※この作品はR-18です。

俗物な転生者が天竜人になるようです   作:ロースカツ提督

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前回の海軍本部での出来事

エンピレオ「お前、凄くいいな」
クザン「え? 何?」

エンピレオに首根っこ捕まえられるクザン
通りすがりのガープを見つけるエンピレオ

エンピレオ「こいつ借りていい?」
ガープ「いいぞ(即答)」
クザン「酷い!?」

今回は外伝的なエピソードです。


俺みたいな奴は海軍に入っちゃ駄目だと思うんだ

 海軍の訓練施設での海軍生活は俺にとってインペルダウンな気分だぜ。

 だが今日は特別、気分がよかった。いつものゼファー先生による殺す気の鬼メニューだが、今回ばかりはモチベーションが上がる上がる。

 

 それは今、訓練場で対峙している美人将校がいるからだ。

 まなじりが切れ上がって、口紅を塗った厚めの唇が恐ろしく肉感的な美貌。ショートカットの黒髪、棘の付いたチョーカー、腕全体に彫られたタトゥーとパンクな格好をした女性将校。

 ドール中将……いや、今は少将がいるからだ。

 今日は俺やアイン、ビンズなど優秀と評価された訓練生と現役将校との指導試合を行うことになった。

 そして俺の相手となったドール少将と試合の真っ最中というわけだ。

 

 バットバットの実 モデル“バンパイア”の力で人獣態に変身した俺は遮那王を構える。刀を立てて頭の右手側に寄せて左足を前に出して構える。野球のバッティングフォームに似た構え方で、前世風に言えば八相の構えってやつだ。

 

 ドールもまるでボクサーのようなファイティングポーズで俺に対面する。双方はごく緩慢に、最初の位置から徐々に移動しはじめている。

 よそおわれた平静さは、だがしかし、急激に破れた。

 

「はぁぁぁぁっ!」

「せいっ!」

 

 臨界に達した覇気が炸裂し、俺は愛刀・遮那王をドール少将は大刀のように振るわれた脚を同時に武装色の覇気できらめかせていた。

 

 一閃は落下し、一閃は奔騰する。

 

 迅雷のように振り下ろされる白刃! それに対して刃の側面に捻りきった拳を入れると一気に捻り上げ、筋力と螺旋の力で刃を払い、同時に突きが放たれる!

 

 刀と拳はまとう覇気によって直接触れないが、覇気が激突して、その余波で姿勢を崩して後方へもんどりうった。

 

 俺が体勢をととのえたとき、ドールは躍りかかり、右の拳で俺のこめかみ辺りを撃つと同時に、膝蹴りを股間に叩きこんだ。

 

 強制去勢なんて洒落にならない! しかも、金的を蹴った勢いのまま上からの肘撃ちをしてきた!

 

「ぬおおっ!」

「うっ?!(あれ……私、地面を蹴った?)」

 

 超痛いけど、動物系の人獣態の頑健さと覇気でなんとか乗り切る!

 

 あ、あぶな~~~……。原作でも好きだったドールの綺麗な顔が眼の前にあってドキドキしちゃった。今日は帰ったらイケメン女子もので抜くもありだな。

 

 彼女への反撃は、先制に劣らない迅速さと強烈さをもって行った。至近距離まで詰められて刀を振るえないが、ドールの鎖骨のあたりに肘撃ちを叩きこむ、覇気がドールの身体を突き抜け浸透することで彼女をよろめかせた。さらに脚を払い、地に倒れこんだところへ、脇腹にひざ頭を撃ち込む。

 

「これしき!」

 

 ドールは長身を一転させて跳ね起きた。砂塵が舞い上がり、俺の連続する動作を、ほんの半秒ほど遅滞させる。

 

 ドールには、それで充分であった。手で身体を支えて軸にして、強烈にしてアクロバティックな回転蹴りを放つ。

 武装色の覇気を纏う蹴りは、数ミクロンの微差で、俺の身体に届かなかった。身体ごと仰け反って躱し、追撃の蹴りを抜刀した悪路王で防ぐ。強靭な手首をひらめかせ、ドールを数メートルも吹き飛ばす。彼女は足を踏みしめて転倒を免れた。

 

 追い打ちをかける俺は遮那王、悪路王を水平に構え、距離を詰めて俺の間合いにドールを入れる。

 

「この刀、最上大業物と大業物なんだぜ。もっとその切れ味、味わってくれや! 二刀流…… 弐斬(にぎ)り!」

 

 登楼(とうろう)応登楼(おうとうろう)(ひらめき)砂紋(さもん)と俺の連撃を、巧みなフットワークでドールは避けながら、様々な角度から回り込み高速でパンチを放つ。

 

 オールレンジなボクサーとか格好いいじゃないの! 俺が風呂場でこっそり練習していたゾロの技を簡単に回避されてショックだぜ。

 

「お前、本気は二刀流か。あたし相手に手心加えようとは生意気なガキめ!」

「フッフッフッ、邪推するなよ。俺は二刀も一刀も同じくらい極めたいと思っているだけだ! 手心は加えてねぇさ」

 

 遮那王と悪路王十字に重ねて柄尻が前に構え、一足飛び距離を詰める。

 

「おでん二刀流! (ガン)擬鬼(モドキ)!」

 

 目にも留まらぬ速度で無数の突きを繰り出す。刀身ではなく柄による打撃技だが、一撃でも受ければ昏倒間違いなしの攻撃だ。

 

音魂の爆発(ロックンロールブラスター)!」

 

 爆発の衝撃と見間違う程の凄まじい威力を誇る拳の猛打でドールが俺を迎え撃つ!

 ここぞと言うときにも攻めの姿勢を忘れないドール。良い女過ぎてときめいてしまうぜ。

 

 武装色の覇気を纏った攻撃はぶつかり合うたび、大気が爆ぜて落雷のような轟音が響く。

 俺とドールの見聞色の覇気の読み合いの果てに、俺の攻撃がドールに直撃した。

 

「ぐ、この程度で!」

 

 ノックダウンさせるつもりだったのにまだ元気じゃないか! ガンつけて拳を握りしめているドール少将。彼女を見ていると負けたくないという気持ちと、俺に負けたと認めさせたい、屈服させたいという思いが炎のように腹の中で滾ってくる。

 

 俺は奥の手を発動させると、一瞬で訓練場は闇に包まれた。すべてを塗り潰す黒。それこそがバンパイアの狩場だ。

 

 暗闇を見抜く吸血鬼(おれ)の眼力が虚を突かれて動揺するドールの姿を捉えた!

 

 腰を低く下ろした体勢で遮那王と悪路王を構え、武装色の覇気を刀身に纏わせる。

 

「おでん二刀流! 桃源白滝(とうげんしらたき)!」

 

 二刀を勢いよく横一文字に振るい、強力な斬撃の一閃を繰り出す。

 

 見聞色の覇気かあるいは生物としての直感なのか、ドールは俺の襲撃に勘付いたのか、こちらに僅かに怯えの混じった驚愕の表情を向けた。

 

 そして、俺は───

 

「そこまでだ!」

 

 試合に介入したゼファー先生が俺とドールの間に入り、試合を止めた。先生は俺の二刀流を指の間に挟んで止めちゃったよ!? なんだこれ、刀がちっとも動かない! 指の力で固定されている。

 

 しかも、闇によって視覚の妨害もしている中での精密な動作で押さえてくるんだから見聞色の覇気の練度もとんでもない。

 

「お前ら、このままだと訓練では収まらないだろう。この勝負はダンテの勝ちとする」

 

 ゼファー先生の言葉には異論を挟ませない凄味があった。俺も先生に会心の一撃をあっさり無力化されて気勢をそがれてしまっていた。

 わかってはいたけど、光月おでんには遠く及ばないな……。

 

「ドール、お前もそれでいいな?」

「ええ、異論はありません」

「ダンテ、お前も覇気を抑えろ」

「……うっす」

 

 ふう。

 あー、良かった良かった。訓練生で現役将校に勝てたのは大成果じゃない? 不完全燃焼で昂ぶりが鎮まらないが、今日はイケメン女子とのデート(妄想)が楽しみだぜ。

 

 

 ◇◆◇

 

 

 指導試合が終わり、参加した将校は別室に集まった。ゼファーがまず教え子たちに感謝の念を示した。

 

「今日は俺のわがままに付き合ってもらって悪かったな。協力してくれてありがとう」

「気にせんでください。俺たちも見込みのある後輩が育っていると知って俺たちも嬉しいだら」

 

 そう言ったバスティーユ少将はいつも被っている角のついた仮面からでもわかるくらい機嫌が良さそうだ。

 

 ドール少将、バスティーユ少将、レッドキング少将はゼファーの教え子であり、恩師からの頼みを受けて指導試合に参加したのだった。

 試合の結果は将校チームの一勝二敗、訓練生チームの二勝一敗という、多くが試合当初に予想していた結果を覆すものだった。

 

「あれはいい海兵になるだら」

 

 バスティーユは先鋒としてビンズと戦い、バスティーユが勝利した。超人(パラミシア)系モサモサの実によって成長させて操る蔦植物によって拘束しようにも、バスティーユ本人の半身以上もある巨大な刀身の鮫切包丁を振るい、飛ぶ斬撃により快刀乱麻を断つを体現して見せた。ビンズが得意とする忍術によるかく乱や奇襲もバスティーユの見聞色の覇気によって見破られ、会心の一撃を受けてノックダウン。

 

「不甲斐ない……」

 

 レッドキングは中堅としてアインと戦うが、彼女の超人(パラミシア)系モドモドの実の効力による奇襲(アンブッシュ)で幼児にまで戻されてしまいレッドキング自慢の改造された腕による攻撃も、腕を改造する前の姿に戻されてしまえば無力化する。アインによって制圧されてしまった。

 

「それであの訓練生、ダンテって言ったか。あれ何者?」

 

 ドールが大将として戦ったダンテについて率直な質問をゼファーにした。

 

「最後の一撃、凄まじい覇気だった。まるで獣だ」

「詳しくは話せないがある筋から、特別に鍛えてくれと預かった。本人も強くなることには意欲的でな、数年であの成長だ。あいつは海兵になるつもりがないのがつくづく残念だ」

 

 ゼファーの説明にドールたちは瞠目した。

あの訓練生は、白兵戦技において世に稀な力量を有している。武技や覇気など技術的にも円熟すれば四皇幹部にも通じる戦力になるだろうとドールは感じ取っていた。

 

「あいつはもっと強くなるだろう」

 

 鍛錬を行うダンテの表情も声も、昂然たる光彩に満ちて、迷いや不安は分子レベルですら存在しないように見える。

 迷いを抱えない者は強い。ゼファーが出会った中でもダンテほど迷いなく、力を貪欲に求める者は知らなかった。

 

「どうしても海軍に引き込めないのかい? 先生ならわかっているだろうが大魚を逃してしまうことになるよ」

 

 ダンテは年齢、実力から期待の育成枠としても破格の存在である。

 ゼファーは以前、訓練生がダンテに海兵になれと言ったときのことを思い出した。彼は笑って、くしゃくしゃと金髪を搔きまわした。

 

「例えばさ、どこか遠い国で誰かが海賊に殺されたとするだろう? 海軍ならばそれに怒り、すぐにでもすっ飛んでかなきゃいけねえ。だがな、俺は遠い国の知らねえ誰かの生き死に興味が湧かねえよ。……フッフッフッ、俺みたいな奴は海軍に入っちゃ駄目だと思うんだ」

 

 それは皮肉という表現を超えた自己認識であった。そして海軍が掲げる正義への敬意を感じて、ダンテの正体を知るからこそ困惑もした。

 

 

 当時のことを振り返り、ゼファーは頭を振った。

 

「……あいつは望んでいない、望まないことをやれとは言えねぇ」

「まあ、それもそうだ。残念だけどね」

 

 素っ気無い口ぶりながら、ドールはダンテとの戦いで感じた熱と昂ぶりを鎮められずにいた。




ドンキホーテ・エンピレオ(ダンテ)
見様見真似でゾロやおでんの技を再現したり、覇気を奪う刀を自在に振るっている何か変なの。
戦いの高揚だけではなくドールを屈服させたい欲望が燃え出す天竜人寄りメンタルの俗物。

ドール
エンピレオとの戦闘での高揚が収まらず欲求不満。作者お気に入りの海軍キャラ。他の2人も少将なのは原作本編より昔のため階級も1つ下げました。

バスティーユ
脱噛ませ犬。

レッドキング
数年後、また年齢操作能力に翻弄される人。

アイン
今回も出番が回ってこなかった人。

ゼファー
エンピレオが一番好感度を稼いでいた人。

前回嘘をついてしまいました。エロ回を書くつもりが衝動のままにドール編の外伝を書いてしまいました。
次こそはエロ回になる……はず!
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