「みんなー! 聞いてくれてありがとー!」
弾ける笑顔、元気な感謝の声。
まばらな拍手もなんのその。明るく喜ぶその様には、ただの通りすがりすら一瞬足を止めて眼を向けるだけの「引力」がある。
久々利トモ。
それが、彼女の魅力だった。
◇◆◇
「ありがとね、コーチちゃん! 設営も運営も、本当に助かった!」
「いいんですよ、トモさん。役に立てたなら良かったです」
久々利トモ、という女性を一言で説明するのは難しい。
一番大きな特徴は、ワダツミのラジオ局であるFMワダツミでジェットバトルのことを多く扱う番組のパーソナリティを務めていることだろうか。
同時に今はまだ知名度こそ高いとは言えないもののアイドルであり、時折小規模なライブやイベントを開催している。
ラジオや試合の実況においてジェットバトルの解説は丁寧にして鋭く好評を得ていて、「いやこれどう考えてもジェットバトル経験者じゃね?」とリスナーからは評判だ。
「それで……どうだったかな、今日のライブ?」
「良かったと思います。ファンサも多くて、ファンの人たちも喜んでましたよ」
そんなトモさんだが、アイドルとしてのファンも少ないながら確かにいる。
なんやかんやでファンの人たちとは話をさせてもらったこともあるのだけれど、「かわいい」「尊い」「実家で声が低そう」と大層な愛されぶりだった。
「そう、なんだ。良かった。……でも、喜んでもらえるならやっぱり、みんなにトモちんの歌を聞いて欲しいなあ……」
「それは、ええまあ、うん」
かわいらしく、スタイルがよく、パフォーマンスも上々。
ラジオパーソナリティとしてだが人気もあり、半ばネタとして扱われている面もあるがアイドルとしての活動もラジオ内で告知している。
それなのにトモさんがアイドルとしては零細に甘んじている理由が、歌だ。
CDはいい感じに調整されているものの、生歌はヤバい。
ぶっちゃけ、俺は一曲フルに聞いて耐えられたことがない。
ライブの場で生歌を披露しようものなら、周辺一帯はさっきまで観客だった人たちが辺り一面に散らばる地獄絵図が顕現する。そういう歌声を持つアイドルだ。
アイドルの主戦場は歌だが、アイドルの価値が歌だけで決まるわけではない。
ライブにおいてもダンス、パフォーマンス、ファンサ。その後の握手会やトークイベント、その他バラエティ番組での立ち回りなど、アイドルをアイドルたらしめる要素は数多い。
だが、それでもアイドルと言えば歌、というイメージがあるのは紛れもない事実。
名刺代わりに差し出すのが歌のCDというのは今も昔も通じるアイドルのスタンダード。
ファンのアドバイスに従い、ライブの場ではCD音源と口パクに精一杯のダンスとパフォーマンスを乗せるというスタイルを確立してはいるものの、トモさんの歌は危険物で、しかし決して諦めてはいない。
「……ねえ、コーチちゃん。トモちんの歌を、聞いてもらえないかな。マネージャーの手伝いとか設営とか色々してもらってる上にお願いすることになっちゃうんだけど、こんなこと頼めるのはコーチちゃんしかいなくて!」
「ええ、かまいませんよ」
「マジで!? ……あ、いや助かるんだけど。で、でもそれならお願い! トモちんの歌を助けて!」
「できる限り、力になります。だから、さっそく向かいましょうか」
俺は、その思いの力になりたい。
コーチという肩書で呼ばれてはいても、それはなったばかりのジェットバトルのもの。
ジェットバトルの選手はアイドル的な扱いをされることもあるとはいえ、勝ったチームがウィニングライブをするわけではなく、歌もアイドルも詳しいわけでは決してない。
だがそれでも、きっと力になれることはあるはずだ。
「向かうって……あ、カラオケか何か?」
俺は俺のできる全てで、トモさんの力になろう。
「はい。ラブホです」
◇◆◇
「きゅう……」
「……は?」
久々利トモは、アイドルである。
元々はジェットバトルの選手を志望して養成校に通ったりもしていたが、その後なんやかんやでアイドルになり、活動方針をめぐって事務所の社長とケンカをやらかしたりもして、現在はラジオパーソナリティとその延長上でジェットバトル選手としての比重が大きくなったりもしているが、それでも自らをアイドルであると規定している。
「……ハッ! こ、コーチちゃん! 大丈夫!?」
そんな久々利トモが、アイドルが。
ジェットバトルの別チームでコーチを務める男性と、ラブホに、二人きりで、入っている。
そしてそのコーチは、ベッドの上で目を回して意識を失っている。
引く血の気。
衝撃で戻るトモの意識。
社会的な死の予感に襲われ慌ててコーチを揺さぶり起こそうとしながら、どうしてこうなったのかを必死に考える。
「カラオケボックスだと、部屋が狭いこともありますから。その点ラブホテルならこうやってカラオケもありますし、多少は踊れるくらいのスペースもあるでしょう?」
「な、なるほど……?」
男に、ラブホに誘われる。
アイドルとして、ファンを食い散らかすなど耳障り的にも倫理的にも悪い話。トモとしてはそんなアイドルになるつもりは毛頭ないが、いざ男に手をつながれてラブホへと導かれ、入口をくぐり部屋へと入り、誰にも邪魔されないようになると。
見慣れたコーチの後ろ姿が、誘っているように見えて仕方ない。
このまま抱き着いて、服を脱がすのが礼儀なのではないか。
そんな衝動に苛まれるのは、女として仕方のないことなのだった。
「じゃあ、まずは一曲お願いします。……なんとか、がんばってみますので」
「う、うん。それじゃあ……すぅ」
しかし抗い、正気を保ち、トモは歌った。
そして、コーチは死んだ。
「いやいやいや、コーチちゃん死んでないから! 息してるから!」
トモの歌は、控えめに言って音痴だ。
自覚はなかったが、コーチに言われ、ファンたちの言葉を伝えられ、CDではしこたま編集を入れているのだと理解した。
理解はしたが、諦めるわけにはいかなかった。なぜならトモは、アイドルだから。
ボイスレッスンを重ね、自分なりの努力をして。支えてくれているコーチにその成果を見せ、さらにアドバイスなどもらうべく今日のおねだりとなったわけなのだ。
まあ、結果はご覧のあり様なのだが。
コーチは意識を失ってしまった。
ラブホのベッドの上で。
あまりにも、無防備に。
「……ごくっ」
据え膳食わぬは女の恥、というフレーズが脳裏を過る。
悩まし気に眉根を寄せたコーチの寝顔の色気には、間違いなく引力がある。
そうでもなければ、コーチの顔の左右に手をついて呼吸の触れ合うような距離まで顔を寄せている今のトモ自身の状態に説明がつかない。
「コーチちゃーん、起きてるー……?」
蚊の鳴くような声だな、とはトモ自身も思った。
こんなに小さな声では、目覚めるものも目覚めまい。
そして、目覚めないのならばより近づいて声をかけるのが合理的で、あとほんの数センチでも近づけば。
唇が、触れる。
「……! ほら、コーチちゃん。しっかりして」
近づけば、の話だ。トモはそれをしなかった。
身を起こし、コーチの肩を揺すり起こす。
正直、悔いはある。人生にそうはないチャンスだったろうと頭の中のファンを食う系アイドルトモが言う。
だがそれ以上に、これでよかったのだと頭の中の清楚系アイドルトモが頷く。
確かに、コーチの唇を奪うことはできたかもしれない。
だがそれは同時にコーチからの信頼を失うことにもなっていただろう。
トモは、その方が辛い。
だからこうして優しくコーチに声をかけ、頬を突いたりするくらいは許されるだろうとつんつんし。
「――キスくらいはされるかと思ってました」
「うひゃあああっ!? コーチちゃん!? 起きてたの!?」
ぎょろりと目を開けたコーチに死ぬほどビビり、ベッドから猫のように跳ね飛んだ。
「ええ、まあ。すごいですよトモさん! この距離で生歌を聞いても、気絶しなくなりました! ボイスレッスン、本当に頑張ったんですね……!」
「あ、うん。それはそう。……なんだけど! なんで気絶したふりしてたんだよ!?」
部屋の隅まで飛び退り、アイドル生命消失の危機に思わず素が出るトモとは対照的に、コーチはめちゃくちゃ素直に褒めてくれる。
確かにトモは努力をしたし、それを褒められるのは嬉しいのだがこの状況はいったい。
「ラブホで男と二人きり」という事実が改めて重くのしかかり、のそのそと寄ってくるコーチがどういう感情を抱いているのか全く分からない。
「いやあ、状況が状況なんで、トモさんがどうするかなって気になりまして。――別に、キスくらいならしてくれてよかったのに」
「ふぇ!?」
「まあでも、今日は歌の練習に来たわけですからまずはそっちをしましょうか」
「あ、うん。ありがと……」
まずは、というコーチの言葉の意味を無限に深読みするループに入りそうな意識を必死で断ち切り、差し伸べられたコーチの手を取って立ち上がる。
そう、何はともあれ今日は歌の練習に来たのだから、それをしなければ始まらない。
……それをやり遂げたらもしかして、などとトモは全く思っていない。いないのだ。
「さっきの歌を聞いてて思ったんですけど、トモさんって声がきれいなのにちょっと力が入りすぎてる気がするんです。だから、少し力を抜いて歌う練習をしたらいいんじゃないでしょうか」
「ち、力を抜く……。試してみるのはいいと思うんだけど、どうやって……?」
それに、コーチの言葉には一理ある。
確かにトモは歌っているときに思わず力が入る。
それが歌声を乱している原因だというのなら、なんとかリラックスして歌えるようになれば状況は改善するだろう。
とはいえ、問題はそんな方法がトモには思いつかないということ。
コーチには、何か策があるのだろうかと期待して。
立ち上がり、さっきまで歌っていた位置へと手を引かれて戻り、目の前でにこりと笑ったコーチが、提案する。
「じゃあ、服脱いでください。全部」
◇◆◇
「~~~~っ♡」
「手で隠しちゃダメですよ。これも練習ですから」
TPO、というものがある。
時、場所、場面。それらに応じて正しい服装や立ち居振る舞いがあり、それに沿ってあることが望ましいという理屈。
であるなら、ラブホテルの一室で全裸になっている今のトモは、ある意味妥当なのだろうか。
混乱を極める思考はそんなことを考えるに至り、コーチに言われるがまま胸を隠していた手を下ろせば、羞恥の震えがそのまま90cmの胸をぷるぷると揺らす。
「ううぅ、恥ずかしい……っ」
「うおっ、でっか」
コーチが何か呟いた気もするが、とてもではないが耳に入らない。
ステージの緊張や、観客の視線にさらされるプレッシャーに慣れることでリラックスし、本番でも余計な力を抜いて歌えるようにする。
もっともな理屈ではあるが、その状況を再現するためにコーチの、男の前に全裸を晒すことが等価なのだろうか。
脱ぐ前にそこに思い至れない辺り、トモのトモらしさであった。
「じゃあ、さっそく歌ってみてください。えい」
コーチが選曲のボタンを押した。
さすがにトモ自身の歌はカラオケに入っていないので、こういう時に練習として歌っている人気のアイドルソングのイントロが流れてきた。
今の状況では絶望的なアップテンポ。
体に刻まれた振り付けは今にも軽快なステップと動きの大きなダンスを踊ろうとリズムを刻む。
トモとしてもお気に入りの曲だ。コーチに見て、聞いてもらうことに不満などあるはずもない。
だが、いま。
トモは全裸だ。
身に纏う服は一枚もなく、下着すらつけていない状態なら、どうなるか。
歌い出しが、迫る。
「~~~♪」
「わー。かわいいですよトモさん♡」
予想は、全て当たった。
左右に体を振るステップでは、胸がぶるんぶるんと震えて谷間でぶつかり拍手と間違えるような音が響いた。割と痛い。
この歌の目玉と言っていいジャンプの時には、乳肉も弾んでバランスを崩しそうになるほど。
艶めかしく腰を振るときは、尻の肉が揺れる反動を確かに感じた。
今感じている顔の熱さはどんなライブハウスの照明よりも、いやそれどころかドームのスポットライトよりも熱いだろう。
そのことに、トモは絶対の確信を抱いている。
自分の体にどれだけの肉が乗っているのかを思い知らされる気分で、それは男性ファンからは忌み嫌われるべき特徴。
だがそれを、コーチは肯定してくれる。
どこから持ち出したのかサイリウムを振って、羞恥にかすれて蚊の鳴くような声になってはいても必死に歌い、踊るトモを励まし続ける。
それがどれだけの救いになるか。
感動が、胸に湧き上がってくる。
全裸でなければその感動も溜まってくれたのだろうけども、底が抜けたように湧くが早いか抜けていく気がして、いまいち力が入らない。
そしてそれこそが、コーチの狙ったリラックスだったのだろう。
「すごいですよ、トモさん! この通り、生歌を聞いても気絶も昏倒もしませんでした!」
「ほ、本当に……? やったよ、コーチちゃん!」
結果、一曲フルに聞いたにも関わらず、コーチに異常が見られなかった。
アイドルとして、みんなの前で歌いたいというのがトモの願い。
事務所の社長からは止められ、ファンたちからすらCD音源と口パクを勧められた。
その傍らボイスレッスンを繰り返し、コーチの助言を得て、ここまで来た。
遅々たる歩みであろうとも、進み続けていられることが、何より嬉しい努力の果実だ。
「……って、待って待って待って! 来ないでコーチちゃん! トモちんいま裸だから! いろいろ当たっちゃうから!!」
「えー、気にしなくていいんですよ?」
「コーチちゃんが気にしなきゃダメなの!!」
だがそれはそれとして、全裸で抱き着くなど控えめに言ってアイドルの「死」である。
ラブホテルの中でのことならスキャンダルになりようもないが、それはそれとして超えてはならない一線はある。
具体的に言うと、トモが我慢できなくなる。
その場でしゃがみこんで縮こまり、なるべくコーチの目に自分の肌が映らないよう体を丸め。
白く、滑らかな背中がラブホテルの照明に輝く。
ほっそりとくびれた胴から、不釣り合いなほどに充実した尻肉の乗りは見事の一言。
膝に当たって潰れる胸は体の左右からはみ出るほどに豊かで。
俯き、落ち着くことに必死なトモは、ゆっくりと近づくコーチの表情に気付かない。
「トモさん。コツを掴めそうですから、もう一回やりましょう。――実は、またいい方法を思いついたんです」
すぐ横に跪き、手を取るコーチ。女の夢と言っていいシチュエーション。
全裸でなければ心おきなく浸れたのに、と思いながらもとりあえずコーチの導きのままに立ち上がり、再びマイクを握り、歌に備える。
今度の選曲もコーチがしてあり、落ち着いたテンポのバラード曲だった。
ラブソングの類はこういう曲調もよくあることで、ライブの緩急をつけるためにはこういった曲をセトリに組み込むことも必要不可欠。
パフォーマンス以上に純粋な歌唱力と表現力が必要とされる、次のステップとして申し分ない。
トモのことを、アイドルとしてのトモを心から思ってくれているコーチに、何としても応えなければならない。
そう覚悟を決めて、コーチに握られていない方の手で強くマイクを握りなおして歌い出しに備え息を吸い込み。
――グチュグチュグチュグチュグチュッ!
「ん゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛~~~♡♡♡ 手マ、ン……らめへえ゛え゛~~~♡♡♡」
マイクの拾うトモの声が、部屋中に響く。
アイドルの口から発せられていいはずのない、濁りきった喘ぎ声。
トモは、コーチの言うがままに立ち上がり、マイクを握った。
曲が始まっても手を握られたままなのはおかしいと気付いたが、それもまた新しい特訓なのだろうと集中し。
その瞬間を狙い澄ましたかのように、コーチが全裸のトモに寄り添って密着し。
指を、膣内に挿入れた。
「んはあああっ♡ クリらめ♡ つままないで……っっっひい♡♡」
オナニーとは比べ物にならない快感と驚き。
振り向けば信じられないほど近くにあるコーチの顔が淫靡に笑い、歌ってくださいなどと信じられないことを嘯いている。
あまつさえ膣内を擦る指は止まらず、震える耳は穴の中まで舌を入れられた。
こんなもの、愛撫以外の何物でもない。
しかしこれがコーチの言う「いい方法」なのは間違いがなく。
それを拒絶することなど、できるはずもなかった。
「~~♪ ……んっ♡ そ、そこ、キく♡ イくぅ……♡」
「歌い終わるまでイっちゃダメですよ。我慢できなかったらお仕置きです」
無茶が過ぎるというものだ。そんなことを言いながらもコーチの手はトモを休めるつもりは全くなく、部屋に流れるカラオケのリズムと合わせる気もない激しさでトモを責める。
サビはもうすぐ。それまでの小手調べですでにトモの膣内は知りつくされ、いまはGスポットを指の腹で余すところなく擦り上げられてしまっている。
だが、それでもトモは必死に歌おうとした。
歌詞など頭から消し飛んでいるが、それでもコーチの特訓にこたえるために。
そして、この特訓を途中でやめられてしまわないために。
サビがくる。
一番の盛り上がりをコーチが逃すとはとても思えず、しかし覚悟を決めて大きく息を吸い込んで。
「ほら。がんばれ♡ がんばれ♡」
ぐっりゅううううううううっ!!
「――あああああああああああ♡♡♡♡♡」
ぷしゃああああああああ!
喉から声が。膣から潮が。全身から汗が。
コーチの導きのままに、トモの全てが溢れ出た。
◇◆◇
「あ♡ あひ♡」
カラオケ中の手マン。トモが耐えられるはずもなく、イキ潮を吹くなり膝から力が抜け、崩れ落ちた。
その背を優しく受け止めて、ゆっくりと座らせてそのまま抱きしめてくれているのが、コーチだ。
イき崩れるほどの手淫と合わせてマッチポンプも甚だしいが、コーチの胸板に頬を寄せて心音を聞きながら頭をなでられていると、そんな難しいことを考えていられなくなる。
今のトモが考えられることは、ただ一つ。
撫でられながら見上げるコーチの目。
全てを許してくれそうなこの男の瞳に映っている間だけは、望む全てが叶う気がした。
「――ねえ、コーチちゃん」
「はい。なんですか、トモさん」
コーチの首に、両手を絡める。
ゆっくりと、力を籠めず。
逃げることも振り払うこともたやすいように。
コーチは、それを拒まない。
ニコニコと笑ったまま、トモが顔を寄せていっても拒絶の色など微塵も見せず。
「……んっ♡」
「んんー」
キスを、当たり前のように受け入れた。
舌を入れてくるのは、コーチの方が先だった。
裸のトモと、服を着たままのコーチ。
それでも二人の体は絡み合い、互いを弄る。
こんなキスを受け入れる男に遠慮などいらないと、トモの手はコーチの服の下に入り込み、まくり上げる。
腹筋も背筋も鍛え上げられていて、触っているだけで恍惚とする。
コーチの手も同じようにトモの体を当然の権利のように撫で、揉み上げる。
特に尻が気に入ったようで、しつこいほどに深く、強く、指が食い込む。
痛みを感じても不思議はないほどの力が込められているのに、ただ悦びだけが生じてくるのは人体の不思議だと、悩ましい吐息の全てをコーチの口の中へ注ぎ込みながらトモは思う。
「……ぷぁっ♡ もし、だよ。コーチちゃん」
「はい」
「えっちしよって言ったら、シてくれる?」
「――加減できなくても、いいのなら」
「~~~~~~っ♡」
本当に、最高の男をマネージャーにできたのだと、幸福が身に染みた。
イってからしばらく経った。多少ふらつきはしても、立って歩くことはできる。
コーチを置いて、トモは一人でベッドへと向かう。
その、背中。
首に、背中に、腰に、尻に。
そして溢れる愛液に濡れているところはくまなく太ももから足首まで。
コーチの視線の圧を感じながらの歩みは最高の気分で。
そのまま、ベッドへ仰向けに寝転がる。
男をリードするのが女の誉のようなところはある。
が、それはそれとして。
もしも男に貪ってもらえるならば、それはそれで経験したいという気持ちもまた偽らざるもの。
女は欲張りなのだ。
両足を開けば、コーチが寄ってくる。
その視線を感じながら中心にそっと両手の指を添え、コーチの期待が高まるのを感じながら、開く。
――くちっ♡
「……いいよ♡」
コーチの眼差しが、時に見惚れるほどカッコいいのは知っていた。
だが興奮に血走り、自分を抱き潰そうと迫ってくる目はそれを超えるほどに惹きつけられる。
アイドルであるトモが、ガチ恋させられてしまうほどに。
じゅっぶうううううう!!
「おぉ゛っ♡」
コーチのハメ方には容赦がなかった。
一突きで、メスを落とす。
一撃で、恋をさせる。
膣道を広げ、Gスポットを擦り尽くし、子宮を逃げ場なく責め、体重を込めてくる。
枕を掴もうとした手は途中で捕まり、指を絡める恋人つなぎに。
アイドルとして致命傷になりかねないオホ声はキスで塞がれ、体の中がコーチで満たされる。
じゅぶっ、じゅぶっ、じゅぶっ、じゅぶっ、ぐにゅうううううううっ!!
特に、子宮がダメだ。
コーチの腰つきは女をダメにすることに特化している。
じゅぶじゅぶと突きこまれれば子宮を体の奥まで押し込まれてどちらが上かをわからされ、引き抜かれるときには子宮口がいかないで♡ と媚びて引きずり出されそうになる。
そんな女の感傷を振り払うように引き抜かれた寂しさは、しかしすぐにまた子宮ごと潰すような突きが忘れさせる。女の心を弄ぶ、魔性のセックス。
「んんーーーー♡ んちゅっ、れぇろ♡ はぁん♡♡ ……っおぐうううぅぅぅ♡ らめらめぇ♡ イく♡ コーチちゃんの強すぎセックスれイきましゅうううう♡♡♡」
「いいですよ、トモさん! かわいい声で、隣の部屋にも響くくらいの声でイってくださいっ」
溢れる愛液がコーチの腰を濡らす。
その腰とぶつかる尻肉が立てる濡れた打音は高らかで、それを聞くだけでもどれほど激しいセックスかが伝わるだろう。
処女に聞かせれば、それだけで一生オナネタに困らない。
そして、その音だけでなく衝撃も握力も匂いも唾液の味も知りながら、膣奥でコーチの震えを感じるとなれば、それはもう。
びゅうううううーーーーーーー! びゅるるるるうーーーーーーー!!
「んひいいいいいいいいん♡ イぐううううううううう♡♡♡♡♡」
この世で一番の、幸福だった。
「お♡ おひ♡ ひへへ♡♡」
◇◆◇
「……やった! やったよコーチちゃん! 今日のライブ、1曲だけど生歌できた! お客さんも気絶しなかったの!」
「やりましたね、トモさん!」
後日。
その日もミニライブが終わりを迎える。
いつもの通りCD音源にパフォーマンスを合わせるという形で盛り上げていたが、一つサプライズを交えた。
それが、最後の一曲で生歌を披露するというもの。
少ないながら参加していたトモのファンたちの間にざわめきが走ったが、結果は成功。
ただの一曲、されど一曲。
短めとはいえそれを成し遂げたことは、トモのアイドル生活において大きな意味を持つだろう。
だから、トモはその立役者となったコーチと手を取って喜びを分かち合う。
ここは、即席のライブステージの脇に用意された小型のテント。控室代わりで、外からは中の様子を見ることはできず。
「――それでね? 実はこの後ラジオの収録があるの。だから、その前にもう一回……ね?」
「『喉を開く』、ってそういうのじゃないと思うんですけど」
トモがアイドルらしからぬ淫靡な笑みを浮かべても、その手がコーチの下半身をまさぐっても。
あまつさえ引き出したコーチの勃起肉棒を前に舌なめずりをしても、誰に見咎められることはなく。
「いいの♡ それじゃあ、いただきまーす♡ んぁむっ♡」
コーチの腰に鼻まで埋めて、喉奥をえぐるディープスロートをしていることなど、誰にも知られずアイドルを彩る秘密の一つになるのだった。
ドルフィン紹介!!!
村早麻汐
陽キャドスケベ。サーファーの常として、イケてる男を見たらとりあえず軽くナンパするのが礼儀みたいなところがある。
相手が少しでも嫌がればすぐに引く程度には良識があるが、コーチは当たり前のような顔をしてホイホイ乗ってきて、気付けばそのままセックスすることになっていた。
好きなプレイはチャラ女プレイ。うぇーい、コーチの彼女さん見ってるー? みたいなハメ撮りとかするとめちゃくちゃに興奮する。別にコーチに彼女はいないしその動画を誰かに送り付けるつもりはないが、それはそれとしてそういうムーブがめちゃくちゃ好きらしい。
あわよくばそのままコーチを快楽落ちさせようと思っているが、いつも返り討ちに会ってアへ顔オナホ宣言をする羽目になっている。
久々利トモ
アイドルドスケベ。良いアイドルならその辺ちゃんとするけど、悪いアイドルならファンの一人や二人食べておかないとなみたいな良心と欲望に苛まれながらコーチとの関係にハマっている。
コーチのことはマネージャー扱いもしているので、そういうちょっと爛れた感じが無性に興奮すると最近自覚しつつある。
好きなプレイは深めのフェラチオ。喉を開くため、と称してライブやラジオの直前に喉の奥までガッツリ咥えるタイプのフェラをして、どっぷりと射精されて全て飲み干している。普通に喉に悪そうなのだが、不思議と声がよくなる。
膣内射精してもらった精液で子宮をたぷたぷにしたままだとさらにパフォーマンスがよくなる、というのは迷信や口実ではなく統計的な事実らしい。