「打ち合わせ通り風車小屋に逃げるんだ!」
物見台に設置された警鐘が鳴り響く中、道行く人達に声をかけつつ松明と武器を手に走るアタシ達は壊されたという森側の柵の方へ急ぐ。
「初日からヤバイことになっちゃったねん」
急ぐアタシの隣には幾つもの戦いを経た後らしい傷だらけだが手入れの行き届いた戦嘴を担いで走る、どう見ても年端も行かない童女にしか見えない女が居た。
身を包む衣装は豪華絢爛を通り越して悪趣味なほどに派手なもので、布地には胸や太腿を見せつけるように切れ込みが幾つも入れられている。相変わらず大胆を通り越して卑猥な淫売そのものの装いだ。
「探したよ、今まで何処に行ってたんだい? 」
「ごめーん、ちょっと依頼人さんとこで手伝いをしてるコに用事があってねぇ」
雇った冒険者の一党で頭めをしているドワーフの元傭兵アデリンは、アタシの苦言を肩を竦めて受け流すとその馬鹿でっかい胸の果物をブルンブルンと揺らし、胸元の切れ込みから栗の花みたいに青臭く濃厚な、白いゼリーがどろりと垂れる。
あ、まさかコイツっ、確かに胸を押し付けたり、ズボンに手を突っ込んだり露骨にウチの手伝い坊主をからかってたが……
「呆れた! 酒場をフけて何をしてると思いけりゃ、下の毛生えたばかりのガキとよろしくやってたのかい?」
「あっ♡ やっばぁいばれちゃった♡ でもあの子はもう立派なオトナだよぉ 」
「ずぼずぼ気持ちよかったぁ♡ 」と笑って下腹部をとんとんと指で叩く彼女に、「この非常時に何をやってんだこの淫売は」と苦言の言葉が飛び出るが、このエセ少女は気にする様子もなく、可愛く片目を瞑って端に陰毛がくっついたままの口からベロを出す。
「アタシしゃ知り合いのガキのシモの事情なんざ興味ないんだよ!」
あまりにも露骨についさっきまであのエロガキとヤってやがったのを見せつけて来やがるので思わず顔を赤くして怒ってしまった。
「またまたぁ♡ だって彼がいつもセンズリ扱く時に使うのは依頼主さんの……」
「黙りな。これ以上精液臭い息を吐きかけたらほんとに怒るからね」
指で下品なジェスチャーをしながらしつこく下品なトークを続けようとするアデリンにマジなトーンで注意し黙らせると改めて現場に急ぐ。
それにしてもアイツも碌でもない女を抱いてしまったもんだ。
どうせ同い年ぐらいだと思って一線を超えちまったんだろうが、ああいうドワーフの女は大抵めんどくさい上に決まって年増女だぞ。
■■■
アタシ達が破られた柵の方に駆けつけた時には周囲は酷い有り様となっていた。
獣除けの柵を丸太で補強しただけの俄づくりの防壁は、小鬼が用意してきたらしい引っこ抜いた木をそのまま流用した破城槌によって崩されており、暗がりからは緑色をしたしわくちゃの小鬼共が蹴倒された焚き火に目と手に持つ汚れた刃物をギラギラさせて村の中へ押し入ろうと、見張りの連中と切り結んでいる。
彼ら彼女達村の中へ入ろうと押し寄せてくる小鬼達を長柄の武器で牽制しながら土嚢をつみたてて侵入口となっている柵の裂け目を塞ごうとしているがいかんせん小鬼達の数が多い、彼らは壁の間からワラワラと湧いて出てくる小鬼達を押し戻そうと一塊になった自警団の皆が武器の切っ先を向けて追い払おうとするものの、奴らの前衛である体格の良い大小鬼とでもいえそうな大きい小鬼達が粗雑な棍棒を振り回す度に、武器は折られて人が跳ね飛ばされて、徐々に後退を強いられている。
アタシ達が加勢しなければ押し破られるのは時間の問題だろう。
「助けに来たよ!さあ小鬼共を押し返すんだ!」
迎撃に出ている自警団の連中に大声で呼びかけつつ、前進。
飛び道具持ちの連中が小鬼達を牽制し、抜き放った長ナイフで閉所でまごついている緑の糞共に切り込むと、大抵は裸で良くて腐りかけた革の胸当て程度しか身につけていない小鬼達は面白いように切り刻む事ができた。 小鬼達の首を斬れば即死してその薄汚い血を撒き散らし、手足をぶった斬れば奴らの言葉で何かを一通り喚き散らした後出血多量で直ぐに倒れて動かなくなってゆく。
「よし来た! 全員ぶっ殺すよぉ! 」
脇を見れば雇った冒険者たちもよく戦ってくれている。火縄銃で武装した散兵が後ろからこちらを狙い撃ちしてくる飛び道具持ちに、前衛を張っている図体のデカい小鬼を的確に排除して敵の陣形を崩したあと、近接武器持ちがまごついて押し合いへし合いを始めた小鬼の集団へ突っ込んでいったところであり、あの女ドワーフもゲラゲラ笑いながら、手に持った戦嘴で、小鬼達が盾を持っていようが革鎧や兜を身に着けていようがお構いなしにサクサクと殴り貫き、引掛け転がし、蹴り潰して、この場で連中を指揮しているらしい、やや上等そうな鎧を身に着け喚いた小鬼を拳銃で弾き殺す。
そうやって切り結んでいると、一匹一匹の力で言えば貧弱農奴以下の小鬼達は徐々にその数を減らしていき、やがてこちらの圧力に気圧されて徐々に下がっていって、やがて村の外へと押し出され始める。
「今のうちに柵の裂け目を埋めるんだ! 障害物になるものなら何でも良い! 」
頃合いだろう、周囲の騒音に負けないように声を張り上げ、その辺に落ちていた角材やら、積んであった土嚢、小鬼どもの血まみれの死体なんぞを構わず積み上げて柵の裂け目を補修する。
往生際が悪く叫びながら柵の外から石や矢を射掛けてくる小鬼達を長柄で牽制し、銃や弓で追っ払いながら、巨大な棍棒で叩き壊したかのように開いた穴をや板切れなどを打ち込んでいってある程度塞いだらそこに土嚢を積み上げる。
急場しのぎだが応急処置としてはこれぐらいでいいだろう。長ナイフを鞘へ収めると、後ろを向いて右手を突き上げ叫ぶ。
「小鬼共はみんな逃げちまったな! アタシ達の勝利だ! 」この場ではという但書は付くが勝利は勝利。
自警団のみんなや冒険者たちがの歓呼の声があちこちから上がる。
「あんな数で攻めてきた小鬼どもを追っ払うっちまうなんて、自警団にしておくのが惜しいくらいだぜ!」 「冒険者の兄ちゃんや姉ちゃん達も凄かったよ! 強そうな小鬼も居たのに、ちょっとやり合っただけで直ぐやっつけちゃうだなんて!」
自分たちの健闘を讃えあって傍目も気にせず抱きつき合う皆を横目に、アタシの気分は晴れなかった。連中の頭目とでも言えるような強力な個体が出てこなかったにも関わらず、襲撃の規模はこちらの想定を遥かに上回っていた。群れが四散していない現状、奴らがあの程度の被害で奴らが村を襲うことを諦めたとも思えない上、こちらも勝ったとは言え無傷ではない。一回戦っただけであるにも関わらず、矢面に立った者たちを中心に自警団に少なくない数の負傷者が出てしまったのだ。
「アデリン、お前は……何か感じたかい? 」
返り血と泥に汚れながらも、男どもにそのバカでかい乳を見せつけて沸かしていたあの女ドワーフを呼び止め尋ねると少し考えるような仕草をしてから、うんと頷くと口を開いた。
「あの数でも全然本気を出してない感じだったねぇ。一部の例外を除くと突っ込んできた奴らも弱ってたのか肉付きも骨も細い奴らばっかりだったし、今夜の襲撃は口減らしを兼ねた強行偵察みたいなもんだと思うよん」
つまりアタシらはあの連中からすれば群れの頭数にすら入っているか怪しい連中と戦わされていたというわけか。
「とすると、あのクソッたれな小鬼どもが本腰を入れて攻めてくるのはまだ先か……」
戦いが続くと分かって溜め息と同時に項垂れる。
助っ人の冒険者達の強さはもう疑うところはもう何も無い。だが今夜の戦いよりも更に数で押してくる奴らを相手にしてアタシ達だけ防ぎきれるだろうか?
自警団にも志願者が何人も居るとは村長から聞いているが、さてどうしたものか……柵を補修して他の場所も補強する必要もあるし、見回りも増やす必要があるし、幸いにもまだあまり荒らされていない畑の刈り取り作業も並行して行わないと行けなくて……問題は山積みだ。
「おい! アレを見ろ! 」
山積する課題に頭を痛めていたアタシの思考が不意に見張り台から上がった叫び声に中断されたのはそんな時だった。
「何を藪から棒に……どうしたんだい! 」 「いやそれが……」
応急で塞いだ壁の隙間から外を見張っていた自警団員に何を見たのかを質問すると叫ぶと、口をモゴモゴさせて何かを言い淀むが「何を見たのかはっきりいいな」と凄んで無理矢理にでも口を開かせる。
「ゲルダさん、小鬼共が誰かを連れて……戻ってきます」
■■■
一度は逃げ帰ったはずの小鬼達は村の方から矢弾が届かない距離まで近づくとギャーギャーと何かをこちらに訴えるようにわめき始める。
言葉は分からないがどうも連中の指揮官と思しき小鬼も交じっているので奴らなりに交渉でも行う魂胆でもあるのだろうか?
そう思って一応、手を出さずに奴らの成り行くを見守っていると、何かが遠くにいるアタシたちにも見えるようにか何匹かの小鬼達にまるでおもちゃの人形のように引きずられてくる。
なにか……すごく嫌な予感がする。
「なっ何をするつもりだ……? 」 「おい、アレってまさか…… 」「嘘でしょう!? 」
ずるずると引きずられている人形のようなものの姿がハッキリしてくるにつれて、自警団の皆の困惑は驚愕と怒りのどよめきに変わる。
奴らが引きずってきたのは村を最初に襲った事件の後、ずっと行方不明であったハンスの娘クララその人であったからだ。
乱暴な扱いに抵抗する気力もなさそうに引きずられる彼女は身に付けていたものは全て剥ぎ取られており、小鬼が掲げる松明に照らされた裸体は血の滲む痣と噛み跡だらけで、綺麗な橙色だった髪の毛は乾いた精液でカピカピになっており、股間からはゴボゴボと音を立てて垂れ流された白濁液が地面を汚している。
「この外道共が……! 」
そのあまりにも無残な姿に思わず胃の中のものを吐き出してしまいそうになるとともに、沸々と怒りがこみ上げてくる。
小鬼共は村の自警団に負けた腹いせとアタシたちへの挑発兼ねてクララを引きずってきたのだろう。
小鬼共は村の直ぐ側まで近づくと、まるで勝ち誇るようにギャーギャーと喚き立てながら手にした松明を振り回してこちらを挑発してくる。
「なんて奴らだ……! 緑の糞共が! クララを離せ! 」 「ゲルダさん! 俺はもう我慢ならねぇ! 村門を開けて助けに行きやしょう! 」
思わず壁を飛び降りてクララの元へ駆け出そうとしたアタシを止めたのは同じく小鬼どもの挑発に頭に血を上らせた自警団の皆の叫びだった。無理もない、皆が行方を案じていた顔見知りの、それも年若い娘があんな酷い有様にされれば怒るのも無理は無いだろう。だが村門を開けて助けに行いけばそれこそ奴らの思う壺だ。
壁の外にいる小鬼共の数はざっと見ても100匹以上、もし扉を開けてしまえば奴らは数に任せて一気に乗り込んでくるはず。地の利が無ければいくら助っ人の冒険者達が強くても撃退できるか怪しい。「ゲルダ、分かってると思うけどそれはだめだよん」それが分かっているのか、いつの間にかアタシの隣に立っていたアデリンは珍しく気遣うようにアタシの肩に手を置き言う。
「ッ!……わかってるさ……!」
アタシは眼の前で何かをわめき散らかしている小鬼を睨みつけると、後ろを振り返って叫ぶ。
「あの量の小鬼相手に門を開けたらどうなるかぐらい直ぐにわかるだろう! みんな気持ちは分かるが落ち着きな!」
クララを助けたいのはアタシも一緒だが、だけどここでクララを助けに行けばそれこそ思う壺だ。悔しさのあまり食いしばった歯がギリギリと鳴る。
「……畜生! 」
自警団の連中はアタシに止められて冷静になったのか、皆悔しそうに駆け出そうとしていた足を止めていくのを尻目に、壁の外の小鬼達は楽しそうにギャーギャーとクララを囃し立てながら、アタシたちへ見せつけるよう、白い体液で汚れたクララの体へ群がりその体を使って快楽を貪り始める。
一匹の小鬼が彼女の小ぶりな胸を噛みつき新たな歯型を作りながらその先端部分を愛撫とも言えない乱暴な手つきで揉みしだきながら、別の小鬼達によって広げられて露わになったクララのドロドロに汚れた女の穴へ肉棒を挿入し腰を振り、そのおこぼれに預かろうとする他の小鬼たちもクララの口や手、脇に太腿などにその汚れたペニスを押し付けしごかせ、快楽を貪りながら彼女を脅すように興奮した様子でその柔肌をひっかき叩く。
ここに来るまでも散々嬲られて辱められていたであろうクララは泣きも叫びもせずに、小鬼の乱暴な抽送の反動で体を小刻みに揺らしながら、股の穴へ放ったグポグポと泡だつ精液を受け入れる。
だがそんな無反応な彼女の様子がお気に召さなかったのだろう、彼女が輪姦される所を見物していた小鬼の一匹が手に持っていた小槍でクララの体を傷つけ、彼女が苦痛の叫びを発したのを皮切りに、まるで子供が戯れに虫の手足を千切って遊ぶように錆びた小刀や小槍がクララの腕や腹、太腿などを傷つけて、白い肌から赤い鮮血が吹き出して辺りを赤く染め上げる。
「糞っ!やめろぉ!やめてくれぇ!」
村の中からあがる悲痛な叫び声を聞き更に激しくぎゃっぎゃっぎゃと笑い転げる小鬼達は、彼女が泣き叫んで『反応』がよくなったとみた小鬼達は、クララは四つん這いの格好を無理やり取らされて組み伏せると、入れ代わり立ち代わりに穴へと肉棒を挿入して更に激しく嬲り辱めていく。
尻の穴に突き入れられた木の枝が、グリグリとうごかされて腸壁を刺激される度に彼女が苦痛に叫び声を出すが小鬼達はその反応をより面白がって、興奮した様子で腰の動きを早めながら汚らしい精液を次々にその腹へ、脇へ胎へ、ぶちまけ更なる反応を求めて、その体を痛めつける。
いつしか周囲に満満ちていた怒りの怒号も涙ながらの懇願も止み、に震えていたアタシも自警団員達も、アデリン達冒険者たちですら見張り台の上や柵の隙間から、ただただ下衆な笑いを浮かべている小鬼共を力なく睨みつけるしかできていなかった。
どのくらいの時間が流れただろうか? 満足の行くまでクララを凌辱し終えたが、村の扉は開かないと見た小鬼達は、今正に犯していたクララからその醜い陰茎を引き抜くと、力なく大の字になって横たわる、体中を己の血と精液で汚した瀕死の彼女の白濁液が垂れ流しになった股間や、木の枝を突っ込まれていた尻の穴、痣と噛み跡だらけの下腹部にその粗雑な槍や剣をあてがうと、今にも息絶えそうな彼女に構わずその体に刃のついたその棒を挿入していく。
小鬼達はクララが完全に動かなくなるまで数度も剣や槍を彼女の体へと突き立てると、その亡骸を数人がかりで持ち上げて、彼女の赤黒い血と黄色がかった白濁液を垂れ流す無残な死骸の女陰と菊門をアタシ達へと見せつけ下品に笑い合いながら、去り始めていこうとするがアタシを含めて、自警団の皆も冒険者たちも眼の前で繰り広げられた非道な行いに対して、もはや義憤も憐れみの感情も枯れ果てたのか怒るどころか喋ることも、動く事すら出来ないでいた。
……アタシ達はこの期に及んで小鬼達の事を舐めていたのだ。もし村が、そして自分たちが小鬼達の手に落ちればどういう目に遭うのか、我々はどこか甘く考えていたのかもしれない。奴らは金や食い物に困って村を襲う人間のならず者達と違って、我々に対する明確な悪意の元に襲ってきているのだ。
もし敗北すれば待っているのは奴らによる略奪と凌辱と虐殺の嵐。村中が文字通り血の海に沈むことになるだろう。