あとタグの追加や更新がありますので、気になる方はご確認ください。今後、未投稿のシナリオの内容に合わせて追加していきます。
扉の前に立ち、目を閉じる。
不可視の感知網をそっと広げ、周囲に仕掛けられた感知魔法を掌握していく。
昨日はロニルちゃんと夜遅くまで
万全の冴えで魔法を行使し続け…………いま、すべて把握した。
音も、気配も無く。扉が開閉し、
「…………」
朝日はカーテンに遮られて、室内を柔らかく照らしていた。
カリカリ、とペンが紙の上をなぞる軽やかな音が聞こえる。
「…………」
部屋の主はすでに起床し、身支度を済ませ、机の上で何か書き物をしているようだ。
扉の開閉にも、その背に歩み寄る私にも、気づかない。
気づけない…………
────ここはケルレンスくんの部屋だ。
肩越しに彼の手元を見る。
素朴なノートに書きこまれる内容は、一見冒険者としての日常、日記のように見える…………けど、おそらく違うのだろう。
根拠はカン。
「【防音】【密筐】。【認識分離】」
「…………」
後ろに立つ私の魔法行使にも気づかず、ケルレンスくんはペンを動かしている。
ちょうど、今書き終わったようだ。
「…………よし。こんなものでいいだろう」
何を書いてたの? ──と声をかけようとして、気づく。
そっか、気付けないんだった。
私の存在は、隠密魔法によって五感、魔力、気配レベルで隠されていた。
無言で隠密魔法を解除しながら、彼の肩を叩く。
「────おはよう、ケルレンスくん」
「────────────な…………」
驚愕。まあそうだろう。
首をひねって振り向いた彼は、目を見開き、口をぱくぱくと開閉させている。
この部屋には、銀級冒険者らしい一般的な防犯魔法と、それがあるとは気取られにくい高度な防犯魔法も仕掛けられていた。
それらは、一切私の侵入を告げていない。
告げさせていない。
「ふふ。びっくりした?」
「なん…………です、か。さっきの…………魔法、ですか? 気配が突然、背後に現れて…………」
「ああ、そっち? 。対人特化の隠密魔法、我ながらよくできてるでしょ」
「っ。それより、いつ、どうやってこの部屋に…………!?」
「あ。やっぱりそっちも気になる?」
肩の手を放し、そばのベッドに歩いて腰掛ける。
ケルレンスくんは訝し気に私を見ながら、椅子ごと私に向き直る。
ちらり、と机の上の日記を意識してたけど、観念したのか対処を諦めたのか、今は私の対応に集中してくれるみたいだ。
「おはよう」
「…………おはようございます、アーサさん」
「あれから、なんだかんだ二人きりで話せるときが無かったから、来ちゃった。今日休日だったよね?」
「はい。…………何の、用でしょうか」
「…………そんなにピリピリしてくれなくていいのに。ほら、私はケルレンスくんの秘密を知ってるし、ケルレンスくんも私の秘密を知ってるんだから」
「…………」
「あ、もう防音とか擬装とかの魔法かけてあるから。私が居ることは誰にも伝わらないよ」
「…………あんな、非常識な魔法を使われたら、たまったものではありませんよ、王都の密偵としては。あなたが魔法を使っている間、僕は全く異常を感知できなかった────いや、
「お! すご、ちょっと判るんだ」
子供のころ、いたずらをしたり、こっそりお姉さま方のコイバナを盗み聞きするときとかのために、隠密や迷彩魔法を作ったことがある。
それこそ三日前(朝になってたから一昨日か)、疲労困憊のケルレンスくんを部屋から送り出す時にも使っていた。
でもあれは、人の意識から外しやすくしたり、五感の対象から外すだけ。痕跡は残ったり、感知のしようはあるものだ。
でも、この隠密兼認識妨害魔法は。まさしく格が違う。
私個人を対象とするも、適応範囲は絶大。
私が立つ場所のことは、人も、魔物も、魔法も、魔道具も、そこに異常が無い、と判断してしまう。
認識改竄。思考妨害。論理誤謬。
この魔法を使う限り、きっと私は、誰にも、何にも、どうやっても気づかれない。
「まあ、効果が強力すぎて、やりすぎると違和感が出ちゃう…………と、思う」
「はあ、違和感。…………思う?」
「これ、
「実験?」
いつのまにこんなに高度な魔法を使えるようになっていたのか。────
この魔法のことを、
「──【
「────……!? き、消えた!? ────
私にも認識できない呪文を唱えると、私の体が透明になっていく。
目の前の人物が突然消えたことすら気づけないのだろう。かえって、すぐに強烈な違和感を感じたのだろうけど。
「す、すごい…………。とてもこの部屋にアーサさんがいるとは思えない…………」
ちなみにこの状態では
が、体を動かしたり、魔法を使うことはできる。認識妨害前の状態を覚えて、動きながら今の姿勢を計算していけばいいだけだ。
腰を持ち上げる動きをする。腕を前方に伸ばす。
おそらくそこにあるだろう手で、彼の顔を触る。
「…………アーサさん? 今、どこに」
気づかれない。そのまま、頬をつねる。
「…………?」
やはり、気づかれない。そのまま彼の頭を掴んで、横に引き倒そうとする。
ぐぐぐ、っと、少しの間ケルレンスくんの状態が無抵抗に傾いていた。
「────うわっ!? いつの間に、体が傾いてる…………!? これ、アーサさんがやってる…………のか…………すごいな…………」
さすがに、体がほとんど横倒しになる前には気づかれる。
──ふむ。
ついでにこれも試してみよう。
「…………うわ!? なんだこの、布…………────!?!?」
いつの間にか、というべきか。ケルレンスくんの膝を包む、黒く柔らかい布が現れた。
彼がソレを視界に捉えて、気づく。
気づかれただろう。
それは────さっきまで、私が着ていたブラウスだ。
なるほど。
「ちょ、ちょっと、アーサさん!? なにを──」
続いて、ケルレンスくんの足元に濃色で厚手の布が現れる。
色味を見れば、それが私が今日穿いてきたスカートであることがわかるだろう。
「うわあっ!? ぐっ…………!? ふっ、くっ」
ケルレンスくんは頬を赤くして椅子から立ち上がろうとするけど、立ち上がれない。つま先に手先、頭部までの全身伸びた魔力の鎖が、椅子に絡みついている。
これは普通の拘束魔法だから、彼にも何をされたのかがわかっただろう。ちなみに彼の魔力出力だとどうやっても抜け出せない強度の拘束魔法を使っている。
しばらく抵抗していたけど、無駄だとわかったのかすぐに止まった。
「ア、アーサさん。揶揄っているならやめてください…………」
彼の懇願を無視するように。あざ笑うように。
彼の膝の上、ブラウスに重なって、今度はグレーの布切れが二つ、現れた。
ブラジャーと、ショーツ。
「──…………ッ!」
魔法を解除する。
ケルレンスくんは目をぎゅっと瞑っているみたいだけど、私は彼の背後で日記をのぞき込んでいるので、まだ裸体を見られてはいない。
やはり、内容は普通の日記のように見える。
「見ててなんとなく、どういう風な認識のされ方をしていたのかは分かったけど。どう? 不思議でしょ」
「こ…………こんな、高性能な、隠密魔法は…………王都の機密管理を、揺るがすような…………」
「王都。そうだ、この日記…………っぽいのも、多分ソレ関連だよね?」
「…………」
「ケルレンスくん、
彼からはしばらく、反応が無かった。
拘束された腕の先で。強く握りしめられた指が白くなっている。
「…………一部の文字に、規則的な誤字を暗号として潜ませています。読む人が…………連絡員が読めば、そこから“葦と楔”の内部活動を読み取れます」
「これ、いつ。連絡員、って人に渡しに行くの?」
「報告は…………不定期で…………毎回、違う場所に日記を…………隠します。回収されたら──」
「へー」
「クランメンバーに怪しまれないように、向こうから接触してくることは無いです。最後にあったときは商人に擬装してて──」
「ふーん」
話半分に聞きながらぺらぺらと日記をめくる。
うーん、解説されながらでも全然わからない。暗号、どこ?
「…………あ、三日前のアレは書いてないんだ」
「し、報せるわけないじゃないですか!!! 日記としても書きません!!」
「あはは、怒ってる」
「ていうか! 貴女が! 『お互いを見て見ぬフリ』って言ったんですよ!!」
ぎゃあぎゃあ喚いているけど、頭の先まで私の魔法で固められているので、こっちに振り返ったりはしていない。
してもいいけど。
「あー。じゃあ、それナシにしよ」
「え゛」
後ろから抱き着くように、椅子に座った彼の両肩に二の腕を乗せる。
さっきまでブラウスの袖に隠されていた私の上腕は、淡い光源で柔らかな肌を晒していた。
ケルレンスくんの短髪が、私の胸元に触れる。几帳面なのか整えられた髪はさらりとしていて、くすぐったい。
「う、あ…………」
「あんなに、楽しい、愉しめそうなコト。忘れて生きるなんで、もったいないよ」
「…………!」
あざ笑うように。
違う。私は、まさに口角を吊り上げている。
そのまま背後から手を伸ばして、彼の膝元をまさぐり、私のショーツを手に取る。それを摘まんだまま、彼の顔の近くで揺らす。
彼はまだ目を閉じているけど、私の下着から漂う
「はっ…………はっ…………」
「ケルレンスくん。この前、私の隣でオナニーしてた時……どんなことを考えてたの?」
「ぼっ…………ぼくは…………」
「聞かせてほしいな。
上体で少年の後頭部にもたれかかり、片腕を緩く曲げて楽な姿勢をとる。
木の背もたれが軋み、喉仏がごくりと上下した。
「その……普段は、清廉潔白な……アーサさん、が……」
絞り出すように。耐えかねたように。小さな声だ。
「あ……あんな、いやらしい音を立てて……自慰をしてると思うと……とても……興奮して……」
太ももを指先でなぞれば、興奮を示すようにふるりと震える。
「やめて…………ください、アーサさん…………」
「??」
「ぼ……僕は、アーサさんのことを本当の尊敬しているんです。貴女が、貴女のおかげで、多分このクランの犯罪者たちは……人らしく、踏みとどまれている。僕だって……そうです」
「ふむふむ」
どうやら真面目な話らしい。
気にせず、指先で太ももから腰、脇腹、胸をなぞっていく。
「さ、最初はこのクランは…………クズどもの巣窟だと思っていたんです。罪に問われていない犯罪者たちの群れは、すぐに次の問題を起こすと。けれどすぐ、それは間違いだって分かりました」
「…………私が、みんなを変えた…………みたいな?」
「そうです。明らかに、アーサさんが加入してから、“葦と楔”の危険性は身を潜めていった…………」
「確かに、私は…………みんなが悪いことしてたなんて、全然気づかなかった」
「わかるんです。輝くあなたの側にいると…………自分が、どっちに立てば、より善く、より清く、より正しく…………誠実に、いられるのかを」
「はあ…………」
なんかものすごく持ち上げられている気分だ。
私ってそんなにすごい人だったっけ? 特殊では、あると思うけど。
リーダー的な、人を導く素養は無いと思う。戦闘指揮ヘタクソだし。
「私、別に人を改心させる魔法なんて知らないよ?」
「そうではないんです。いえ、あるいは…………本当にそういう魔法のような体質なのかと、思うくらい。貴女には、独特のカリスマがある」
「ええ──??」
絶妙に嘘くさい。
が、少なくともケルレンスくんはそう確信しているのだろう。
彼は
「王都の密偵としては絆された、と言えるかもしれません。僕は……ここしばらく、調査の手を緩めています」
「え、大丈夫なのそれ?」
ぎょっとしてケルレンスくんの顔を覗き込む。まだ顔を赤くして目を閉じたままだけど、いくらか凪いでいた。
「大丈夫では、ないですね。王都には、『現状の調査に進展なし、引き続き潜入続行』、と報告していますが…………実際には、僕はもう、何の密偵工作をしていません」
「…………なんで?」
「そもそも、僕が調べて出てきた埃も、クラン長のペトリファイへの微かな嫌疑だけでしたし」
「ペトリファイ…………」
「今更、この場所の──いえ、貴女のために、このくらいはもみ消していいと…………密偵ではなく、冒険者のケルレンスとして、思ったんです」
「へー…………」
「僕なんかが、想うのはおかしいんですけど。この場所を、守らなきゃいけないって思ったんです」
「ふーん…………」
…………なんか、涼しい顔をしているのがムカついてきた!
ショーツから手を放し、両腕で頭に抱き着く。
「いだだだだ!?」
両肘でこめかみをグリグリと揉みこむ。ちなみに拘束魔法はかかったままなので、彼は身じろぎ一つできない。
自分の魔法の適応範囲から自分を外すなんて朝飯前である。彼の頭蓋を縛り上げる魔力の鎖は、私の腕には干渉しない。
「いだ、いだだっ、ちょ、あががっ」
「…………むぅ」
「ひ、ひぃ、痛かった…………」
「まあ、八つ当たりはこの辺にします」
「ひ、ひどい…………」
腕から放す。ケルレンスくんは若干涙声だ。
身動きできない状態で頭をグリグリされたら痛かろう。あはは。
……照れ隠しはこの辺にしよう。
「はあ。私…………の、ため。なんだよね。それは、わかったよ」
「う゛。そう、なんですが。────まあ、そう言われると恥ずかしいですね…………」
「ふふ。私は素直にうれしいよ、ケルレンスくんも、ここが居場所だって、思ってくれて」
思い出すのはロニルちゃんのことだ。彼女も、ここを──私のことを居場所だと言ってくれた(正確には私の私物が良いらしいけど)。
まだそんな、自分が誰かの居場所だなんて。
自信があるわけじゃ、ないけど。
「──ふふ」
「なんですか、その笑い」
おもむろに。
彼の方に手を着きながら、体の前に移動する。
「────わぁっ!?」
「いやー、もっと仲良くしたいなあ、って」
「ちょ、ちょっ、前、隠しっ」
とっさに目を瞑ったけど、私の裸体は目に入っただろうか。
ぎゅう、と目元にシワを寄せて、我慢している。
我慢。そう。
「──それじゃあ、今度は私が…………あの時、どんな気分だったか」
「ちょ…………ちょっ、あのっ」
「教えるね。あの日、すっごくムラムラしてたんだ…………」
「うひぃっ」
身動きが取れないケルレンスくんの耳に唇を寄せて、囁く。
可愛らしい、まるで荒事を知らない少年のような悲鳴。
「なぜなら…………その日はずーっと、私のまんこに…………
「!? っ、ん、んなぇ…………」
息を吹きかける。びくびくと、眉間に切なげなシワが入り、表情筋が震えている。
彼の膝に両手を突く。流れるように股の方に手を這わせていく。脱ぎ捨てられた布を押し上げる腰の膨らみに、手のひらを添わせる。
ぎしぎし、と椅子が軋むけど、ケルレンスくんは動けない。無駄だとわかっていても、つい体が動いてしまうんだろう。
──快楽で。あるいは、期待感で。
「ふふ、わかる? ただ排泄しに来ただけだったのに、つい、つい、自慰を初めちゃったんだ」
「あ、アーサさん。離れてください」
「ケルレンスくんと一緒だね。そんなつもりなかったのに、つい──」
「はあ、あっ、ダメ、です──あー、さ、さ、うぁ」
「──なんて、私が言う資格は無いんだけどね。だって、
指先で柔らかく、愛撫する。女性的なブラウスの柔らかい質感の裏側に、男性的な堅さを感じる。
ケルレンスくんの膨らみがびく、びくと震え始めた。右手は付け根を摩り、左手で山の頂上を包んで、回すように揉みほぐす。
「はぁっ、はぁ、と、とまっ……て……」
「……♡」
彼の下着、ズボン、それから私のブラウス越しだから具体的なところはわからないけど……かなり仕上がっている、みたい。
耳のそばで聞こえる息遣いが荒い。
「うあ、まって、だめ、やめてくだ、こんな、いけない──」
「大丈夫。大丈夫だから。……────イって、いいよ」
「あ────。ダメ、こんな、嫌だ、ぼくは……」
手のひらに、脈動する感触。
生地の厚み越しに、とく、とく、と精が吐き出される。
「ね、ケルレンスくん」
「はぁ、はぁっ、はぁっ」
体を、離す。絶頂後の脱力で浅く目を開く少年は、答えることも無くただ深い呼吸を繰り返す。
もう目を瞑ることはやめていたけど、私のハダカは視界に入ってないのか、見えても反応できてないのか。
私のブラウスをどかし、ズボンのベルトに手をかける。
「どう? もっとさ、楽しいこと、しよう?」
「アーサ、さん…………」
「よいしょー」
「あ…………」
拘束魔法をかけたまま、対象と強度を適宜調整して、椅子に座らせたままズボンをずり降ろす。
まだまだ硬さを保つ怒張が下着を押し上げている。
膨らみは、じんわりとシミが広がっていた。
「みんなが私の居心地がいいっていうならさ。みんなの側も、私にとって居心地よくしてくれてもいいよね?」
「はぁっ……。はぁ……っ」
「どう? 答えてくれると嬉しいな」
「う、あぁ……」
下着の腰ひもをほどき、布をべろんとめくれば、むわっと性臭が広がる。
勃起した陰茎と布の間を、白い粘液が汚していた。
ケルレンスくんのおちんちんは、昨日見たお爺さんの男性器と比べると明らかに小ぶり。でも、一度射精した後も硬さを失わなずに勃起している。
白くべたつく尿道口を指先でそっと押せば、根本から震えて男根がヒクヒクと揺れる。
「ケルレンスくん。ちゃんと目を開いて、私を見て」
彼の真正面に立つ。胸元に手は当てても、足は軽く開き、人として隠すべきところを何も隠していない。
ある意味で。これも場面にふさわしい格好、とも。
ケルレンスくんはもう恥を隠すことも無く、食い入るように私の裸体に目を走らせる。
私の顔。私の胸。私の性器。私の手、脚、髪。
そしてまた、私を見る。
「うあ…………────あ、アーサさん、の…………はだか…………」
「なんか、そうまじまじと見られると…………」
「ご、ごめんなさ…………」
「────結構、興奮、する…………♡」
「──────っ」
陰唇を手で割り開く。お互いの興奮を煽るように、分泌液が太ももを伝う。
まるで彼の視線が突き刺さったようで、下腹部からの熱が背筋で弾ける。
「セックス、したくない?」
「っ────した…………したくないです、こ、こんな」
「えー。君がしたいって言ってくれないと困るんだけど……」
真面目すぎるなあ。
直接的に誘ったら、ケルレンスくんはなおも抗っているのか、私から目を逸らしてしまった。
肩に手を乗せ、正面から迫る。ガニ股で彼の膝の上に座り、じっと彼の顔を見つめる。
苦悩するような、興奮の極致に在りながら、困ったように眉をひそめ、唇を噛みしめている。
「ダメです、ぼく、ぼくなんかと、釣り合いません」
「そういう話じゃないんだけど? ──別にケルレンスくんが嫌がっても私、するから」
「──────。そ、んなの」
「でもこのままだと私、悪い子になっちゃうなぁ。レイプ犯だよ、レイプ犯」
距離にして拳一つほど、腰を浮かして前に進む。
まだ、お互いの性器が触れ合う距離ではない。
それでも、じっとりと湿った大腿同士が擦れ合い、お互いの体が近づいた。男性器は期待でびくびくと震え、女性器も追加の蜜をぴとりと垂らした。
「我慢さ、しなくていいんだよ。お互いの……合意があれば、和姦なんだから」
「ほんとうに、だ、だめです。止まってください、一線を、越えないでください……」
「へー。じゃあ大丈夫大丈夫! 私もうその辺の人で初体験済ませちゃったから」
「へ……え…………あ………….???」
彼が絶望したような、呆然とした眼つきで私を見てくる。安心させようと、にこりと微笑んだら、なんでか泣きそうな顔になってしまった。
「相手は、誰と」
「うーん、名前も知らない、初めて会ったお爺さん。昨日の仕事中にふらっと出会ったから、適当に誘ってみたらヤれたの」
「そんな、てき、とうに」
「それで、どう? 私とセックス、したい?」
「ぼ……僕は…………貴女の、貴女と…………」
「──ケルレンスくんからも、気軽に誘ってよ。ねぇ、本当に……したくないの?」
「────…………」
ケルレンスくんの揺らぐ視線が私を見つめる。
沈黙。彼はじっと言い訳を考えているようにも、覚悟を決める時間を稼いでいるようにも、ただ硬直しているようにも見えた。
やがて、恐る恐る口を開く。
「…………貴女は、どうしても、僕と…………するんですよね」
「うん。ヤダって言ってもするよ」
「…………ぼく、は……………………」
「…………」
ケルレンスくんは一度きつく目を瞑ってから、強く……強く、情欲を秘めた目で、私を見据える。
「──本当は、アーサさんと、セックスが…………したいです」
「よかった。じゃあ、お互い楽しく、ね?」
「は、い」
拘束魔法を解く。
ケルレンスくんの右手を掴んで、そっと私の背に寄せる。
おずおずと、両手で私の髪を梳くように背筋をなぞり、抱き着いてきた。
至近距離で、見つめあう。
年相応の少年的な童顔ながらも、どこか男らしさを感じさせる顔のつくり。
日に焼け、野外で鍛えられた皮膚が、しっとりと汗で光る。
乾いた唇が緊張で痺れているのか、半開きで震えている。
性欲に満ちた視線が、私の瞳に吸い込まれているようだ。
「んっ…………ちゅっ♡」
「ふっ…………────」
どちらともなく口を寄せあう。
背もたれを掴み、椅子を倒さないように手加減しながら、腰をくねらせる。
がちがちに硬くなった少年の男根が、私の小陰唇をかき分けて、上下に擦れあう。
音を立てて粘液が捏ねられる。攪拌された精液と愛液が、私の性器をさらに濡らし、肉竿が粘液をお互いの下腹部に塗り拡げていく。
興奮に耐えかねたケルレンスくんの脚がかくかくと震え、私の背中に回された両腕に力が籠められる。
「れろ♡…………ちゅ…………ぷはっ…………♡」
「じゅるっ。…………はっ、はっ、ふっ、ふっ…………」
舌を絡める。
乳首がお互いにふれあい、はじき合う。
ケルレンスくんが腰を突き出して、私の陰部にぐいぐいと男根を押し付けてくる
「ぢゅっ、ふぅ♡、れろ…………んむぅ♡♡」
「はあっ、はぁっ、アーサさん、好き、好きですっ、んむ、じゅっ、じゅるっ…………」
「…………♡♡。ちゅっ、ちゅむっ」
興奮でおかしくなりそう。
楽しくて、愉しくて、心地よさに溺れていく。
どくんどくんと、私とケルレンスくんの心臓の音が大きく重なっていく。
私たちの股間から、湿っぽい淫らな音が鳴り響く。
唇の隙間から漏れる息切れと肌を吸う音が交差する。
痛いくらいに抱き寄せられ、掻き擁くように肩から首に手を回す。
「はぁ、あ…………♡。そろそろ…………ね」
「アーサ、さん…………」
脚を開いたまま腰を浮かせば、にちゃ、と糸を引き、空気で冷やされた下腹部が冷えていく。
そっと片手で男根を握れば、ぬめりと熱に硬さを伴った感触が返ってくる。
そのまま、私の膣口に当てがう。
ふと、ケルレンスくんが私の肩を掴んできた。
どうやら懸念点に気づいてしまったらしい。恐る恐る尋ねてくる。
「あの…………忘れてたんですが、避妊具は…………」
にや、と無言で微笑めば、彼の口もとが引き攣る。
肩を押しのけようとする無駄な抵抗を無視して、ゆっくり腰を降ろしていく。
「ま、まずいです、──はぁっ、さすがにそれは、あの、──はぁっ──」
私の膣は、これより大きかったお爺さんの逸物でも一息に飲み込めた(あの時はかなり無理やりだったけど)。ぬるりと先端が侵入する。
「うあ。ぁ────ふぅ、うっ、ぐ──────」
「…………まだ、先端だよ?」
「せ…………んたんの、うちに…………一回、ぬいて────」
きゅうきゅうと私の体と椅子に挟まれた少年がもがく。
うーん、これ以上抵抗されても、あとで彼の罪悪感が増すだけかも。
無理やりにでも。今。私が、セックスしたいのだ。
「きっ♡、こえないなー…………♡」
「がぁ、っ」
一気に腰を打ち付ける。ぷち、とまたまた処女膜の破れる微かな痛み。
目を白黒させて、ケルレンスくんが快感を堪える。
快楽のただなかで、私が硬い肉竿を締め付ける感触と、男根の痙攣を感じる。
先端の返しが膣壁を擦り上げ、びりびりとせつなさが溢れる。
「あ♡♡…………これ、いいところに、当たるかも…………♡」
「あ、まって、いま、ゆら、され────あ──────」
「おあ」
おっと。
無意識に、腰を前後に揺さぶって快楽に浸ってしまった。
刺激に耐えきれなかったケルレンスくんの男性器から、私の膣内に射精されているようだ。
ナカが満たされるような感覚こそないけど、ほんの僅かに熱が広がり、竿のぴくぴくという微かな動きを感じる。
ふと、ケルレンスくんの顔を見たら涙ぐんでいた。
「ご…………ごめんな、さい、ぼく、こんな無責任な…………」
「ねえ、まだできそう?」
「へ。──────」
「ん──。…………ちゅぅ…………♡」
「うあ、ちゅ…………ぐむっ、──────」
キスとハグで、ケルレンスくんをあやす。
乳房を胸板に押し付け、体をくねらせてこすりつける。
ゆさゆさと密着させたまま腰を揺らせば、ギシギシと椅子が軋み、男性器が膣内で徐々に硬さを取り戻してきた。
そっと唇を離す。ようやく吹っ切れたのか、私のことをしっかりと見つめてくる。
「ふ──…………今度は、ちゃんと楽しもうね」
「あ…………は、はい」
「ふふ。もう、一発も二発も変わらないからね」
「か、かわりますよ! でも、もう、抵抗しても無駄って分かりましたから…………」
「よーし! それじゃ、ケルレンスくんの方から動いてみる?」
「…………わかりました。──もしもの時は…………責任、とりますから…………」
お尻に手が回され、繋がったままがっしりと支えられる。
ケルレンスくんが椅子から立ち上がり、私の脚が地面を失い空を切る。ケルレンスくんは私より小柄だけど、銀級冒険者にはこの程度の重みは無いも同然だろう。
脚を持ち上げ、ケルレンスくんの腰に組み付いておく。
彼がベッドへ歩きだす。歩行のリズムに合わせて、抱き上げられた私の膣が突き上げられる。
「くっ♡…………ああぁ…………♡♡」
「はっ、はぁっ…………。せー、の」
「きゃっ」
そのまま私の背から倒れこむように、ベッドに押し倒される。
彼の手がお尻の下から私を持ち上げ、位置を調整して腰を掴む。
膝立ちのケルレンスくんに、寝そべる私は性器を差し出すがままだ。
「はぁっ、はぁっ、動きます、アーサさん、アーサさんッ…………!!」
息をつく間もなく、とん、とん、と一定の間隔をあけて、ゆったりと抽挿が開始する。
ぐりぐり、と硬く反った男根が膣壁を掻き立てる。
「うぁ…………♡、はぁ、んぁ♡うぁ♡♡」
「はぁ…………ぐ、うぅっ」
あ、これ、やばい。
子宮の手前を掠めるように、何度も繰り返し弱いところを引っ掻かれている。
ぱんぱん、ぱんぱんと、一心不乱に腰を振られ、尻肉に腰を叩きつけられ、乱雑に快楽の階段を昇らされる。
胎から震えが広がる。灼熱が、思考を蕩かしていく。
「うっ♡、うっ♡、ごめ、ごめん♡、わたし先、いっちゃう──────♡♡ッ! ♡♡、はっ」
「!? っ、しめ、つけが……かはっ────」
濁流。耐えきれない。
体をくの字に曲げ、頭上の胸板に額を押し付ける。ざり、と上着と頭髪のこすれる音がした。
舌を突き出し、視界が涙で歪む。
がくがくと震える腰の制御が利かない。
じっくりと、丹念に、男の人に体を貪られる。
いや、たべているのはどちらだろうか。無意識にケルレンスくんの腰を引き寄せていた私の脚をほどく。
「はぁ♡、はぁ♡、はぁ──────♡♡」
「……………………」
全身から力が抜ける。重力に従って頭を寝具に預けると、背中の汗でシーツが張り付く感触を味わう。
シーツを握りしめていた拳を開き、ぐったりと寝そべる。
膣の痙攣が止まらない。快楽が、私の性器を掴んで逃がさない。
──腰だけは、捕まえられて、持ち上げられたままだ。
「アーサさん…………きれいです…………」
「はぁ♡、ああぁ♡…………?」
「ぼくも、いきますね…………」
「え、まって。まだ、出してなかっ────」
ぎん、と、硬さを失っていない男根が力をみなぎらせるのを感じる。
蕩け切って、柔らかく拡がった私の膣の中で────。
ぬる、と腰からひき抜かれる。
その甘い快楽にひるんだ私が、止める間もなく──
「──ううっ!!」
「んぎぃッ♡♡!? ま、まって、まだ、イったばかりで…………おほぉっ♡♡♡!?」
──叩きつけられる。ぱぁん、っと大きな音が響き渡った。
すかさず、ずるりと男根が引き抜かれる。
パンパンパンパン! と激しく、何度もなんども膣を擦られる。
暴力的かつ、高圧的な快楽に手も足も出ない。
抜かれる。挿される。抜かれる。挿される。
銀級。年下。経験値。
人の中では上澄みでも、私よりずっと弱いくせに。
私なんかより、ずっと非力なのに────♡
「おぅっ♡、うあ♡、あ♡、あっ♡、はぁぁ♡♡」
「ふっ、ふっ、────、ふっ、────、────…………」
「あっ♡、ぁっ、♡♡、う゛ぁ♡」
「はぁっ、はぁっ! アーサさん、アーサさん…………!!」
ぐぱっ! っと一際大きな音を立てて根元まで打ち付けられる。そのまま、膝を崩し、ケルレンスくんが私の上に寝そべった。
私を貫いたままの腰がうねり、男根が膣肉を揺らす。
脇から腕を差し込まれる。髪をかき分け、頭をがっちりと抱えられる。
「アーサさん…………──」
「う♡、あ♡…………むちゅ…………ちゅ…………♡♡」
押しつぶされた私の体が嬌声を上げる。
ケルレンスくんがキスしてきた。ぼんやりとした頭で、何も考えずキスを返す。
唇を吸い、舌を絡め。
「…………ッ────」
「む゛っ、──────────-♡♡♡」
ぐりぐりと、ねじるように抉られ続けた私の膣が絶頂すると同時。
ああ、多分ケルレンスくんも射精したのかな。
お互い目元から快楽の涙をこぼし、性器で命の素の暖かみを味わう。
接合部から、二人の快楽が吹きすさぶ。
それからしばらく。
私たちは、時に体を揺らしたり、お互いの肌を撫でたりしながら。
繋がって、体を密着させ。
お互いを、貪り合った。
***
太陽が真上に上りかけ、日陰のベッドで後片付けを始めた時。
私はベッドに寝そべったまま、傍らのベッドから降りたケルレンスくんを見つめていた。
「アーサさん。最中は気づかなかったんですけど」
「ん、なに」
「初体験うんぬんって、まさか嘘、だったんですか」
青ざめた顔のケルレンスくんが尋ねてくる。
見れば、男性器の全面に塗りたくられた粘液に、ほんのりと血が混じっている。
「あっいや! それとも僕が乱暴すぎて裂けてしまっ…………ッ!!! ──すみませんでした!!」
「違う違う。ちゃんと処女膜が破れただけだし、それもほとんど痛くなかったから」
「ほ、ほんとですか?」
「うん。ケルレンスくんのおちんちん、すっごく気持ちよかった」
「う…………いや、だとしたら猶更…………その…………処女、かぁ」
「──なーに、嬉しかったの? ごめんね、興奮すると思って嘘ついちゃった」
「そんなの! 心臓に悪いです! 二重三重に!!」
うーん、ほんとは、本当に非処女だったんだけど。ケルレンスくんが嬉しそうだし(というより、安堵しているのだろうか)、処女をあげたってことにしておこう。
「…………その、アーサさん。僕の立場から、『嘘をつくのはやめてください』とは言えません」
「うー、ごめんごめん」
「言いませんが…………見ず知らずの人に、容易く体を預けないでください。貴女のこと、本当に心配したんですから」
「わかってるよ、
「う……いや…………まあ…………それ、は、つまり……」
まあ私っぽくはなかったよね。
うーん、私の立ち振る舞いはどうあるべきなんだろう。はた目からは変化を悟られないように、コッソリし続けた方がいいんだろうか。
私が悩んでいると、不意にケルレンスくんがうつむく。ややあって、覚悟を決めたようにこちらを見ては、またうつむいて、躊躇っている。
「……何か言いたいこと、あるかんじ?」
「えっと……────……その、最中に。いろいろ、恥ずかしいことを言ってしまい……」
「ああ責任とるとか、好きとか──」
「ん゛んっ!! ぜ、前者に関して! …………もし妊娠してしまった場合、貴女がどういう選択をするにせよ。万事、貴女の助けになると約束します」
「うん。ありがとう」
彼の雰囲気が切り替わる。深呼吸をいれ、私を正面から見据える。
「──アーサさん。僕は。貴女に──特別な感情を抱いています」
「うん──」
「あ、貴女のことを、愛しています。このクランで過ごすうち、白く輝く貴女に惹かれていきました。どうか…………僕に、応えてくれませんか」
「ん────」
考える。
ケルレンスくんとのセックスは、それはもう気持ちよかった。
あふれんばかりの幸せを、体験した。
彼からの愛は、言葉と行動で示された。
じゃあ、私は彼のことを好きなのだろうか?
「う~ん……」
「…………ぼ、僕たちの深い関係は……ある意味、過ちから始まったものではあります。でも、アーサさんは僕に体を許してくれて──」
「ごめん、君とはお付き合いできないかな」
「え────-? で、でも今日、セックスも、キスも」
「??
「はっ、え?」
「最初から言ってるじゃん。楽しく、だよ」
「う……あ、ぁ……??」
「──なんか、ショック受け過ぎじゃない? 断られるって思わなかったの」
「だ、って……あんな、ことされたら……かん、違い……。──」
ふーむ、ケルレンスくんは覇気もなく、椅子に座りこんでしまった。
さっきまで半勃ちだったおちんちんも、今はもう見る影もなく萎んでいる。
「ね、別に私たちの関係が変わるわけじゃないんだよ」
「──」
「これまで通り友達で。これまで通りクランの仲間で」
「────」
「──それで、またセックスしようね」
「あ────う、うう…………」
「いいでしょ? それで」
ケルレンスくんが私を見る。
まるで理解できないものを見るような、そんな目で。
「僕は……まだあらゆる意味で、貴女はふさわしくないことは……わかってました。だから……これ以上何かを望むことは、しません」
「うん」
「……すみません。ありがとう、ございました。いつか、今日の出来事に……釣り合える、自分になります」
「ふーん。多分大丈夫だからいいけど、がんばってね」
「────?」
うん。多分大丈夫だ。
ケルレンスくんが支えてくれなくても。
私の伴侶にならなくても。
──子宮が、ぐ、ぐ、と歪む。
内に潜む
蠢く触手が咀嚼し、魔なる瞳で構造を読みとる。利用された精子から、不必要なヒトの情報は抹消され、材料は栄養として消化された。
つまり、私はもうこの精子では妊娠しない。
「────大丈夫だから。ふふ」
「あな、たは、どうして────いつから、そんなカオを────」
大丈夫なのだ。
私はもう、誰と、どれだけ性交しても。
──私の体はもはや、本来は在り得ざる、魔物の胎だ。