プリマドンナ~TS転移娘がふたなりサキュバスに堕とされる話~ 作:Sfon
ニカさんと気持ちよくなり、一緒にお風呂に入って身も心もさっぱり落ち着くこと数分。ニカさんのちんぽを扱いて頭の隅に追いやっていた、もろもろの後悔と羞恥が一気に襲い掛かってきた。
「なんでまた、あんな、痴女みたいなことをしちゃうんだ……」
先にお風呂から上がり、髪を乾かし終わって静かになったとき、リビングのソファの上で一人悶える。気持ちよさにかまけて好き勝手口走って、ニカさんにおねだりをたくさんしてしまったり、自分からニカさんのちんぽに奉仕したりしたのが恥ずかしくて、ショーツとキャミソールしか着ていないのに、体が火照ってしょうがない。
今まではあくまでも『ニカさんにされたことをしょうがなく受け入れる』という構図に留まることができていたと思うのに、今回は『もっと気持ちよくしてほしい』と考えてしまった。そしてそれを口にしてしまったし、その勢いでニカさんを挑発するような恥ずかしいセリフも吐いてしまった。しかも、それだけではなくって、自分からニカさんにえっちなことを仕掛けてしまった。あんなことまでしてしまっては、『しょうがなく』えっちなことをしているって言い張るのが辛すぎる。
まるで薬の離脱症状のような感じ。えっちをやめた途端、恥ずかしさのあまり縮こまって、どこかに消えてしまいたくなる。ニカさんに守ってもらえない今の立場じゃ、そんなことできないって分かってるけど。ソファの上で膝を抱えていると、ニカさんもお風呂から上がってきた。ほんのり上気した下着姿の彼女は今のオレにとって刺激が強すぎて、慌てて視線を逸らす。最後に見えた表情は呆れ顔だった。
「ミーナって、一度えっちが始まって気分が高まると、サキュバスと変わらないくらいえっちに積極的になるわよね。やっぱり、元々、男も好きになれたんじゃないの?」
「いや、そんなことないって。男と付き合うとか、そんなこと考えたこともないし」
「なら、なんであんなにノリノリで私のちんぽを受け入れてるのよ。本番じゃないにしろ、随分ミーナに気持ちよくしてもらってるんだけど」
「あれは……ニカさんに付いているやつだからじゃないかな、知らないけど」
どうしてニカさんのちんぽを受け入れられるかなんて、そんなの自分でも分からない。今触れって言われたらさすがに困るし、好きでしているわけではないだろう。でも、ニカさんとえっちしているときだと、なぜか触ってあげよう、気持ちよくしてあげようって気持ちになっちゃってるんだよなぁ。
お互い服を着なおして、再び学校へ向かう。今日こそはいろいろな部活動に顔を出さないといけないそうで、ニカさんに連れられて学校中を歩いて回る予定。顔を出さない部活動があると、それがきっかけでマウントの取り合いになって面倒だから、全部の部活動を回るつもりなんだそうだ。
「大変だね。全部でどのくらいあるの?」
「三十種類くらいじゃないかしら。……まぁ、入部する先はもう決まっているようなものだけど」
「気になる部活でもあるの?」
「気になるというか、必要に駆られてというか、事実上の強制ね。生徒会よ。昨日実習室で先輩方と話してたでしょ、あの時に『生徒会に入れ』って言われてたのよ。言い方はもっと柔らかかったけど、入らなかったら絶対に面倒なことになるわ」
「そうなんだ。プリマドンナも大変だね。自分の好きな部活動もできないなんて」
「部活動なんて些細な事って思えるくらい、優遇された人生をこれから送れるんだからどうってことないわよ」
まだ子供だっていうのに、随分割り切った考えをできる子だ。でも、せっかくの学生時代なんだから、もっと楽しい学校生活を送ってもらいたい気持ちもあって、オレにできることが何かないかな、と考えてみる。一番わかりやすいのは、自分の体を使ってもらうことか。逆に、それ以外はあまりできることがなさそう。お金も地位も名誉もあって、頭もいいニカさんにしてあげられることなんて、ほとんどなかった。あとは、一応人生の先輩としてアドバイスをしてあげることくらいだけど、常識や仕組みが違うこの世界において、オレの経験がどれくらい役立つかと言われたら疑問だ。メンタルケアとか、疲れているときに慰めてあげるとか、そのくらいがちょうどいいだろう。
「ニカさん」
「なによ」
「オレにできることだったら、なんでもするからさ、気軽に言ってよ」
「ありがとう、その時になったらお願いするわ」
やさしい笑顔を返してくれる、それだけでなんでもしてあげたくなった。
雑談をしながら廊下を進み、部室が纏まっているエリアまでやってきた。ニカさんに連れられて部室の扉を手前から順に片っ端からノック、見学して一言コメントを残して退室を繰り返していく。それは半ば流れ作業になっていて、それゆえに部活動ごとの差がほとんど無かった。公平性という面では確かにこれが一番いいのかもしれないけれど、必死に部活のアピールをしている生徒たちにとってはなかなか辛いものがあるだろう。
「部活動百人切りって感じだね」
「数も多いから、あまり時間はかけられないのよ。下手に期待させても申し訳ないでしょう?」
「言わんとしていることはわかるけどさ。で、次は?」
「ようやくラストよ。今日のメインイベントね」
目の前には『生徒会室』の看板がかかった扉。そもそも生徒会は部活なのかとか、投票で選ばれるものじゃないのかとか、いろいろ気になりながらニカさんに続いて入ると、実習室に似た雰囲気の部屋が広がっていた。
部屋の真ん中には大きな丸いテーブル、その周りには豪奢な椅子が三脚並べられており、すでにそのうち二脚にはサキュバスが座っていた。その面々は見覚えがある。この世界に来て二日目、ニカさんと実習室に行ったときに、メスを犯していたプリマドンナの二人だ。
一人はヤンキーっぽいサキュバス。ニカさんと同じ金髪を短めのウルフカットにして、眉を細く整えている。吊りあがった眉と鋭い目つきは、街角にいたなら避けて通ること間違いなしな威圧感があった。ただ、隣に立っているメスが巨乳お嬢様なせいで、どことなく『主人と狂犬』という組み合わせにも見える。実際の主従関係は真逆なのだが。あの時は全裸だったメスも、今日はちゃんと服を着ていた。
そのメスはきれいな銀髪金目で、お嬢様然としたフリフリのモノトーンなドレスを身にまとっており、頬を僅かに染めて照れているような表情も相まって、見た目通りに愛らしい。赤い首輪は革製で艶もあり、とても高級なものに見える。こんな見た目なのに、えっちの時には下品に喘いじゃうんだから、すごい世界だ。
そしてもう一人はお姉さんっぽいサキュバス。長身、黒いロングヘア、大きな胸、ふっくらした唇といった、包容力にあふれた容姿だ。ただ、隣に立っているメスが見た目小学生なガチロリのせいで、子供と保護者といった組み合わせにも見える。実際、保護者といえばそうともとれるが、小さな体にでかいちんぽをゴリゴリ突っ込むのはちょっと違うだろう。
そのメスはピンク色の髪をポニーテールに纏めた青い瞳の女の子で、見かけた中では一番アニメキャラっぽい見た目だ。シンプルなワンピースを着ており、年相応の可愛らしさがある。髪色と同じピンクの首輪は、その可愛らしさを一層引き立てていた。こんな見た目だけど、おそらくこの学校のプリマドンナの中で一番大きなちんぽを持っているご主人様の攻めをすべて受け止められるんだから、メスの体は随分丈夫にできているようだ。
(そういえば、この子たちの首輪は黒くないんだな。バックルはオレのものと同じだけれど、色にも何か意味があるんだろうか)
もしかしたら、この世界に来てからの年数で色が決まっているのかもしれない。一年目は黒、二年目はピンク、三年目は赤、とか。それにしては色のチョイスがあまりしっくりこない。
(下着屋さんで見かけたあのメス、首輪は何色だったっけな……。あんまり考えても仕方ないか)
必要なことであれば、ニカさんから教えてくれるだろう。今のところ何か困っているわけでもないし、そのうち聞けばいいだろう。
前回乱交していた時の印象がこびりついている四人だけれど、今日はそういう雰囲気でもなく、サキュバス二人は席におとなしく座っており、メスはその横で静かに立っている。先輩サキュバスは黒のセーラー服をピシッと着こなしており、真面目な空気が漂っていた。いくらサキュバスといえども、四六時中発情してセックスばかりしているわけじゃないらしい。ヤンキーっぽいサキュバスのほうが上の学年だったようで、先制攻撃とばかりにニカさんへ話し掛ける。
「エマニュエルさん、よく来てくれたわね。気になる部活動はあったかしら」
「すべての部活動を見学しましたが、どの部活動も惹かれるものがありました。やはり、すべての部活動に対して平等に支援できればと思います」
「では、私たちとともに、この学校の部活動をより良いものとすること、協力してもらえるかしら?」
「はい、是非よろしくお願いします」
全てあらかじめ用意されていたように、一切の淀みなく話が進んでいた。これが一番良いのだとは理解できるものの、学生生活からすでに利権の奪い合いが見て取れて、これが社会に出たとなればどうなるかはお察しだろう。
どこかの企業に就職なんてできるわけがない。国家がプリマドンナに特権を与え、国家のもとに置かなければ、プリマドンナをめぐる競争が世間を狂わせるだろう。それをプリマドンナに伝えるためにも、学生生活は役立っているように見えた。
「じゃあ、今からちょっと話し合いを始めるから、あんたたちは向こうで待っててね」
ヤンキーサキュバスの声に従い、お嬢様が先導を切って部屋の奥にあった扉の向こうへと向かった。ニカさんにちらっと目線を向けるとオレもついていくように言われたので、メス三人はオレも含めてみんな奥の部屋へ。ご主人様とはしばしの別れだ。
扉を抜けた先のその部屋は、実習室の個室と似たようなものだった。キングサイズのベッドが一つ鎮座しており、広々とした床にはフワフワの絨毯が敷かれている。壁際の棚には明らかにえっち目的の道具がたくさん並んでおり、おもちゃも箱に詰め込まれて置かれていた。みんな部屋に入って扉が閉まると、お嬢様っぽいメスが口を開いた。
「自己紹介からしましょうか。私はアルマと申します、よろしくお願いしますわ」
アルマさんはお嬢様っぽい見た目の女の子。キレイな長い銀髪にパーマがかかっていて、ふわふわと可愛らしい。髪の色と対になるような金眼もキラキラ輝いていて、どこかの名家のご令嬢と言われても全く違和感がなかった。オレよりも少しだけ背が高く、何よりも大きな大きなお胸が素晴らしい。巨乳好きなわけではないけれど、モノトーンのワンピースを大きく押し上げているおっぱいの存在感には目を見張るものがある。
「あ、じゃあボクも。スインだよ。これからよろしくね」
スインさんはオレよりこぶし二つくらいは背の低い、まさにロリな女の子。ピンク髪に青い目、お胸はぺったんこ、四肢は細く、明るい青のワンピースを着ていて、文句なしに可愛いガチロリ美少女だ。
にこやかに挨拶をしてくれた先輩方。良かった、メスの間にまでめんどくさい競争があったら、気がめいってしまいそうだったから。勢力争いは頭のいい方々でやっておいてもらって、オレは長いものに巻かれながら過ごせればそれでいいし。
「ニカさんのメスの、ミーナです。よろしくお願いします。えっと、たぶんそうだと思ってるんですけど、皆さんも日本からいらしたんですか?」
「ええ、そうですわ。私は一昨年、スインは去年この世界にこの姿でやってきて、プリマドンナのメスとして暮らしていますの。ほかの地域のメスとも会いましたが、例外なく、日本から精神を呼び出されていますわ。ただ、時代やその人の生まれは色々あるでしょうけれど、前の世界の詮索はタブーですから気を付けてくださいね」
言われてから気づいた。目の前の二人の痴態は既に目撃していたから、オレにとって二人は可愛い女の子以上の何物でもなかった。しかし、よくよく考えてみればどちらもオレと変わらない、元男の日本人のはずだ。この姿になってからというもの、いろいろなところで数えきれないほどの痴態を晒しているだろう。メスとして扱われ、自分のアイデンティティが数えるほどしかない中でなんとか暮らしているんだ。それなのに男の頃の話をするなんて、配慮に欠けていた。
「すみません。気が回らなくって」
「大丈夫ですわ。この世界に来たばかりのメスはみんな、不安ばかりで大変ですもの。少なくともこれから一年間は同じ学校で暮らすのですから、なんでも相談してくださいね」
「そうそう、本当に何でも大丈夫だからね。特にご主人様との関係とか、えっちとか、その体のことは悩むことも多いと思うし」
「ありがとうございます。頼もしく優しい先輩方で安心しました」
地雷を踏んでしまったかと焦ったけれど、間一髪踏みとどまれたようで本当に良かった。これ以降、この世界に来たからには、お互いを『生まれなおしたメス』として扱ったほうが幸せだろう。自分で自分に言い聞かせたり、ご主人様と二人の時に話したりするのは別として、『元男』を人前で振りかざすのはやめておいたほうがよさそうだ。こうして、なんとかファーストコンタクトはそれなりに済ませることができたところで、先輩方から新しいお誘いがかかる。
「じゃあ、お近づきの印にシましょうか」
「そだね」
先輩二人は何か通じ合っている様子で、顔を見合わせたのちにオレへと歩み寄ってきた。これから何が始まるのかなんて分からず、オレはその場で二人を眺めることしかできない。
「えっと、何をするんですか?」
単純な疑問を投げ掛けると、まるで常識を尋ねられたかのような呆れの混じった表情で、返事が返ってきた。
「この世界のメスがすることなんて決まってるじゃない。えっちしましょ」
「えっと、ちょっと聞き間違えた気がするんですけど……今なんと?」
「スイン、そっち持って」
「りょーかいです!」
質問を聞き流されてしまい、むしろ実力行使に走ってきたアルマさんとスインさん。両腕をそれぞれ掴まれて抵抗もできず、そのままベッドまで連行される。俺と変わらない体躯の二人に体を拘束されては、抜け出すことなんて不可能だった。それに、先輩方が良かれと思ってしようとしていることを跳ね除けるなんて、できるわけもない。何とか口頭で説得するしかなかった。
(これがこの世界の常識なのか……仲良くなるためにえっち、まるでエロ漫画だ……)
そのままベッドの上へ仰向けに寝かされ、靴を脱がされ、両脇に二人がぺたんと座った。上から女の子に見下ろされるなんてなかなか無い経験で、しかもニカさんとは違ってオレの見た目年齢に近いから、ドキっとしてしまう。
「大丈夫大丈夫、そんなに激しいことはしないわよ。新しく知り合った人同士でご飯とか行くでしょう? それと似たようなものよ」
「いや、先輩方はこの世界にもう慣れたかもしれないですけど、オレはまだそこまで慣れてないんですって」
「じゃあ、今から慣れれば大丈夫だよ。ほら、ちゅーしよ?」
「ちょ、スインさん! ダメですってば!」
「えー、なんで? ボクたちみんな可愛いメスなんだから、別にいいじゃん。だめ?」
「だめです。絶対だめです!」
覆いかぶさって顔を近づけてくるスインさん。とってもキュートな童顔美少女のお顔が眼前に迫り、キスしようって唇をちょっと突き出しているのが視界を埋める。思わずドキッとしてしまう顔の良さに意識が揺らぎそうになるけれど、何とかキスを拒もうとして、手のひらで顔の前にバリアを張った。
やっぱり、こういうことはしちゃダメな気がする。いくら先輩とはいえ、オレには受け入れられなかった。この世界に来てすぐだったら、可愛い女の子からキスされるなんて喜びしかなかっただろうけど、今はちょっと状況が違う。
「……まぁ、しょうがないわね」
「え~、新人さんとえっちしたかったのに」
頑なに嫌がり続けて口を手でガードしたら、二人ともオレが本気で嫌がってるのが分かってくれたみたいだ。渋々ながら手を引いてくれて、不服そうな顔をしているものの少し距離をとってくれる。
「ねぇ、どうしてダメなのかしら」
スインさんに待ったをかけてくれたアルマさんも、不満には思っているようだった。
(いや、考えてみれば、この状況って元男同士がキスしようってしているんじゃ……)
あまり考えないほうが良かったかもしれない。ただ見た目だけを考えれば、可愛い女の子同士がじゃれ合っているんだけれど、その精神は元男なわけで。自分を棚に上げて言うけれど、ちょっとどうなのか。とはいえそんなことを馬鹿正直に言うことなんてできないし、ちょうどいい理由も思いついた。
「どうしてって……まぁ、オレにはニカさんがいますし……」
「むぅ、気持ちいいことなんだから、するだけ得じゃん。おいしい料理をふるまわれたら食べちゃうのと変わらないと思うんだけどなぁ」
「ミーナさんはまだこちらに来て日も浅いですし、あまり強要してはいけませんわ。ほら、キスしたいなら私がしてあげますから」
「じゃあ、アルマさんで我慢する」
アルマさんがスインさんを説得してくれたおかげで、何とか窮地を脱することができたけど、今度は目の前で可愛い女の子二人がキスをし始めて頬が熱くなってしまう。仰向けに寝ているその真上で二人がお互いの唇を押し付け合い、舌を絡め合って深いキスをしているのが、とってもえっちで、見てはいけないと思いつつ視線が向かってしまった。
(どっちも、元男なのに……。なんであんなに幸せそうなキスができるんだろう……)
二人の表情は下からだとよく見えないけど、お互い手を握って、ここだけ切り取ったら女の子同士のカップルだと勘違いしてしまいそう。二人はそれぞれ別のご主人様に貰われたメスなのに。
「んっ……ふぅ、気持ちよかった」
「スイン、またキスが上手くなりました?」
「あ、そう? 最近はご主人に教え込まれなおされてるんだよね」
「あれだけ舌使いが器用なら、フェラも上達したんじゃありませんの?」
「そうそう、それも結構言われるよ。やっぱり、練習するもんだねぇ」
二人を眺めれば眺めるほど、そこにいるのがただの女の子に見えてくる。頭では分かっているけれど、見た目のキャラクターと言動がかみ合いすぎていて、そこに元々の精神が残っているのか怪しいほどだった。
オレの体の拘束を解き、ベッドにぺたんと座った二人。オレも体を起こしてベッドの上に座ると、不意にアルマさんと目が合った。その表情は先ほどスインさんとキスをしていた時とは打って変わって、本当に申し訳なさそうなもの。
「ミーナさん、ごめんなさい。純情派の方には最近会っていなかったので、進め方を間違いましたわ」
いい子だな、と思った。自分の常識とはズレていたとしても受け入れてくれて、オレの立ち位置を尊重してくれるだけの良識があった。ただ、元は同じ世界にいたのだろうから、そこからの変わりようはどうしても気になってしまう。別にえっちな場でもないのに急にキスをしようだなんて思いもよらなかったし、ましてやオレと二人はほぼ初対面だったのだから。何があってこんなふうになったのだろう。
(ほとんどのメスは色欲に染まった性欲モンスターになっちゃってるのかな。元男とかそんなことは関係ないレベルで、人前でそういうことをすることに対する抵抗が無くなっているのかもしれない)
もしかしたら、一年後の自分もそうなっているかもしれない。この一週間での染められようを考えると否定はできなかった。ついさっきだってニカさんにご奉仕してしまったし、している間はそれを楽しんでいる節すらあった。ニカさんがオレを気持ちよくしてくれるのは本当に幸せだし、この世の全ての幸福が自分の中にあると錯覚するほど。確実にえっちに対する抵抗は薄れているだろう。
「いえ、大丈夫です。この世界がその、そういうことに対してどういうスタンスかってまだよく分かってなくて、こちらこそなんかすみません」
「では気を取り直して、そうですわね……最近してよかったこととか何かあるかしら」
よかった、何とか普通の雑談に戻った、そう思ったのもつかの間。スインさんが会話の方向性を決める第一打を打ち込む。
「赤ちゃんに使う抱っこ紐ってあるじゃん、あれのおっきい版があってね、それでご主人様に抱きかかえてもらってフリーハンド駅弁を試したんだけど、それがとっても気持ちよくってさ。こっちはおちんぽと抱っこ紐と自分の腕でご主人様にしがみついてるんだけど、ご主人様の手は自由になってるから、勉強とか食事とかしても邪魔にならなくて、一日中ずっとハメてもらったんだよね。あの時は久々に気絶しそうだったなぁ」
滝のように流れ出る猥談に思わず目を見張ってしまうが、スインさんはまるで日常会話をしているような何食わぬ顔をしている。それどころか、アルマさんもそのまま話題を膨らませにかかった。
「いいですわね。スインさんは駅弁がお気に入りでしたっけ」
「ご主人様が駅弁大好きでよくしてたから、それでクセ付けられた感じだけど。奥の奥まで強制的に叩き込まれる感じは駅弁ならではだよねぇ。アルマさんは寝バックが好きなんだよね?」
「ええ、全身で乗っかられて身動きできない体制のままされると、普段の三倍は気持ちいいですから。ベッドとご主人様に挟まれる圧迫感は、他の体位では得られない素晴らしさですもの。ミーナさんはどんな体位がお好きですの?」
そんな、最近おいしいもの食べた?みたいなノリで言われても困る。それに、今まで手やおもちゃでは色々してもらったけど、本番はまだやってないし、答えようがなかった。
「え、いや、まだそういうのはあんまりよくわからないかなーって」
「深く考えずに、今までしてもらった中で一番気持ちよかった体位を言えばいいだけですのよ?」
『さすがにシたこと無い訳ないでしょ?』なんて言葉が隠れているようなセリフだ。やっぱり、メスになったのにいまだ姦通していないのは、この世界にとって異常なんだろうか。とはいえ嘘をつくメリットも理由もなくって、ありのままを話すことに。
「あー、だから、その……無いんです」
「気持ちよかったことがないんですの? いったい、どんなプレイをされたのかしら。……もしかして、酷いこととかされていませんわよね?」
勘違いをさせてしまったのか、二人は顔を青くして心配そうにオレを見ている。殴ったり蹴ったり、暴力を受けていると思わせてしまったのだろうか。尋常じゃない反応にびっくりしながら、何とか誤解だけは解かないといけない。
「いや、そうじゃなくて、そもそも、してもらったことがないです。その、本番を」
そう告げたとき、今度は先輩二人が口をあんぐりと開けて驚いた。それほど驚くことなのかと反射的に思ってしまったが、ニカさんの言う通り『食欲、睡眠欲と並んでメジャーな欲求』なのであれば、『この世界に来てからまだマトモなご飯を食べてないんだよね』くらいの話なのかもしれない。
「えっ、本当に今まで一度もしてもらったことないの⁉ もうこっちに来て一週間は経つでしょ?」
「無いですね。手でしてもらったり、道具でしてもらったりはありますけど」
二人は顔を見合わせ、珍しいものを見たとばかりに怪訝な表情。そりゃ、サキュバスをご主人様にもつのに本番をしないなんて、おかしく思われて当然だろう。ほぼ身内のオレですら変わってるなって思うし。
「そんなサキュバスがいるなんて信じられないなぁ。ボクのときなんか、こっちに来て目が覚めた瞬間に、おまんこにおちんぽが突っ込まれてたのに」
「私もそうですわね。実習室で目が覚めた後、すぐに後背位で犯されながら教育ビデオを見せられましたから。ほかのメスと話をしても、大体皆さんそんな感じですわよ?」
「あ、一応そうじゃない子もいたね。起きてからずっとおもちゃで焦らされて、おちんぽをおねだりするまで寝させてくれなくて、自分から『突っ込んでください』って言わされた子とか」
具体的な体験談が生々しくって聞いていられないけど、そのくらいのスピード感で犯されるのは何となく予想がつく。欲求に素直な学生サキュバスの目の前にメスが現れたら、そりゃ速攻で犯しにかかるだろう。今思えば、オレがこの世界で起きた時のニカさんの対応は紳士的を通り越してもはや去勢されているんじゃと思えるほどのものだった。
もしかして、ニカさんはメスに魅力を感じていないんだろうか。いや、オレの体を見るときは息が荒くなってたし、気持ちよくしてくれるときはちんぽを生やして興奮していたし、そうとは思えない。じゃあ、なんでオレを犯さないんだろう。ただオレを大切にしてくれている、それ以上の何かがある気がした。
「ミーナさんのご主人様も、おねだりしてくれるのを待っているんじゃありませんの? メスの反抗心を取り除くために、あえてそうしているサキュバスがいると聞いたことはありますから」
「うーん、どうだろう……」
ニカさんにおねだりしてしまった今日でさえ、最後までされることは無かった。あそこまでして本番をしないなら、いつするんだろう。一応一歩ずつ先に進んではいるけれど、この調子なら暫くはかかりそうだ。二人も不思議に思っているようで、ああでもない、こうでもないと唸っている。そりゃ、この世界で不自然に性行為を避けているサキュバスへの対処なんて、考えたこともないだろうなぁ。
「本当に本番をする気がない、とか?」
「まさか、そんなことありえないと思いますわよ。むしろ、そのためにプリマドンナになるんじゃありませんの?」
「だよねぇ。ミーナ、もっとおねだりしといたほうがいいんじゃない? あんまり待ちすぎてご主人様の我慢が利かなくなってからだと、めっちゃハードなプレイをされるかもよ?」
暫く考えた結果、二人は最初の結論に戻ったようだ。とはいえ、オレとしてはとてもじゃないが信じがたい。あのニカさんがオレを焦らして、自分から股を開くように仕向けているなんて。
「えっ、いや、さすがにニカさんがそんな……」
「まだ一週間もたっていないんですから、本性を隠し通せていてもおかしくないですわ。私としても、早めにおねだりして初体験を済ませておくことをお勧めしますわよ」
あまり長い間我慢させたら、爆発したときに大変だというのもわかる。サキュバスの精力は底なしだろうし、本当に『気が済む』まで犯され続けたらどうなってしまうか、考えただけでもぞっとする。不本意ながら、ついでに股間もちょっと濡れた。
「言ってることはとりあえず分かりましたけど、どうやっておねだりなんかするんですか。自分から『犯して』なんていうのは恥ずかしすぎて、絶対無理ですよ」
今まで散々『オレは男だから』と言って本番行為から逃げてきたのに、急に立ち振る舞いを変えるのはあまりにわかりやすくて憚られる。とはいえ、このままなあなあで過ごしていつかニカさんの性欲が爆発したら、取り返しのつかないことになるかもしれない。それこそ、学校だろうがどこだろうが、一日中ずっと繋がったままで暮らすとか、そんなことが起きたらどうしようもない。
元男としての矜持と、ニカさんが暴走する危険性、その二つを天秤に掛けた結果、割とあっさり後者に傾いた。ご主人様の態度が変わってしまうのは、オレ自身の生活に関わってくるからしょうがない。別に、ニカさんに犯されたいわけじゃなくって、暴走したニカさんに死ぬほど犯されるのが怖いだけだ。
オレが受け入れられる範囲で、いい感じのおねだり方法がないか。わがままだとは思いつつ二人に相談すると、思いのほかすぐに答えが返ってきた。
「口に出しておねだりする必要はありませんわよ。例えば、ご主人様の前で準備万端になったおまんこを差し出して、くぱぁ♡ってして目線で懇願するとか」
「精のつく料理をふるまったり、それとなく好きなプレイを聞いたりするのもいいかもね。コスプレ好きだったらそういう服装をしてあげるとか、何かしらのシチュエーションに萌えるならそれを再現してあげるとか」
さすがに自分の体を使って誘惑するのは恥ずかしすぎるけど、まず胃袋から掴んでいくとか、服装をニカさん好みにするとか、その辺ならまだ頑張れるかもしれない。どちらも毎日試せることだし、張り切ってもさほど違和感がないだろう。
「なるほど……ちょっと試してみます。アドバイスありがとうございます!」
ふふふ、ニカさん、今に見ていろよ。アッと驚かせてやるんだから。
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