プリマドンナ~TS転移娘がふたなりサキュバスに堕とされる話~ 作:Sfon
オレもニカさんもお風呂に入る直前でお預けを食らっていたから、そのまま二人一緒に暖かいシャワーを浴びた。張っていたお風呂も沸かしなおして、その間に体の汚れを大まかに洗い流す。蒸しタオルで拭いてもらいはしたし、どうせ髪を洗った後に体を洗うけれど、それまでずっと放置しておくのは流石に気になったから、さっさと一度キレイにしておきたくて。
シャワーのお湯を当てながら手で軽く擦るだけでも、この体の肌のキレイさだったり、柔らかさだったり、女の子らしい体つきだったり、いろんな特別を意識してしまってむず痒い気分になってしまう。さっき散々ニカさんに体を弄られたのに、慣れるにはまだ時間がかかりそうだった。むしろ、あのせいで自分の体の細部をより細かく意識してしまうようになったかもしれない。
体の正面をキレイにしたら、ニカさんに背中を流してもらった。他人に体を洗ってもらうなんていつぶりだろう。親とお風呂に入った記憶は断片的にあっても、殆ど霞んでしまっているからあってないようなものだ。男同士で風呂に入ったところで背中の流し合いなんてするわけもなく、ほぼ初体験のようなもの。
シャワーの暖かいお湯をかけられながら、ニカさんの手が背中を撫でまわす。それはさっきみたいにえっちなものでは無くて、優しさの感じる、柔らかいものだった。
「何度見ても、赤ちゃんみたいにキメが細かくて、きれいな肌ね」
「そう作られたんだから、そうなんでしょ。ニカさんこそ、その、とてもきれいだと思うけど」
「私だってサキュバスだもの。それに、ミーナのおかげでもあるわ。ミーナが気持ちよくなればなるほど、私もキレイになれるんだから」
容姿が良いのはお互い当たり前といっても良いくらいで、なんだか大した誉め言葉にならない。とはいえ、ここで急に『ニカさんの思いやりのある心が素敵』とかいうのも違うし、この世界で上手にコミュニケーションをとるのはなかなか難しそうだ。
自分の背中を流してもらい終わったら、次はオレがニカさんの背中を流す。彼女の背中は広くって、でも女の子らしく丸みを帯びていて、不思議な感じだ。自分より女の子のほうが大きな体をしているなんて、思えば小学生のころ以来じゃないだろうか。
彼女の体に触れるなんて手が震えてしまうほどに緊張するし、『えっちな手つきね』とか言われたらどうしようと気が気でなかった。ニカさんから何か言われたわけじゃないけど、内心どう思っているかはわからないし。どうか変に思われていませんように。
お互い体を流し終わったら、いよいよ女の子の体の洗い方講座が始まる。シャワーヘッドを片手に持ったニカさんが後ろに座り、鏡越しにオレの顔を覗き込んだ。
「じゃあ髪を洗うけど、きちんと手順を覚えるのよ。汚れを落とすのは大事だけど、それで髪を傷つけたらもったいないんだから」
「でも、気持ちよくなればそれで体もキレイになるんでしょ?」
「それはそうだけど、髪を洗うのはそういうことをした後でしょ。人に見られた時に『髪の手入れに気を使ってないな』って思われたら、私だって恥ずかしいんだから」
自分が気にする、気にしないだけならこっちの勝手でしょって言いきれるけど、ニカさんにも迷惑がかかると言われては強く出られない。言われた通りに覚えるほかなさそうだ。
ブラッシングをして、お湯で予洗いをしてから、シャンプーで丁寧に洗っていく。腰にかかるほどの長い髪は濡れると肌に張り付いて、あまり心地いいとは言えない。背中はともかくとして、首や耳元にくっつくのはどうにかならないものか。長い髪は痛まないように洗うだけでもコツが必要で、絡まないように気を付けないといけなかった。
なんとか髪の毛全体をシャンプーで洗ったら、今度はシャワーを長々と当てて洗い流す。ここまでくると、指がお湯ですっかりふやけてしまった。それでも終わらず、コンディショナーで手入れをしてようやく洗髪が終了。髪を洗うだけでも十分以上掛かったんじゃないだろうか。激しいえっちで疲れているというのに、もうすっかりくたびれた。
「いや、手間かかりすぎでしょ。こんなことを毎日やるの?」
「慣れれば簡単よ。上手にできているし、大丈夫だから」
長い髪の毛を太いヘアゴムで緩く縛ってポニーテールにし、さらに残った髪をお団子にしてもらうと、男だった時のような頭の身軽さ。頭を軽く振っても長い髪の毛が顔の周りに纏わりつかないのが、こんなに楽だなんて。男の頃はそれが普通だったからなぁ。鏡の中には髪をまとめた可愛い女の子が座っていて、なるほど、これはこれでなかなか良い。普段からこれでも良いくらいだ。
「もうずっとこれでも良いんじゃないの? めっちゃ首元楽だし、耳に髪の毛がサワサワしないし」
ロングヘアは、見ている分には好きだ。しかし、いざ自分が持つ立場になると髪の毛が顔にかかるし、下を向くと髪の毛が垂れるし、椅子に座るときも背中で髪を押しつぶすのが気になる。その点、髪の毛を纏めれば問題が全部解決するし、ポニテも嫌いじゃないし、結構な名案だと思ってニカの表情を窺うと、意外と微妙な反応だった。
「でも、これだけ綺麗な髪ならロングで流したくない? 私はサラサラロングヘアが揺れるのを見るの好きなのよね」
「それもわかるけどさ」
確かに、長くてキレイな髪っていうのは女の子らしくって可愛いんだけど、自分がするにはちょっと大変なところもある。ヘアピンを常備しておけば何とかなるんだろうか。
「たまの気分転換なら許可しようかしら。じゃあ、次は体ね。それ、お湯で濡らしてボディーソープ付けて、泡立てて使って。擦るんじゃなくて、撫でる感じでね」
「あい」
ニカさんから柔らかいスポンジを受け取って、お湯の入った風呂桶も一緒にもらって、言われたとおりに腕から肩、胸元、おなかと洗っていく。自分の体つきを意識すると恥ずかしいから、あまり考えないようにして、ただの作業としててきぱきと進めていった。ただ、そうすると手つきが乱雑になるわけで、乳首を擦ってしまったり、腰の敏感なところを不意に触ってしまったりして、危うく変な声が出そうになる。
(まだちょっとだけ、そういう気分が残ってるのかな。さっさと気持ちを入れ替えないと)
ニカさんに背中を流してもらってさっぱりし、股間も手でサッと洗い、足の先端まで洗い終わったらシャワーで全身を洗い流す。大事なところは手で水を当てて、シャワーの水流が直接当たらないように気を付けるのも忘れない。お風呂に入っているのに変な気持ちを起こすなんて、そんな恥ずかしい真似は絶対にしたくなかったから。そうして一通り体を洗い終えたかと思ったら、ニカさんから指示が飛ぶ。
「お股はもっとしっかり洗わなきゃ。穴の中まではやりすぎだけど、その手前まではキレイにするのよ」
『これを使いなさい』と渡されたのは股間を洗う専用の石鹸。そんなものまで用意されているなんて随分拘っているんだなぁ、と他人事のように感心してしまう。でも、サキュバスにしろオレにしろ、それなりに丈夫な体をしているんだろうし、こんなことしないといけないんだろうか。
「トイレに行かないんだし、そこまでする必要ある?」
「愛液やらお潮やらで汚れるじゃない。カスになって溜まるわよ?」
いや、そんなことない、なんて言葉が出かかったけど、ニカさんの手にべっとりと纏わりついていた粘液やら、たくさん噴き出したお潮やら、思い返してみれば心当たりが多すぎた。観念して素直に聞き入れるけど、ニカさんの目の前で股間を触るのにはやっぱり抵抗があって、手を伸ばせない。
「あー……ニカさん、あっち向いていてくれない?」
「ちゃんとできているか確認しないと。ほら、別に恥ずかしいことじゃないんだから、早くやっちゃいなさいよ」
その表情は真剣そのもので……いや、目元がちょっとニヤけている気がする。でも、とりあえず何か言ったところで無駄に終わりそうなのは伝わってきた。背中越しにニカさんの存在が気になるし、鏡を見ればニカさんが鏡越しにオレの股間を凝視しているのもわかる。言われた通り、さっさと済ませるしかなさそうだ。
軽く足を開いて、石鹸を泡立てた手を股間に差し込んだ。そして股を撫でるように洗って終わろうとすると、またニカさんから一言が。
「中も洗うのよ。足をもっと開いて、割れ目も開いて、ひだの中も丁寧に洗うの」
「え、えぇ……」
「ほら、さっさとやっちゃいなさいよ。それとも、私にずっと見てもらいたいの?」
「わ、分かったよ。やればいいんでしょ」
痴態はとっくに晒しているとはいえ、改めてする恥ずかしい格好で顔が熱くなってしまうけれど、しないと風呂から上がらせてもらえないから仕方ないと自分に言い聞かせる。椅子に浅く座り、足をガバっと広げた。関節の許す限り広げても、股間の筋はほんの僅かに開くだけで、粘膜はほとんど見えない。この奥を洗えというんだから結構な無茶ぶりだ。
そうは言っても、後ろからの視線も気になるし、ここは思い切って済ませるしかない。左手を股間にあて、指で割れ目の両側を開く。上から覗き込んでも股間が自分の手で隠れてしまって良くわからないけど、鏡越しに見ればマン肉で隠れていたおまんこの中身、鮮やかなピンク色の粘膜がはっきりと見えた。
(うわ、きれいな色なのに、結構複雑な形で……なんていうか、内臓っぽさがすごい)
皮膚と粘膜の境目は襞になっていて、真ん中下のほうには、穴というには小さな裂け目の窄まりがある。この中に男性器がすっぽりと収まると思うと、すごい伸縮性だ。
改めてこうしてみると、顔つきや体つきはそれなりに成長して中学生くらいになっているのに、股間は子供っぽい。中学生の女の子の股間は見たことが無いけれど、こんなものなのだろうか。小陰唇と呼ばれるビラビラはマン肉からはみ出していないし、色素沈着もない。ニカさんの好みがこの体だと思えば、かなりのロリコンみたいだ。
(なんか、犯罪臭がすごいな。こんな格好の画像が前の世界で流出したら、警察のお世話になること間違いなしだよ)
いつまでも眺めているわけにもいかないから、覚悟を決めて泡濡れの手でそっと粘膜に触れる。思わず股間に力が入るとお尻の穴やおまんこ周辺がヒクついて、なんだかちょっとグロい感じもする。まさしく肉壺といったところか。
粘膜に直接触れると、肌よりもさらにつるつるとしていて柔らかい。指先が簡単に沈み込んでいくし、ちょっと撫でただけで体に力が入ってしまうほどに敏感だった。本当に内臓を触っているんじゃないかくらいに、恐る恐る指先で触る。
「……っ♡ ん……ほら、これでいい?」
恥ずかしさを押し殺しておまんこの表面を指で撫で上げ、襞の裏側もクリトリスの包皮も、しっかりキレイに洗いあげる。ちょっと変な力を入れたら痛みが生じたり、逆に淡い触れ方をしたら快感が出てきてしまうかもしれないから、気は抜けなかった。そうして何とかきれいに洗い終わり、シャワーで泡を洗い流そうとしたら、またニカさんから指摘が入る。
「お尻の穴も洗うのよ」
「えぇ……わかったよ。――はぁ……ぁ、っ♡」
そんなところ、男の頃にもまともに洗ったことがなくて、流石に抵抗を感じてしまった。排泄に使うだけの汚いところのイメージが強く、触りたくもない。でも今はそういうことに使わない、えっちのためだけに存在する器官だし、何より股を開いたらニカさんに見られてしまう場所でもある。キレイにしないまま放置するのも、それはそれで違うか。
(せめて、ニカさんに見られていないところでできたら良かったのに……)
お尻の穴までキレイに洗い終わって、ようやくニカさんから合格が貰えたので、さっさと風呂桶にお湯を汲んで股間の石鹸を洗い流す。シャワーなんて股間に当てたら、きっと気持ちいいより先に痛くて飛び上がってしまうだろうから。
「ふぅ……長かった……」
全身がキレイになったところで湯船につかると、おじさん臭い溜息にも似たものが出てしまう。髪と体を洗うだけでも二十分以上は掛かったんじゃないだろうか。男の頃だったら、もうとっくに風呂から出ていて、なんなら髪も乾かし終わっているだろう。こんなに掛かるものなのか。体を動かした疲れもそうだけど、気疲れも半端じゃなかった。
「お疲れ様。適当に浸かったら、先に上がってていいわよ」
「はーい」
ゆっくり湯船につかりながら、目の前で手早く自分の体を洗っているニカさんをぼんやりと眺めている。流石にこれだけ自分の体を、しかも股間の隅々までをマジマジと見たら、女の子の裸を見る抵抗は少しだけ薄れた。
キレイな体だ。胸はオレよりも大きく膨らんでいるし、腰は綺麗に括れている。肌もキレイだし、髪の毛も艶がある。女の子らしい丸みの帯びた体だ。もしもニカさんが前の世界にいたら、沢山の男に言い寄られて大変だっただろう。
性的な目で見られるという意味では、この世界ではオレがその立場にいる。今日一日外を出歩いて分かったけど、サキュバスにとってメスは、ご主人様が自分の好きなように遊べるおもちゃのような存在なんだ。だから、ニカさんから手荒に扱われたっておかしくない。それが頭によぎって、急に不安になってしまって、思わず問いかける。
「ねぇ、ニカさん」
「ん、なに?」
声を一つ掛けただけで、体を洗う手を止めてこちらを向いてくれた。そこには優しい顔を返してくれるニカさんがいて、もうそれだけで安心感が胸に広がっていく。さっき散々意地悪をされたのに、もしかしてオレってめちゃくちゃチョロいんじゃ?
いやいや、これだけ可愛い見た目をしたメスを目の前にして、その体を弄れるとあったら、多少は勢いづいてしまってもしょうがないだろう。あのニカさんはそんなに悪くない……と思う。
それはともかくとして、今大事なのは、ニカさんがオレをどう扱うつもりかだ。
「ニカさんはさ、外でオレにそういうことしたいとかあるの?」
「え? あぁ、外で見たサキュバスたちみたいなってことね。私の趣味じゃないわ。ああいうのは、二人きりでやるものなんでしょ?」
「てっきりサキュバスは全員露出プレイ好きなのかと」
「えっちは食事みたいなものだから、私は外でやっても抵抗ないわよ。したい気分になったら、別にどこだってできるわ。でも、人間はそういうの好きじゃないらしいって本で読んだから」
一度はニカさんの感覚がオレに寄っているんだと思ったけど、そういうわけではないようだ。結局はニカさんもサキュバス、えっちに抵抗はないし、なんなら気持ちいいことは良いことくらいの認識なんだろう。そのうえでオレの気持ちに合わせてくれるなんて、本当にいい人だ。
あれ、でも、ニカはオレの裸をほかの人に進んで見せたくないとか言っていたような。
「ニカさんはオレの体が他の人に見られてもいいの?」
「あまり見られたくはないわね。でも、外でやるにしろ室内にしろ、服を脱がなくてもできることはたくさんあるでしょう?」
そう言いながらこちらに顔を向けたニカさんの笑みは、今日見た中で一番嗜虐的なモノに見えた。思わず肩をこわばらせ、息をのんでしまうほど。でも不思議なことに、それは嫌じゃなくて、むしろ胸が高鳴った。
「そういえば、敬語はやめたのね」
「オレがやめてって言っても止めてくれないような、自重できない人になら、別に敬語を使わなくっても許されるかなって」
「やめてって言ってたかしら……いや、何でもないわ。敬語は気になってたから、もうそれで良いわよ。これからもその調子でよろしくね。私も堅苦しいのは嫌いだから」
お風呂から上がり、下着を身に着けると肌に吸い付くような感覚。石鹸の質がいいのか、明らかに今までとは肌の質感が変わっていた。方向性は同じながら、さらに磨きがかかっていて、どうしてなんだろうと零したら、ニカさん曰くこれがえっちの効果らしい。なるほど、確かにこれほど違うのであれば、えっちの重要性も理解できる。
下着を着た後は、今日買ったばかりのふわふわショーパンとパーカーのルームウェアを着た。普通のスウェットがいいって思っていたけれど、ニカさんがいかにも『これを着てほしい』って目で見てたから買ってもらったやつ。女の子っぽさ全開な服で試着した時にはかなり抵抗があったけど、今はまあ……ニカさんが喜んでくれるし、しょうがない。
買ったときにはボディラインがあまり出なくて、他人の目線を気にしなくて済むと思っていたけど、パーカーはともかくとしてショーパンが思ったよりも体にピッタリと沿って気恥ずかしい。下腹部から股間のラインがはっきり浮かび上がっていて、それを免れようとすると今度はショーツが見えてしまう。なんでこんなに股上が浅く作られているんだ……。
「あら、可愛いじゃない。やっぱりこういう服も似合うわね」
「そうかな。ちょっとオレには可愛すぎない?」
「そんなことないわよ。嫌なら無理にとは言わないけど、気に入ったのなら普段着だってもっと増やしていいんだからね」
「うーん、まぁ、そういう気分になったらね」
色も白とピンクで女の子っぽいし、流石にまだ抵抗があるけれど、ブラをつけなくて良いお許しが出たのは助かった。寝る時まで胸を締め付けられるなんて、寝苦しそうでしょうがない。
ニカさんはと言えば、水色のネグリジェを着ていて、視線を向けるにはちょっと扇情的すぎる。普通に可愛い服だとは思うんだけど、生地が薄めなせいでニカさんのボディラインが結構見えてしまっていた。胸やお尻の形とかははっきり分かるし、裾が膝丈のせいでキレイなふくらはぎが露になっている。
(制服を着ているときはあんまり気になってなかったけど、ニカさんの体ってめちゃくちゃエロいんじゃないか? お風呂で見た時は全裸だったからあんまり直視してなかったけど、こうしてみると出るところは出てるし、かといって下品なほどじゃないし……)
あまり長い間眺めていたらドキドキが過ぎて苦しくなってきそうで、気づいてからすぐに目を逸らした。とはいえ脳裏に焼き付いたその姿は消えてくれない。寝るときにフラッシュバックして寝付けないとか、そういうことにならなければいいけど。
リビングのソファにニカさんと並んで座ることすら緊張してしまい、雑談しながらお風呂で温まった熱を冷まそうとしているのに心は落ち着かない。今日一日ずっとニカさんと一緒に過ごしていたのに、どうして今更こんなに意識してしまっているんだろう。もしかして、えっちしたせいで絆されてしまったのだろうか。
ニカさんがつけたテレビにはドラマが流れていたけれど、途中から見たところでよく分からないし、そもそも内容が頭に入ってこない。ニカさんもニカさんでそこまで集中して見ているわけではないようで、BGMとして使っているだけだろうか。
「今日は色々あったわね。ミーナと初めて出会って、買い物に行って、ちょっと事故も起きたけど」
「しょうがないじゃん。この体が悪いよ。元男にとっては劇物みたいなものだよ?」
言ってから、ちょっと意地悪だったかなって後悔。ニカさんの反応を横目で伺うと、申し訳なさそうにしているものの、苦笑いといった表情だ。よかった、冗談半分だって分かってくれているみたいだ。
「そうよね。今日は私もちょっとやりすぎたわ。……また明日からもよろしくね」
「うい、お手柔らかにお願いします」
「じゃあ、私はもう寝るわ。ミーナも早めに寝るのよ」
ニカさんがさっさと寝室に向かってしまったので、リビングのソファに一人残された。今日は本当に色々あったなって振り返り始めると、いつまでも経ってしまいそうだ。オレもこの辺りで早めに寝たほうがいいだろう。寝室に入ると、すでにニカさんがベッドの中に居た。照明もすでに消してある。廊下の照明を消して、寝室の扉を閉めて、ベッドへと向かった。
「じゃあ、隣を失礼して」
「どうぞ。……ちょっと、そんな端っこで寝なくてもいいじゃない。もっとこっちに来たら? 別に襲ったりしないから」
そうは言っても、一度意識してしまったら近づけなくて、変に思われない程度に間隔をあけてベッドに横になった。他人と同じベッドで寝るなんて、気恥ずかしくてしょうがない。気にしたところでしょうがないのは分かっているが、変な寝相や寝言を晒さないと良いんだけれど。
そうして、さっさと寝ようと寝返りを打った時、顔に長い髪が纏わりつく。少し体を起こして髪の毛の流れを整えようとするけれど、どうやっても収まりが悪い。背中側にあっては寝返りを打った時に体で押し潰しそうで嫌だし、かと言って胸元に全部持って来ようとするとやっぱり散らばってどうしようもない。
どうにかできないかともぞもぞしていたのを見かねたのか、ニカさんから『緩く編むと良いわよ』ってアドバイスがあって、言われてみれば確かにそうだと納得した。とはいえやり方なんて分からないから、ニカさんを起こして結ってもらうことに。せっかく消した照明までつけさせてしまった。
「ごめん、わがまま言っちゃって」
「良いのよ。こういうのも経験だし、ちょうどいい機会だから覚えると良いと思うわ」
髪を左右で大きく二つに分け、その片方をさらに三つの束に分けて編んでもらう。その手際は熟練のもので、あっという間に片方が仕上がり、まるで魔法のよう。ヘアゴムで纏めると、大きな一本の三つ編みが完成していた。
「こんな感じね。もう片方は自分でやってみない?」
「そういわれても、全然やり方が分からなかったんだけど」
「大丈夫、ちゃんと教えるわよ」
言われるがままに結っていないほうの髪束を手に取り、三つに分けて交互に重ねていく。一度コツをつかんだら案外簡単で、目の細かさとか形のキレイさはともかく、とりあえず形にはなった。
「飲み込み早いじゃない。上手にできてるわよ」
「うーん……まあ、初めてにしては上出来ってことで」
ニカさんにしてもらったものと比べたら流石に差があり、彼女のほうは均一な大きさの網目がキレイに連なっていて、オレのは大きさも形もいびつだ。まぁ、これも今後ずっとやるんだろうし、いつか慣れるだろう。
気を取り直して照明を消し、ベッドに横になり、布団を首元までかぶる。長い髪の束が頭から生えているのはちょっと気になるけど、散らばるよりはずっとマシだった。お互いにおやすみなさいと声をかけ、目を閉じる。
視界は真っ暗、あたりからはニカさんの呼吸が聞こえるだけ。そうすると自分の体の感触がより詳細に感じ取れてしまう。小さな胸が地球に引っ張られる違和感があったり、スベスベ素肌の触れ合う足が気持ちよかったり、閉じている足の間に何もなくって「自分は女の子なんだな」って感じたりした。
隣からはニカさんの温もりをほんのりと感じ、他人と一緒に寝るなんていつぶりだろうとふと思い返す。修学旅行ぶりだろうか。同じ布団で寝るとなると、それこそ幼稚園とかそのくらいの頃以来だろう。
自分以外がいる部屋で寝るなんて、よく考えてみたら相手に相当な信頼が無いとできないことで、ニカさんはオレに信頼を置いてくれているんだって分かった。勝手にこの世界に呼び出しておいて、恨まれた末に殺されるとか考えないんだろうか。まあ、あんなことをしたんだからお互い信頼関係ができたでしょ、と言えばそんな気もするし、ニカさんに悪い印象はもう持ってないからいいけど。
目をつむると、今日経験したいろいろな場面が目の前に浮かび上がる。初めてニカさんと対面したときのこと、初めて自分の体を見た時のこと、女の子の下着を買いに行ったこと、電車で声を掛けられたこと、そして、ニカさんとえっちしたこと。
どれも、前の世界では絶対に経験しなかったことばかりだ。今のところ良いことばかりではないし、これからも大変なことは多々あるだろう。この世界はメスに優しいとは言えないし、ニカさんがどれだけオレを守ってくれるかで全てが決まる。しかし、なぜか漠然と、『きっと大丈夫』だと思ってしまうのは楽観的過ぎるだろうか。
ニカさんならオレを守ってくれる、そう期待するには早すぎるかもしれないけれど、疑ってもしょうがない。ちょっと調子に乗りやすそうな雰囲気はあるし、オレのことを随分可愛がってくれるけれど、今のところは悪い人に思えなかった。
むしろ、ニカさんの容姿がオレの好みのど真ん中過ぎて、そっちのほうが大変かもしれない。えっちの時に見た、火のついた表情はいまだに脳裏に焼き付いているし、そのあと見せた優しい笑顔も忘れられない。あんなに可愛い子が自分を好いてくれるんだから、お願いされることは全部叶えてあげたくなってしまう。
どんなことまでだったら受け入れられるだろうか。可愛い服を着てとかだったら、恥ずかしいけど全部してあげたい。コスプレでも、水着でも、なんならマイクロビキニだって。それで外を歩けとかはちょっとまだ厳しいけど、この世界でずっと過ごしていればいつかはできてしまう気がする。
ニカさんのアソコに生えていた男性器はどうだろう。あれを舐めてとか言われたら……その時になってみないと分からない。今は流石に抵抗があるけど、たくさん気持ちよくされて頭がバカになっていたら、もしかしたらしてしまうかもしれない。それくらいに、今日感じた快感はすごかったから。
明日からはどうなるかは不安だけれど、今日のところはとりあえず寝るしかない。あれこれ考えてもしょうがないし、できるだけ何も考えないようにして、自然と眠りに落ちるのを待った。
pixivFANBOXとFantiaにて先行公開中です。ご支援いただけると活動の元手になりますので、どうぞよろしくお願いいたします!
https://sfon.fanbox.cc/posts/7560157
https://fantia.jp/posts/2600332