※この作品はR-18です。

星に願いを   作:霧里

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目が覚めて…

 

次の日の朝。

 

二人はベットの上で向き合ったまま動けなかった。

 

どうせ夢だろうと、高を括っていた部分はある。

だからこそ、忘れられない思い出にしようと頑張ってしまったのが原因だ。

 

けれど、それは。

 

夢を夢のまま忘れたくなかっただけ。

二人で同じ夢を見れていたなら、幸せだなってそれだけで。

朝起きて、お互いが裸ん坊だった時の事までは、まるで考慮に入っていなかった。

 

「…マロン?」「…ゆりか?」

 

『え、あ、なに?』

 

仲が良すぎるのも問題だ。話しかけるタイミングまで全く同じ。

その度にお互い先を譲り合っては、沈黙の時間が長引いていく。

 

どうして?

 

同じ疑問を浮かべた所で答えは出ない。

 

なんのファンタジーじゃあるまいに、猫が人間の女の子になるなんてありえなかったし、それ以上に、昨晩重ねた行為のせいで、お互いに顔を見ることすらままならない。

 

「あと、じゃあ、その…体、平気?」

 

黙っていても始まらない。むしろ、先に手を出したボクが、一番気遣わないといけない相手を前にして、マロンは伺うように声を掛けた。

 

「うん…。まぁ、ちょっと、痛いところも残ってるけど、だいたいは…」

「うっ…ごめん。ボク…夢だって思ってて、あんまりにボクに都合が良いもんだから、やるだけやっちゃえって…それで」

 

もはや平謝りだ。

 

大丈夫だよって、声を掛けてくれる ゆりかの言葉にすらミミを塞ぎたくなる。

 

「私だって、夢って思ってて。それで、ちょっと、もうちょっとだけって思ってたら、なんか、どんどんすごいことになってちゃって…」

 

思い出しただけで顔が熱くなる。

 

頬を染めたまま、ゆりかまで顔を俯かせると、お互いに項垂れたまま、また指一つと動かせなくなってしまった。

 

「あぁぁっ、もうっ!」

「ふぇっ!? ま、まろん? どうしたの、急に?」

 

固まった空気に耐えきれずに、先に声を上げたのはマロンだった。

 

「一個だけっ、一個だけ聞かせてっ、ゆりかっ」

「は、はいっ、なに?」

「夢で言ってくれたこと、全部ホント? ゆりかは、ボクのこと、まだちゃんと好き?」

 

精一杯の勇気を振り絞ったさ。

 

ここで、乱暴してくるマロンなんて嫌いって言われたら、そこの窓から飛び降りる自信だってある。

 

だけど、ゆりかは悩む素振りも見せずに、ボクの頬を両手で掴まえると、真っ直ぐに目を見つめていったんだ。

 

「好きだよ。それは絶対だもん。夢だったからって、マロンとじゃなきゃそこまでしてなかったよ」

 

躊躇うことも、誤魔化すこともない視線をうけたマロンの頬は染まり、その口元がだんだんと緩んでいく。

 

「じゃあっ、もうっおしまいっ。いいから、早く着替えてよ、見てられないからさっ」

 

緩んだ顔を隠すみたいに、背中を向けたマロンの尻尾はだけど、嬉しそうに揺れたままだった。

 

「ふふっ、マロン? 尻尾、揺れてるよ?」

「うるさいっ。いいだろっ、そのくらい」

「はーい」

 

からかうような ゆりかの声音に、機嫌を損ねるどころか、マロンはさらに嬉しそうになって尻尾を揺らす。

 

けれど、着替えようとして散らばった服を集めていた ゆりかの動きは、ふと止まってしまっていた。衣擦れの音すら聞こえなくなり、気になったマロンが「どうかした?」と、振り返ろうとしたその時だ。

 

「あふっ、ちょっ、なにっ!?」

 

マロンの顔に枕が投げつけられた。

反射的に捕まえようとした枕が、先にゆりかに取り返されると、またマロンの顔に枕が押し付けられる。

 

恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい…。

 

夢だけど、夢じゃなかった。

 

ファンタジーかメルヘンか、あんまりな衝撃に忘れていたけれど、それを乗り越えた ゆりかは羞恥心を思い出していた。

 

でもだって、マロンは女の子なんだから良いんじゃないか。

彼女がネコの時にだって、幾らも裸になったこともあったのに。

 

「ちょっ、ゆりかっ。なんだって、きゅうにっ」

「見ないでってばっ! 恥ずかしいのっ、分かるでしょっ。あっち向いててってっ!」

 

あんまりな理不尽に、だけどマロンは逆らうことも出来ずにベットの隅に追いやられる。

 

なんで今さら…。こんな急に恥ずかしくなっちゃったんだろう。

 

思い当たるフシはある。

 

女の子として求められた自分の体に、強く女性を意識してしまっていた。

それだけならまだよかったんだけど。マロンが男の子らしく振る舞う度に、彼女にあったアレを思い出してしまうのが一番の問題だった。

 

彼女に彼を見てしまう。薄っすらとでも見えた異性の影に、ゆりかの羞恥心が強く刺激されていた。

 

「マロンのエッチっ!!」

 

その日一番の理不尽な言葉の訳も分からずに、しばらくマロンはベットの隅で小さくなるしか出来なかった。

 




ここまでご覧いただきありがとうございました。

Q:どうして、最初から男の娘にしなかったんですか?
A:そっちの方がエロいと思ったからです。

これを書き始めた時点では、おねショタサキュバスものだったとは、誰も思うまい。
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