プリマドンナ~TS転移娘がふたなりサキュバスに堕とされる話~ 作:Sfon
十日目 本音が言えたら
水曜日。昨日の夜死ぬほどイカせてもらったおかげで、思ったほどムラムラが溜まらないまま性技の授業を迎えた。今日のキーワードは『おもちゃ』『拘束』。何となく予想が付きながらも、教壇の上にあげられたソファに座る。当然、全裸になって。
「う……さ、流石に恥ずかしいね……」
教室の片隅で服を脱いだ時から、いや、その前から、クラスメイト達の視線が自分の体に突き刺さる。靴下を脱いだだけでも小さなざわつきが起きて、そんなにメスに飢えてるのかと。飢えてるんだろうなぁ。胸と股間を手で隠してモジモジしていると、ニカさんがオレの目の前に立って、全身を舐めまわすように見ながら命令した。
「ひじ掛けに腕と足をのせて」
「えっ、足も? そんなことしたら全部見えるじゃん」
「見てもらうための格好よ。大丈夫、ミーナのおまんこはとってもキレイで可愛いんだから」
「いや、そういう問題じゃないんだけど……」
とはいえニカさんに歯向かうことなんてできないから、大人しく言われた通りにした。するとソファのひじ掛けからベルトのようなものが出てきて、手首と足首をひじ掛けにがっちり固定される。
(この格好、やばすぎ……。脚閉じれないし、身動き取れないし、おまんこの奥まで丸見えなんじゃないの?)
恥ずかしいところを全部見られて、顔から火が出そう。でもその恥ずかしさが体に熱を産んで、下っ腹が熱くなるし、胸はドキドキするし、乳首はちょっとだけ大きくなった。ただ、メスの体は多少発情したところで見た目にそこまで差異がないから、暫くは気づかれないはずだ。気付かれないでほしい。
態勢が取れたところで、ニカさんがおもちゃを片手に持って、オレの横に立った。今日のおもちゃは乳首を吸って振動するやつと、目新しいバイブ。ニカさんからキスされることも、体を撫でてもらうこともないまま、おもちゃが乳首に当てられて、スイッチが入る。微かなモーター音と共に吸盤状の部品が乳首にくっ付いて、きゅ~っ♡と吸い上げた。
「あっ♡ ん……ふぅっ♡♡♡」
思わず声を漏らしてしまったけれど、ニカさんは気にする様子も無く、バイブをおまんこに当てた。まだ濡れていないからスムーズに入るわけもない。何かしら前戯をしてくれるだろうと思ったら、バイブのスイッチが入れられてクリトリスに押し付けられる。
「ぎゅぅっ♡♡♡ ちょっ、にかさんっ♡ もうちょっと、準備してよ……っ♡」
「これが準備よ。早くおまんこ汁を出して、突っ込めるようになってちょうだい」
「なっ……そんな言い方しなくたって、いいじゃん……♡」
まるで物のように扱われているそのセリフさえも、今のオレには助燃材になってしまう。オレの被虐趣味が刺激されて、ニカさんに屈服したい欲求が引き出されてしまって、体はえっちの準備を急ピッチで進めた。視界の中ではクラスメイトが自分のおまんこに熱い視線を向けており、その熱に焼かれて、おまんこの一番奥から熱いよだれが零れる。
「ほら、準備できたでしょ?」
「う、うっさい……♡ さっさと進めなよ……♡」
ニカさんの表情は、芸を教え込む調教師のように柔らかく、鋭かった。バイブの先端がクリトリスから離れ、割れ目全体を撫で上げる。亀頭を模した部分全体に愛液がべっとり付いたら、おまんこの肉を割り開いてお膣の中へと挿入された。
「うぁっ♡ んんっ♡♡♡ ふっ♡ ふーっ♡♡♡」
すっかり解された子供まんこは、簡単にバイブを飲み込んでいく。ニカさんのおちんぽと比べたらまだまだ細いけれど、それでも十分な圧迫感があって、Gスポットを始めとしたおまんこの弱点はしっかり攻撃できていた。この数日でおまんこ挿入には多少慣れたけれど、それで快感が弱まるわけでもなく、むしろより敏感になっていて、まっすぐ奥まで差し込まれるだけでも声を上げてしまうほどに気持ちいい。
「よし、奥まで入ったわね。じゃあ、今日はこの状態から振動をマックスにして、何回イけるか挑戦してみるわよ」
「えっと……え?」
普段と変わらない口調でさらりと言われて、思わず聞き間違えたかと耳を疑った。しかし、その直後、今までにない振動がおまんこの中で炸裂する。
「あ゙っ♡ ゔぁぁあっ⁉♡♡♡ な゙に゙、これっ♡♡♡ ちょ、いっかいとめ゙てぇっ♡」
あまりの快感に全身が飛び跳ね、四肢を拘束しているソファがガタガタと揺れた。いつもなら脚をピンと伸ばして快感を逃がせるのに、今回は無理やり脚を畳まれていてそれができない。せめて手で恥ずかしいところを隠したいのに、快感のあまりお潮を噴くおまんこを何一つ隠せない。口を押えて嬌声を堪えることもできないし、体が反応するありのままを全てさらけ出すしかなかった。
(こんなの、し、しぬっ♡♡♡ きもちよすぎてしぬっ♡♡♡)
ポルチオをグリグリとこねくり回され、Gスポットを突き上げられ、おまんこ全体がぐちゅぐちゅとかき混ぜられる。バイブ自体がうねうねと波打って、おまんこの中で暴れまわっていた。ニカさんはバイブが抜けないようにおまんこの中へ突き入れているだけ。それも離されて、テープのようなものでバイブが体に固定された。
「そのバイブね、絶頂カウンターが付いてるの。ミーナが気持ちよくなったら、このスクリーンのカウントが増えていくからね。目標は……そうね、二十回くらいにしましょうか」
「むっ、むりっ♡ そんなの絶対無理っ♡ その前におかしくなって、きぜつするって♡」
オレに残された抵抗は、口を動かすことと、頭を振ることくらい。しかしどちらもまともな効果は無く、軽く受け流された。まだ一分も経っていないのに、あまりの快楽で涙が出てきて、顔がぐちゃぐちゃになってきている。
「安心していいわよ。気絶しそうになったら起こしてあげるから」
「やだっ、やだやだやだっ♡ にかさんのばかぁっ♡」
ソファに埋もれているオレにしゃがんで目線を合わせ、オレとしっかり目を合わせてそんなことを言いのけるニカさん。オレの知っているニカさんはもっとオレのことを尊重してくれていたし、オレが嫌がることはしないって言っていたのに、あれは嘘だったのか。
「でも、ミーナさ、この状況、イヤじゃないんでしょう? いやだったら、そんな猫なで声で喘がないもの」
「そんなことないっ♡ オレはもっと、やさしいのがすきだって♡♡♡」
バレてる。ニカさんに酷いことをされるのが気持ちいいって、バレてる。オレ自身でも信じたくない、恥ずかしい性癖なのに。元男なのに、サキュバスにマウントを取られて、自分の意志から離れた快楽を注ぎ込まれるのがとっても気持ちいいってバレてる。
恥ずかしい、恥ずかしい。恥ずかしくて消えてしまいたい。でも、その恥ずかしさが気持ちいい。ニカさんが立ち上がって、オレを見下ろす。その視線が気持ちいい。クラスメイトのみんながオレを熱っぽい視線で見つめているのが気持ちいい。教室の後ろにあるカメラで録られているのが気持ちいい。気持ちよくて、泣いてしまいそう。
(もう、いっそのこと、このままメスに堕ちたら、どんなに気持ちいいんだろう……♡♡♡)
一度その気持ちよさを自覚したら、後は快感が加速するばかりだった。全身におまんこからの快感が溜まっていき、ついでに乳首からも快楽が流れ込んでくる。愛液をだらだら垂れ流してソファの座面を汚し、フェロモン満載の汗をまき散らして喘いでいれば、やがて絶頂が近づいてきた。おまんこの締め付けが強くなり、バイブにきゅ~っ♡と抱き着いて、少しでも多くの快感を受け取ろうと必死になる。喘ぎ声がどんどん高く、大きくなっていく。
「イクときはちゃんと言うのよ。言わなかったらお仕置きしちゃうから」
「えっ、あ、ほぉ゙っ♡♡♡ イ゙っ♡ イきそ……♡ あぅっ♡ イくっ♡ イきますっ♡」
危うく、無言で絶頂してしまうところだったが、間一髪のところで許された。慌てて絶頂宣言をすると、ニカさんが機嫌良さそうに笑ってオレを見下ろす。その顔に向かって媚びを売るようにして、イくっ♡イきますっ♡と鳴き声を上げた。
(無様に絶頂宣言して喜んでもらうなんて、こんなの性奴隷と変わらないじゃないか♡)
自分の立場がどんどん堕ちていくのを感じ、それもまた快感へと変換されていく。自分の立場を一度理解してしまうと、周りからの視線もより一層鋭く感じ、ますます興奮が高まっていった。そして、それが最後の引き金になったのだろう。
「いくっ♡ ほんとにイきますっ♡ おまんこでイくぅっ♡」
「もうイっちゃうの? まだ二分も経ってないけど。このペースだったら、三十回はイけるんじゃない?」
あまりにも早すぎる絶頂。それを笑われるのでさえも快楽となり、視界がぼやけ、体が宙にふわりと浮くようにして平衡感覚を失い、それでも乳首とおまんこから注ぎ込まれる快感は明確に感じ取って、全身が痙攣した。
「イくっ♡ いく、いくぅっ♡ いくいくいくっ♡ いっ……ぐぅっ……♡♡♡」
ぶしゅっ♡ ぷしゅぅ〰〰〰っ♡♡♡ びくんっ♡ ぎゅぅ~っ♡♡♡
腰がヘコヘコと無様に動き、おまんこからはイキ潮が勢いよく飛び出して前列の生徒に掛かる。喉の奥からは鈍い嬌声が絞り出され、口はパクパクと快感に喘ぎ、舌はキスでもねだるかのように突き出されていた。
「うわ、すごいイき方ね。その調子でどんどんイってちょうだい」
「ゔぅ〰〰〰〰っ♡ ゔぁっ♡♡♡ んお゙っ♡♡♡♡♡ お゙っ♡ お゙ぉっ♡♡♡」
一度絶頂が始まると、もう止められない。バイブが動き続けている限り絶頂から降りてこられず、そこにあるのは絶頂している状態か、絶頂に向かっている状態かの二種類だけ。結局、最後までニカさんはオレに触れてくれず、あれから四十回の絶頂をキメたところで授業時間が終わった。
この体、体力の回復速度には目を見張るものがある。あれだけ絶頂を重ね、しかも不自然な体勢をずっと強いられていたというのに、おもちゃを外され拘束を解かれて数分休ませてもらえば、もう歩けるようになっていた。今日の授業はあれで終わりで、さっさと帰路につく。
「ニカさん、流石に今日のは酷すぎるって」
「でも、シチュエーション集に合った通りなのよ? ほら、『おもちゃ』『拘束』『無理やり』『絶頂宣言』『連続絶頂』ってあったでしょ」
「いや、あるけどさ。せめて事前に教えてくれたら心の準備だってできるのに」
「そんなことしたら、授業に来た時点でそういうことを受け入れてるってことになるけど良いの? 今のままなら、私に無理やりされたって言い訳できるのよ」
「……まぁ、今日のところは無理やりだったし、しょうがないか」
「そういうこと」
ニカさんに文句を言うつもりが言い負かされてしまって、それどころかオレに抜け道を作ってあげていたんだぞって教えられてしまったらどうしようもない。せめてもの抵抗として彼女の手を思いっきり握ってやったけど、この体は力に欠けるからまるで効いていなかった。本当にイライラする。それもこれも、この体の疼きのせいだ。
性技の授業であれだけイかされたのに、やっぱりどこか満足感に欠けて、ほんのりとムラついた気分が抜けきらない。たぶん精気を貰えなかったからだろう。キスもしてくれなかったし、当然精液を貰うことだってできなかったから。
いつもだったら授業終わりにはニカさんのおちんぽを消すためのご奉仕があったから、そのタイミングで目を盗んで精液を貰うことができただろう。でも今日はニカさんがオレに直接触れなかったからおちんぽを生やしてくれなかったし、そのせいでフェラをさせてもらう口実も無かった。まさか自分の口で『キスして』とか『フェラさせて』とか言えるわけもない。
(こんな状況で放置されるなんて、そういうプレイじゃないならイジメだろ。どうしてくれるんだよ……っ♡)
家に帰ってからもずっとおまんこが疼いたままで、でも弄ることは全く許されなくて、椅子に擦り付けることすらできない。ご飯を食べている間も、ニカさんの勉強が終わるのを待っている間もずっと。そしてようやくニカさんが勉強部屋から出てきたと思ったら、『お風呂に入れ』ってえっちをお預けされてもう体は我慢の限界だった。
「ふーっ……ふぅーっ♡♡♡」
髪を洗っているときも、体を洗っているときも、頭の中にあるのはニカさんとのえっちばかり。そういう触り方をしようとちょっとでも考えた瞬間に手が止まってしまうから、体を洗うためにいつもの倍以上時間がかかってしまった。何とか体を洗い終わって、せめてもの抵抗として、持っている中で一番えっちなショート丈キャミソールとショーパンのセットを着た。既に一度ニカさんに見せているだけあって驚いた様子は無かったけれど、ニカさんの視線がオレの肩や胸元、股間、太ももに向いていたから、効果は抜群だったみたいだ。
ニカさんをお風呂に見送ってからも体の疼きはずっと収まらず、リビングのソファの上で悶々とした時間を過ごした。ニカさんが帰ってきてもなお腹の底の熱が引かなくて、でも、それもニカさんにフェラさせてもらえば済む話。今日はオナニーしていないし、ニカさんに体を慰めてもらえる。そう思っていたのに。
(あれ、もしかして、オレから言い出さないとしてくれない感じか?)
いつまでたってもニカさんが話を切り出してくれない。今まではお風呂から上がってすぐに『フェラして』って言ってきたのに。彼女はリラックスした様子でテレビを見ていて、オレのことなんか全然気にしていないみたいだ。もしかしてオレがそういう気分だって気づいていないのかと思って、ニカさんの横にピッタリとくっついてみる。彼女の太ももに手を当てて、彼女の肩に頭を預けてアピールすると。
「今日のミーナは甘えん坊さんね。ほら、こっちにおいで」
柔らかい表情と口調で返されては、怒るに怒れなかった。ぽんぽんと膝を叩いたニカさんに誘われ、彼女の足にまたがってギュッ♡と抱き着く。彼女の肩口に顔を埋めると、彼女の柔らかく暖かい手が頭を撫でてくれる。もう一方の手は背中を撫でてくれて、幸せが体中に広がっていった。彼女のフローラルな香りに包まれながら人肌に触れると、それは快感となり、ついには体を震わせてしまう。
「――っ♡♡♡」
脳から下腹部、そして足まで走った快感は明らかに絶頂。しかしニカさんの手が触れた場所は、性器と程遠い、背中や頭だけ。たったそれだけの刺激でも達することができてしまうほど、今のオレの体は発情しているのだろう。
(オレの体、チョロすぎるなぁ。でも、オレがイったってことは、ニカさんもおちんぽを生やしてるはず。そうなれば、なし崩し的にフェラをすることだってできるだろ)
絶頂の余韻に浸りながら、自分のお腹をニカさんにピッタリとくっつける。オレの体からはフェロモンが出ているだろうし、まだ精気は貰えていないから発情だってどんどん進んでいる。今の絶頂によって更に興奮度が増したくらいだ。これだけオレの体が出来上がっていれば、ニカさんの手がオレに触れたとたんにおちんぽを生やしてしまうはずだった。しかし、ニカさんにピッタリと抱き着いているのに、お尻にも、お腹にも、おちんぽの硬くて熱い感触は無かった。まさかとは思うが、まだ生えていないというのか。
(もしかして、耐性が付いちゃったのか? もしそうだとしたら、無理やりおちんぽを生やすことができないってことで、それってつまり、オレが口に出しておねだりしないといけないってこと……?)
それは困る。おねだりのセリフを口に出すなんて、ニカさんにオナニーを見せるよりずっと恥ずかしい。おねだりなんてしたら、『理性が無くなってた』って言い訳ができなくなってしまう。オレはあくまで男。メスの体に振り回されたり、快楽に溺れたりしたとしても、自分から男の象徴たるおちんぽに触れるなんてありえないし、ましてや口付けるなんて天地がひっくり返ったってしないはずだ。
ならば、何も言わずにキスだけすればいいだろうか。不可能ではないだろう。キスで精気を貰った実績はあるし、それで半日くらいは過ごせた。めちゃくちゃ発情したところからそれだけ回復したから、何とかなるかもしれない。それに、今晩またニカさんが襲ってくるとしたら、そこでも精気を受け取れるかも。
(キスなら、まあ、男だってするし。あとはニカさんがオレに唾液を差し出してくれるかだけど……)
やってみるしかないだろう。自分からするなんてとっても恥ずかしいけれど、おちんぽを懇願するよりはよっぽどマシだ。ニカさんに抱き着いていた体を少し起こして、顔を向かい合わせる。発情したままだからまだ息は荒くて、ニカさんの顔に掛かっちゃうのが恥ずかしいけれど、そんなことを言っている場合じゃない。
「どうしたの? そんなに目をとろんとさせて」
「だ、黙ってて。目も閉じてて。そのままじっとしててね」
初めての、オレからのキス。ニカさんの顔に自分の顔を近づけていくと、それだけで心臓が破裂しそう。彼女の顔はオレの好みに世界一合致しているんだから、そんな女の子(サキュバスだけど)にキスするなんて、緊張して気を失いそうだ。
「んー? ミーナ、どうしたのかしら」
相変わらず彼女は余裕の表情を浮かべている。オレはこんなに必死だって言うのに、なんでそんな顔ができるんだ。目も閉じてくれないし。こうなったら、このまま勢いでするしかない。
「ふーっ♡ ふぅっ……ちゅっ♡ ちゅぅっ♡ ちゅるっ、ちゅーっ♡♡♡」
ニカさんの唇に自分の唇を押し付ける。ニカさんにしてもらったことを思い出して、彼女の上唇を軽く食んでみたり、舌で唇を舐めてみたり。でも、いくらやってもニカさんにキスしてもらったときのような気持ちよさは生まれなかった。
(うぅ……何が悪いんだよ。やっぱり、唾液を貰わないとダメなのか……?)
もしそうだとすれば、このままオレが一方的にキスしていても意味がないだろう。ここまで来たら恥も何もない。あとで後悔するかもしれないけど、ニカさんにお願いするしかなかった。
「ニカさん、口開けて、舌、出して……?」
「今日のミーナは積極的ね。いいわ、してあげる」
ニカさんの口が少し開いて、舌がぐーっと突き出された。待ってましたとばかりに唇で飛びついて、できる限り全部を自分の口の中に取り込む。引っ込まれないように唇でホールドしながら、自分の舌でニカさんの舌を舐めまわす。一刻も早く、少しでも多くの唾液を貰おうとしてのことだけれど、思うように精気が貰えない。
(な、なんで? こんなにエッチなキス、してるのに!)
もう訳が分からなくて、悲しくて、視界が潤む。体は増々熱くなっていくのに、自分のすることなすこと全部が上手くいかない。ならばとニカさんの口の中に舌を突っ込んでやたらめったらに舐めまわすけど、それでも状況は変わらなかった。
「うぅ……うぅ〰〰〰〰〰〰っ!」
「わっ、ちょ、ちょっと、ミーナ。泣かないでよ」
「だっ、だって……だってぇ……!」
さすがに泣かれるとまでは思っていなかったのだろうか。オレが顔を離してぼろぼろと涙をこぼし始めたら、慌ててオレの頭を抱いて撫でてくれた。違う、オレが欲しいのはそんな優しさじゃない。いや、これはこれでとっても気持ちいいけれど、そうじゃなくて。
「ごめんね、ミーナ。ちょっと意地悪してみたくなっただけなの。精気ってね、渡す側が渡そうとしないと、出てこないものなのよ。少なくともサキュバスは、そのコントロールに長けているの。で、ミーナがいつおねだりしてくれるかなーって……あぁ、ごめんってば」
「うーっ……ニカさん、きらい……」
「ごめんね、ごめんね。ほら、いっぱいキスしましょ?」
「……する」
ニカさんの手がオレの頬に当てられて、耳を撫でられる。視界の真ん中には申し訳なさそうにしているニカさんの顔があって、それが近づいてきた。口が開き、舌が突き出されているその恰好を真似して自分も舌を出すと、ニカさんの口とオレの口がぴったり重なり合う。
ちゅぅっ♡ ちゅるっ♡ ちゅぱっ、ちゅぅ~っ♡♡♡
唾液の混ざり合う音を聞きながら、舌同士のセックスに夢中になる。ニカさんの口から自分の頭へと気持ちいいものがどんどん注ぎ込まれて、キスだけで絶頂まで到達してしまう。ニカさんの体に抱き着いて、肩を震わせながらする深いキス。それは今日の性技の授業でしてもらったおもちゃ攻めなんかよりよっぽど気持ちよくて、幸せで、満たされるものだった。
やはり、精気を貰わないというのはとんでもないことなのだと理解した。まだ理性が残っていると思って行動していても、とっくに削れ切っていたのだから。自分からおねだりして精気を貰ったほうがまだマシだっただろうに、あろうことか自分から唇を重ねた挙句、精気が貰えないと泣いてぐずるなんて。まるで分別の付かない子供のすることだった。
体が落ち着くだけの精気を貰ってすぐ、自分が今どんな振る舞いをしたのかをまともな理性の元に直視してしまい、そのあまりの酷さに顔を覆ってベッドに潜り込んだ。ニカさんに合わせる顔などなく、明日からどんな気持ちで彼女の隣に立てばいいかもわからない。ジワリと滲んだ視界を枕に埋めていると、今まで聞いたことの無いようなニカさんの声がした。まるで地雷原を歩いている人みたいにオドオドしながら、オレの機嫌を窺いつつ、己のしでかした悪事を懺悔している。
「み、ミーナ? あのね、ぜーんぶ私が悪いのよ? その、ちょっと今回は流石にやりすぎたというか……その、ミーナが泣いちゃうのもしょうがないし、えっと……」
「……………死ぬか」
「ミーナぁ! 本当に私が悪かったから、ね? ほら、いっぱい気持ちいことしましょ? えっと、何がいいかしら。おまんこする? おっぱいがいい? あ、私の体を好きなだけ触っても良いわよ⁉」
「……寝る」
「えっと、えっと……あ、そうだ。明日、お出かけしましょ! ミーナの好きなもの、何でも買ってあげるわ。この家って私の好きなものしかないから、ミーナもつまらないだろうし、だからあんなにオナニーにハマっちゃったのよね?」
何をしたらオレが喜ぶか、一周回って分からなくなってしまったのだろう、あれこれ的外れなことを言ってオレの気分を更に落ち込ませること数度、恥ずかしながら心を惹かれる提案をしてくれた。
(確かに、事の発端は娯楽の少なさだ。オナニー以外で面白いことがあるのであれば、それで気分転換ができるし、時間を潰すことだってできる)
「……何を買ってくれるの?」
「なんでもよ、何でも! お金ならいっぱいあるから、本当に何でも買ってあげる。確か口座には今年分ってことで二千万くらい入ってたかな、ちょっと待ってて!」
ニカさんがベッドから降り、どこかに小走りで向かった音がした。おそらく通帳か何かを持ってくるつもりなのだろう。
(二千万、か。オレがまともに働いていたよりもずっと高給取りだ)
今年分ということは、毎年のようにそのくらいの額が入ってくるのだろう。まだ高校生のニカさんにそれだけ与えられるのだから、今後は一体いくらまで増えていくのだろうか。確かにそれだけまとまった額を貰えるのであれば、大抵の生活には困らないだろう。オレがそんな額を一年で得ようとしたら、どうすれば可能だろうか。身を売るとかじゃない、一度限りのチケットを切らないで、持続的に貰おうとしたら……そう考えて、まるで想像がつかないと思考を打ち切った。現実的な話には到底思えなかったから。
(ニカさんって、エリート中のエリートなんだよな。あまり意識していなかったけど)
プリマドンナは年に七人しか生まれない、超優秀な学生達の頂点に君臨するものなのだ。将来の全てを約束されるだけの頭脳を持っていることが確約されており、それに加えて確か面接もあったとか言っていた気がする。頭が良く、生き方も模範的、そんなニカさんにオレが少しでも優れているところなんてあるだろうか。
(ない、な。全部ニカさん方が上だ)
そんな人に物を買ってもらうなんて、自分がいやに矮小に感じる。オレのために配布されたお金だから好きに使えばいいなんて、そんな割り切りができるほど要領よく生きられる
(なにを買ってもらおうかな)
散々泣いて気分もある程度落ち着くと、途端に眠気が襲う。布団の中に潜ったせいで辺りは暗いし、暖かいし、ニカさんの良い匂いもするし、身体の疼きもすっかり消え去った。まだニカさんは帰ってきていないから起きていたいけれど、圧倒的な睡魔には逆らえず、そのまま意識を手放した。
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