その日。自分は力を手に入れた。暇潰しにと購入した『催眠術の使い方』。そんな眉唾な本に書いている事を実行したら使えるようになったのだ。
驚きよりも先に拍子抜けの感覚が近かった気がする。
だって少しばかりだが神聖視していた力がこうも容易く手に入ったのだから。
(おっぱいデカいなあの人)
催眠術を手に入れてからは欲望に蓋をする必要もない。
電車の中で見掛けたスーツに身を包んだお姉さん。
彼女に声を掛けたら後で連絡する様に暗示をかける。
「んっ…あっ…!」
そしたら人目の無い場所に呼び出してその肉体を堪能した。手に溢れるくらいの乳房を掴み、時には口で吸って舌で舐めて。思い描いた欲望のままに彼女の体を貪った。
「今日の事は忘れて」
「……はい」
終われば記憶処理として自分の事は忘れさせる。またしたくなったら見付けて呼び出せば良い。こうした直ぐ呼べる女は催眠術を手に入れてから増える一方だ。
(でも何かなぁ…)
今日の相手である女性を見送ってから帰路に着く。しかしその内心は優れなかった。通りすがり、見掛ける女性は誰でも自分の物に出来るだろう。
けれどそれはつまらない。催眠術を手に入れて実行してから思い続けている事である。
贅沢な悩みだ。少し前は彼女が欲しいと頭を悩ませていたのに、今では手に入れる女の過程を気にする。力を得ると欲張りになるらしい。
(……)
フェラ。パイズリと大体の経験はした。であるがまだ、本番行為までは進んだ事がない。したくはあるのだが、どうにもこの感情がそれを拒む。どうせならばもっと良いシチュエーションでしたい。そんな感情が。
「あ」
とは言えどうするかなと考えつつ家まで着いて、自身の部屋に到着した辺りでふと閃きが降りた。
催眠術を使えば誰もが操り人形になる。しかしそれだと味気が無い。
ならば催眠術を掛けてない相手と初体験をすればいい。
思い付いた道筋ならばそれも可能に思える。
「明日から動くかー」
催眠術はほぼ万能だが絶対ではない。これから行う事へのプランを練りながら、情報収集もする。その時にも催眠術は使えるし其処まで苦労はしないと思うが。
その日は夜遅くまで計画を練りながら過ごした。
教室の中を見回す。男子が居て女子が居る。残念ながら自分には友人が居ないのでクラスの輪には溶け込めないが。隠れて様子を伺うくらいはしていた。
「へぇー、マジで?」
「いやぁ、少し恥ずいけどね」
男子の輪。女子の輪。勿論後者を主に見ていた。すると誰々が誰々と付き合ってる。そんな話も聞こえてくるのだ。
「ウチのだから盗んなよお前らー」
「盗らない盗らないって」
3人で集まるギャル集団。その中でも一番に目立つのが
体は絞っているのか細身。しかし出る所は出ていて自然と目がそちらに向いてしまう。
「次デートなんだけどさぁ…」
そして此処からが本題。今聞き耳を立てている浜由美香には彼氏が居る。3年生で1つ年上のサッカー部所属のイケメン。交際期間はそこそこ長く、聞く限りでは仲も良好の様子。
(変わらず仲は良いみたいだな)
特に由美香から彼氏の勝也だったかな?への好意は相当だ。言葉は古いがゾッコンと言うのが似合っている。大きな声で話すから惚気話も偶に聞こえてくるのだ。
手に入れた情報を分析していくと第一のターゲットとしてこれ程丁度いい相手は居ない。
これからする事は彼氏彼女の仲が良いほどに効果的。最後の確認だったが改めて第一目的は彼女にする事を決めた。
「…で、話って何?急いでんだけど」
数日後。浜由美香だけを呼び出して人目の無い空き教室に呼んだ。取り巻きの2人には予め催眠を施して付いてこない様にしたから大丈夫。正真正銘2人きりだ。
この後には彼氏と会う予定があるからか、苛立ちを隠さずに浜由美香は先を促す。
焦らしてもしょうがないと自分は鞄からスマホを取り出した。
「……は?何これ…」
画面を開いて見せたのはある動画だ。先ずはこれを見て欲しいと言うと、渋々に浜は動画の中身を見ていった。
そうして動画が終わるとポカンとした表情の浜が残る。まだ完全には理解し切れていないようだ。
「いやぁ、驚いたよ。先輩ってこういう事する人なんだなーって」
「う、嘘…あり得ないっしょ、こんなの…!」
仕方ないと自分は状況を言葉にして説明した。
動画に映っているのは個人で営んでいる本屋。其処の本棚から何冊か本を鞄に入れる三木本勝也の姿だ。
会計には通さずに澄ました顔でそのまま外に出る様は、完全に万引きの現行を撮り抑えている。流石に理解が回ってきたのか浜の顔色は急激に青褪めた。
「三木本先輩の彼女って聞いたし、もしかしたら何か知ってるかなって思ったんだけど」
「し…知らないよ…」
(まあそりゃそうか。そう仕組んだんだし)
勿論この結果は自分の催眠術によるものだ。簡単な暗示を掛けて万引きをする様に仕向け。更には万引きがバレにくい個人店まで探し当てた。監視カメラは少なく、店員にも催眠術を掛ければ簡単に事は済んだ。
記憶に無いだろうが、店側の協力もあれば現行犯の瞬間を捉えるのも容易い。
「じゃあ先輩の単独犯かな。警察にはそう言っておくよ」
「ちょ、ちょっと待って!?警察行くの!?」
「当たり前だよ。流石にこれを見逃したら不味いし…」
「ぐっ…!で、でもさ!」
三木本勝也の事を好きな彼女は、警察にこれを届けると言うとあからさまに動揺した。先輩がこんな事をする筈が無い。けれど証拠は現に此処にある。自分が言った事は正論だからか、浜は上手く言葉を続けられなかった。
「な、何かの間違いだと思うんだ!か、勝也はこんな事絶対しないから!た、多分だけど理由があって…」
「んー…彼女だから庇いたいのは分かるけど、これじゃあね」
「っ…!」
苦し紛れの言い訳をするが証拠がある限り言い逃れは出来ない。ぴしゃりと返される言葉はどれもが正しい。浜由美香の心には焦りと絶望感が押し寄せる。
(何か…!何か考えなきゃ…!)
一番には勿論信じている。こんな事をしたのには理由があると。けれど彼女だから、大好きだからと盲目な部分があるのも否定はし切れない。
「…て訳だからそろそろ」
(ん?…そういやコイツ…)
愛する彼氏の為。そんな建前があればこの選択をするのも戸惑いはない。先程からチラチラと目の前の男が見るのは着崩した谷間の辺り。
思い返せば確かクラスメイトだった気がする。その時も視線は感じていたし…
「待って!あのさぁ…」
その提案を聞いた時には背中を向けていた。だからニヤリと悪辣な笑みを浮かべる貴方の顔は見えなかったのだ。
──ボロン!
(うわ…結構デカいし)
「で、してくれるんだよね?」
「う、うん…勿論!」
空き教室から使われていないトイレへと移動する。
鍵を閉めてドアの方に貴方が立ち、トイレの便器には浜が座る。取り出すのは浜に任せると、ジーッとファスナーを降ろして、その中から器用に肉棒を取り出した。
あの動画を警察に届けない代わりに、貴方の言う事を何でも聞く。同人誌でしか見ない展開に貴方の興奮はかなり高まっていた。
「ああ…!そこ、気持ち良いよ…浜さん…!」
「だ、出したかったら言ってよ」
(うう…最悪!何でこんなキモ男のチンポなんか…!)
先ずは手コキ。細い手入れされた指で掴まれ、片手は支える様に添えられている。上下に上下に擦り上げる技術ははっきり言って拙い。
これは嫌悪感から嫌々やっているせいもあるだろう。技術的には上の経験は沢山した。けれどもそのどれよりも気持ち良いと断言出来る程に今、貴方は興奮している。
(あの浜さんが手コキしてくれてる…!)
催眠術を掛ければ容易く実現するだろう。しかし一手間加えて、彼女自身には催眠術を掛けないのが良かった。
素面の女性に嫌々扱かれる。これだけでこの選択を選んだ自分を褒めたくなった。
「口、そろそろ口でして…!」
「……分かった」
(勝也の為…勝也の為…)
思わず声が出る。射精するならば口の中でしたい。その思いからフェラをする様に命令した。少しの沈黙の後に口を開けると、パクリと浜の口内に包まれた。
(くっさ…早く終わらせよ)
「じゅるる!じゅる!ぐぽっ!ぐぽっ!」
「くぁ…!!」
此処まで来ると多少踏ん切りが付いたのか奉仕に熱が入った。根元までは咥えないが半分くらいは奥まで入れて、前後に頭を動かしていく。
前後に動かしながらも舌では竿や雁首を舐め回し、さっさと射精しろとでも言いたげに連続した快感を与えられる。
「ずぞっ!ずぞぞぞっ…!!」
「──出るっ!」
──ビュルル!ビュルルル!!
浜の責めに限界が近い。我慢しようかとも思ったが、このまま出したいという欲に駆られて口内にザーメンを発射する。眉を顰めて貴方の射精を受けて、浜は前後運動を停止した。
「…ああ、良いよ」
「んんっ!…ちょっとうがいして来る」
好きでもない男のザーメンなんて飲みたくはない。余韻に浸っている貴方に目で訴える浜。それが伝わり、許可が出ると便器の中へと白濁液を吐き出す。
無理矢理飲ませても良いがそれは性急だろう。あんまり不満を溜めすぎない為にも許可を出した。
「…まだヤれんだ」
「1回だけじゃ勿体ないからね」
「…そ」
こっそりと出てこっそりと戻って来る。帰って来ると既に再起していた肉棒を見て浜が呆れた表情に。1発出せば少しは落ち着くものだが、これを見る限りまだまだ元気だ。
「口疲れたからこっちでヤるから」
「お、良いの?」
「今更でしょ、ゴムは着けるし」
手コキ、フェラをして少々投げやりになったのか。浜は黒のショーツを脱ぐと立ちながらお尻を突き出した。
ゴムくらいは自分で着けろと渡されたゴムを装着し、いよいよ初体験が近付く。
「じゃ、挿れるね浜さん」
「動かないから勝手に腰振って」
「よっ…と」
(はぁ…ホント最悪…)
腰を掴んでずぶりと差し込んでいく。徐々に浜の膣肉に纏わりつかれながら、始めての女の園に突入した。
全身が震える程に気持ちが良い。口で咥えられるのとは違う隙間なく包まれる感覚。見た目と違って中はふんわりと柔らかで、程よい締め付け感が来た。
「浜さんの中気持ち良い…」
「んっ…そりゃどうも」
「自分始めてなんだけど、浜さんは先輩が始めて?」
「…あんま調子乗んなよ。…そうだよ」
主導権を握っているのは自分だ。最悪は記憶封じれば良いしと思った事を口に出していく。始めての相手か。なら此処まで先輩の為に行動するのも納得。
「安心してよ。浜さんがこうしてくれる限りは絶対バラさないから」
「それ、ウチが辞めたらバラすって言ってるようなもんだからな?」
「ハハ、バレた?」
「あんたってこんな奴だったんだね…」
挿入した直後は肉棒への快感に慣れないから浜と雑談。
こうして体を繋げているからかかなり距離感が縮まった気がする。過程は最低だけどね。
「んっ、んっ!」
「浜さんも気持ち良い?」
「ぜ…全然…!」
腰を掴んでバックから攻める。抜けないくらいに腰を引いて、前に突き出す。女性相手に腰を振るって楽しいなと思いながら快感にも包まれていく。
弱点を探しながらあっちへこっちへと肉棒を動かしてやると、ビクンと偶に体が跳ねた。
「あー…気持ち良い…」
「は…早く…出してっ…!」
「そんなに求められたらしょうがないね。よっ…!」
「──んっ!??」
意味は違うだろう。早く終わらせろという要望を曲解して、早く中に出して欲しいと受け取る。違うと言いそうな浜に、少し体を前傾にさせると腰振りの速度を上げていく。
「んっ!んっ!ああっ!ああんっ!!」
「ほらほら、声抑えて。バレちゃうよ?」
「んむっ!んんぅっ!!んん~〜っ!?」
腰振りを早くしたからか浜の反応がとても良い。女を鳴かせるの気持ち良いーと快楽を我慢しながらピストン。
途中声が出て来たから片手で手を塞いでやる。こうすると無理矢理犯してるみたいで更に興奮した。殆ど無理矢理みたいなもんだけど。
「出すよ!由美香さん!」
(名前呼ぶの──)
──ドピュルル!!ビュル!ビュク!
「〜〜〜っ!!!」
根元まで深く挿入してゴム越しに中出しをした。今まで一番気持ち良く、それでいて生で出来なかったのが悔やまれるセックスであった。
「ほ…ホント調子に乗んないでよ…あんた…!」
「いやー、浜さんが可愛かったからさ」
「コイツ…!」
引き抜くとズルリとゴムも抜けてしまう。するとぽたりと床に浜さんの足を伝って垂れる精液。これは美しいなとスマホを取り出して撮影する。そうするとスマホを取り上げられて睨まれてしまった。
「これでシコリたいからさぁ、駄目?」
「駄目に決まってるっしょ」
「後で好きな物奢るから」
「……チッ、容赦しないから」
意外と押せばチョロいのか?お強請りしたら中出し後の写真を保存しても許してくれた。うーむ、この事実だけでも少し興奮するかも。
「あ、…出て良い?」
ゴムセックスが終わった後、少しじゃれ合ってから息を整える。その時に浜のスマホから着信音が鳴り、画面を見ると彼女の表情が変わる。それだけで誰から来たかは容易に想像がついた。
「うん、ごめん。少しお腹壊しちゃって…うん、うん。もう直ぐ行けるから」
電話の相手はこの関係の要因になった彼氏さん。元を辿れば自分のせいだが、それは知られてないし浜さんは複雑だろうな今。
何時もの彼女の面を被り上手く誤魔化すと電話の通信を切る。
「そろそろ行くから。もう満足したでしょ?」
「もう1、2発はしたいけどね」
「はぁ…どんだけだよ。もうしないから、今日は」
それは裏を返せば別の日ならしてくれるとも取れる。けど指摘はしないでおいた。あんまり茶化すとぶん殴られそうだし。
「呼び出す時以外は連絡しないで。それじゃ」
「またね」
「……チッ」
連絡先を交換してから別れる。最後まで敵意を感じる関係ではあったが、それが逆に良い。催眠術を手に入れてから刺激が少ない日常だったが、これからは彼女のお陰で張り合いが出そうだ。
「『この事は2人だけの秘密』だからね?」
「……分かってる」
セーフティも掛けておいた。本当ならば純度100%の浜さんが良いがリスクを負うのは避けたい。となると最低限の安全策は必要なのだ。
「明日いい?…と」
早速手に入れた連絡先にメッセージを打ち込み送信。
返事を待ちながら上機嫌に帰った。次は何をしてもらおうかな。
催眠術が掛かってない相手とする方が興奮しそうという考えから書きました。
教師に暴力振るわれてそれを脅しにその奥さんと…。とも考えましたがオーソドックスに彼氏持ちギャルからにしました。
主人公との方がセックスは気持ち良いけど、嫌い。そんな関係性かな。