天雨アコ「こんなイヤらしい社長が支配する会社に、私はぜったい屈しません!」→なお 作:a-su
カフェテリアで食事をとるアコとミカ。だがイエローの懲罰は残酷だった——食べるほどに性欲が煽られ、身体が言うことを聞かない。
そんな中、アコの生体データを食堂中に晒した取り巻きたちをシロコが制した。
「何が何でもおじさんに泣いて謝ってもらう」
アコに深々と謝罪した直後、シロコはそう言い放ってアコとミカを「ペアリング」する。
「一緒にイこう?」
そう懇願するミカに、アコは頷いてしまった。
「脱がせてあげる♡」
──しゅるり。
ミカの
アコがぴくっと震えてしまったのを見てとったのか、ミカは安心させるように笑いかけた。
「怖がらないで。あのね、相手に自分を委ねるのって、すっごくエッチな気持ちになれるんだよ?」
アコはこわばった顔で、なんとか笑顔を作った。
(シャワーくらい……できなくては。このままじゃ、眠れません。今夜、これから私は……ミカさんと……裸で、恥ずかしいところを……)
ミカの部屋にあるシャワーブースは、アコが与えられた部屋のそれよりも大きい。しかし脱衣スペースはさすがに狭かった。アコとミカが二人で向き合うと、互いの吐息がかかるほどだ。
アコは立ったままで、壁に背をつけている。ミカはその正面に立ち、見上げるような格好で手を伸ばしていた。
──ふぅ、ふぅ。
室内は異様なほどに静かで、自分たちの呼吸だけがやけに大きく響く。
(……この壁、吸音材ですね。中にいる女性を耳から洗脳しようと……いえ、催眠、でしょうか)
白い壁が音を飲み込んでいる。声を出しても吐息を漏らしても、その音は壁に吸い取られて消えていく。反響も残響もない。
だからこそ、どんな小さな音も、どこで生まれたのかが分かってしまう。
──ふぅ、ふぅ。
アコの呼吸。ミカの呼吸。二人の間だけに存在する生々しい音がどこで生まれ消えるのか、強く意識させられる。だから、視線はピンク色の口元に釘付けだ。ミカの鼻と唇がたてる音に惹きつけられてしまう。
「ボタンを外すね……」
ミカの指が、ブラウスの一番上のボタンに触れた。
ぷちり。
一つ目が外れる。アコの鎖骨が露出した。
ぷちり。
二つ目。胸の谷間が見え始める。
アコは思わず息を飲んだ。少しして、のどの奥から吐息が戻ってくる。
「緊張しないの。……んふふ、今日の私ってお姉さんみたい。ナギちゃんが見たらびっくりして、紅茶こぼしちゃうかも」
身長差があるから、自然とミカから見上げられる形になる。天井のLEDが白々とした光を注いでいた。身支度をするための味も素っ気もない光だ。影が落ちない均一な明るさは、裸になる行為から色気を剥ぎ取ろうとしている。
なのに琥珀色の瞳は、その光を押しのけそうなほどキラキラしていた。煌めきだけで脱衣室が暖色に染まりそうだ。
ぷちり。
三つ目──最後のボタンが外れる。
アコの乳房が、ブラウスの拘束から解き放たれた。肌色のシリコンヌーブラが汗でずれ落ちかけて、充血した乳輪の端がはみ出している。
「えー……すごいじゃんアコちゃんの胸……形が私と全然違う。大きさはまあ負けてないけど……」
ミカが感嘆の声を漏らしながら、ヌーブラのふちに指を伸ばした。
「汗でべたべたじゃん。蒸れちゃってカユいでしょ? 取ってあげるね」
ぺりっ。
シリコンが肌から剥がれると胸が揺れ、引っ張られた肉がぱつんと形を取り戻す。
その瞬間、ずっと隠されていた先端に、冷たい空気が触れた。
背筋がびくんと跳ねる。
空気に晒された突起が、みるみる硬く尖っていく。恥ずかしいほど硬くなった先端が、尖って突き出す。ひりひりと敏感になった桜色の粒が、存在しない愛撫を求めて疼いた。
(あ……触って、ほしい……)
思わず胸を突き出しそうになる。ミカの指を求めて、身体が勝手に反応してしまう。
とっさに腕で胸を隠そうとする。しかしミカの手がその腕を押し留めた。
「ダーメ、隠さないで」
声は優しいのに、その手は有無を言わせない。
「アコちゃんの胸、きれいだよ。パツパツに張って、中身が詰まってて……触ってもいい? いいよね」
ミカは返事を待たず、指先で触れてきた。充血して濃いピンクになった乳輪のそばで、うっすらと静脈が浮いた乳肌に触れる。
息が詰まり、喉の奥で声になりかけた何かが砕けた。
(あ……ミカさんの、指……)
女の子の指が、自分の胸に触れている。たったそれだけで、身体の芯がとろりと蕩けていく。
逆らえない。ミカの指が触れた場所から、甘い痺れが練乳をとろり垂らすように広がっていく。
指が乳肉を押し込むが、すぐに押し返される。胸の張りが、ミカの悪戯を跳ね返すくらいにツンツンしているのだ。
「すごーい、押しても戻ってくるじゃん……♡」
ミカは声に少し熱を込めた。
指先で、豊かな膨らみの曲線をツツー、となぞる。
その軌跡に沿って、脳の奥をくすぐるような電流が走った。アコの身体が小さく震える。
ミカは乳房を下から持ち上げ、彼女の両手には余る大きさを確かめる。片方ずつだ。持ち上げられるたび、双丘の重みがミカの手に委ねられていく。
膝から、力が抜けていった。
(おっぱい、預けてます……ミカさんに……)
柔らかく動く手が、形を確かめるように揉んでいく。
「もみもみ、もみも~み♡ やだ、アコちゃんの胸、マジで憧れる~」
揉みしだかれるたび、アコの呼吸が乱れた。ふぅ、ふぅ、と火照った吐息が鼻から漏れる。
声帯のあたりで、出口を求める声がもがいている。出したい。声を出して、気持ちいいと伝えたい。
(だめ……声、出せない……でも、気持ち、いい)
身体がミカの手を求めて、胸を押し付けていく。もっと揉んでほしいと訴えるように。
不意に、親指が敏感な先端に触れた。
アコの身体が、くんっと反った。脳の奥まで届くような刺激が走ったのは胸の突起からか、それとも頭部のヒュプノスペックからか。
(だめです、こんなの……女の子同士で……)
言葉が喉元で凍りつく。
やめてと言いたい。でも言えない。タブレットは、脱衣スペースの外に置いてきてしまった。
「ねぇ、感じてる……?」
ミカは硬く尖った桜色の粒をつまんだ。爪を立てず、指の柔らかいところで形をなぞり、くりくり転がす。
喉の奥から、焦げつくような空気だけを漏らしてしまう。
「アコちゃんの乳首、こんな硬くなってるじゃん……ほんとに一ヶ月も我慢してたんだ。すごいね…………私じゃぜったい無理」
頬に血が上る。身体の状態を言葉にされる恥辱が、耳まで火照らせていく。
(見ないで……言わないでください……)
しかし身体は正直だ。敏感な先端を弄られるたび、子宮のあたりがじんじんと充血していく。ショーツの中でも隠しきれない熱が脈打っている。
「下も脱がせるね」
ミカがアコの前にしゃがみ込んだ。琥珀色の瞳が、アコの下腹部と同じ高さになる。
その手が、スキニーパンツのボタンに移動した。
ぱちん、とボタンが外れ、ジッパーが下ろされる。
ミカはスキニーの腰に指をかけ、ゆっくりと引き下げていく。
「片足、上げて?」
言われるまま、アコは右足を持ち上げた。スキニーが太ももを滑り落ちていく。ストレッチ素材が肌に貼りついて、剥がれるたびに「ぺたぺた」と音がした。
アコは壁に手をつき、かろうじてバランスを保つ。腰がうずいて、立っているのがやっとなのだ。
ミカがスキニーの裾を抜き取る。さらに左足も。
そして──。
「わ~お、肌色のTバックだ」
ミカの目が大きく見開かれ、指がTバックの前布に触れた。
「できるオンナって感じ──でも、私より全然ビショついてる。えっち~♡」
じゅくっ。
アコの全身に電撃が走った。
(あっ……そこ、そこは……!)
喉の奥で悲鳴が砕け、声にならない。しかし身体は全てを叫んでいる。
薄い布越しに指の脈動が伝わってくる。聖園ミカの生きている熱が布を通り抜けて染み込む。触れられた場所から、積もり積もった肉欲を溶かすような痺れが腰を、背中を、脳を焦がしていく。
腰が、勝手にミカの指に押し付けられた。
(だめ……身体が、勝手に)
いやだ。恥ずかしい。でも体に逆らえない。ミカの指が触れた場所を「もっと触ってほしい」と、肉体が訴えている。
Tバックのフロントは、もはや下着の機能を果たしていない。細い布は愛液でぐっしょりと濡れて透け、肌の色と同化している。ぷっくり膨らんだ花弁に食い込み、スリットの形をくっきりと浮かび上がらせていた。
太ももの付け根には、愛液が伝った跡が光っている。
「やだ……トロットロ……アコちゃん、こんなに濡らしてたの?」
ミカの指が、濡れた布を撫でる。
「アハ、固まってるところまである。見てるだけで、私もウズウズしちゃうよ……」
指先が布越しに柔らかなひだをなぞり、アコは壁に背中まで預けた。腰が砕けそうだ。
ぐにゅ、と、濡れた布が敏感な襞に食い込む。
敏感な芽を擦られ、奥を押されるたび、脳の奥で火花が散る。白い光が、視界の端でちかちかと瞬いた。
ふぅっ……と、鼻から灼けるような息が漏れていく。膝ががくがくと笑い、壁がなければ崩れ落ちるという確信に唇を噛む。
(あ、あ、あ……もっと、もっと触って……)
叫びたい。声を出して懇願したい。でも、喉からは空気しか出てこない。
身体だけが、声の代わりに全てを訴えている。腰を悩ましくうねらせ、ミカの指を飲み込みたがる灼熱を押し付けて、もっともっとと求めてしまう。
「これ、取っちゃうね?」
ミカがTバックの紐に指をかけ、ゆっくりと引き下げていく。
ぬちゃっ。
愛液が糸を引く。透明な液体がビショついた花弁とTバックの間で細く長く伸びて、ぷつりと切れる。
「わぁ……」
ミカが、うっとりと息を漏らした。
「アコちゃんのここ、すっごくきれい……ひくひくしてる……何か欲しそう」
彼女の小さく整った美少女顔の前で、アコの恥ずかしい場所が完全に露出している。
「ねぇ、触っていい? ……触りたい。私の指で、気持ちよくしてあげたい……」
アコは顔を背けた。身体の秘密をこんなに間近で見られたのは、アスナとシロコに続いて三人目である。
天井の隅で、監視カメラの赤いランプが瞬いていた。
(きっとアレだけじゃないはずです。鏡の後ろにも、壁のすき間にも、ひょっとしたら床にも……)
無機質なレンズたちはアコの硬く尖った胸の先を、蜜に濡れた割れ目を、舐めるように追いかけている。
誰かがこの映像で興奮しているかも──そう思うと、アコの胸が燃えた。
(あぁひどい、グズグズです……こんな身体、いや)
毎日整えている恥毛はベタベタに濡れ、その下の柔らかな花びらは充血してぷっくり膨らんでいる。
敏感な蕾は厚めの包皮から我慢できず芽を覗かせ、ミカの視線に反応してジンジンと疼く。
その奥に続く入り口が、ひくっ、ひくっ、と何かを求めるように収縮を繰り返す。
なのに、ミカはこう言った。
「アコちゃんのここ、何も知らないお姫様みたい……すっごく可愛い。まだ男の人としたことないんだね」
であれば、ミカは違うのだろうか。社長という男を知ってしまった彼女のソコは、もうお姫様ではないのだろうか。
「次は私の番だね。アコちゃんが脱がせて?」
ミカが立ち上がり、白いフレアスカートをふわりとさせた。琥珀色の瞳を期待に輝かせている。
二人は再び向かい合った。
アコは震える手を伸ばし、ミカのブラウスに触れる。薄手のシフォン生地は汗で肌に貼りついていて、下にあるピンクの下着が透けて見えていた。
ボタンに指をかける。
ぷちり。
一つ目が外れると谷間が露出した。
──ふ、と影が濃くなる。
天井のメインライトが息を引くように暗くなっていく。代わりに、壁の低い位置から琥珀色のあかりが滲み出した。脱衣室が、色を変えている。白く平坦だった空間が、いつの間にか蜂蜜を溶かしたような暖色に染まっていく。
ミカの鎖骨の下に、影が生まれた。
さっきまで存在しなかった影だ。胸のふくらみが光を遮ることで初めて生まれる──肉の起伏だけが作り出す、柔らかな闇。
(……きれい)
白い光のもとでは「友達の身体」だったものが、暖色の演出照明に包まれた途端、見てはいけないものに変わる。鎖骨から谷間へ落ちる一筋の影が、視線を吸い込むブラックホールになっていた。
ぷちり。
二つ目で、レースブラの全体が見えてきた。豊かな胸を押し上げるプッシュアップの構造で、くっきりと深く谷間を強調している。
ぷちり。
三つ目。
「えへへ、上手♡」
にっこり笑うミカに促され、ブラウスを肩から滑り落とし、白い布を床に導く。
アコの目に、ミカのブラジャーが映った。コーラルピンクのレースブラだ。
高級感のあるデザインだが、迫力ある中身を隠しきれるほどの厚みはない。頂点の形がはっきりと透けている。ミカの先端もまた勃起して、レースを押し上げているのだ。
「ブラも外してくれる? フロントホックだから」
ミカが自分の胸を「ここだよ」と指さした。
ホックに触れる。指先の震えが、たまらなく恥ずかしい。
(私──ミカさんの身体で、興奮してます)
ぱちん。
金具が外れた瞬間、ミカの胸が解放される。
同時に、天井から細い光が一筋、降りてきた。
スポットライトだ。狭い脱衣室の天井に埋め込まれていた照明が、ミカの胸元だけを切り取るように灯っている。
暖色の光が、解き放たれた双丘を舐めるように撫でた。上からの光は乳房の丸みの上半分だけを照らし、下半分には深い影を落とす。
乳輪の色がはっきりと見える。ストロベリーシロップを一滴垂らしたような──そう見えたのは、光のせいだろうか。暖色のスポットが、ミカの肌の中にある朱色を、より甘く、より熟した色に引き出している。
「ぷりんっ♡」
……ミカ自身が擬音をつけてきた。ええ……? と見ると、舌先を出して「てへっ☆」と笑う。
だが確かに、ぷりんとしている。お椀型でみごとに張り出した双丘は、上下のバランスが見蕩れるほどに完璧だ。エネルギッシュに揺れながら確かな芯を保っている。頂点は小粒で、ストロベリーシロップを一滴垂らしたような色だった。
「私の、触ってみて?」
ミカがアコの手を取り、自分の胸に導いた。
指が、柔らかなふくらみに沈んでいく。
(沈んでく)
押せば、なよりと形が変わる。指を離せば、「ぷりん」と戻る。アコの胸が押し返すのとは対照的だ。
「ん~頼りなかったりする? アコちゃんの格好いい胸が羨ましいな。でも……私だって自分なりに自信はあるんだけどね? 昔はエステにたくさん行ったし、今だって自分で体操とかマッサージもしてるし」
アコの胸がきゅっ……と締まる。ミカほどの女性がさらに自分を磨いて出来上がるのが……この見事な、素敵な乳房、おっぱいなのか。照れたような笑顔に、アコは心臓を鷲掴みにされている。
「スカートも、お願い」
ミカが腰に手を当てた。
アコはフレアスカートのファスナーに触れる。するすると下ろすと、白い布が足元に落ちた。
そのまま膝をつき、ミカの脚の付け根と同じ高さに目線を落とす。
ショーツはブラとお揃い、サーモンピンクのレースだ。繊細なレースが股間を覆っているが、濡れ透けている。レースの生地、その表面の穴から、愛液がにじみ出しているのが見えた。
「わーお、濡れちゃってる……」
恥ずかしそうに呟く。しかしその声には、嬉しさが混じっている。
「ショーツはね、サイドがリボンになってるの。引っ張ると……」
ミカ自身がリボンを引く。するりとレースがほどけ、床に落ちる。
アコの目に、聖園ミカがショーツの下に隠していた場所が飛び込んできた。デリケートゾーンは薄く毛に覆われ、フランボワーズのマカロンからはみ出すクリームのようなひだを僅かにのぞかせる。
(なんだか……大人です)
外側のふくらみはシロップ漬けの桃のようにぷっくりと膨らみ、愛液で濡れ光っている。小さな突起もまた、絞り出したクリームの先のように包皮から覗いていた。お嬢様なのに。いや、お嬢様だからこそ、なのかもしれない。
「ほら、私もこんなになっちゃってる。アコちゃんと一緒だね」
ミカが両手で自分の太ももを撫でると、愛液が指に絡みついた。
あとはソックスを落とし、髪留めを外すだけ。狭い脱衣スペースに、裸の身体が二つ並ぶ。
壁に埋め込まれた鏡が、裸身を余すところなく映し出していた。アコの張り詰めた双丘と、ミカの柔らかなふくらみ。互いの脚の間から垂れる愛液の筋。
「シャワー、浴びよっか」
◆◆◆
ミカがアコの手を引き、シャワールームへ導いた。
浴槽はないが、広さは一般家庭の浴室なみにある。大人が三人、いや四人は同時に使えそうだ。
シャワーヘッドは天井に固定されているタイプで、手を使わずシャワーを浴びられる。
──手は
「お湯出すねー……いま裸にお湯かかると、けっこうビクッてなるから。覚悟してね?」
ミカが壁のコックをひねると、頭上からぬるい湯が降りかかった。肌に触れた瞬間、ぬるいはずの温度がひりっと熱い。
アコは思わず肩の力を抜き、目を閉じた。髪が重くなっていく。
ざあああ……。
降り注ぐ無数の水滴が、二人の裸の身体を包む。
(あっ)
水滴の一粒一粒が、見えない指のように肌を撫でていく。胸を伝い、お腹を滑り、一番熱い場所に注がれる。
「ふぅぅっ……」
鼻から、火照った息が漏れた。
ふと──ミカの身体に、視線が吸い寄せられる。お湯に濡れた桃色の髪。鎖骨のくぼみに溜まる水滴。そこから谷間の奥に消えていく湯すじ。
(きれい……)
つんと尖った桜色の先端に、きらりと光る雫。その行方を追いかけてしまう自分の目が、恥ずかしい。
ミカが壁のコックに手を伸ばした。
「お湯、止めるね」
かちり。水の音が止まった。
静寂。
音を飲み込む壁が、二人を包んでいる。外界の音は何も聞こえない。聞こえるのは、自分の呼吸と、ミカの呼吸だけ。
まるで、世界に二人しかいないような。
いや──この部屋が、二人だけの世界を作り出しているのだ。どの音も、壁に吸い込まれて消えていく。外には漏れない。誰にも聞かれない。でも、二人の間ではすべてが剥き出しだ。
くちゅ、くちゅ。
どく、どく。
はー、はー。
この部屋だけが知っている。二人がどれだけ相手を欲しがっているか──残さず。
「髪、洗ってあげる♡」
ミカの気配が、正面からふっと消えた。
ぺた、ぺた。
濡れた素足で床を踏み、背後に回り込んでくる。
うなじに吐息がかかった。
「じっとしててね……♡」
頭のてっぺんにシャンプーが垂らされ、十本の指がもぐり込んでくる。泡が立ち、指の腹が頭皮をくるくると──ゆっくりと、ねぶるように揉みほぐしていく。
頭皮への刺激が、なぜか下腹部に響いた。腰が、知らないうちにユラユラと円を描いている。
「感じてる……? 頭、洗ってるだけなのに……♡ お尻が、ぐりんぐりん回ってるじゃん……こっちからぜーんぶ丸見えだよ……?」
ミカの声から、言葉の輪郭が溶けている。
耳まで朱が昇った。でも身体を止められない。指が耳の後ろから上へ這うたびに、腰の奥がじんと疼く。
ミカがボディソープを手のひらに垂らした。両手をすり合わせ、もこもこの泡を立てていく。
「体も洗おっか。後ろ向いて?」
背中を向けると、泡まみれの手が肩甲骨に触れた。
ぞわぁ……。
ミカの指が脊椎をなぞり、腰まで降りてくる。
アコの指がタイルの目地をひっかいた。立っていられない。背中が勝手にしなり、尾てい骨からお尻の丸みが突き出されていく。
(だめ……こんなの、はしたない……)
ミカの手が尻を揉み始める。指が柔肉に沈んでいく。
「お尻……指、ずぶずぶ沈んでくじゃん……♡ 離すとぷるんって戻るし……なにこれ、ずっと揉んでたい……♡♡」
揉みしだかれるたびに腰がうねる。止められない。尻たぶが掌の中でかたちを変え、自分からミカの指の腹に食い込んでいく。
(私……ミカさんの手が、欲しくなってる……)
ミカが背中に密着してきた。尖った胸の先が、背中の肌に食い込む。
──つん。
(ミカさんの……乳首が……)
体重をミカの腕に委ねた瞬間、太ももの裏がわなわなと痙攣した。タイルへ崩れ落ちる寸前、ミカの腕がぐっと締まって引き留める。
「崩れていいよ……♡ ぜーんぶ預けて? ミカお姉様がぎゅーって、してあげるから……♡」
壁についていた手が、するりと落ちた。抗えない。背中からミカの体温が浸透し、脊椎を一節ずつ溶かしていく。
泡にまみれた手が背後から胸を掴む。ぬるぬるの指の腹が、つんと尖った先端を挟み込んだ。
「ぅ゛っ…………!」
乳首と下腹部が一本の紐でつながって、捏ねられるたびにぐいぐいと引かれる。膝ががくんと笑い、口からよだれ混じりの息がこぼれた。
「やだ……コリッコリ……つまんだら、きゅうぅって縮こまった……♡ 可愛い……♡」
名残惜しそうに乳房の下をすくい上げてから、指は胸を離れた。
ぬるりと腹をすべっていく。おへそのくぼみに泡が溜まっていて、ミカの指がそこをくるりと一周。
さらに下。
うっすら汗ばんだ恥丘の柔毛に、泡の指が触れる。毛並みに逆らわず、一本一本を撫でるように──
「ここも、ちゃーんと洗ってあげないとね……♡」
言葉にだけ、わざとらしい建前がまぶされていた。
ぱんぱんに膨らんだ花弁に指が触れた。泡と愛液がぬるぬる絡み合い、割れ目のすじに沿って、上へ……下へ……ゆっくりと指が往復する。
くちゅ、くちゅ。
残響のない部屋に、指が愛液をかき混ぜる音だけが浮いている。アコは顔を壁に押し付けた。見られたくない。けれど音を聞くたびに、膣口がひくりひくりと締まってしまう。
(聞こえてる……ミカさんに、一滴もごまかせない)
指が包皮をぷにっと押しのけて、充血した芽をほじり出した。きゅっと押し潰す。
視界がちかちかと白く弾ける。アコの腰が跳ね、壁を支えに尻を突き出して、ミカの指に身体を擦りつけた。
(イきたい……イきたい、イきたい……!)
しかし、登りつめた波は頂に届かない。ヒュプノスペックが絶頂の寸前で回路を遮断し、何度も何度も崖の縁から引き戻す。
「ぅーっ、っ、ぅー……」
声にならない懇願が、荒い呼吸に変わるだけ。
「ねぇ、イきたいでしょ? 私もイきたい……ずっとイけなくて、おかしくなりそうなんだ。でもイけないじゃん、この頭のやつのせいで……一緒だね」
(……あ、やだ。出そう、出そうですっ)
頬を火照らせ、くちびるを薄く開いてとろけるように喘ぐ。目尻に涙がにじんでいる。
イけない苦しみが別の感覚を呼び覚ました。
(気持ちいいのか、出そうなのか、分からない……)
おしっこしたいのか、イきたいのか。その境界線がぐちゃぐちゃに融けている。
「……ねぇ、アコちゃん」
ミカの声が、いつもより低くなった。暗くはない。むしろ──舌なめずりするような、悪戯の前触れのような……。
「私ね、バカで悪い子だから……こんなやり方しか、思いつかないの」
ミカの指が恥骨の上を、じわりと押す。膀胱を揺するような優しいリズムだ。
「…………っ」
アコの腰がぐねんと崩れた。
唇が「ミ」の形を作る。ミカの名前を呼びたい。でも音が出ない。叫べない快楽が行き場をなくし恥骨のすぐ裏に溜まっていく
「アコちゃんのこと、隅から隅まで見たいの。奥の奥まで、知りたいの」
耳元で囁く声が、ねだるように震えている。ミカの吐息が、アコの首筋をくすぐった。
「だって私……本気だよ? 本気でアコちゃんとね、イきたいの。だから出して? 恥ずかしいの、一つ残らず私に見せて?」
その声が耳朶から入り、鎖骨を落ち、乳房の谷間を滑って、まっすぐ子宮に届いた。言葉の意味よりも先に、声の振動が子宮口をぶるりと震わせる
膀胱と子宮が同じリズムで脈打ち始めた。どっちが収縮してるのか、もう分からない。
(ミカさんは……私を、夢中にさせたいんだ)
分かってしまった。だから、こんなにも執拗に愛撫するのだ。だから、恥ずかしいところを見たがるのだ。
「私ね、アコちゃんの全部が見たいんだ。きれいなところも、恥ずかしいところも、汚いところも……私に預けて? そうしたら、本当の『おそろい』になれるから……」
ねだる声だった。ミカの吐息が首筋にかかった瞬間、産毛が総毛立つ。
ミカの鼓動がアコの背中を叩いている。どちらの心臓がどちらの胸で鳴っているのか、分からなくなった。
(……いいよ、ミカさん)
何かが緩んだ。ミカのために。そして自分のために。
小さく頷く。
「……見ててあげる。全部、見ててあげるからね」
ミカの指先が包皮をずらし、剥き出しの粒を──つん、と弾いた。
壁に手をついて尻を突き出したまま、アコの股間から、生暖かい液がにじんだ。
(あっ、あっ、出る、出ちゃいます、出るぅ……!)
チョロッ……。
やがて、せきを切った流れになった。
シャーッ……!
膀胱がきゅうっと握り潰され、熱い液が尿道を駆け抜ける。出してはいけないものを出す背徳が、快感になった。しゃあっ、と勢いよくタイルを叩く水音が響く。足の甲に自分の飛沫が跳ね返る。
アコの全身が、びくんびくんと痙攣した。
絶頂ではない。でも膀胱が空になるにつれ、真空に快感がなだれ込んでくる。
床の排水口が、アコからあふれ出た愛液と、尿と、羞恥を貪欲に飲み込んでいく。ごぽりごぽりとのどを鳴らし、全てを吸い込む。
「アコちゃん……しゃーって出てる……あったかい、太ももに伝ってきてる……♡ ぜーんぶ出しちゃえ♡ 私がずっと、ずっと見ててあげるから……おしっこの音もね、ぴちゃぴちゃって、えっちだよ……♡♡」
ミカの声が、恥をぞくぞくする快感に変えていく。
背中が弓なりに反った。視界が真っ白に飛ぶ。
ふと気づくと、くちびるの端から泡立ったよだれが垂れていた。
(ああ、ああ、出ちゃった……出しちゃいました……ミカさんのお手々に、シャーってぇ……)
やがて流れが細くなり、止まった。身体から力が抜けていく。
でも──。
(足りない)
女としての絶頂は、まだ迎えていない。
(もっと……もっと、ミカさんが、欲しい)
◆◆◆
どれくらい、そうしていたのか。
ミカが彼女自身の体を洗い終わるまで、アコは床に座り込んで荒い呼吸を繰り返していた。身体が空っぽになった気分だ。
「そろそろ出よっか。体、冷えちゃうよ」
「…………ぁ、はーっ…………」
アコが壁から身体を起こすと、ミカがまた背後から抱きしめてきた。
「アコちゃんの心臓、すっごく速い……」
掌が、左胸にあてられた。とくん、とくんと心臓がミカの手を叩いている。
アコは振り返り、ミカの左胸に手を重ねた。指先に、同じ速さの鼓動が伝わってくる。
二つの拍動が、ひとつになった。
「えへへ……おそろい♡」
ミカが笑った。恥ずかしいところを全部見せた相手なのに、琥珀色の瞳はただ澄んで、アコを映している。
(ミカさんのこと、好きになってしまいそう)
指が、自然にミカの指と絡まった。身体がミカのほうへ傾いていく。
顔を寄せると、ミカの長いまつげがふるっと伏せられた。
唇が、そっと重なった。
ちゅっ……。
軽いキス。でもそれだけで、全身がとろりと痺れた。
「アコちゃんから……してくれた……♡」
ミカの腕がアコの腰をきゅっと引き寄せ、裸の肌が密着する。
「ベッドに、行こ? 私がアコちゃんを、イかせてあげる……」
お互いの体を拭き合ってから、手を引かれて歩き出す。床の排水口が、二人がこぼしたものを静かに飲み込んでいた。
ぺたり、ぺたり。
濡れた素足がシャワー室の床に、脱衣室のマットに、ベッドルームのフローリングに、淫らな足跡を残す。
ぽたり、ぽたり。
二人分の足跡に混じって、太ももを伝い落ちた雫がフローリングを濡らしている。
二人がこの先をどれほど待ち望んでいるか、冷たい床が記憶し始めていた。
どのエピソードが好きですか? 続きを書く参考にさせてください。
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プロローグ
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ユウカの章-1
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シロコの章
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リンの章
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ユウカの章-1
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ミッドローグ
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ミカの章
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アスナの章
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アコの章-1
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アコの章-2