目を閉じて、夢の中へと旅立つとよくあの時の光景を見る。あれは大学生になってまもない頃だった。夏だから肝試しでもしないか。そんな安直な提案に乗って向かった廃トンネル。其処で出会ってしまったのが
華やかな着物を纏って、カツン、カツンと下駄を鳴らしながら歩いて来る。その姿は一見美しく見えるのかもしれない。ある一点から目を背ければだが。
「く、首……! 頭が……!」
仲間の一人が発した言葉はその場に居た全員の想いを代弁していた。
「──に、逃げろ!!」
誰かが言った言葉が皮切りになり、我先にと大の男達が逃げ惑う。そんな時に、不幸にも自分は道端の石に躓いてしまい、大きく転倒してしまった。
──やべぇ、死ぬか?
こけて体勢を立て直しているうちに、傍まで幽霊が来ていた。もう一度生を受けてここまで生きてきたが、終わりは唐突に来るようだ。焦る思考の中で妙に冷静に物事を見ている自分が居る事に驚く。
「……え?」
この後に来る二度目の死の感覚を覚悟しながら目を瞑った。けれど、その次に起こったのは──。
「──んがっ」
ピピピ、と鳴る目覚ましの音に意識が覚醒していく。体をもぞもぞと動かすと微妙にあちこち痛いのはソファなんかで寝たからか。
「我ながらよく見るな……あの夢。ふあぁ……」
昨日は遅くまで書類仕事をしていた。それが終わった途端に眠りに就いた筈。仕事場と自宅が一緒だと直ぐに寝れるが、寝る場所にはもう少し気を配らなければ。若い内ならまだしも年を取ると無茶な寝方は体に来る。
「ん?」
伸びをしてから体を起こした。ソファに座った状態で全身を解していると視線の先に
「ぷはっ! おはようおはよう! 居たんだな
ぬー子と呼んだ物体は男に覆い被さるとそのまま包んでいく。その中から何とか頭を出すと、その赤ピンク色の体皮を手のひらで撫でる。
男に撫でられた物体はぬぅ、ぬぅと変な声を上げるが、様子から見て喜んでいるようだ。
この物体の名はぬっぺふほふ。妖怪だ。肉の塊の化け物。普段は平べったい状態でいるのだが、意外と素早い。昔にひょんなことから出会い、懐かれて今では家に居つている存在。慣れればペットみたいで可愛げがある。
「ええい、やめい!」
「ぬふぅ……」
じゃれついてくるぬー子をよしよしと撫でていると、体の形を変えてにゅるりと服の隙間から中に入ろうとしてくる。一度味を覚えてからはどうにも貪欲になった気がする。朝っぱらからする訳にはいかない。こちとらまだ寝起きなのだ。なので軽くチョップをして叱ればぬー子は渋々といった様子で侵入を諦めた。
──コッ、コッ。
足音が聞こえた。ヒールが床を叩く音が奥の方から聞こえてくる。この音を鳴らしているのはもう一人の住人だ。それが分かっているから後ろは向かずにそのままぬー子の相手をする。
『おはようございます、
「ん、ありがとな」
人間の声ではなく人工の声が彼女の手の方から発せられる。諸事情により話す事が出来ない彼女は声の代わりに、人の叡智の結晶を用いて会話をする。
話そうにも頭がないのだ。そうなれば自然と口もない。代用品を使うのは至極当然の発想だ。
「
「……」
朝食のおにぎり。漬け物。みそ汁。飲み物には野菜ジュース。和に寄ったメニューが並べ添えられる。配膳が終わったらぬー子を脇に置いてから立ち上がり彼女の元へ。
直ぐ前にまで行くと背の差が顕著に出る。ヒールを履いていても頭が無いから普通よりもその差を感じる気がする。
彼女、千夜の腰を抱いて寄せると抵抗はなく自分の胸までするりと抱き寄せられた。
「んっ」
「……っ」
朝の挨拶。抱き寄せたら首元へと唇を落とす。何時からか自然となった挨拶だが千夜も気に入っているらしい。現にキスをされている間も強く抱き締めてくる。
『……毎日しなくてもいいのですよ?』
「嫌か?」
『嫌などと、言う筈もありません。意地悪を言わないでくださいませ』
「なら良いだろ?」
挨拶が終わるとスマホを弄って言葉を発していく。前に居るのに後ろ側から声が聞こえるのは変な感じだ。千夜は此方を立てる為にかあまり自分の欲を出さない。だから少し強引でも彼女に迫るくらいが丁度いい。
『朝餉を温かいうちに』
「もう少ししなくてもいいのか?」
『……大丈夫です』
そう打ち込むと千夜は離れていく。これ以上はやる必要もない。それに折角作ってくれた朝ご飯も温かい間に食べないと失礼だ。改めて座り直してからいただきますと一言、その後は黙々と食べ進める。
「ぬぅ〜」
『よしよし。気持ちいいですか?』
「ぬっ!」
『ふふっ、良かったです』
朝食を食べている間はぼんやりと二人のやり取りを見ていた。ぬー子はソファから離れると千夜の方へと近づいて行き、それに気が付くと千夜も屈んでぬー子の相手をし始める。初めて出会った時にはぎこちなかった二人の関係だが、長年一緒に居れば距離も縮まるようだ。
──仲良きことは美しき哉、ってところか?
詮無きことを考えながら、
「お、メール来てる」
朝の活力を体に入れた後はパソコンの中身をチェック。一日の始まりは依頼の確認から始まる。嬉しい事に我がなんでも屋への依頼が何件か来ており、自然と笑みが溢れた。
なんでも屋マツカゲ。大学を出てから陽はこの暖簾を掲げている。ある事情から始めたこの仕事。最初は知名度も信用もないので依頼は全然来ず、なんでも屋というよりフリーターであった。
然し二年も経てば少しは名も売れてきて、こうして依頼が舞い込む事も増える。
「ん? これは……」
メールを一つ一つ開いて中身を確認。大体は草むしりだとか、農業の手伝いだとか。なんでも屋として普通の仕事の依頼が来ている。けれど一つ、これまでの依頼とは毛色の違う相談が目に付いた。
「ふんふん、成る程」
依頼主は大学生の男。今年から大学に入り、一人暮らしを始めたが夜になると押し入れの中から物音がして、眠れずにいるらしい。時折視線も感じて家の中なのに休めない。どうか押し入れの中を見てくれないか。
要約するとそんな事がつらつらと書かれている。
──こういった案件はちょい久しぶりだな。
「ぬふ……ぬふぅ……」
はっきりと言ってしまえば、松陰陽がこの仕事をしている訳が
膝の上で寝ているのか、独特な声を断続的に上げているぬー子を撫でながら、陽は真剣な目で依頼内容を何度も目に通す。
「よし。ぬー子」
「……ぬぅ?」
「後で出番だ。その時は宜しくな」
「! ぬふぅ!」
自分の出番。ぬー子は起こされた時は何だという様子だったが、何時もの仕事だと分かると気合を入れている。体からにょきりと腕を出して力瘤のポーズまで取っているくらいだ。
「千夜ー、この仕事最優先でやるけど特に予定ないよなー?」
『待ってください……はい。今日と明日は予定が入ってません。この何方かなら大丈夫です』
「おっけー、じゃあそのどっちかに行けるか聞いてみるよ」
依頼人も解決するなら早い方が良い筈、出来れば今日か明日に行けるといいのだが。陽はメールに記載されていた連絡先へと先ずはメッセージを送り、出方を待つ。
「はい、はい。丁度予定が空いているので大丈夫です。では待ち合わせの場所は──」
電話に出た男は何処か疲れた空気を纏わせている。まあ杞憂しているモノが本物にしろ偽物にしろ、気が気でないのは確か。だからこそ一刻も早く解決の糸口を見つけたいのか、今日の午後に来てくれないかと一番早い時間を指定された。
此方もそれで構わなかったのでそのまま話は決まり、その場は電話を切る。
「──という訳で午後に行ってくる。その間は留守番頼むな、千夜」
『どうか、お気を付けて』
「大丈夫。ぬー子も付いてるから」
「ぬっ!」
『はい、ぬー子さん。陽様を宜しくお願い致します』
仕事が決まったがやはり千夜にはまた心配されている様子。まあそれも仕方ないけど、クソ雑魚だからな俺。一般人に毛が生えたくらいだし。でも自分には頼れるボディガードのぬー子が付いているのだ。それで少しは安心して欲しい。
「ぬふぬふ」
「おう。何時もみたいに頼むぞぬー子」
外に出る前にぬー子の前に立つ。ぬー子はうねうねと準備運動(?)をしてから俺の全身を覆うように被さって来た。
「此処に停めとけばいいか」
待ち合わせ場所として依頼人宅の近くにあるコンビニへと停車。時計を見れば予定よりも早く着いたので周りにはそれらしい人物は居ない。昼は軽く済ませて来たが喉が渇いていたので軽食とコーヒーを一杯頂く。
コンビニに依って微妙に違うコーヒーの味を楽しみながら、ミラー越しに今の姿を見た。
「うーむ、デカいな。相変わらず……」
本来の姿よりもニ、三倍はふくよかになった男が其処には居た。頬は出ていて、顎の肉も付いている。お腹なんてでっぷりと膨らんでいるのだからシンプルに言えばデブ。
どうして急にこんな姿になったのか、それはぬー子の存在が起因している。
ぬー子ことぬっぺふほふは肉の塊だと前に言ったと思う。其処に目をつけてある時に体中に張り付いて貰えば、巨漢の男に見える姿に変わった。体色も元々の色から地肌に近付けて貰えば違和感もなくなる。
自分の体質から人ならざる者に関わると碌な目に遭わない。なのでどうしても一人はボディガード役が居て欲しい。けれど普通は見えないとはいえそのまま怪異を連れ歩くのはどうか。そうして悩んだ末に編み出したのがこの方法だった訳だ。
このせいで外に出る時にはこのふくよかなスタイルにチェンジするが、それで直ぐ近くにぬー子を置いておけるならプラスの方が大きい。
太ってないのに太っている人として見られてしまうが、それもずっとやっていれば慣れる。
「ふぅ、ご馳走さま。まだ時間はあるか……少し早く来すぎたな」
「……ぬふぅ」
軽食もコーヒーも飲み干してしまった。ゆっくり食事をしていたのだがまだ待ち合わせまでは時間がある。少し間が空いたからと怪異案件に張り切ってしまったらしい。これならもう少し事務所で雑務をしてから来れば良かったとボヤいていると、服と肌の間に潜んでいるぬー子が動き出す。
「──おうっ!? ぬー子っ……!?」
「ぬぅ……ぬふ……♡」
ぬー子は今体中に張り付いている。だからそこに触肢を伸ばすことも容易い。ぬるりとした細長いものが陽の肉の棒をぐるぐると包んでいく。何処か湿り気のあるぬー子の触肢は少し生温かく、独特の心地良さを陽に与える。
「──ぬっ!?」
「もう直ぐ依頼人が来るんだから駄目だ。今日が本当に怪異案件なら後で
「ぬー……」
このまま流される訳にはいかない。陽は自身の太くなった腕を思い切りつねる。するとビクッと反応し、ぬー子の触肢が動きを止めた。その隙に諭すように語りかけていけばぬー子も諦めたようで、触肢を陽のモノから離していく。
「あの……」
「──あ、はい! な、何ですか?!」
「なんでも屋の松陰さんでしょうか?」
「は、はい! そうです。もしかして依頼人の……」
コンコンと急に窓ガラスをノックされたので驚いた。衣服の下で行われていた事なので見える筈もないが心臓に悪い。少し焦ったが相手が依頼人の大学生だと分かると思考が仕事モードへと切り替わる。
車から降りて改めて自己紹介をすると本題へ移った。
「成る程。引っ越してから直ぐにですか」
「はい。最初は疲れから変な音が聞こえるのかと思ってたんですが……毎夜続くと流石に可怪しいなって思いまして……」
「中は見てみたんですか?」
「い、いえ。そんな恐ろしい……ヘタレかもしれませんが無理です……」
「いえいえ、怖いのは仕方ありませんよ。お気になさらず」
依頼人の
相談しようにも何処に相談すればいいのか、そんな時にうちの噂を聞いて依頼を試みたという。
「まさかこんなに早く対応してくれるとは思いませんでしたが……あ、此処です」
「203号室、ここが高原さんの?」
「そうです。この部屋の和室にある、押し入れの中を調査して欲しいんです」
高原さんの案内で着いたのは質素なアパートの一室。二階建てで上の方に彼は住んでいるとの事。部屋の前からは特に何かの気配はしない。中に入り押し入れの前に行けばするのだろうか。
「では軽く見てきますね」
「お願いします……」
──まあ好都合だしいいか。
中に入ろうとすると高原さんは外で待つと言った。押し入れの中を見たくはない。恐怖心から今は部屋の中にもあまり居たくないとか。申し訳無さそうにしていたが、ぬー子が動きやすくなるので逆に助かる。
「うわ、多分居るなこれは……」
「ぬふぬふ……!」
「ぬー子もそう思うか? だとしたらその時は頼むな」
ドアを開けて和室まで向かう。押し入れの前に立つと異様な空気が漂ってくる。自分の能力はそこまで高くないし寧ろ低い。だが何度もこういった経験をしたので気配には敏感になった。研ぎ澄まされた感覚が押し入れの中に
ぬー子も気配を感じているのか服の下でもぞもぞと動き出す。
「……開けるぞ」
覚悟は決めた。直ぐ傍にはぬー子が居るがそれでも緊張する。押し入れ自体は片手で引ける。取っ手に手を掛けると勢いよく横にスライドさせた。
『…………』
──うおっ、居たわ……普通に居るとビックリする……。
『!! うああああ!!』
「で、そう来るよな! 何時も通りで安心したよ!」
押し入れの中には男の霊がいた。体育座りをして陰気な顔で此方を睨んだかと思えば、直ぐに表情を変えてギラギラとした目つきに変わる。
普通ならばこの霊は押し入れを開けた自分に敵意を向けただろう。けれど今の男の目には敵意からと言うよりも別の意思が介在している。
それが何かを陽は知っている。
「ぬっ!!」
『うあっ!??』
「ナイスぬー子!」
何故そんなものを向けられるのか。それは陽の生い立ちに関係している。陽は所謂転生者であり、一度死を経験して再び生を受けた。どうやらこの経験が陽の体質に変化を与えたらしい。
生きながらに死を内包している。死の気配がするのに生の温もりがある。この二つは本来ならば決して相容れない、同居もしない。なのに自分は転生者という立場からそれを両立させている。
それがどうにも死した存在、幽霊やら化け外を魅了してやまないみたいだ。一度千夜にも自分がどう見えるか聞いてみたらもじもじとしながらとても素敵ですと言われた。容姿は普通だと思っているのだが、彼女達の目線からだとかなり違って見えるようだ。
「おお、一掴み」
「ぬー?」
「ん? ああやっちゃっていいぞ」
さて一旦話を戻そう。幽霊が襲い掛かってくるが、それはぬー子先生が華麗に阻止した。ぬー子は肉の塊である肉体を変形させて巨大な人間の手を作る。その手のひらでガシッと男の頭を鷲掴み、男はその拘束から逃げ出そうと藻掻いている最中。
こうなったら後は簡単だ。ぬー子に始末を任せたならぬー子は作り出した手のひらに力をグッと入れ……。
『──ああああああ!!!!』
「……うーん、グロい」
「ぬー! ぬふー!!」
「ああ、良くやったぞぬー子。守ってくれてありがとうな」
「ぬふふぅ〜♪」
鷲掴みしてた頭を思い切り掴めばどうなるか。幸い既に死した存在なので血肉が飛び散ったりはしないが、普通は聞かない音がしてから断末魔の悲鳴を聞こえて、男の幽霊は二度目の死を迎える。
何時聞いても慣れないなと思いつつも、ふんすふんすと多分ドヤ顔をしているぬー子になでなでをして感謝を伝える。ぬー子は嬉しそうにうねうねと手のひらを動かして喜びを露わにした。
「え、もう終わったんですか?」
「はい、処理は先程終わりました。恐らくもう物音がしたり気配を感じたりもしないでしょう。何か問題がありましたらまたご連絡ください」
「そ、そうなんですか?」
高原さんを悩ませる大元はぬー子が物理的に排除した。二度目の死を迎えた幽霊に居場所はない。二度とこの場所に現れる事はないだろう。それを説明は出来ないので半信半疑といった様子だが、時間が経てば直に分かる筈。
後日高原さんの連絡でもう物音に悩まされなくなったと報告を受けた。電話越しにも分かる上機嫌で、前に話した時とは違う活力に満ちた声。早急に事態を解決したから、元々の報酬に追加のお礼も足されて此方も嬉しかった事を記しておく。
「ただいま。無事に終わったぞー」
『良かったです。ぬー子さんもお疲れ様でした』
「ぬふっ」
依頼人と別れて帰宅。報酬は後日に纏めて貰うので今回は現地解散、慣れてきたとはいえ元の姿が一番だ。帰って来たし体に張り付いている必要もない。ぬー子にはそろそろ離れて欲しい旨を伝えたのだが。
「ぬー……ぬぅ……」
『あ、もしかして……』
「あー成る程。そういや後でご褒美あげるって言ってたな。それが
「ぬふっ、ぬふっ」
お願いしても中々体から離れずに何処か不満そうな雰囲気。いち早く気付いたのは千夜で遅れて自分も察する。今回の案件が本物なら飴をあげると言ったのは自分だ。ぬー子はそれを期待していて、中々切り出さない事に不満を持っていたようだ。
「分かった、この後部屋に行こうか。其処でたっぷりと今日頑張ったお礼をしないとな」
「!!!」
「おわっ! 急に動くなって! もぞもぞして擽ったいんだ……! という訳だから奥に行くけど良いか? 千夜」
『ええ、大丈夫です。後の仕事は私がしておきます。どうかぬー子さんの相手をしてあげて下さい』
帰って来て早々こうなるとは思ってなかったが、ぬー子が喜んでいるんだし良いだろう。事後処理やら残った雑務を任せるのは申し訳ないが千夜も気にした様子はない。
「……したくなったら、途中で混ざってきてもいいぞ」
「っ!?」
『……ぬー子さんのご褒美なので大丈夫ですよ? お気になさらず』
──遠慮しないでも……ぬー子も多分気にしないだろうし。
二人だけヤるのもと思いすれ違いざまに囁いてみたが、千夜は真面目な所があるので今回はぬー子の番だと自分を律している。そう思っているなら無理に強制するのも駄目か。
「ふぅ、体が軽くなった気がする」
部屋を移すとぬー子も服の隙間から抜け出していき、漸く元の姿へと戻る。張り付いた状態だと肉の重さも感じるのでそれが無くなると開放感も中々。軽く背伸びをして体も解しておく。
「ぬぅ……♡」
「おお、準備が良いな」
ぬー子が元の平べったい姿に戻り、其処から女の下半身を模したものを作り出す。自分の好みに合わせてかムッチリとしていて、肉感的な雌尻が誘うように左右にゆらゆらと揺れている。
体質から人間以外の存在を惹きつける事は語っただろう。その体質を更に細かく説明すると、男女に寄って効果が変わる。
男の怪異とかなら自分を見ると
自分の性別が男だから異性には直接的な魅力として効果が発揮されて、同性には他の大きな欲求。食欲を刺激するのかなとか考えはしたがはっきりとした事は分からない。対抗する術は持っていても専門家じゃないからな。
「この作ったオマンコに俺のが欲しいのか? ぬー子」
「ぬっ! ぬ〜〜っ!!」
「よし、くれてやる……よっ!!」
「──ぬぅぅぅ♡♡♡ ぬっ♡ ぬふぅ♡」
この体質に魅了されてぬー子とは縁を結んだ。そうして一度性の交わりを経験してからは貪欲に行為を求める様にもなった。彼女達を惹きつける力はこっちにも作用してるのか、今の所確実にメロメロにしている気がする。
すっかりと彼女達との性交の味を覚えた俺のモノは、ふりふりと揺れるぬー子の尻を見てガチガチに硬まる。それを露出すればぬー子も興奮して早く早くとそわそわし始めた。
ムチムチの尻を鷲掴み、割れ目を開いたらドロリとした液体が流れ落ちた。これが愛液なのかぬー子の体液なのかは知らない。潤滑油代わりになるなら何方でも良い。そろそろ我慢出来ないので素早く自らのモノを奥へと押し込む。
「うお……絡みついてきて、肉厚……!」
ぬー子が作ったオマンコは肉棒の形に合わせて、奥行きも広さも調整済みの代物。何度も味わった肉棒の形は完璧に覚えていて、ジャストフィットしている。自分専用のマンコ。そう思うとゾクゾクとした快感が込み上げてくる。
「くっ……! 何時も何時も仕事中に誘って来やがって! 我慢してるのは俺もだからな!」
「ぬっ♡ ぬぅぅ♡♡ ぬふぅ!?」
「このエロ妖怪がっ、うぐっ!」
尻たぶを持って腰を前後に振っているだけでも気持ちいい。中の
「っ……一発目出すぞ、ぬー子!」
「──ぬぅぅぅっ♡♡♡ ぬぅぅぅっ♡♡♡」
「く……あ……ふぅ……」
入れてからまだ少ししか経っていない。然しこれ以上耐えるのは無理、一度発散しておかないとキツい。そう判断してからは腰を振り、打ちつける速度を早めていく。高まりが最高潮になれば、奥まで抉り込んでから我慢を解いた。
目がチカチカとして、勢いよく放出された白濁液がぬー子の中を満たしていく。ぬー子も気持ち良いのか、あまり出さない大きな声を上げてぶるぶると震える。
「ふぅ、ふぅ……うっ!」
「ぬふ……ぬぅ……!」
射精を終えて余韻に浸っていると腟内が蠢き出す。今し方放出した精液をぬー子が取り込んでいる動きだ。肉棒を締める様にキツく圧をかけ、尿道に残った液をも残さず吸い上げる。
これもまたイッたばかりの敏感な状態だと結構クる。少し出た精液も追加で吸収されてから、蠢きは鳴りを潜めた。
「──ふっ! ふっ!」
「ぬぅぅ、ぬふっ、ぬふぬふ……!」
「じゅるるっ、ちゅぱ、ちゅぱ……ずろろろろっ……!」
「ぬっ!? ぬぅぅふ♡ ぬふぅ…」
勿論一発精液を注いだくらいでお互い満足はしない。直ぐに二度目の交わりが始まる。体位は変わらず、バックから尻を持って腰を打ちつけるものだが、ぬー子の下半身からはまた別の部位が生えている。
それは人間の上半身。けれど腕は無くて頭も無い。あるのは男受けの良さそうな肉のついた二つの柔肉。ツンと飛び出た蕾は陽に喜んでもらえるからと生やされた突起。
その乳首と周りの肉を口の中に含み、べろべろと舌で舐め回したり、吸い付いたりして貪る。作られた器官でも快感は発生するのか、突いた時とは違った反応をぬー子は見せた。
「んむっ、ちゅるる……!!」
凡そあり得ない体位は快感を与える事に特化している。最低でも人間二人が居ないと出来ないプレイ。胸を吸い、腰を振っていると自分が何もかもを忘れた、獣になっているかのような錯覚を覚える。
雌の肉に溺れて精を出すまで抽挿を行う。頭の中にはご褒美だとかそんな理屈は既に無くなっていて、ただこの快楽を味わいたいから、その一心で動いている。
「──くぅぅぅっ!!?」
「ぬふぅ……っ♡♡」
果てては少し休んで、また動く。何度か繰り返した行為の先にまたもや腰を奥まで突き込んでから我慢を解いた。途端に精液はぬー子の奥へと注がれていき、それが済むと脱力して息を整える。
「ぬ〜」
「……ん?」
休んでいる間はぬー子が体から触手の様な物を出す。それは陽の腕や首、足首等に巻き付いていき、やんわりと力が込められて巻かれた箇所に感触が伝わる。これは人間風に言うとハグと言ったところか。情事の合間の甘える行動。そう思えばより一層可愛くも思え、陽の方からもぬー子の体に手を置いて軽く撫で擦る。
すると部屋の戸をコンコンと叩く音が聞こえた。気の所為かとも思ったが、もう一度コンコンと鳴ったので聞き間違えではない。となると相手は誰か自ずと分かる。
『……失礼します。急に申し訳ありません』
許可を与えて中に入って来たのは予想通りの相手、千夜だ。扉を閉めると少し間を空けてから電子端末へと文字を打ち込んでいく。聞こえてきた機械音声は変わらない声色な筈なのに、千夜のもじもじとした様子から何処か控えめな声に聞こえた気もした。
「よっと……やっぱり千夜もしたくなってきたか?」
『その……はい。陽様とぬー子さんの声を聞いてたら徐々に……』
わざわざ部屋にまで来た理由はもう察しがついている。一度ぬー子から一物を抜いて、ベッドの縁に腰掛けた。ぬー子は座った後に背中に張り付いて今はもぞもぞしている。
「そうかそうか、我慢出来なくなったんだな」
「っ……♡」
ぽんぽんとベッドを手で叩けば千夜は近づいてきて横に座る。そしたら軽く腰を抱いてやり──耳が無いので囁けないから──首元で呟いた。ビクッと体を跳ねさせると頭を縦に振った様な動作をする千夜。
恥じらいつつも返答はしっかりと返すのが彼女の可愛らしい所だ。
「ぬー子」
「ぬ?」
「良いか?」
「……ぬっ!」
背中に張り付いてるぬー子へと伺いを立てる。今回の主役はぬー子、何と返すかは分かっていても聞いておくのは必要だ。ぬー子の反応は想定通りだった。さっきまでの交わりである程度は満足したらしい。背中からも離れてベッドの下に降りるとそのまま動かなくなる。
『ありがとうございます。ぬー子さん』
「ぬー」
バトンタッチの前に千夜はお礼を告げて、それにぬー子も気にするなと言いたげに応えた。
「もう此処もぬるぬるだな千夜。もしかしてオナニーでもしてたのか?」
「っ……! っ♡♡」
『して、ません』
「じゃあ、悶々としてる内にこうなったのか」
『は、い……そう、ですっ』
ベッドの上に仰向けに寝る。その上から千夜は後ろ向きに寝転がり、自分は下敷きになった状態で彼女の体へと手を這わしていく。
先ずは控えめながらも張りのある胸を掴んで揉む。声は出せないが、わざわざ端末を使って喘ぎ声の真似事をしてくれる千夜。単語を間隔を空けながら連呼すればそう聞こえなくもない。
自分を喜ばせる為にいじらしい事だ。可愛いので首筋に吸い付いてやると少し仰け反って体を震わせる。その時にピンと立った乳首を摘んでやったら更に良い反応をした。
「ん、あっ……! いいぞ千夜……っ」
『ピクピク、して、愛らしい、です』
既にぬー子との交尾を聞いて千夜の準備は整っている。然し直ぐにヤるのは風情がない。準備が出来ていても前戯を行って気分を盛り上げていく。千夜の股の隙間には興奮から勃起した肉棒が顔を出している。千夜は肉棒に片手を添えると、慣れた手付きで上下に扱いていった。
生前は遊女だった経歴から本番よりもこうした技術の方が千夜は上手い。何度も握っては絶頂に迎えさせた経験から、自分の気持ちいい所、反応は熟知しており我慢しようとしても中々出来ないのが実情だ。
「ああっ、駄目だ……イクッ!」
「……♡」
『熱いです、まだ、こんなに、出るなんて』
「はぁ、はぁ……千夜が相手だからかな」
『……もう』
今日こそ我慢してやると思ったが残念ながら無理。放物線を描き放出されたザーメンは重力に負けて千夜の太もも辺りに落ちる。千夜は太ももに付いた精液を擦り合わせたりして糸を引かせた。その様がまた淫靡である。
「今日は千夜が動いてくれるのか?」
『はい。僭越ながら、この千夜が主導させていただきます』
屹立した肉棒の先端に千夜の入口が触れる。これから訪れる快感に魔羅は期待に震え、ヌルリと水気を含んだ感触が亀頭を通じて伝わってくる。
「っ……!」
「くあっ……千夜の中……!」
一度入れば奥まで行くのに苦労はない。自らの肉棒で開拓を続けた
端末に文字を打ち込んで話そうとしても手が伸びず、先ずはこの挿入された肉杭に慣れなければいけない。硬直した姿勢のまま暫しの時が流れた。
「相変わらず千夜のは締め付けが凄いな」
『陽、様のも』
「千夜のに包まれてると安心するな。ずっとこれでもいいくらいだ」
千夜の腰に手を回し、そのまま臀部へと手を伸ばした。安産型と言うのが似合う彼女の尻を撫で回していると、時々キュッと中が締まる。感じているんだなと思いながら手は動かし続け、動かないでもかなりの満足感を覚える。
「っ……! っ!?」
「どうした? 話さないのか千夜」
『陽、様……』
「──っ♡♡」
桃尻を撫でていた手を腰に当て、しっかりと掴んで一突き。端末に文字を打ち込んでいる最中なのに、こんな事をすれば入力は中断されるのは当然。続けてズンッ、ズンッと腰を引いて押し入れる。千夜は端末を握り締めたまま耐える様に体を前屈みにした。
「──んおっ!?」
──パチュン! パチュン!
「締め付け、強いまま……! それヤバい……!」
急に端末をシーツの上に放ると千夜の雰囲気が変わった。手をついて急激に中の締め付けを強めたかと思うと、その状態で激しく上下に腰を振り始める。少し意地悪をしたが逆にそれが千夜に火をつけたみたいだ。
搾り取る。そんな意思を込めたピストンが今行われている。堪らず声を出すが千夜の動きは止まるどころか増すばかり。
「腰使い……凄っ……!」
射精させる為の加速は止まらず、徐々に込み上がるものを抑えるのも辛くなってきた。イきたい、この腟内に精液を吐き出したい。まだイきたくない、このオマンコの気持ち良さをもっと味わいたい。そんな相反する感情がせめぎ合う。
「──千夜っ、千夜っ……!!」
「〜〜〜っ……♡♡♡」
腰をガッチリとホールドして精を吐き出す。我慢出来なくなり、オマンコにザーメンをこれでもかと注いだ。千夜も合わせるように腰を押し付けて奥で大量の子種を受け止めた。プルプルと震えるのはエクスタシーの現れだろう。
「……悪い、もう勃ってきた」
「……♡」
高まる興奮は体への影響に繋がる。中で再び膨張を始めれば千夜も直ぐに分かる。今度は正常位のまま腰を振り、二度目の絶頂に向けて自分は彼女を責め立てていった。
「──じゅろろろ! ずるるるっ! れろろろ……」
──ムニュ♡ ムニュ♡ ズリュズリュ……♡
「ヤッベェ……! パイズリフェラ効っく……!」
腰が抜けそうな程の快感が肉棒を伝って来る。千夜の控えめだった胸は大きく肥大化し、その谷間から出た亀頭はぬー子のフェラ口に捕食されている。
ぬー子が千夜の体に張り付き、千夜の胸にこれでもかと肉を配分した。千夜の首の先からは髪のない口だけの付いた頭が作られており、謂わば合体した二人に今、自分は責められている。
「──はあっ、はあっ……!!」
「ぬ……ちゅるる……」
──ムニッ、ムニッ。
千夜の卓越した技巧。ぬー子の歯のないぴったりと張り付くフェラの合わせ技は極悪だった。片方だけならば何とか耐えられるのに、その隙を二人のコンビネーションは許してくれない。情けない事に果てる直前にこうして手を抜いて貰わないと直ぐにイッてしまう。
「ずろろろろっ♡ ぬぅぅぅぅ♡♡」
「くあっ!? む、無理……!!」
『イッて、イッて♡』
「くあああああっ!!!?」
結局二人に翻弄されるまま精液を絞り取られてしまう。最後まで良い所なしだったが、それでもこの極上の快楽を味わえたのなら、それも良いと思ってしまうのだから恐ろしい二人だ。
「──っ♡ っ♡♡」
「ふんっ……! 今度はこっちの番だ! れろ、れろ、じゅうぅぅ……!」
「ぬっ!? ぬぅぅっ!」
仕返しとばかりに乱暴に腰を振って、千夜の尻に叩き付ける。この尻も今はデカ尻と呼べる大きさにまで肉が分けられており、叩き付ける度に触れる感触、波打つケツ肉が視界にも感覚にも絶大な気持ち良さを与える。
千夜の背中の辺りにはぬー子の作ったこれまた肉感的な尻が置かれいて、喋らない時は専ら肉穴に舌を突っ込み、べろべろと舐め回す事で先程の意趣返しをする。
「気持ちいいか!? 気持ちいいか千夜!」
『は、い。はい、はい、はい、はい──』
「くぅぅっ──出すぞっ!!」
尻を上げて肘を付いて快楽に耐える千夜。シーツを強く握る姿がそれを現している。問いかけた言葉に遅れて同じ言葉を繰り返す事で返事を返し、興奮が最高潮に到達した事で此方も限界を迎える。
射精し終えれば千夜の腰はガクガクと揺れて、力も入れられなくなったのかそのまま倒れ込んだ。
「続けて出してやるっ!!」
「──ぬふぅっ!? ぬ〜〜〜っ♡♡♡♡」
まだ一人元気なのが残っている。このまま終わらせるかとぬー子のケツを掴んでそのまま勢いよく挿入。奥まで一気に到達した肉棒を前後に激しく動かす事で再び硬さを取り戻させた。
肉棒を迎えて纏わりついてくる肉襞のお陰で再勃起は早い。千夜と同じくらい注いでやる、その一心で腰を振り続けて射精まで高速で辿り着いた。
ぬー子は腟内の奥に口を移動させて、肉棒を咥え込んだまま絶頂と精飲とを同時に味わったようだ。
「……さ、流石に応えるなニ連続は……きゅ、休憩……」
「ぬー……♡」
「……っ♡」
二人の女を同時に味わい、大体同時に果てた。心臓がバクバクして息が乱れる。ぬー子へのご褒美の筈が3Pへと変わって今の今までほぼノンストップ。ベッドの上に大の字に寝転がり体を休めないとキツい。
「え……」
『まだ、出来ますか……? 陽様……♡』
「ぬふぅ……♡ ぬー……♡」
其処に両脇から二人が這って来る。人から外れた存在は体力も外れているのか、まだまだ欲しいと陽を求める。嘘だろ、せめてもう少し休んでからに……。
次の日、なんでも屋マツカゲは臨時休業になったとか。
怪異ホイホイの体質だから守って貰う為にハーレム拡大しようぜって話。千夜→ぬっぺふほふの順で仲間入り。
千夜 元は遊女だったけど冤罪かけられて死んだ子。
ぬー子 普通に妖怪。ある日、陽の体質にホイホイされて出会った。
主人公 転生者だからか変な体質になった。何だかんだ役得ではある。
文章は早めに書き終わったけど、納得いく画像が中々出来なくて遅くなりました。作ってる途中で何が良いのかよく分からなくなってきたので、取り敢えず適当に画像をピックアップして投稿。
確か前書きと後書きにも画像貼れるんでしたよね?なのでもしかしたら後で試しに何か貼るかも。
タグは投稿終わったら後で追加しておきますね。
追記
【挿絵表示】
R18の画像も試しに貼ります。ぬー子とのエッチ時に下半身から上半身が生えてるのをイメージしたやつ。モザイクはこれくらいかければ良いかな?
もう少し胸は大きくしたかったけど全体的に良かった絵なので此処に置いときます。