天雨アコ「こんなイヤらしい社長が支配する会社に、私はぜったい屈しません!」→なお 作:a-su
今回のサブキャラ
前編
二〇二四年四月一日、おそらくは午前十時ごろ。
「アコちゃん、痛いってばあ」
「そんなこと言ってる場合ですか!」
アコはアスナの手をつかみ、ユートピア・インテリジェンス本社ビルの廊下を走っていた。隙をついて、入社式の会場から逃げだしたのだ。
なぜか──いや、
(これは幸運なんです。絶対そうです!)
そのうち、二人はT字路にぶち当たった。
「どっち?」
「朝、通ってきたのは……右ですっ!」
「左のほうが、たぶん逃げやすいよ」
「たぶん!? もう、右! 右です!」
「アコちゃんのガンコもの」
「あなたが当てずっぽうすぎるんです!」
アスナは不満そうに頬を膨らませるが、手を引かれてしぶしぶ従う。ブラウスの前を大きく開いたままで、白いブラに包まれた乳房を抱えるようにして走っていた。
それは、ついさっきまでバストを揉みしだかれていたからなのだ。株式会社ユートピアの「社長」を名乗る、邪悪で醜いチビ・デブ・ハゲの、中年男に好き放題。
───大切な友達が、あんなオヤジに!
「ねえ、社長さんが嫌い?」
……この後に及んでそんな質問をするのは、きっと正気を奪われているからだろう。
彼女の耳元に取り付けられた「ヒュプノスペック」は、LEDを光らせてはいない。しかし、今この瞬間もアスナの脳に「何か」をしているに違いないのだ。
「……とにかく、言うこと聞いて。お願いです」
「うん。アコちゃん、でもね」
「まだ何か!?」
「たぶん逃げられないよ?」
「そんなことっ。ゲートはもうすぐ! 外に出れば、スマホも通じるようになるはずですっ!」
たどり着いたエントランスゲートは、空港の搭乗ゲートにも似ていた。またしても
巨大なガラス扉の向こうには、正常な社会への道が広がっているはず。
(私は、自由を取り戻す! アスナさんと、いっ──────)
ぴりっ。
耳元から脳に、電流が走る。
「あっ」
足が、ぐんと重くなる。口の中が急に渇いてくる。
まるで、脱出することが罪だとでも感じているかのよう。
「ああ…………」
うつむくと、額から汗がぽたりと落ちた。
(──いつの間にか、思いもしなくなっていた。ヒュプノスペックを外そうって……どうして?)
「ね、言ったでしょ? 逃げられないって」
アスナの声。
「
そして、第三者の声。
かつん、かつんとヒールの足音をさせながら、一人の女が現れた。
「私は
……いや、女と言うより女の子、なのだろうか。小柄な彼女は童顔で、女子高生くらいの年齢にも見えた。
スカイブルーのネクタイをきっちり締めたスーツ姿と、幼げなツーサイドアップにしたスミレ色の髪とが、少しミスマッチだ。
「まったく社長ったら、ツメが甘いんだから」
ぴりっ。
彼女が自分のヒュプノスペックをタップした直後、アコの意識はブラックアウトした。
◆◆◆
ぴりっ。
次に目を覚ましたとき、アコはまず、チリ一つない床の硬さを両脚で感じた。
それから肌で、快適な空気を。
鼻で、人工的な透き通った香りを。
耳で、多数の女性があげる明るい笑い声を。
目で、透き通るような光と清潔なオフィスを。
「覚醒時刻は十時五十五分、完璧に予定通りね。オリエンテーションを始めましょう」
新入社員たちの前に立つ早瀬ユウカが、落ち着いた声で説明を始めた。オーダーメイドらしい、体の線が出るタイトなスーツ姿だ。やはり童顔だが、横髪をさらりとかき上げる仕草に大人びた色っぽさを感じさせる。
「あの、アスナさん」
「しーっ」
アスナもアコの隣にいた。サイズの合わないジャケットをしっかり着て、静かに説明を聞いている。
らしくない。
「まずは、この施設の概要から。ここは我がユートピア・インテリジェンスの中枢、AIによって管理される本社ビル。あなたたちが今いるのは、低層部のオフィスエリアで───」
ぴりっ。
(夢……? 私は、悪い夢を見ていた?)
そんな風に思ったのは、自分のいるオフィスがあまりにもキレイで理想的な環境に見えたからだ。窓のない密閉された空間だが、照明や内装の工夫を凝らして透き通るような雰囲気を演出している。
ぴりっ。
監視カメラももちろん設置されていた。
「───AIは『ヒュプノスペック』を通じて、社員一人一人に最適化された業務サポートもしてくれる。それ以外にも、例えばストレスを検知して、シャワー室や仮眠室の予約、有給や『特別面談』の申請なんかも───」
社員達のデスクに仕切りはない。全てがオープンだ。
そこで働く社員たちは、もちろん女性ばかりで十数人くらい。たぶん総務部の経理課だろう。
もちろん全員が美しい顔立ちで、若い。
もちろんおしゃれなファッションで自分の魅力を引き出している。
素晴らしい職場だ。
ぴりっ。
社員たちは、もちろん全員ヒュプノスペックを装着している。机に向かって手を動かしながら笑い、何者かと会話し、業務に没頭していた。時おりヒュプノスペックのLEDが暗い青に光ると、身をよじって恍惚のため息をつく。
「──ヒュプノスペックは、我が社の誇る技術の結晶。あなたたちの脳波や行動を監視・分析し、自然言語での会話やAR機能、神経への電流刺激も使って、全自動で脳を
アコは、わずかに眉をひそめる。言葉の内容は何もおかしくないのだが───ユウカがどこか、テストの点を自慢したくて仕方がない小学生みたいな、誇らしげな表情をしているから。
だからアコは手を挙げた。
「ちゃんと安全装置も──何かしら天雨さん」
「あの、理想的な女性への道、とは?」
「いい質問ね。このユートピア・インテリジェンスでは『女性としてあるべき姿』を目指すことが最優先事項なの」
ユウカは、よくぞ聞いてくれましたとばかり目尻を下げた。スマート端末を取り出し、何かの文面を見せる。
そんな事をされても距離的に見えないのだが、そういう細かいことが考えられない精神状態らしい。
「それは、社長の理想とする女性とは何か、という規範意識と思想───すなわち社長に絶対的忠誠と服従を捧げ、ご命令には無条件で従い、女性としてのご奉仕を誠実に遂行すること───その
ぴりっ
おかしい。
ぴりっ。
「あなたたちの太陽である
ぴりっ。
おかしい。女性の道は、理想の女性は、そんなものじゃない。
ぴりっ。
「ヒュプノスペックは、私たち女に与えられた『
ぴりっ。
そんなのおかしい!
ぴりっ。
(やっぱり夢じゃなかった!)
「ふざけ───!」
「ぐひっ! ぐひひひっ! 」
「ひっ」
怒号がオフィスに響く直前、アコの背後から野太い笑い声が響いた。
振り返ると、脂ぎった中年のデブ男が立っている。ユートピアの社長を名乗る忌むべき性犯罪者が、数人の女性社員を引き連れて。
「社長っ! いらっしゃいませ!」
「入社式ぃ、お疲れさまでしたぁ♡」
「社長のご指示なら何でも従いますぅ♡」
「私たちのこと、もっと使ってください♡」
そんな男に、業務に励んでいたはずの女性社員たちが群がった。椅子を蹴立て、アコたち新入社員を押しのけ、我先にとハグを求める。
新入社員も例外ではない。先輩たちに遠慮しつつも社長にすり寄り、恵まれた肢体をなまめかしくこすり付ける。
「ああんっ、早く一人前になりたいっ♡」
「社長にご奉仕したいですっ♡」
「ふひっ! いいよ。じゃあ今度、面談室で……うひっ、ぐひー、おほぉ~、ぐひっ、ぶひひぃ~♡」
社長は何の遠慮もしない。鼻先に押し付けられた乳房に顔をうずめ、鼻の下をすぴすぴと蠢かせながら笑った。
醜悪な光景に、アコはただ唖然とするしかない。救いと言えば、アスナが自分の隣にいてくれることだけ……いや?
「ひひっ! ユウカ、説明はもう終わりに……」
「もう、ダメですっ」
ユウカが腰に手を当てて拒否する。眉がハの字になった困り顔は、まるで小学生のイタズラを見つけた担任の先生のようだ。
いや、あるいはだらしのない先生に困り果てる学級委員長かもしれない。
「社長、まだ説明が済んでないですから」
「いいだろ? 『ホワイト』の子たちと遊び……」
「ダメです、もうっ。社長なんだから社員の模範になって下さいって、いつも言ってるじゃないですか。ほら、あなたたち、どいて!」
群がっていた社員たちがサッと離れた。
一喝したユウカはズカズカと社長に歩み寄り、乱れた服装をテキパキと整える。
「社長、ネクタイが曲がってます」
「いや、それよりさあ」
「あっ、シャツもはみ出てる。めっ!」
「う、うひぃ~」
クールなビジネスパーソンを装っていたユウカが、甲斐甲斐しく社長の世話を焼く。気持ち悪い中年オヤジの脂ぎった肌に触れても、気にした様子はない。
アコには信じられない光景だった。だらしない男を叱りつつ、世話を焼くなんて。あんな有能そうな女性が、男なんかのために。
隣にいるアスナも驚いているようだった。自分のヒュプノスペックに触れながら、まばたきの仕方を忘れたとでも言いたげに、ぱっちりと両目を開いたまま硬直している。
(い、いや、そんな事は関係ありません。私は正気に戻ったんですから、戦わなくては)
まずは良妻ぶったバカ女、早瀬ユウカに抗議しなければ。
だって逃げられないし、逃げようという気持ちにもならないのだから。正確な言い方かどうか分からないが、どうやら自分は「認識を鈍化」させられているらしかった。
だったら前に進むしかない───しかし、何者かがアコの手を引いた。
「よしなさい」
「えっ」
アスナかと思ったが、違う。彼女とは反対側から、背の低い
「あ、貴女は……!?」
「私はヒナ。今は黙って見てなさい」
「い、いやですっ」
「知りたくない? あの社長に反撃する方法」
「え、えっ」
ちぐはぐな女性だった。子供に手を焼く母親のような、ひどく気だるげで落ち着いた声。
しかしそれに反して、ひどく幼い見た目なのだ。百六十五センチあるアコより、頭一つは確実に小さい。生理も来ていない小学生のような体格である。
「逃げることができないなら戦う。面倒くさい発想ね。たまには立ち止まらないと、体が保たないわよ」
そのくせメイクは人妻風の、こなれた感じ。アイシャドウも唇も濃いめの紫色だ。濃紺のビジネススーツは古ぼけていて、クローゼットの奥から引っ張り出してきたかのよう。
そして、彼女が着けているヒュプノスペックは
「貴女は……いったい」
「どうでもいいでしょ。社長の観察に集中して」
「あっ」
社長とユウカは、いまだに二人の世界を作っていた。服装を直し終わり、ユウカの小言は社長の仕草や声にまで及んでいる。
「もうっ、私がいないとダメなんですから」
「ぐひぃ……」
「そのうち、その笑い方も直してあげます。というか、研修は私に任せてくれるって約束でしたよね? どうして邪魔するんです? 私は頼りないですか? あなたの第一秘書である私のことが、そんなに信じられな……やん」
社長の手が、短めのスカートから伸びるユウカの生足を這う。
抗議していたユウカの頬がぽわっと赤らんだ。社長の脂ぎった手が内ももを滑ると、彼女の腰は大げさなぐらいくねる。健康的でむっちりした太ももが、閉じたり開いたりした。
「あンん、もぉ」
「ぶひひっ。ユウカのことが信じられないわけ、ないじゃないかあ。おほっ」
社長は腰をクネクネと動かしながら笑った。それはどうやら、ユウカが膝で彼の股間を刺激しているからのようだ。そして社長の膝も、いつの間にかユウカの股間をまさぐっている。息の合った滑らかな動きで、二人は互いを高め合い始めた。
「んっ、信じてくれてるならいいんですっ」
ユウカは社長の手を取って頬ずりした。指を絡ませるような手繋ぎだ。二人は見つめあい、ぴたりと動きを止める。
アコは、自分の手を離さないヒナに問いかけた。
「私に何を見せたいんですか」
「あなたにと言うより、私が見たいの。ヒュプノスペックの効きが悪いあなたが、あの光景を見てどう思うのか。これからどう行動するのか、興味があるのよ」
ヒナがこちらへ向ける眼差しには、好奇心以上の何かがあった。気だるげに細めた目の奥で、何かがギラつくような。
やがて数分が経つと、ユウカがうっとりとまぶたを下ろした。薄くルージュを塗った唇を突き出す。
「ん」
「ぶひっ」
唇と唇が触れ合うまで、数ミリという距離を残して二人の顔が近づく。アコの隣で息を殺していたアスナが、ごくりと喉を鳴らし───だが、あと少しで重なりそうな唇が空しく空振りした。
「ちょっとアナタ」
「ぶひっ、ヒナっ」
「あぁン、もう」
アコの手を離したヒナが、社長とユウカの間に割って入ったからだ。
ヒナが手でとんと突くと、社長は不満そうにしつつも体を離す。
ユウカとヒナの間に、バチバチと火花が散った。
「早瀬ユウカ」
「なんですか、
「あなた、自覚が足りないんじゃないかしら」
「私は『女性の本分』を果たそうとしただけで」
「言ってごらんなさい。この時間は何をする予定だっだの」
背の低いヒナから睨み上げられ、ユウカは怖じ気ついたように目をそらした。
「今は、『社長への忠誠』をどのように果たすかということを、説明すべき時間で」
「あなた一人で?」
「いえ、その、本来はグループワークで」
「他人の前で社長を叱ることが、忠誠を示すこと?」
「それは、その」
「それは、あなた個人の欲望でしょう」
「あ、うう」
ユウカはしどろもどろだ。彼女よりずっと見た目の幼いヒナに、まるで部下のごとく叱られている。
「まあまあ、空崎さん。ユウカちゃんにも面子がありますから……ステキです、社長ぉン……♡」
「申し訳ありません。ユウカには後できつく……あン、かたぁ……♡」
「ノア、リオ。あなた達は分かってるみたいね」
そこに助け船を出したのは、ヒナと一緒に社長に付いてきた、二人の女性。
銀髪に白いスーツ。
黒髪に黒いスーツ。
どちらもロングヘアで豊満なスタイルをした美女たちだ。
「ぶひひっ、フェラっ、ダブルフェラだっ」
「はぁい。ンん……んべ、んぶぅ……♡」
「お任せを、ぁ、れぇろ、れろれろぉ……♡」
ヒナの言葉に頷いた二人が何をしているかと言えば、社長の足下にひざまずき、体を揺らして、頭をうごめかせているのだ。
ズボンのチャックからペニスを取り出し、それぞれの舌を絡ませ、醜悪な肉塊のあちこちを舐めずっていく。
「ぶひひっ、ノア、リオ。今日もいい舌づかいだよぉ」
社長はフェラチオにだらしない笑みを浮かべるだけで、自分からは何もしない。王様のようにふんぞり返って、美女二人が自分の股間にしゃぶりつくのを眺めるばかりだ。
「あ~……いい気分だよぉ……」
「すてきぃぃ……ああ、ユウカちゃんがボッキさせてくれたバキバキペニス……♡ ご奉仕させていただき、ありがとうございますぅ……♡」
ぴくぴく暴れる剛直に、銀髪のノアは瞳をトロかしてガマン汁をすする。唇をとがらせて、ちゅううと吸い付き、無くなれば舌でペロペロ舐めて次の汁を求めた。
「ぁあ、くっさぁ……♡ オマンコしたまま洗っていない、愛液と汗まみれのくっさいボッキ様♡ なんて非合理的なかっこよさ♡ レロっ♡ ペロっ♡ じゅるっ♡」
一方、黒髪のリオは社長の腰へすがりつくように腕を回した。スーツ越しに豊満な胸をコスりつけながら、ペニスの段差や裏側を舐めずる。長めの舌を蛇のようにくねらせて、何度も何度も亀頭に巻き付け味わう。
「んふうううッ」
「はふうううッ」
ねちねちと舌を絡ませる二人は、どうやらそれで自分も快感を得ているらしい。口内粘膜と肉の豊かさで男の欲望に奉仕しながら、スカートに包まれた尻をくねり、太ももをモジつかせている。
「ふひぃーっ」
ノアとリオの舌でペニスを挟まれ舐めずられている社長は、だらしない顔で舌を垂らしていた。多数の女性たちに見守られながら二人に口淫奉仕されることが、よっぽど気持ちいいのだろう。焦点の定まらぬ目は、快楽にどっぷりと溺れている。
「あ~、いいよぉ……ノア、リオ……おほっ」
「社長っ♡ 社長っ♡ 社長っ♡」
「ああ、オマンコしたい、したいしたい……♡」
美女二人は一心不乱にペニスをしゃぶりながら、自分の股ぐらに指を這わせてクチュクチュいじっていた。この世にこれより楽しいことはないと言うかのように、上気した顔に薄ら笑いを貼り付けてひたすら口と指を動かしている。
「あ~、いいなぁ、秘書室のみなさん」
「うらやましい……」
社員たちから羨望の眼差しを向けられている美女二人は、ユウカと同じ社長秘書らしい。なのに、求められている業務はフェラチオと卑語とオナニー。
ヒナが、アコたち新入社員に向けて言った。
「よく見ておいて。これが社長への忠誠を示すということ。ユートピアで求められることのほとんどはコレよ。社長の自尊心とペニスにかしづいて、気持ち良くなってもらうこと。そのためだけに人生を捧げるの」
(今さら、このくらい)
およそ正気とは思えない光景だが、アコにとっては今さら驚くほどのことではない。彼女たちはヒュプノスペックによって洗脳され、社長に奉仕する性の奴隷にされているというだけ。
きっとヒナとユウカも、そのはずだ。
「ノアとリオは、それでもまだ未熟よ。ユウカに比べれば」
ヒナはユウカに向き直り、厳しい口調で言った。
「ランク『スカイブルー』である自分の地位を自覚したらどうなの、ユウカ。今は社長を叱るのが『女性の本分』に含まれてるわけ?」
「いえ、でも、おっしゃる通り私はスカイブルーですから、裁量権があって」
「私はもう、ランク『パープル』になってしまったけど。スカイブルー時代にも、社長を叱ったりはしなかった」
ヒナとユウカも洗脳され、社長の玩具にされているはず。なのに、二人は自我をむき出しにしながら言い争う。
ランクだの何だのと言われても何のことやらで、アコは完全に置いてきぼりだった。アスナや他の新入社員も居づらそうにしている。
(いいえ、でも、待って)
よく見れば、ユウカと他の社員たちではヒュプノスペックに灯ったLEDの色が違う。
アスナや新入社員たち、そして恐らくはアコ自身も
そしてユウカは、CEOのリンと同じ
(秘書なのに、CEOと同じランクということ?)
未熟な
だとすれば
そのヒナが、ノアとリオに声をかける。
「二人とも、ユウカの場所を空けてあげて」
「はぁい……♡ ユウカちゃん、トリプルおフェラで社長にご奉仕しよ♡」
「そうです。ご奉仕で忠誠を示さないと」
「もう、分かった、分かりました」
ユウカが社長の前にひざまずくと、ノアとリオが場所を空けた。唇からねっとりと糸を引く唾液を、二人はちゅるりとすする。
ユウカの邪魔はしないようにしつつも首をぐっと伸ばし、社長のペニスを唇でサンドイッチした。
「社長、あの」
「うん?」
「か、勘違いしないでくださいね」
ユウカは、半分涙目になりながら言った。
「私は別に、社長を叱っていたのも、本気で怒ってたわけじゃなくて」
「分かってるよぉ、ユウカのことは何でも分かってる」
「あなたに恥をかかせようと思ったわけじゃ、ないんです。私があなたとどういう関係なのか、新入社員の皆さんに見てほしかっただけで」
「うんうん、マウント取りたかったんだねえ」
「い、言いかたに気を付けて下さいっ! 別に、ただ、私はあなたの一人目だからっ」
社長はうなずきつつ、ペニスをビクつかせる。睾丸もぷっくりと膨れさせていた。
それはノアとリオの舌が裏筋や鈴口を這い回り、じゅぶじゅぶと泡立つような音が鳴っているからだろう。
「んれぇろ、ユウカちゃん、れぇろ、はやくぅ♡」
「一緒に、じゅるぅ、ご奉仕を、れろぉ♡」
「あうう」
ノアとリオに急かされ、ユウカはしぶしぶ口を開いた。伸ばした舌をうねらせながら、社長のペニスにまとわりついた美女二人の唾液をこそげ取っていく。
「んふぁあ」
「お前はボクのなんだ? ユウカ」
ユウカのヒュプノスペックが光る。
ヒナが、こっそりとアコに耳打ちした。
「いま、電流が流された」
「見れば分かります」
「そう。観察力があるのね」
「さんざん見せつけられましたから」
「それは災難ね。ああ、それと」
「何ですか」
「したかったら、この場でオナニーしてもいいのよ」
アコの心臓が跳ねる。
「な……にを」
ビジネススーツの下、下着の内側で、女性器が火のように熱くなっていた。じゅくじゅくと涎を垂らし、その「穴」を何かでふさいで欲しいと訴えている。
アコはまだ、自分の指さえ受け入れた事がないのに。
「今感じている疼きは、あなたの責任じゃあない。社長が性行為を行っている近辺では、ヒュプノスペックがそういう雰囲気を作ろうとするの。早く慣れなさい」
「慣れろ……って」
「あなたが淫乱とかじゃあないってことよ。ヒュプノスペックを着けているのにオナニーひとつしないなんて、逆におかしいんだから」
「わ、私はそんな、人前でイヤらしいことはっ」
「だったら安心ね」
「……もしかして、あなたも?」
「さあ、どうかしら」
ヒナは肩をすくめて、スーツに包まれた小さなお尻をぽんぽんと叩いた。
彼女はあまりにもあっけらかんと、ヒュプノスペックについて語る。それが何か知り尽くしているかのうに。それに何をされてきたのか、まるで感じさせない口調で。
(信用、できるんでしょうか)
アコたちがそんなやり取りをする間にも、異常なオーラルセックスは進行していた。
ノアとリオの唾液をあらかた舐め取ったユウカは、今度は自分の唾液でペニスをコーティングし始める。左右に並んだ睾丸にも指で奉仕しながら、うつろな声で呟いた。
「れる……私は……ぇる……社長の、秘書です」
「んん~、そういうんじゃない。言いたいことを言って他にマウント取ればいい。ボクが許す」
社長に頭を撫でられ、ユウカの声がうわずる。
「そっ、それは、私は、その」
座り込んでいたユウカが、お尻をかかとから離す。膝立ちになって、社長へすがりつくように体を寄せた。
短いスカートから伸びる肉感的な太ももに、汗とも他の体液ともつかない何かがしたたる。
「ずっと一緒にやってきた第一秘書でっ、大好きな社長のために生きてる女っ。このユートピアで一番、社長に愛されてる女っ。ランク『ブルー』になって、あなたの理想を叶える女っ」
アコには何一つ理解できないことを口走りながら、ユウカは社長の股間に顔をうずめた。ノアとリオが舐め回したペニスを、自分の所有物だと言わんばかりに舐めしゃぶり、むさぼる。
「んむ、ちゅぶ、じゅるるっ」
いやらしく唇をすぼめ、頬をへこませてじゅぷじゅぷと頭を前後させる。たぶん唇を輪っかのようにして、社長のペニスをごしごしとシゴいているのだろう。
「ああ~っ、ユウカちゃん可愛い♡」
「社長ぉ、私たちにもぉ♡」
そこに、ノアとリオも加わった。突き出したお尻を揃って揺らし、ユウカの唾液がしたたる男根の根本や袋を喜色満面に舐め始める。
ユウカとノア、リオの頭が上下するリズムは、完璧に調和していた。ヒュプノスペックのLEDも、リズムに合わせてチカチカ光る。
アコの隣にいるヒナが、薄く笑った。
「ご奉仕している時はね、ヒュプノスペックが『真っ当な人間としての自分』を忘れさせてくれるの。息が詰まって視界がぼやけて、社長しか見えなくなる。時が止まったような感覚の中で、フワフワの幸せと快感だけが積み重なっていく」
ヒナは、社長に奉仕する美女たちの様子をじっと見つめていた。その横顔には、どこか昔を懐かしむような寂しさが浮かんでいる。
「そして『空崎ヒナ』という自我が消えていって……最後に残ったのは愛だけ」
「それは洗脳……いえ、そうですか」
アコは気だるく返事をした。ヒナも洗脳されているのなら、まともに会話をしても仕方ないと思ったのだ。彼女にアコ達を害するつもりはなさそうだが、気を許すつもりもなかった。
そしてアスナは……アスナは、まさしく時が止まったかのようだ。まばたきも呼吸もほとんどせず、目だけをキョロキョロ動かして社長とユウカたちを観察している。
他の社員たちと違って、立ったまま自慰行為をしていないだけマシだろうか。
(どうすれば、いいの)
命令されれば逆らえない。ヒュプノスペックを外すこともできない。逃げることも、助けを呼ぶこともできない。
それでどうやって、アスナを助けてあげられる?
ヒナが不意に、アコへ向けて笑みを浮かべた。
「まあでも、抵抗する方法が無いわけじゃない」
「…………!?」
「あなたは観察力があるし、頭も良さそう。何より、何となくでもヒュプノスペックに抵抗できている。どう? 私の話を聞いてみない?」
アコは警戒しつつ問いかけた。
「それが反撃の方法ですか?」
「戦うかどうかは、あなた次第だけどね」
ヒナはちらりとアスナを見てから、社長と美女たちを見る。
「もうすぐオリエンテーションも終わりみたい。見て」
「見たくありません」
「それでも見て。社長の声が細くなってるのが、射精の前兆よ」
確かに、社長の体が震えている。ユウカたちはお構いなしに、社長を高みへと押しあげていた。一本のおちんちんを三つの小さな顔で囲み、一心不乱に舐めしゃぶっている。
「んぶ、れるる、ちゅぴっ」
「はぁ~い、社長♡ イッてください……♡」
「どぴゅどぴゅって♡ たくさん出してぇ♡」
(さっさと終わって)
アコは下半身の疼きに耐えながら、ヒナの言う通り観察を続けた。
終われ。早く射精しろ。私をこの、機械に強制されたみじめな発情から解放して……!
「んふぅ~、そろそろイキそうですかぁ? んはぁ……あむぅ……」
ユウカがペニスにむしゃぶりついた。それでフィニッシュなのか、ぐっぽぐっぽと頭を前後させ始める。
手指で睾丸をやわやわ揉んで射精を促しながら、唾液を泡立たせてじゅるじゅると、カリ首の段差から竿の根元までを唇の輪っかでシゴく。
「あぁ~ん、ユウカちゃんずるぅい」
「下品な奉仕ね」
ノアとリオは立ち上がって、社長の耳や頬にキスを浴びせ始めた。男が求めるとすぐに舌を絡めて応じるあたり、ユウカが射精させるサポートをするつもりらしい。
「ん゛~」
ユウカは口をタコのように窄めて、ぎゅっとペニスに吸い付いている。社長の睾丸から精液を吸い出そうと、文句なしに美少女と言える顔を台無しにして。
ノアが、社長の耳を舐めしゃぶりながら囁いた。
「んふ~♡ 社長ぉ♡ 出してください、出せぇ♡」
リオも、反対側の耳に舌をねじ込みながら言う。
「んじゅるるっ♡ れろっ♡ たくさん出してくださいね♡」
そしてノアとリオが社長の顔にキスしまくった直後、アコの隣でヒナが呟いた。
「ほら、射精するわ」
社長が声と体を震わせる。ノアとリオに左右から耳を舐められながら、ユウカの口にペニスをしゃぶられ、びゅくびゅくと精液を吐き出していた。
「ん゛~~~~~~っっ」
社長が射精する瞬間、ユウカはひときわ強く吸い付いていたらしい。ノドを鳴らしながら体液を飲み下していた。
ごきゅっ♡ ごきゅんっ♡♡
ノアとリオも社長の頬にキスしながら、上ずった声で社長を褒めそやす。
「あ~ん、出た出たぁ♡」
「なんて勇ましいお射精♡」
「ユウカちゃんをリスみたいにしちゃたぁ♡」
「さすがは、私たちの太陽でいらっしゃいます♡」
社長が精液を出し終わると、ノアとリオがペニスに吸い付いていたユウカを引き離した。
ちゅぽっ♡ と音を立ててペニスが抜け、ユウカはその場に尻もちをつく。
「はぁーっ……はぁーっ……」
よく見ると、彼女の下半身……正確には股間のあたりに水たまりができており、失禁しているようだった。
それでいて恥じた様子もなく、うつくしい夢でも見ているかのようにぼんやりしている。
「さあ、ユウカちゃん。ご奉仕させていただいたお礼をしましょ♡」
ノアとリオが呼びかけると、ユウカはびくりと震えて姿勢を正した。正座してオフィスの床に手をつき、社長に向けて深々と頭を下げる。
ノアとリオも左右に並び、同じように頭を下げた。
「社長、精液を飲ませていただき、ありがとうございました」
「ユウカちゃんに精液をお恵みいただき、ありがとうございました♡」
「夕方には懇親会を予定しておりますので、ぜひお楽しみに♡」
ヒナが、脱力していたアコのお尻を叩く。
「いった」
「あなたもイった?」
「そんなワケありません」
「天雨さん、言っておくけれど」
「分かっています」
「いいえ、分かっていない。これからあなたと、あなたのお友達がさせられる事は、あんな日常ルーティーンのお手軽な性行為だけじゃない。文字通り全てを捧げさせられるのよ」
そんな事は関係ない、とアコは思った。ヒナに言われずとも、アスナを助けたいという欲求は本物なのだから。
(そのためなら……)
「私は何でもする覚悟ですから」
アコの答えを聞いたヒナが、また薄く笑った。
(続く)
ここまで読んでいただきありがとうございました。お気に入り・感想・評価など、いつもありがとうございます。更新の励みにしております。
次回は、社長秘書の早瀬ユウカによる「懇親会」が開かれます。乱痴気騒ぎをお楽しみに。
どのエピソードが好きですか? 続きを書く参考にさせてください。
-
プロローグ
-
ユウカの章-1
-
シロコの章
-
リンの章
-
ユウカの章-1
-
ミッドローグ
-
ミカの章
-
アスナの章
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アコの章-1
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アコの章-2