※この作品はR-18です。

オリジナルエロ話   作:歩輪気

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今回、腹ボコ、精液ボテ、アナルセックス、精液嘔吐要素があります。ご注意ください。


助手と博士

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「助手、私と子作りしろ」

「…………は?」

 

 突然の言葉に、僕は暫しの間沈黙し、喉の奥からやっとの思いで絞り出した言葉を吐く。キーボードを打つ手を止めて、ただただ唖然とした。

 

 格安のボロいアパートの一室では、夏の暑さを少しでも和らげるために窓を全開にしていた。額から多量の汗を流し、それを首に巻いたタオルで拭う。

 直して騙し騙しに使っていたクーラーは昨日ぶっ壊れてしまったため使えない。唯一の扇風機も熱が篭もりやすい機械達に当てている。半袖短パンで暑さを凌ぐのがやっとな状況だ。

 

 だというのに、隣に立つ彼女こと、この部屋の主である博士は、ダボダボなサイズの暑そうな白衣を纏って、恥ずかしげもない顔でとんでもない言葉をぶつけてきた。

 暑そうなくせに、あの中はタンクトップと下着しか着ていない。だったら白衣なんて脱いで、初めから夏服を着ればいいのにと何度も思った。

 

「ん? 分からないのか? 暑さで脳が焼けたか?」

「いや、理解が追いつかないだけです、博士」

「お前なぁ、一体何年、私の助手をやっているんだ。バカなのか」

 

 最早慣れきってしまった博士からの暴言。

 人の心が分からない故に相手の心を蹴落とす発言。

 今の時代ではハラスメントとして訴えれば勝てるであろう彼女の言葉。

 天才だから許される所業。

 

 いつもなら、あなたの頭がぶっ飛んでいるだけで、僕はそれほど馬鹿じゃないと内心で反論している。しかし、今だけは無知なバカであって欲しいと思ってしまった。

 

「ふむ、どうやら本当に分からないようだな」

 

 僕の様子を見て、理解していないと察した博士はダボ袖から右手を出して、胸に当てて僕をまっすぐ見た。

 

「助手、私はお前が好きだ。生まれてこの方、今まで男なんぞ興味もなかったが、お前だけは別だ。これは間違いなく好意というものだろう。お前とは生涯を共にすごしたいと思っている。子どももたくさん作りたい。ちなみにこれは、母性というものが何なのかを知るための行為だ。ついでに母乳の味というのも自分で確かめたい」

「はぁ」

 

 博士からの愛の告白も、状況が状況なのもあって、僕の心に特に響くことはなかった。自分でも悲しいと思えるほどに何も響かない。

 

「はぁ、じゃないだろう。少しは驚かないのか。私からの誠心誠意な愛の告白だぞ。照れくさがれ」

「博士に言われると、またいつもの揶揄いとしか思えないので」

「な、なんて失礼な。そんなんだから女にモテないんだぞ。ほら、抱けっ!」

「今打ってるデータが終わったらやりまーす」

 

 両腕を広げ、ドンと構える小柄な博士を横に、僕は再びキーボードを素早くタイピングする。

 使い込みすぎて最早床同然な柔らかさになった座布団が、臀部分に負担をかける。ミンミンゼミの五月蝿い鳴き声が耳に痛いが、彼女の喚き声を相殺してくれているため、今だけは感謝しよう。

 

 

 

 僕がこの仕事、というよりは博士の助手になったのは、彼女から誘いを受けたことがきっかけだった。

 

 僕は元々、とある分野の研究者として働きたいと考えていた。それは小さい頃からの夢でもあり、そのためにその分野に詳しい大学に入学した。

 大学時代は学業とアルバイトの両立の日々を送っていた。今考えても、よくあんな生活を何年もやれてこれたと思う。睡眠時間は短くて1時間、週4で徹夜だなんて、今の自分の体力では到底無理だ。

 

 しかし、運が悪いのか世の中の情勢が悪いのか、就職活動を行う時期になると、なかなか内定先が貰えない日々が始まった。それは僕だけでなく、他の同期生達もそうだった。

 

 数十近くの企業の面接を受けて、その全てが不合格となった僕は、卒業までの残された時間と卒業論文・研究のことを考え、自分の夢を叶えるのは無理だと判断し、学んだ分野とは殆ど関係がない企業へ就職をした。大学院に行くにはお金がなかったので、元から選択肢にはなかった。

 

 幸いにも、そこでの仕事は苦ではなかった。

 確かに大学で学んだことを活かすことは出来なかったが、自分の知らないことを一から教えてもらったり、触れることのなかった分野を知るのはどれも新鮮で、毎日飽きることがなかったのだ。

 それに、あそこの人達の人間関係も決して悪いことばかりではなかった。今思えば、寧ろ社会の中ではかなり優しい方だと思う。

 

 けれど、安泰の中に暮らす僕にも、何か物足りないといった感情があることは否定できなかった。好きなことをするために勉強をしてきたこの人生、安定した生活の中で、未だに夢を諦めきれていなかった。

 

『やあやあ、君が噂の男の子か。話は聞いているよ。どうだい、私の助手として働かないか? なに、君の目は研究に飢えているようだからね。私のもとに来れば、その乾いた心を潤すことが出来るぞ』

 

 そんな時に、彼女こと博士が僕の目の前に現れた。

 初めて姿を現した時の〇学生に間違われそうな外見、お尻の辺りまで伸ばした赤色のボサボサ髪、サイズが合わず、袖がダボつき、裾がスカート同然になっている白衣、少女らしいパーカーと太腿の見えるジーンズ素材の短パンが、嫌でも脳裏にこびり付いている。これでも僕より1つ歳上なのだから、生命の神秘というものは何とも気まぐれだ。才能に体の成長を持っていかれただけなのかもしれないが。

 

 博士はとある界隈では名の知れた研究者(兼発明家兼科学者)らしく、機械の修理は勿論、薬品関係、その他諸々にも手を伸ばしている大天才らしい。そんな人が、僕を助手として誘ってきたのだ。

 なんでも、博士は僕のいた会社の社員さんたちとは昔からの顔馴染みらしく、その日は偶然、機械の修理を頼まれて訪ねてきたらしい。そして会社の人が世間話で僕の名前と経歴を話した時に、身を乗り出す勢いで興味を示したとか。

 

 しかし流石にそんな怪しい誘いに乗るわけがなく、僕は彼女からの勧誘を無視した。助手になるからには今の仕事を辞めることを条件に出された時点で即拒否するレベルだが、それ以前に、そんな胡散臭いものに人生を捧げる気になれなかった。

 

 だが、彼女は折れることはなく、その後もしつこく僕に声をかけてきた。ある時は昼休憩のベンチからひょこっと現れてカツサンドをつまみ食いし、またある時は外出先のお宅の茂みから顔を出して番犬に追われ、酷い時はアパートの玄関口で体操座りで待ち伏せなんてこともしていた(寝ていたのでそのまま放置した)。

 

 どうして彼女がそこまでして僕を欲しがったのかは分からない。けれど、そんな毎日を送っていたせいか、社内では僕が彼女の助手になるという根の歯もない噂が立ち始め、それを応援する人まで現れる事態になった。また、僕自身もあの頃の夢を諦めたくない、なんて考えが蘇ってしまっていた。

 

『夢を一緒に叶えようじゃないか』

 

 そんな僕に対して、博士は高架下のおでん屋台にてトドメの一言を放ち、僕は会社をやめて彼女の助手になった。酒が回っていたせいもあってか、その時の彼女には妙な説得力があるように思えた。

 

 ──今思えば、あの時の選択は間違いなく誤りであったと言える。

 

 仕事を辞めた僕を待っていたのは、ゴミ屋敷常態なボロアパートの一室のお片付けだった。

 スープまで飲んで割り箸とともに放り出された豚骨味のカップ麺の容器、食べてそのまま放り投げたスナック菓子の袋、使ってそのまま洗っていない皿、脱ぎっぱなしに放られたAカップ用の下着、絶対にわざとやったであろう縦に積み重ねられたビールの空き缶と、絶妙なバランスで積まれたジュースの入っていた空のペットボトル等々、タチの悪い食い物関係のゴミが放置されてあるタイプのゴミ屋敷だった。ボロとはいえ、腐っても風呂トイレ別の四畳半の賃貸アパートだということを完全に忘れているありさまだった。ヤニ臭くないだけマシだった。

 

 そんな状態にもかかわらず、博士は『適当に何か食べよう』と言って、ダンボール箱から腐って緑に変色したミカン取り出して食べようとしたので、僕はその日のうちに大掃除に取り掛かった。

 空の容器は勿論、空き缶や要らぬ箱も全てをゴミ袋に投げつけた。洗っていないパンツも、穴の空いたものは捨てた。隣で『それはまだ使えるから取っておく!』とほざく博士を服の山に埋もれさせながら、僕は徹夜で部屋の中を綺麗にした。これが助手になった僕の初仕事だった。なんてくだらないんだろう。

 

 その後も、僕は博士の身の回りの世話をさせられた。炊事、家事、洗濯はもちろんのこと、お使いやお風呂掃除も、全てを担った。やらないと直ぐにゴミ屋敷に戻るからだ。

 これだけやって給料はその月の収入次第という、寧ろ僕の貯金から崩すこともあるという、有り得ない状態になっていた。博士の活躍によって莫大なお金が入っても、大体が研究費や無駄な開発費に消えてしまう。だからボロアパートに身を置く他ない。何度ボイコットを起こしてやろうと思ったことか。

 

 また、彼女自身の性格もなかなかなものだった。天才と名を馳せているが、その実態は破天荒で、突飛推しもない発想やアイデアを思いついては僕を当たり前のように残業させる。逃げようとすれば即席で逃げられない状況を作り上げるというパワハラ技を強行してくる、フィクションでも笑えないタイプの人間だ。

 

 これだけ散々な目にあってるにも関わらず、僕は彼女のもとでこうして研究を続けている。理由は、今の仕事が地味に楽しいと感じているからだ。確かに金はないし、生活費も貯金を崩す羽目になっている。悪びれず笑う博士の腹に1発入れたいとも思った。

 

 けど、ここでやれている研究は、まさに自分のやりたいことに近かった。僕にとっては、今の方がやりたいことをやれてると言ってもいい。それになんのかんの行ってこの人も研究者の端くれ、研究内容はくだらない様で素晴らしいものばかりだ。

 

 

 …………と、そんな風に過ごして早数年。

 

 研究者として抱いていた彼女への尊敬の心は、彼女の愛の告白というお巫山戯によって崩れ去ろうとしていた。そもそも尊敬していなかったのかもしれない。

 

 僕は胡座をかく左膝近くに置いたペットボトルを持ち上げ、中のお茶を飲んだ。冷蔵庫で冷やしておいたというのに、すっかり温くなっている。

 

「お前というやつは、女性の好意を蔑ろにして。そんなんだから合コンも連敗続きなんだぞ」

「合コンに行けるほどメンタルが強かったら、こんなところで研究なんてしてませんよ」

 

 それもそうだ、と博士はぷりっとしながら他人事のように言った。

 実際、僕は合コンなんてものに参加したことはない。コミュニケーションが苦手な上に、今までの人生のほとんどを学業と研究に費やした僕にそんなことをしている暇も選択肢もなかった。

 つまり、今の博士の発言は適当に言ったことだ。

 

「とりあえず、今クソ暑いんで冗談は後にしてください」

「だーかーらー、冗談じゃなくて本気なんだってばー」

「それが本気の口調ですか」

「本気も本気だとも。子作りも本気だ」

 

 一般的な人なら決して外では口にしないであろう言葉を、博士は恥じらうことなく堂々と言い切る。どうやら才能に全振りして羞恥心というものを捨ててしまったらしい。だとしても直球すぎる、少しは斜めに言ったらどうだ。

 

「仮に僕のことを好いてくれてるとしても、いきなり子作りしろはないですよ。普通は好きが先に来ますって、そこから少しずつ告白するもんですよ」

「なぜそんなに遠回しなことをしなければならない。どうせそう言う関係になるのなら、初っ端から伝えた方が楽じゃないか」

 

 当たり前だろとでも言いたいようなキョトンとした顔で答える。マジなのか、この人。マジだった。

 

「で、好きな理由は?」

 

 パソコンの画面から目を離し、博士に顔を向ける。

 

「好き、というよりはお前と一緒になりたい理由だな」

 

 博士は左手を腰に当てて、右手を僕に向けて差し出し、人差し指を立てた。

 

「まず1つ、お前と一緒になればいちいち家に呼ばずに済む。わざわざ呼び出してうちに来させるのはハッキリ言って時間の無駄だ。その節約になる」

 

 今度は中指を立てる。

 

「2つ、子作りという行為に個人的に興味を持った。性行為、妊娠、出産、その過程で生まれる母性というものを自分で経験したくなった。母乳はついでだ」

 

 次に薬指を立てる。

 

「3つ、純粋にお前という男に好意を持った。理論とかそういうのはない。生物として雌である私は雄のお前を好きになった。これは勘違いでも紛い物でもない、時間を共にしていくうちに、自然と私の中に湧き上がった感情だ。私にここまで付き合ってくれている人間はお前くらいだ、一生涯を共にしても良いと思った。

 それに、さっきも言ったが共に居た方がにメリットがあるからな。

 子作りも誰でも良いというわけじゃない。ちゃんと見知った相手で、体を許しても良いと思えた男でないといけない。だから好意を持ったお前としたい、そういうことだ」

 

 彼女は手をおろし「分かったか?」と両手に腰を当ててふんすと鼻息を吐いた。

 なんと言えば良いか、自分勝手というか。ここはハッキリ答えた方が良いか。

 

「なるほど、つまり『博士にとって都合の良い男になれ』ということですか」

「なんでそんなネガティブで弄れた答えになるんだ、助手のわからず屋」

「わからず屋で結構です」

 

 ブーブーと口を尖らせて文句を垂れる博士から目を逸らし、再びパソコンに目を向けて指を動かす。上下に振られるダボ袖が風を起こし、額に涼しい感触を伝えてくれる。扇風機代わりにはちょうど良い。

 

「それはそうと博士、例の依頼の物は出来たんですか?」

「ん? ああ、さっき完成した。ほら」

 

 そう言って、四角いマイちゃぶ台に置いていた薄型ノートパソコンの画面を僕に向けてきた。小難しい文章やら図やらが羅列しているそれは、他人に説明するのは難しいので内容はざっくり省くが、依頼主の注文通りの内容が記載されていた。

 

「相変わらず早いですね」

「さっきお前に告白する前に完成させたところだ。面倒だからな」

 

 やはりこの人は天才だ。それはそうと告白は真に受けないし、その金を新品のクーラーを購入する資金源にして欲しい。言っても無駄だろうが。

 

「はい、出来ました」

 

 キーを打ち終わり、僕は今日の分のノルマを達成した。

 

「あ、おいこら助手、どこへ行くつもりだ」

「今日はこれで上がらせて貰います。この後は友達と約束があるので」

「それは女か?」

「そうですけど」

 

 僕に合コンの経験は無い。だが、女友達がいないとは言っていない。しかし、女友達と遊ぶ約束はしていない。つまり今言ったことは真っ赤な嘘である。今日分のノルマを達成したのは本当で、嘘については、博士の理不尽なパワハラ残業から逃げるための出任せを吐いたのだ。

 

「私の告白を無視しておいて、他の女と突っつき会おうというのか」

「下品な言い方、やめてください」

 

 シャツに染みた汗の気持ち悪さを感じながら、僕は荷物を纏めていく。博士はジト目で頬を膨らませ、肩を竦めた。たとえ遊ぶ約束が本当だったとしても、突っつき会うことなんてしない。僕は誰に対しても発情するような野郎ではないのだ。

 

「分かった。好きなだけ楽しんでこれば良い。告白も気にしないでくれ。ああ、そうだ。まだ時間はあるか? 何か飲んでいけ」

「いいですよ、別に」

 

 僕が返事をしている間に、いつの間にか博士は1つ扉の冷蔵庫を開けてガサゴソと何かを探していた。この人は基本的に人の話を聞かない。

 

「ほら」

 

 博士から投げられたものを両手で受け取る。

 市販で売っている栄養ドリンクだった。甘いという理由で博士が良く好んで買っているものだ。

 

「ほれ、遠慮するな」

「いただきます」

 

 軽い笑みを浮かべて催促する博士に言われるまま、僕は瓶の蓋を開けて中身を喉へ流し込んだ。

 

 ──何かおかしい。

 

 このドリンク、少しだけ苦味がある。本来なら子どもでも飲めるくらい甘いはずだ。

 

「飲んだな、助手よ」

「はい、飲みました」

 

 僕の返事に、彼女は口端を上げて両手をバーンッと広げた。

 

「ふふ…………はははっ! まんまと罠にハマったな!」

「はぁ」

「そのドリンクはな、瓶は私のお気に入りの栄養ドリンクだが、中身は別のモノに入れ替えておいたのだ!」

「へー、何に?」

「ついこの間、私が開発した性欲精力増強剤だっ! たったそれ1瓶で通常の数倍の射精量と精液を手に入れることができるのだ!」

「つまり激薬ってことですね」

「そういうことだ。ちなみに効力は数時間、目の前に女がいたら襲わずには居られなくなるほど強力だ」

「そうですかー、ところでその資金は?」

「この前の依頼で貰った金を全部つぎ込んだ」

 

 どうやら、告白に失敗した時のための保険を用意していたらしい。つまり、彼女の告白は本気だったということだ。そして、この前の依頼で入金されたはずの金の行方が漸く明らかになった。

 やはりこの人は天才だ、どこまでも厄介事をしでかしてくれる。

 

「あっ…………」

 

 気がつくと、体全体が妙な熱を帯びていた。暑さとは違う、体の内から湧き上がるムラムラ感。血液が全身を駆け巡り、主に下半身へと熱が籠り始める。

 

「ふむふむ、早速効果が出てきたようだな。体全体がむず痒くて仕方ないだろう?」

「……試験とかは」

「やっていない、ぶっつけ本番だ」

 

 私が作ったものだからな、とドヤ顔で堂々と答える博士。今すぐにでもこの憎たらしい顔面に拳を打ち込みたい。

 しかし、それ以前に自分の体が思うように動かない。暑さが原因ではない妙な汗が全身から溢れてくる。手が震え、持っていた瓶を畳に落下させる。

 この天才のことだ、天才的な勘で淫薬の元になる成分を手加減せずにごちゃ混ぜにして造ったに違いない。

 

「どうだ? 私に興奮してきたか?」

 

 目の前がゆらゆらと揺らぎ出した。窓から入る夏の日差しが白くボヤけ、蝉の鳴き声が淀んだ不快音に変わる。

 

 ただ、目前にいる博士の姿だけはハッキリと見える。ボサボサで羽っ毛だらけな赤髪と、年齢にしては幼く見える容姿、不釣り合いに袖をダボダボとさせる白衣。いつも見ている彼女の姿が、今の僕には何倍にも魅惑的に映っていた。声すらも、彼女のものだけはハッキリ聞こえる。

 

「ほほう、どうやら相当効いているなー」

 

 顔に不敵な笑みを作りながら、博士はタボ袖に隠れた右手で顎を撫でる。まるで実験動物の容態変化をじっくりと観察する研究者のように、悪魔の視線が僕を吟味する。

 呼吸が荒く、全身の筋肉が落ち着かない。主に下半身の陰部が激しい脈動を打つ。今にも博士を襲ってしまいそうだ。

 

「うんうん、分かるぞ。助手は今、下半身が疼いて仕方がないのだな。それと目の前の私が魅力的にも見えている。今にも私の膣内に陰茎をぶち込みたいと考えているな」

 

 僕の状態を理解していながら、博士はほれほれと裾をたくしあげて、中の下着をチラチラとチラつかせる。完全な煽り行為に僕はイライラとしながら、その扇情的な格好と誘いに嫌でも興奮した。

 

「お、勃起をし始めたか。どれどれ」

 

 博士は僕に近寄るとしゃがみこみ、ビンビンに張っているズボンの股間部に顔を近づける。その姿は、まるで好奇心が旺盛な子どものようだ。

 

「ふむ、ズボンが邪魔だな」

「あの、博士?」

 

 なにをするつもりだ、という前に、博士は股間部分のボタンとチャックを外し、短パンの裾を両手で掴んで一気に下へずらした。ややピチピチだったせいか、パンツも一緒にずれてしまった。

 

 ぶるんっ! 

 

「うおっ!? …………これはこれは」

 

 そして、弾けるように僕の肉幹がその身を振るわせた。

 いつも性欲を発散させる度に肉の詰まった体を固くさせる我が相棒。けれど、今の彼は普段と何か──いや、かなり違っている。

 

 勃起しても精々13cm前後のはずなのだが、目前の肉幹はあからさまに長くなっていた。目測でも20cmを軽く越えていることが分かる。太さも一回り以上膨張している、自分の手で掴んで輪っかを作れるのかすら怪しいレベルだ。

 

 そして何より、見た目が禍々しい。太い血管がビキビキと浮き出ていて、今にも破裂しそうな程にビクビクと脈を打っている。まるで陰部に化け物が憑依したかのようだ。

 

「博士……これ」

 

 崩れ落ちそうな理性を残った意識で保ちながら博士に問いた。

 

「どうやら、思っていた以上に効果が効きすぎているようだ。精力と射精量を数倍にするとはいったが、そのために陰部自体も変化をしたらしい。いや、元々備わっていた限界値を引き出したと言った方が良いだろう」

「……治りますか?」

「とりあえず射精()さなきゃ治らんな。このまま勃起状態のまま放置したら最悪、壊死してポロんだ」

 

 おぞましいセリフを淡々と述べられ、僕は背中に汗を流した。暑さではなく、このまま肉幹を切除する羽目になってしまうのかという恐怖故に流れたものだ。

 

「ま、どうせ私と交じるんだ。心配するな」

「あの、この後約束が……」

「まだ言っているのか? 嘘も大概にしろ。お前のことだから、私から逃げたいがために口から出任せを吐いたんだろ。もう何年も一緒にいるんだ、分からないとでも思ったか?」

 

 全てを見通していたかのような発言に、僕は唖然としたまま何も言い返せなかった。言い返せないというのが、彼女の言葉を肯定するのを意味していた。

 

「まあ、仮に本当だとしても、こうなってはどうしようもないがな」

 

 そう言うと、博士は早速と言わんばかりに、膝立ちで肉幹に顔を近づける。効力によって、肉幹の皮の感度がかなり高くなっている。くんくんと動く博士の鼻先が皮を掠め、鋭い刺激を脳に伝える。

 

「臭いな。いや、独特の臭いと言うべきか。毎日風呂に入っているというのに、一際黒ずんでいるな。どれ」

 

 じっくりと観察しながら、博士はダボ袖越しに両手で2つの玉を優しく掴むと、クニクニと指先で揉み始めた。慣れていないせいなのか、時折力加減をミスって強く掴んでいる。その痛みが、余計に僕の性欲を興奮させてしまう。

 

「おほー、何だこれは。獣並に睾丸がでかくなってるじゃないか。ぷにぷにしてて面白いなー」

 

 ははは、と笑いながら博士ははしゃぐ子どものように金玉を揉みほぐす。淫薬の作用で、金玉すらも大きくなってしまったようだ。

 

 いや、それよりもどうしてこの人はこうも平然と男の陰部を触っているのだろうか。普通なら恥じらいがあっても良いはずだ…………と思ったものの、どうせこの人の事だから、野生動物の金玉と同等なものとしか見えていないのだろう。

 

 むぎゅっ♡むぎゅっ♡むにっ♡

 

「うっ…………」

「ほらほら、ここかー」

 

 呻く僕を横に、博士は厭に笑い、煽り言葉を吐きながら睾丸をコロコロと弄る。玉に溜まっているであろう無数の精子が、彼女に屠られて踊っている。

 

「ぉ……」

 

 しかし肉幹が大きく跳ねて顔を掠めたことで、博士は笑顔を貼り付けたまま、笑い声と手を止めた。

 剛直な肉幹は突き刺す標的を求めるかのように揺らぎ、彼女の額をぺちぺちと叩く。僕自身が動かしているわけではない、性欲が溜まった肉杭が自然と動いているのだ。

 

「全く、随分とせっかちな男だ。もう少し観察していたかったが、仕方あるまい」

 

 そう言うと、博士は肉幹を袖に隠れた両手で掴む。

 彼女の手で輪を作れない程に太く、包みきれないほどに長い、両手で支えるのがやっとな光景が、僕の肉幹が変貌してしまったという事実を突きつけていた。

 

「どれ…………れろっ♥」

 

 博士は鼻先が触れないギリギリの距離でじっくりと視ながら、震える肉幹を煽る。

 そして、舐めるように見つめたあと、亀頭先をペロリと舐めた。鈴口から溢れていた大量の我慢汁が彼女の舌に絡め取られ、舌先と粘ついた透明な糸を引く。

 

「ぅぇ、苦いな。シロップなら喜んで舐めるが、これはなー」

 

 そう言いつつ、博士は再び亀頭を舐める。唇から伸びる長い舌が蛇のように畝り、亀頭先を啄く。たまに吐口に入り込むと、鋭い刺激を僕に伝えた。

 

「れろっ♥ぺろっ♥れぇっ♥」

 

 舐めるのは亀頭だけに留まらず、頭を動かしてカリ裏や首部分にも舌肉を伸ばしていく。

 毎日アイスキャンディーを舐めている甘党な彼女の舌使いはかなりのもので、まるで甘みを味わうかのように唾液と我慢汁を塗りたくる。

 

「んっ、どうだ助手、私の奉仕は」

 

 肉茎を右頬に押し付けつつ、博士は紅色の瞳を僕に向けた。不敵な笑みはいつの間にか消え去り、上目遣いをする彼女の顔は紅葉していた。

 

「……下手くそですね」

 

 本当は気持ちが良い。しかし欲情してしまった僕の思考が、彼女を煽るような発言をさせてしまう。

 

「れろ、意地悪を言うな。私だって初めてなんだ……ちゅ♥」

 

 ムッと睨みつつ、博士は肉幹の横顔にキスをした。

 

 しゅこっ♡しゅこっ♡♡

 

 唾液と我慢汁が肉茎部分をたっぷりと濡らしたところで、博士はダボ袖越しに手を前後に動かし、肉幹をこき始めた。服のゴワゴワとした質感が茎を擦り、ざらつく痛みを伝える。

 

 巨体はずっしりと重く、彼女の手では全てを包むことは出来ない。それどころか、膣内に全てはいるのかも怪しいほどだ。

 

「あっ♥…………んぷっ♥」

 

 そんな肉幹の亀頭を博士は口を開けて含んだ。やはりというべきか、彼女の口では亀頭を口の中で収めるのがやっとだった。

 

 じゅぷっ♡じっぷぶつ♡♡

 

 しかし、僕の予想に反して、博士はそのまま口奥へと押し込み始めた。キツキツな口まんこが、大きな肉の棒を歓迎するかなように中へと誘う。このまま彼女の顎が外れてしまうと思うくらいに奥へ、奥へと飲み込まれていく。

 

「んぐっ、ふっ……♥」

 

 3分の2辺りまで含んだところで、肉先が喉奥へと当たり止まる。博士は今にも吐き出しそうな声をあげ、目に涙を溜めながら頭を動かし始めた。

 

 じゅぼっ♡ぬぽっ♡♡じゅぼ♡♡♡

 

「んごっ……ふぐっ♥ふごっ♥」

 

 口腔の柔らかい内頬肉と唾液が、肉太で長い肉幹を滑るように扱く。前後に揺れる頭とともに、燃えるように赤い長髪もふさふさと揺れている。

 亀頭がゴツン、ゴツンと彼女の喉奥を叩く。一つ一つが重く、彼女の喉を突き破る勢いで突き上げる。

 口を尖らせ、頬を窄めるその顔は、普段の博士からは見られない、卑猥で醜いものだった。だからこそ、余計に僕の体が疼いてしまう。

 

「ぉごっ♥オッ♥むぐっ♥おっ♥ふぐっ♥」

 

 苦しい声を上げながら、博士は肉幹を扱き続ける。まるで淫薬が我慢汁を通して脳へ到達し、淫乱一色に犯してしまったかのように、博士は無我夢中で頭を動かしていた。

 普段は煽り、こき使い、自分の駒のようにあしらっていた助手のちんぽを貪るように食らいついている。そんな彼女の有様が、僕を謎の愉悦感で浸らせていく。過程が過程なので、罪悪感なんてものはこれっぽっちもなかった。

 

「ふぉっ、ふっ……♥」

 

 頭を後ろへ下げたところで、彼女は潤んだ瞳を向けながら何かを呟いた。肉幹を含んだままだったので何を言っているかはハッキリとしないが、おそらく「助手」と呼んだのだろう。

 彼女は僕のことを助手としか呼ばない、僕が彼女のことを博士としか呼ばないのと同じことだ。

 

「んんっ♥」

 

 瞼を閉じると、博士は舌を使って裏筋を舐めた。唇と肉幹の間から伸びる舌先、ザラザラとした舌肉の表面が、敏感な小帯をチロチロと愛撫する。そして暫く撫でれば、再び肉幹を口肉へと誘う。

 

 じゅぼっじゅるるるっ♡♡ぢゅるっ♡ぬぷっ♡

 

 夏の暑さが全身を包み、至る箇所から汗を吹き出させる中、室内には聞き覚えのない水気を帯びた音が響いていた。両隣に住人がいたなら、きっと壁越しに此方の音を聞いていたに違いない。カップルならそのまま致せば良いし、1人なら自慰行為をしても良い。実際に彼女と性行為をしている僕からすれば、そんなものは些細なことでしかない。

 

「んごっ……んんっ」

 

 ボーッと快楽に浸っていると、博士が妙な声を上げ始めた。僕の肉幹も、睾丸から尿道へ精子が這い上がる感覚を教えていた。どうやら射精を迎えるらしい、それで肉幹が硬さを増しているようだ。

 

 ずりゅっ、こしゅっ♡こしゅっ♡

 

 もうすぐ這い上がる精液を促すように、博士はダボ袖で肉幹を掴み、根元から亀頭先に向かって絞るように扱く。もちろん、頭の動きも止めていない。

 

「は、博士…………」

 

 喉が渇いていたせいか、もうそろそろ、という言葉が出なかった。だが博士には伝わり、彼女は頭の動きを早めた。小刻みに嗚咽をしながら肉幹を懸命に奉仕する姿に、僕の理性は崩れさろうとした。

 

 ずんっ! 

 

「むぐっ!?」

 

 絶頂する刹那、体が感覚を取り戻し始めた僕は彼女の後頭部を掴み、肉幹の根元まで押し込み、

 

 ぶびゅるるるるるるるぅぅぅぅっ♡♡びゅるるるるぅぅっぅぅぅっ♡♡

 

「むごぉぉぉぉっ!? んんんんぅぅ!?」

 

 そのまま喉奥のさらに奥まで亀頭先を潜らせ、大絶頂を迎えた。

 淫薬の効果は確かなようで、肉幹は脈を打ちながらドロドロとザーメンを吐き出した。その勢いは凄まじく、一発ごとにいつもの数倍の量の子種汁が彼女の喉奥へと吐き出されていく。

 

「むっ、むぐぅぅっ♥♥むぐぅぅぅぅぅっ♥♥」

 

 容赦なく雪崩込む熱々の溶岩に博士は苦しみ悶え、袖で僕をバシバシと叩き、引き抜こうと藻掻く。しかし、僕はそれを無視して、彼女の頭を掴み続けた。

 

 ドビュルルルルルゥゥゥゥゥっ♡♡♡♡ぶびゅうぅぅぅぅぅぅっ♡♡♡♡

 

 白濁としたザーメンは今も勢いを止めず、食道を通って胃袋へ落ちてゆく。肉幹は口蓋垂どころか喉頭蓋まで塞いでしまっているため、彼女は息ができない。

 

「おっ♥むごぉぉっ♥ふごぉぉぉぉっ♥」

 

 されどザーメンの流れは止まず、逆流した分が彼女の口へと溜まり、頬袋を膨らませた。それでも足りず、ついには唇と肉幹の隙間から、鼻の穴からもドロドロな白液が溢れてきた。

 

「おっ……ォ……♥」

 

 いつの間にか、彼女の腕は悶えるのをやめて、宙にだらんと力なく垂れた。小柄な体が電気を流されたようにピクンピクンと痙攣している。

 そして気がつけば、博士は紅い瞳を上に向け、白目を向いていた。力のない彼女の嗚咽が微かに耳に届いたが、僕は無視を貫いた。

 

 びゅるるるるるっ♡♡♡…………ぬぽんっ♡

 

「ぉ゛…………♥」

 

 肉幹が落ち着いたところで、僕は博士から手を離すと、力の抜けた彼女の体はそのまま後方へ倒れた。

 鼻や口から白濁液を垂らし、虚ろな目で天井を見上げる。よく見れば、白衣の下腹部分に大きなシミが付いていた。あまりの苦しさにお漏らしをしてしまったのだろう。

 見るも無惨な博士の姿を見下ろしながら、僕は博士の名前を呼んだ。

 

「!? ……げほっ! げほっ! ……ゲボっ!」

 

 博士は意識を戻して早々、激しく咳き込み、挙句には精液を吐き出した。

 こうやって人の嘔吐を見るというのは、普通ならあまり気分が良いものじゃない。なのに、卑しい色に染められてしまった僕の目は、吐き気を催すような姿でさえ卑猥に見せてしまう。

 

「博士」

「けほっ……ま、全く、いきなり頭を掴むなんて酷いじゃないか。危うく窒息しかけたぞ」

「はあ、すみません」

 

 涙を流しながら僕を睨む博士は、箱からティッシュを数枚取り、鼻や口に残った精液を拭いた。鼻に入った分はかなり手こずっている。

 

「うぷっ、胃の中がぎもぢわるい、しかも苦い……いや、甘い?」

「甘い?」

「ふーむ、おかしい。精液というのは普通は苦いものなのだが……それに体も変に火照って……そうか!」

 

 何かを閃いたのか、博士はベトベトに濡れたダボ袖を広げて声を上げた。

 

「助手、どうやらお前に飲ませた薬が、小量だが我慢汁と精液を通して私の中に入り込んだらしい」

「つまり?」

「つまり、今現在、私もお前と同じように淫薬の効果に犯されているというわけだ。だから本来、苦いはずの精液も甘く感じてしまうんだ」

 

 これは予想外だったなと、博士は高笑いをした。さっきまで窒息しかけていたのも忘れて、自分が開発した淫薬の効果を知れて嬉しそうだった。

 

「へー、じゃあ博士、続きをしましょう」

「うむ、そうだな。このまま一気にことを進めてしまおう。しかしまずは一休みしてからっ!?」

 

 博士が戯言をほざき終える前に、僕は彼女の両手を掴んで畳床に押し付けた。

 今更言っておくと、僕の理性は完全に崩壊していた。話せてはいるが、僕の脳は完全に博士を犯すのとしか考えていない。淫薬によってすっかり染められてしまったようだ。

 

「じょ、助手? なんの真似だ? め、目が怖いぞ?」

「なんの真似って、決まってるじゃないですか。今からヤるんですよ。博士がそう言ったんでしょ」

「確かにそうは言ったが、今のお前は凄く怖ひぃっ!?」

 

 か弱い乙女のように震える博士の白衣を、僕はボタンを千切る勢いで引き剥がす。

 そして、白衣の中に隠れていた彼女のタンクトップと下着が露わになった。子どもっぽいとまではいかないが、彼女が着ているそれらは、大人の纏うそれらとは違ってあからさまに年齢が低いものだった。唯一褒めるとすれば、ショーツが赤い大人用のものになっている所だろう。

 

「じょ、助手。落ち着け。鼻息が荒いぞ」

「元はと言えばあなたのせいでしょう。最後まで責任を取ってください」

「わ、分かった。分かったから落ち着け……いっ!?」

 

 怯える彼女を無視し、僕はタンクトップと赤いショーツを無理やり引きちぎった。自分でもこれだけの力があるだなんて驚きだ。

 

「へー、博士って子どもっぽいと思ってましたけど……体は意外と大人なんですね」

 

 震える彼女の体を、僕は舐めるように見る。

 小柄ながらも、彼女の平たい乳房は大人の形をしており、陰部もある程度は整えている陰毛が生えていた。

 

「そ、そんな舐めるように見るな。私でも恥ずかし」

 

 がぶっ! 

 

「んぁぁぁぁっ♥」

 

 早速、僕は博士の右乳にかぶりついた。かぶりつくほどの脂肪はないが、しゃぶるには十分だ。

 

 じゅうっ♡じゅう♡じゅう♡♡

 

「や、 やめろ! そんなに強く吸ったら千切れんおぉ♥」

 

 博士の戯言を横に置いて、僕はAカップの乳房にむしゃぶりつく。小ぶりな胸の割に大きい乳首がピンと立ち上がり、僕の舌先へと触れる。

 

「あっ♥乳首ぃ、ビンビンだからあまりいじめにゃいでぇ♥」

 

 ガリっ! 

 

「おほぉっ♥ち、ちくび、ちぎれるっ♥」

 

 博士がまだ生意気を吐くので、僕は乳首を歯で挟み、吸い出すと同時に引っ張りあげる。汚い声を吐く彼女のことなんて眼中に無い、ただ目の前にある女性の乳房を食らうだけだ。

 

「あっ♥あぁ♥あ゛ぁぁぁぁああぁぁああっっ♥♥」

 

 大きな嬌声と共に、博士は体を仰け反らせた。絶頂を知らせる嬌声は途切れるまで続き、それと同時に彼女の体も白衣の上に沈んだ。

 

「…………それじゃあ博士、本番やりましょっか」

「はへ? ほ、ほんばん……?」

 

 博士はふにゃれた顔で首を傾げた。

 僕は有無を言わさず肉幹を振るい、彼女の脚を開かせて小さな陰唇に亀頭をあてがう。矢張りというか、巨大化した肉幹と比べて、彼女の膣穴はあまりにも小さかった。だが、そんなことは関係ない。全ては博士に責任があるのだ。

 

「助手、やっても良いが、できるだけ優しく」

 

 ぶじゅっ♡ぶじゅじゅ♡

 

「おっ、おぉっ……♥」

 

 陰唇を裂き、小さな膣穴へ肉幹を押し込む。穴が狭いせいか、亀頭の時点で挿入するのが困難だ。メリメリという生々しい音が聞こえる、下手をすれば股を裂いてしまうかもしれない。

 

 ぶちっ、ぶちぶちっ♡♡

 

「あ、あ、おぉ゛…………♥」

 

 裂けないように慎重に亀頭を押し込み、膣内へと挿入していく。彼女の喉奥まで届いた口奉仕のおかげで、肉幹はたっぷりと濡れている。また、小さな肉筒も愛液に満たされているおかげで、キツいながらも肉幹を滑らせていく。

 禍々しい雄杭へと変貌した相棒が締まった肉壁を一歩一歩と押し広げ、その度に博士は濁った喘ぎを吐いた。

 

 それにしても、博士の肉道は狭いながらも、奥はかなり深いようだ。これなら肥大化した肉幹も収まるかもしれない。

 

「博士、一気にいきます」

「は、え? 一気って」

 

 すぶんっ! 

 

 ぶちぶちぶちぶちっ♡♡♡ボコォッ♡♡

 

「ほぇ…………ぇ…………」

 

 瞬間、僕は腰を深く差し込み、肉幹を彼女の奥へ一気に押し込んだ。膣内が無理やり押し広げられ、肉が破れる生々しい音が盛大に響いた。

 彼女は呆気に取られたような声を漏らし、目を見開いて腹部を見ていた。彼女のお腹は、膣道を突き抜けた巨大な肉幹の亀頭によって内側から盛り上がっていた。漫画で見かけるような腹ボコ状態が、博士の体で実現しているのだ。

 

「…………ぁ…………あぁぁぁぁぁっ!?」

 

 暫し遅れて、博士は喉が焼けるように叫んだ。そして盛大に潮を吹いた。

 感じたことのない激痛に襲われているのは確かだ、しかし、同時に感じたことすらない激快が彼女の体を駆け巡っている。

 

「博士、暴れたら余計に痛みますって」

「こ、こ、これが暴れずにいられるかぁぁっ! い、いだいぃぃっ!」

 

 暴れる博士を、僕は両手を押さえつける。これだけの異物が膣内に収まっている、彼女が下手に動けば、内臓がダメになる可能性がある。

 

「ほ、ほんとに痛いっ! 抜けっ! 抜いてぇ♥」

「痛い痛い言う割には……さっきから潮吹いてませんか?」

「そ、それは、痛いけど気持ちよ」

 

 ずずっ♡

 

「んほぉっ♥」

 

 ほんの少しだけ腰を引くと、博士は盛大なオホ声を上げた。おそらく彼女にも相当な薬の効果が現れているのだろう、でなければ、今頃激痛で気絶しているに違いない。快感どころではないはずだ。

 

「博士……動きます……」

「ちょ、動いたらぁぁぁっ♥ぁぁっ♥」

 

 僕は腰を引き、ずるりと肉幹を引き抜く。亀頭に張った深いカリが肉壁を構成する疣疣達を鈎のように引っ掛け、外へ抉り出すように擦る。

 

 ずるるっ…………ずぶんっ♡

 

「お゛ぉぉぉぉっ♥」

 

 そして膣穴まで下がったところで、再び深くまで突き刺す。腹部がボコッと盛り上がり、博士は汚い叫びを吐いた。

 

 ごぼっ♡ごずっ♡ごすっ♡♡

 

 肉の杭に走る快感に任せて、僕は腰を揺らし始めた。熱の篭った彼女の肉筒は小さいながらも、肉幹にフィットする形に変わろうと壁全体を広げていた。

 

「お゛っ、おごっ♥し、死ぬぅ♥腹が、裂けるぅ♥」

 

 腰を引く度に、肉筒から染み出していた愛液と、彼女の処女を貫いた証の赤い血が外へと漏れ出し、敷物代わりに成り果てた白衣へと染み込む。

 

 ぐじゅっ♡♡じゅぶっ♡♡ごじゅっ♡♡♡

 

「ぐふぉっ♥お゛ぉっ♥あ゛がぁっ♥あぁっ♥」

 

 水気とともに、肉がぐちゃぐちゃに掻き混ぜられるような音が部屋に響く。それに合わせて、博士の喘ぎ声も響いた。

 僕の耳は、ミンミンゼミの五月蝿い鳴き声を完全に遮断していた。今聞こえるのは、肉幹と膣肉が擦れ合う音と、博士の雌声だけだ。郵便が来たとしても、周りの人が尋ねてきたとしても、気がつくことは出来ないだろう。

 

「お、お股、痛いっ♥痛いのに、気持ちいいっ♥助手のちんぽ、太すぎりゅぅ♥んぉ♥」

 

 ボコっ、ボコっと、肉幹が一定のリズムで博士の臍と腹を盛り上げる。その度に、博士は細かい絶頂を繰り返していた。

 なのに、これでも子宮口を捉えていないのだから、僕にとっては物足りなかった。

 

 どちゅっ♡♡どちゅっ♡♡

 

「じょ、じょしゅ、そんな、変に動かしたら♥あんっ♥」

 

 奥の口を探すように、腰を動かしながら肉幹を膣内で暴れさせる。

 

「い、んごっ♥ぁぁ゛……あっ♥」

 

 どちゅっ、どちゅっ…………ぶぢゅっ♡♡

 

「んお゛ぉぉおおぉおぉぉっ!? ♥♥」

 

 そして、肉幹が子宮口を啄き上げ、そのまま押し進み、秘密の奥部屋へと頭を挿入した。博士は背を仰け反らせて雄叫びを上げた。

 本来ならこんなことはありえないし、子宮口を貫くなんてことは出来ないはずだが…………博士の淫薬の効果がそれを可能にしたのだろう。

 

「おごっ♥し、しぬ♥あ、赤ちゃんのへや、潰れりゅ♥」

 

 死ぬ死ぬ言う割には、さっきからアクメ顔で蕩けた顔を晒している。

 

 どちゅっ♡どちゅっ♡どちゅっ♡どちゅっ♡

 

「あへ、あひっ、へへ♥あ゛ぅ゛♥じょしゅぅ♥」

 

 最早天才としての威厳は残っておらず、ただ性器に走る激痛と快楽に喘いでいた。いや、もう激痛すら快楽に変わっているのだろう。

 気がつけば、彼女の細い両脚が僕にしがみついていた。どうやら中へ出させようとしているらしい。

 

「こ、壊れりゅっ♥私の全てが、じょしゅに壊されりゅ♥」

 

 ダメだ、もう耐えられない。

 

「博士……中、いいですか?」

「あふっ、中に出せっ♥出してぇ♥あちゅあちゅのザーメン、おにゃかでみたしてぇ♥」

 

 涎と涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら、博士はザーメンを求める。それに答えるために、僕は腰振りを速くし、肉を掻き回す。唸る槍は硬さを増して、奥を何度も穿いた。

 

 ばちゅっ♡♡どちゅっ♡♡ぶちゅっ♡♡

 

 ぼびゅるるるるるるぅぅぅぅうぅっ♡♡♡ぶびゅるるるるるるぅぅぅぅぅぅ♡♡♡

 

「お゛おぉおお゛ぉぉぉぉぉおぉぉぉっ♥♥♥」

 

 頭の中が白く弾けた瞬間、僕は絶頂を迎え、子宮口の深くに潜った亀頭から大量のザーメンを吐き出した。

 耳を劈くような牝の絶頂声と激しい射精音が、部屋の壁に、置かれたちゃぶ台に、ゴーゴーと唸る機械に、部屋中のあらゆるものに振動を伝えた。

 

 びゅるる〜〜♡♡ボゴォォッ♡♡♡

 

「お゛お゛、お、お腹がぁぁぁっ♥」

 

 ダマになった大量のザーメンが彼女の小さな子宮内に直接溜まり、あっという間に子宮を白く満たした。しかし、それだけで肉幹の脈動が収まるはずはなく、ザーメンは子宮に入る容量を超え、赤子の部屋を無理やり押し広げ、彼女の腹をぽっこりと膨張させた。

 

 びゅるるるるるっ♡♡どびゅるるるるるっ♡♡

 

「わ、われりゅぅぅ♥♥お腹、はれつしゅりゅぅぅ♥♥」

 

 白濁液は尚も吐き出され続け、彼女の腹部を更に膨張させた。小柄な体には不釣り合いにぼっこりと膨らんでいる。下手すれば本当に破裂するかもしれないと思わせてしまうほとだ。

 けれど、博士の脚はがっしりと僕を掴み、肉筒もまた、肉幹をみっちりと締め付けていた。僕はただ、博士の名器に腰とちんぽを震わせながら、ザーメンを吐き出すしかなかった。

 

 どびゅるるる…………どぷっ♡

 

「ぁ…………♥」

 

 数十秒後、漸く射精が収まり、同時に博士の体から力が抜けた。

 

「あぅ…………♥」

 

 腰を引き、膣穴から肉幹を引き抜いた。ぬぽんという栓の抜ける音が鳴り、その直後に子宮に溜まっていた白いぷりぷりなザーメンが濁流のようにゴポッという音を鳴らしながら、膣穴から漏れ始めた。赤い血が混じったそれは白衣の上に溜まり、大きな濁り池を作った。

 かなりの量が出たはずだが、それでも腹部はあまり凹まなかった。

 

「へへ……助手、良くやった。これだけ中に出せば、間違いなく私は孕む……お前との赤ちゃんが、できるんだ」

 

 目から光を失い、力ない笑みを浮かべながら、博士は震える手を上げた。

 けれど、僕の陰部はまだまだムラムラしていた。

 

「博士、僕はまだ満足していません」

「……ふぇ?」

 

 僕の発言に、博士は力なく首を傾げた。

 膣穴はもう使えない、いや、口と膣は汚した。

 

 なら、あと残るは一つだ。

 

 僕は纏っていた半袖とタオルを脱ぎ捨て、全裸になった。そして博士の体を白衣から取り出し、彼女もまた全裸にさせた。

 

「助手? 何を?」

「…………」

 

 博士の軽い体をうつ伏せにさせると、僕は荒い息を立てながら、膣穴、の上に潜む穴に肉幹をあてがった。

 

 そう、口と膣、残るもう1つの穴…………尻穴に。

 

 それを理解した瞬間、博士の瞳に光が戻り、すぐさま顔を青くした。

 

「……!? お、おいっ! まさか!」

「博士、こうなったら覚悟してください」

「ま、待て! 流石の私でもそんな場所に挿入されたら、もう後戻りができない! やめんほぉぉぉぉぉっ♥♥」

 

 抗議も虚しく、博士はだらしのない汚ほ声を上げた。

 メリメリという音とともに、彼女の肛門へ太い肉の棒がずっぷりと潜り込んだ。

 

 肛門という本来なら別のものを出すはずの場所に、熱を帯びた異物が挿入されている。しかも極太で、縦長な異物が。

 

 ぼちゅっ♡どちゅっ♡ねぢゅる♡

 

「ぉ゛っ♥おっ♥ほぉっ♥おごっ♥♥♥」

 

 休む間もなく、僕は彼女の臀を掴んで杭を振るわせる。肛門の先に隠れていた直腸が肉の詰まった棒を包む。普段は博士の汚いものを吐き出す為の排泄処理状態が、今は肉穴と化していた。

 

「じょ、あっ♥お腹が、おぉ゛♥おしりの穴がぁ♥焼けりゅぅ♥」

 

 まるでケツの穴が焼けるような感覚に、博士は狂った声を上げる。散々やられたせいか、抵抗する気すらないようだ。

 

 どちゅっ♡どちゅっ♡ぐちゅっ♡

 

「お、おしりっ♥破れりゅ♥今度こそ、破裂すりゅう♥」

 

 蠕動する腸に身を任せて、肉幹は博士のアナルを拡張しつつ、中の肉を穿く。膣肉とはまた違った肉壁達が、雄の象徴を包み込み、絞るように畝りだす。

 

「じょしゅ、も、もうやめろ♥わ、私が悪かったから♥もうイタズラなんてぇぇ♥んぁ、しないからぁあんっ♥おしりのあにゃだけはぁ♥」

「……じゃ、ちょっと手を貸してください」

「はぇ?」

 

 許しを乞う博士の両手首を掴む

 

 …………ずぶぅっ!! 

 

「ぉごぉっ♥」

 

 そして自分のもとへ引き寄せ、一気に奥へと挿入させた。彼女の背中は思いっきり仰け反り、より腸の締めを良くした。

 

 ぱんっ! パンっ! パンっ! パンっ! 

 

「ぉ゛ぉぉっ! おぅっ! おぅっ♥」

 

 餌を強請るオットセイのような鳴き声を吐き続ける博士。鰭の代わりに、尻肉と腰がぶつかる瑞々しい音が響いた。

 

「ふぐっ♥ふごぉ♥おぉぉぉんっ♥おぉっ♡んおぉぉぉんっ♥」

 

 ケツ穴の肉が茎を締め付け、溶かすように肉幹に吸い付く。舌を突き出しながら喘ぐ彼女の野生動物のような叫びが、余計に性的興奮を駆り立てた。

 

「ぅ、もう」

 

 初めてやったからなのか、僕の肉幹は既に射精を迎えようとしていた。

 

「!? や、やめろぉ♥な、中に出されたらぁ、今度こそぉ♥」

「もう無理です……うっ!」

 

 博士の言葉も虚しく、僕は博士の両手を後ろへ引っ張り、彼女を仰け反らせる形で腰を深くまで打ち付けた。

 

 どちゅっ♡

 

 びゅるるるるるるるっ♡どびゅるるるるるっ♡♡ぶぼびゅるるるるるるるぅぅぅぅぅ〜!!! ♡♡♡

 

「んにゃぁぁぁあぁあぁぁっ♥おにゃかがぁぁ♥」

 

 肛門の最奥、直腸の最奥で僕の肉幹は弾けた。子宮(なか)に出したのと同じように、大量の子種が彼女の体内へ吐液された。

 

 ボゴォォォッ♡♡♡

 

「おっ♥おにゃかぁぁぁ♥またぁぁぁ♥」

 

 仰け反る彼女の腹部が再びぼっこりと膨れる。子宮に残っている分も合わさって、その見た目は出産間近の妊婦のようだ。

 

「おごっ♥な、なんか、ぎもぢわる…………うっ!? …………げぼぉぉぉぉぉっ!! ♥♥」

 

 何かを言い切る前に、突然博士は頬を膨らませ、口から白濁とした液体を吐き出した。どうやら、アナルへ出した大量のザーメンが彼女の腹の中だけで収まることが出来ず、そのまま小腸と胃を逆流して、食道を駆け上がって口から漏れ出したようだ。

 

「おぼぼぉぉぉぉぉっ♥♥」

 

 どこかの国にあるライオンの石像の如く、尚も博士の口から真っ白な粘ついたザーメンが放物線を描いて吐き出さる。吐かれたものは畳床に飛び散り、大きな吐瀉池として広がっていく。間違いなく買い換えないといけない。

 

 びゅぐるるっ♡どぶっ…………どぷっ♡

 

 激しい脈動が漸く終わりを迎え、肉幹から硬さが抜けていく。とは言うが、それでもアナルに栓をするには十分に硬かった。

 

「博士、生きてますか?」

 

 間を置いて、僕は博士に声をかけた。彼女もザーメンを吐き終えたようで、ヒューヒューと息継ぎをしていた。

 

「じょ、じょじゅ……お前、な、なんでごどを……マジでじにがげだ…………」

「……すみません」

 

 アナルセックスを強行したのは僕の方だったので、素直に謝罪した。もちろん、繋がったままだ。

 

「えっと、とりあえず抜きますよ」

「ま、待て。それはまずい」

「まずいって、抜かなきゃ何にもできないですよ」

「いや、今抜いたら」

 

 言い切る前に、ぽっこりと膨れた博士のお腹から、ぎゅるるるという下るような音が鳴った。それは肉幹を通して僕にも伝わり、その正体を直ぐに察した。

 

「トイレ、行きましょうか」

「ゆ、ゆっくりだ。下手に刺激を加えたら、畳どころか部屋一面にブッパしてしまう」

「言い方……」

「今そんなことを言ってる場合じゃない…………ぉおぉおぉぉ、は、腹が掻き回されて」

「我慢してください。暴れて手が滑ったら、それこそ一一環の終わりですよ」

「そ、そうだな……んぉぉぉ……で、でるぅ……」

 

 腹の痛みに呻き声を上げる博士を宙ぶらりんな状態で慎重に持ち上げながら、部屋のトイレに向かった。この時だけ、僕は胸中で風呂トイレ別のボロアパートに感謝を捧げた。共同だったら惨事になっていたところだろう。

 

 その後、僕は博士と共にトイレに篭もり、彼女の腹に溜まったものを吐き出させた。肉幹を抜いた瞬間にグロテスクな惨状が広がったのだが、あまりにも汚すぎるので、ここで話すわけにはいかない。僕も話す気はないし、思い出したら吐きそうになるので、このことは墓場まで持って行くつもりだ。

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 3月下旬、小中高の学生達が春休みを迎え、新学期に向けて諸々と準備をする季節になった。今頃、僕が卒業した大学でも、後輩達が去り、新入生に向けて事前説明的なことが行われているだろう。

 

 博士の開発した淫薬によって引き起こされたドタバタ一騒動から早数ヶ月、僕は自分で借りているアパート……ではなく、博士のボロアパート……でもなく、やや小綺麗な白壁のアパートの一室に置いたソファの上で、風呂上がりの甘いサイダーを嗜んでいた。

 

 三階建ての最上階、2DKのやや広い、セキュリティ面バッチリなアパート。これでも築年数が古めらしいが、博士のボロアパートと比べれば何もかもが素晴らしいものだ。

 夏にいつの間にか上がり込んできた虫達に会釈をされる心配もなければ、冬に隙間から入り込んだ寒風に凍える心配もない。高めの家賃を払ってこれだけの恩恵が受けられるのは、僕達にとっては天国のようなものだ。

 

「助手っ!」

 

 過去を懐かしみ、今の生活の充実さに頷いていると、廊下に繋がる部屋の扉がバンっと開かれた。

 嬉々とした博士の声が僕を呼んだ。白衣でもないのに、パジャマは袖がダボダボになるほどに大きいサイズを着ていた。

 

「博士、扉は優しく開けてください。弁償、結構かかるんですから」

「なーに、この程度の扉如き、直せば良いだろう。それに、これを治す程度の金なら持っているからな」

「勿体ないからやめてください」

 

 呆れに近いため息をする僕を無視するように、博士は陽気な笑顔で隣に腰を下ろした。風呂上がりで湿った赤い髪から、白い湯気がホカホカと沸いている。

 

「お、サイダーか。私にもくれ」

「そういうと思いましたよ。はい、オレンジ」

「うむ、気が利くな」

 

 そう言うと、博士はサイダーとオレンジのボトルを手でそれぞれ掴み、空のグラスに同時に注いだ。2つのジュースが宙で交差し、波を打ちながら混ざり合う。並々まで注いだところで、博士はグラスを持ち上げ、風呂上がりの1杯をクイッと喉へ流した。プハァッ! と元気な息を吐いた。

 

「うむ、やっぱりサイダーとオレンジのミックスは最高だ。いつ飲んでも飽きない」

「飲むのはいいですけど、あまり飲み過ぎないでくださいよ。この前だって、チョコアイスにみたらしかけてたじゃないですか。糖尿病になったら大変なんですから」

「ははは、助手は心配症だなぁ。そう不安にならなくても大丈夫だ、私だって加減はしているんだ。なんせ、もうこの体は私1人のものではないからな」

 

 博士は高笑いをしながら、ブカブカなパジャマ越しに、ボテっと膨らんだお腹を両手で摩った。あの中には精液ではなく、胎児が収まっている。

 

 

 僕と博士が騒動を起こして数日後、博士はあのボロアパートを追い出された。

 原因は、あの時の喘ぎ声による騒音と畳一面に広がった生臭い液体、そしてトイレで出されたら大量のアレによる異臭だった。幸い、外を歩いていた人たちには『また何かやってる』程度にしか思われなかったが、大家さんにはそうはいかなかった。汚れに汚れた部屋を見られ、堪忍袋の緒が完全に切れたのだ。

 

 その後、博士は暫くの間とだけ言って、僕の住むアパートに身を置いていた。これまた古いアパートだが、博士のボロアパートに比べれば格段にマシで、2ルームという一人暮らしにはやや贅沢な広さだった。その一室を、博士は重い機材やら資料で埋めつくし、完全に占領してしまったのだ。

 とりあえず、次の住処が決まるまでの処置として、僕は博士と同居することになった。仕事は普段と変わらず、博士の研究補助やら、金稼ぎ用の依頼品の作成・開発やらをしていた。唯一違うとすれば、博士と常に一緒にいるため、残業から年中無休にランクアップしてしまったことだろう。逃げ場なんてものはもうない。

 

「おお、そんなことよりもだ。助手よ、また新しい発明を思いついたぞ」

「いいですけど、また変なものじゃないですよね?」

「変なものでも、私は常に役立つものしか造っていないさ」

 

 そうかな、という僕の反論も聞かずに、博士は新たな発明について指を宙で振りながら説明を始めた。

 

 

 僕との共同生活でも相変わらずな博士だったが、ある日から金の無駄使いをすることはなくなった。

 

 彼女の妊娠が発覚したのだ。

 

 どうやら、あの件で子種が卵を当てたようだった。あの時のやり方がやり方だったため、かなり心配したが、2人に特に異常は見られなかった。

 博士の開発した淫薬の効果によって、あの瞬間だけ僕の肉幹は異常な発達をした。しかし、精液を大量に飲んだ博士の体もまた、あの瞬間だけ極太な肉槍の猛攻に耐えれる身体を手に入れていたのだ。そうでなければ、博士の肛門と膣穴は、今頃常にぽっかりと開いてしまった状態になっていただろう。

 

 何はともあれ、妊娠が発覚した博士は大いに喜び、その日以来、無駄な金を使わず「この子と助手との生活のために!」と言って、貯めれる時は貯めるようになった。

 そのおかげで、今はこうして新しい場所へ2人で引っ越すことができている。いつか、新築を建てることがとりあえずの目標だ。

 

 また、最近では健康面も気にしているようで、夜遅くは徹夜をせず、一定の睡眠時間を確保するようにしている。僕も同じ時間に寝て同じ時間に起きているので、健康面は前に比べて頗る良くなっている。

 

 もちろん、博士は発明をやめていない。それはロマンの追求もあるが、お金のためでもある。依頼も、できるだけ受けれるものは受けるようにしている。研究費で消えても生活はできるように、僕もできることをやっているつもりだ。

 それでも、博士に比べれば雲泥の差だ。改めて、この人の常人離れした才能と頭脳が唯一無二であることを思い知らされた。

 

「てな感じで、これを……おっと、忘れるところだった。助手よ、膝を貸せ」

 

 僕が答える前に、博士はぽすんっと膝に座り、いつの間にか取り出した大きめの端末を両手に抱え、画面をタップして動画配信アプリを開いた。

 

 お金や健康だけでなく、博士は教育にも熱心に取り組んでいる。英才教育と称して、最近は配信されている英会話講座をお腹の子に聴かせている。僕達にとっては分かって当然なレベルの英会話だ。

 

「今日は道を尋ねる時の英会話だぞー、一緒に覚えるぞー」

「博士、いくらなんでもまだ産まれてないんですから」

「何を言っているんだ、こういう時期から教育というものは始まるんだ。なんと言っても、私と助手の子どもだからな。きっと凄い大物になるさ」

 

 なあそうだろう、と、博士はお腹の子に問いかけるように視線を向けた。

 確かに、赤子の頃が1番吸収が早いと聞いたことがある。しかし、まだ生まれてすらいない今のこの子に果たして有効なのだろうか。有効なのはクラシックなのではないのか。今は重要なことではないので、そのことについては悩むことを放棄して良いだろう。

 

 しかし、子どもを作るのは母性のためとか何とか言っていた博士が、今やこうして親バカになっている。きっと、当初の目的も忘れてしまっている。それほど、妊娠という経験が彼女に大きな影響を与えているのだろう。

 

 …………それに比べて、僕はどうだろうか。

 

 博士の助手とはいえ、僕個人でも稼いでいるとはいえ、今の生活の大半は彼女の収入で賄っている。博士は親として変化しているというのに、僕は何も変わっていないように思える。前に勤めていた会社の人たちから祝いの言葉を貰うまで、親になった自覚もなかった。

 まるで、僕だけがあの頃に取り残されているような気分だ。

 

「安心しろ、私はお前やこの子と暮らせれば十分幸せだ。お前も、前よりも結構変わったさ」

 

 僕の心を察したかのような博士からの唐突な発言に、僕は目を丸くした。そして、一拍打って意識を戻すと、博士が僕に振り返り「お、そうだ。助手、今日の分、まだやってないぞ」

「あれ、朝やってませんでしたか?」

「やってないさ。ほら、やるぞ」

「分かりましたから、燥んぐっ」

 

 僕の言葉を遮り、博士は飛びつくように僕の唇に自身の唇を押し付けてきた。オレンジとサイダーの風味が息をと通して伝わってきた。

 

「んっ、へへ、よし!」

 

 日課のキスを終えると、博士は照れくさそうに笑い、端末に視線を戻した。

 

 天才と称される博士とは思えないほど遥かに少女らしいその姿に、僕は癒されながら、彼女のボテっとしたお腹と赤い髪を撫でた。

 

 顔は見えないが、きっと、目を細めているだろう。

 

 

 

 

 

 




お腹から入った精液が口から出るのって、タグ的には何が当てはまるんだろう。
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