女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活 作:灰崎 快人
月曜日の早朝、俺は千冬に呼び止められて一緒に食事を取っていた。
「千春、確かお前は部屋にデュノアとボーデヴィッヒが入り浸っていたな?」
「ん?ああ、部屋の鍵を破壊されてまで侵入されてるからな。合鍵くらい渡すだろ……」
「その件なのだがな、寮の方で新たな規則をつくることになった」
「また面倒な……それで?その規則というのは?」
「特別規則第一条、男子の部屋には女子を泊めてはならない。だ」
「……」
それって今の俺に関係あるのか?
今の俺は「黒咲千春」という名の女の子としてこの学園に所属している。
実際は「黒薔千春」という名の男性だが、千冬から伝えられた規則が俺にも反映されるのであれば、二人から合鍵を返して貰わなければいけない。
「また随分と急だな。もしかして一夏が一人部屋になったのを良い事に、止まろうとする生徒でも増えたのか?」
「その通りだ、その為にこの特別規則を作ったと言っても過言では無い」
コーヒー片手にため息を漏らす千冬を見て、本当に面倒なことが起こらないようにするための予防線なのだと感じた。
男一人部屋というのはどうしてもそういったリスクが起きるのは仕方の無いことなのだろう。
かと言って誰かと相部屋にするにしても、その相方を羨ましがる生徒の数は少なくない。
一番良いのは俺なのだろうが、今の俺は女の子としてこの学園に居る以上特別扱いは出来ないのだろう。
「それで俺の事も特別規則に則り、部屋に泊めることを許さないと」
「まぁそうだな。それにお前の正体がバレたときが一番面倒だ」
確かにそうかも知れない。俺の部屋に遊びに来ていたということは、俺の正体を知っている可能性が高くなる。
そうなれば質問攻めに遭ってしまいある事ない事言われる可能性もある……よし、合鍵回収しに行こう。
「分かった。なるべく早めに回収するとしよう」
「すまないな」
「別に良い、ただ部屋が少し静かになるだけだ」
少し寂しい気持ちもあるが、決まってしまったことならば素直に従うとしよう。
「……まさかとは思うが、毎日部屋に来ている訳ではあるまいな?」
「はは、まさか」
笑顔でそれを否定するが、疑い深い千冬は鋭い目つきでこちらをじっと見つめていた。
正直言って怖い。
「とりあえず二人からは鍵を回収するさ、万が一の時は鍵穴変えればいいしな」
「変えるのもタダじゃないんだが……」
分かってるよ。
それに最近身体がダルいから一回しっかり休むために一人になる時間も必要だと思っていたからな。
(なんで二人と寝るといつも少し朝が辛いんだろうな……)
ココアを飲みながら俺はそんなことを考えるのだった。
「───と言うことで合鍵を返して貰う」
「納得出来ん!」「納得できないよ!」
放課後、いつも通り部屋にやってきたシャルロット、ラウラに事の経緯を説明する。
しかしやはりというべきか、二人がはいそうですかと納得できるとは思って居なかった。
案の定、合鍵を返して貰えそうにない。大切な物のように握りしめているのだ。
「だけどな……これは決まったことだから大人しく鍵を返して貰うぞ」
そう言ってまずはラウラが持っている合鍵から奪うことにする。
軍上がりであったとしても平和ボケしてしまえば動きも遅くなる、案の定咄嗟に行動を取ることの出来なかったラウラは俺に動きを封じられ、手にしていた合鍵を必死に隠そうとしている。
「や、やだっ!」
「ダメだ。これは没収だ」
必死に抵抗を見せるラウラだったが、その動きは子供が欲しいものを買って貰えなかったときの動きに似ていた。
「ヤダヤダヤダッ!!!」
「一緒に寝れなくなるだけだ、それくらい我慢しなさい……」
それにこの特別規則では男の部屋に泊まるのはダメだが、逆に関しては特に何も言われていないのだ。
一緒に寝ようと思えば寝れるのだ。
「わがままな子は嫌いなんだが……」
「うっ、うぅっ……」
涙と鼻水を流しながら震える手で合鍵をこちらに差し出すラウラ、少し可哀想なことをしてしまったと思いながらも合鍵を回収する。
合鍵を回収した後、ラウラの頭を優しく撫でる。
(心が痛むな……でも仕方ないよな)
「泊まりはダメだが、それ以外なら大丈夫だからな?」
「はいっ……」
ぐずっているラウラを落ち着かせ、次の標的に狙いを定める。
シャルロット・デュノア、合鍵を渡しているもう一人の女の子。
大切にそれを持ってゆっくりと後ずさりしているが、その先は壁だ、逃げ場は無い。
「悪いが、それを返して貰うぞ。シャルロット」
「嫌だよ……これだけは絶対にね!」
反抗的ではあるものの、端っから勝てる相手では相手ではないのを分かっているのか必死に鍵を握っている。
何故そんなに大切なのか、俺には分からない。
ただ一緒に眠れなくなるだけだ、ただそれだけなのに……
「シャルロット」
「お断りだよ。絶対にね」
「……そうか」
渡す意志は絶対になさそうだ。だが解決策はそれ以外にも方法がある。
「なら鍵穴を変えるだけだ、そうすれば手にしている鍵は使い物にならないからな」
「なっ!そ、そこまでしなくても……」
「そうでもしないと、シャルロット達に反省文と懲罰部屋が与えられることになるんだけど?」
あまりにも厳しすぎるのだが、千冬曰くこれも決定事項らしいのでどうしようもない。
これでも退かないのであれば最終兵器を出すしか無くなるのだが……
「そ、それでも……それでもっ!」
「それでも?」
「それでも、守りたい物があるんだっ!」
なら鍵穴を変えないと行けないだろうな。あとで千冬に報告しないと行けなくなってきたな。
まぁそれはそれとしてシャルロットには少しだけお灸を据えるか。
「良いだろう。それならこちらにも考えがある」
机の上に置かれている写真立てを手に取り分解していく。
すると小さな小さなレンズの付いたカメラのような物が出てくるのを見ると、シャルロットとラウラはとても驚き汗をダラダラとかいていた。
どうやら俺が部屋を空けている時、もしくは眠っているときに何かよからぬ事をしているのだろう。
「このカメラの中にはこれまでの部屋の状況が記録されている。ここに記録されているデータで少しでもおかしな事をしていた場合、アルベールに問題行動として送信する」
「そ、それは辞めて!」
小型カメラを奪おうと必死になるシャルロット。
彼女だけだと思っていると、呼吸を整え終えていたラウラも混ざってカメラを奪おうとしてきていた。
(ま、まさか本当にヤバいことをしているんじゃないよな!?大丈夫だよな!?)
データを確認するのが怖くなってきた。
「はぁ……とりあえず合鍵は回収だ。わかったな?」
「うぅ……わかりました」
シャルロットからもなんとか合鍵を回収することが出来た、だがこれでなんとかなる子達では無いのは分かっている。
鍵を新しくすればドアノブごと破壊されて侵入される、つまり合鍵なんて渡さなくても彼女達は侵入してくるのだ。
普通は破壊できないような物もラウラの手によっていとも簡単に破壊されている、手の尽くしようが無い。
(かと言って対策しないわけにも行かない……とりあえず千冬に報告は入れておくか)
二つの合鍵を手にそんな事を考えるのだった。
「───と言うわけでなんとかならないか?」
「ひとまず鍵は回収できたのであれば問題は無いだろう、それに釘も刺したのだろう?」
「一応な。それで大人しくしているとは思わないけどな」
千冬とココアを堪能しながら今後の対策をなんとか考える事になった。
IS学園外で家を持ちそこから登校する事など案が出たが、流石にそこまでのことをしてしまえば怪しまれてバレる時間が早まるだけ、そしてそんなお金を出してまですることでは無いと判断した。
そして結論から言ってしまえば部屋の鍵を従来の物から専用のカードを差し込むことで入室できるようにすることとなった。
どうやら鍵を紛失したという事例が数回あり、カード式にすることで携帯性の上昇や不法侵入を防ぐ予定らしい。俺の部屋はそのテストモデルとして試験的にカード式の扉になるとのことだった。
「面白そうだが、外部ハッキングされたときどうなるのか不安ではあるな」
「あくまで試験的なものだからな、実際使用してみなければわからないのだ。使用者の感想も聞きたいからな」
「まぁ最初は慣れないだろうが面白そうだ」
扉の交換は俺が授業を受けている間には終わる様で、2~3日後に取り付けをするとのことだった。
専用のカードは紛失しないようにと予備を千冬が預かるらしい。
(……いや、まあ、千冬は教師だから持っていて問題無いよな?)
(これで千春の部屋に入れるのは私だけだな……よし!)
次の番外編
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おねショタ(無効票)
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1シャル&ラウラと千春(受け)
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2シャル&ラウラと千春(攻め)
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メス堕ち(無効票)(千春総受け)
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束と千春
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千冬と千春
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シャル&ラウラと千春
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一夏と千春
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オマケ(無効票)
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千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
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千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」