傷は治したが体力が戻り切っていないミナスへと肩を貸す。雨風を防げる最低限の宿。それがミナスの今の家だった。
月日は流れ、およそ2ヶ月が経った。未だにミナスは人々に嫌われ続ける生活を送る。1人だけは親身に接してはくれるがそれ以外はほぼ敵ばかり。ミナスの心が休まる時は無かった。
「邪魔しているぞ」
「…誰だお前?」
その日は何時もと変わらない夜だった。嫌がらせからか天引きされた報酬を受け取り、最低限の食料を腹に入れてから帰る。すると狭い部屋の真ん中にローブで全身を隠した女が居る。女と分かったのは声色から判断した。
(何か聞いた覚えがある声だな)
「メナスよ。貴様、力が欲しくないか?」
「………リディ…?」
「あ、ヤバい。ちょっとすまんの」
目の前の女性の声はどうにも心地が良かった。ずっと聞いていたい。そう思わせる安心させる様な声。心の中にあるどす黒いものが声を聞く度に和らいでいく気がした。ふと思い浮かんだ言葉を呟くと、目の前の女は雰囲気を変えて慌てだした。そして、
「ぐっ!?」
「本当にすまん、少し寝ててくれ。おーい!フィーリア!」
「ぐだぐだじゃないですか…」
防音の結界は辺りに張ってある。なので少々手荒な真似をしても音はしない。最悪人間が来ても幾らでも誤魔化しようはあるが。リディエレアの不意打ちに意識が途切れるリビド。気絶したのを確認した後、隠れていたフィーリアが顔を出した。
「ふふふ、声だけで思い出しそうになるとは可愛いやつ。しかし、まだ早いから今の記憶は封印するぞ」
「どうします?私が代わりましょうか?」
「うーん、もう1回やって駄目なら、そうするとしよう」
意識のないリビドを膝枕しながら記憶を整理する。これで今あった事は忘れる筈だ。今度は声にも細工をして男か女かも分からなくした方が良さそうだ。困ったアクシデントではあったが、上機嫌な顔で魔王は再び位置についた。
「邪魔しているぞ」
「…誰だお前は?」
(此処までは同じですね)
突如現れた怪しげな人物。声には細工をしたからか先程の様に何かを思い出す素振りも無い。ある程度決めた第本の通りにリビドとの会話を進めていく。
「どうだ?特にあの女、リーナとかいう奴には恨みもあるだろう?」
「………」
(どうです…?)
呪いの影響を顕著に受けたリーナは毎日の様にミナスへと暴力、嫌がらせをしていた。流石に毎日はクレールも助けに入れず、時には痛みに悶えながら苦しんだ夜もある。今の生活で溜まった怒りや憎しみは、怪しくはあるが魅力的な誘いを肯定していた。
「…分かった。このままいけば近い内に死ぬ。少しはやり返せるなら、それも悪くない」
「契約成立、だな」
(おお…)
手を差し出し、ミナスはその手に利き腕を差し出す。利き腕から痺れが走ったかと思うと体全体の様子が変わり始める。少しばかり力の封印を解いた。元の力には及ばないがそれでも隔絶した力なのは間違いない。
「体が、軽い…」
「その力を使い己が欲望を満たすがよい」
(特に女を犯せよリビド。本当に頼むぞ、かなり溜まってるのだ)
与えられた力。本当は元の力なのだが、シチュエーション的にミナスは誤解している。この力があればリーナにも勝てる。そう確信したミナスは高揚感を覚えていた。
「…とは言え、蹂躙の仕方を知らぬ貴様では少々不安もある。故に」
(──来た!)
「只今此処に…」
「!」
リディエレアがパチンと指を鳴らすとフィーリアが現れる。瞬きの間に現れたフィーリアに驚き、ミナスは一歩退いた。本来の目の色と髪の色から変えているので雰囲気は変わっている。だからかミナスは、フィーリアに違和感は覚えず警戒した態度だけを見せる。
「ミナス、この女を抱け。さすれば蹂躙の仕方も分かるであろう」
「い、いや…しかし…」
「何だ、今更怖気づいたのか?意外と意気地なしなのだな」
「っ…!」
ミナスの心には何故か後ろめたさがある。目の前の女性は美しい。男ならば喜んで夜を共にしたいと思う容姿だ。ミナスとて同性愛者ではない。今の状況を喜ぶべきなのだが。どうにも踏ん切りが付かない。しかしローブ姿の人物に煽られ、カチンと来たミナスはまんまと乗せられてしまった。
「で、ではミナス様…!ご、ご自由に私めの体を貪りください!」
(何で吃ってるんだ?)
「…嫌ならば言って─」
「そんな訳ありません!!!」
ローブの人物が消え、部屋にはフィーリアとミナスだけが残される。フィーリアは表情は何とかクールなままだが、その内心は暴れ狂っている。それもその筈。一度は諦めた関係が一時的にとはいえ結ばれる。夢や妄想でしか成しえなかった事が今出来る。気を緩めれば直ぐに笑みを浮かべてしまいそうだった。
ミナスからすれば挙動不審なので嫌がっているのかと推察したが、此処まで力強く否定されるとそうでもないらしい。
「…かなり柔らかいな」
(ふ、ふあぁ…♡♡リ、リビド様がわ、私の胸を…!し、しかも息が首辺りにかかって…!)
「痛くないか…?」
「ひゃ、ひゃい!大丈夫です!」
後ろからリビドの手が回される。魔王に比べれば見劣りはするが充分なふくよかさはフィーリアにもある。手で持ち上げても少し溢れる大きさな胸を触りながら、興味深そうにリビドは手を動かしていった。
「ふっ…!ひぅっ…ああっ♡」
「…結構可愛い声を出すんだな、お前」
「か、可愛っ!?」
(か、可愛いって言われちゃった…!う、嬉しい……♡♡♡)
記憶が無いとはいえ、蓄えた性技は無意識にだがリビドをサポートする。巧みな指捌きで突起した乳頭を弄くり、カリカリと指先で引っ掻いてやる。するとフィーリアは体を仰け反らせて甘い声を上げる。何時もの冷静で落ち着いた声とは違う。男に喜んで貰う為の声色だ。
「こ、今度は私がご奉仕致しますので…♡」
「無理にしなくても…」
「任せてください!!」
「あ、ああ…分かった」
指で乳房を弄ばれていると情けない話だが絶頂を迎えてしまう。少し涎を垂らしながら乙女にあるまじき姿を晒してしまう。理性を取り戻すと慌てて居住まいを正し、さっきから臀部越しに感じていたリビドのモノへと顔を近付ける。
「っ…♡」
(うわっ…♡こ、これがリビド様の…想像してたのよりもおっきい…)
「スンッスンッ…♡」
(リ、リビド様の牡の香り…♡ずっと嗅いでられる…このままオナニーしたい…!)
魔王のみが知っていたリビドの雄の象徴。話には聞いていたが特大のサイズ。凶悪な代物にフィーリアの喉が鳴った。
鼻を近付け匂いを嗅ぐと、頭がボーッとしてくる。夢中になって匂いを嗅いだ後、フィーリアはふと我に返った。
「し、失礼します…れろっ…♡」
「っ…!」
(感じてください、リビド様♡フィーリアはそれだけを望んでいます…♡)
この時に為にイメージトレーニングはしていた。実物を見るともたついてしまったが、硬くそそり立つ肉棒を掴むと舌で舐め上げていく。まだ拙くはある。けれど魔王から教えられた弱点を刺激すればリビドも声を漏らす。その声を聞くとフィーリアの下腹部はきゅうっと鳴いた。
「はむっ♡れろ…♡ちゅる…リ…ミナス様…♡♡どうでしょうか…?」
「き、気持ち良い…くっ…!」
(リビド様♡リビド様♡♡ああ!フィーリアは今、幸せです♡♡)
想い人に奉仕するのがこんなにも嬉しく幸福だとは思わなかった。一時でもこの感情を味わえたのならこんな計画にも協力した甲斐がある。頭に手を置かれ、苦悶の表情を浮かべる様子をチラリと見上げる。
(ふーっ♡ふーっ♡リビド様…!!)
──くちゅ♡くちゅ♡
リビドに奉仕しながら、リビドの顔を見ながらフィーリアの片手は下へと降りる。ショーツの中に手を入れると自らの手で慰めを始めた。口内から感じる熱、鼻から香るリビドの香り。快感を得るには充分過ぎるおかず。フィーリアは器用に両手と頭を動かしていく。
「うっ…!!」
「ふぅっ♡ふーーっ…!♡♡……んくっ…♡んくっ…♡」
「はあっ…はあっ…!」
初めてながらもリビドの限界を察知するフィーリア。それに合わせて下半身に伸ばした手も激しく動かし、連続した快感を与えていく。リビドが体を震わせて精を放出すると、少し遅れてからフィーリアも絶頂を迎えた。口内に溜まった精液を一滴残さず嚥下していき、フィーリアは満足気な鼻息を吐いた。
「──んおおお!??♡♡♡」
「成程、こうすればイくんだな」
「お…お上手です…♡ミナス様…♡」
(指だけでイかされた…リ、リビド様上手くない!?)
両足を開かれ、ショーツの中へと手を入れられる。ぎこちなかったのは最初だけ、フィーリアの腟内を把握すると数分で絶頂させられてしまう。想い人からの手淫というのもあるが、それを抜きにしても卓越している。
『我が育てた』
(嬉しいけど少し複雑でもある…!)
魔王がこの場に居れば確実にドヤ顔と共に言った。想像は容易いが素直に喜べないのは、乙女心故か。それはそれとして2度目の手淫でもイキまくったが。
「ふぅ…♡ふぅ…♡」
「…多分、大丈夫か」
(ふ、ふおお…!リビド様のお顔が目の前に…!?)
背中をリビドに預けたまま肩で息をする。ぐしょぐしょに濡れたショーツは脱がされ、ヒクヒクと蠢く女陰が丸見えだ。肉棒を硬くしながらも冷静に準備を整え、リビドはフィーリアに覆い被さった。
「………」
「あ、あの…どうかしましたか…?」
「いや…どうにも誰かを裏切る気がしてな。何なんだ?この感情は…」
(っ…ごめんなさいリビド様…それでも今だけは…!)
挿入の直前、リビドの手が止まる。フィーリアが尋ねるとリビドは苦い顔をしながら答えた。その答えが分かっているフィーリアは顔を伏せる。けれど今だけは、身勝手でもリビドに愛されていたかった。
「目の前の女性を見ないのは…駄目ですよ…?ミナス様」
「!…そうだな、すまない…えーと…」
「…リアとお呼びください」
「分かった。いくぞ、リア」
リビドの顔を両手で掴み、そのまま自分の方を向かせる。目を合わせたままフィーリアが囁くと、ハッとした表情の後リビドが謝る。此処で今更ながらにフィーリアの名を知らないのに気付いたのか、リビドの口がまごつく。
そのままの名前は危険だ。万が一がある。だが全く関係ない名前も馴染みが無い。少し悩んだ後に名前の一部をリビドへと伝えた。
「うぐっ…!?」
「え…?お、お前まさか…!」
「い、いえ…主が処女の経験も必要だろうと…膜を…」
「…余計な真似を」
何かを破り、結合部からは血が流れている。頭の中にある性の知恵がまさかと情報から答えを導く。しかしミナス用に処女の経験を積ませる為に処置をしたと伝えると、眉を顰めながら納得はした様子。
「動かない方が良いんだったか?確か」
「お…お構いなく…動いても…」
「正直に言え」
「…ちょっとキツイです。すいません…」
其処からは刺激を与えないよう動かないでいた。目の先にはリビドの気遣う瞳が見える。奥まで貫かれ、中からもリビドを感じるこの時間は、フィーリアにとって至福の時であったのは間違いない。
(このままずっとこうしてたいな…)
ギュッと抱き寄せると抱擁が返ってくる。これだけでも幸せ。痛みなんて既に忘れ、フィーリアは恍惚とした表情を浮かべる。
「もう大丈夫か?流石にキツくなってきたんだが…」
「…ひゃ、ひゃい!?あ、大丈夫です!はい」
「それじゃあ動くぞ」
(おおお♡♡リビド様のが…♡中擦ってる…!)
一度限界ギリギリまで引き抜き、ゆっくりと進む。その動作を繰り返しながら段々スピードを上げる。体が覚えているのか何度も膣壁を擦りながら、弱点を探す動きを始める。
「ひうっ!?♡♡」
「此処か」
「まっ─んひぃっ!?♡♡しょ、しょこ♡駄目ですぅぅ♡♡」
(…女を鳴かせるのも悪くないな)
一度弱点を刺激されると声が出てしまう。するとそれを見逃さず、途端に重点的に責め立てる腰使いへと変化する。フィーリアが善がる姿を見ながら、無意識にリビドは笑みを作っていた。
(ううう…!!リビド様素敵すぎぃ…♡♡こんなの味わったら我慢出来なくなるぅぅ…!!)
「中に♡中に出してくださいぃぃ♡♡リアの中にっ♡♡」
「望み…!通り…!!」
「あああああ!!♡♡♡♡」
最後のスパートは荒々しく、脳が揺れる程に力強いピストンを受ける。そして奥に到達した瞬間熱は広がり始め、中からフィーリアを満たしていった。
「ふぅ…♡ふぅ…♡」
(好き…本当に大好き…愛しておりますリビド様…♡)
「んむっ」
「──んんっ!??」
フィーリアもリビドも息だけを吐く。リビドの満足した様な顔を見ると、フィーリアの胸は温もりを感じていく。決して口には出さない想いを何回も、何回も呟きながらリビドを見つめる。
「あ、悪い…つい」
「ききき…」
(何の鳴き声だ?)
(キスされちゃった…♡)
リビドが無意識に行った口吻。恋する乙女には劇薬過ぎる効果を発揮する。テンパリ言葉すら上手く扱えないまま、フィーリアはそのまま気を失ってしまう。
「お、おい!?大丈夫か!?」
「えへへ~…キスだぁ…」
突然気絶したフィーリアを揺する。フィーリアは幸せそうな顔でぶつぶつと何かを呟く。最初に現れた時と印象が違いすぎる。リビド、いやミナスは混乱しながらも気絶したフィーリアを抱き上げた。取り敢えず初体験はこれで終いでいいのだろうか。
「あ、ああ…!良いぞ、良いぞ…!」
『ふっ♡ふっ♡ふあああっ♡♡』
『此処はどうだ?』
「手が…手が止まらん…!」
さて、フィーリアとリビドの交合。リディエレアがそれを覗かない筈はなく、暫定6回目の自慰行為に励んでいた時である。丁度この時は手でフィーリアがイかされていた頃。技術を無意識に思い出しているのか、リビド優位の展開が続く。
「ふぅふぅ…♡フィーリアめ、あの様な声も出せるのだな…興奮してしまうではないか…♡」
『イッ!??──♡♡♡』
「おお、凄い仰け反るな、眼福眼福」
リビドがフィーリアを虐める光景でリディエレアもイッてしまう。妄想はしていたが実際に見ると興奮度合いが違う。ここ最近で一番に機嫌が良い時であった。
「おー、良かったのうフィーリア」
『ひうっ♡んうっ!?♡♡』
「むふふ…美女が悶える様はよいのう!」
ある程度性欲を発散すると横になりながら野次を飛ばす。こんなのが魔王として君臨しているのだから、世も末だ。見ているとムラムラが溜まっていくのでその度に発散を行った。
「うむ…しかしリビドの肉棒も欲しいぞ。そろそろ」
『あああああ!!♡♡♡♡』
「盛大にイキおって…羨ましい…」
(リビドのは気持ち良いからな、気持ちは分かるぞ。うむ♡)
長年求めていた欲は満たされ始めたが、今度は別の欲が溜まってくる。折角此処まで御膳立てしたのだ。後もう少しは見たい。それはそれとして早くリビドともしたいなーとも思うだけだ。
「こら!リビド!気絶したからといって手を緩めるな!もっと見せるのだ!!」
フィーリアが気を失った後は水晶玉に向かって文句を垂れる。此処だけを見れば魔王とは思えない所業。リディエレアからは不満のある形でミナスとしての初夜は終わった。
書いてて思ったのは魔王様は好き嫌い分かれるかなと。やってる事がやってる事なので。構想としては後1、2話で終わる感じ。ダラダラ長く書くものでもないしね。今回は部下のフィーリアが抱かれた所までで終わり。次はリーナが先かな?
あんまり嫌がらせされてる所は描写しませんでした。読んでても気持ち良いものじゃないので。さらっとこういう事があったよ程度に。
書いていたら長くなったので昨日は投稿出来ませんでした。色々整えて2話一括で投稿です。10000文字超えてたし。
此処まで読んでくれてありがとうございます。