男だった僕の体に、男女入れ替わりが起きるようになり、時が経ち、やがて妻になり、そして、母となった 作:卯月らいな
彼女を押し倒し、スカートの中に手を入れ、ショーツに触れる。濡れているのを確認すると彼女はさすがに恥ずかしいのか両手で顔をおおってしまった。
「どうしてこんなになってるんだい」
「だってだって……隼人さんが必死でこらえる姿がかわいかったんだもの」
「ケイコってやっぱり女の子だなあ」
「……ばか」
彼女の耳が赤くなった。本人は否定しているが、彼女の女子力をほめると、なぜかいつも、彼女は顔を真っ赤にして恥ずかしがるのだ。反応が面白いものだから、つい、からかってしまう。
俺は彼女のお尻をなぞりながらうなじから乳房を舐めていくと、体をこわばらせて甘い吐息を漏らしていく。
「そろそろいいか」
と、俺はペニスを彼女のそこにあてがって、一気に挿入した。
「いっ!」
「ごめん。痛かったかい?」
「大丈夫。ちょっとびっくりしただけ」
「うそだ。うっすらと目に涙が……」
「平気だってば。動かしても大丈夫だよ」
彼女は俺がセックスに自信を失っていることを知っている。だから、傷つけないように気をつかっているのだ。俺は言葉に甘えて腰を動かし始めた。そして、あまりの気持ちよさに、すぐに達してしまったのだ。彼女を気持ちよくする間もなく、俺だけが気持ちよくなってしまった。
「すごく気持ちよかったよ。もっと自信もって」
彼女はやさしく微笑みかけてほっぺにキスしてくれたが、それも俺には優しい嘘だと分かっていた。これから、本当に彼女を気持ちよくできるように、幸せにできるように頑張らなきゃなと思った。
怜香は女の赤ちゃんを産んだ。授乳する彼女はすっかり母親の顔になっていた。
さらに、その子どもが2歳になった頃、久しぶりに"元の"怜香が現れた。
「久しぶりね。どうしてた?」
「事業はまずまずといったところかな。大手企業から大きめの金額で買収をしたいって提案も来ているけど、もうちょっとだけ、自分の手で頑張ってみようと思ってる。あまりに忙しくて、娘のことは彼女に任せきりになっちゃってるかな。家族サービスできる時間をなるべく確保してはいるつもりではいるけど、"今の”怜香には申し訳ないと思ってる」
「子育てでストレスを貯める母親って多いけど、彼女なら大丈夫じゃないかな。近所の人や親戚に好かれてて、相談できる人がたくさんいるみたいだし、私には真似できないなぁ……」
怜香は窓の外を見つめ、ため息をつく。
「今日、私があなたのところに来たのはね。私たちがあやまらないといけないことがあるからなの」
「私たち?」
「そう。私たちは嘘をついてた。二重人格っていう大嘘をね」
彼女から告白されたことには俺は心底驚いた。ケイコとかつて呼んでいた人格は圭悟という男と入れ替わったものであること。そして、その入れ替わり先の圭悟というのが、あの明石くんであったこと。元の”怜香"は、明石圭悟として夫として幸せな家庭を築いていることなどなど。
言われてみればこれまで、謎だと思ってきたことがパズルのピースのようにうまく当てはまるのだ。俺は騙されていたのか。どす黒い感情がふつふつと俺の中にわきあがる。
次の日、俺は仕事を終え、家に帰ると、二、三言問答をし、妻の人格がケイコであること、娘が就寝していることを確認すると、彼女の肩を壁に押し付けた。
「今までよくぞ騙してくれたね。明石圭悟くん」
彼女は、いや彼は俺の顔を見上げて怯えていた。