ごめんなさいね!!
淫神を討伐し、各地を訪ねて報告をして回った次の日
ミスズと俺には長旅の休息として、しばらく休みが与えられた。
「むにゃ…ん…ふぁあ…兄しゃま…?」
「起こしちゃった?まだ寝てて良いんだよ、ミスズ」
外出の準備をしていたら、起こしてしまった妹弟子の頭を撫でる
「兄さま…まだお休みのはずですけど…どうかしましたか…?」
「ごめんね…俺は用事があるから出なくちゃいけないんだ。ゆっくり休んでて、ミスズ。」
「まさか歓楽街に、なんて行きませんよね…?」「違うよ!?」
「んむぅ…あとで何をしてたのか、ちゃんと聞かせてもらいますからね…?」
眠たげなミスズと別れて、ラクヒ村に向かう。
奴はまだ、宝鏡を使用した祭祀場に潜んでいるはずだ…
「あれ?ミスズちゃんのお兄さんだ。今日はどうしたのー?」
「今日は1人なのね、珍しいわ」
祭祀場で淫神の元従者だった2人に出会った
今の彼女達は、崇拝していた淫神を失い…途方に暮れた住人達の取りまとめ役を担っている。
「こんにちは、2人も元気そうで良かったよ。」
「私たちに会いに来てくれたのなら、良いコトしちゃうんだけどなー?」
「私たちと楽しい事をしにきたのかしら…?」
「ミスズが怖いからやめてね…」
「ちぇー」「つれないわね」
相変わらず性に奔放というか、いつも通りだった
「では、私に会いに来てくれたんですか?兄さま♡」
「そうだね、君を祓いに来たんだ」
背後から振り下ろされた朱比売の形をした淫気の刃を、模擬刀で弾く
「流石兄さま、この程度では倒れませんね」
「2人共、下がって!!」
元侍女2人を安全な場所に離れさせ、淫影と向き合う
「─!?ミスズちゃん…?」
「いいえ、違うわ…何よアレ、淫気が実体を持ったというの!?」
目の前に立つミスズの姿をした淫気の存在に、2人は驚愕している。このような存在は前例が無いらしい
「私の身体は、あの子が放出した淫気の塊。しかし、万写の宝鏡が持つ力によって、高密度の淫気が消えること無く残存したんです。」
「そして、宝鏡が映していたのは、淫気だけではありませんでした。あの子を映し込んだ宝鏡は、その心までもを反映したんです。」
「結果、場の淫気に意志が宿り、あの子の記憶などを丸写しして、私が生まれることが出来た…というわけです。」
「とんでもない代物を祀ってたものね…」
「こんな事が起こるなんてねー…」
「門が開き、更なる淫気が噴き出す中。その場に居たあの子や貴方達、観測していたスイさん達を含め、私に気づく者はいませんでした…兄さまを、除いて。」
「…君の発生だけが、一番の不安だったからね」
「しかし私は所詮淫気。いくら意志を持ったとはいえ、精力を取り込まなければ存在を保つことは出来ません。」
「だから…今から兄さまの精力を搾り取って、私の力に変えてあげます♡」
「その後は…あの子の身体でも乗っ取って、不安定な淫気の身体を捨てて実体で好きに生きましょうか♡」
「そんな真似は、俺が絶対に許さない。」
「君を祓いに…勝つ為にこの場所に来たんだ」
模擬刀を構えながら、道具袋から身体を強化する薬を取り出す
「あの子の後ろで見ていただけの兄さまが、神刀も無ければ模擬刀一本で私に勝てると?正気ですか?」
「勝てるさ──だって俺は、ミスズの兄弟子だからね」
「じゃあ、やってみせてくださいっ!!」
【─淫気集中─】
「そういえば、これを使うのは初めてかな」
【猛化の秘薬】
【淫気凝刃】【抜刀紫電】
ぶつかり合う二つの技、しかし…彼の技が淫影の技を上回った
「…え…?どうして…ただの刀技で…」
「実体があるんだから、斬れる物は斬れるだろ。」
「ふざけないでくださいっ!!」
【迅速・紫電返し】
「遅い」
【返し切り】
「じゃあこれはどうですかっ…!」
【乱れ炎雨】
「火力が低いな」
【紅蓮焦浄】
「このっ…!!」
【絶刀・天渡し】
「まだ弱いな…」
【天地一閃】
淫影は心が折れそうだった…淫気の刃は掠りもせず
放った技はより強力な技で返され、目の前に居る
人型の怪物は無傷のままに、自分だけが反撃で受けた傷が増え続ける…
「元の私でも…神刀でもない相手に…こんな事が…!!」
「君の存在を知ってたから。怖がって逃げられないように、ミスズの目がある場所では本気を出せなかったんだ」
「…っ!」
【淫気凝刃】【抜刀紫電】
「本気を出せるって、良いね。君のおかげで…とっても楽しいよ」
不意打ち気味に放った淫気を凝縮した刃も、人の域を超えた刀技で破壊される。
「君の存在はミスズの風評に響くし、君の目的も見逃せない」
「ミスズの為に、ここで消えてくれ」
【焔剣仙舞】
ついに淫影は形を保てなくなり、浄化された。
(これでもう、ミスズは安全かな…)
「兄さま♡」
「ヒッ」
背後から妹弟子の凄まじい怒りを感じる──!!
「びっくりしました。スイさんから私の姿を模した淫気が兄さまと戦ってるって連絡が来たので、飛び出して来てみれば…とっても、楽しそうでしたね?」
「ミスズ…怒ってる…?」
振り向き、ミスズの様子を伺う。正面から感じるミスズの凄まじいオーラに、気圧されてしまう…
「私との模擬戦は本気じゃなかったんですか?。淫神退治の旅は、兄さまが頑張ってくれたらもっと早く解決できたのでは?なんて、怒ってないわけがないですよね?」
「ごめんなさい!!ミスズを成長させたい一心だったんです!」
「…兄さまが私の事を一番に大事にしてくれてる事は、分かっていましたから。こうして、この場所で私に被害が無いように危険な淫気を祓おうと動いてくれた事も」
「だから、許します。」
「ミスズ…ありがとう…」
「でも、それはそれとして…もう、お家から出しませんから♡♡」
「今回みたいに、一人にして危ない事をされてたら気が気じゃありません!兄さまは次の修行が始まる日まで閉じ込めます!!」
「なんでぇ…」
「お2人も、私の淫気がご迷惑をお掛けしました。」
「いいのよ、その人が守ってくれたし」
「魅力的な殿方なんだから、大事にするんだよー?」
「もちろんです!」
・・・・・・・・・・
それから、二人の間では旅の途中では行っていなかった模擬戦が再開された
模擬戦の勝敗で、夜伽の主導権を変えるとかなんとか…
彼も満更では無く、日に日に強くなるミスズの刀技と打ち合える事にも喜んでいる様子であった。
「兄さま…」
「どうしたの?」
「必ず、あなたのように強くなって…隣で、支え合えるようになりますから。…その時は、私と──」
「…良いよ。楽しみに、待ってるからね」
夫婦の契りは、そう遠くないかもしれない
この後日談で、妖狐淫刀の妄想は終了になります。
積みゲーもありますし…またいつか、シリーズ系の妄想が出力されたら書いていきましょう
しばらくは短編妄想投げかねぇ