ようこそ実力に任せた教室へ 作:15巻まだ?٩(๑•ㅂ•)۶
第1話
学校、それは彼にとってただの退屈な場所に過ぎなかった。彼は生まれつき頭もよく運動も出来た、おまけに高身長、そして誰もが振り返るような圧倒的な容姿を持つ彼にとって、勉強、部活、恋愛、、あらゆるものは思い通りだった。
しかし、人間は簡単に手に入るものには飽きるのが常である。彼にとっては高い成績も、優勝トロフィーも、学年一可愛い彼女も退屈なものに過ぎなかった。
彼は全てを与えられたが故に、歪みきった人間になってしまったのだ。
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春の伊吹が吹き荒れる道を進み、彼は今日から高度育成高校へと通うこととなった。彼の配属はdクラス、その能力には全く似合わない配属となったが、これは彼の意図するところとなっている。
「それじゃあ、次の君、名前を教えてくれるかな?」
クラスでは既にホームルームが終了し、平田という生徒が始めた自己紹介の時間となっている。
「僕の名前は柊渚、渚と呼んでくれると嬉しいな、趣味はサッカーだ、一応そこそこの実力なんだ、よろしく、みんな」
爽やかな笑みを浮かべ、彼は自己紹介を終える。彼のルックスと相まって教室からは彼の名前を呼ぶ声が飛び交う。
「渚くんはサッカーが好きなんだね、もしかして部活もサッカー部に入る予定なのかい?」
彼の自己紹介を聞いた平田が自分と同じスポーツを好む彼に質問する。
「いや、実はやることがあってね、残念だけど、入る気はないよ」
「そっか、よろしく渚くん」
そうして自己紹介は次の人物へと移って淡々と熟されていく。
「次は私だね、私の名前は櫛田桔梗と言います。ここにいるみんなと仲良くなることが目標です。たくさん思い出を作りたいので皆さんどんどん誘ってくださいね」
高度育成高校では実力の順でクラスが分けられていく、しかし、A、B、C、Dと完全に実力順で分けられている訳ではなく、それぞれの内面や過去の行いもクラス分けには考慮される。
例え、能力が優秀なものであっても過去にいじめなどがあればdクラスへと配属となることもあるということだ。
現に平田、そして櫛田はビジュアルにコミュニケーション能力はかなりの高水準であるように思える、かなりの不運動音痴や成績不振である可能性もあるが、平田は趣味がスポーツ全般といっているし、櫛田の話し方からは人に受け入れられるためのかなり計算されたものを感じる。
「君は自己紹介しないのか」
「ええ、必要ないもの」
隣にいる女子生徒に話しかける、彼女も読んでいる本や振る舞いからそれなりに頭が良いことが予想されるが、みんなが自己紹介をしているのにも関わらず自らのやりたいことを優先している彼女の様子を見るに協調性にかけていることがみてとれる。
ガダン
「くっだらねぇ、俺たちガキかよ、やりたいやつだけでやってろ」
堀北の内心と同じく同じく自己紹介をくだらないと赤髪の男子生徒が机を蹴り飛ばす。
「みんなの仲が深まればと思っただけで、気分を悪くしたなら謝るよ」
平田が赤髪の男子生徒を宥めることによって何とか場を収める。
「お前たち席に着け、ホームルームを始める」
悪くなった雰囲気の中、このクラスの担任と思われる若い女性が教壇に着く。20代くらいだろうか、かなりの美人だが、どこか冷たい印象がある女性だ。
「これよりこの学校についての説明を始める」
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この学校は全寮制であり、外部へ出ることは愚か、連絡をすることさえも禁止されている。さらには内部で使われる通貨はポイントと言われる1種の仮想通貨が使用されている。これだけ聞くと怪しい学校だが、政府公認の学校で進学実績に関しても申し分がないため、かなりの人気校となっている。
一通り説明を終えると茶柱先生は足早に教室を後にする。ホームルームが終わると教室には既に出来上がったグループの人達が話し始める。
「ねぇ、この後平田くんと私たちでカラオケ行くんだけど、柊くんも来る?」
彼に声をかけたのは確か、軽井沢と言う生徒だ。長い金髪に整った容姿で現時点でカースト上位を占めている女の子だ。
「いいよ、他には誰が来るのかな」
「えっとね、松下さんと小野寺さん、あとは佐藤さんも誘おうかなって思ってる」
誘われているのは軒並み初日のクラスでも目立つ人物たちだ。しかし、1部来ない人もいるようだ。
「櫛田さんは居ないんだな」
「え、あうん、誘ってないよ、櫛田さんと仲いいの?」
心の中で思っていたことをうっかりと口を滑らせてしまった故に軽井沢が目を細める。
「いや、そういう訳では無いよ」
「ふーん、それで来る?」
「ああ、参加させて貰おうかな」
「柊くんも来るって」
「ほんと!」
彼が参加を決めると後ろで様子を伺っていた佐藤、小野寺、松下が歓喜の声を上げる。
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「じゃあ、私歌いまーす」
流行りの曲を次々と入れていき場は順調に盛り上がりを見せる、誰かが歌っている間には合いの手を入れながらおしゃべりを楽しむ。
「ねぇねぇ、平田くんと柊くんは彼女いるの?」
「えー、それ私も知りたい」
「私も私も」
軽井沢の質問に佐藤や小野寺も食いつく、松下も興味がありそうにそのやり取りを眺める。
「僕はいないよ」
「僕も今はいないかな」
つい半月ほど前までいたが、その彼女とは卒業を気に別れを告げたので今はフリーだ、しかし、新しい彼女を作る気は無いが。
「えー、じゃあ柊くんの彼女に立候補しちゃおうかなー、なんて」
それを聞いた松下が冗談半分で彼女に候補する。
「え、え、松下さん!柊くんのこと狙ってるの?」
佐藤が少し慌てた様子で松下に問い質す。すると、松下は笑みを浮かべる。
「あはは、冗談だよ」
「なんだ冗談か、良かった〜」
「松下さんは面白い人だね」
松下が冗談だと明かしたことにより、佐藤は安堵のため息を着く。
「でもさぁ、柊くん、櫛田さんに興味あるんじゃないの?」
そこへ軽井沢が爆弾を投じる。恐らく先程、この会に櫛田が居ないことを聞いたから軽井沢は彼が櫛田に興味があると思ったのだろう。
「ええ!そうなの、柊くん?」
またも佐藤が慌てた様子で柊に問いかける。恐らく佐藤は柊に興味があるのだろう。
「軽井沢さん、柊くんが困ってるよ」
「えー、ごめん、でどうなの?柊くん」
「そんなことないよ、ただこういう集まりなら彼女が来そうだなって何となく思っただけだよ」
彼が櫛田に興味があるのは事実だが、特に彼女らが思うようなものでは無い。
「ふーん、ならそういうことにしといてあげる」
軽井沢は特に動揺しないところを見てか、追求を諦める。ただのおちゃらけたギャルと思っていたが、意外にも
人を見る目があるようだ。
「じゃあ、次、平田くんは気になる女の子クラスにいないの?」
ターゲットは平田に移りこの話は流される。
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「思ったよりも狙い目が多かったな」
カラオケを終え、彼は1人部屋で名前のリストを前に独り言を呟く。そのリストには女子生徒の名前のみであり、単純にクラスメートのリストではないようだ。
「櫛田に、軽井沢、そして堀北、まずは最初は誰にしようか」
そう呟く彼の表情は恍惚とした中に狂気が満ちていた。