こっちを先に読んでおいた方が話がわかりやすいです。
...どうしよう...
どうしたら...
...こういう時は、お姉ちゃんに...いや、お姉ちゃんでも解決できるのかな...?
...頼るだけ頼ってみようかな。
今日もまた来てくれてるし。
「お姉ちゃん?今いい...?」
「さっさと押し倒せば解決でしょはいおしまい。」
「酷いっ!?わ、私は本気で悩んで...!」
「ならさっさとあの時押し倒してひん剥いて本能のまま貪れば良かったじゃない。何普通に寝てるのよ。何一緒に寝てるのよ。同衾ってそういう意味じゃないのだけど?」
「し、仕方ないでしょ!心の準備が出来てなかっ...待ってなんで知ってるの!?」
「......はーあ。あの時、向こうが甲斐性を見せたおかげで、晴れて恋仲になってもうかれこれ一週間...一体何をしてるの?今度はあなたが甲斐性を見せる番じゃないの?」
「やめて!正論痛い!耳が痛い!」
ひんひんと情けない声を上げて耳を抑えてはずばずば痛い所を突いてくるお姉ちゃんに文句を言う。
「うわあん...お姉ちゃんが虐めてくるぅ...!ウイさん助けてぇ〜...!」
ついにはこの場に居ない人に助けを求め出す始末。
「全く...いつになったら一線を超えてくれるのかしら。」
「きょっ...今日こそは「って一昨日も言ってたじゃない。その結果は?」
「ひう...で、でも!ちゅーは「それから次は?」
「ひんっ...」
「今日も出かけるとか言ってたけど、また逢瀬でしょ?今度はどこ行くの。」
「ほっ...本屋さん...」
「何?ふざけてんの?そろそろ私も我慢の限界なんだけど。」
「で、でもね。その...きょ、今日はお姉ちゃん、居ない方が、嬉しいかも...」
「......へえ?」
「私の所に泊まりたいって、ウイさんが...」
「...あら...あらあらぁ〜♡あまりにもあなたが奥手なせいで向こうも我慢出来なくなったのね。大人しそうな顔しておいて、肉食系なのね♡」
我が身のことのように嬉しそうなお姉ちゃん。
なんだかこっちまで恥ずかしくなってきちゃう。
そんないざこざもあった、今朝の話。
また昼から古書館で集まっては、あの本がいいこの本がいいと、お互いに好きを教え合ってはウイさんの作業を眺めたり、本の整理をして夜まで過ごしていた。
いつもだったらあっという間に終わる半日だったんだけど、今日はいつもより長かった。
時計の針が一回、二回と動く度にそわそわして、時計を眺めていたせいかな。
ウイさんもそれに気付いていたけど何も言わなかったのは、ウイさんも人の事言えないから...だったら良いな。
そんなこんなで外ももう真っ暗で、微かな街灯と手の温もりを頼りに、外食に行ったんだ。
落ち着いた雰囲気の飲食店で、ウイさんが見つけたらしい。
料理は、美味しかった。美味しかったはずなんだけど...全く味を覚えてないんだよね。
ぎこちなく笑っていたのが少し寂しいくらい、自然体で笑ってくれるウイさんが目の前にいる、そんなの...味なんて分からないって。
でも、楽しかったのは間違いない。
そうしてようやく...
「し、失礼します...?」
「はいどうぞ〜...って、もう何回か来てるんだからそう畏まらなくても良いでしょ?」
「それとこれとは違いますよ...!」
「違うのかな?あ、荷物はそこら辺に置いておいて良いよ。たぶん、着替えとか本だよね?うん、ソファの上とか、まあ好きな所に置いて、後はすきに寛いでくれればいいよ。」
平静を装っているけど、心臓バクバク。破裂しちゃうんじゃないかって感じ。
それでやっと、ウイさんがぎこちないのは、まだ慣れてないからじゃないって気付いたんだ。
やっぱり、少なからず意識とか期待とかはしてるみたい。
荷物を置いて、ガチガチの動きでかつ、寛ぐ気が一切感じられない、背筋を伸ばした姿勢でソファに腰掛けているウイさん。
「...ウイさん...?」
その前に立つと、ゆっくり、膝の上に座った。
お、重くないよね?
「ど、どうしましたか?」
「...んっ。」
口をきゅっと固く結んで、顔を突き出す。
目を閉じているからウイさんがどんな顔をしているのか分からず、余計に心臓が激しくなる。
「......」
でも、ちゅっ、という軽い音が頭を重く殴りつけて、幸せなのが出てくる。
目を開けると、僅かに頬を赤く染めたウイさんの顔。
「...」
「...」
深い紫色の瞳と目が合っては、気恥ずかしくなって目を逸らすこと数回...
何度も軽い口付けを繰り返しては抱き合って体温を混ぜ合う。ゆっくり、相手に自分が染み込むように。
「ん...ふう......落ち着くぅ...うん、好き...大好きだよ...」
捻りのない愛情を囁いて、必死にしがみつく。
「...はい。私もですよ。」
お互いに思いの丈を、足りない語彙で懸命に伝えて抱き合うこと数分。
「ね、ねえ...?」
今ならいける気がする。
そんな根拠の無い自信を持って、口を開けて舌を出す。
「んね、もっと...これよりもっと、深いの...したい...だめ?」
体がぽかぽか、ぽんわりして、もう恥ずかしいとかそんな感情は消え去っていた。
「.........良いですよ。」
ウイさんは嬉しさ半分恥ずかしさ半分と言った様子で、応じてくれる。
恐る恐る舌先が触れて、全身がびりびりする。
唇なんて表面上のものじゃなくようやく、今、初めて、内側が触れ合っている。
情緒不安定な私の心臓。
さっきまであんなに静かに眠っていたのに、今は跳ね上がって走り回ってる。
「ふー」、「んふー」なんて荒い呼吸が鼓膜に打ち付けて、もうあれこれ考えずにそれを咥え込...
『お風呂が湧きました。』
「「!?」」
普段なら間違えるはずもない、無機質な人口音声。
それをどういう訳か本物の人の声だと錯覚した私たちは、熱いものに触れた時みたいに、ばっと跳ねのいた。
「......」
「......」
「.........お風呂、入ろっか。」
悲痛にも思える静寂の中の、非常に残念なお知らせだった。
あとがき
ちゃんと続きます
奥手ヘタレチキン野郎のタマちゃん可愛いよタマちゃん。
最初はしびれを切らしたワカモに縛られて大人の玩具色々突っ込まれて出来上がった状態でウイの元へ「こちらどうぞ♡」する予定でした。