また
また先生竿役かよオォン!?
うぅん...どうしよう。
話程度だったら、薄らと聞き覚えはあるんだけど...
ちらり、お姉ちゃんの部屋を、僅かに押し開けた扉の隙間から覗き込んで中の様子を確認する。
「はっ、はっ...♡あなた様っ...♡あなた様ぁっ...♡ううぅっ...♡♡」
へこへこへこっ♡かく、かくっ♡
ベッドの上、枕をギューッと抱え込んでは腰をへこへこ、切なくて情けない声を出しているお姉ちゃん。
...
私も経験してればちょっとは分かると思うんだけど...
生憎まだ来ていない私にはどんな感じなのか...あの呻き声は苦しいからなのか気持ちいいからなのかも分からない。
でも...
「愛してっ、おりますっ♡心よりお慕いしております...♡」
こんな様子のお姉ちゃんを放っておくほど、私は臆病でも無い。まあ私が助けるわけじゃないけど...
そっと開いた隙間を閉じて、電話をかける。
『もしもし?』
電波を通じて聞こえてくる先生の声に、わずかな安堵の感情を持って「私だよ、タマヨ。今ちょっと時間いい?」と確認をとる。
『ちょっ...と待てる?ごめんね、あと少し...これだけ...』
「あ、うん、分かった。」
かなり忙しいみたい。
言われた通り待っていたら、ほんの一分だとか二分だとか、それぐらいでまた耳に声が入った。
『終わったぁぁ...!』
「お疲れ様...?」
『ありがとう...あぁ、それでどうしたの?メッセージならともかく、電話だなんて。』
「...お姉ちゃんが、先生を呼んでるよ。」
『ワカモが?』
たぶん、どうして私が電話しているのか疑問に思ってるだろうね。
「お姉ちゃん...今、発情期で...」
『...あ、なるほど。分かった、少し時間がかかるけどすぐそっち行くね。待ってて。』
何か準備してくるのかな?
たぶんそうだよね。なんか慣れてるような言い方だったし。
「...お姉ちゃんに伝えないと。先生が来るって分かったら、きっと大人しくなるはず...発情期知らないから、なんとも言えないけど...」
またお姉ちゃんの部屋の前...扉の前に立って、叩く。
こん、こん、こん
「.........」
返事してくれるわけないよね。うん、まあ分かってた。
なんたってお姉ちゃんは今、自分の使ってる枕にマウンティングするのに必死だから。
...
「また、覗いちゃお。」
落ち着いた時に声をかければいいし、見てないと落ち着いたかなんて分からないし。
「......あれ?居ない...?......きゃっ!?」
どこに行ったんだろう、なんて呑気にも考えていたら、突然扉を開けられて、部屋に転がり込むことになった。
う...なんかヘンな匂い...
頭がぽーっとする、すえた匂い...
「はー、はー...♡た、タマ、ヨ...♡」
前のめりに倒れる私を拾い上げ、立たせた私を、お姉ちゃんは...
「わ、私、と...キモチいいこと...しよ?」
「...んぇ、えっ?えっ??」
意味が分からずに目を白黒させる私なんてお構い無しに、お姉ちゃんの顔が、近付いてくる。
こ、これ、もしかしなくても...き、キス...
「だ、だめっ!だめだよ!?」
間一髪の所で、私たちの間に手を差し込んで阻止することが出来た。
「そ、そういうのは...!」
「『好きな人と』って...?でも、仕方無い、でしょ...こんなこと、あの方にしたらきっと...嫌われちゃう...」
「だからって私にやっていい理由にはならないよねぇ!?」
「苦しいの、切ないの...♡ねえ、お願い...♡♡」
「ふぐっ」
汗だとかフェロモン?だとかの、俗に言う発情臭で蒸れた谷間の中に私の顔を無理やり押し付ける。
「ん〜!んんむぅ〜!!」
苦しい。いい匂い。気持ちいい。くる、苦しい...っ♡♡
お姉ちゃんの匂いが鼻にいっぱい広がって、肺の中までお姉ちゃんに侵されてる。
甘い、花のような匂い。
「ん...ぷはっ...」
「ふふ、だらしない顔ね。目がとろんと下がって、メスの顔になってる♡」
「ほぇ...?♡」
あたま、ふわふわする...♡
「口を開けて?ほら...開けなさい。」
「ひゃ、ひゃい♡んあ〜♡」
もう言われる前から舌も、んべ〜って突き出して今か今かと待ち侘びる。
間髪入れずにお姉ちゃんが、さっき阻止された腹いせをぶつけるように、乱暴に、激しく...私の頭をがっちりと抑えて私の口を覆ってしまった。
好き放題に口内を蹂躙されて、またもや乱雑に口を引き剥がされる。
「な、なんれっ?なんれやめちゃうのっ???もっろ♡もっとちゅーしてよっ♡♡」
性をまだ知らない私にとって、これだけ、たったこれだけの手順ですっかり発情してしまった。それがこの時も、はっきり分かった。
本当に苦しい。
下腹部がじんじんと熱を持って、疼いて、痛い。
「ね...お姉ちゃん...♡おなかっ、おなか...熱いっ...♡たすけてえっ♡」
「でもそれ以上に...アレを求めている、でしょう?♡雄だけが持つ...」
「...♡」
なんのことを言ってるのかは分かってた。
はっきりとはしなかったけど、何となく分かる気がした。
男の人の、アレが...
そう思った矢先に、さっきまで自分が何をしていたのかを思い出した。
「タマヨ〜、来たよ〜?」
玄関の方から聞こえた声で、お姉ちゃんも気付いたみたい。
「ねえお姉ちゃん...つらいよね、切ないよね。でも、それを助けるために来てくれたんだよ。」
「あれ?おっかしいなぁ...」
呼び付けた本人の姿が見えなくて困惑している先生。
手には何かが入ったビニール袋を下げて私を探している。
「ん、先生?」
「あぁタマヨ、はいこれ薬。多分これを飲んでおけば落ち着くと「そんなのいらないよ」思う、から...?」
笑いながら差し出してきたビニール袋を叩き落として、先生を捕まえる。
「た、タマヨ?」
「あなた様...申し訳ございません...♡」
「ワカモ!?」
完全に発情したメス二匹は、哀れにも誘い込まれたオスを取り囲んで笑う。
「先生、ちょっと時間もらうね♡♡」
「あなた様、少し時間を頂きます...♡」