天雨アコ「こんなイヤらしい社長が支配する会社に、私はぜったい屈しません!」→なお 作:a-su
第1条 『目的』
このプロトコルは、社員の感情管理と幸福のコントロールを通じて、職場内の調和と社長への忠誠心を強化することを目的とする。
第6条 『ヒュプノスペックの利用』
社員は、超人工知能ヒュプノスと同期して感情コントロールを行うヒュプノスペックを常時装着し、最適なメンタルコンディションを維持する義務を負う。
【前回のあらすじ】
ミカではイけなかったアコは、アスナと社長の性行為をヒュプノスペックの感覚同調で「社長の側」から体験させられる。キスの甘さ、フェラチオの熱、そして挿入。アスナの膣がペニスを締め付ける快楽が、アコの身体に流れ込む。
ありもしない男根の感覚に下腹部を掻きむしりながら、アコは社長と同時に「射精」の絶頂を迎えた。だが女としてのオーガズムは得られない。空っぽの子宮が泣いている。ミカは「アコちゃんにもおちんちんを入れてあげて」と社長に懇願し、アスナの秘所からは体液が滴り落ちる。
「ねえ、アコちゃん……ペルセポネのザクロって……知ってる?」
冥界の果実を口にすれば、もう戻れない。
前編
ごくり、とアコの喉が鳴った。
「わたしも中に欲しい」
思考より先に、口が動いていた。よだれと女の汁がないまぜになった筋が、唇の端から耳の下に垂れる。
「おちんちん下さい」
三人の視線が、アコの口元に落ちた。
社長がアスナの上から身体をずらし、ベッドにあぐらをかいた。首元に腕を回すミカの腰を右腕で抱き、何か拍子抜けしたような目を向けてくる。
アスナの体がアコの上から剥がれていく。引き潮のように体温が遠ざかり、バニースーツの布地がアコの汗ばんだ肌をずるりと擦った。
ベッドに横向きに転がったアスナが、頬杖をつくように首を傾け、アコの唇を流し目でなぞる。
「アコちゃん……飲んで、くれた?」
胸が大きく上下し、吐息が言葉の形になって漏れていく。バニースーツの胸元が汗でてらてらと光り、はだけたクロッチの隙間から、まだ蜜がねばついて垂れている。
「アスナのすっぱいのと……ご主人様のしょっぱいの……ぜんぶ、ごっくんしてくれた……♡ ん、ぅ……うれしい……アスナ、アコちゃんの、お腹の中に……お引っ越し、できたんだね」
彼女の温もりが遠ざかるのを追って、アコは動いた。腰も立たず、脚にも力が入らない。それでも身体を動かす。
仰向けから腹ばいに転がると胸がシーツにめり込み、乳首が布地を噛んだ。
視線の先で、コンドームをつけたままのペニスが、毛深い腿の上にだらりと載っている。
「アスナが興奮した味、舌に残ってるでしょ……? ね……これでずっと、一緒だね」
アスナの指先が、尾骨のくぼみをすうっとなぞった。背骨を這い上がるような悪寒が、うなじまで走る。
アコは腕だけで這った。湿ったシーツの上をのろり、のろりと。
腹這いに引きずるたび乳房がシーツに押し潰され、ぬちゃりと粘った音を立てる。汗と愛液で濡れた肌が布地に吸いつき、剥がすたびに糸を引いた。
手が社長の膝に届いた。
腿にすがりつくと、指の間にかたい毛が触れる。
「それに……ね?」
アスナが身を屈め、アコのお尻にリップを寄せた。ちゅぅ、とかすかな吸着音。離すときに唾液のすじを一本、わざと尻肉の上に残していく。長い髪が太ももに絡みつき、汗を吸って冷たい。
「男の人のおちんちんが、女の子のおまんこの中で、どんなふうにきもちよくなるか……分かっちゃったでしょ?」
吐息まじりの声が、尻肉を湿らせた唾液の上を滑る。
動けなかった。体はまだベッドの上にあるのに、腕だけが社長の脚に伸びたまま、指が脂ぎった肌に食い込んでいる。
(──何をしているんですか、私)
思考が戻ってきた。社長の脚を掴んだまま、自分の指が震えている。
アコはいま、おちんちん下さいと言って、自分からすがりついている。
(手を……離さないと)
でも、離せなかった。
ペニスが欲しい。身体の奥の、飢えた場所に挿れてほしい。この飢餓を終わらせてほしかった。
(だけど、ああ、だけど)
その念を認めたら、太陽としてのアコは死ぬことになる。『先生』に出会った日から必死に育ててきた、男に媚びず生きる自分が、根から枯れてしまうだろう。
背中越しに、アスナのささやき声。
「自分のことも……分かったよね?」
肩甲骨の間に指が触れた。
爪を立てず、指の腹だけで──すう、と背骨の溝をなぞり下ろす。
尾てい骨のくぼみにたどり着くと、そこをくるり、と一周する。
「女の子って、ウサギと同じなんだよ。寂しいと死んじゃうの」
くるりと回ったその場所が、ずきん、とうずいた。
「ア、スナさん……」
そのわずかな痛みに引き上げられるように、アコの体は四つんばいになった。乳房が重みに引かれ、先が空気に触れてきゅっと硬くなる。むき出しのお尻が、背骨のアーチに沿ってせり上がった。
動物の姿勢だ。
「おっぱいやお尻って、なんのためにあると思う?」
「…………輝か、せる……ために」
「そうだね。でもね──」
アスナの手が、アコの胸の下に滑り込んだ。指の腹で付け根からすくい上げると、ぷるん、と重みが手のひらに落ちた。
「こ~んなに重たいのは、見せびらかして自慢するためだけじゃないんだよ?」
語尾にかかる息が首筋をかすめた。バニースーツの胸元が、アコの背中に載せられている。
(なんて重さ)
託児室で抱かせてもらった四キログラムの新生児と同じか、それ以上はある。
──バニーガールの衣装が暗に示すのは、「いつでも男を受け入れる準備ができている」ということだ。ワイヤーで乳房を強調し、年中発情期のウサギに女を変えてしまう衣装である。
それが一之瀬アスナなら尚のことだ。その胸元に、よだれが垂れない男はいないだろう。
「おっぱいもお尻もね、男の人から選んでもらうためにあるの」
アスナの鼻からふぅうー、と息が漏れる。指の腹が乳首をかすめた──わざとだ。
ぱっと指が開く。たぷん、と肉が揺れ戻り、乳首が宙で硬く尖ったまま残された。アスナの体温がじんわりと移っている。
「こんなに重たくって邪魔なお肉はね、そのためについてるんだよ」
反論したかった。
女は動物ではない。ウサギでもない。
男に性を提供するための生き物でもない。
女は太陽だ──『先生』がそう教えてくれた。
でも身体が証明してしまっている。社長の脚にすがりつく手が、ぶら下がった双丘の先で硬く尖った突起が、アスナの言葉の正しさを裏書きしている。
ぴりっ。
思考の輪郭が、一瞬ぼやける。
……機械のせいにしたかった。
(いいえ)
這い寄ったのは自分の腕だ。おちんちん下さい、と言ったのは自分の喉で、今も手を離さないのは自分の指だ。
天雨アコは、欲望に負けたのだ。
──母の顔が浮かぶ。アコを蹴飛ばし、客に媚びる女の顔。
「ねえ、アコちゃん──お母さんのこと、思い出してない?」
アスナに見透かされていると分かった瞬間、アコの中で何かが外れた。
(もういいです。もう、考えたくない)
社長の脚から手を離し、ベッドのふちに手をかけた。指でマットレスのカドを掴み、身体を引っ張る。
そして誰にも命じられることなく、体をベッドから滑り落とした。膝がフローリングに触れる。火照った皮膚に、底冷えが刺すように沁みた。
社長のほうを向き、膝立ちの姿勢から両手を床板につく。胸が両腕のあいだから零れ落ち、先端がフローリングをかすめる。
額を、そろそろと、床に押し付けた。髪が顔の両側からさらりと流れ落ちる。
──こつん。額に木の感触がある。
「私が……間違って、いました」
沈黙。
「女は、動物です。欲望に、抗えない……浅ましい、生き物です」
沈黙。
「生意気なことを言い、お体を、傷つけました。私をお許し、ください」
沈黙。
「なあ、天雨くん」
社長がぽつりと言った。
「いや……ねえ、アコ。女の子は、太陽なのかな」
額を床に押し付けたまま、うなじの産毛がざわりと逆立つ。名前で呼ばれただけなのに、喉の奥がきゅっと詰まる。
「いいえ」
「どうしてそう思うの?」
「辛いからです」
「そうだよね。女の子は、生きているんだもの。熱を出しただけで死んでしまうんだから、太陽のつもりで危ないことをしたら……ダメだよね」
社長の声は抑揚を持たなかった。
(熱?)
何か、話がかみ合っていない。社長が何か具体的な事例を指して話しているように聞こえた。
(いいえ……考えなくていいです。もう、関係ないんですから)
アコは今、殺したいほど憎んだ男の前で冷たい床に全裸で土下座している。そして理想を否定した。
だけど、自我と誇りさえ捨てれば、アコにとっては簡単なことだった。男たちの前で母がどう振る舞うか、見ていたのだ。性の奴隷にふさわしい立ち居振る舞いを、アコは幼い頃から知っている。
奉仕、傾聴、誠実、笑顔だ。
顔を上げた。社長とミカ、そしてアスナが、ベッドからアコを見下ろしている。
社長は表情を崩さない。
彼の右腕を抱くミカは目元を赤くしている。
横たわるアスナだけが、かすかに口角を持ち上げていた。
唇が震える。それでも、頬の筋肉に力を込めて──天雨アコは笑った。
「どうすれば、おちんちんを入れていただけますか」
ミカが、ひゅ、と息を呑んだ。
「うーん……罰を与えないとなぁ。じゃないと社員のみんなに示しがつかないし」
社長の声は、いつの間にか軽くなっていた。どこか上の空だ。
「でも、どんな罰がいいかなぁ」
社長が大儀そうにベッドの端に座った。裸足が床に降り、アコの膝の横に並ぶ。
アスナが背後から社長の肩に腕を回し、バニースーツの胸元を後頭部に押し当てた。禿げた頭が、汗ばんだ乳房の谷間にむにゅりと沈んでいく。
「ふー……とりあえず、しゃぶってみせてよ」
なぜか、身体がふっと軽くなる。
アコは膝立ちのまま、社長の股間に顔を近づけた。ベッドのふちに座る男の脚が、こめかみの両側を挟んでいる。
「……匂い、嗅いでも、いいですか」
社長は何も答えない。
萎えかけのペニスが目の前にあった。コンドームは精液でパンパンに膨らんでいる。根元にはアスナの愛液がこびりつき、白く乾きかけていた。
「嗅ぎます……」
鼻先を寄せた。自分でも信じられない。恐る恐る、それでも──止められない。
最初に鼻を突くのはコンドームのゴム臭だ。
その下に愛液の残り香。酸っぱさと鉄の気配。
さらにその奥、社長自身の体臭。加齢臭と皮脂の、鼻腔の奥に貼りつく臭気。
(この匂い……アスナさんは「好き」って言っていましたね)
「……好き、です。この……匂い。鼻の奥が……じん、って……目の裏まで、痺れる……♡」
ウソだ。
好きなわけがない。でもアスナがそう言って社長に喜ばれたなら、同じことを言えばいい。
ぴりっ。
(あ……)
ヒュプノスペックの報酬電流が走った。回路が融けるような痺れが脳の裏側に滲み、そこからうなじを伝って背骨に降りていく。
──匂いを嗅ぎ、好きと言った。それがヒュプノスペックの正解なのだ。
コンドームのゴムをつまみ、爪の先で端を引っかけてから、くるくる巻き下ろす。それから精液だまりを咥えると、そっと頭を引いた。
きれいに外れたコンドームを傾け、中の精液を手のひらに受ける。
「社長の……精液。手のひらの上で、とくとくって脈打ってる……とっても、いいにおいです……♡」
これもウソだ。
ちゅる。
ぐちゅぐちゅ……。
ごくっ。
ぷはぁ……。
「社長の……赤ちゃんの、もと……ぜんぶ、飲みました。お腹の中を……じわって、降りています……♡」
社長は何も言わなかった。だが、だらりと垂れていた肉の厚い指が一本、ぴくりと動く。その手はミカの裸のふとももに載っていて、指先が薄桃の肌に爪の跡を刻んでいる。
「全部……お掃除させてください。アスナさんのおまんこの味と、社長の精液の味……舌の上で、まぜまぜさせてください……♡」
吸い込まれるように半身を倒す。汗と精液とゴムが三つ編みになった臭気に脳が浸され、側頭部の奥がどろりと溶けた。
まだ力のないペニスに唇を開き、舌先をそうっと添える。萎えた肉は舌の上で頼りなく形を変えた。
でも、口の中に含むのは楽だ。
「んく、んく……」
──さっきまでは、社長の快楽がヒュプノスペックを通じてアコの脳に注ぎ込まれていた。射精が終わった今は、回線が落ちたように何も流れてこない。
舌裏の粘膜で、乾きかけた白い汚れをこそいでいく。渋みが舌の裏に居座り、頭がくらくらした。
「……んぐ、っ」
気づけば先端から根元まで吸い尽くしていた。アスナの愛液も精液の残りも、全部まとめて唾液と一緒に呑み込んでいる。生臭さが、上あごに貼りついて消えない。
「きれいに、しますね……♡ 根元も……タマタマの裏も……ぜんぶ、この舌で、ぺろぺろ……れろぉ……って、舐め取ってあげますから……♡」
アコは、根元の脇から玉袋、陰毛の隙間、足の付け根まで、舌をくまなく這い回らせた。
カリ首のふちを入念になぞり、包皮とくぼみの間に溜まった汚れをこそぎ取ろうとしたとき──。
「いたたっ」
社長が腰を引いた。節くれだった手がアコの頭を掴む。
「ねえアコ、そこはまだ敏感なんだ。頼むよ」
動けない。社長の指がアコの頭頂部を押さえている。
──不思議だった。押さえつけられているのに、身体の力が抜けていく。手のひらの重みと熱が頭蓋を通り抜けて、首から肩へと伝い落ちる。
(どうして?)
アコは息を吐いた。肋骨がきしむまで、腹の底から。
「ねぇ、アコちゃん」
ミカがベッドから降りた。唇が社長の肩口にちゅっと触れる。行ってきます、のキスに見えた。
社長の太い指が、名残惜しげにミカの髪をひとふさすくい、指の間からするりと滑らせる。
二人の間にかつて流れていた時間がどんなものだったか、それだけでも分かるような気がする。
ミカは床に膝をつき、アコの耳元に寄ってきた。
「あのね、出したばっかりのときはね、先っぽがすっごい敏感だから……竿のとこを、ゆぅっくり……ぺろ、ぺろ……れろ、って……してあげて? ね?」
ミカの声が、教えながら少しずつ熱を帯びていく。口の形が「れろ」を作るたび、舌先がちらりとのぞく。自分の記憶をなぞっているのだ。
「タマタマもね、気持ちいいんだよ……? ころころ、って、舌の上で転がしてあげると……おちんちんがね、ひくって脈打つの。わかる? 脈打つんだよ? あ、それでね、私ね、社長のここだけ五分くらい舐めたら……あとでギュッて抱きしめてもらえたことがあってぇ」
そこだけ、声が震えた。まつ毛が伏せられ、頬にさあっと朱がのぼる。
「ミカ、その話は恥ずかしいよ……」
社長の手が頭から離れた。拘束が解けた途端、口の中が空っぽになったような心細さがよぎる。押さえられていた頭頂部が、すうっと冷えた。手のひらの跡だけが、三十七度で灼けている。
「え~いいじゃん、かわいいし。ね、アスナちゃん」
「うんうん♡ ね、アコちゃん、竿をゆっくりぺろぺろして、タマタマもころころしてあげたらね、おちんぽ、あっという間にかちかちになるよ? そしたらアコちゃんのここにも入れてもらえるかもね♡」
アコは亀頭を避け、竿の中央に唇をずらした。舌の腹を広く使い、裏筋に沿ってねっとりと舐め上げる。
「れろ……ちゅ、ちろちろ……んむ……裏の筋、ぴくぴくしてます……♡ ここ、お好きなんですね……♡」
舌の腹で裏筋をしゃぶるたび、萎えていた肉がわずかに脈を打ち返した。
「……へぇ。ミカに教わっただけで、もう。やっぱりアコは……頭のいい子だね」
「ミカさんの……おまんこ、舐めさせてもらったんです……♡ あの味が、まだ舌に残ってて……だから、どこが気持ちいいか……わかるんです。──おちんちんも、おんなじでした……♡」
ちゅ。半ばのところにキスを落とす。唇を押し当てたまま、息交じりの声が漏れた。報酬の残り火だろうか、腰の奥がじくりと疼いて、骨盤が勝手にくねった。
唇を離すと、唾液の橋がぬらりと架かった。
「ここ、舐めると……ぴくってしました。覚えました……♡」
ミカに教わったそのまま、アコは舌を伸ばし、睾丸に触れた。玉袋のしわに舌先を添わせ、片方をそうっと口に含む。
ころん。ころん。
舌の上で転がす。
ぷにぷにとしたソレは命の入れ物で、男の急所だ。だけど今のアコには、愛撫する以外の発想がない。
「んむ……」
含んだまま、くぐもった声が零れた。
ぴりっ。
二度目の報酬。酩酊が頭蓋の内側に充満し、こめかみから首筋を下り、脊椎の一つ一つを焼きながら腰の芯まで落ちていく。
(──奉仕すると、気持ちいい)
認めたくない。でも、体は嘘をつかない。
アコのお尻が蠢いていた。床に膝を沈めたまま、深い弧を描き、ぐりぐりと円を刻む。
止めると酔いが醒める。だから止められない。尻をくゆらせるたび、痺れが下腹の奥から恥丘へと巡っていく。
(止めたら、きもちいいのが、消えちゃう──)
口からペニスを離し、左の横顔を寄せた。ぷにりと肉に触れ、肌きめの細かいえらのあたりが、しおれた肉を包み込んでいく。
そのまま右に移す。亀頭をやわこい肉で挟むように、たゆたうように顔を傾けた。
すりすり、すりすり。
汚れた陰茎が顔を往復するたびに、唾液と精液がぐちゃりと混じった汁が顎を伝い、ぽたりと膝に落ちる。
「よしよし……いい子、いい子……♡ アスナさんのおまんこの中、きもちよかったねぇ……♡ コンドームぱんぱんになるくらい、いっぱい出したんだもんねぇ……♡」
触れるたびに残り汁が睫毛を伝い、視界がぬらりと滲む。社長の腹も腿も、涙膜ごしに歪んで見えた。
アコはペニスに横顔を擦りつけながら、Gカップの乳房を手の平で持ち上げてみせる。
「私は、毎晩……お風呂で、自分のおっぱい、揉んでいます。社長の手だと思って……こうやって、こねこねして……♡ お肌もつるつるに磨いて……社長に触っていただけるように……シロコさんに教わった通りに、してます……」
中年男の視線が、アコの鎖骨から谷間へ、谷間から乳首へと降りて、止まった。
「おっぱいでも……してあげます。こうやって……ぎゅって挟んで、ぬるぬるの谷間で……おちんちんを、しごいてあげます……♡ 社長のが、ぜんぶ埋まっちゃうくらい大きいんです、アコのおっぱい……♡」
そのとき、アスナの指が社長のこめかみを背後からそっと撫でた。指先が耳の後ろへ滑り、ぶよつく顎をそっとつまんで、アコの胸へ向ける。
「ね、見て見て♡ アコちゃんのおっぱい、すっごいの。ぷるんって揺れるでしょ?」
耳の穴に息を吹き込むように、アスナは囁く。
「乳首がつんって尖ってるの。かわいー♡ 四つんばいだとぶらんぶらんしちゃうね、重そ~♡」
「社長の……専用に、します。アコのおまんこ、社長だけのもの……♡」
アコはアスナの呼吸に自分の息を重ね、ペニスに顔を押し当てながら、指先を自分の体に這わせていく。
「おくちも、おっぱいも、おまんこも、全部、社長のおちんちんの形に、してください……♡♡」
唇から首筋へ、鎖骨からへそを過ぎて、恥丘の産毛まで──。
「アコの身体は、ぜんぶ……社長の、もの、です♡ 処女なのに……こんなにおまんこ濡らして……おちんちん、待ってます……♡」
──頭は冷えていた。母親がそうしていたように、計算している。こう言えば男が財布を開く。こう腰を振れば常連になる。アコの身体は、かつて住んでいた寒いアパートでの記憶をなぞっている。
──なのに子宮の底がじくじくと疼いている。奉仕が快楽を呼び、快楽が腰を動かし、腰が次の卑語を搾り出す。止まらない歯車が、アコの誇りを一枚ずつ剥いでいく。
お尻を振り続けるせいで、膝の皮がフローリングにこすれて赤くなっていた。
「ねぇン、お願いします、社長ぉン♡ アコを抱いてください♡ おちんちん、入れてください♡ 中にいっぱい出してください♡ アコのおまんこ、ぐちゃぐちゃにしてください♡ お願いします、アコを、使って、くら、はぃ……♡♡」
膝を赤く擦りむきながら、男根にねちっこく舌を這わせながら声を搾り出す。
目に涙が浮かんでいた。恥辱でも悲しみでもない。自分の口から出た言葉の卑猥さに、社長がそれに耳を傾けていることに、身体だけが感動している。
(ああ。これは、私じゃない)
ふいに、思考が遠ざかった。舌も顎も唇も、全部置き去りにして、天井の隅から自分の身体を見下ろしている。
跪いて男の股間に顔をうずめる、裸の女がいる。お尻をふりふり、途切れ途切れの吐息を漏らしている。
あれが自分なのだと、頭では分かっていた。なのに他人だ。
(お母さんも、こうだったのかな)
客の前で笑う母。あの笑顔の裏では、こうして自分を遠くから眺めていたのだろうか。体だけが勝手に動いて、心はどこか別の場所にいて、何も感じなくなって。
「ねぇ、社長……」
ミカが社長の右腕にしがみついた。前より力が強いのか、華奢な指が二の腕に食い込み、爪の痕が白く浮いている。
「社長、アコちゃんの膝……見てあげて。もう真っ赤じゃん。ずーっと冷たい床の上で、膝ついたまま……おくちでご奉仕してるの。痛いのに、やめないよね。ね、見えてる?」
ミカは社長の腕に顔を埋めたまま、アコの方をじっと見ていた。潤んだ瞳に、膝を赤くした裸の女が映っている。
「もういいでしょ? 何も教わらずにここまでデキる子、今までいなかったじゃん。だから、アコちゃんの初めて……社長のおちんちんで、ほどいてあげよ?」
社長は、「ミカは優しいね」とだけ言った。桃色の髪を、一房すくい上げる。
「ねえ、ちょっと待ってご主人様」
アスナの声だ。ミカと反対側から、社長の左腕に自分の胸を押し当てていく。
「ちゃんと罰を与えなきゃ♡ ねえ、社長室に連れていこうよ」
社長は肉棒にアコの口づけを受けながら、アスナの髪にも指を差し入れ、もてあそぶ。
「……僕の部屋に? それが罰?」
左右に一人ずつ。足元にもう一人。三人の美女から侍られる男は、首だけで悠然と天井を仰いだ。
「うん♡」
アスナは社長の耳朶にちゅっとキスしてから、アコの方を見下ろした。口角が、じわりと弧を描く。
「人が多いところ、通るでしょ? 首輪つけて、四つんばいで連れてくの。ご主人様に屈服したって見せてあげようよ。ちょうどいい罰でしょ?」
首輪。四つんばい。廊下。みんなの目。
言葉の断片が、遠い水底から浮かんでは消えた。
「ああ、でも──」
アスナが、アコの頭の上から覗き込むように身を屈めた。逆さまの笑顔が、視界の端にちらつく。
「みんなに見られて、恥ずかしくて泣いてるのに……おまんこ、びしょびしょになっちゃうかも。そういう子だよ、アコちゃんって」
屈辱。犬にされるのだ。泣くべきだ。怒るべきだ。
なのに、心臓がとくん、と一つだけ大きく打った。
(……どうでもいいです)
アコの瞳はもう、何も映していない。口元だけが笑っている。社長の脚の間で陰茎に鼻先を埋めたまま、尻だけでじわり、じわりと円を描き続けていた。
(セックスをしてもらえたら、死のう)
先生に教えてもらった理想は腐った。自分自身に、女という生き物に、天雨アコは心の底から失望したのだ。
もう、生きていたくない──。
(続く)
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