プリマドンナ~TS転移娘がふたなりサキュバスに堕とされる話~ 作:Sfon
序章 〇・二三パーセント
人生における『成功』とは何だろうか。お金をたくさん稼ぐことだとしたら、石油王やスポーツ選手などの職業に就いた人、資産家などが成功者となるだろう。素晴らしい人と出会うことだとしたら、気が合う人や見た目の好きな人をパートナーに出来た人が成功者となるだろう。
百年前であれば、それらは一流の成功者だと言えたはずだ。しかし、現代においてそれらは二流の成功者に甘んじており、それらを上回る、更なる成功者が存在している。サキュバスが世界を支配し、人間が犬や猫といった動物と同じ
この時代における『成功』は、手に入れるだけで一生遊んで暮らすことができ、なおかつパートナーとして最も相性の良い存在を得ることができる、とある資格を得ることを指している。
その資格の名前は、『プリマドンナ』。通称『プリマ』と呼ばれるその資格の保持者に与えられるのは、他の世界から呼んだオスの人間の精神と、この世界で作り上げた至高の肉体を組み合わせた、オーダーメイドの人間のメスだ。この資格こそが、この世界に存在する全てのサキュバスにとって
それだけの力を持っている『プリマドンナ』の取得方法は至ってシンプルで、全国の難関高校上位七つのいずれかに首席入学すればよい。それら難関校の年間合格者は合計で約三千人、その中でプリマドンナになれるのは僅かに七人だ。
全国の学生たちはその、たった七つの席を得るべく全身全霊をかけて受験勉強に励み、『自分だけの人間のメスを持つ』という人生の成功を夢見ている。そして今年もまた、対象校の受験者において〇・二三パーセントに過ぎない、七人の成功者が生まれたのだった。
四月五日、月曜日。入学式当日。関東のトップ校である
眠い目を擦って体を起こすと、ベッドの上に散らばっていた黄金の髪がふわりと舞って背中に纏まる。ちょうど腰の上あたりまで伸びている、軽くウェーブのかかった艶のある髪だ。そしてその背中からは蝙蝠を思わせる翼が一対、腰からは悪魔のような尻尾が生えており、人間とは異なる存在であることは明らかだろう。
現代的な内装ながら上品さと可愛らしさを兼ね備えた広い寝室、その中央に置かれたクイーンサイズのベッドの上で大きく肩を回し、深呼吸も一つして、眠気を吹き飛ばす。
彼女が着ているのは、フリルがついてフェミニンなデザインの、ワンピースタイプの寝間着。その胸元は下から大きく押し上げられているが、決して下品な大きさではなかった。耐性のないものがここにいたとしたら、あまりの色気と美しさに卒倒してしまうのが目に浮かぶほどの容姿を持っている少女だった。
頭が冴えてくると同時に、そっと目を開いた。その瞳はサファイアを思わせる深い碧眼で、見る者の視線を吸い込むほどの魅力を持っている。それが向けられたのはベッドの外、自動で開いたカーテンのその向こうにある、まだ見慣れていない都会の風景だ。
「……夢じゃないわよね」
夢を叶えるために地方から久場瀬高校を受験し、首席合格の通知を受けてからあっという間の一か月だった。あの通知を受け取ったときは、いくら人一倍努力した自負があったとはいえ、まさか本当に首席合格できるとは思ってもみなかったニカと親が揃って、まるで地球最後の日が訪れたのではないかと思うほどに騒ぎまくったのを覚えている。
時計に視線を向ければ、それほど時間に余裕はなかった。いつまでも感傷に浸っている暇は無い。さっさと洗面を済ませ、朝食を食べ、制服である黒のセーラー服に着替えて、髪をハーフツインに結い上げる。鏡で身だしなみを確認すれば、そこには我ながら美少女と胸を張れるだけの容姿をした、金髪碧眼の少女が居た。
胸にはプリマドンナであることを示す、金色の小さなバッジを付けてある。それは人生の成功者である証であり、特権階級を得た証拠でもあった。指先で触れれば確かにその存在が感じられ、想像でき得る中で最も素晴らしい光景の一つを目の当たりにすれば、思わず頬を緩めてしまう。
その笑みは年相応にあどけないものであり、いくら難関校の首席合格者といえども、高校生になったばかりの若いサキュバスに変わりはないのだと分かるだろう。特別扱いをされれば調子に乗ってしまうし、気も緩んでしまう年頃だ。彼女はその自覚を持てるだけの人間性を持ち合わせており、気を抜くまいと深呼吸をして気持ちを入れ替えてから学校へ向かった。
登校、入学式、自己紹介、ホームルーム、全てそつなくこなした筈だが、ほとんど記憶に残っていない。あまりの待ち遠しさに頭が埋め尽くされていたのだろう、いつの間にか放課後を迎えており、クラスのトップグループの一員となって、話し上手な生徒同士の会話をなんとなく聞いていた。
プリマドンナについての話を振ってくる人はおらず、どことなくクラスメイトから距離を置かれている気がするが、進んで人と交流したい性分でもないから、かえってありがたかった。基本的には自分以外で話が進み、それに笑顔で相槌を打つ。たまに目線がこちらに送られるから疎外感はなく、楽しく話を聞いて時間を潰すことができた。そうしてしばらく雑談をしていると、教室に入ってきた担任がニカを呼び出す。
「エマニュエルさん。準備ができたから、来てください」
入口からかけられたその声はさほど大きいものでもなかったのに、教室が瞬時に静まり返る。そして視線が一斉に自分へと向き、その羨望と嫉妬の入り混じった感情があまりにも重くて押しつぶされそうになった。そこでニカは初めて、プリマドンナという立場がどれほど重いのかを実感したのだった。
ひりついた空気の中、何とか声を振り絞って返事をしてから、席を立って先生のもとへ向かった。先生に先導されて廊下を進んでいく中でも、周りにいる生徒の視線が絶えず突き刺さるし、周りを見ないようにしていても、生徒たちの会話は耳に入ってしまう。
『あんな名もない子が首席だなんて』『まともな家系こそプリマがふさわしいのに』などと陰口を叩く者の声や、『今のうちに恩を売っておけば貸しが作れる』『どうやったら友達になれるかな』などと打算的な好意を向けようとする者の声が、楽しいはずの気分をどんどん削いでいく。
(何が名家よ。私に試験の点数でも、面接でも負けたくせに、威張ってるんじゃないわよ)
自分は努力して正当にこの立場を勝ち取ったのだ、あれらは所詮負け犬の遠吠えだと言い聞かせて心を落ち着かせる。誰に何と言われようと気にする必要はない、これからの生活は自分で切り開いて素晴らしいものにするのだと決意を新たにし、歩みを進めた。
歩くこと数分。不意に先生が立ち止まり、こちらに振り返った。そっと差し出されたその手には銀色の鍵が一本握られており、とりあえず受け取ってまじまじと眺める。どことなく西洋の古い鍵といった印象を受ける、凝ったデザインをしていた。持ち手の中央には、今年の一年生のイメージカラーである、赤い宝石が嵌め込まれている。
「これから卒業まで使う鍵だから、無くさないように。ここがあなたたちプリマドンナの使う実習室です。詳しくは中にいる先生が説明するでしょう。上手に使いなさい」
「はい、ありがとうございます」
すぐ傍にある扉には、先生が言った通り「実習室」と書かれていた。他の教室とは雰囲気の違う、重厚感の漂う扉だ。まるで異世界に通じているのではないかと思うほどに、廊下の雰囲気とは隔絶している。
「じゃあ、私はこれで。また明日」
「ありがとうございました」
緊張のあまり、返事がぶっきらぼうになってしまったのが良くなかったのだろう、先生の口調はあまりにも事務的で、嫌われたかと思ってしまうほどに冷たい態度だった。少なくともこれから一年間は担任とその生徒として関わるのだから、もう少し打ち解けようとする姿勢を見せてくれてもいいのではないかと不満に思って、すぐに考え直す。
(初日からやらかしたか……いや、違うわね)
少し思い返せば、なんとなく理解できた。プリマドンナという立場はそれだけ人々から羨まれるし、嫉妬もされるということだろう。教室や廊下にいた生徒から向けられたような嫉妬や媚び
先生もサキュバスには変わりなく、一度はプリマドンナを夢見たことだろう。憧れの存在を目の前にして何も感じるところの無い人などいないだろうし、そう考えればあの対応は及第点に思えた。
コツコツと靴を鳴らしながら担任が去っていくのをしばらく目で追ってから、また扉に視線を戻した。鍵穴に受け取った鍵を差し込んでゆっくりと回すと、ごとりと鈍く低い音が響く。その音がプリマドンナとしての人生を幕開かせたのだと思うと、胸の鼓動も早くなっていった。ゆっくり鼻から息を吸い、口から細く長く吐いて気持ちを落ち着かせる。
(最初が肝心よ。落ち着いて、冷静に。大丈夫、私なら上手くこなせる)
丸く冷たい金属製のドアノブを握り、ぐっと力を込めて捻った。見た目に相応しい重さの扉を押して中に入ると、深く艶のある木製のインテリアが出迎える。まるでお屋敷の応接間と勘違いしてしまいそうなほどの統一感と気品があり、ゆっくり扉を閉めると廊下のざわつきがすっかり消え失せた。まるでこの部屋だけ、学校から切り離されたよう。ここが学校の敷地内にあるなんて、この風景を見せただけでは誰も信じないだろう。
辺りには
きっと、各学年のプリマドンナそれぞれに割り当てられた部屋なのだろう。赤い装飾の施された扉は自分に割り当てられたもの、残りの二つに割り当てられた人はどんな人なのだろう、などと考えていると、突然、声を掛けられた。
「エマニュエルさん、入学おめでとう。制服、よく似合ってますよ」
「こ……こんにちは。すみません、挨拶が遅くなって」
部屋の様子が気になってしまい、奥にある一対のソファに座っていた者の存在に気づかなかった。そこにいたのは妙齢のサキュバスで、柔らかな笑みを浮かべて私を出迎えている。挨拶が遅れた私の粗相を全く気にしていないような、余裕のある笑みだった。
ふんわりとパーマがかけられた、セミロングのブラウンヘア。一切の衰えを感じない美しい肌。そしてそれに見合わないほどに落ち着いた雰囲気。今まで関わったことのない、上流階級の匂いがする。生きるのに困っていない、余裕と自信に満ちた雰囲気。他人の上に立つことに慣れているのだろうと思わされた。
(しまった……何をやっているのかしら。今からでも取り戻せればいいけれど)
そんな者に対して失態を晒してしまい、急激に心音は大きくなるし、呼吸は浅く早くなっていく。入学初日なのにこんなところで無礼を働いてしまうなんて、と焦りと後悔が頭を埋め尽くすがもう遅い。せめて今からでも優等生としてふるまわなければ。
「初めまして、ニカ・エマニュエルと申します」
「教頭のウィリスです。早速だけれど、プリマドンナとして呼ばれたのは分かるわね?」
「はい。とても楽しみにしておりました」
「我が校のプリマドンナとして恥ずかしくない存在になってくれることを期待していますよ。
「先輩方が作ってきた久場瀬高校の評価に傷をつけないよう、一生懸命励んでまいります」
「よろしい」
受け答えに満足してもらえたのか、ゆっくりと頷いてくれた教頭先生。良かった、何とか粗相の分を取り返せただろう。ここでオドオドとしては印象も悪くなるだろうと思い、堂々と受け答えたのを気に入ってもらえたのかもしれない。
「一番左の部屋が、あなたがこれから三年間自由に使える部屋です。その鍵で開けられるから、入ってみなさい」
自分の学年のモチーフカラーと同じく赤い装飾が施されたその扉に向かい、言われるがまま鍵を開けて、グッと扉を押した。上質な木を使っているからだろう、やはり重さのある扉の向こうには、ドレッサーやクローゼット、そしてクイーンサイズのベッドが備え付けられていた。そのベッドの上には、白いバスローブを纏った人間のメスが横たわっている。
「見た目も中身も、あなたに一番相性のいい子よ。大切になさいね」
その姿が視界に入った瞬間、すっと視野が狭くなっていくのを感じた。ソレ以外何も見えず、あまりの緊張と歓喜のせいでろくに返事もできない。おぼつかない足取りで部屋に入り、ベッドの脇まで進んでいく。
ソレは、黒く長い艶やかな髪をベッドの上に散らしていた。平均的な身長の自分よりも頭ひとつは背の低い小柄な体躯で、胸は控えめながらもメスらしく膨らんでいる。中学生くらいだろうか、その幼い顔つきも相まって、全体的に『可愛らしい』印象を受けた。
(これが、私のメス。私だけの、人間のメスなのね)
こんなに可愛い生き物は見たことがない。熟れる前、まだ幼い体は汚れを知らず、何物にも染まっていない。これは確かに、自分にとって究極の理想像だった。今すぐにでもコレを犯したい。処女雪を踏み荒らすように、このメスが自分のものだと刻み込みたい。そんな欲求にかられて思わず手が伸びそうになってしまったところ、冷や水をかけられた。
「どう扱おうがあなたの勝手ですが、久場瀬高校のプリマドンナであるということは忘れないように」
「――っ! はい、分かりました。気を付けます」
私が性欲に翻弄されているのに目も当てられなかったのか、教頭先生に軽く窘(たしな)められた。ただ、若いサキュバスがメスを目にしたらそうなるのも無理はないと理解をしてくれているようで、先生がそれ以上苦言を呈することは無かった。
一つ深呼吸をし、何とか上辺だけでも気分を落ち着けたとき、教頭先生から黒い革製の首輪を手渡された。それはしっとりと手に馴染むほどに柔らかく
「プリマドンナのチョーカーです。メスの首につけなさい」
メスを目の前にしたばかりで心も落ち着かないというのに、もう触れろというのか。そんなことをしたら理性を失ってしまいそうなくらいに興奮しているのに。しかし、指示を拒否することなんてできるわけもなくて、緊張に震える手で首輪を受け取り、おぼつかない手つきでバックルを外し、ベッドの上で寝ているソレの首元へと差し伸べる。
(このメスが、私のものに……!)
指先がソレの首筋に直接触れた瞬間、頭を殴られたような感覚がした。緊張からか、それとも喜びのあまりか、立ち眩み寸前なほど。コイン一枚分にも満たない面積の肌に触れただけで、頭から熱いものが体全体に放出される感覚。
まるで魅了の魔術を食らったようだった。それでも何とか興奮を堪え、手のひら全体を首の後ろに差し込んで、枕から浮かせた。あまりにも軽いその体に思わず生唾を飲んでしまったが、何とか首にチョーカーを回し、バックルを留める。
そっとソレの首を枕の上に戻した時には、全身がじっとりと湿っていた。すべてを投げ打ってまで手に入れたかったメスが自分のものになったのだと、少しずつ実感が湧いてきたせいだろうか。
「あとは好きにしなさい。私は職員室に戻りますから、何かあったら呼ぶように」
教頭先生はメスを起こすための呪文が書かれたメモを手渡し、そのまま部屋から出ていった。残されたのは自分とメスだけ。もう自分を止める人はおらず、そして目の前のメスを如何様にしたところで、文句のつけられる人はこの世にいない。
手にはまだ、つい先ほどメスに触れたときの熱が残っている。このメスがこれから自分のお嫁さんになるのだと考えると、ドクドクと胸が熱くなってくる。早くこの子を犯して、快楽に染めたい。可愛い顔を気持ちよさでぐちゃぐちゃに歪めさせて、股間から愛液を滝のように溢れさせながら絶頂させたい。そんなサキュバスの本能が刺激された。
体格は自分のほうが上だし、魔術を使えばいくらでも行動を強制できるから、抵抗されたところで脅威にはなり得ない。実際、殆どのプリマドンナはこの段階でメスを一通り犯して楽しんでから起こすか、起こしてすぐに犯すかのどちらかを選択しただろう。
しかし、事前に練っておいたプランを実行するならば、ここで手を出すことは許されなかった。メスにとって全幅の信頼を置ける存在として認められ、心を開いてもらうためには第一印象が最も肝心なのだから。
それはつまりしばらく手を出せないということを意味しており、その辛さは筆舌に尽くしがたい。ならば、まだメスが覚醒していない今のうちに、バレない程度に手を出しておいた方がいいだろう。
(……別に、悪いことじゃないし。ちょっとだけ、そう、少しだけなら)
頬にそっと触れると、吸い付くような肌の感触が掌に伝わる。どれだけ美容に拘り、メスを絶頂させることで容姿を磨いたサキュバスですら、これほどまでにキメ細かくしっとりとした肌にはならないだろう。
顔のいたるところに視線を向けても、何一つ、文句のつけようがない。造形はもちろんのこと、その色や香りに至るまで、まさに自分のために作られたに違いなかった。そして厚手のバスローブ越しにメスの全身を眺めれば、その下にある裸体を想像してしまって、股間に熱が集まる。
(これが、私だけのメス……私のためだけに作られた、おまんこ奴隷……♡)
自分の息が荒くなっているのがわかる。心臓が苦しいほどに早く鼓動し、酸欠になったみたいに頭がクラクラした。もしもこのままこのメスを起こしたら、あまりにも無様な醜態を晒すことになるだろう。ここは一旦気のすむまでスッキリして、気分を落ち着けてから起こしたほうがいい。
(初めて会ったんだからしょうがないわよね。発情したまま起こすわけにもいかないし、さっさとスッキリしないと……♡)
自分のスカートに手をやり、ホックを外し、床に投げ捨てる。メスの体に手を差し伸べ、頬を撫で、バスローブ越しに体を撫でる。胸の柔らかさを指先で感じながら、もう片方の手は自分の体へ。ドクドクと脈打つそこを手で慰め終わるまで、そう長くはかからなかった。
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