※この作品はR-18です。

オリジナルエロ話   作:歩輪気

21 / 25
長い間、何も書けない状態が続いていました。
久々の投稿です。
色々とガバガバで下手かもしれません。
この物語はフィクションです。実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
また、本作に偏見・差別等を助長する意図はありません。


レンとあの子

 ◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 SETU【なあ、放課後暇か?】

 SETU【ショッピングモール集まんね?】

 

 REN【ごめん】

 REN【今日はどうしても外せない用事があるんだ】

 

 SETU【デートか?】

 

 REN【うん】

 REN【夜までカラオケ】

 

 SETU【おーおー】

 SETU【友達そっちのけで青春しやがって】

 

 REN【そう拗ねないで】

 REN【また今度行こうよ】

 REN【僕の奢りでいいから】

 

 SETU【おう、約束だぞー】

 

 

 ◇◇◇

 

 

 今日もレンは学校での長い長い一日を終えた。

 

 毎日毎日、クラスメイトと一緒に一限50分の授業を夕方近くまで受けている。今日は体育の後に文系科目、昼食後に理系科目があって、他の子達と同様に、眠気と戦いながら必死にノートと向き合っていた。教師の声は子守唄に変わり、隣の席に集まる女子達の声は自然音のひとつになって、窓から吹き込む涼風は髪を優しく撫でた。おかげでホームルームが終わる頃には身も心もクタクタになっていた。

 今は、線路をカタンカタンと走行する電車に揺られながら、ワイヤレスイヤホンでお気に入りの音楽を聴いていた。一昔前のロックバンドの曲で、一応アルバムは全て揃えている。解散してから数年が経つけど、色褪せることのないカッコ良さと音色が耳穴を通して鼓膜に響く。

 車内には、同じ帰宅途中の学生達が沢山乗っている。お喋りを楽しんだり、スマホでゲームをしたり、参考書を開いて読み込んでいたりして、それぞれのやり方で時間を潰していた。

 いつもならこのまま家に向かうはずだ。家に帰って荷物を投げて、着替えもせずにベッドにダイブして、体を広げて暫らく眠って軽くリフレッシュをするだろう。

 けれど、今日はこのまま家には帰らない。なぜなら、『あの子』と待ち合わせをしているからだ。

 あの子はとても大切な人で、時間を共有したいと思える相手だ。恋愛に興味がある子の言葉を借りるなら、間違いなく『恋人同士』だった。

 

『今、駅に着いたよ』

 

 スマホにメッセージが届いた。今乗っている電車の前に発進した電車に乗っていたあの子からだった。

『了解』とすぐに返信を送った。放課後にあの子とこうして待ち合わせをするのは久々だ。それもあって、冷静さを装いながら内心ではウキウキしていた。さっきまであったはずの疲れなんかすぐに吹っ飛んでしまうほどで、人がいなかったら思わず気持ち悪い歓声を上げていたかもしれない。

 レン達は基本的に学校でイチャイチャすることはなく、会話もスマホで済ませている。クラスも違うから、面と向かって話すことはまずない。運良くすれ違っても会釈をする程度で、一緒に登下校したのも遊びに行く約束を含めて指で数える程度。同年代のカップルと比べたら明らかに一緒にいる時間が少なかった。多分、周りの子は自分達が付き合ってることすら気づいていないだろう。

 けど、それがレン達なりの恋愛の仕方だ。普段の生活と、友達との時間と、自分の時間、それぞれの時間を大切にすることを優先しているだけだ。

 メッセージのやり取りをしたり、通話で声を聞いたり、たまにいいなと思った写真を送ったり、それだけで満足。会いたい時は都合が合う時に会えばいいと考えている。

 でも、決してお互いを蔑ろにしているわけじゃない。会う約束をしたらしたで、今日はこのままずっと傍に居たいという気持ちを爆発させる。ギュッと手を握りしめあって、いつまでもこんな時間が続けばいいのにと思う。

 そして今も、こうしてあの子との待ち合わせを楽しみにしている。きっとあの子も、レンが来るのをドキドキした気持ちで待っているだろう。

 

 しばらくして電車が目的の停車駅に到着した。レンはイヤホンをケースにしまって、端っこに屋根がないプラットホームを他の乗客と一緒に降りた。

 足を着いた途端、金木犀の甘い香りが風に乗って靡き、制服と体の間を縫った。夏休み明けの暑さと比べて外は随分と涼しくなった。薄青色の空には細かな雲が列を作って沢山泳いでいて、いい感じに日差しを隠してくれている。

 その場で鼻から息を深く吸う。澄んだ甘い空気が鼻の奥を擽り、暖房で温まった頭蓋骨と脳の隙間に染み込んでいく。

 

 ──うん、いい匂いだ。

 

 ふぅ、と口から息を吐いて、リュックを背負い直して歩き始めた。人二人分くらいの幅の連絡通路を進んで、3つ並びの改札口を抜けて駅前広場に出た。広場と言っても、そんなに大きなものではなく、車が数台止まったらいっぱいになる程度の小さな場所だ。

 

 キョロキョロと辺りに目をやっていると、広場の端っこにある掲示看板の前で待つあの子の姿が目に入った。その姿を見ながら、レンは「アスカ」と名前を呼んだ。気づいたあの子が視線を向けて、笑顔で手を振って答えた。

 

 アスカ、それがあの子の名前。単語の一つ一つの響きが心地いい素敵な名前。

 

「ごめん、待たせちゃったね」

「ううん、全然」

 

 レンは片手を顔の前に立てた。アスカは手を横に振って「気にしてないよ」と口許を綻ばせた。数十分前にメッセージをくれたのだから、本当はまあまあ待ったはずだし、授業の疲れもあるはずだ。

 でも大丈夫、そんな心配は杞憂に終わる。なぜなら、アスカはちっとも苦痛に感じていないからだ。レンと同じで、デートをすることを楽しみにしていたのだ。レンだって、アスカの透き通るような笑顔を見たら、残っていた疲れなんて完全に吹っ飛んでしまった。

 

「じゃあ、行こっか」

「うん」

 

 顎を引き、アスカと並んで歩き始めた。

 白い長袖シャツと黒ズボンを纏う男の子と、セーラー服(中間服)のミディアムボブの女の子。

 並んで歩く姿は、きっと誰が見たって初々しいカップルを連想させるだろう。

 今も、彼女の方から彼氏に手を差し出している。

 

「…………」

「……え、なに? どうしたの? 僕、なにかしたかな?」

「……いや、久々にこうやってデートするんだから、やること、ないのかなーって」

「……あ、そういうことか」

 

 レンは右手を、アスカは左手を重ねて、指の一つ一つまで絡ませて手を繋いだ。世に言う恋人繋ぎという握り方をして、手許が離れないようにした。

 普段の学校生活だと、2人は大人しい部類の生徒に入る。しかし、こうして2人きりの時は甘えたりふくれっ面をしたりと、みんなの前では出さない一面を見せている。

 

「今日は何時間歌う? 時間とか大丈夫かな?」

 

 ぷらぷらぷらぷら、繋がれた手をゆらりゆらりと歩行に合わせて前後に揺らすなか、アスカが首を傾げた。レンは「今日は時間ギリギリまで大丈夫だよ。ちゃんとOKもらった」と空いた手でスマホを取って見せた。液晶画面には家族のやり取りが映っている。『遅くなったりするならちゃんと連絡すること』と、近所の野良猫をアイコンにしている親から返信も来ていた。

 

「アスカの方こそ大丈夫?」

「こっちは全然、2人とも、仕事で明日までいないから」

 

 アスカの両親は共働きで、仕事の多忙さから帰宅する時間帯はバラバラだった。ついさっきも、どうしても泊まりになると連絡が来ていた。今日は家に帰れないのは確定しているらしい。だから、ちょっとだけ夜遅くに帰っても怒られる心配はない。

 

「今日は喉が嗄れるまで歌ってみよっかな」

「そうだね」

 

 2人は顔を見合せて笑みを弾ませた。

 

 歩道の途中で広い公園が見えた。ここにはカラオケ店までの近道があり、2人は公園に入って遊歩道を歩いた。

 波波とした緩やかなカーブが先の方まで続いているこの道は、両端を一部が色づき始めた葉を茂らせる木々によって囲まれている。もう時期、この道は紅葉で真っ赤に燃えるだろう。夏になれば緑葉が枝いっぱいに生い茂り、真夏の陽射しを遮る日陰道を作る。逆に冬になると禿げた枝道を作り出し、冷たさを纏う道になる。季節によって風景を変える不思議な遊歩道だ。

 道の右手側には、木々を挟んで広めな野球場と公園が設けられている。野球場では時々、どこかの少年野球チームが試合練習をしている。今日は特にそういうのはないようで、代わりに近所の子供たちがサッカーやらバレーやらで広々と使っていた。公園の方も、遊具で戯れる子や小さな東屋に集まってゲームをしている子がいた。

 

「いいなぁ、あんなにはしゃげて。僕なんて、あのぐらいのときは家に帰ってゲームばっかりしてた気がする」

 

 懐かしむような、羨むような眼差しを向けながらレンは無意識に呟いた。遊ぶ彼らを見て、つい心の声が漏れたのだ。

 でも、アスカはきちんと拾ってくれて、「そっかー」と返し、「レンって、ホントにゲームが好きなんだね」と付け加えた。

 

「そんなでもないよ。好きなのをやってるだけで……アスカは、どうだったの?」

「うーん……やっぱり、本を読んでいることが多かったかな。誰かと遊ぶなんてことも、ほとんどなかったね。おかげで遊び友達って呼べる子も、そんなにいなかったかな気がする」

「僕もおんなじ感じかな。一緒に遊んでくれたのは、セツだけだったよ」

 

 セツ──レンの幼馴染の名前だ。喧嘩が強くて、口が悪くて、大の付く甘党で、鮮血が飛び散るような血みどろのグロ系の映画が好きなあの子は、別の高校に進学してからもレンとの友情を育んでいた。

 

「さっきも放課後に遊ぼうって誘われたんだ。デートがあるから無理って言ったら、ちょっと拗ねちゃったけど」

「大丈夫だったの?」

「今度なにか奢るって約束したよ」

 

 最近はレンが恋愛にうつつを抜かしていると拗ねることが多くなった。けど、何のかんの言って2人の仲を応援してくれている。そんなセツは、間違いなく『大切な親友』だった。

 

 遊歩道を歩いてカラオケ店に向かいながら、学校での今日の出来事を話した。

 数学の難しさと、体育の運動神経の有無による成績の差の理不尽さと、古文と英語のお経と。どれも他愛もない話だけど、時間を潰すのにはちょうど良かった。

 共通していたのは、男子も女子も、異性の体のことを話題にあげていたことだった。今日はどちらのクラスも体育の授業があって、それぞれの更衣室で周りの子達は異性の体についてあれこれと話していた。あの部長は実は胸が大きいとか、あの男子はヒョロそうに見えて腹筋が割れてるとか、年頃の子には普通にありそうな会話だった。

 あとは、コンドームないからちょうだいとか、ナプキンないからちょうだいとか、ちょっと刺激が強めな会話も聞こえた。

 レンもアスカも話題に参加はしなかった。けど、耳は傾けてはいた。そういう会話を聞くのは、ちょっとした情報収集になっている。恋愛話なんかは参考程度に聞き耳を立てているが、それが役に立ったことは殆どない。

 

「レンも、異性の体とか興味あるの?」

 

 秋の空を遮る緑葉を見つめていたら、アスカが急に訊いてきた。理解するまでぽかんとして、直ぐに頬を赤くした。

 

「あー、僕は、まあ、その……」

 

 そんなの口で言えるわけないじゃないかと、あせあせと頭を横に振ろうとした。けど、それだと嘘になるから、口を噤んだまま素直に頷いた。

 

「そっか。うん、そっか」

 

 ふふっ、という声が聞こえそうな表情でアスカが微笑む。「そういうアスカは、興味あるの? 例えば僕の体とか」と唇を尖らせて訊きかえした。訊いてすぐに気持ちの悪いことを言ってしまったと思ったけど、アスカは即座に肯いた。もちろん、と返事も付け加えて。

 素直に嬉しいと言った。でも堂々と返されて恥ずかしかったから、俯きながらになったけど。

 

 

 カラオケボックスに到着して受付を終えると、少人数用の狭い個室に入った。三人でちょうどいいくらいの広さの部屋の中で、肩を並べてL字のソファに座った。

 制服の肩と袖が触れ合うくらいに近い。蒸れる汗の匂いもハッキリと分かるくらいに。

 この距離間が好きだった。普段から一緒に居ない分、こういう時は思いっきり触れ合っていたかったのだ。

 

 何を歌おうかと話し合いながら、機械を操作して歌う曲を選んだ。履歴から人気順まで、隅々まで曲目を覗いた。たまに歌詞を忘れるとスマホで曲をチェックしたりした。

 結果、初めにカラオケでよく歌われる曲を数曲選んだ。

 1つ目はとあるアニメの主題歌で、2人が生まれるかなり前に放送されたもの。視聴したことはないけど、有名なので歌だけは知っていた。だから二人でデュエットして歌うことが出来た。

 2つ目もアニメの曲で、最近SNSで話題になっている、有名なアーティストが歌っている曲だった。

 3つ目は聞いたことがない人はいないと言われるほどに有名なアイドルユニットの曲で、今でもテレビや動画で流れている。

 

 決して上手いわけではないけど、一生懸命歌った。学校で溜まった色々なものや、二人でいられる事を幸せと叫ぶようにデュエットを心から楽しんだ。

 

 その後は、メニュー表で摘むものを注文して食べながら自分達の好きな曲を選んだ。交代交代で、それぞれがよく聞く曲を選んだ。主にアプリや配信で聞き流している中で特に気に入った曲が中心だった。もちろん、もともと好きで聞いていたアーティストの曲も歌った。レンは電車で聴いていたロックバンドの曲を、アスカはお気に入りのガールズバンドの曲を歌った。

 

 一通り歌い終えて時間を確認した。夢中になって時間を忘れていたのもあって、時刻は夜の7時を過ぎていた。お腹が空いたからとポテトやチキンの他にもラーメンやチャーハンも注文したから、お腹はちっとも空いていない。夜ご飯代わりだった。

 

「もうこんな時間なんだ、なんかあっという間だね」

 

 ふぅ、と一息ついて、アスカはソファに背中を任せて足を投げ出した。レンも同じような姿勢になりながら、「アスカといると、楽しくて時間も忘れちゃうよ」と言い、すぐに気持ち悪すぎたかな、と後悔して俯いた。

 でもアスカも「こっちもおんなじ」と恥ずかしそうに肯定した。

 2人きりのときはこうやって遠慮なく惚気ている。学校で触れ合わなくても、プライベートで十分にイチャついているから問題はなかった。

 

「……ねえ、レン」

 

 ふと、アスカに呼ばれて、どうしたのと目を向けた。アスカの澄んだ瞳がレンを捉えている。

 

「付き合って、もうどれくらいになるかな……?」

 

 唐突な質問にドキリとしながら、レンは顎に手を当てた。「大体半年くらい、だと思う」と答えると、アスカは「そっか」とゆっくり瞬いた。

 

 半年。出会ってから恋人になるまでを引いて半年。短いようで実は長いような気もするこの期間、まだあることをしていない。これほどまでにくっつくくらいに気を許しているし、大切に想っているのに、先に進んでいない。

 噂によると、同年代の子の多くは半年も経てば諸々を済ませてしまうらしい。諸々っていうのは、校則だったり法律で禁止されてる、人前で口にするのはタブーと言われている諸々のことだ。タブーの割には校門の前で堂々と手を繋いだり、ハグして抱き合ったり、何度もキスをするカップルをよく見かけている。この前なんて、電車の中で同校の生徒が他人の目を気にせず壁ドン状態でイチャついてるのを目撃してしまった。

 

「みんな、普通にやってるよね」

「うん、普通に……ね」

 

 別に、レンもアスカもやりたくないとは思ってない。

 みんなみたいにあれもこれもやりたいしやってみたい。

 ただ怖くて前に出る勇気がないのだ。

 

「ねえ、レン……今、してみる? ほら、その…………」

「…………キス?」

 

 モゴモゴと線を引くアスカの口が答える前に、代わりに言葉を繋げた。アスカは目を丸くしたけど、目を逸らして素直に頷き、頬がじわじわと紅潮していった。

 

 キスだなんて、知り合った時には考えもしなかった。付き合ってからも、いつかはするのかなぁと思いつつも言い出す勇気は無いなと思っていた。そんなことしなくたっていいと思いながらも、内心でやはりやってみたいと思っていた。

 それが今、こうして自分達で道を切り開くみたいにやろうとしている。でも初めてだから悶々としてしまう。セツがこの場にいたら「さっさとやれよ」と横から野次を飛ばしているだろう。

 

「キスかぁ……うん、キス……うん」

「キス……だね」

 

 緊張しないはずもなく、揃ってみんなには見せたことがないくらいに顔を真っ赤にしている。カラオケ特有の色つきの暗めな灯りも相まって、それっぽい雰囲気は完成されていた。さらに天井に吊るされた機械が、壁中にミラーボールのような丸い斑点模様の灯りを撒き散らしているので、気分はかなり高揚している。学生服の隙間から、逃げようと足掻く体の熱気がモワモワと上がっていた。

 

「……やっぱり、キツイよね。突然そんなの……ごめんね」

「ううん……しよう。僕も、したい」

「……いいの?」

「うん、いい。アスカとなら、いや、アスカとだから、僕はやりたいんだ」

 

 覚悟を決めるように、姿勢を正して向き合った。ソファに正座までして、自分達の顔をじっと見つめた。

 そして同じタイミングで互いの肩に手をやると、目を細めて顔を近づけて口付けを交わした。

 

「……んっ」

 

 ご飯やジュースを食べた後の状態でやるのはどうなのだろう、もしかして臭いかもしれない、歯磨きとかしなくていいのかな、嫌われたらどうしよう。触れ合う直前にそんな考えが頭を過った。

 でも、そんな不安はキスをした瞬間に溶けて消えてしまった。

 柔らかい、他人の唇ってこんなにも柔らかいんだとレンは思った。自分も同じ程度の熱を持った唇が、表面に密着している。このまま溶けてしまいそうと錯覚するくらいに、アスカのキスに快感を覚えていた。

 

「……っ!?」

 

 にゅるりと、アスカの唇をこじ開けて大胆にも舌先を捩じ込んだ。隙間の先にはねっとりとした空間が広がっていて、舌先は歯に当たった。表面のサラつきを確認しながらレンはそのまま動かして、歯と歯茎をにゅるりにゅるりと愛撫していった。

 フライドポテトのソースと塩、ジュースの甘さ、チキンやラーメンの油。色んな味がしたはずだけど、甘さしか感じなかった。だからもう夢中になって撫でていた。

 アスカも驚いたけど、大胆なアプローチを受け取って、同じように舌をレンの口の中へ滑り込ませた。

 

 アスカの口の中って、美味しいんだ。

 レンの口の中って、美味しいんだ。

 

 同じことを思いながら、もっと体を密着させた。

 唇は隙間なく重なっていて、息を吸う度にきゅうきゅうと頬が窄み合う。その内側で、舌肉同士が螺旋を描くようにグルグルうねうねと絡み合った。甘〜い唾液と唾液が混ざって、味覚に蕩けた刺激を与えた。もちろん甘い味なんてしてなくて、本当はめちゃくちゃな味だけど、2人の舌はデザートでも食べているかのような甘さを感じていた。そういえばこの前、セツと一緒に家で食べた新発売のシュークリームもこんな味だったっけ、なんてことを思った。

 

「んっ、ふぅ……ん゙っ」

 

 互いにリップ音と湿った息を漏らしながら、右、左と頭を傾けてキスの角度を変えてみる。

 その度に、鼻先が擦れあって、息がかかり合う。

 唇の隙間で唾液がねとっと息を引き合って、顎下につうっと伝って落ちる。

 レンは痺れ、アスカの熱をもっと感じたくて、背中に手を回した。

 胸元で柔らかいものがぷにゅりと潰れた。セーラー服を着ていても、女の子のおっぱいの柔らかさは十分に広がる。それをクッションみたいにして、2人分の心臓の鼓動を感じ合った。

 

 ドックン、ドックン、ドックン。

 

 沸騰したみたいに熱い体温の中で、レンもアスカも胸を高鳴らせた。血液がブクブクと泡を立てているみたいで、このまま血管がブチブチと破裂して体ごと爆発してしまうんじゃないかと想像してしまうくらいに激しく脈動していた。

 感情に任せて、アスカの背中に回していた手を下へ動かした。2人の体の間に潜り込ませるように滑らせて、そのまま下半身に触ろうとした。

 すると、アスカの手がそれを止めて、一旦顔を離した。

 

「ごめん、いきなり。嫌だったよね」

 

 自分のやろうとした行動を恥じてアスカに謝った。でも、アスカは怒っていなくて、惚けた顔を苦笑させながら部屋の隅っこを指さした。

 

「……流石に、ここでやるのは辞めよ?」

 

 丸っこい透明な半球の中で、黒いものがキラリとレンズを光らせている。すっかり失念していたけど、ここはカラオケ店、監視カメラはちゃんとあるのだ。この先のことをしたらバッチリ残ってしまう。

 

「バレたら大変だろうから」

「そうだね」

 

 苦笑しながら、でも嬉しそうに口角を上げた。

 初めてでちゃんとしたキスができた。ファーストキスは柔らかくて美味しくて、溶けてしまうかと幻覚を見るくらいに素晴らしかった。「僕、こんなにドキドキしたのは初めてだ」と口に出さずに飲み込んだ。こういう気持ちは出さずに胃の中で溶かして全身に沁み渡らせたい。

 

 でも、なんだか勿体ない。

 

 折角そういう感情が湧いてきて、しかもどちらも乗り気だったのに、キスから先のことができないなんて。若くて盛んな性欲はすっかりその気満々になっていた。ここがカラオケじゃなければ、監視カメラがなければ、そのままやることをやっていただろう。

 

「アスカ……あのさ、僕、やりたいんだ。アスカと…………その……せっ……くす」

 

 言葉を濁しながら勇気を出した。アスカにドン引きされるかもしれないと思いつつも、伝えずにはいられなかった。

 けど、アスカは引かなかった。寧ろ自分も同じと言うようにこくりこくりと大きく頷いた。

 

「……もしよかったら、今日、家に来る? ほら、親いないから」

 

 考える間もなく、二つ返事でうんと言った。こんな悶々とした感情を残したまま帰りたくはなかった。きっと夜中は眠れないだろう。どうしてあの時やらなかったと後悔するだろう。

 スマホを出して、『今日はアスカの家に泊まってく』と高速に文字を打ち込んで家族にメッセージを送った。数分後、OKの絵文字が返された。

 

「じゃあ、もうちょっとだけ歌ったら出よっか」

「うん」

 

 とは言ったものの、結局、歌に集中することはできなかった。頭の中がピンクに染められてしまったせいで、歌すらもどうでも良くなってしまったのだ。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 REN【あのさ】

 REN【コンドームって、未成年でも買えたっけ?】

 

 SETU【なんだよいきなり】

 SETU【バレーでもすんのか】

 

 REN【違う】

 REN【ただ、今すぐ必要になる……かも】

 

 SETU【え】

 SETU【マジ?】

 

 REN【うん】

 

 SETU【ちょっと待ってろ】

 SETU【今調べた。一応買えるらしい】

 SETU【つーか、そーいうのは自分で調べろよ】

 

 REN【ごめん】

 REN【不安だったからつい】

 REN【ありがと】

 

 SETU【まあ、がんばれ】

 

 

 ◇◇◇

 

 

 アスカの家を訪ねるのは、これで数回目だ。

 初めては、友人としてようやく仲が深まりあった頃に、アスカから家に遊びに来て欲しいと誘われたとき。それを期にたまにお家デートとかもしていて、アスカもレンの家に遊びに行っている。だから、それぞれの家族と顔合わせと挨拶を済ませていた。アスカの両親も、良かったらいつでも泊まってっていいと言っている。二人の関係は親も公認なのだ。だから、緊張することはないはずだ。

 

 でも、緊張していた。

 

 カラオケ店を出て、アスカの家まで歩いている道中、心臓が破裂する勢いでドキドキしっぱなしだった。

 夜で暗いのもあるからと手を繋いで、指の1本1本を絡ませながら街路灯に照らされた道を歩いた。汗で濡れている手が離れないようぎゅっと握りしめた。

 途中で立ち寄ったコンビニでカモフラージュのスイーツと一緒に避妊具(コンドーム)を購入した時なんか、顔を真っ赤っかにしていて、店員から苦笑されてしまった。袋はいりません、なんて堂々と言えるはずもなかった。お金を半々出すのがやっとだった。

 到着しても手は解けなくて、部屋で手を繋いだままベッドに並んで腰掛けていた。青いカバーをつけたシーツが撓んで2人の尻を受け止めている。

 

 もう何度か来ているはずのアスカの部屋。アスカのいい匂いが漂う部屋。

 

 なのに、雰囲気と緊張だけで目の前の景色がガラリと変わる。さながら、大きくて丸いベッドの置かれた、淡いピンク色の照明が包むラブホテルに初めて泊まった男女のようなシチュエーションだ。当然だけど、まだラブホテルに泊まったことはないから実物がどんなものかなんて知らない。でも、学生のレン達にとって、この部屋は似たようなものになっていた。

 

「………………」

 

 黙りとしたまま、2人して天井の隅っこを見つめている。いつ声をかけようか迷っている。手は離れず、かと言って力も入れずで、つっかえて動けない2人を表しているかのようだ。

 声をかければその瞬間から行為は始まる。キスはさっきたっぷりしたから、あとは前に出ればなるがまま。

 けれどどっちも動かなくて、さっきから頬をかいたり唇を歯で挟んでみたり。どうにも進みそうにない。

 

「……レン、あの…………」

 

 アスカがこっちを見て、レンも目を向けた。でも、それっきり言葉は出ない。さっきのキスみたいにやればいいのに、どっちも怖気付いてしまっていた。

 

 擽る空気の中で、レンは悶々とした気持ちが高まっていた。ここまで来たらもうやってしまいたい。体の中で疼疼と悶々が虫のように走り回っている。ここで辞めたら今夜は眠れないだろう。頭の中でアスカとのまぐわいを妄想しながら、何度も体液を跳ばすことになるだろう。

 体と心がアスカを求めていた。アスカ、アスカ、心の中も頭の中も、アスカへの想いが溢れていた。

 

「──アスカ」

 

 もう我慢の限界だった。

 一瞬怯んだアスカの隙を着くように、顔を近づけて唇を押し付けた。

 今度はゆっくりで優しくなんてものじゃない。一方的に相手の唇を貪るように口で覆って舌先を捩じ込んだ。

 

 むちゅ、ぴちゅ……んちゅっ♡むちゅっ♡

 ちゅっ、れろっ、ぴちゃっ♡

 

 唾液と唾液が絡み合う水音が共鳴する。カラオケの時よりも大きくて厭らしいそれは、耳奥の鼓膜を煽るように擽る。

 レンは無我夢中でアスカの口の中を舐め回した。舌先で歯茎を愛撫するのはもちろん、歯の裏側から下顎と舌肉の間まで、さっきは味わい損ねたアスカの口肉を貪った。

 自身の舌を絡ませながら、アスカの赤い舌肉を吸った。唾液と肉が口の中へ吸いこむ感触がなんともたまらない。その逆も然りで、アスカが同じようにレンの舌を吸うと、吸われる快感が襲ってきた。舌を通して頭から足先にかけてピリピリとしたものが走り、全身から熱を生み出す。

 

 れろ、むちゅっ、びちゅ、ぬちゅっ♡ぬちゅ♡ぬっちゅ♡

 

 興奮をそのままに、お互いの体を手でまさぐりあう。背中や首筋をなぞる度に、首元や背中にひやっとした感触が血管を伝って全身を駆け巡って、皮膚を粟立たせる。たまに逞しい手が胸元を触ると、ふんわりとしたものをふにゅりと弾んだ。

 

「ん、あっ……!」

 

 アスカを押し倒してベッドに寝かせた。レンが上でアスカが下、覆い被さる体勢になった。

 お互いの体を弄りあいながら、制服を脱いでいく。シャツとズボンと、セーラースカーフとスカートと。スボンのファスナーとセーラー服のファスナーと。インナーとタンクトップと。

 学生の証として体を包むものが一つ一つ解けていった。

 

 ちゅ、むちゅっ♡ちゅるっ♡……レロレロっ♡

 

 ちょっと頭を浮かせて、舌先を撫で合う。

 チロチロと海蛇の体のように波をうちながら、透明な唾液を絡め合う。

 絡まって濁った唾液は、ねちょり、ねちょりと粘っこい音を立てながら、部屋の明かりで白く輝いている。

 生暖かくてとろりとしていて、ごくごくと呑み込みながら鍔迫り合いに耽った。

 

「「…………あっ」」

 

 唇を離して、脱げかけの制服を床に放り投げた。衣服を脱ぎ捨て、あっという間に下着姿になった。こんな姿は体育の着替えの時に同性にしか見せたことがないから、凄く恥ずかしい。

 

 でも、同時にお互いの裸体に興奮を覚えていた。

 

 彼女の姿を見てちんぽは下着を突き破る勢いで盛り上がり、彼の興奮具合を見ておまんこは愛液で濡れて受け入れる準備を整えていた。

 

「あのさ、下着は自分で脱いでいいかな? その、僕も、流石にいきなり脱がせるのは……ちょっと、ね」

「……うん、そうしよ」

 

 キスまでしたのに何を今更、なんて、ここに見物客がいたならそんな野次を飛ばしていたかもしれない。

 でも、ここにいるのはレン達だけだ。レン達の好きなようにすればいい。

 体を起こしてベッドの上で向かい合いながら、纏っていた残りの下着も脱いでいく。

 

 まずは、彼女の番。

 水色でセンターに小さなリボンが付いた可愛らしいブラジャー。いつもなら楽なブラトップで済ませているけど、今日はデートだからとお気に入りのものを身につけた。それが功を奏したらしい。

 背中に腕を回して、3段のブラホックを一つ一つ、プチリプチリと外していくと、2人の視界に灘らかな乳の双丘が現れた。尖った薄い乳首を生やした、丸みを持ってほんのりと膨らむそれは、男性器への性的興奮を促すに充分で、パンツの中のものをビクビクと震わせた。

 

 彼女がブラを取ったら、次は彼氏の番。

 急ぎめにパンツを蹴って剥ぎ取ると、下半身から縦長な男性器が飛び出した。赤いウインナーみたいで可愛い、なんて生ぬるいものじゃない。色素が陰部の肌全体に染み込んでいて黎黎しいうえに、表面に青い血管が筋を作ってピキピキと唸っている。雄の象徴とも言える逸物が視線を奪い、それに反応して上下する。

 

「やっぱり、男の子のおちんちんって、ちょっとグロテスクかも」

「自分でもそう思うよ」

 

 彼氏がパンツを脱いだら、次は彼女の番。

 少し体を浮かせて、ブラジャーと同じ色のリボン付きのショーツのゴムを掴む。恥じらいを感じながら、するりと足先から抜けるのを見守った。

 男の子と違って、女の子のあそこはつるりとしている。けれど何も無いわけじゃなくて、陰茎がある部分に小ぶりな割れ目を作っている。黒い陰毛の生い茂る恥丘の下にある縦に裂けた陰唇。その隙間から透明な愛液がじゅんっと溢れていた。

 

「……どう?」

「……すごく、唆ると思う。女の子の、その……まんこって、実際に見るのとじゃ、やっぱり違うって言うか……うん、僕は嫌いじゃない」

「……そう言われると、けっこう恥ずかしい」

 

 2人は赤面しながら頬を緩めた。裸を見せ合うなんて初めてのことで、すっごく恥ずかしいけれど、自分達の隠していたものをようやく見せられて、すっごく嬉しい。下半身に備わっているものが反応してしまうくらいに。

 

「ねえ」

「ん?」

「こういうのって、どっちからやるのかな?」

 

 初めてだからやり方なんて分からない。

 でも、エッチな動画のおかげで入れて腰を揺らすことは知っている。どの穴にナニを入れるのかも一応知っている。

 

「じゃあ、僕が動くから、横になって」

「……うん」

 

 思春期で熟した女の子が裸体を仰向けにして、膝を立たせた両脚を広げて股を開く。

 剃り揃えた陰毛の茂みに隠れるように、ちょっぴり黒めな、股間からおしりの穴の少し上にかけて綺麗に裂けた恥谷が聳えている。丁度てっぺんには男性器よりもうんと小さな豆粒がぴょこんとあって、新鮮な淡色をぬらぬらと濡らしながら包皮から飛び出していた。

 

「……生で見たの、初めてだよ……」

 

 そう言って、お股に手を伸ばして指先で唇に触れた。たっぷりとキスをしたおかげで、ビラビラとした秘芯はふっくらと充血している。軽く縦になぞってみると、隙間からトロリとした液体が染み出した。

 

 くぱぁ……♡とろぉ……♡

 

 裂け目を2本の両手指で開くと、とろんと愛液が唇の間で糸を引いた。お股全体とは違って、中身は穢れを知らない初々しいピンク色をしている。ずっと守られてきたからかなり感度が良くて、試しに指でふわりと摩ると、悲鳴と一緒に下半身がビクビクンっと揺れた。さらにじわっと愛液が溢れ、ぬらぬらと濡れた。

 

 なにより目を引いたのは、おしっこの穴の下にある蜜穴だった。皺皺で人差し指が入りそうなくらいの大きさのその穴からはトロトロとした透明な愛液が溢れていて、つつくと蜜が谷間を伝って落ちた。伝った液体は露になった尻穴を掠めてトロリと覆う。

 

 恥ずかしい箇所をじっと見つめられて、彼女の顔から火が出そうになる。両手で必死に隠すけど、呻き声と涙は漏れてしまう。

 

 女の子のおまんこ、ピンと立った乳首。それを目の前にした男性器は充血しきった。はち切れそうなくらいに勃起しながら頭を揺らして、先走った粘液を溢れさせた。

 

「じゃあ、ゴム付けるよ」

「……うん」

 

 一旦手を離し、箱からコンドームを取り出して、慣れない手つきで装着していく。

 本当は、付けずにやりたいと思っている。初めては何も付けずに、お互いの体液を染み込ませ合いたいと思っている。

 けど、そんなことをすれば同然だがリスクを伴う。自分達のような学生は、まだその責任を負うことはできない。これは身を守るための正しく必要な手段なのだ。

 

 …………初めては、付けずにやりたい。

 

 思わず洩らした声に視線を向け合う。声の主はどちらも。仲良く同じタイミングで声を発したのだ。

 暫し見つめ合うなか、レンはゴクリと唾を飲んで唇を解いた。

 

「……僕は、そうしたいな」

「……うん、じゃあ、そうしよっか」

 

 付けかけのコンドームを横に放り、再び淫唇を開かせる。生でやれると分かったからなのか、つい数秒前よりも愛蜜がとろとろに溢れていた。ぬらりと光を反射していて、より卑猥さを増していた。

 

「んっ」

「ひゃっ!」

 

 脚の間に顔を埋めて、舌でぺろりと舐めてみた。海のような潮っぽい香りが鼻奥を燻るなか、甘酸っぱい味が舌の上で転がった。舌上に触れた瞬間に、顎がビリビリと痺れ、徐々に筋肉と骨に染み込むように頬へと這い上がる。敏感な部分に生暖かくて柔らかいものが這いずる感覚にか弱い少女の甲高い悲鳴が上がった。

 

「……じゃあ、いくよ」

「……うん」

 

 指で蜜穴を広げる。薄い膜を持った穴はヒクヒクと痙攣していて、今すぐ頂戴とペニスを求めているかのようだ。

 太い先端が蜜穴の入口にぴとりと当たる。鈴口が咥えたところで、両手で太ももを掴んでバランスを取る。

 そしてそのまま腰をゆっくりと押していくと、丸い頭は穴の中へ潜り込んでいった。

 

 じゅぶぶっ……ぶちぶち……♡みちっ♡

 

 ずっと純潔を守ってきた薄膜が、小さな音を立てながら破れていく。その痛みはかなりのもので、けれど中に入っていく快感が体に迸って、苦痛と喜びの混じった悲鳴が彼女の口から漏れた。猫の手を作った手で口許を抑えているけど、そんなのは無意味だった。

 彼もまた、自分の男性器が蜜壷に潰されていく感覚に、腰を震わせて雄叫びを上げた。本当は避妊具を付けないといけない、なんて言う考えはキツさと気持ちよさで吹き飛んでしまった。

 

「(痛い、痛すぎる……っ! でも……これ、いいっ♥体の中、どんどん満たされて……♥)」

 

 体の内側に捩じ込まれる異物感に眉間に皺を寄せながらも、彼女は内心で満たされることに悦びを感じた。

 自分の肉茎が押し潰される違和感に腰を震わせながらも、彼はその快感に掠れた雄叫びを上げた。

 

 ずっと、こうするのを夢見ていた。

 

 プラトニックでいいとか、不純がないお付き合いとか、周りには色んな恋愛の仕方があるらしい。時代が進んで、恋愛にもレパートリーが増えたという。

 

 でも、プラトニックじゃ厭だった。

 

 プラトニックなんて知ったことか。

 これは自分達の恋愛なんだ。

 こんな出会い、多分2度あるとは思えない。

 ここで1つになって、千切れない繋がりを結んでしまいたい。

 

「「あ゙っ…………」」

 

 腰と腰がぶつかった瞬間、か細い共鳴を上げた。

 蜜壷はキツキツでギューギューと肉茎に吸い付いている。穴はパクリと隙間なく竿を咥えていて、花弁もきゅう、と閉じている。無数に並ぶ肉襞の先端の1つ1つが指先のように雄物を愛撫する。あまりの快感に、早くも睾丸が震えて絶頂を迎えそうになってしまう。

 2人して喉を震わせて口をパクパクとさせるだけで、声を掛け合えない。でも、目を合わせることでお互いの気持ちを伝えることができた。

 

 じゅぶ…………ぬちゅっ♡ぬちゅっ♡ぬ゙ぶっ! ぬぢゅっ♡ぢゅっぷ♡

 

 傷がつかないように慎重に腰を動かす。ずっと閉じていた道を肉茎が這い回り、絡み合った肉襞は出入する度にほぐれて緩くなる。破瓜のキツさがあるとはいえ、膣内は既に愛液によってグチュグチュと湿って潤っている。そのおかげで、レンもアスカも妙な痛みをあまり感じることはなく、気持ちよさに目尻を垂れさせた。

 

「うっ、あぁっ……っ!」

「は、はぁ、あぁん゙!」

 

 生殖器と生殖器がむつみあい擦れ合う感触、先走りした体液同士が水音を立てながら混ざる感触に、2人は喘ぎ声を共鳴させる。

 腰が引く度に結合部から赤く滲んだ蜜が漏れ出して布団に染みて、腰がぶつかる度にパチュンパチュンと弾ける淫らな音が出た。

 

 ずっちゅっ♡ずっちゅっ♡ぶっちゅ♡ぶっちゅっ♡

 

 全部が夢じゃない。

 今ここで、アスカの部屋で現実として起こっている。

 レンは体の内側から歓喜した。内臓達が喜びの悲鳴を上げている。体に他にも口があったら、至る箇所から声を上げていたかもしれない。

 

 

 ──アスカ、アスカ、アスカ、僕、アスカと1つになれてる。僕はずっとこうしたかった。

 

 ──レン、レンのこと、好きだよ。ずっとこのまま1つに溶け合えたら、いや、溶け合っていたい。

 

 

 部屋の明かりが視界を白くさせる。頭の中も熱で茹だってしまって、まともな思考ができない。

 腰を引く、腰を突く、喘ぐ、呻く、やる、やる、只管やることだけを考え続けた。

 

「う、んん……っ!」

「ふぁ、あぁ、んんぁ……ぁあっ!」

 

 全身に力が入る。抱き合い、支え合うように体を重ねた。灘らかな2つの丘が裸体の間で潰れて、コリコリと乳首を擦らせる。彼女の開いた脚は自然と彼の脚元に回り、抱きつくように絡まった。

 

「アスカ……」

 

 レンはアスカの名前を呼んで、押し付けるようにキスを交わした。今日だけで数回目になるキスなのに、口の中は今日1番に蕩けていて、ねばついていて美味しかった。

 

 ──んっ、ちゅ、んぢゅっ、んふっ、んっ。

 

 唇で何度も啄み、舌先で突きあう。

 誰から教わったわけでもない、エッチな動画もキスはあまりしていない。教科書に載ってるはずもない。けど、本能的にセックスのキスがどんなものなのかを知っている。

 

 レン達は両思いだ。そして、体の相性もバッチリだ。

 

 ペニスは何度も子宮口を求めて突き上げて、子宮口はペニスを求めて自らを下ろす。そしてぶちゅっとキスを交わす、何度も交わす、お臍の裏で暴れるペニスが敏感な箇所を何度も突く、艶やかな悲鳴は最高潮に達する。

 

 もっと先に、もっと深くで、もっと強く、もっと激しく、もっとキツく、もっともっと奥へ。

 

 心の中の声は重なった。言葉にしなくても、震えと荒い息で通じ合う。べっとりと汗で濡れた体を絡ませて、皮膚と皮膚を締め付ける。絶対に離さないと、薄れた意識の中で叫んだ。

 

 ばぢゅっ♡ばぢゅっ♡ばっぢゅっ♡ばっぢゅっ♡

 

 もうすぐ雄の絶頂を迎える。

 2人は体をがっちりとホールドさせたまま、夢中になって体を揺らす。

 喘ぎと快楽に任せたレン達に、外に出す、中に出さない、生はいいけど射精はダメ、避妊しないと、そんな理性の伴った思考ができるはずもなかった。

 

「アスカ……もう……」

「レン…………レン……」

 

 湿った吐息をかけあいながら、最後の仕上げにかかった。

 ギシ、ギシ、と軋むマットレスの音は激しさを増していく。

 彼の腰突きは速くなり、生殖器同士が擦れ合う音と肉の弾ける淫らな音は混ざり合い、瑞々しさを増した。

 

 ばちゅんっ♡ばぢゅん♡ばぢゅん♡

 

 ………………ばっちゅん♡

 

「「あぁっ…………っ゙!」」

 

 濁った声を上げると同時に、頭の中でバチバチと火花が飛び散った。色々なものが白く弾けて飛んで、全ての意識が生殖器へと集まっていく未知の感覚、否、快感が迸った。

 

 刹那、屹立した先端が子宮口をブチュっとキスを交わしたままその身を最大まで硬くした。内側から圧をかけて、壁に張り付く膣襞の1つ1つにキスを強制する。膣襞達も彼の全てを受け入れて、その形に合わせて穴と道を締めつけた。

 

 ────びゅ……びゅぶるるるっ♡びゅぶるる〜っ♡びゅ、びゅるる♡どびゅっ、どびゅるっ♡……どびゅるる♡びゅるるっ……♡びゅぶ♡♡♡

 

 そして溜めに溜めた精液が鈴口から迸り、子宮目掛けて飛び出した。一体どれだけ溜めてたのだろう。その量はかなりのもので、子宮頸部へ一気に流れ込むと、そのまま赤い子宮内を白濁に染めた。

 

 ドクッ♡ドクッ♡ドックンッ♡

 

 精液が奥の壁に何度もぶつかって子宮底を振るわせる。目に見えなくても、子宮腔に精液がたぷんと溜まって、億単位の精子がぴょろぴょろと泳いでいるのが分かる。というよりは、自然と絶頂を迎えた彼女の体が理解してしまう。愛液と潮をたっぷり吐液しながら、灼熱のような白濁液をその身で受け止め感じた。

 

「「はぁ、はぁ、はぁ…………」」

 

 互いに全身の毛穴から粘ついた汗を噴き出しながら、疲れきった体を重ねたままベッドに沈んだ。射精はまだ止まらなくて、脈を打つ度に2人の体はビクンと痙攣を繰り返した。

 激しい初体験の末に絶頂を迎え、果てた。まだ1回しかやれていないけど、しばらく動くことは不可能だろう。

 

 けど、ならせめてと、強く抱き締め合う。

 火照った体からはざらついた呼吸と心音が聞えている。言葉にしなくても分かる。もうこのままずっと抱き合っていたい。今までずっと抱えていたもの全部投げ捨てて、2人で1つになってしまおう。

 そう思いながら、お互いの熱を分け合った。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 日の出で外が明るくなり始めた頃に、レンは目を覚ました。

 重たい瞼を開くと、隣で寝ているはずのアスカの姿はどこにもなかった。さっきまで寝息が聞こえていた気がしたけど、どうやら先に起きたようだ。

 寝惚けながら眠い目を擦り、上半身を起こしてグッと両手を組んで天井に伸ばした。首を捻ると、コキリと骨が鳴って鈍い痛みが走った。昨日の疲れが全身にのしかかっていて、体の節々が悲鳴を上げている。しかし思っていたよりはマシだった。それよりも、昨日のカラオケとセックスで嗄らした喉の痛みの方が酷かった。夢中になって気が付かなかったが、思ったよりもガラガラで気持ちが悪い。あー、と声を出そうとするとズキズキとした痛みが走った。

 

 ベッドから這い出て、リュックからスマホを取りだした。電源を入れると、画面に『6:45』と大きめな文字で時刻が表示された。大体この時間に起きるので、どうやら体内時計はきちんと働いているようだ。

 通知を確認すると、セツからのメッセージが届いていた。昨夜に送られてきたものらしい。

 

 

 SETU【おい、来週ここ行くぞ】

 

 

 という文章が、画像とともに送られていた。次の週、駅前に有名なクレープ専門店がオープンらしく、画像はその告知だった。デカデカと飛び出すようにど真ん中を陣取るチョコクレープと、子分のように左右に並ぶツナとバナナとイチゴと……甘いもの好きなセツなら逃す筈がない。

 

「セツらしいな、ほんと」

 

 たとえ駄菓子だろうと見逃さない甘党の眼光。変わらぬ親友にレンは頬を緩ませた。寝起きの肌が産まれたてのようにぴきぴきと皺を作った。

 どう返信しようかとしばらくボーッとしていると、新たにメッセージが届いた。アスカからのメッセージだった。

 

『今、朝ごはん作ってます』

『制服はスプレーをかけて干してます』

『着替えは机の上に置いたから、良かったら着て下さい。ダメなら体操服でも制服でもOKです』

 

 ぽけっと頭を掻きながら、大きな欠伸をかいて部屋の中に目をやる。

 小説と図鑑と沢山の本が積まれた本棚、クローゼット、勉強机とその上に置かれた着替え。そして隅っこに置かれた銀色のハンガーラックにそれぞれの制服が掛けられていた。衣類ごとにきちんと分けられている。こういうきちんとしてるところがアスカらしい。

 

『今、起きました。喉超痛い』

『着替えの方、いただきます』

 

 指先で素早く文字を打ち込んでメッセージを返してから、むくりと立ち上がって着替えを掴む。アスカがレン用にと以前から用意してくれた服だ。

 

 ふと、あることを閃いた。子どもみたいな悪戯心がクスクス笑うと、レンは着替えを置いてハンガーラックに手を伸ばした。

 

 

 涼しい季節になったのもあって、廊下の微かな冷気が肌寒い。忍び足で1階に続く階段を降りると、そのまま廊下を渡ってリビングに入った。テーブルには箸とコップが2つずつ用意されていて、端にはアスカのスマホが置かれていた。

 キッチンでは、部屋着姿のアスカが鼻歌を歌いながらリズム良く料理を作っていた。昨日カラオケで歌っていたガールズバンドの曲だ。

 そろりそろりと、フローリングを軋ませないようにアスカの背後に近づく。アスカはアスカで料理に夢中になって気がつく様子はない。隙だらけだった。

 

「…………わっ!」

「うわっ!?」

 

 レンはタイミングを見計らってアスカの背中に抱きついた。シャワーを浴びたのだろうか、お風呂上がりのじんわりとした温かさがアスカの体から湧いていた。

 

「どう? びっくりした?」

「び、びっくりしたじゃないよ。危ないよ、レン」

「ごめんごめん。でも、たまにはこうするのもありかなって思ってね」

 

 そう言ってアスカから離れた。

 

「……て、ちょっとそれ、僕のシャツじゃん」

「うん、正解」

 

 アスカに見せるようにその場でくるりと一回転した。

 

 レンは今、裸の上にアスカの白シャツを身につけている。下着もなにも身につけていないから、胸元にはほんのりとした膨らみが透けていて、先端部分には乳首がポチッと浮き出ている。女子の体格と比べて大きいから、袖と裾はダボダボとしている。ボタンを留めてない裾先からは、愛液が乾いて艶々とした股間と陰毛が姿をチラつかせていた。

 

「どう? びっくりした? 僕にも似合うかな?」

「……うん、かなり」

 

 あまりの妖艶(エッチ)な姿に、アスカは見蕩れたまま唾を飲み込んだ。

 びっくり、という言葉以上に、可愛い、という本音が勝っていた。こういうのってどうなんだろうって思っていたけど、実際に目にすると、こう胸の奥にグサッと来るものがある。今すぐにでも抱きしめてしまいたいという欲も生まれてきた。

 そんな己の中で渦巻く欲望を振り払うように、アスカは頭を振って理性を保った。レンはむっつりスケベな一面があるアスカの悶絶する姿に悪戯っ子な笑みを浮かべた。昨日は不意打ちで異性の体に興味があるかなんて弄ってきたのだから、これはちょっとした仕返しだ。

 

「と、とりあえず、シャワー浴びてきなよ」

 

 アスカはややツンとした言い方をして調理を再開した。レンは「はーい」と袖を口に当てて目を細めた。

 キッチンとリビングに、朝ご飯のいい匂いが漂っている。アスカの作る料理はどれも美味しい。ずっと一人でいることが多かったアスカは家事全般をこなせる。何度かご馳走になったことがあって、どれも美味しかった。

 

「朝ご飯はなにかなぁ」

 

 匂いからしてスクランブルエッグとかかな。ベーコンもあると嬉しいな。ちょっと心をウキウキとさせながら脱衣所でシャツを脱いだ。はらりと落とすと、産まれたての姿になった。

 ふと、洗面台の鏡に映る自分が目に入って、正面から向き合って見た。

 

 黒髪のミディアムボブと淡い色の虹彩を持つ瞳、色白な皮膚、平均身長な体の胸元に実る灘らかな2つの乳房、首から鎖骨にかけて点々とついたキスマーク、映ってないけど縦に割れた下の唇。

 

 普段から見慣れた自分の体。それが、今朝は全身が艶々と潤っていた。

 お臍に手を当ててみると、じんわりと中で温かいものが動くのを感じた。あれだけ沢山出されたのもあって、アスカの精液はまだ子宮の中を泳いでいるようだった。膣穴はきゅっと締まっていて、ごぽりと漏れる様子はない。

 

 

 ──そっか。僕の中、アスカに染められたんだ。好きな人に、出されたんだ。

 

 

 もう片方の手を下腹部に当てて、労るような手つきでトントンと触れた。目を閉じると、アスカとの昨夜の情愛が蘇る。白く茹だる熱と燃えるような感情が、レンの頭の中で滑らかに流れた。あんなにも誰かと抱き合ったり、心の底から名前を呼びあったのは初めてだった。

 

 アスカとの出会いは奇跡……という言葉は大袈裟かもしれない。でも、レンにとってはセツ以外で初めて自分を晒けだせる相手に出会い、そして恋心を芽生えさせた『大切な人』でもあった。

 

 前に、セツから「彼氏の何処に惚れたんだよ」と訊かれたことがある。その頃から彼女はちょっと拗ね気味だった。

 恥ずかしそうにしながら「僕のことを僕として見てくれるとこ」と話した。

 

 レンにとっての『僕』は体の一部だった。

 自己の否定、コンプレックス、反発心、トラウマ、性への拒絶反応、憧れ、心と体の不一致。そういった類のものでも、小説やドラマのようになにかきっかけがあったわけでもない。心臓とか、脳味噌とか、胃袋とか、目とか、口とか、生殖器とか、そういった人間に備わっているもの達と同じ。言葉を覚えるよりも前に、既に体の中に『僕』という単語が存在していたのだ。嘘みたいだけど本当のことだった。

 

 けど、言ったところで信じてくれる人はいなかった。みんな適当に流して、真剣に受け止めてくれた人はいなかった。血の繋がった両親でさえもそうだった。

 

 小学校低学年まではそれで良かった。周りにも俺とか僕を使う女の子はいたし、僕を使ってもそれほど気にされてはいなかった。

 でも、学年が上がっていくうちに、徐々に『私』や『あたし』に変化していって、僕を使うレンは浮くようになり、冷ややかな視線を向けられるようになった。中には「そういうの、結構痛いよ」と言ってくる子もいた。クスクスと笑う子もいれば、まるで教えてあげているという口ぶりで窘める子もいた。ときには意地悪をする子もいて、なにかされる度に悲しい思いをした。特に両親が夜な夜な自分の僕についてため息を吐いていたのは、子どもながらにショックを受けた。

 

 やがて、レンは人前で『私』を使うようになった。私という言葉は、周りに溶け込むための武器でもあった。実際、私になったレンのことを、周りの人間は普通に接していた。僕に頭を悩ませつつも味方をしてくれた両親も安堵の表情を浮かべて、『子どもの成長過程の1つ』として『僕』を片付けた。

 

 僕は生きている。私に隠しただけで、僕は僕のままだった。小原恋(おはられん)は僕なんだ。

 生きていくためには私が楽だ、こうした方が都合がいいと子どもながらに思った。唯一、幼馴染のセツこと馳兎美希(はせつみき)の前だけでは僕をさらけ出せた。僕を話せる人がいることは、君にとって心の支えになっていた。もし彼女がいなければ、あのまま学校に行けなかったかもしれない。

 

 そうやって、僕を隠す生活を何年もの間送ってきた。セツから「将来はあたしらでルームシェアでもすっか?」とクッキー片手に冗談を言われたときは、本気でそうしようかなと考えるほどだった。

 

 そんな折に、遂に巡り会えた。

 

 出会いは偶然で、『僕』という言葉にたじろがずに、性格や仕草を好いてくれる同級生──恋人となる芦名明日翔(あしなあすか)に。

 

 できれば、この恋が単なる勘違いじゃないことを祈っている。いや、勘違いだなんて絶対に厭だ。友人の延長戦とかそういうのはいらない。ただ、僕はアスカが好きになって、アスカも僕を好きになってくれた。その事実があれば良い。

 

「あっ」

 

 アスカ、アスカと、頭の中で昨夜のことを反芻させていると、きゅんとお腹が疼いた。

 と思ったら、膣穴がぐちょりと音を立てて肉貝の淡溝がじゅんと濡れた。どうやら彼のことを思うばかりに朝早々に発情してしまったらしい。

 

「レンー? ご飯できたよー? もう浴びたー?」

 

 とそこへ扉越しにアスカの声が聞こえた。どうやら色々と考えている間にかなりの時間が経ってしまったらしい。でも、お腹の裏に走る疼きは収まるどころか風船のように膨れ上がっていった。体全体が熱を帯びてきて割れ目に指を伸ばしてしまう。

 

「アスカ、ごめん。まだ入ってないんだ」

「あれ、そうなの?」

「あのさ、ちょっとこっち来てくれない? 体がなんか変なんだ」

「え? 変?」

「うん、でも僕じゃどうにも出来ないから、見て欲しいな」

「うーん、いいけど」

 

 アスカは首を傾げながら扉を開いた。

 瞬間、レンはアスカの手を掴んで脱衣所に引き摺り込み、扉を閉めて体に抱きついた。ぎゅっとふにゅり、という感触と音が、アスカの体に静かに響き渡る。

 

「レ、レン……?」

 

 突然のことに口をパクパクさせながら視線を下ろした。レンはアスカの胸元に顔を擦りつけながら、発情して潤んだ上目遣いをした。

 

「ねえ、アスカ。僕、また昨日みたいになったんだ。体中が熱くて、お腹の奥が疼いて疼いて仕方ないんだ。自分ではもう、どうにもできないんだよ。このままだと、熱すぎて死んでしまうかもしれないんだ……だから、さ」

 

 背中に回した両腕に力を込めてさらに抱きつき、グリグリと乳を押し付ける。柔らかな2つのものがアスカの体に潰れて広がり、乳首がコリコリと擦れた。宛ら発情期で雄を求める兎か猫か犬のようだ。

 

「…………レン」

 

 アスカは必死に戦っている。朝早くだからダメだという自分の理性と、欲情して炎える彼女を抱きたいという性欲と。

 もしここで抱いてしまえば、朝食は冷めてしまう。両親だっていつ帰ってくるか分からない。やることに夢中になっている途中で戻ってきたら大変なことになる。でも、レンが求めてくれているのに、これを断るなんて。

 

「アスカ……僕、アスカのためならなんだってするよ」

 

 いつの間にか抱擁が緩くなったかと思うと、レンの細い指先が背中をスーッと撫でて、アスカの胸元から肩と頬にかけて歩かせるように登って行った。

 頬に触れて、ふぅ、と湿った息を吹き付ける。朝特有の濁った匂いは、けれどアスカの嗅覚には官能的なものとして捉え、痺れさせた。全身が石のように固まってしまう。

 動けない中で、レンはその場で跪いてアスカの股間部まで顔を下ろした。予想通り、あそこの収まっている部分がズボン越しにびんと張っている。

 

「アスカ、僕に興奮してくれたんだね」

 

 口許を弓なりにさせて微笑んだ。アスカから見ると、彼女の笑顔は妖艶で煌めいて見えた。

 両手でズボンを下ろして、テントを張ったパンツをゆっくりとずらした。昨夜と同じように、ウインナーなんかよりも太くて立派なペニスがレンの顔をペチンと叩く勢いで飛び出した。すうっとした寒気が股間を通り抜けて、アスカは思わずうっと唸った。

 

「昨日、アスカ、僕のおまんこを舐めてくれたよね? あのとき、凄く気持ちよかったんだ。だから、僕からもお返しするね」

 

 ふぅ、ふぅ、とペニスに息を吹きかける。先走ったお汁がとろりと垂れそうになるのを、レンは舌先でペロリと受け止め、そのまま口の中へと含んでいった。

 

 じゅぶぶ、ぢゅぶぶっ♡

 

 先端からゆっくりと、赤く潤う唇の中へと飲み込まれていく。厭らしい水音を立てながら、口腔内が肉棒に埋もれていく。

 アスカはその光景を見下ろすことしかできなかった。止める、なんていう発想はとっくの昔に死んでいる。今はレンに頬張られるままに、陰部に走る快感に震えるしかなかった。

 

「ひほひいんはへ……♥」

 

 レンはもごもごと口許を震わせた。震えるアスカの姿が可愛らしくて、愛おしくて、ペニスも生臭くて、お腹の裏はさらにきゅうんっと鳴った。

 

 にゅるる……じゅぼっ♡

 

 根元まで咥えたところで、頭を前後に揺らし始めた。初めて口の中に入れたのに、知っているかのようにアスカのチンポの形にそって頬を窄ませた。窄んだ道は締まりつつも軟らかな肉道になって、アスカの雄物を狭窄してじゅぼじゅぼと出し入れする。

 

「あ、れ、レン……っ」

 

 アスカは体を支えようと扉にもたれかかる。けれど下半身はレンに吸い取られているかのように前に突き出していて、横から見ればちょっとおかしな格好になっている。

 

 逃げたいくせに、本当は欲しがってる、男の子ってこういう可愛いところがあるんだなぁと、べろべろと裏筋を舐めながら目を細めた。細めた目は、昨夜の行為をする前の淡さを持ちながら、一皮剥けた大人の妖しさも孕んでぎらついている。上目遣いで見つめているのもあるから、アスカからは彼女が彼女でないように見えた。

 

 ぢゅぼっ♡ぢゅぼ、ぢゅるるっ♡じゅっぼっ♡じゅるぶっ♡じゅっぶっ♡ぶっちゅ♡

 

「ん、ふっ、ふふっ、んんっ……っん゙ッッ♥」

 

 だったら好都合、知らない僕をもっと見て欲しい、こんな僕の姿は君にしか見せないんだ、だから遠慮せずに気持ちよくなって。

 

 告げたい言葉の全てを淫口音に替えて伝える。生温い肉の感触で陰部の全部を包み込んで、充血した海綿体に染み込ませるように喉奥まで亀先を含み込んだ。

 

「れ、レン、もう……っ!」

 

 アスカが苦しさと恍惚の混ざった表情を浮かべた。レンは逃さないように彼の脚を両腕でホールドして、ペニスを根元まで咥えた。

 

 ──びゅぶぶるるっ♡びゅぶぶっ♡びゅぶ〜♡びゅるるるっ♡びゅうぅぅ♡

 

 ペニス全体が脹れて、アスカの先端から精液が迸った。寝ている間に製造された、朝一番の濃い色と味の粘液が、噴火するように亀頭からドクドクと噴き出していく。

 

「んん゙っ…………♥」

 

 喉奥に熱いドロドロとした精液が広がり、レンは瞠目し、嘔吐しそうになる。でも吐かずに、ごくごくと牛乳のように喉へと通した。生臭くて苦くて、でもとっても美味しくて、なによりアスカが自分の口でイってくれたことが嬉しくて、排出される精液を飲み続けた。不思議と、生臭い匂いが痛めた喉を癒している気がした。

 

「……んっ゙…………あっ」

 

 震える途中、レンは口から肉棒を引き抜く。粘質な白い糸を亀先との間に引きながら、自分の顔に先端を向けさせた。

 

 びゅぶっ、びゅぶるっ♡びゅるる♡

 

 射精はまだ収まっていなかったから、レンの顔に精液が降りかかった。肌白い顔が濁った白に染められていく。その姿を晒すことでアスカをより興奮させようとした。

 

「……れ、レン…………」

「……ん、ご馳走様」

 

 えへへ、とレンは笑った。厭らしさを持ちながらも、いつもの明るい素敵な笑顔。それを汚れた状態でやったものだから、アスカのあそこはビンビンに勃起したまま硬さを保った。

 

「アスカ、気持ちよかった?」

 

 アスカは顔を火照らせながら頷いた。その声は透き通っているように思えた。

 

「よかった。僕もね、アスカの赤ちゃん汁、すごく美味しかったよ。顔もほら、こんなに汚れちゃった。アスカに汚されるのってこんなに心が満たされるんだね…………あー、でも、このままじゃ、ご飯食べれないね。アスカも、おちんちん汚れちゃったし」

 

 だから、とレンは言葉を溜めた。笑顔を向けたまま、甘えるような耳に張り付くような声で言った。

 

「……お風呂、入ろ?」

 

 このあと、2人は仲良く浴室に入った。汗でベトベトに艶めいた体をシャワーで流しながら、彼に股下やお臍の辺りを撫でてもらった。ちょうど子宮にあたる場所をトントンとしてもらって、労るように撫でてもらいながら熱めの湯船に浸かって全身を癒した。筋肉や骨、至る所が痛む全身に、お湯のほんのりとした熱が染み込んでいった。湯気が視界を白く靄のように覆って、目の中に入って沁みる。背中には、アスカの体温もある。レンは色んな温かさを感じながら、厭らしい感情を再発情させた。おかげで、昨夜出されたお腹の中の精液がごぽりとお湯の中で溢れてしまった。

 

 お風呂を上がってからは、2人で仲良く遅い朝食を味わった。今日の朝ご飯は、スクランブルエッグとベーコンとサラダとトーストだ。トーストは焼く前だったから、トースターで出来たてのサクサクを味わった。

 マーガリンがパンの表面をどろりと溶ける様子を見て、そしてマーガリンに塗れたトーストが喉にヌルリと滑っていくのを感じて、レンはまた厭らしい気持ちになった。どうやら彼女の性欲は1度箍が外れてしまったらなかなか収まらないらしい。

 しかし、レンがおかしいわけじゃない。アスカだって、昨夜の行為をもう一度やりたいと思っていた。彼女が勃起するペニスを、そのお尻の谷間で何度もすりすりしたからだ。朝食では、ゴクリと飲み込む君の喉元に目を奪われてしまった。

 

 そしてまるでタイミングを見計らったように、アスカの両親から連絡が来た。どうやらどちらも思っていた以上のトラブルに見舞われたようで、昼過ぎまでは絶対に帰れないという。

 

 重なった思い、生み出された2人きりの時間。

 

 2人がまともな思考でいられるわけがなかった。

 

「あっ、あっ、あぁんっ♥ふぁ、ぁ♥ぁ゙っ♥」

 

 場面は再びアスカの部屋の中へ移る。昨日はこの部屋のベッドの上で、ラブホテルに初めて来た初々しいカップルのように、レン達は手を繋いでいた。

 けど、もうそんな青々と春に満ちた光景は通り過ぎた。

 

「あぁ、いいよ、アスカぁ♥ぼくのなか、アスカがぐちゃぐちゃぃん♥かきまぜ、あ、あぁっ♥お、ぉお♥いぐぅ♥」

 

 今あるのは、制服姿で獣のようなセックスを楽しむ2人の、酸っぱくて生臭い光景だった。レンが勉強机の端を両手で掴みながら腰を突き出す姿勢になって、その後ろをアスカがバックで膣穴にペニスを挿入して激しく腰を揺らしている。昨日のゆっくりとした破瓜への気遣いなんて嘘のように、ガンガンと強く股間を叩きつけていた。

 でも、レンの膣穴はチンポの太さと長さを覚えているから、引き締まりながらも愛蜜でぬるぬると滑らせる。立派に張った鰓は、膣襞全部をこそげ落とす勢いで擦りあげている。結合部から溢れた愛液は2人の体がぶつかる度にぱちゅんと気持ちのいい音を鳴らして、飛沫や泡になって飛び散った。

 

 ぱちゅっ、ぱちゅっ、ぱちゅっ♡ぱっちゅっ♡ぱっちゅっ♡

 

「はぁ、ぁ、っ、ん゙ん、お゙ぉ、んあ、はぁ♥あ゙っ♥」

 

 ガクガクと腰が震える。曲がった腰が突かれる毎にビクンビクンと跳ねる。揺れに合わせてセーラーカラーはわさわさと動いて、黒色のスカーフは重力に負けて垂れ下がりながら振り子のようにゆらゆらとしている。

 

 制服エッチを提案したのは、意外にもアスカだった。あとできちんと洗濯するからやってみたいと告白したのだ。ドン引きされたらどうしよう、振られたらどうしようと内心緊張しながら提案したが、レンはドン引きするどころか、僕もそうしたかったと言わんばかりにいいよと答えた。制服エッチだなんて、背徳感の塊でしかない。

 

「は、あぁッ、ぼく、ボク、また、いくっ♥ううぅ゙んんん♥」

 

 小刻みな絶頂がレンを襲っている。陰核が身を出して、秘穴から透明な体液が小さな噴射を繰り返す。

 プラトニックなんか厭だ、先に進みたい。今や、先に行くどころか飛び出していた。

 もう、1ヶ月連絡だけのやり取りなんて無理だろう。お互いの相手への気持ちの重さを自覚してしまった今では、週1に必ずデートをしなければ気が済まないだろう。少なくとも今の2人はそんなテンションだった。ドーパミンドバドバだ。

 

「あ、あぁ、レンっ」

 

 アスカは眉間な皺を寄せながらレンの腰をぐっと掴み握り、腰振りを速めた。肉同士の衝突音が高さを増していく。

 もうここに初体験で声を抑える女の子はいない。快感を知ってしまった女の子は、悦びのままに喘ぎ声をあげるだけだった。

 

「あ、ぁ、あっ゙、あ、なか♥なか♥ぼくの、なかぁ゙♥」

 

 ──びゅるるるっ♡びゅぷっ♡どぴゅっ゙♡びゅっ♡びゅぶぅぅ♡びゅっ♡びゅっ♡どぴゅるっ♡

 

「あ゙ぁぁぁぁっ♥」

 

 目の前に火花が散って思考が白く弾ける。その白の中に、自分の膣内で絶頂を迎え、ゴムの中に精液を吐き出す男性器のイメージが浮かんだ。どぴゅ、どぴゅ、射精に合わせてゴムも膨らんでいく。これを昨日みたいに中に出されたら、僕はどうなってしまうんだろう。顔を俯かせ、痙攣する体を逆さの世界で見ながら考えた。

 

 どくっ、どくっ♡どびゅ♡

 

「れ、レン……僕」

「うん、いいよ……アスカの気の済むままに……僕は、アスカの恋人なんだから」

 

 レンは頭や額から汗を流しながらニヘラと笑った。

 その姿が愛おしくて、愛おしくて、愛おしくて、アスカはペニスを抜いて、がくりと倒れそうになる彼女を抱えてベッドに仰向けに寝かせた。

 

「ふぁっ、あ♥」

 

 アスカはセーラー服の裾の隙間に両手を突っ込み、ブラジャーを付けていない乳房をまさぐった。白い生地越しに、胸元の辺りで2つのものがわさわさと蠢いている。

 

 むにゅん、ふにゅん♡

 

 柔らかなおっぱいがアスカの手の平に揉みしだかれて形を変える。ピンと張った乳首は指と指でコリコリと摘んで捏ね捏ね弄られる。レンは我慢なんてせずに堂々と喘いで、媚肉を畝らせてペニスを求めた。ぎゅるんと襞が捻り、いつでも迎え入れると、たくし上げられたスカートの内側で穴をパクパクさせる。犬が涎を垂らすように、愛液が膣穴からとろりと溢れた。

 

「アスカぁ…………へへぇ♥」

 

 レンは汗に濡れた顔にアクメさせて、甘えるように両腕を広げた。それを見て、アスカは新しいゴムを取り出し、剛直するペニスに絡まる精液の溜まったものと取り替え、再びレンの中へと挿入した。

 

「アスカのおちんちん、すごい……さっき出したばかりなのに、もうこんなに……♥」

 

 昨夜、1度出しただけで果ててしまったのが嘘のように、アスカの肉棒は硬さを保っていた。まさに1つの生物かのように、彼の股間部から生えたもう1つの獣のように、逸物はレンの女体の中を掻き回している。

 

「レン、レン……」

 

 はぁはぁとアスカの口から涎が垂れて、肌とセーラー服に落ちる。汚いなんて気持ちは全くなくて、むしろ彼がマーキングをしてくれているようで嬉しかった。もうこのまま、洗濯もせずに匂いをつけたまま学校に行こうかな、なんて変態的な思考が頭をよぎった。

 

「(アスカ……僕ね、やっぱりアスカと出会えて……)」

 

 アスカへの気持ちを心の中で呟いた。この言葉の続きは、やはり声に出して伝えたい。喘ぎながら、口許を開いた。

 

 ぶちゅっっ♡♡♡

 

「ぉぉお゙っっ♥」

 

 が、同時にアスカはレンの両手を掴んで思い切り腰を突き出した。ぼごっとお腹を盛り上げる勢いで子宮口を突き上げたから、膣天井はゴゾりと削るように擦られ、レンは言葉の代りに喉を仰け反らせて濁った悲鳴を上げた。急な快感が襲ってきたせいで、頭の中がショートし、言葉は一瞬にしてなくなり、パンパンと火花を散らせた。

 

 でも、心配する必要はない。

 言葉はいつでもアスカに伝えられるのだから。

 今はこのまぐわいに身も心も任せてしまえばいい。

 

「(ああ、もう、だめ……い、くぅ…………♥)」

 

 そのあとも、満足が行くまでセックスに励んだ。何度も腰をぶつけ合って、何度も体液をシーツに染み込ませた。それはゴムがすっからかんになるまで続いていて、終わったのは、アスカの両親が帰宅するほんの数十分前だった。

 

 




いつか、爆乳オレっ娘とか王子様系巨乳幼馴染とか書いてみたい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。