ぽぅっとする。ぽやぽやする。
全身が浮ついていて、なんか落ち着かない。
マロンと一緒にお星さまにお願いごとをして、そのまま眠っちゃったはずだ。
また熱でもぶり返してしまったのか、体中がふわふわと揺れているみたいで、少しだけ気分が滅入ってしまった。
「ふぁっ! あ…はぁっ、はぁ、はれ…?」
けれど次の瞬間、ゆりかを叩き起こしたのは、尖くて、強い感覚だった。
お腹の真ん中。おへそから、お腹の奥に向かって突き刺す様な感覚に体が痺れる。
暗い部屋で急に明かりを付けられたみたいに、ぽやぽやと浮かれていた感覚が、はっと覚めると、寝ぼけ眼が見つけたのは知らない女の子の姿だった。
誰…だろう?
知らない女の子がそこにいる。
それは、分かるけど。ほんとなら、もっと驚いて、怖がったりしても良いはずなのに、私の心に警戒するって言葉は一つも浮かばなかった。
チリンっと、鈴の転がる音がした。
明るい栗色の髪の毛。頭に出っ張った大きくて可愛らしいネコのミミ。
ふわふわの綿毛のような肌の感触に体を撫でられていると、彼女から日向のような優しい匂いが漂ってくる。
重なった視線。彼女と見つめ合った僅かな時間。
金色と青い瞳に吸い込まれる。さっと、その綺麗な瞳を隠すように彼女が顔を伏せると、チリンっと、また首輪に下がった小さな鈴が音を鳴らしていた。
怯えてる? 怖がってる? まぁ、気まずいのは分かる。
ネコの時とは違うもんね。
人の、女の子の体で、寝ている私にペタペタ触って。怒られるかもって思っているのかも知れない。ううん、それだけならまだ良いんだ。それでも、ちょっとびっくりはするくらいだったと思う。
やけに すーすーするなって。その時、見下ろした自分の体は、ほとんど裸みたいなものだった。パジャマのボタンは全部外されていて、開けた上着は、私の体のどこを隠してもくれていない。
乱れた呼吸に合わせて、上下を繰り返す胸。
淡い膨らみに添えられた手の平から、彼女の体温が伝わってくる。
ドキドキしていて、少し熱くって、その興奮は一体誰のものだったんだろう?
胸をくすぐられながらお腹をなでられ、おへその中を細い小指で悪戯される。
体がふわっとした。
頭がぽやぽやとしていたのもそのせいだ。
服を脱がされ、体をくすぐられていれば、そりゃ変な気分にもなるだろう。
太ももの内側、その向こうが落ち着かなくって、思わず足を引き寄せしまう。
最近は落ち着いてきた思ったのに。彼女はいっつもそう、忘れた頃に変な悪戯をしてくるんだから。
「マロン…めっ、だよ」
顔を伏せていた彼女の頬を掴まえて、無理矢理コッチを向かせる。
それは、やんちゃをした彼女を叱る時に私が良くする やり方だった。
金色と、青い瞳が、私の姿を映している。
その瞳には、薄っすらと涙が浮かび、その雫が頬から零れ落ちていった。
「わかる…の? ボクのこと…」
「わかるよ、そりゃ」
特に不思議には思わなかった。驚かなかったのも、ぜんぜん怖くなかったのだってそう。ちょっと女の子のみたいに体が変わったくらいで、私がそうそうマロンを見間違える訳がないんだ。
「うっ、ぅえ…えっくっ…ごめ、ゆり、か…ぼく、ボクね…ごめんなさい…」
「え、えぇ? なんで、泣くの? マロン、大丈夫だよ? 怒ってないから、私、ほら、ね?」
「ちが、ちがくて…悪戯しちゃったのも、そうだけど、そっちじゃなくって…気づいてくれたの嬉しくって、だから、えっと…ボク、ぅぅっ」
ぶわっと、マロンの瞳に涙がたまると、そのまま声を上げて泣き出してしまう。
寝込みを襲ってしまった罪悪感とも思えばそうでもなくって、迷うこと無く私が名前を呼んであげたこと、一目で気づいて上げられた事に、心が一杯になっているみたいだった。
リアルな夢だな。
寝る前に、あんな願い事なんてしたせいだろうか?
マロンともっと仲良くなりたい。お話できたら素敵だなって。
そんな願望を どう夢に見たのか。私が熱に浮かされ見た夢は、マロンが人の女の子になっちゃうような夢だったみたいだ。
「マロンって、意外と泣き虫だったんだね? いつもはこう…なんか、クール? みたいな顔してるのに」
「良いだろ、別にっ。クールとか、そんなんじゃ…。ゆりかより、ちょっと大人ってだけだよっ」
「今は子供みたいだけど?」
「うるさいなっ!」
「ふふっ」
まるで、幼子をあやすように、泣きじゃくる彼女の頭を撫でていると、頬を染めたマロンは、ぷいっとそっぽを向いてしまった。
「じゃあ、その…。男の子っぽい喋り方をしてるのは?」
「…変?」
問われて、正直に答えられるほど、ボクの決意は固まっちゃいなかった。
少しでもキミを女の子として見ていたかったから。
ちょっとでも、自分を男の子に近づけておきたかったから。
言える訳がない。
人として、キミを愛したいと思うまではいい。
だけど、自分の性別を無視してまで、キミが欲しいと思うのは、きっと犬が聞いたって笑うだろう。
「変じゃないよ。なんかね、良いなって、そういうのもカッコいいって思うよ」
「…そっか」
精一杯のボクの背伸びに、気づいた訳じゃないんだろう。
もし、本当に、ボクの体が男の子になっていたって、彼女は笑って受け入れてくれたに違いない。
基本的に彼女は優しい。
だからこそ余計に思ってしまう。
その優しさが、ボクにだけ特別向けられてたら良いのにって。
「それで? マロンはどうして私を裸にしてたの? また、いつもの悪戯?」
「違うって。ゆりか の寝相が悪かったから、いつも直せって言ってるじゃん」
「いつもって…。ああ、毎朝にゃぁって言ってるの、それだったの? 分かんないよそんなの。それにさっ、寝相悪いだけでこんな…裸ん坊みたいにはならないよね?」
「まぁ…それは。ついでに、ちょっとイタズラしてやろうかなっては、おもったんだけど」
「ほら、ごらん」
「ちがくてっ、それだけじゃ…だってボク…」
言って良いものか、どうか。
これが、ボクが見ている都合の良い夢っていうのなら、きっと悪いことにならないだろうとは思う。だとしても、それを口にするには勇気がいった。
いくら夢の中とは言え、自分の心の中の全部を吐き出す事にも等しいんだ。
「だって、ボク。ゆりかの事が、好き…だから」
言っちゃった。
思ったよりすんなり言えたなって。自分をちょっとだけ褒めてやりたくなった。
「ん? 私もマロンの事は好きだよ?」
だろうとは思う。ボクだって、ゆりかに好きって言われたら、同じ様に自分もと言い返すだろう。
いや、同じじゃないか。
ゆりかの好きと、ボクの好きとでは、きっと大きな溝がある。
「女の子として、キミの事が欲しいんだって言っても?」
「え…?」
流石に考え込んでしまうか。
目を泳がせて、見て分かるほどに頬を染めてしまっている。
むしろ、その場で拒絶されないだけマシって奴かもしれない。
「ごめん。気持ち悪いよね…ボク、女の子なのに、そんなさ。寝込みまでおそっちゃって、ズルいよね…」
「ね、マロン?」
「あっ…うっ」
もう一度、マロンの頬を捕まえた ゆりかは、強引に目線を合わせていた。
どうしてかって?
多分、確かめたかったから。
夢なんだし、ちょっとくらい大胆になっても良いかなって思う自分もいる。
両手で頬を挟んだまま、ぐっとマロンの顔を引き寄せていく。
瞼を下ろし、そっと顔を持ち上げて、まるでその続きを試すかのように彼女の答えを待っていた。
一秒、二秒と、時間が止まる。
だけど、それは三秒と持たずに動き出した途端、ゆりかの唇に、マロンの唇が重なっていた。
薄い肌と肌とを触れ合わせただけの、ちょんっと、くすぐり合うような軽いキス。
「はぁ…」とか「ふぁ…」とか、自然と声が漏れてしまう。
熱っぽく、焦がれるように、潤んだ瞳で見つめ合う。
ゆりかとマロン、どちらからでもなく瞼を下ろすに合わせて、またお互いの顔を寄せ合った。
ちゅっ、ちゅっ…と、触れ合うだけのキスを重ねる。
それだけでも、ボクはもう満足だったのに。
キスを交わして、想いを伝えあって、ああ良い夢だったなって、それで目が覚めれば良かったのに。
夢の続きを願ったせいか、一向に夢が覚める気配はなかった。
それどころか、頬を染めたゆりかは、もじもじと体を揺らすと、ボクにとんでもない言葉を投げてきた。
「ねぇ、マロン? キスで…終わり? 私にしたいこと、まだあったんじゃないの?」
ガンっと、頭を横から殴られたみたいだった。
キスで終わりじゃなければ何なんだ?
その続きを考えないようにはしても、どうしても期待は大きくなる。
だって、さっきまでさ、寝ているゆりかに、ボクがしようとしていことは間違いなくそうだったから。
「分かるよ? 服を脱がせたりさ、体、さわりあったりして、そういうの、エッチっていうんでしょ?」
「うぐっ…」
罪悪感に胸が軋んだ気がした。
交尾もろくに知らないような女の子に、ボクは手を出してしまったのかと。
今更ながらに自分の罪深さに おののいてしまう。
「私、ね? マロンとなら、してみても…いいよ?」
マロンとキスをする。
今のゆりかに想像できる、エッチな事と言えばコレが限界だった。
後は、学校で習った上辺だけの知識と、少しだけエッチな描写があるような漫画のお話だけ。
お父さんとお母さんが、そういう事をして、結果として自分が生まれたのは分かるとしても、それを自分に置き換えるまでには至らない。
興味がないわけでは決してない。
少しずつ、女の子らしく変わっていく自分の体を持て余す日も増えてきた。
だけど、それだけだ。
夢なんだもん。自分が知っていること以上に、エッチな事になるわけがない。
だから、ちょっとだけ大胆になれた。線香花火で遊ぶ程度の感覚でも、擦ったマッチの熱さを私はまだ知らなかったんだ。
絵本の中の王子様とキスをして、目を覚ましたらそれでおしまい。
人の女の子になったマロンの事を忘れてしまうのは、ちょっと寂しいけれど。
それが夢ってものだし。もしかしたら、今まで忘れてしまった夢の中の一つにも、今日と似たようなのはあったのかもしれない。
答えあぐねているマロンの前で、ゆりかは自分からベットの上で横になる。
その、衣擦れの音ですら、マロンのミミには毒だった。
まるでネコがお腹を見せるように ゆりかは両手を開き、まっさらな肌を惜しげもなく晒してみせる。
足を寄せ、もじもじと、擦り合わせた太ももから なんか甘い匂いまで漂ってくるともうダメだった。
「そんな事言ってさ、いいの? ボク、こういう事、キミに…しちゃうんだけど」
「いっ、あっ、マロンっ、ちょっと、ちから…つよっ、あ、ぃっ」
思わず力が入ってしまった。
無防備に体を晒す彼女の上に覆いかぶさり、再び掴んだ胸の膨らみを握り込むように、思わず爪が立ってしまう。
「ゆりか だってさぁ…。寝てるボクの体触るくらいするだろう?」
それと同じだ。ちょっとイタズラしてやろうってそれだけだったし。
キミがボクに触れるのを許しているように。ボクだって、キミに触れるのを許して欲しい。
でも、下心が全く無かった訳がない。
まだまだキミが寝ているようなら、物の弾みで大事な所にまで触れていたかも知れない。
けれど、そこまでだ。
少なくとも、その時はそこまでのつもりだったんだ。
「へ? あれ、マロン? どうして、おこってる?」
「怒ってるんじゃない。怒ってるんじゃなくって…」
マロンの中で、凶暴な獣欲が渦巻いていた。
男のモノが無いだけマシだ。あったらきっと今頃は、泣いてるゆりかを、それでも犯してしまっている自分を否定できない。
ぶわっと、全身の毛が逆立つような感覚に理性が揺れた。
ゆりかと番たい。男のモノが無くたって、その欲望は胸の鼓動とともに大きくなっていく。
「あ、マロン…そっちは…ぁぅっ」
マロンの指が擦り合わせていた ゆりかの太ももの内側に入り込むと、その口から戸惑うような声がもれてきた。
夢だよね? これは本当に、私の夢なんだよね?
キスを交わして目が覚めるもんだと思ってた。
それ以上は想像できなくなって、有耶無耶なまま朝を迎えるつもりだった。
なのに…。
いつまで経っても、夢から覚めないまま、だんだんと自分の体の中にある違和感が大きくなっていく。
くすぐったい。もちろんそれもあったんだけど。
太ももの向こう側にあったのは、それだけじゃなかった。
ムズムズする。
お股の辺りが、どうにも落ち着かなくなってきて、何か温かいものを抱え込んでしまったような違和感が、お腹の中に生まれ始める。
「あふっ、あ、はぁ…ね、まって、マロン…ちょっとだけ、おねがっ」
なんて、言ったら良いのか分からない。
ただ、自分の体に起こる変化に付いてけなかった。
胸のドキドキが止まらない。あんまりにも恥ずかしくって、今すぐにでも逃げ出したくなるのに、全然動けなかった。
それでも、マロンだったら良いよって思う。
彼女の好きが伝わってくるみたいで、触ってもらえるのは私も嬉しい。
もっと、もっと。
肌を撫でられる程に胸の鼓動は大きくなって、代わりに体から力が抜けていく。
でも、だけどね。ちょっとだけ怖かった。
いつもと様子の違うマロンの姿。怒ってるみたいなのに、今にも泣きそうな意味が分からない。
例えばそう。
危ない事をして、大怪我をしそうなった私を叱る時のお母さんと同じ顔。
マロンがそんな顔をしているから、私なにか悪い事をしちゃったのかなって。
そんなマロンの事を初めてみたから、私だってどうして良いか分からなくって不安になる。
「んはっ…はぁっ。ゃっ、マロン…そんなとこ、ばっか、さわっちゃ…そこはだって、女の子の…恥ずかしいとこで、んっ!」
ゆりかを撫でるマロンの指先に力が入り、爪の先が薄い肌を掠めていく。
どうして良いかわからない。
それは多分マロンも同じだったんだ。
肌を掠めた痛みから、彼女の苛立ちが伝わってくる。
今も、胸のドキドキが私をおかしくしてるみたいに、きっとマロンの胸の中もグチャグチャになってしまっていて、力加減とか、気遣いだとか、そんな余裕も無くなってしまっているんだ。
「なにが、ダメなの? ね? ゆりかぁ…。だって、ゆりかのここ、もうぬれててさ…」
「え、あ…」
マロンに、女の子として触れられていた私は、戸惑いながらもそれらしい反応を返していた事に気付かされる。
一番分かりやすかったのは、お股の所がもう濡れてしまっていた事。
太ももをくすぐっていたマロンの指先がそこに触れると、ヌルヌルを含んでいた下着からそれが押し出され、ズボンにまで染み出してきてしまう。
言葉の上では知っていた。
お漏らしなんかじゃ決して無いことを。
だってこれは、女の子がエッチな気分になると出てくるものだから。
それはだって、私も女の子なんだから当然で。女の子として求められた体が自然と反応してしまった結果だ。
でも、それは。もっとずっと先の話だと思っていた。
大人になってからって、ついこないだまでは曖昧な想像止まりだったのに、私の体は自分で思ってた以上に大人になっていたみたい。
「もう、濡れてるじゃんか。ゆりかはさ、コレ、何かわかってる?」
「それは…分かるよ、そんなの。私だって、子供じゃ…」
「じゃあ、なにさ?」
「なにって、だから…。えっちな気分になってるんだよって、意地悪言いたいんでしょ、マロンは?」
「うん、そう。もっとゆりかにさ、ボク…意地悪したくって」
パジャマの上から、女の子の恥ずかしい所を撫でられる。
くちゅり、くちゅり、染みが滲んで広がって、マロンの指が私のソコを刺激する度に、お腹の奥で温かいものが育っていくみたいだった。
「ね、エッチって分かってる? 交尾ってことだよ? ああ、人間はセックスっていうんだっけ…?」
「知ってるもんっ! その…そのくらい。学校でも、習ったし…うん」
「習ったって、何を? どんな風にさ?」
恥ずかしさに負けて、大きな声を出してしまった。
だけど、マロンはそんな私の様子を気に留めるでもなく、女の子の部分をいじりながら、恥ずかしい質問ばっかりを続けてくる。
「だから、だって、男の子のを…私の女の子の所に、その、するんでしょ?」
「男の子の何さ? 女の子の何処にだよ? それに、するってどうするの?」
「う、うぁ…だって、それ、は…」
顔が熱くなりすぎて、火が出てしまいそうだった。
頬に流れたものが、涙か汗かも分かんない。
想像しちゃった。想像させられちゃった。
男の子のおちんちん。
教科書に乗っていたその形と、大きくなった時のその違い。
それが、いつかは自分の中に挿ってくるって。
その瞬間を想像しただけで、お腹の中に生まれていた温かさが、何かを求めるように、一段と熱を上げたのに気づいてしまった。
「良かったね、ゆりか。ボクが男の子じゃなくってさ?」
「え、それって? あ、んっ…ちゅっ」
ゆりかが何かを問い直す前に、その唇はマロンの唇に塞がれてしまった。
でも、どうしてなんだろう?
ただの意地悪なんかじゃない。怒ってるともまた違ってて、重ねた唇から伝わってくる苛立ちはむしろ、もっと、寂しそうで、悔しそうなくらいで。
どうしてそんなに、マロンが辛そうなのか私には分からなかった。
「ん、はぁ…はぁ。それでも私は…マロンとだったら、いいかなって…思うけど」
呟いた自分の言葉に、一瞬意味が分からなかった。
キスをされて、頭が ぽやぽやしていたせいかも知れない。
ただ、マロンが辛そうだったから。良いよって、受け入れてあげたら喜んでくれるかなって。いつも、私が辛い時そうして貰ってたみたいに、私も慰めてあげたいなって、庇護欲にも近い愛情だったと思う。
「言ってる意味、分かってる?」
驚いたように私を見下ろすマロンの顔が、イヤに目に焼き付いて、それでようやく自分が言った言葉の意味に頭が追いついてくる。
「え、あっ、ちがっ、いまのはっ。いや、違わないんだけど。マロンじゃ嫌とかじゃなくって、もしもだよ。男の子だったらって、話だよね? 知らない男の子とするくらいだったら、私はマロンとしてみたいなって、そういう話なだけで…っ」
自分で言って、自分で想像を強くしてしまった。
男の子になったマロンと大人のエッチをする。
今、触って貰っているだけでも、どうして良いか分からなくなるくらいなのに。
もし、マロンにおちんちんがあったらって。
もし、マロンのおちんちんが挿ってきたらって。
なんか、頭の中がうわぁーってなっていた。
でも、考えても考えても、それは別にイヤなんかじゃなくって、好きな人と一緒になれるのは素敵だなって、女の子として、男の子に求められてみたいって憧れみたいものが、マロンの言葉を強く意識させてくる。
女の子としてキミの事が欲しいんだ。
その言葉に私はどう答えるべきなんだろう?
女の子として好きって言われた、初めての言葉を無視できなくなっていた。
私もマロンの事は好き。女の子になったマロンを可愛いっても思う。でもそれは、姉として妹として、家族として好きなのと大きくは変わらない。
辛そうなマロンを見れば慰めてあげたくなるし。
ちょっとエッチなことだって。それで、マロンが落ち着くなら許してしまえるくらいの愛情もある。
マロンが好き、それは確かなんだけど。
彼女に強く求められたからか。男の子みたいな言動のせいで、そう見えちゃうのか。彼女を彼に置き換えた途端に、今までとは違う胸の高鳴りが、恋心にも良く似ていることに気づいてしまう。
「ふっ、あははっ。ゆりかのスケベ」
「すけっ!? 人の寝込みを襲っちゃうような、エッチな子には言われたくないよっ!」
マロンは笑っていた。
ていうかもう、笑うしか無かった。
やっぱり夢なんだな、コレ。あんまりにも、ボクにとって都合が良すぎた。
恥ずかしがりながらも、一生懸命にボクのことを受け入れようとしてくれる彼女の姿がいじらしい。
ボクがやんちゃをしたって、最後には許してくれる優しい彼女だけど。
今日に限ってみれば、それは度が過ぎるくらいで、まさに女神か天使かといった具合だ。
「はぁ…ほんとにさ」
自分で自分がイヤになる。
ゆりか に対する愛情。それは彼女が与えてくれるものとはきっと違っていて、ボクのは性欲に直接繋がっているものだ。
一体、どれだけの欲求不満を抱えれば、こんな夢を見れるのか。
きっと、目の前の彼女は、ボクが本気で襲ったって怒りはしないんだろうな。
ホントならそうしてやりたい。
二人で一緒に気持ちよくなりたいと思うほど、ボクの体にもある女の子の部分も強く疼き出す。
Tシャツの下はもうグチャグチャだった。ズキズキと痛むほどに疼いた体は、ボクの恥ずかしい所からもヌルヌルを生み出すと、太ももへと流れ落ちていく。
ああ、人間ってこんなになるんだな。
これ、もしかしたらネコの時よりキツイんじゃないかって。
そりゃ増えるわけだよ。年がら年中こんな気持ちを抱えていたら、所構わず誰かと番たくなるのも分かる。
このまま、女の子の部分を擦り合わせたって良い。
二人で気持ちよくなる。それはそれで、目的は達成できるんだとは思う。
だけど…。
ジリっとした感情が胸を焦がしていた。
それは、嫉妬にも近いものだったと思う。
男の子として ゆりかの事を愛したいし、愛されたいって思う欲望が、女の子同士の快感を受け入れられないでいた。