※この作品はR-18です。

愛生まばゆ×巴マミのエロ短編集   作:つむぎルカ

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寂しさ極まってしまった甘えんぼ駄々っ子マミさんが、まばゆちゃんに授乳と愛撫をお願いしてしまう話。
マミさんが吸う側です。
まばゆちゃんが吸われる側です。
いわゆる授乳手マンってやつです。

本作はpixiv様にてマルチ投稿させて頂いております。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21804878



心細い

 ──白い息を燻らせる。

「はぁっ……」

 湿気は冷えた空気に霧散してゆき、消える──。

 ──なんだか、今日は疲れちゃった。

 鉛みたく──は言い過ぎにしても、体が重い。

 でも、今日もまた──まばゆさんの予知を頼りにして、敵を滞りなく仕留める事ができた。

 まばゆさんが居てくれる限り、何も心配なんて要らない。

 私たち魔法少女コンビは、いつだって共に在れる。

 ──それは、揺るぎない筈なのに──。

『──マミさん?』

「──!」

 あっ、いけない──。

「え、えぇ……大丈夫。片付いたわ。今から戻るわね?」

 あの子からの念話で、私の思考が現実に引き戻される。

『……本当に大丈夫ですか……?』

 ──大丈夫。

 今もこうして、まばゆさんが気に掛けてくれる。

 そんな日々が続く限り、私は大丈夫。

 でも──。

「……体の方は大丈夫よ。心配しないで」

『マミさん……』

 まばゆさんが、縋る様に呼び掛けてくる。

 何かあったら、遠慮なく相談して欲しい──まばゆさんが言ってくれたこと。

 その言葉が何よりも嬉しくて、まばゆさんのそんな想いを無碍にする訳にもいかなくて。

 だから、私は──。

「……大切な友達だものね。そうなんだよね……?」

『私で良ければ、いつまでも──』

「ふふっ、ありがとうっ……。……帰ったらお話するね……?」

『はいっ。お待ちしてます、マミさんっ……』

 友達で居てくれる。

 だから、隠し事なんてもう要らない。

 あの子が受け止めてくれる。

 もう、寂しい思いをしなくて良い。

 ──なのに、私は──。

 

◆

 

 いつものように、マンション──自宅への廊下で歩を進めて。

 けれど──何故だろう。

 視界が揺らいでならない気がするの。

 それに、どことなくふわふわしている。

 私の両足が、地面に着いてないように。

「っはぁ──はぁ──っ」

 白く燻らせる息は、上がり気味。

 ああ、私──どうしちゃったんだろう。

 ただ歩いてるだけなのに。

 こんなんじゃ、まばゆさんに心配を掛けてしまう。

 ──やだ、そんなの……。

 まばゆさんの下には、いつだって元気で帰ってきたい。

 だって──まばゆさんの予知は最善で、最高の結果なんだもの。

 なのに、私が倒れる訳には──いかなくて。

 ──なのに。

「──マミさんっ!」

 こつこつと駆け寄ってくる音と共に、聴き慣れたあの子の声が頭の中に響く。

 ──ああ、まばゆさん──。

「ごめん、ね──」

 響く彼女の声を残滓に、私の意識は──。

 

◆

 

 ──さみしい。

 

 いかないで。

 ずっといっしょにいて。

 私をひとりぼっちにしないで。

 ずっとずっといっしょにいてくれなきゃやだ。

 さみしいよ……こわいよ……。

 

 ──おねがい……私のそばからはなれないで……。

 

◆

 

 ──光が射し込む。

「んぅ……」

 見慣れた天井。

 大きなガラス張りの窓。

 けれど光は日向でなく、闇夜を照らす月明かり。

 瞼を擦りながら、側を見やると──。

「あ……マミさん……」

「……まばゆさん」

 大好きな大好きな──会いたかった、私の友達。

 ──いつでも会える筈なのに──ね。

「だから言ったんです。マミさん、大丈夫かな……って。ここのところ、ずっと頑張り過ぎだったんですよ、マミさん……」

 学校に、テストに、それに魔法少女として毎晩戦って──。

 ああ、確かに疲れてしまっても。

「……ふふっ、ごめんなさい……。ちょっと大丈夫じゃなかったみたい……」

 自嘲気味な笑みを向けながら。

 現に、体の火照りは──熱っぽさは、今も治ってない。

 疲れも、まだ抜け切ってはいない。

 そんな私へ、やっぱりまばゆさんは──。

「笑い事じゃないですよ……! もしマミさんの身に何かあったら──」

「──本当にごめんなさい……っ。私、どうしてか……あの時は大丈夫だって思ってしまったの。……その後から、ちょっと辛くなっちゃったけど……ね……」

 自嘲なんて、するべきじゃなかった。

 こんなにも心配してくれるまばゆさんには、寧ろ──悪い事しちゃった。

「……なら仕方ないです、けど……」

 少し拗ねるように、口籠るまばゆさん。

 普段であったならば、その仕草さえも可愛い……って思ってしまうのだろうけど、今は──そう思ってしまうと申し訳ない気がして、胸がちくりと痛んでしまうの。

「……あの、まばゆさん」

「なんですか……」

 依然と拗ねたまま。

 ──だったらちょっと、頼っちゃおうかな……。

「……コーヒーを」

「……!」

「暖かいコーヒーが飲みたいわ。お願いできるかしら……?」

 拗ね気味な顔が、みるみる内に晴れてゆき──。

「はい……、はいっ! お安い御用です! 今、淹れてきますね……!」

 普段の笑顔に戻ってくれて、とてとてと小走りで台所へと向かってくまばゆさん。

 ああ──よかった。

「……ふふっ」

 やっぱり、まばゆさんには──頼って良いんだ。

 そう思うと、自然と笑みが溢れてきちゃった。

 まばゆさん──。

 

◆

 

 ベッドの上に、二人で肩を寄せ合いながら──。

「──っはぁ……」

 喉を通して、体の中から温めてくれる。

 香り高い苦味を、ミルクのまろやかさが包んでくれる、まばゆさんの優しいコーヒー。

「……にひひっ、よかったです」

 言葉にするよりも前から──私の表情から、まばゆさんのコーヒーに癒されてる事がはっきりと伝わってくれたみたい。

 まばゆさんの、いたずら気味な笑み。

 彼女のこの表情を見てると、心の底から安堵出来る気がするの。

 胸の重石が、解れてくれる──。

「……はぁ、美味しい……っ」

 普段は紅茶派だけど、まばゆさんの淹れてくれるコーヒーなら、いつだって飲んでいたい。

 この味を、この温かさを、ずっとずっと忘れないでいたい。

 忘れたくない。

 この優しい時間が、いつまでも続いてくれるなら──いつまでも──。

「……まばゆさん」

「なんでしょう?」

「いつでも……飲めるのよね……?」

 ──飲めなくなるなんて、あるはずない。

 けれど、もしも──飲めなくなってしまうのなら、って。

 そんなこと、考えたくない──考えたくもないのに──。

 今日の私には、過ってしまうの。

「……いつでも飲めますよ」

 と、微笑んでみせつつ──。

「と言うかラテアートの修行中なので、余っちゃう程なんです。お陰でお腹たぷたぷで、カフェインで夜も寝られなかったりなんてしちゃう程ですよ、もう……」

 毎度お馴染みの、まばゆさんの困り顔。

 お口を三角形に尖らせて、ハの字の眉がどことなく波打ってる様に見えてしまって。

「……と言う訳で、余っちゃう程なんで、マミさんにはいつでも淹れてあげられます」

 ごまかす様に、少しおどけてみたりなんかもしてしまう。

 そんなまばゆさんの『らしさ』が、私には心地良くて──。

「ふふっ。……うん、ありがとうっ……」

 カップを手のひらで覆いながら、笑みが溢れてしまう。

 こう言う手のひらの行いは、本当はマナー違反だけれど──今はとにかく、この温もりに縋りたかった。

 

◆

 

「ごちそうさまっ」

「お粗末さまでした。何か──今日マミさんに淹れる事が出来たの、本当よかった気がします」

「うん、よかった……。飲めてよかったあ……」

「にひひっ。……じゃ、片付けてきますね」

 コーヒーの香りを残滓に、まばゆさんは──。

「何かご入用だったらいつでも──」

 ──まばゆさんが、行ってしまう。

 やっぱり私は、我慢できなくて──。

「──わっ!? ま、マミさん……!?」

「っ……」

 単に片付けに行くだけなのに。

 まばゆさんの小さな体を、全身で抱きついてしまうの。

 ──ああ、まばゆさん……温かいなぁ……。

 この温かさを、決して放したくなくて──私は──。

「……行かないでよ……っ」

「あ、えっと……カップを洗いに行くだけで……」

「そんなの、私が洗うのっ。私がご馳走になっちゃったもの」

「で、でも……私が淹れちゃいましたし……。それに、シミになっちゃったら良くないし……」

「お願いっ……ずっといっしょに居てっ……」

 まばゆさんが、私を放っておく訳ないのは分かってる。

 そんな薄情な子じゃないのも分かってる。

 でも──だめなの。

 今日はずっと、心の底に澱んでる。

 彼女のコーヒーで温めてくれようとも、結局晴れる事はなく──むしろ、より強まってしまったの。

「寂しいよ……やだよおっ……。ひとりぼっちは、もうやだ……」

「……」

 ああ、こんな駄々っ子──流石に幻滅されちゃうのかな。

 私らしくもない──ううん、醜いほどに素の私。

『寂しい』を受け入れてくれるまばゆさんにかこつける、醜い私。

 私って、とても嫌な子──。

「──マミさん」

 全身を、まばゆさんの温もりが包んでくれた。

「ボッチは私の専売特許って、言ってるじゃないですか」

 まばゆさんが抱きしめ返してくれた。

 受け止めてくれた。

 撫でてくれた。

 私を頭から撫でてくれる、まばゆさんの小さな手の心地。

 それが、いっそう──この子から離れたくないって気持ちを強めてしまうの。

 離れるだなんて、そんなこと──ないはずなのに──。

「……分かりました、いっしょにいます。心細い時って、ありますもんね……」

「……ずっと心細いよ……?」

「うん……」

「ずっと、いっしょに居させる事になっちゃうよ……?」

「そのつもりです……」

「本当に……? ずっといっしょにいてくれるの……? いつまでも、いっしょなの……?」

 ──どうして、声が涙色になってしまうのかしら。

「離れ離れになんて、ならないよね……?」

 そして、涙に濡れた声を堰き止められるなんてなくて──。

「っ……マミさん」

 まばゆさんへと、雪崩てしまう。覆い被さってしまう──。

 瞳を見開き、頬を赤らめ、少しびっくりしてしまうまばゆさん。

 ああ、やっぱり私……駄目な子だ……。

 こんなにも心配してくれるまばゆさん──。

 頼ってもいい──そこに付け込んでしまってるみたいで、私自身が嫌になってしまう。

 でも──今の私は、どうしてか我慢が出来なくて──。

「っ……ごめんなさい、私っ……」

「……いいですよ、マミさん……」

 気遣ってくれてるのかしら、紅潮しながらも、まばゆさんは微笑んで──。

「あなたの『寂しい』を、私なんかで良ければ受け止めますから……。だから、遠慮なんて要らないです……」

 そうして、受け止めてくれればくれるほど辛くなってしまう。

 いっそう、別れたくなくなってしまう。

 私には、あなたしかいなくなってしまう。

『寂しい』が、いっそう強まってしまう。

 遠慮が、抑えが、利かなくなってしまう──。

「はむ……っ」

「っん……ぁむ……っ」

 まばゆさんの、この温もりを──芯まで感じていたい。

 二度と忘れられないように、脳裏に刻み付けたい。

 そんな欲求が過ってしまえば、私は──まばゆさんのお口を、お口で塞いでしまって──。

「ちゅ……ちぅ……」

「んふ……んぅ……」

 まばゆさんの、ケーキの甘みとコーヒーの香り高い苦味が同居した、お口の味。

 この味と香りが、私の頭の中を融かしてしまう様な心地がするの。

「ぷは……」

 のぼせてしまったように、浮かされてしまったように、銀の糸をお口とお口に掛けながら、見つめ合う二人。

「……嫌だったら言ってよ……? 私っ、まばゆさんが嫌がること……したくないの……」

 だから、どうか──お願い。

 私を、止めて。

 ここで止めてくれなきゃ、嫌がってくれなきゃ──私はあなたに甘えてしまう。

 なのに──。

「……本気で嫌がったなら、私には奥の手があるって……知ってますよね……?」

 ああ──まばゆさん──。

 瞳を潤わせて──。

「……ふふっ。そうだったわね……」

「にひひっ。そう言うことです……」

 ずるい──ずるいよそんなの……。

 まばゆさんが微笑んで、そう言ってくれるのなら、私はもう──戻れなくなってしまうしか、なくなってしまう──。

 ああ、もう──まばゆさんっ。

「ぁむ……ぢゅっ……」

「っんむ……んぅ……っ」

 お口とお口で繋がり合いながら、着衣のまま──制服姿のまま、体と体を擦り付け合う。

 もう、抜け出せなくなってしまうのだろう。

 これから先、私は──まばゆさんに溺れるしかなくって──。

「ぷは……っ。ああっ……まばゆさんっ……」

「なんです……?」

 私を真摯に見つめてくれるまばゆさん。

 普段は前髪で分かりにくいけれど、近くで見れば──切れ長で凛々しいお目々をしてる。

 けれど──ひとたび微笑んでくれると、そんな切れ長なお目々が垂れ下がって、とても可愛らしくなってしまうの。

 そんなお顔で、まばゆさんは言ってくれた。

 私といっしょにいてくれるって。

 私の『寂しい』を分かってくれるって。

 まばゆさん──あなたの全てが愛おしい──。

 愛おしくて、もう──堪らないの──。

「素敵っ……。……はむ……っ」

「っん……ちゅ……」

 また、お口でお口を塞いでしまう。

 まばゆさんの、甘くて苦いキスを味わい尽くしてしまう。

 そんな私はもう、きっと元になんて戻れない。

 まばゆさん無しでは、きっと生きてけない──。

 

◆

 

 いつしか、お互いに一糸まとわぬ姿になってしまって。

「ぷは……、……っはぁ、まばゆさんっ……」

「はぁ……はぁっ……、マミさんっ……」

 甘えてしまう。

 甘える事を許してくれるまばゆさんに、甘えてしまう。

 ああ──まばゆさん。

 あなたは、何もかもが綺麗なの──。

 私なんかといっしょに居てくれるって囁いてくれる、その唇も。

 近くで見ればよくわかる、切れ長のお目々も。

 いたずらっ気な微笑みも。

 お肌は白くて──けれど、ほんのりと桜色を帯びていて。

 細い手足でいて、指も白魚のようで、小柄なカラダで──。

 私より控えめとは自嘲してたけれど、私なんかのよりも、よっぽど丁度良くて、形の整った胸──。

 まばゆさん──。

「っぁあ……っ、まばゆ、さんっ……んぅ……っ」

 湿気を込めた息を燻らせながら、まばゆさんのカラダへと擦り寄せる。

 まばゆさんの、高まった体温と共に桜色を帯びたカラダが温かい。

 私のカラダも、あつい。

「ん……ふぅ……っ、まばゆさん……っ……」

「ひゃう……っ、うぅ……んっ……」

 まばゆさんの胸に、私の胸を押し付けて。

 胸と胸がつぶれ合って──。

「っぁん……、まばゆ……さんっ……んうぅっ……」

「ぁふ……んっ……、マミさんっ……」

 涙目をぎゅっと瞑って、目尻に滴を溜めるまばゆさん。

 こりこりとした胸の実が擦れ合って、捏ね合って。

 そうする度に、カラダが震えて、ぎゅっ……と、気持ち良くなって。

「はうぅ……ぅうんっ……」

 気持ち良くなってしまったカラダは、とても寂しくて、心細くて、切ない。

 胸が締め付けられてしまう。

「……まばゆさんっ……!」

 もっとまばゆさんといっしょに居たい。

 もっとまばゆさんと触れ合って居たい。

 もっとまばゆさんが欲しい──。

「ひぁ……!? マミさんっ……!?」

 まばゆさんに全身で縋り垂れて、私は──。

「っちゅ……はむ……っ」

 彼女の胸を、その実ごと──お口に含んでしまう──。

「うぅ……っ、マミ……さんっ……」

 まばゆさんのくぐもる声が、私の鼓膜を通して、頭に響く。

「ん……んふぅ……れろ……っ」

 感触が、舌に伝わってくる。

 つん……と立った実の、こりこりとして、小気味よい感触。

「ひぃ……ん……っ、マミさんっ……くすぐったっ……」

 潤う瞳をしつつ、瞼をぎゅっと瞑りながら、困り笑顔を浮かべて堪えるまばゆさん。

 ごめんなさい──ごめんね、まばゆさん……。

 こんなにも甘え尽くしちゃって、ごめんね……。

「っぢぅ……ぢゅっ……」

 もう、姿勢としては垂れ尽くしちゃって──まばゆさんに膝枕でもしてしまってるかのよう。

「あふ……ぅう……、ううぅぅ……! マミさん、マミさんっ……!」

 くすぐったくて、苦しそうだけど、高く声を鳴らしてしまう、まばゆさん。

「ぢゅ……ちぅ……っむ……ぁむ……っ」

 多分、今の私──とっても、みっともない姿をしてると思うの。

 こんなの、まるで赤ちゃんみたいね。

 寂しくて、いっしょにいたくて、甘えながら乳を吸う赤ちゃん。

 なんて──なんて、みっともない──。

 でも──。

「……マミ、さんっ……」

 私の髪に、頭に──温もりが乗せられる。

 懸命に、私の頭を撫でてくれる。

 お顔を真っ赤にしてるのに、それでも頑張って甘えさせてくれてしまう。

 それでいて、まばゆさんは──。

「マミさんっ、無理……しないでください」

「っぷは……。まばゆ……さん……」

 ──後頭部を、小さな手で支えてくれた。

 乳を吸う私が、首に負担をかけないように。

 彼女の手のひらを、枕代わりにできるように。

「……ぁむ」

「ひぁ……っ」

 小さな悲鳴を聞きながら、私は再び──彼女の乳に口を付けて──。

「ちゅ……む……っ、はむ……っ」

「うぅ……、マミさん……おいしいですか……?」

「ぅん……っ。ぢぅ……ちぅっ……」

「そ、それはなにより、です……? ぁう……っ」

 実のところ、汗ばんでしまってるせいか、味はちょっとしょっぱい。

 でも、まばゆさんのカラダの味。

 それだけで──私にとっては嬉しい。

 もっと、もっと──甘えたい。

「……!? ま、マミさん……!?」

 まばゆさんの白い手に、私の手を添えて──。

「ぷは……。……まばゆさん、ごめんね……っ」

 彼女の手を、私の──へと、誘ってしまい──。

「マミさん……」

「……だめ……?」

 ああ、泣いちゃいそう。

 拒まれても仕方がないくらい。

 でも、受け入れてくれても──惨めで悲しくなっちゃう。

 胸がズキズキする。

 こんな感覚、私──もう耐えられなくって──。

「……マミさんが望んでる事なら……っ」

 真っ赤な微笑みは、私の『わがまま』を受け入れてくれた。

 これで私は、惨めな私──。

「ひゃぅ……っ!」

 まばゆさんの細い指が、私へと触れる。

「ま、マミさん……!?」

「んぅ……ぁうぅ……っ!」

 一度触れられただけで、この心地。

 カラダ全身が、甘やかに痺れてしまう。

「い、痛かったら言ってくださいね……!?」

「っ……大丈夫っ……」

「で、でも……っ」

「お願いっ……! 続けてっ……!」

「っ……わかりました……」

 こんな心地、一度っきりだなんて──耐えられない。

 もっと浸っていたい。

 お預けされるなら、ひどいんだから……。

「ん……んふぅ……!」

 まばゆさんの指が、再び私の中を穿くる。

 その度に、私は──。

「きゃ……うぅっ! ゃ……ゃあっ……!」

 力が入らなくなってしまう。

 骨抜きにされちゃう──。

 それに──。

「ぁんっ……! うぅ……ひゃうぅっ……!」

 ああ──なんてざま──。

 みっともない、あられもない声が、私から──。

 声を出すまい──と必死に抑えても、漏れ出てしまう。

「ゃ……うぅっ……! まばゆさん、まばゆさんっ……」

 恥ずかしい──恥ずかしいよ……。

 恥ずかし過ぎて、泣いちゃいそう──ううん、泣いちゃってる。

 耐えきれず、堪らず、瞼をぎゅっと閉じてしまう。

 泣いちゃって、頬が濡れてて──今の私、たぶん顔が大変な事になってる。

 私が招いてしまった事なのに、ね……。

「ぁむ……!」

「ひゃっ……!」

 再び、お口に含んでしまう。

 まばゆさんの、白い胸。

「ぢゅ……ぢぅっ……!」

「……マミさんっ……!」

 それからは──また、頭を撫で撫でされながら。

 私を、慰めてもらいながら──。

「んぅ……やぁ……! ぁんっ……!」

 カラダをビクビクと震わせながら、我慢なんて出来るわけなくって、なさけない声を漏らして、乳を吸って、まばゆさんに醜態を晒す。

「はぁ……はぁ……っ! ぁ……ふぅ……っ! ぁむっ……!」

 もう、涙だらけで前が見えない。

 水滴が視界をぼやかして、何も見えない。

「ぢゅっ……! ぢゅるっ……! ぢうぅっ……!」

 私の中を──カラダの芯から、ぎゅ〜っと……掴まれて、搾り尽くされるような、堪らない、切ない心地。

 私は、そんな『寂しさ』から抜け出せないでいる。

 ううん、むしろ──。

「っぢゅ……! ぷはぁ……っ! ひゃうぅ……うぅ……!」

「マミさんっ……どう、ですか……?」

「うぅ……気持ち良いっ、気持ち良いよおっ……! あ……ふうぅっ……! ゃんっ……!」

 もう既に、まばゆさんに溺れてしまってる。

 私はもう、助からない。

 救いようがない。

「っ……! ぁむ……!」

 立ち込める水音が、いっそう際立たせてしまう。

 私は、もう──どうしようもないんだって。

「ちぅ……はふっ……! ……れろっ……!」

 寂しくて、心細くて、どうしようもない子。

 どうしようもないくらいの、駄々っ子。

 無力な乳飲み子も同然な、駄目な子。

「っ……っっ……! ぁんっ……!」

 それでも、私は──まばゆさんを求める事をやめられない。

 こんなの、逃げられたっておかしくない。

 むしろ、いっそのこと逃げてほしいぐらい。

 なのに、私はこの子を放したくない。

 そして、離れてほしくない。

 離れ離れになったら、私は──きっと──。

「うぅ……っ! まばゆさん、私っ……もうっ……!」

「いいですよ……っ」

 ああ──だめよ。

「っうぅん……! はうぅっ……!」

「私でよければ、どうぞ遠慮なんてしないで……」

 やめて──やめて、まばゆさん。

「っぁあっ……! やだぁ……! やだぁあっ……! まばゆさんっ……まばゆさんっ……!」

 私を、私でいさせて──。

 そんな事を言われたら、私──は──。

「うぅっ……!」

 ──私は、私でなくなってしまう。

 私が──まばゆさんへと融けてってしまう。

「ううぅぅっ……!」

 私、あなたに融けてしまう。

 融けて、戻れなくなってしまう。

 ダメになってしまう。

 ずっとずっと、あなたに甘えたまま。

 もう二度と、離したくなくなってしまう。

 だから、この寂しさも──心細さも──。

「ううううぅぅぅぅっ……!」

 

 ──ずっと、このままなんだと思うの。

 

「っぁぁああっ! ひぁぁああっ……!」

 水飛沫が響く。

 ぷしぷしと、迸らせる。

 カラダは痙攣するように震え、思うように力が入らなくて──。

「ゃだ……! やだぁぁああ……っ!」

 悲鳴に近い涙声をあげながら、切なさを排泄するように、水音と共にはき出して──。

「っひぐ……うぅ……ぅぅううっ……!」

 しゃくりあげながら、歯を食いしばって、涙に濡れた瞼をぎゅっとつむって──。

 破れてしまいそうな程にシーツを掴んで、爪を食い込ませて堪えて、それでも水音は止んでくれなくて──。

「あうぅっ……! ひっ……うぅっ……!」

 堪えきれなくって、両手の手のひらで、涙でぐしょぐしょな顔を覆い隠す。

「っ……ぐす……」

 惨め極まりなく、透明の蜜を散らし、シーツに染みを描いて、私は果て尽くしてしまった──。

 

◆

 

 ──全部終えて、ベッドの上で。

「……まばゆさん」

「……はい」

 汗まみれになってしまった私たち。

 まばゆさんに至っては、胸のあたりが──私の唾液でべっとりと濡れてしまってる。

それに、私の頭を撫でて、支えてくれていた方のまばゆさんの手が──よくよく見れば、ぴくぴくと震えてしまってる。

 ──無理、させちゃった……。

「……ごめんね……っ。なんだか、めちゃくちゃになっちゃった……」

「どっちかと言うと、そこは『ありがとう』って言って欲しかったです」

「ふふっ、もうっ……。ぐすっ……」

「にひひっ……」

 まばゆさんったら、こうして──いつだってズルいの。

 いたずらっ子みたいな笑みと共に、ズルく私の心を抱きしめてくれる。

 寂しい寂しい私を、慰めてくれる。

「……本当、ありがとう……まばゆさん……」

「……私もです。私なんかを気に掛けてくれて、本当にもう……」

 ──だから、いっそう心細い。

「帰ったらまばゆさんに話すって、言ってたよね……」

「……ですね」

 せっかく約束して、まばゆさんも聞いてくれるつもりなんだもの。

 ちゃんと無碍にせず、言わなきゃ──ね。

「……まばゆさんの予知は、いつだって最善を尽くした結果。それは分かってるの……」

「……」

 胸をズキズキと痛ませながら、まばゆさんに吐露して──。

「でも、時折思ってしまう時があって。……悪い予知が告げられて、まばゆさんと……いっしょに居られなくなってしまう日が来たらどうしよう、って……。だから私、もっともっと……より良い未来を呼び寄せられるように、強くならなきゃって……」

「……っ」

 まばゆさんも、瞼を閉じてしまって。

 そして再び開ければ、瞳は潤い気味で──。

「……私も、時々思ってました。この日常が、終わりを告げられてしまう日が来たらどうしよう、って……」

 ──目尻に、涙を溜めてしまいながら。

「ああっ……、そうですね……っ。私も、辛いです。本当に辛い……。でも、マミさんっ……」

 潤った瞳を私へと向け直して、まばゆさんは──。

「実は、私も寂しいんです……。自堕落ボッチ陰キャって自称してて、何でもないフリしてますけど──ひとりぼっちって、寂しいものなんです。ひとりぼっちになってしまって、寂しくない人なんて……居ないと思うんです」

 震える声を我慢した、小さな小さな──まばゆさんの声。

 まばゆさんが泣きたくなる時には、いつもこんな声色になってしまう。

 このまばゆさんの声は──嘘なんてついてない、本当の声。

「だから、『寂しい』って時は──遠慮なんてしないでくださいね……? 私も、マミさんにはお世話になりっぱなしだから、負い目なんて感じないでくださいね……?」

 ──ああ、まばゆさん。

 あなたって、本当に──。

「──ふふっ」

「わわっ……」

 また、ぎゅ~って……抱きしめてしまう。

 まばゆさんに、甘え尽くしてしまう。

「……ずっとずっと寂しいの、私。だから……遠慮なんてしないわよ……?」

「にひひっ、それで良いのです」

「ふふっ、もぉ……っ」

 まばゆさん、今日は嘘をつかずに受け応えてくれた。

 それはとっても嬉しくて、泣いちゃいそうになる程なの。

 でも──。

 

「ずっと一緒にいようね……? まばゆさん……」

「えぇ、えぇ……。そのつもりです──」

 

 嘘じゃない代わりに、はぐらかされてしまった──。

 そんな気がしてならないの。

 

 この胸のズキズキは、多分──もう治らない──。

 

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