夏が終わる前に書きたい、書いた。
ゲーム内に水着があるのにそれらしいイベントは見つからないなーって
万魔殿の近くにも四季が存在するのかは分からないが、俺たちが過ごしている宿にも夏を思わせる蒸し暑い季節がやってきた。
「…主様…暑いよ…溶けちゃう…」
「もうほとんど溶けてるような状態だよニーヴァ…」
「こうも蒸し暑いと化粧が崩れて嫌ですわね…」
「だらしないぞ妹達〜…もっと暑い場所も冒険してきたでしょ〜が…」
「そう言うジュエリ姉さんもぐったりしてるじゃないの…」
エアコンが存在するか怪しいこの世界。暑さを凌ぐには風通しの良い日陰や水辺か、いっそのこと万魔殿の第一獄にでも涼みに行くしかない
「皆さんこの暑さで溶けちゃってますね」
「ナミィは暑いの平気なのか?」
「悪魔ですからっ」
「…いいな、それ…私も悪魔になりたい…」
「悪魔になると大変だぞ、角とか生えてくるし」
このまま蒸し風呂みたいな部屋で過ごしても四姉妹の体調が心配になる
何処かへ涼みに行こうかと考えていた時…ふと、万魔殿で入手した姉妹達の衣装を思い出した。
「そう言えば、みんな水着持ってたよな…暑いし海水浴にでも行かないか?」
「…そんな事言って、主様が見たいだけでしょ…?」
「すごく見たい」
「…正直だな変態…♡ロリコン…♡でも好き…♡」
「主様が着て欲しいと言うなら、やぶさかではありませんわね♡」
「そうね、また船に乗って観光地にでも行ってみましょうか!」
「私、水着を持ってないんですが…どうしましょう?」
「ナミィにも似合う水着があるでしょうし、一緒にブティックに行きましょ!」
「…今度はナミィが、イリト姉さんの着せ替え人形にされるんだ…」
・・・・・・・・・・
そんな経緯でやって来ました、ハワイや沖縄みたいなそれっぽい南国の地。
「それじゃ、私とナミィは先に買い物に行ってくるわね♪」
「皆さん、また後で合流しましょうね!」
イリトにはナミィの水着を見繕って貰うためにナミィを連れて商業区へ向かってもらい
俺とニーヴァとセラフィナ、ジュエリは荷物を持って宿がある方へ向かった。
「…かなり大きな宿だね…人もいっぱい居て、賑やか…」
「まずは空いてる部屋を取って、それから皆で見て回ろうか」
「この辺りにはどんな化粧品があるのでしょうか…?主様、一緒に見て行きませんか?」
「お酒買って来て良い〜?」「良いけど、まだ飲むなよ?」
イリト達とビーチで落ち合う約束をした時間まで余裕はある。
部屋に荷物をまとめて、賑やかな彼女たちを連れて買い物をして過ごした
◆
イリトさんに連れられてぶてぃっく?という場所に来た私は、色々な水着を試着していました。
「これはどうかしら?」
「これは少し露出が…その…」
布地が薄くて狭い水着。ちょっと、いや…かなり恥ずかしいけど、もし私が着たら…あの人は喜んでくれるかなぁ
「じゃあこっちにしてみる?」
「色がちょっと派手過ぎますね…」
キラキラした明るい色。あまり私には似合わない色かも…
「それじゃあこっちかしら!」
「…!はい、これにします!」
私の初めての水着…彼は喜んでくれるでしょうか。
◆
着替えと水着を積んだバッグを持ち、海岸へと向かう。
大通りを行き交う人々も笑顔で感じが良く、賑やかな屋台も並んでて街全体が楽しげな雰囲気に包まれていた
「良い街ですね、主様…はぐれたりしないように、わたくしと手を握ってくださいまし」
「手どころか腕組まれてるんだけど」
「イヤでしたか…?」
「まさか、しっかりつかまっててね」
腕を絡ませ、豊満な身体をぴったりと寄り添わせながら微笑むセラフィナの満足気な様子に、こちらも思わず頬が緩んでいると
背中から強い衝撃が走った。
「うおっ…!いきなり背中に突っ込まないでくれ、歩き辛いし危ないぞニーヴァ」
「…セラフィナ姉さんばかりズルい…主様、私にも構えっ…!」
姉妹の中で一番幼いとはいえ、その身体付きは姉たちにも負けていない。勢い任せに暖かく柔らかな肢体で背中に抱きついてグリグリと顔をうずめてくる
「妹達は大胆ね〜、じゃあ私も反対側の腕をもらいましょうか」
笑いながらやり取りを眺めていたジュエリもこちらに腕を絡めてきた
「もっと歩き辛くなったよジュエリ」「両手と背中に華で嬉しいでしょ?」「嬉しいけどさぁ」
「あっはっはっ!せっかくのお出かけなんだし、いーっぱいイチャイチャしないとネ!」
美人な姉妹に振り回され、すれ違う人々からの生暖かい視線や舌打ちに晒されながら俺たちは2人との合流場所に選んだビーチへ到着した。
・・・・・・・・・・
水着にも着替え終わったし、あとはナミィと四姉妹が着替え終わるのを待つだけだ
「待たせたわね、どうかな…主様はもう万魔殿で見た事のある水着でしょうし、あまり嬉しくはないでしょうけど…」
「そんな事ない、すごく綺麗だよイリト…ずっと見ていたいくらいだ」
「そ、そう…?うふふっ…!ありがとう、主様っ」
「ハーイ♪どうかしら主様、私のも良い感じじゃない?」
「やっぱりジュエリの水着は海で見てこそだね、抜群のスタイルに大人っぽいデザインの水着が眩しいくらい似合ってるよ」
「アラお上手♡ありがとネ、主様!」
「お待たせしました、主様…わたくしの水着はどうでしょうか?」
「スリングショットじゃ、ない…!?」
「そこですの!?…さすがにあの姿は…主様以外の殿方に見せたくありませんから…」
「あの水着で来るかもって身構えてたからびっくりしたけど、セラフィナの水着も良く似合ってるよ!まるで女神様みたいだ!」
「嬉しいですわ、主様♡…あの水着は、また別の機会に…主様にだけ、お見せしますね…♡♡」
「…待たせたなロリコン主様…せいぜい私の水着姿を、その目に焼き付けろ…!」
「ニーヴァの水着ってなんか落ち着くよな、可愛いけど本当にスクール水着が似合い過ぎてる」
「…姉さん達みたいに、褒めてくれても良いんだよ…?」
「ニーヴァの水着最高っ!抱きしめたい!俺だけの物にしたい!」
「…言いすぎっ…♡ばか…♡へんたい…♡」
「お、お待たせしました…どうですか…?変じゃありませんか…?」
ナミィの選んだ水着は少女よりも大人の女性が身につけるようなセクシーな黒色だ
しかし水着にあしらわれたフリルと大きめのリボンはナミィの可愛さを存分に引き立たせており、大人の魅力と少女の可憐さを併せ持つ絶世の美少女を演出していた。
「変なんかじゃない、とても似合ってるよナミィ。その姿が見れただけで、俺は世界で一番幸せ者だ」
「えへへ…貴方のために、イリトさんと一緒に選んできましたから!」
「うふふっ、素材が良いから張り切っちゃった」
近くで貸し出されていたパラソルとシート、ビーチチェアを用意し、早速遊ぼうかと海に向かおうとしたらセラフィナに呼び止められた。
「主様、日焼け止めを塗っていただけませんか?♡」
「まぁセラフィナならそう来るよね。後ろ向いて大人しくしてね」
「はい…♡ありがとうございます。」
日焼け止めなんて触るのは初めてだったが、どう使うかは色々見てきたから覚えている。まずは手に取ったオイルを伸ばしながら人肌まで温めるんだったか…
十分に温まったオイルをセラフィナの綺麗な背中に塗り広げていく。美容に人一倍こだわっている彼女を悲しませないように、塗り残しが無いように丹念に手のひらのオイルをすごく滑らかな肌に這わせていく
「んっ…♪お上手ですわ、主様♡…わたくし達以外にも、どなたか経験があるのですか?」
「うわびっくりした…セラフィナが初めての相手だよ。こんな風に女性と海水浴に行った経験なんて無いし」
「それなら良かったです♡…主様?背中にしか塗ってくれないのですか…?」
「我慢できなくなるから他は自分でお願いね…」
「むぅ…仕方ありませんわね…」
ニーヴァとイリト、ジュエリは互いに塗り合って準備は終わったようだ。
ナミィは期待するようにこちらを眺めている…
「ナミィにも日焼け止め塗ってあげようか?」
「はい、貴方に塗ってほしいですっ」
ナミィにも背を向けてもらい、先ほどと同じ要領でオイルを塗り広げていく。背中から首筋へ…塗り残しが無いように手を滑らせているとナミィの様子が
「…んっ…♡はあっ…♡なんだか、気持ち良いですね…♡貴方がっ…♡触ってくれるからでしょうか…♡」
「色々まずいから声抑えててっ…」
艶やかな声を上げている姿に理性をすり減らしながら無心にオイルを塗っていく…
セラフィナ達よりも一回り小さい身体はすぐに塗り終わったが、ナミィは動こうとしない
「もう終わったよ…?」
「イヤです…もっと、私の身体…余す所無く塗ってください…♡貴方になら、どれだけ触られても嬉しいから…♡♡」
くるりと身体を翻したナミィは、こちらの手を掴んで柔らかなお腹と水着の内側に滑らせハリのある美乳に押し当ててきた
「貴方の手で、私の全身に触れてください…♡♡貴方だけのナミィに…♡その手で心ゆくまで、日焼け止め…塗ってください♡♡」
「誘って来たのは、ナミィの方だからなっ…!」
「はいそこまで!!」
ザバー!
「冷たぁっ!!??」
「…あと少しだったのに」
本能のままにナミィに触れようとした所へジュエリが海水を被せてきた!
危うく遊ぶどころじゃなくなるとこだった…!!
・・・・・・・・・・・
それからはスイカ割り大会でイリトが無双したり
ビーチバレーでセラフィナとジュエリが誰も寄せ付けないコンビネーションを見せつけたり
初めての海で波に流されたりナンパされたりするナミィを幾度か助けたり
強い日差しにダウンしたニーヴァを看病しながらダラダライチャイチャしたりと海水浴を満喫した。
日が沈み始めてホテルに帰ってから、夕食と入浴を済ませて体力を使い果たした四姉妹達は糸が切れるように眠ってしまった…
「ふふふっ、皆さんあっという間に寝てしまいましたね」
「ナミィはまだ起きてるのか?」
「はい、体力には自信がありますから」
まだ眠れそうにないナミィを連れて、俺たちは2人きりでひと気も無い月と星が穏やかに照らす海岸を散歩する
「…昼間はあんなにも賑やかだったのに、夜は静まりかえってますね」
「夜の海も綺麗だけど、やっぱり日が高い時の海が一番だからね」
隣に並んで砂浜を歩いている彼女と、離れたりしないように…どちらともなく手を恋人繋ぎで握り合った。
「皆さんと過ごす時間も、私にとって大切なものですが…やっぱり、愛する貴方と共に居る時間の方が…最も愛おしくて大事なんです」
「…そう言ってもらえると、本当に嬉しいよ…俺も、これからもみんなと同じくらいに…ナミィとの時間も大事にしたいから」
「…私が一番大事…とは言ってくれないんですね。」
「嘘は吐きたくないし、平等に愛してみせる…なんて自信は無いけど、俺は本当にみんなが大切で大好きだからさ。」
嬉しそうに…でも、何処か寂しそうに微笑むナミィと俺を月明かりだけが照らしている
「今ここで…貴方を誰も知らない場所へ連れ去ってしまえば…私は、貴方の愛を独り占めする事ができるんでしょうか」
「…ナミィが本気でそれを望んでいるのなら、俺も悪い気はしないんだけどね。」
「…分かってるくせに。貴方はいじわるです…」
ナミィがそうしない事は分かっていた。俺との関わりを持つ中で、悪魔であり、ライバルであるはずの自分を排除する事なく受け入れ、快く迎えてくれる四姉妹達の事も…彼女は好きなのだ
「これからもこうして、2人きりで過ごす時間を私にください。それだけでも…私は十分ですから」
「必ず守るよ…愛するナミィの可愛いお願いだからね」
「うふふっ…こういう時ばっかり、口が軽いんですから」
機嫌を良くした彼女と深く抱き合い、しばらくお互いの鼓動と体温を感じ合う…
「愛してます。これからも、ずっと…ずーっと…悪魔の私を、貴方の傍に居させてください…」
「愛してる。死ぬまで、いいや、もう死なせない。ずっと俺の傍に居てください」
犯した罪を背負い続ける悪魔から人に戻った青年と
悪魔のまま輪廻を巡る少女が愛を交わし合う姿を
雲一つない星空が祝福するように優しく照らし続けた。
全ての章に季節物を書き上げるまで失踪できない