※この作品はR-18です。

俗物な転生者が天竜人になるようです   作:ロースカツ提督

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ANYTIME ONE PIECEを観ながら書いている本作。ANYTIME ONE PIECEが終わる前に完結するかと思ったら、全然そんなことありませんでした。


原作キャラが雑に処理されて情けない

 ルナーリア族の少女からこの島の名前をミスティ島というのだと教えてもらった。

 驚いたことにこの島にある村は、三〇数年前に起きたゴッドバレー事件で人間狩りから逃れた人々が中核となって作られたものだった。

 

(天竜人()がこの島にたどり着くってどんな因縁なんだよ)

 

 そんなことを考えつつ、海賊たちの増援を待っている。増援もそう多くはない。ビッグ・マムの子供やその部下も大挙してやってくることはないだろう。

 

「ビッグ・マムにルナーリア族を見つけましたと報告した後に、取り逃がしましたとなればキレたBBAに寿命根こそぎ奪われて人生が終了だもんなぁ」

 

 彼らがビッグ・マムにルナーリア族の少女を発見したことを報告していないことは、既に生け捕りにしていた海賊たちを拷問して把握していた。

まずは自分たちでルナーリア族を捕獲することを試みて、失敗した場合の次善の策(サブプラン)としてシャーロット家の人間にこっそりと頼るつもりがこいつら傘下海賊の考え。

 

 すると強い気配が複数近づいてきた。船を停泊して名知らずの海岸から上陸している。

 ルナーリア族を捕らえるために再び戻って来たビッグ・マム海賊団のクルーたちは増援には高額な懸賞金をかけられている海賊たちが多く、さらには原作キャラ(見覚えのある顔)もいた。それも大物だ!

 

「シャーロット・オーブン……!」

 

 ネツネツの実を食べた高熱人間。ビッグ・マム海賊団屈指の猛者! ビッグ・マムの四男だ!

 

 これは大物だ。返り討ちにされたり、取り逃がしたりするリスクを警戒したのか。俺としては、名前と姿がわかっていても活躍がパッとしてなかったり、そもそも活躍が無かったりするようなマムの子供よりも遥かに厄介な強敵だ。

 

 原作のホールケーキ・アイランド編時点でオーブンの懸賞金は3億ベリー。実力で言えばもっと懸賞金が上でも違和感ない猛者だが万国内部でこんがり大臣として仕事をしていることが多かったならば、他の兄弟と比べて懸賞金の金額が跳ね上がることもないかもしれない。

 

 ウタをお持ち帰りするためにブリュレと共に会場を襲撃した? それはきっと別の世界線(映画オリジナル)の話だからきっとこの世界とは別な話………のはずだ!

 

 障害と考えるならば姿と声はあっても大して活躍もないシブーストみたいな奴が来てくれたほうが良かったし、天竜人としてはスムージーやカスタードちゃんを屈服して奴隷にしたい。

 だが、強さを極めたいと考えるならばオーブンがやって来るのは悪い展開ではない。

 

「フフフフフ……ッ! 久しぶりの大物だ、心が躍るな!」

 

 なかなか遭遇することが出来ない強者に俺は自然と微笑み、遮那王と悪路王の目釘の塩梅を確かめる。

 

「ここにはルナーリア族が一人いるはずだったのが報告とは違うな。お前は何者だ?」

 

 迎え撃つために現れた俺を胡乱げにオーブンは見て言った。俺の船は既に別の入り江に隠しているので想定外の人間がいることを隠せていた。

 

「お前とは随分な物言いだな。フフフフフ……! お前らは大方、ルナーリア族を奪いに来た匹夫の海賊どもか」

 

「まさか、こいつもルナーリア族を狙って!?」

 

 海賊が驚いたように呟き、オーブンは片眉を吊り上げる。

 

「生意気な言い草は気に喰わんが、目的はお前が考えている通りだ。ママがルナーリア族をご所望なんだ。見つけた以上は奪って帰る」

 

 オーブンは剣呑な目で凄味ながら俺に迫ってくる。肌に刺さるような威圧感は流石に四皇幹部の気迫だ。ゼファー先生のしごきが無ければ怖気づいてしまったかもしれない。

 

「1億ベリー」

「あぁん?」

「もし政府にルナーリア族がいることを知らせることができれば、それだけで得ることができる報奨金の金額だ。渡せというならお前が払え。フフフフ……さぁ金を出せ。1ベリーたりともまけるつもりはない」

 

 俺が親戚のおっさん(まだ41歳じゃない)に似たゲス顔スマイルで言ってみれば、一瞬で周囲の気温がぐんと上がった! これがネツネツの実の力か!

 

「お前は馬鹿か。俺は海賊、買い物しにきたんじゃねぇんだよ。海賊らしく、奪いに来たんだ!」

「フッフッフッ……! ならば奪えばいいじゃねえか? 海賊らしくなぁ! 俺はそれに───黙って抵抗するだけだ」

 

 俺だって覇気で負けるつもりはない。遮那王の鯉口を切る。

 

「……っ!」

「奪ってそれで終わりなのに、なんで俺に引き渡せって脅すだけで、それをやらないんだ?いや、やらねえんじゃなくて出来ねえんだろうな。フフフフ……フッフッフッ……! お前、弱いだろ?」

「貴様ぁぁああああああああああああああ!!」

 

 瞬間、大気が破裂するような音が響き、夏島の猛暑なごとき熱波を俺は浴びた。

 

 実に煽り甲斐がある男だと思いつつ、その場を退避する。俺が移動したとほぼ同時に、さっきまでいた位置が炎上する。体から猛烈な熱を発する高熱人間は睨んだだけで対象に高熱を与えて発火させることができる。それを知らなければ今ので瞬く間に焼死体になっていたかもしれないな。

 

 オーブンが率いる海賊たちもカトラスを抜刀して殺到してくる。

 

「フッフフッフフッフ! 猪突で勝てる相手と思ったか? 侮られたものだな!」

 

 メキメキと身体が音を立てて変形する。動物(ゾオン)系幻獣種バットバットの実 モデル“バンパイア”の力を発揮した。

 

吸血鬼帝国(ヴァンパイア・エンパイア)!」

 

 まだ昼間であったミスティ島は突然暗転して闇に包まれる。優れた見聞色の覇気、研ぎ澄まされた感覚が無ければこの闇では十全に活動することはできない!

 

 迅速に遮那王を抜刀して飛ぶ斬撃、三百六十煩悩鳳(さんびゃくろくじゅうポンドほう)を放つ。大地をも斬り裂く斬撃でオーブン諸共、海賊たちを薙ぎ払うつもりだ。

 暗闇からの奇襲。狼狽える海賊たちの身体は斬られ、血煙をあげて死体が木っ端のように舞う。

 

「!? 小賢しい真似をするな!」

(あれを避けたのかよ!? 流石だな!)

 

 斬撃を避けたオーブンは攻撃に転じる! 暗闇だが俺の位置を特定しようとしている。

 

 高熱を発する拳による拳打・熱風拳(ヒート・デナッシ)と遮那王がぶつかり合う。武装色の覇気によって拳は鉄よりも硬い! というか拳から刀へ伝播する熱が俺を苛む。

 

「チィッ!」

 

 冷気を発現させて操る能力を体得していて良かったよ。オーブンの高熱に俺は冷気を以て対抗する。だが、

オーブンは遮那王の側面に捻りきった拳を当てて一気に捻り上げて、オーブンの拳が俺にぶち当たる!

 

 痛い! というか熱い! 意外と技巧派だなこいつ!

 

 オーブンの追撃は止まず、大きく振りかぶった状態からの全力パンチが俺にヒットする!

 

 拳が身体へ深々と沈むほどの衝撃。高熱を伴う激痛。そして肉の焼ける異臭がする。口の中も血の嫌な味で一杯だ! だけど、これくらい根性で耐える!

 

「馬鹿な! 何故耐えられる!?」

「根性!」

「っ!?」

「このくらいはなんてことない! 行くぞ!!」

「闇にも目が慣れた。もうくだらねぇ小細工など……」

「そうか、次行くぞ」

 

 俺は吸血鬼帝国(ヴァンパイア・エンパイア)を解除した。まるで照明がついたよう昼間の光を取り戻した。

 闇に慣れたオーブンの目は太陽の光に眩み、怯む。

 

「ぐあっ、まだだ! 俺はビッグ・マム海賊団のシャーロット・オーブンだぞ。このような小僧に侮られてたまるものか!」

 

 全身を高熱で包み込む熱燐寸男(ヒートマッチガイ)を使用したままのオーブンの四肢は、触れるだけで危険だ。奴は足を渦のように回転させて無数の蹴りを繰り出している。

 鉄をも溶かす熱、鉄骨を容易く破断するほどの威力を持つだろう蹴撃。

 

 それが俺に迫り来る!

 

 だが……見えたぞ! 蹴りが飛んで来る軌跡が!

 

 五月雨のような蹴撃をすり抜け、遮那王と悪路王を交差させ、オーブンに斬り掛かる。

 

桃源十拳(とうげんとつか)

 

「────っっ!!」

 

 オーブンの体が十字に切り裂かれ、ぱっくりと開く。紅蓮のように血飛沫が迸った。

 

 

 ◇◆◇

 

 

「これがネツネツの実か。もらっていくぜオーブン」

 

 悪魔の実は能力者が死んだ場合、近くにある果実が悪魔の実になるのでは? という俺の仮説は俺の手の中にある悪魔の実によって証明された。今まで機会がなかったから試せなかったんだよね。

 

 黒ひげがこの悪魔の実の性質を把握していた場合、能力者狩りを行って成果を上げていることにも納得がいく。

 

 悪魔の実が再ポップする実験の成果であるネツネツの実は仕舞って、海岸へ向かった。

 歩きながら、先ほどまでの戦いを思い返す。奇襲狙いの吸血鬼帝国は四皇幹部相手では一瞬怯ませるのがせいぜいだった。それも激情家で見聞色の覇気は不得手そうなオーブンでもこちらの攻撃に対して対応して見せた。思いのほか効き目は薄そうだったのでガッカリだ。

 

 それでも成果はあった。未来を垣間見る見聞色。それを初めて発現することができた。これを鍛え続ければ、カイドウの盗人上戸のようなこともできる。自分がより成長した実感に俺は充実感を得ていた。

 

 海賊船は炎上しており、海岸には海賊たちの遺体が転がっていた。斬殺されている者もいれば、火だるまになって倒れている者もいる。あ、サンジに蹴られていたボビンも倒れている。……せっかくの原作キャラが雑に処理されて情けない。

 

そして海岸に唯一立っているのはルナーリア族の少女だけだった。

 

「お互いに生き延びられたな」

「ええ、本当によかったわ。これ、とても良い刀ね、存分に活躍してくれました」

 

 そう言って少女が掲げた刀は良業物50工の一本、銘を花州(かしゅう)。原作だとたしぎがバロックワークスのMr.11を捕縛したときに、彼から没収した刀なのだが俺がMr.11を魚の餌にしたときに貰っておいた刀だ。遮那王と悪路王が俺にはあるからサブ・ウェポンのつもりだったが、ルナーリア族の少女にあげたのだ。

 

「君の狙い通り、作戦が成功して良かったよ」

 

 あらゆる環境でも生存できるルナーリア族の種族特性を活かした作戦。それは彼女が海中に潜み、海賊船に船底から奇襲をかけるというものだった。俺がオーブンたちと戦っていたころ、海上の海賊たちは突如として炎上して沈む海賊船に混乱していたことだろう。

 

 パニックになり海へ飛び下りて溺死する者、波にさらわれ船底に強打して死亡する者もいた。

 

 魚人でもないのに単身で海戦にも対応できるって凄いな、ルナーリア族。魚人空手や魚人柔術も覚えたらもっと強くなりそうだな。

 

 生き延びて島へ退避した海賊たちも、彼女が全滅させた。海賊を嫌う彼女は一切の躊躇いなく殺しきった。

 ルナーリア族の生き残りがいることを秘匿するため、オーブン含め海賊たちは全員殺して遺体も海に捨てて魚の餌にすることで、彼らの痕跡を隠滅する必要があったのでルナーリア族の少女が仏心を持たなくて安心した。

 

「……その怪我は大丈夫なの?」

「ああ、これか。こんなもの肉食えば治るから大丈夫」

「ええ……」

 

 オーブンに受けた怪我を見てルナーリア族の少女はドン引きしていた。何故だ、この世界では怪我は肉を食べたら治るんじゃないのか!? ルフィはそうだったぞ!

 

「ありがとう。お陰で仇もとれたし、私のことを恨んでいるかもしれない島のみんなにもこれで許してくれるかもしれない」

 

 海賊たちを処分して、村人たちを弔うことで一日がかかった。俺たちは遅くなった朝食を食べ終えた。

 

 ちなみに俺の怪我はもう治った。ルナーリア族の少女はドン引きしていた。

 

「君はこれからどうするんだい?」

「何もしないよ。島のみんながいなくなっても、このまま何にもない日々をいずれ死ぬまで過ごすだけ」

 

 ルナーリア族の少女はまるで燃え尽き症候群になったかのようでうじうじとしている。ただ一人で放っておくことは出来なかった。

 

「予定がないなら俺と一緒に冒険しないか?」

「冒険か……」

 

 まるで初めて思い到ったという様子で、ルナーリア族の少女は意外そうな顔をしている。そこで暫く考えている。

 

「巨人たちの島、輝ける黄金郷、空に浮かぶ島、海底の楽園の魚人島……。私は、ここを出てそこへ、行ってみたい」

「じゃあ行けばいい! フッフッフッフ……俺が保証する。世界(ここ)は決して、君を飽きさせることはない!」

 

 俺が伸ばした手を彼女は取った。

 

「よろしくな! えーと……そういえば君の名前は?」

 

 本当に今更なことを質問してしまい、恥ずかしい。

 

「エリアル」

 

 ルナーリア族の少女──エリアルが仲間になった。




オーブン、死す。
もしも主人公のカルマ値が悪や邪悪、極悪よりだったならば今回登場するマムの子供はスムージーとかカスタードになって、監禁、洗脳ものにジャンルがチェンジしていました。

エリアルの姿はアンドロメダ(Fate)をモチーフとすることにします。皆さん、アンケートのご協力ありがとうございました。
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