記念すべきだからこそ普通がいいでも今回すけべ無しです
最初の古関家の世界線*1を使いますからね
タマちゃん27のウイ33かな?
こんなの書いといてなんだけど、娘の発情期を処理していくタマちゃんも書いてみたいと思いました(まる)
「...ママ、怒ってる...?」
休日の、少し眠気の残る午前に私の顔を恐る恐る覗き込んできたのは、次女のソウコだった。
「......別に。なんにも、怒ってなんかないけど。」
「その返事は何かあったって言ってるようなものだよ...?パパ?たぶんそうだよね。朝ごはんの時、ちょっと睨んでたし。」
「...賢い子に育ったね...」
「ママがわかりやすいだけだと思う...」
あの一件からのソウコは、甘えたがりなのは変わらずだけどなんだかしっかりとしてきた。
罪悪感からなのか、よくお家のことも手伝ってくれるし。
「うん。ソウコにそんな頭無い。ね?母さん?それに母さん、怒ってるんじゃなくて悲しんでる。」
今度はその片割れのトウコがやってきて、私に頭を擦り付けながら片割れを罵倒していた。
「トウコに言われたくない!同じ頭の作りしてるくせに!」
「でも出来が違う。この前のテスト、私の圧勝。」
「いや、あれは...出題のアタリを外しただけだし...って!話すり替えてママにべたべたしない!迷惑そうじゃん!」
「え、い、いや、迷惑ってほどじゃ...」
「こう言ってるけど?ふふ...母さん、辛かったら私のところに来ていいからね...♡」
「あ、あ〜...うん、とりあえず元気は出たから、いっかな。」
あの一件から、なんだか妙に湿気を帯びた甘え方をしてくるトウコを軽く引き剥がして、いつもの笑顔を取り繕って見せる。
あんまり、子供たちに情けない姿を見せたくないからね。
「......はあ。」
「「崩れてる崩れてる。」」
双子らしく息ぴったりの指摘をされてようやく、力無く倒れていく耳と尻尾を張り詰め...
「...はあ...」
...たんだけど、五秒と持たずに崩壊した。
「ねえ本当に大丈夫?」
「いいよ。私の胸に飛び込んできて。」
心配するソウコとマイペースな慰め方をしようとするトウコに挟まれていると、また足音...
「......なに...?この、ふにゃもふせいぶ...お母さん...?なんでそんなに溶けてるの...?」
騒ぎが聞こえてたのか、
「あ、フミ姉。」
「うるさかった?」
「ううん、ハルが電池切れ起こしたから。」
私も知らないうちに、子供たちだけで末っ子の面倒を見ていたみたい。
それに嬉しいような情けないような感情に押し潰されそうになってると、「それで...どうしたの...?」って、大きな体を傾けてきた。
「夫婦喧嘩中だって。」
「私と父さんの間で揺れ動いてる最中。」
ソウコは推測で言い切っちゃうし、トウコに至っては何言ってるの?
「あ...え?そ、そうなんだ...?」
「そんなの信じないで!?......あ。」
つい声を荒らげてから気付いた。
「『そんなの』...ってことは、他でちゃんと理由があるんだね?」
「ううん、ただの照れ隠し。」
しめしめといった顔の双子が見ていたことに。
「...ややこしくなるからトウコは黙ってて。」
「それで...結局、何...?お父さんが何かやったの...?」
「だ、だからなんでウ...お父さん関連確定なの...!?」
「...だって...いつもそうだし...」
「今度は何?帰ってくるのが遅い?忙しくて構って貰えない?それとも何かの記念日を忘れてる?」
「私ならそんな思いさせないよ。ほらお母さむぐむぐむぐ」
あぁついに口を塞がれた...
「ほら教えて?私達も出来ることがあるなら手伝いたいし。」
「...でも...こんなこと、いくらあなた達でも...」
「これ以上うだうだ言ってたらこのバカ解き放つよ。」
「
なんで離してあげる事を脅しに使ってるの...?
「深刻なことなら...それこそ言って欲しい。だって私たち...か、家族、でしょ...?」
「フミ...」
「......それに...お母さんには酷いことしたし...せめて、償いたいんだ...」
最後のが全部だった気がするけど...別に許したのに、変に引きずるんだなぁ。
「でも...じゃあ、ちょっとだけ聞いてくれる...?」
もうどうすればいいのか分からくなっていたからか、実の子供たちに、到底伝えるべきじゃないことを、伝えちゃった。
「...お父さんね...う...浮気...してるかも...しかも、学生の時の知り合いと...」
「「「...」」」
私の決死の告白を受けた娘たちは、皆固まって、顔を見合せていた。
フミは不思議そうに耳を引き絞って、ソウコは抑えていた口を離して双子揃って同じように口を開けていた。
そりゃあ、そうだよね...いきなりこんなこと言われたら...混乱しちゃうよね...
「...ごめん母さん。一旦会議してくる。」
冗談ばかり言っていたトウコが真顔で姉妹二人を引き摺って、部屋の隅でこそこそ。
「あれ、本気の顔だよね?え?一昨日シてたよね?」
「夢...?過労...?睡眠不足...?幻覚、見えちゃってるよね...?」
「...なら、私たちがするべきことは一つ。」
何を話してるのかは分からないけど...困らせちゃってるのは確かだよね...あっ、戻ってきた。
「一体何を話してたの...?」
「...今日は家の事、全部私たちでやるからね。母さんはゆっくり休んでて。」
「一体何を話してたの?」
「私たち、ちょっとママに甘え過ぎてたみたいだから...」
「どういうこと?」
「そんな夢を見るぐらい...疲れてたんだね...」
「本当のことなのに!」
いつも以上に優しい視線を三つ受けて、子供たち以上に子供っぽく地団駄を踏みそうになるのをぐっと堪える。
「昨日...部屋で、楽しそうに電話してるのが聞こえたの。それに、今日だってその人と遊びに行ってるからいないんだよ...!?」
「...?」
私がこれだけ必死に伝えても、娘たちには伝わっていない様子だった。
やっぱり、まだまだ若いしこういうことはよく分からないんだろうね...
「...思ったんだけど、そんなに気になるなら見てくればいいじゃん。ママ探し物得意でしょ?」
「えっ!?で、でもそれは、さすがに...」
心の底からベタ惚れで愛してる人の浮気現場を見てこいだなんて...なんて残酷なことを言うの...!
「勘違いだと思うし、悪いことは言わないから見てきたらいいんじゃないかな...?」
長女にまで裏切られ呆然とする私の腕を、左右それぞれ双子の手が掴んだ。
そのまま上方向に力が掛かり、私の足が地面から離れる。
「もう!うじうじしてないで行くよ!らしくもない!」
「実力行使が手っ取り早い。」
「えっ、えっ!?ちょ、待って!やだ!」
「一人で悩むだけだったらなんにもならないって!」
「とっちめるならなんにせよ証拠はいる。」
「やだ!そんな覚悟できてない!やめよ!?ね!?二人ともいい子だから!」
「どうせママの勘違いなんだからそんなに怖がらないで良いんだよ!」
「もし本当にそうでも、私たちは母さんの味方。」
「わ、わかった...!歩くっ...!歩くから、持ち上げるのやめてぇ!?」
「......掃除しよ...」
やって来たのは、トリニティで一番大きなショッピングモール。
休日ということもあって学生や家族連れで賑わっていて、周囲の至る所から聞こえる雑音に頭が痛くなってくる。
「け、結構人いるね...!」
「でも父さん大きいし、すぐ見つかる。あそこの人とかそっくり......あ、あれ父さんだ。」
「っ...」
つい風を切る音が出るぐらいに勢い良く、指を指す方向に目をやると、そこにはとにかく色々大きいヒナタさんと楽しそうに話すウイさんの姿。
水の中で息を止めてるような、そんな息苦しさが胸を締め付けてくる。
予測も覚悟もしてたけど、実際に見ると言葉にできないほどに辛い。
「...決めつけるの早くない?ママそういうところあるよね。」
「父さんだって友達と出かけることぐらいある。」
「でも...でも...」
「私から見たら、学生時代の友達と遊んでるようにしか見えないけど?」
「まだ。決定的瞬間を残さないと。」
「......あわよくばって狙ってないよね?」
「バカのくせに勘は働く。傷心しきった母さんを助けられるのは私の愛だけ。」
「...本当に同じ体の作りで、同じ人から産まれたんだよね...?」
「こっちのセリフ。」
「なにをぉ!?」
「触らないでよ。脳筋暴力狐なのが伝染る...!」
「.........ん...ん!?何してるの!?」
仲良く並んで歩く二人を眺める私の後ろで、いつの間にか起きていた双子の取っ組み合いを引き剥がしているうちに、二人を見失ってしまった。
落ち着いた二人は、耐えかねて帰ろうと提案する私を引き摺って、またウイさん達を探し始めた。
次に二人を見つけたのはフードコートだった。
双子のお腹が同時に空腹を訴えたから来たんだけど、そこにちょうど居たの。
「好きなの選んできてね」とお金を渡して、私は場所取り...の体を装って、ずっと二人を見ていた。
「す...すみませ......こんな...つきあ......しまって......せめて、食事代ぐら...は......が、出し...」
「えっ...!?そんな...いです...!」
「...はあ...何言ってるかあんまり聞こえないけどさ...でれでれしちゃって...お財布まで出しちゃって...」
怒りとも悲しみでもない感情に脳を沸騰させながら、それでもわずかに信じたい気持ちがあって、でももう見ていたくなくて...
「だ、大丈夫...!?どこか調子悪いの...!?」
「ううん...大丈夫...大丈夫だから、お母さんのことは気にしないでね...」
「ソウコの食欲に呆れたみたい。何その量、断食二日で断念した人間?」
「べっ...別にいいじゃん!」
「太るよ、あほ。」
「食べた分動いてるから問題ありませ〜ん!ばか!」
また喧嘩を始めた...
少しだけうんざりした気分で顔を上げると、目の前にはソウコが持ってきたであろうトレイ。
トレイ自体は問題じゃないんだけど、問題はその上。
ラーメンとチャーハン...ただでさえメインになるものが二つあるのに、そこへさらに餃子や唐揚げ...
「エンゲル係数爆上げ狐。」
「むしろトウコは食べなさすぎでしょ!何!?蕎麦一つって!?」
「燃費がいい。自慢だよ。」
「あぁ言えばこう言う...!」
「...断食二日で断念...ふふっ...」
「ママまで...!?」
この後も、ウイさんたちの追跡は続いた。
意外と、あちこちを歩き回っていたせいで色々なものを見てしまった。
本屋に立ち寄ってからほくほく顔で出てくるウイさんとそれを微笑ましそうに見るヒナタさんとか。
「あ、そういえばフミ姉におつかい居るか聞いてなかった。」
「まあ大丈夫でしょ。基本自分の手で取りたいタイプだし。」
耳や尻尾、羽なんかのケア用品が揃ってる店で談笑する二人とか。
別に独占欲とか束縛とかって訳じゃないんだけど、あんな風にウイさんが家族以外......私以外への笑顔を見ていると、どうしても胸がズキズキと鈍く傷んでくる。
「も、もしかしてプレゼント?ママへのサプライズだったり...!?」
「ご機嫌取り用かもしれない。」
「なんでそんな事言うの!?」
とてもこっそり監視しているとは思えないほどに後ろが騒がしいけど、気にしていられるほどの余裕は無かった。
その後も、双子の茶化しなのか真面目な推測なのかよく分からない言葉を後ろから耳に入れながら、ウイさんたちの浮気デートを見てたの。
嫌な汗が出て、頭が痛くて...そんな光景が何回もあったけど、ついに...
「...私...もう無理...もう、見てられないから...」
二人でアクセサリーショップに入っていったところで、限界を迎えた。
結構酷い顔をしているのか、周囲からも少し視線が注がれる私を隠すように二人は寄り添ってくれる。
情けない親でごめんね...
「...帰ろっか、母さん。ちょっと刺激が強すぎたね。でも結末は見たいしソウコは残ってて。」
「まさか、送り狼でもするつもりじゃ...」
「それぐらい空気は読める。むっつりソウコ。」
「こんのッ...!」
「行こ母さん。」
この一日、情けないところしか見せていない私に嫌な顔一つせず肩を貸してくれるトウコに助けてもらいながら、その場を後にした。
「あ...おかえり...どう、だった...?」
家に帰ると、台所に立っていたフミが迎えてくれた。
「私たちは途中離脱。むっつ...ソウコに任せてきた。」
普段なら容赦なく片割れのことをむっつり呼びしただろうけど、珍しいことに踏みとどまった。
「お姉ちゃん!お野菜綺麗にでき...あ!おかーさんお姉ちゃんおかえり!」
だって、すぐそこに純粋無垢な
なにかの手伝いをしていたのか、その報告を受けたフミは感謝の言葉と一緒に頭を撫でていた。
「おかーさん、お姉ちゃんたちとお出かけしてたんでしょ?いいなー私も行きたかった〜!」
私に抱きついて、頭をぐりぐりと柴ドリルならぬハルドリル...
「フミ姉、今何やってるの?」
「あ、えっと...夜ご飯...その、前、調理実習あったし...お母さんの代わりにはなれないと思うけど...」
「......そうやって、自分で考えてしてくれてるだけで嬉しいよ。お母さんは...お母さんは、ちょっと...もう何が何だか、分かんないから...」
「...」
顔を見せないように俯いていて気付かなかったけど、そんな私の様子を見ていたハルは、段々と苛立ちを表すように尻尾を荒く動かしていた。
「トウコお姉ちゃん、またおかーさんいじめたの...!」
「えっ、ちが...あっちょ、いたっ!い、いたたたっ!?」
「...こればかりは、日頃の行い...そこで、ハルに叩かれてて...お母さんは、いいよ。今日は私がやるから、ゆっくり休んでて。」
優しくされて余計自己嫌悪に陥る私を押してソファに座らせると、フミはまた台所に戻っていって、包丁を取り出した。
現実逃避気味に長女の成長を噛み締めていたんだけど、その...包丁を持つ手があまりにも危なっかしい...
具体的に言うと、すごい震えてる。
しかもその持ち方、刺しに行く持ち方だよね...!?
「い、いいよ!やっぱり私がやるから...!」
「えっ!?い、いやいいって...!」
「じゃ、じゃあせめてその持ち方やめよ!?わ、わかった、お母さんが隣にいるから!それぐらいいいでしょ!?」
「...わあ!おかーさん元気になった!」
「や...やっと解放された......ん...なんかメッセージきてるし......は?」
息も絶え絶え、虫の息のトウコからやけにドスの効いた声が漏れて、つい三人仲良くそっちを見る。
「あ...いや...父さん、帰ってくるって。」
「「...」」
「ほんと!?あれ?なんでそんな顔してるの?」
「...フミ姉、もう調理始めちゃってた?食材洗って食器並べてただけ?」
「あ、ま、まだ、準備中...」
「じゃあいっか。ハル?父さん帰ってきたら、ちょっとフミ姉の部屋行こっか。父さんと母さんで、ちょっと大事な話があるから。」
「う、うん?わかった?」
頭の上に大量の疑問符を浮かべながらも了承したその十数分後...
「た、ただいま帰りました〜...?」
やましいことでもあるのか、なにかの小さな袋を持ちながらおっかなびっくり入ってきたウイさん。
「おかえりお父さん。それから...」
「ただいま...」
それから、ウイさんの後ろからひょっこり出てきた、しなしな顔のソウコ。
「...言い訳は部屋で聞くから。」
「えっ...み、皆出ていくんですか...?」
「そっちの方が都合がいい...でしょ...?」
空気の読める長女と三女が、しなしなの次女と笑顔の四女を連れてリビングを出ていって...私とウイさんだけが残された。
目が合って、妙に気まずい。
「...皆、どうしたんだろうね...あはは...」
お互いに何を話したいのか分かってるはずなのに、へたれな私は笑って誤魔化そうとするんだけど...
「...座りましょうか。」
気付けのように肩に触れられて、つい反射的に拒絶してしまいそうになるのを飲み込んで、されるがままに着いていく。
が二人してソファに腰掛けると、微妙に空いた空間が気になったのか、ウイさんが詰めてきた。
「聞きたいことが、あるんですよね...?ちゃんと受け止めますから、話してくれませんか...?」
あまりにも直球で、誠実そうな声。
それだけで、こんな人がそんな不誠実なことはしないって...分かっちゃうんだけど、どうしても拭いきれなかった。
「......う...ウイさんが...私以外の人、好きになったんじゃないかって...お、思って...」
「どうしてそう思ったんですかね。そんなに最近の私は、素っ気なかったですかね?」
「...ううん...でも今日、ヒナタさんとお出かけしてるウイさん...なんだか、私といる時よりも楽しそうだったから...」
「あ......それは...」
呆気なく突っぱねることを期待して詰め寄ったのに、肝心のウイさんは妙に落ち着かない様子であたふた。
それがまた、私の不安を煽る。
まさか本当に...って、嫌な考えをより強固なものにしようとする私を横目に、「もう少しタイミングを考えたかったのですけど...」
嫌な予想しか出来ない状態の私を申し訳なさそうに放って、袋を漁る。
中身を確認したウイさんはもう一度私の目を見た。
「...目を...閉じてくれませんか...?もう一度だけ、私を信じてくれませんか...?」
いきなりどうしてなのか。
理由を聞こうとしても、言い切るより早く「理由は教えられない」の一点張り。
正直、すごく怪しいけど...
「......うん。」
私が愛してる人を、まだ信じてみたかった。
不自然なぐらいに心臓がバクバク音を立てて、ウイさんが袋から何かを取り出して、封?を開ける音が聞こえる。
それからすぐ、私の真正面からウイさんの匂いがして...
「...はい。もう、いいですよ。」
次に目を開けた時、私の首元には金属の感触があった。
目を開けて最初に見えたのは、小さなプレートのようなものが付いているネックレスを着けたウイさん。
それから私の体を確認すると、同じようなプレート付きネックレスが私の胸の前辺りに垂れていた。
「わ、私からあなたへの...プレゼント、です。」
「...あ、えっ...?」
「本当はもう少しあとの日に渡したかったんですけど...そんな事、言ってられそうにありませんでしたから。」
ウイさんのプレートには、ローマ字でウイさんの名前。
私のには、同じくローマ字で私の名前。
「...ちょ...ちょっと待って...説明して...え?じゃあ、今日のあれは...?」
「少し前から、オーダーメイドを頼んでたんです。私からあなたへ、何かあげたことがほとんどありませんから...ヒナタさんは、その時相談に乗ってくれてたので...受け取りがてら、お礼をと思って。」
緊張からか、所々詰まりながら説明してくれるウイさん。
「あ...えっと...さすがに、お揃いのネックレスは...若すぎましたかね...?」
「......ううん、嬉しいよ...♡」
いつの間にかどこかへ消えていった不安。
そこを代わりに埋めるように湧いてきた愛しさ。
ぱたぱた左右に揺れる尻尾を見て、思い出したかのようにもう一つ...
「先月、ブラシがボロボロになってきたって、言ってましたよね。」
見るからにお高そうな尻尾ブラシ。
「えっ、あっあ...あり、がと...」
どこを見ても嬉しそうな私を見て、ウイさんは安心したかのように肩の力を抜いた。
「...私の疑いは、晴れましたか...?」
「...うん。ごめんね。」
「良かったです。今後のためにも知っておいて欲しいのですが...」
正面に来ていたウイさんは、私の左手を取って、くすぐるように指へ触れる。
「私って結構...独占欲が強いみたいなので...」
次第に、触れていた指を徐々に変えて、薬指に...
「左手の薬指だけじゃ、満足できないんですよね。」
「っ...♡も、もうっ...それは、私がウイさんのモノっていう、証拠なのにっ...♡」
嬉しくて堪らず、体も尻尾もくねくね動いちゃっている私を、ウイさんは凝視。
すると、少し怖い顔をしながら、私の腰に手を回してきたの。
「...じゃあ、仲直りしましょうか。」
「うんっ...♡どうする?仲直りのキスでもひゃあっ!?」
次の瞬間には荷物みたいに、ひょいと軽々持ち上げられて抱えられてた。
「部屋行きましょうね...♡」
「ま、待って!?せめて、子供たちの夕飯作ってから...」
「あ...終わった...?」
「ほら!ママの勘違いだったでしょ?」
連行されそうになっているところで、ちょうど戻ってきた子供たち。
「た、助けてっ!まだ夕飯出来てないのに、連れてかれ...」
「私たちでやっておくからいいよ。たまには姉妹で、仲良く料理でもするから。」
トウコはウイさんを羨ましそうに見つめながらも、無情にも私を見捨てた。
「廊下に出る時は耳栓するから安心してね!」
ソウコに至っては何に安心すればいいのか分からないフォローまでされたし。
「......じゃあ...行きましょうか...♡」
後ろでわいわい騒ぎながら台所へ向かう子供たちを背に、ウイさんは笑った。
あとがき
この世界線のタマちゃん、よくわからされますね