また、人が死ぬ描写があるため、タグに残酷な描写を追加しました。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「…………」
人気のない廃墟の一室で、裸姿の青年は目を覚ます。
ひび割れた窓ガラスの外では、早朝を告げる朝日が空に昇り、彼の目を眩しさで焼いた。
部屋の広さは6畳程で、ベッドの頭頂は窓ガラスに向けられて置かれている。そのため、青年は頭頂から光に照らされているような状態だった。
彼は昨日、少々面倒な仕事を受け持っていた。どれほど面倒かと言うと、半分の確率で命を落とす危険性のある、まあまあハードなものだった。
だが、日々の生活費を食い繋がなければならない彼にとって、仕事を選んでいる暇はなかった。
選り好みすればそこに待つのは決定的な死。死にたくなければ稼がなければならない。それが彼の考えだった。
その考えに従った結果、身体の至る所に傷を作った。刃物で切られたようなものから、銃弾が掠めたものまで、修羅場を潜り抜けた証が幾つも刻まれていた。
「いって…………まだ痛むな」
青年は包帯を巻いた腕に触れる。脇腹を掠めた弾丸もなかなかだが、ナイフで切られた箇所が地味にズキズキとした痛みを長引かせていた。一般人よりは治癒能力は高い方だが、たったの一日で完治するわけではなかった。
青年は起きたばかりの身体を起こそうとする。しかし、何故か体が動かなかった。横を見ると、1人の少女が自分にへばりついていた。背が低く、全体的に幼さを感じさせる少女は、青年が起き上がろうとした反動で目を開き、光のない黒い瞳を向けた。
「……やっと起きた」
どこまでも人を破滅に導きそうな甘い声を喉から鳴らし、少女は上半身を浮かせる。
暗い髪色のショートヘアが、白色の陽射しに照らされて艶めいている。汗の染みた黒いタンクトップからは、血の気が薄い白色の胸の谷間が覗いていた。
少女は世の中の全てが絶望しか存在しないと悟ったような瞳を細めながら、気だるそうに口を開いた。
「どう? 少しは楽になった?」
「こんだけの傷を負って、たった一日で治るほど俺の治癒力は万能じゃねえよ」
「けど、そこらの奴らよりは全然いい方でしょ」
「いい方でもだ、シャノ」
シャノと呼ばれた少女は、鼻息を漏らして、青年を睨んだ。
「じゃあ、なんであんな無茶したの。レオ。こうなるって分かってたなら、なんでわざわざ死にに行くような仕事を選んだわけ?」
「仕方ねえだろ、まさかあんなドンパチやるとは思わなかったんだよ」
「死ぬか死なないかぐらい、きちんと内容を聞けば分かるでしょ。あんたはいつも適当に聞き流して依頼を受けて」
「あー、はいはい。分かった分かった」
シャノからの小言を振り払うように、レオは埃臭いマットレスから立ち上がろうとする。しかし、シャノは両手で彼の体を掴みそれを阻んだ。
「まだ起きちゃダメ。傷が治るまで寝て」
「いや、煙草吸いたいだけだって」
「うるさい、黙れ」
ドスの効いた声と共に、レオの体がマットレスに沈む。シャノがのしかかって無理やり寝かせたのだ。
「今日はこのまま、傷が癒えるまで寝てて。それまで煙草はなし」
「……ちっ、分かったよ」
「舌打ちするな」
ぐにゅっと、レオの頬が指に挟まれる。口元がタコのような形を作った。黒い瞳が交差し合い、睨み合う。
レオとシャノは、建物が迷宮のように入り組むこのスラム街で暮らしている義理の兄妹である。仕事は何でも屋を営んでおり、配達から捜し物、護衛、場合によっては殺人まで、表向きにはできない仕事を受け持っている。
そのため、彼らは常に死と隣り合わせな生活をしていた。それは幼少期から、育ての親を失った時から続いている。
そしてリーダーのレオは、基本的にやってきた依頼は何でも受け持ってしまう。金のためと言い、内容も碌に聞かずにOKをしてしまうのだ。そのことに対して、義妹のシャノは不満を抱き、彼に対して棘のある言葉で嫌味と忠告をぶつけていた。
「レオ。どうしてあんたはそうやって自分の身を犠牲にできるの? 少しは仕事を選んでよ。自分の生命を大事にしなよ」
「……んなことしてたら、この世界で生きてけねえよ」
両者の意見は、どちらも正しい。
レオの言う通り、自分の身を犠牲にしなければ、この世界では生きていけない。選り好みなんかしていたら飢えて死んでしまう。だが、かといって死んだらそこでおしまいな上に、この世界ではいかに生き残るかが重要になるため、できるだけハイリスクなものは避けなければならない。どちらか片方に寄ってしまうと、そこらに転がる骸の仲間入りをしてしまうのだ。
「つーか、俺の命は俺のもんなんだから、生かそうが死なそうが俺の勝手だろ」
そう言って、レオは不貞寝をしようとした。
刹那、レオの頭がマットレスの深くに沈んだ。シャノが押し付けたのだ。
彼の首にはシャノの細い指が絡みついていて、今すぐにでも絞め殺してやろうと指の間接をギチギチと鳴らしていた。それを、レオの手が寸前で止めていた。
「ふざけるな。あんた、そういう自分勝手な考え方、ほんとに信じらんない」
「く、首絞めようとしてる奴がいうセリフか」
「あんたが! 自分の命を粗末にするからでしょうが!」
レオにのしかかったシャノは、気だるそうな声色を一変させて、眉間に皺を寄せた怒りの表情で彼を絞めにかかる。
「あんたはいっつもそう! 何でもかんでも金のため飯のため生活のため、けど結局それってあんたの勝手な考えでしょ? あんたがそう考えたから、それに最もらしい理由をつけてカッコつけてるだけ!」
「お前、じょ、じょう──」
反論を上げる前に、シャノの指を掴んでいたレオの手が左右に開かれる。一瞬の隙を見逃さず、シャノは無防備になった彼の首にガブリと噛み付いた。
「いっ!?」
皮を破って、肉まで食い込む痛みが奔る。思わず苦い声をあげるが、シャノは辞めなかった。それどころか、そのまま噛みちぎる勢いで顎を閉じようとした。
「んっ、んっ」
「お前、まじで痛いって」
引き剥がそうとするが、シャノは動かない。小柄な体からは想像もできないような力でレオを押えている。
「ん、ぐむっ」
ようやく離れたかと思えば、今度は反対側に首を噛んだ。白い歯が肉を貫き、血を吸い出す。血を吸われる中、レオは先程噛まれた箇所に触れる。視覚で確認は出来ないが、触れた瞬間にぐじゅぐじゅとした痛みが走った。手を掲げると、指先に血が着いていた。
「あ……んむっ」
「いっ……」
噛み終えたかと思ったのもつかの間、シャノは今度は鎖骨辺りに歯を突き刺した。硬い骨に、シャノの歯がくい込み、ミシミシと音を立てる。
噛みつきが病む様子はなく、胸、肩、腕と、シャノはレオの体の部位に順に歯型をつけていく。暴力的で肉食的な彼女の行動は、痛みに悲鳴をあげているレオに更なる痛みと、そして刺激を与えた。
次に口を離した時には、彼女の歯が若干赤みを帯びていた。
「…………ちょっとは、あたしのことも考えてよ。あんたが死んだら、あたし、一人ぼっちじゃん」
「シャノ」
「ちょっと考えれば分かることじゃん。なのに、なんで分かんないの……あたしを1人にしないって、言ったじゃん、馬鹿なの、あんた」
変わらず憤怒するシャノ。だが、その表情には悲しみがチラついていた。
シャノは、ずっとレオと一緒に生きていた。育ての親でであったあの人が死んでから、ずっとレオと共に生きてきた。生きるために、手を汚したこともあった。時には罪悪感で、押し潰されそうにもなった。けれど、レオが一緒にいたから、それも乗り越えられた。お前を1人にしないという言葉を信じた。
なのに彼はどうか。自分の命は自分のものだ、だから勝手に生死も決めていいと言ってきた。その言葉はシャノにとっては裏切りであり、怒りを湧かせて首を絞めるには十分な理由だった。
「……悪かった。ほんの軽い気持ちで言ったことだ。悪気はない」
「ふざけんな、だったらもっとタチが悪い、死ね」
「じゃあ、どうすりゃいい」
「…………今日1日、あたしに食われろ」
そう言うと、シャノはレオの手を離し、急ぎ気味でタンクトップを脱ぎ捨てた。小柄ながらに、十分な大きさを持つ2つの膨らみが零れる。
「あたしを置いてこうとしたことを後悔させてやる。もっと噛み跡をつけて、あんたにあたしを刻み込んでやる」
シャノはレオに顔を近づけ、唇を押し付ける。男女が愛し合い、行うようなキスではない。唇をこのまま噛みちぎる勢いだ。
「んっ、はむっ、んんっ」
舌先をねじ込ませ、歯茎を撫でる。歯の一つ一つの垢を舐めとるように、赤い歯茎を擽っていく。それが終われば、今度は歯をこじ開けて中の舌を蛇のように絡める。寝起き特有の臭い唾液が、2人の口内と鼻腔に拡がった。
「んっ、んんっ」
レオを喰らい、唾液という前菜を味わいながら、シャノは体を揺らしていく。ショーツ1枚の彼女の体は、裸姿の彼の体に直に伝わる。肌と肌が擦れ合い、包帯を巻かれた箇所も擽る。乳の先に着いた乳頭が、彼の体を這うように擦り付けられた。
「んん、ぷは…………この、変態」
シャノは罵倒する。噛み付いて傷つけて、キスも無理やりやったというのに、この男は、あろう事か興奮をして、雄の象徴をおったてている。なんて変態なんだ。命をかけすぎてとうとう性欲まで狂ったのか。ありったけの罵倒を浴びせながら、シャノは下着越しにおったった肉の棒を臀の谷間で挟み込む。固く勃起したペニスは、その熱をシャノに伝える。血液の充血した熱さが、シャノにも性的な興奮を与える。
「うあ、お」
「はぁ、はっ……あ゛っ、は」
レオに跨るシャノの裸体が仰け反る。仰け反った体は天井を仰ぎ、彼女の小さな喉仏が姿を見せる。絞めればポッキリと折れてしまいそうなその首に、レオは噛み付きたかった。だがまだ彼女のターンであり、レオはその衝動を何とか抑えた。
そんな彼の気持ちなど知らずに、シャノは発情期の猫のような声を上げてよがる。ペニスの上側を擦る度に、彼女のケツ穴までもがひくひくと反応を示した。
「ちっ、邪魔」
それを遮るショーツを鬱陶しく思ったシャノは、興奮に任せてそれを引きちぎる。古く、脆かった拾いものを着ていたおかげか、破るのにそれほどの力はいらず、彼女の熟成中の秘部が露わになる。剃る道具もろくにないため、整えられていない毛が無造作に生えている。その奥には、シャノの体の性別を証明するものが潜んでいた。
レオもまた、自分の下着を疎ましく思い、蹴りあげるように脱ぎ捨てた。脱げた瞬間、レオのペニスが現れ身を振るう。ぺちんとシャノの臀を叩くと、彼女は思わず嬌声を上げた。何を思ったのか、シャノはレオに臀を向けるような姿勢に切り替えた。レオの目の前にシャノの毛深い鮑が突き出される。
シャノは、犬がご褒美を目の前にしてヨダレを垂らすように、荒い息を吐いていた。
「……はむ」
シャノは息を飲み、目の前で反り立つペニスを食らう。そのまま噛み切る勢いで、ペニスを根元まで咥え、歯で挟み込んだ。突然の痛みに、レオは苦い表情を浮かべた。身体中に傷を負って、さらには噛み跡までつけられたというのに、こいつは陰部にまで傷をつけるのか。膿んだらしばらくやれねえし、俺までオナニーできねえんだぞ。そう罵倒するレオだが、シャノは無視を決め込む。頭を上下に動かし、皮を剥ぐ勢いでペニスを蹂躙する。唇と竿の隙間からもらた唾液が外へと垂れ落ちる。
「ん、んんっ、んちゅ、ぢゅるっ」
時に舌肉を動かしては、ペニスを1回2回と撫でる。吸音を鳴らして、唾液をよりつけようと藻掻く。たが、レオも負けてられなかった。
「ふぐっ、んむっ……ん゛んっ!?」
レオはシャノの桃のような尻肉を掴み、左右に開かせると、陰毛に隠れた縦唇に口付けを交わす。汗で蒸れた陰部は酸味が強く、しかし確かな弾力を彼に返した。
レオは貪った。唇を恥丘に密着させて、じゅるじゅると柑橘系の果物を搾るように吸い付く。
膣穴を見つけると、舌先を伸ばして穴の中へと挿入させていく。まずは周りの陰部の輪郭をなぞり、尿口をつつき、それから膣穴へとねじ込んだ。
「んんっ! んぁっ、んふっ!」
生暖かい肉舌が膣穴で暴れる。畝り動く異物感にシャノはペニスを含んだまま悶える。桃のような臀が左右にフリフリと揺れる。レオは試しにぺしんと叩いてみると、シャノは喉を鳴らして悲鳴をあげた。
「んぢゅっ、ぢゅるっ、ぢゅるるっ」
唸りながらも、シャノは竿を喰らい続ける。苦い汁が溢れ、彼女は頭を揺らしながらそれを飲み込む。時々噛んでは、痛みに跳ねるレオを見て悦んだ。
やがて、ペニスが熱く膨らみ始める。噴火を間近に控えるような感覚がレオを襲い、シャノはさらに速度をあげる。
──びゅるるっ! ドピュッ! ドピュッ!
「ん゛ん゛ん゛ぅぅぅっ!?」
瞬間、レオのペニスからマグマのようなザーメンが噴火した。灼熱を帯びたそれは、シャノの口内に迸り、頬に溜まろうとするだけでなく、喉奥にも流れ込んだ。
それと同時に、シャノの膣穴と尿口からも愛液と潮水が噴き出す。潮水は軈てチョロチョロとした排尿へと変わるが、レオはその全てを啜り飲んだ。ごくっごくっ、と喉を鳴らして、シャノのお漏らしすらも飲んでいく。
負けじとシャノもザーメンを必死に嚥下していく。死の淵に立たされたせいか、レオのザーメンはいつもよりも多かった。こいつの苦くて臭いこの味が、シャノは大好きだった。飲み込むごとに、蕩けるような喉越しが彼女の頭を性一色に染めていく。
「んぶっ……はぁ」
お互いの口が苦さと酸っぱさに包まれる中、シャノはペニスを口から抜いて起き上がる。一瞬、尻肉がレオの顔全体を覆い、直ぐに解放される。シャノは残ったザーメンを喉を鳴らして飲み込むと、姿勢を変えてレオと向き合った。黒い瞳はどんな光も跳ね返さないほどに暗く、レオの姿すら映さない。
「ほら、なにのびてんの。まだまだこれからなんだから、さっさとチンチン勃ててよ」
シャノは目の前で萎えるペニスを掴み、ぐにぐにと嬲る。唾液で濡れ濡れになった肉の棒を、細い指先の輪で上下に扱いて圧迫する。早く勃てと高速で、ぺちぺちと頭を跳ね揺らす。すると、圧迫感を受けたペニスは再び硬さを取り戻し、その身を勃起させた。
「出したばっかのくせに、変態」
「お前がやれって言ったんだろ」
「絶倫お化け」
「ふざけんな、やめるぞ」
「どうせすぐに調子に乗って、あたしが潰れるまでやるくせに」
「癇癪野郎」
「うっさい、死に急ぎバカ」
罵倒をぶつけ合う両者、だが、2人の陰部は既にその気であった。
シャノは膝立ちになり、股下にあるペニスを手で支えながら、尖端を肉唇にあてる。尖端と唇がキスを交わし、お互いの体液を擦り付け合う。
シャノは腰を下ろし、ペニスを膣穴へと押し込み、呑み込んでいく。呑まれるペニスは、幾度も味わった彼女の肉器の圧の快楽を思い出し、その快感を全身へ伝播させる。レオは思わず咆哮をあげそうになってしまう。
「んぁ、ぁぁっ」
長い肉道の中へ彼のものが収まる。最奥まで届いた状態で、シャノは腰を揺する。ぬるりと愛液がペニスを滑らせ擦り合う水音が早くも響く。埃を被った狭い部屋の中でシャノの高い喘ぎが振動する。
「はぁ、あっ、あんっ、んぁ゛」
濁った声を漏らして、しかし腰の動きは一定のリズムを刻む。彼女は昔から見様見真似で彼と交わってきた。他者のセックスなど、微塵も興奮しないし、混ざろうとも思わない。薬物の影響で歪になったペニスなど、吐き気を催す。それを咥える女なんて、正気とは思えない。
だから、自分は絶対にレオのものしか受け付けない。他者に犯されるというのなら、舌を噛み切って死んでやる。彼女はそう思いながら彼のものを下の口で貪る。
「ああっ、あっ……あぁんっ、ん゛ん」
媚肉に生える無数の舌がペニスに吸い付き、シャノの動きに合わせて圧を変える。腰が上に引かれれば隙間を作らせないために収縮し、下へ降ろせばより引き込み易いように肉道を弛緩させて呑み込む。その繰り返しをさせることで、シャノの肉器はレオの雄に快感を与えているのだ。
「はぁんっ、ほら、勝手に1人で気持ちよくならないっ!」
シャノはいきなり円を描くように腰を動かす。レオの腹部を強く圧迫しつつ、尻肉を躍らせる。当然膣に喰われたペニスは巻き込まれ、硬い身を無理やりあらぬ方向へと反らされる。レオは一歩間違えれば激痛に変わる快感に善がり、呻きを上げる。両手で彼女の胸を掴もうとするが、快感に手がだらけてしまう。
シャノは脱力するレオを軽蔑するかのように細めた黒目で睨む。本当はそんな気はないのだが、一方的に屠られる彼の姿に一種の優越感を感じているのは確かだった。
尻肉が一周する度にペニスはぎゅるりと音を立てる。それでも無数の襞は彼のものを離さずに吸い付き続ける。
「んぁ、ほら、なに喘いでんの……んっ、男のくせに喘ぎなんてして、キモチワルイ、ぃく……ん゛」
「お前、く……人を罵倒しねえと生きられねえのか」
「いぃ゛っ……んふっ、んんっ、んぁぁ!」
そうは言うが、シャノの表情にも余裕が無くなってきた。彼女もまた、性の快感に善がり始めたのだ。尖端は彼女の敏感な箇所を突き上げ、押し潰そうとする。いつの間にか結合部からも多量の愛液が漏れ始めていた。早く出せと愛液が急かしているようにも見えた。
「くっ、シャノ……出る……」
じゃあどうするか、そんなもの決まっている。シャノは応えるように、彼の咆哮の先を読んで腰を深く下ろした。
──びゅぶるるるぅぅ! ドピュッ! ドピュルルルッ!!
「んぁぁぁ゛ぁ゛ぁ゛っ!!」
尖端から2度目のザーメンが放たれる。今度は下の口で、白濁色の塊が灼熱を帯びて膣内を駆け上がる。ペニスと膣の隙間から外へ漏れ出そうとするものもいれば、シャノの遺伝子と結びつこうと奥へ進むものもいた。
シャノの媚肉は肉動を続け、ペニスをザーメンポンプへと進化させる。これ以上は出せないと言わせる暇など与えず、刺激を与え続けてマグマを搾り続けていた。
「…………ぁ」
罵倒のひとつでも言ってやろうとしたシャノだったが、絶頂とペニスから放たれた体液の熱に放心状態になり、黒目を白目に変えていた。背中は仰け反らせたまま、ゆっくりとレオの体に倒れ込んだ。
レオは気絶しかけるシャノを体から退かしてうつ伏せに寝かせる。ぬるりとペニスが抜かれると、シャノの肉唇から新鮮なザーメンがゴポッ、と音を立てて漏れ出した。マットレスにまで染みてしまうため、本来なら粗悪品でもコンドームの1つでもしなければならないのだが、今日のレオもシャノも、そんなつもりはなかった。
レオはシャノの体に覆い被さる。花弁を左右に開かせると、垂れるザーメンの量が増えた。彼はお構い無しに萎えたペニスを縦唇にあてがい、尖端を挟さみ込ませる。
初めてシャノを抱いた時、レオはまず道具を使って穴の中を解した。そうしなければ、シャノの体が壊れてしまう可能性があったからだ。彼女はレオのモノで解して欲しいと訴えており、血の通わない冷たい道具で開通させられたことを、彼女は今でも根に持っている。
しかし、幾度の行為のおかげか、シャノの穴はレオの物を受け入れるのに十分な柔らかさを持ったものへと変わっていた。
シャノの桃尻を平手打ちする。シャノはビクンと体を跳ねさせる。呻き声をあげているが、脱力しているせいで抵抗をする様子はない。レオはさらに白桃を叩く。ぺちん、ぺちんと、気持ちの良い音が鳴り響き、真っ白だった彼女の臀は真っ赤に腫れていく。
そして、ようやく興奮を取り戻したペニスを持って、レオは再びシャノの膣穴へ挿入していく。今度は勢いをつけて、叩きつけるように。
「んいぃぃっ!?」
シャノの口から高い奇声が飛び出す。気絶しかけた意識にとって、敏感な箇所へのペニスの一撃は銃弾以上に痛覚に効いた。
「シャノ! おら!」
「んぃ゛っ、ふぎゅっ! ふぐぅ!」
間髪入れずに、レオは腰を振る。腰とマットレスの間にシャノを挟ませ、押しつぶすように叩きつける。十分に解れた膣道は、彼女の意志とは無関係にペニスを受け入れ、再び締め付けた。
「んぉ゛っ、はぐぁっ、んぃ゛ぃ!」
絶頂したばかりのシャノの体に、容赦なく次の快楽が押し寄せる。脳は白く焼けているため、快感への処理が追いつかない。そのため、小さな絶頂が何度も繰り返され、レオが腰を叩きつける度に潮を噴き出していた。
「ふっ、ふぐっ、いぃっ!?」
そしてレオは、ずっと噛み付きたかった物に噛み付いた。彼女の首はじんわりとした熱を持っていた。歯は白い肌にくい込み、肉まで到達する。レオは流れる血をチュウチュウの吸血しながら、腰振りを続ける。
あまりの痛さにシャノは体を必死に悶えさせた。だがレオは全身を乗せることでそれを押え、さらにもう反対へと齧り付く。盛りの着いた雄猫が雌猫にするように、彼は彼女の首に容赦なく噛み付いた。
「い、いた゛っ、あがっ、ふごっ」
しかし、痛いはずだが、同時に快感まで体に伝播する。シャノは痛みと快楽に痺れながらマットレスに顔を埋める。こうでもしないとこの刺激に耐えられないからだ。
レオの腰がぶつかると、シャノの尻肉が波を打って震える。互いに流れる汗がマットレスに染み付く。シャノはやっとの思いで動かした両手を頭の横に移動させ、何とか頭をあげる。それをレオは逃さなかった。
「ぐぎぃっ!?」
レオは両手をシャノの首元へと伸ばし、ぎゅうっと音を立てて絞める。
「がっ、かっ……ぁ……くぁっ」
突然の行動にシャノは手で彼の手を掴む。だが、レオは離すどころか、指の間接一つ一つを折り曲げて首元にめり込ませていく。気管が塞がれ、シャノは呼吸が困難になり、歯を食いしばりながら苦しい声を上げる。軈て酸素が足りなくなると、口を開いて舌を出しながら涎を垂らす。目は見開きながら苦しみに喘ぎ、涙を溢れさせる。
勿論、レオも本気でシャノを殺すつもりで絞めているわけではない。鬱血しない程度に力は加減しているし、彼は義妹のシャノを殺すなどという気持ちは欠片もなかった。ただ、こうすることを彼女は望んでいた。彼女にとって、死と隣り合わせな生活を送る中、首を絞められながら犯されることで、生きていることを実感できるのだ。現に、シャノの手は彼のものを引き剥がすどころか、もっと絞めろと首元に押し付けていた。
「ぐぁ…………うおぉぉっ…………!」
レオは体を浮かせ、腕をぴんと伸ばして首を掴んだまま仰け反る。そうなると、自然とシャノの体も反らされ、無理やり頭を上げさせられる。ぎゅうっと指がより首を絞める。
──びゅるるるるっ! びゅぐるっ!
「お゛ぉぉぉぉっ!?」
腰を深く密着させ、尖端を子宮口へと刺し入れると、ペニスは早くも第3射を放った。今度は確実に、部屋の中へと白濁色の遺伝子を流し込む。数億匹の蛞達が、ミトコンドリアを極限まで消費しつつ、彼女の卵巣目指して鞭毛を振るう。
蠢き暴れる子種に、シャノは苦しみながらも快楽に浸った。
「かっ…………かはっ」
手が離され、シャノは放心するようにベッドへ顔を沈めた。破裂しそうになった頭に空気を送り込むため、肺いっぱいに酸素を取り込み、ヒューヒューと息を吐いた。
レオがペニスを引き抜くと、先よりも多いザーメンがどろりと膣穴から垂れ落ちる。最早このマットレスは使い物にならない。
レオはシャノの体を動かし、仰向けにさせる。意識の朦朧とした彼女の黒い目は虚ろで、何も見つめている様子はなかった。
「シャノ…………」
レオは体を重ねると、半開きになった彼女の口に舌を捩じ込んだ。シャノは屠られるがままに舌肉を巻かれ、塒を巻かれる。
「……まだイケるか?」
レオの問いかけに、シャノは無言で、しかし小さく頷いて返答した。
◇◇◇
「お゛っ、ぉ゛、おお゛ぉっ」
レオは立った状態で、シャノの体を持ち上げながら腰を振っていた。互いに向き合いながら、シャノが彼にしがみつき、腕と脚を腰に絡める。レオは彼女の足下に腕を通して桃のようにピンク色になった尻肉を抱えながら腰を揺らす。シャノの重みがレオの股間部にずっしりと伝わり、ペニスはより奥へと侵攻している。
「おっ、あぁ゛っ、んぉ゛ぉ……!」
腰を引いてペニスがずるりと抜ける度に、結合部から2人の愛液と精液が混ざった体液が床へと落ちる。その量は多く、埃の被った黴臭いカーペットに大きな水溜まりを作ろうとしていた。2人の体から滂沱する汗までもが、互いの体を移りながら下方へと伝え落ちて、最後はシミになる。
シャノは先までのレオを捕食しようとした獣の様子から一変して、今は彼から一方的に突き上げられる性的な少女へと変わり果てていた。ただペニスの尖端が膣内の敏感な部位を突き上げるのを、共に動いて喘ぐのみだった。
「しゃ、くっ……!」
「おぐっ、れ、んぁ゛ぁっ!」
レオは呻きながら腰を前後に動かし、シャノは流れに身を任せて上下に揺れる。愛駅に濡れた太いペニスが湿り気のある卑猥音を立てながら膣内を穿ち、肉襞を抉り出す。シャノは敏感な部位を容赦無く押し潰される快感に、涎を垂らしながら浸る。
「う、あぁぁぁっ!」
──びゅぐんっ!
「んぁ゛…………!」
パチンと尻肉が弾ける音ともに、尖端が軟らかなポルチオをコツンとノックし、多量のザーメンを注ぎ込む。シャノが絶頂に浸る間もなく注がれるそれは、濁流のように子壺へと溜まり、腹部内を白濁に染める。
ペニスが脈動する度に、シャノは全身を跳ねるように痙攣させた。彼のものを深くまで味わおうと手足をきつく組む。黒い瞳は虚空を見据え、全身に巡る悦びに脳内が焼き切れる。
◇◇◇
「ふぐっ、あ゛っ、あぁっ! んぉぉ……」
レオはシャノを壁際に追い込み、両手を壁につかせて臀を突き出させ、立った状態で後ろから彼女のくびれた腰を持って腰をぶつける。複数回ザーメンを排出したはずのペニスは萎縮するどころか、硬さを増してシャノの媚肉を嬲っていた。
シャノは少女の姿とは離れたよがり声を洩らしていた。精神的に快楽に堕ちた彼女は、最早余裕の喘ぎ声など消えていた。バックで腰を打ち付けられ、臀の肉をぷるぷると震わせながら、1種の生物とかしたペニスからの求愛に身を任せる。
「シャノ、どうだ……!」
「ぉ、い、イグっ、お゛ぉ、ぉ゛、お゛っ、んぐぅ゛!」
レオは只管腰を振り、シャノの体を突き刺す。目で確認できない彼女の肉器だが、彼の猛々しいペニスが啄むことで、その形を想像することは出来た。狭くてみっちりとしていて、かつ肉道は長め。途中途中に輪っかのような疣の群れがあり、それがペニスをきつく締め付ける。1度挿入すれば根こそぎ引きちぎる勢で吸着し、ザーメンを一滴も残さずに搾り取る。それがレオが感じたシャノの肉膣だった。
「お゛っ、お゛っ、あっ! あぅ! あぁ゛っ! ン゛ァァ゛」
ぱちゅ、ぱちゅ、という肉音に合わせてシャノは喘いだ。項垂れながら光のない黒い瞳を涙でうるませ、舌先から唾液を落とす。もう1時間ほど、立った状態でやらされている。しかし倒れようとしてもレオの手が止めてしまうため、足は限界まで震えていた。
「シャノぉ…………!」
──ドヒ゛ュッ! ドヒ゛ュッ! ドヒ゛ュルルッ!
「ぁ゛ぁぁぁぁ〜…………」
ペニスが脈を打ち、ザーメンを吐き出す。もういい加減入り切らないと訴えようにも、彼女の肉器はもっと寄越せと要求するかのようにザーメンを搾り出す。
レオは耐えきれず、彼女の首もとにまたもや噛み付いた。シャノは感度が高くなった肌に走る痛みと快感に膣肉をより収縮させ、ペニスを絞め包み、残滓のザーメンすらも搾り取った。
◇◇◇
「ふぐっ、むぐっ、んぐっ」
昼間になり、腹の虫が鳴き声を上げだす時間帯。だが、シャノとレオは未だセックスを辞めていなかった。室内は既に2人の熱気によってジメジメと湿りきっており、生臭い臭いが立ち込めていた。
今は仁王立ちをするレオの股間部に、シャノが顔を埋めてペニスを咥えていた。幾数回も彼女の器に射精した彼のモノは、赤黒い体を愛液で潤満させており、シャノは唇を尖らせながら禍々しいその身の汚れを舐めとっていた。
レオの雄臭い陰毛が時折鼻腔に入り、意識が飛びそうになるシャノ。だが、彼女の身体はザーメンを求めて身をよがらせ続けていた。最早、彼女の心と体は半分離状態にあった。
「おごぅ、んぢゅっ……ぢゅるるっ、ぢゅるっ!」
喉奥に尖端が入り込み、シャノは嗚咽を洩らす。だが頭は動きを止めずに前後運動を繰り返す。彼女の口とペニスの隙間から体液が溢れて床へと落ちる。落ちたそれはカーペットに染みることなく弾けた。
シャノの味覚は完全に麻痺していた。今口内に溢れる体液が、精液なのか、カウパー液なのか、汗なのか、唾液なのか、区別すら付けられない。ただ酸っぱくて苦いその全てのものが、彼女には美味に思えてしまう。
「くっ……」
「むがっ!?」
レオは苦顔を浮かべると、シャノの頭を掴んで自身の股間へ無理やり密着させた。
──びゅるるるるるっ!
「んぐぉぉぉ゛゛っ!?!?」
およそn回目のザーメンが彼女の口内へと放たれる。睾丸から這い上がった蛞は尚も数を減らさず、白濁色の濃さを残したまま彼女の喉を通っていく。シャノは無理やり突っ込まれたに尖端のせいで息が上手くできず、流れてくるものを只管飲み込むしかなかった。
「んぐっ…………ふごっ…………」
意識が白く染まりそうになるなか、シャノは精液を飲み続ける。苦味の強い濃厚なザーメンが彼女の胃袋へ零れ落ちて溜まっていき、内側から体を白濁にしていく。レオは白目を向きそうになりながらもペニスを舌先で舐めるシャノに興奮し、腰をぶるりと震わせながら排尿をした。シャノは黒い瞳を戻して驚愕したが、逃げ出すこともなく受け入れた。
「うっ…………おぇ、げほっ! げほっ!」
ペニスが落ち着きを取り戻したところで、シャノはレオから頭を離して思い切り咳き込んだ。逆流したザーメンと尿が咳と共に吐き出されて床へと吐き出される。嘔吐されたそれらはべちゃりと音を立てた。
「はぁ、はぁ……シャノ、ほら」
レオは飛びそうになる意識を何とか保ちながら、食料を貯蔵している鞄の中から飲料水を取り出し、彼女に差し出した。シャノはひったくるように受け取ると蓋を開け、両手で掴みながら逆さまにさせた。
「んっ……んっ…………!」
大きく開かれた彼女の口の中へ、ボトルの細い口部分から飛び出した透明な水が注がれていく。シャノは食道にへばりついたレオの体液を洗い流すように、胃の中に溶け落ちたザーメンと尿を中和させるように、豪快に喉を鳴らしながら水を飲み込む。あまりの勢いに口端からも溢れ出した。
そんなシャノを見ながら、レオは暫しの休憩に入ろうと床にへたりこむ。だが、休む間もなくシャノが彼に覆いかぶさり、唇を押し付けて口内の水を流し込んだ。自身のモノを包み込んでいたのもあって、彼女の口内は言葉で表現できるような味ではなかった。が、レオは拒否することなくそれを受け入れ、流されるシャノの液体を飲んでいく。
ゴクリ、ゴクリという音は、軈て舌と舌を絡める粘着音へと変わり、2人を再び性的興奮へと導いた。
◇◇◇
「ふっ、ふっ、はぁ……!」
「あ゛、あ゛っ、あ゛っ、あ゛っ、んぉ゛っ」
昼食を口にせずに続けてからさらに数時間。
交わってから、もう何時間経つのか分からない。シャノから誘い、襲いかかった行為は、いつの間にかレオの一方的な攻めへと変わっていた。何十回と出したというのに、獣としてのスイッチが入ったレオは今もシャノの女体を求めて喰らいついている。シャノの目は虚ろを通り越して視点があっていない。ただ身体に奔る刺激に喘ぐだけだった。
彼の体は今、仰向けになった彼女の体をマットに挟む体勢で、彼女をプレスするかのように何度も腰をぶつけている。ただでさえ古いベッドが軋みという名の悲鳴をあげようがお構い無しに、レオは己の肉浴のままにシャノを押し潰している。シャノもまた、彼の欲求に答えるように喘ぎ、膣肉を引き締めていた。
──どびゅるっ!
数えることすら忘れてしまったレオは、深く腰を打ち付けた。シャノの子壺は既にレオのザーメンでパンパンになっており、入り切らない分が結合部から逆流して漏れ出している。人間を通り越した獣のような射精量に、シャノは意識を朦朧とさせるだけだった。
ぬぷりと引き抜かれたペニス。膣穴から漏れ出るザーメン。だが、シャノの目には、自分を求める赤黒い狂気が映った。
「あっ……あ……」
もう限界だ、今日はこれくらいにして、これ以上は壊れる、分かったあたしが悪かった、だからもう休ませて、あんたどこまで絶倫なのよ、この獣馬鹿、変態クソ野郎、一変死ね……シャノは数々の言葉を発しようとするが、枯れた喉からは呻き声しかわかなかった。動物としての本能から危機を察知したシャノは、うつ伏せで這うように逃げようとする。
「あがぁっ!?」
だが、当然レオがそれを逃すはずもなく、シャノの首元に鋭い歯が食い込まれた。雄猫が交尾の際に雌猫の首を噛むように、彼は彼女の首を噛みつつ、挿入させたペニスを無慈悲に動かす。
「おこ゛っ、ん゛ぉ゛ぉ゛っ、オ゛ッ、オ゛ッ! オ゛ッ!」
背中を体重で潰されながら、シャノは首の痛みと肉器の悦びに汚い嬌声を上げる。もし黒い瞳に光が宿っていたとしたら、彼女は今頃、その目にハートマークを浮かべていたかもしれない。それほどまでにシャノは快楽に潰されているのだ。
いつの間にか、レオの体に巻かれていた包帯から赤い血が染み出していた。傷口が開き始めているのだ。だが、彼は構うことなく体を揺さぶり続ける。全身から噴き出す汗が傷口にしみようとも、彼は彼女の体をまさぐり、手の平で胸を揉みしだく。彼もまた、思考回路を焼き切らせたセックスマシーンと化していた。
「お、いぐっ、いぐっ、いぐっ、い゛く゛っ」
細かな絶頂で潮を吹いていたシャノ。大絶頂の前の穢れた喘ぎに、レオはさらに深く歯をめり込ませる。歯が沈む白い肌から赤い血が滴る。
「いく゛、いく゛、いく゛……い…………ぐぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」
シャノは目を見開いて穢らわしい絶頂声を響かせた。室内に蒸れかえる水気を通して、彼女の声は部屋中に響き、壁を震わせた。
──どびゅるるるっ!
そしてまたもや放たれるレオのザーメン。ふやけてもおかしくないほどにシャノを犯しているというのに、彼の獣は硬さを保ったまま、シャノの締まる肉襞を掻き分けて奥のポルチオとキスを交している。パンパンに膨れた子宮にさらに流されたザーメンは、当然入り切ることはなく、膣口の隙間から溢れ出していた。
「ぉ…………ぁ…………」
ペニスが脈を打つ中、シャノは小刻みに震えながら呻いた。レオはシャノの背中に被さりながら、彼女の耳朶をしゃぶり、その熱と味に白く茹で上がった脳味噌を沈ませた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
黒くくすんだ廃墟の群れは、人の行く道を迷路のようにいり組ませていた。この街は、繁栄していた過去の時代に取り残されるように、世界の影を担っていた。
一人の女性が、2人の子どもを抱えながらその街を歩いている。歩くというが、その姿は痛々しいものだった。ボロボロになった服には無数の穴が開き、穴からは赤い体液が染み出し、血の足跡を作っていた。頭部からも口からも血を流している。そんな彼女の姿を見ながら、少年は女性を心配するように、少女は目の前の現実が信じられないような眼を向けていた。
曇天から零れる雨が街中に降り頻る。女性は2人を庇いながら歩く。絶えそうな息を必死に繋げながら、高い建造物に造られた路地裏に入った。途中で突き出た部分が屋根代わりになっているためか、そこには雨が降っていなかった。
女性は壁に背中を預けると、その場に座り込んだ
『おい、マム』
少年は立ち上がり、彼女の体を揺する。彼は彼女のことをマムと呼んでいた。実の母ではないが、拾われた時から名前を教えてはくれなかった。だから、仕方なくマムと呼んでいた。
『なんで、あんなことしたんだよ……あんなの、マムなら普通に死ぬって、分かるだろ』
少年は彼女のことをマムと呼ぶのが嫌だった。母親でもないのに、どうして呼ばなければならないのか、というのもあるが、そもそも少年がマムをあまり好いていなかったのもあった。
拾われた時から、マムは裏の世界に生きるための全てを少年と少女に叩き込もうとした。そのため、いつも高圧的で暴力的で、何度殺されかけたか分からない。少年はいつか彼女を殺してやろうと思ったこともあった。
そんなマムは、裏の世界ではかなりの強者だった。なのに、彼女は今日、その身を銃弾の嵐に晒した。2人を守るために、避けられるはずだったものをあえて受け止めた。2人さえ捨てていれば、マムは今頃奴らを皆殺しにも出来ていたというのに、マムはそうしなかった。いつも俺たちを殺そうとするような躾をするくせにと、少年は不思議でならなかった。
マムは何も言わず、痛みに唸りながら、ふっと笑った。少年にとって、常にポーカーフェイスだった彼女が笑うのは初めて見た。
『おい、何笑ってんだよ……早く、ヤブ医者でもいいから、傷口、見てもらえよ』
少年は彼女の体を運ぼうと引っ張る。それを見て、彼女にしがみついていた少女も手伝うように手を引っ張ろうとする。だが、動かそうとすればするほど、彼女の体から血が流れ、雨に濡れる地面に広がっていく。
マムは2人の手を振りほどき、このままでいいと伝えた。
『何言ってんだよ! 死ぬんだぞ! お前! 死ぬんだぞ! 分かんねえのか!』
少年は怒り叫んだ。叫びは建物の隙間に木霊したが、雨の音で直ぐに掻き消された。
そんな雑魚じゃ早く死ぬだの、お前は死んだ方がマシだの、あれだけ散々人をコケにするようなことばかり言ってきたくせに、言った本人がこんな死に方をするなんて。
だが、マムは笑った。もう時期死ぬことを悟った彼女は、今まで2人に見たこともない満面の笑みを浮かべていた。細めたサファイアの色をした瞳が、少年の姿を反射している。
彼女が2人を拾ったのは、今思えば興味本意であったのかもしれないし、単に寂しいから誰かを傍に置いておきたかったのかもしれない。けれど、どちらにしてもマムにとって2人は庇うに値する存在になっていた。
『おい、目ー開けろよ。まだ教えて貰ってねえことあんだろうが』
少年は涙を流しながらマムの肩を揺さぶる。マムの顔色はどんどん青くなり、唇も赤みを失う。瞼を閉じて、細い呼吸をするのみだった。
マムは、掠れた声で何かを言い始めた。少年は必死に聴き取ろうと、その唇に耳を近づけた。
──…………私は…………シャム…………
──レオ……シャノを…………守れ……
──いつか…………明るい……世界に…………
その言葉を告げた後、笑顔のマムの口から呼吸音が聞こえなくなる。胸の動きは止まり、閉じた瞼が開くこともない。両手は力が抜けて地面に投げ出される。頭はがくんと前方に項垂れる。
少年は全てを察した。これが、初めて味わう身近な人の死。胸の中を掻き毟るほどにぐちゃぐちゃで、叫びにならない怒りと悲しみ、マムを殺したヤツらへの憎しみが込み上げてくる。しかし、少年は呑み込んだ。呑み込み、必死に感情を抑えた。
『…………レオ。マム、起きないよ』
少女はマムの体を揺らし続ける。目を覚ますはずもない彼女の体を、起こそうと必死に揺らす。
『死んだよ……もうマムは死んだ』
『でも、マムはここにいるよ?』
『それは死体だ。なんにも入ってない肉の塊、マムじゃない。マムの形をしてるけど、もうマムじゃないんだ』
少年は淡々と話した。しかし少女はマムから離れようとせず、瞳を彼に向けた。微かな光をはね返していた彼女の黒い瞳は、全ての光を吸収するかのように漆黒に満ちていた。
少女にとって、マムは母親のような人だった。少年以上に彼女のことを好いていた。なのに、彼女はもう目の前にいない。肉体はここにあるのに、どうしていないのか。今の彼女には、到底理解できないことだった。
『いくぞ。俺たちは生きなきゃならないんだ。これからは、2人だけでな』
少年はそう言ったが、少女は首を横に振ることもせず、ただじっと彼女の傍から離れようとしなかった。少年は彼女の手を掴んで立たせようとするが、意地でも動こうとしなかった。
『レオ、なんでマムは死んだの?』
『…………』
『あたしのせいで、マムは死んだの?』
『……いや、違う…………マムが死んだのは、誰のせいでもねえ』
俺らを庇って死んだ、なんてことは言えなかった。俺はシャノを守らないといけない。だから、シャノのせいで死んだなんてことは、絶対に言ってはいけない。
『シャノ、これからは俺たち2人で生きていくんだ。俺も、マムの分までお前を守る。お前を絶対に1人にしない。だから、マムを離してやってくれ』
少年は膝をつき、少女に向き合う。
『……お墓、マムのお墓…………作ってあげようよ。じゃないと、マム……寒がっちゃうよ』
『……ああ、そうだな』
少女はようやくマムから手を離すと、少年に抱きついた。抱きつき、抱きしめた。
雨が降り頻り、ザーザーとした音が街を包む中、少年の耳には、年端も行かない少女の泣き声だけが聞こえていた。少年は、ただ口を噤んでいた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
レオが目を覚ましたときには、外は既にオレンジ色から夜の紺色に染まりかけていた。窓ガラスから入り込む光は、朝とは違った優しい色で彼を照らしている。外からは、この街に蔓延る者達の怒声と奇声が聞こえてきた。相変わらず、裏の世界の野郎達が元気そうでなによりだと、レオは呆れたため息を吐いた。
「…………いって」
レオは身体を起こそうとするが、節々に奔る痛みのせいできなかった。どうやらシャノとの行為で至る箇所の傷口が開いてしまったらしい。
「まあ、あれだけ激しくやってればな」
時間からして、ざっと10時間くらい、彼らは交じりあった。朝食も昼食も食わずに、よくもまあここまでやったもんだと、レオは自分の性欲の強さに呆れつつ、ナイフで切られた腕を確認した。
が、その包帯に血は染みておらず、新しいものに替えられていた。なんだと思い、レオは痛みに耐えながら体を浮かせると、体の至る箇所に巻かれていた包帯が交換されていた。ご丁寧に、シャノに齧られ、血が流れていた箇所にも真っ白な包帯が巻かれていた。
「なんで……」
そんなこと考えなくても、誰が替えたかなんてのは分かりきっていた。
「…………んっ」
レオは自身にくっつくように眠っているシャノに目を向けた。今朝目を覚ました時と違い、黒い瞳は閉じられ、少女のような寝息を立てて眠っている。レオの齧った箇所には、同じように包帯が巻かれていた。
「これは、思わぬ出費をしちまったな……包帯だって安くないんだけどな。やらかしたな、俺」
レオは傷のない腕を上げて、シャノの暗色の髪に触れる。艶々としている彼女の髪は汗でベタついており、撫でると彼女は眠りながら猫のような声を上げた。
こいつ、寝てる時だけは可愛いんだよな。なんて、本人に言えば速攻で殺されているだろう言葉をレオは呟いた。
「…………にしても」
なんて懐かしい夢だったんだと、先程まで見ていた過去の記憶を思い返していた。あれからもう何年も経つというのに、今更マムが死んだ時のことを思い出すとは。マムには感謝と恨みを抱いている。主に恨みの方が多い。なんせ、拾って早々にレオとかシャノだなんて猫みたいな名前を付けた。彼女が猫が好きだったのもあるだろうが、まるで俺をペットか何かと思ってんのかと、喧嘩の度にそう言っていた。
そう、今となっては二度と戻っては来ない日常。その終焉を、彼は今更になって思い出していた。そして、マムとの約束も、忘れかけていたものも呼び起こしていた。
「そうだったよな……俺、シャノのこと、守るんだったよな」
シャノは俺が守る、そして、『絶対に1人にしない』。マムが死んだ時に、彼はそう彼女に約束をしたはずだった。なのに、彼はその事を忘れて、自分の命は自分のものだから勝手にさせろ、なんて笑えない冗談を言ってしまった。そのジョークが、シャノにとってはジョークでは済まされない言葉だということも分からずに。
──なあ、マム。俺らは今、必死に生きてるぜ。あんたに救われた生命を何とか繋いでな。俺は、未だにあんたのことをマムだなんて呼びたくない。けれど、本名のシャムと呼ぶつもりもない。どれだけ嫌でも、やっぱり俺にとってあんたはマムらしい。
…………ありがとよ。俺、忘れてた。シャノをただ守ればいいってもんじゃない。俺は、こいつと一緒に生きるんだった。そして、いつかこいつを連れて、裏の世界とは別の、光の当たる明るい世界に連れていくんだ。ああ、うん。俺、まだまだ簡単に死ねそうにもないな。今度から、ガチで危険な仕事は避けないとな。でないと、お前もあの世で俺を殺すだろ? あんたのことだから、絶対にそうするだろうよ──
レオは、外から聞こえる同族の馬鹿笑いを聞き流しながら、シャノの首元に触れる。血が出るまで噛んでしまったが、このまま膿むことなく治って欲しい。いや、その前に自分の至る所に付けられた彼女の甘噛みの方が酷いか。まあいい、とりあえず彼女が起きたら、暫くは仕事を休むことを伝えようか。幸いにも、数日分のストックは用意してある。極限まで切り詰めた生活なんて幾度もしてきたのだから平気だろう。
「…………でも、流石にこれはな」
そう言いながら、レオは空いた方の手で腹部を摩る。流石に朝から何も食っていないのだから、胃袋の虫は鳴き声を超えて叫んでいた。興奮状態から解けたおかげで、すっかり体に力が入らない。
レオはせめて少しだけでもと、鞄の中の携帯食を取ろうと手を伸ばそうとする。
「んー…………」
しかし体から離れようとした瞬間に、寝惚けたシャノが彼の腕を引っ張り、強引にマットレスに押し倒す。そして腕と脚を絡めて、抱き枕のようにしながら安らかな寝息を立て始めた。裸なのもあって、彼女の柔らかいものがダイレクトに肌に押し付けられた。
「…………しゃあない、今日はこのまま朝まで断食だな」
腹の虫に詫びを入れ、レオは力なく天井を見上げた。
いつの日か、裏の世界を飛び出して、シャノと一緒にお日様のある世界で生きる。そして、彼女の瞳に光を取り戻して…………そのためには、まず首絞めとか噛みつきとか、そういうのから辞めてみるか。まあ、シャノからは引っ掻かれるかもしれないけどなと、レオは胸中で呟いた。
胸いっぱいに空気を吸い込み、口から息を吐き出す。外の馬鹿騒ぎが止んで、虚しい呼吸と彼女の寝息だけが聞こえる。
今のレオにとっては、この静寂は心地の良いものだった。