな。お前の言う通り昨日はたくさん飯食って早寝早起きしたんだが、思ってた以上に精神的ダメージを受けてたらしい」

「そう、なんだ……」

「でもまぁ、外出る前にはなんとかするから心配すんな。それより飯食うだろ?用意しといてやるから早く顔洗って着替えてこい」

「うん……」

 

そう返事をした天音だったが、何かを考え込む様子で突っ立ったまま動かない。

 

「天音?」

「……なんでもない。着替えてくる」

 

天音が着替えに向かったのを確認してから配膳を済ませていく。普段は母さんが出る前にやっておいてくれるんだが、今日は俺が全部作ったんだから俺が配膳するのが筋だろう。

そんなことを考えながら配膳を終えた頃。

 

――ピコンっ。

 

「ん?」

 

スマホがLIEN(リーン)の新着メッセージを知らせてきた。こんな時間に送ってくる奴に心当たりはないんだが……って、は?

 

「天音?」

 

画面を見ると、さっき着替えに行ったはずの天音からのメッセージだった。その内容は――

 

「………あ?」

 

制服をはだけさせてほぼ下着姿となった天音が四つん這いになっているという、謎のエロ自撮り1枚だった。

そして数秒後。

 

【お兄、元気出た?】

 

というメッセージも送られてきた。

 

「………」

【はよ来い。せっかく温めた飯が冷める】

 

いろいろと言いたいことはあったが、ひとまずはそれだけ送って天音が降りてくるまで放置した。

 

 

―――数分後―――

 

 

「ちょっとお兄!」

 

天音が怒った様子でダイニングに現れた。

 

「なんだ阿呆」

「阿呆!?お兄のために恥ずかしいのを我慢して、エロ自撮りを送った心優しい妹に対して『阿呆』って何さ!」

「お前なぁ……ま、気持ちだけは受け取ってやる。お前なりに俺のことを心配しての行動だったんだよな?」

「……うん」

 

こいつの性格的に、裏垢やらマッチングやらに興味がないことはわかる。天音は基本、人見知りだからな。あの写真は本当に親切心のつもりなんだろう。

 

「とはいえ、だ。こういうのを撮って俺に送ってくるのはやめろ。誰かに見られでもしたら大変なことになるだろうが」

「大丈夫でしょ。ウチの親たちは勝手にワタシたちのスマホ見ないし。誰かにスマホを渡すようなガラでもないでしょ、ワタシもお兄も」

「そりゃ確かにそうだが、スマホを落としたことに気づかなかった的なことがあるかもしれないだろ。気をつけるに越したことはない。あぁそれと、急にあんなの送られてきても興奮しねぇから」

「はぁ?可愛い可愛い妹のエロ自撮りぞ」

「妹だから余計に興奮できねぇだろ。したらお兄ちゃん失格だ」

「……お兄ちゃんって妹に興奮するものじゃないの?」

「どこの世界の常識だよ」

 

 

******

 

 

今日は珍しいことに天音が早く起きてきたから、いつもより早く支度を終えて家を出た俺たち。当然いつもより早い時間に学院に着いた。

昇降口で天音と別れ、教室に向かう。

 

――ガララッ。

 

「およ、谷風クン?」

「あれま、ホントだ」

「いつもより早いね」

 

教室に入ってすぐ、小雲雀さんたちが俺に気づいた。

 

「珍しく早起きしたから早めに家を出たんだよ。てわけで、おいっすー」

「よっすー」

「よすよす~」

「おはよーっす……ん?」

 

いつも通りの挨拶を交わすと、小雲雀さんが俺の顔をジッと見てくる。

 

「な、なんだ?」

「谷風クン、今日ちょっと元気ない?」

「え?」

 

突然の質問に少しドキッとする。しかし俺の悩みを打ち明けるわけにはいかないので、動揺を悟らせないようにしらを切る。

 

「俺は別にいつも通りだが。2人にはどう見える?」

「特に変わったところはないと思うけど」

「うん、いつも通りに見える」

「んー……気のせいだったのかな」

 

確信には至らなかったようだが、小雲雀さんの察する能力ヤバすぎんだろ――などと思っていたとき。

 

――キンッ。

 

「づッ!?」

「痛っ……」

 

突然、甲高い金属音のようなものが俺の脳を揺らした。思わず苦悶の声を上げて頭を押さえる俺の隣で、小雲雀さんも頭を軽く押さえてる……なぜ?

 

―――見つけた―――

「あ……?」

―――間違いない。あなたね―――

 

すると今度は聞き覚えのない女性の声が聞こえてきた。その瞬間、俺はうっすらとだが奇妙な景色を見る。

山と森に囲まれた自然豊かな場所。遠くに大きな城が見え、その周りは西洋の町並みっぽい雰囲気。当然こんな景色、俺に見覚えはない……だが、なぜだろう?俺はこのうっすらと見える景色と微かに感じる不思議なニオイに、ほんの少しだけ懐かしさを感じていた。

 

「ちょ、ちょっと2人とも?」

「大丈夫?2人揃って頭押さえてるけど」

 

木下さんと白石さんの声が聞こえてきたと思ったら景色が消え、俺の目にはいつもの教室が映る。

 

「お、俺は大丈夫。耳鳴りみたいなのと、変な声が聞こえたくらい。小雲雀さんは?」

「アタシは耳鳴りだけ、だったと思う」

「声は?」

「聞こえなかったよ」

 

おかしいな。確かに聞こえたはずなんだが……ってか、小雲雀さんと同じタイミングで耳鳴り?なんで?

 

――ピコンっ。

 

「ん?」

 

疑問に思っていると突然、LIENにメッセージがきた。相手は天音。

 

【おにい】

「――――――」

「谷風クン?」

「すっげー真顔、急にどした?」

「変なメッセでもきたの?」

「ごめん。ちょっと用事」

 

何やら訊いてくる3人に短く告げて、俺は天音の教室に走る。

俺が急いでいる理由――天音はいつもLIENのメッセージで“お兄”と変換する。しかし今きたメッセージは“おにい”だった……つまり天音のほうで、変換する余裕がないほどの何かがあったということ。

 

「1−A……ここかっ」

 

天音の教室を見つけ、勢いよくドアを開ける。

 

「天音ッ!!」

 

思いのほか大声が出たようで、俺に視線が集中する。普段であれば少し萎縮しそうなものだが、今はそんなことをしてられる状況じゃなかった。なぜなら――

 

「なっ……!?」

 

天音が自分の席と思われる場所のそばで、ぐったりと倒れていたからだ。

 

「天音!俺だ!李空だ!聞こえるか天音!」

「……お、にい?」

 

慌てて駆け寄り必死に呼びかけると、天音は目を開く……よかった。呼びかけに答えられるくらいには意識を保ててるな。命に関わるほどのことじゃないと考えてよさそうだ。

 

「ああ」

「おにい……来て、くれたんだ」

「当然だろ。何があった?」

「なんか、急に耳鳴りみたいな音がして……胸が、苦しくなって……」

 

耳鳴りと、胸が苦しい……さっきの俺たちみたいなことが天音の身にも起きたのか。でもなんで天音だけこんな、苦しそうに――いや待て。今はそんなことどうでもいい。

 

「そうか。じゃあ帰るぞ」

「え……帰らない、けど」

「は?帰るために俺を呼び出したんじゃねぇの?」

「別に、そういうんじゃない……」

「じゃあなんで呼び出した」

「……ちょっと、怖かったから。でももう大丈夫。体調も回復してきたし」

 

そう言って立ち上がる天音だが、少しふらついている。

 

「……本当に大丈夫か?」

「うん」

 

こういうときの天音は頑固だ。今は何を言っても帰ろうとしないだろう。

 

「……わかった。でも今以上に体調が悪くなったら連絡よこせよ」

「わかってる」

「よし……三国さん」

「……え?」

 

予防策として天音のそばにいた三国さんに声をかけると、少し間を置いた返事が返ってきた。

 

「急な話で申し訳ないんだけど、天音のこと気にかけてやってくれないか?」

「あ……も、もちろんです。こんなに体調が悪そうな天音ちゃん、初めて見ますし」

「ありがとう。もし天音に何かあったら2−Cまで来てくれると助かる。こいつ少し頑固なとこあるから、連絡してこないかもしれなくて」

「うっさいお兄」

「わ、わかりました」

「彩ちゃん……!?」

 

これで天音に何かあったらすぐにわかるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――この時は、そう思っていた。




とりあえず公晴の口調は李空よりも少しだけしっかりした感じ、一人称は「俺」でいこうと思います。そして基本的に由月のことは「由月」もしくは「お母さん」、天音のことは「天音」、李空のことは「李空」と呼ぶ。
……時間をかけといてなんですが、彼の次の出番がいつになるのかは未定という。一応、ちゃんと出すつもりではありますが。


一昨日投稿した活動報告にて、重大なお知らせをしています。ぜひご確認を。今回の投稿が遅れた理由、実は公晴の口調よりもこっちのほうが大きいです。タイトルは――プロット半壊。
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