男だった僕の体に、男女入れ替わりが起きるようになり、時が経ち、やがて妻になり、そして、母となった 作:卯月らいな
明石くんが僕に会いたいと言ってきた。俺の事業が危機のところを救ってくれた、銀行員のあの明石くんである。
明石くんは短髪が似合うスポーツマン風のさわやかな青年だった。女性にもてそうな雰囲気があった。何かスポーツをやっていたのかを聞くと、学生時代はそれほどスポーツに熱心じゃなかったけれど、つい半年前からトライアスロンに挑戦するために体を鍛えているということらしかった。
彼と話していると、あるきっかけで昔と人生変わっただの、結婚を前提にした彼女ができただのということをしきりに話していた。そのあるきっかけについては教えてくれなかったし、なぜそんなことを初対面の俺に対して夢中に話すのかも理解できなかった。
俺の妻についてもしきりに質問をしてきた。どんな生活を送っているのか、彼女は幸せなのかなどなど。俺が彼女についてノロケ話をすると明石くんは生暖かさと寂しさを混ぜ合わせたような不思議な目線でそれを聞いていた。
「奥さんをいっぱい幸せにしてあげてくださいね」
っていう言葉がなぜか印象に残った。
「さよなら」
まるで、泣いているようなかすれ声で彼は別れ際に言った。不思議な男だった。
家に帰るとケイコが今日、誰と会ってどんな話をしたのかしきりに聞いてきた。
不思議な男との不思議な会話のことを話すと、意味ありげに「そう」と彼女はつぶやいた。
そして、続けてこう言った。
「エッチしよっか」
おっとりとした声色から放たれた唐突な言葉に俺は椅子を滑り落ちてしまうという漫画みたいなリアクションをしてしまった。
「今まで、隼人さんと子供作っていいものかどうか、男性とエッチなんかできるのか、私の中ですごく葛藤があったの。だけど、あなたとの幸せな生活を過ごしていく内にいろいろと心の垣根がなくなっていったというか。その、もう一人の私と話し合いをしたというか」
俺は今では当たり前のように彼女の二重人格を受け入れているが、冷静に考えてみると、相当ヘンなことを彼女は言っているなと苦笑いした。
「私、あなたの赤ちゃんが生みたい。子どもがほしい」
「ケイコ……」
俺はキスで彼女の口を塞いだ。「あっ」と彼女の甘い吐息が漏れる。黒のロングスカート越しに俺の股間のふくらみが当たってしまった。女性に対する恐怖感がなくなり、あんなに縮こまっていたそれがこんなにはちきれんばかりに勃起するなど、彼女との出会いがなければ考えられないことだった。
俺が毎日、目の前にいるのがケイコか怜香か当てるためにしていることは、彼女の服装を見ることだ。派手めの服だと怜香、地味目の服装をしていたらケイコといった具合に。だが、今日ばかりは俺の服装占いは、はずれてしまったのだ。
俺が見る限りでは、ケイコははじめて、パンツではなくスカートを履いていた。そして、いつもより、かわいめの装飾が施されたブラウスを着ている。怜香の平均よりは控えめの服装ではあるけれど、ケイコにしてはだいぶチャレンジしている。おそらくは、彼女の女心というやつに何かしらの変化があったということだろう。
彼女は上目遣いで俺の胸、へそにキスをした後、ズボンのジッパーを下ろしにかかった。
「もしかして、口でしてくれるのかい?」
「そこまでするのはちょっと怖いな。手でしてみたい。気持ちよくなってほしい」
彼女は慣れたようなてつきでトランクスの隙間からペニスを取り出すとやさしく上下にしごきだした。
「き、気持ちいい……」
情けない声をだす俺に、彼女は天使のように本当に幸せそうな笑顔を向けた。
「出そう?」
「うん、出そう」
「出しちゃえ」
子どもがオモチャを扱うように無垢な表情に俺は心を射抜かれ、ペニスから第一波を発射した。そして、それは彼女のほっぺたにかかった。それを彼女は指で掬うとぺろりとなめた。
「俺はケイコを汚してしまった」
「私はもう十分心が汚れてるから別にいいよ」
「そんなことはないよ。すごく心が暖かくて、思いやりがあるじゃないか」
「ありがと。私ね。自分のことを本当に悪いやつだと思ってるんだ。でも、本当に思いやりのある人になれるように頑張らないとね。だって、これから私お母さんになるんだから」