女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活 作:灰崎 快人
昼休みに入りデュノアの微調整も終わったらしく、制服に着替えた後に食堂へと案内した。
ISスーツを脱ぐのは面倒なのでそのまま制服を着込んでいる、これで多少の時短になっているので食堂での食事時間にも余裕が出来るだろう。
俺が着替える頃には更衣室に人が居なかったので本当に助かったと言うほかない、ボーデヴィッヒは着替えながらずっとこちらを睨んでいたのだが……気にしたら負けだろう。
織斑は先に着替えて何処かへ行ってしまったので、ここからは転校生の二人を面倒見ることになった。アイツは一体何処へ向かったのだろうか?
「IS学園を軽く見てどう?やっぱり女子からの視線がキツいかな?」
「最初はちょっとびっくりしたけど、今はそこまで気にしないかな」
「男と言うだけで物珍しい者を見に来る愚か者のことは、あまり理解出来んな」
「ボーデヴィッヒさんの言ってることも理解は出来るけど、授業に支障が出るくらい詰め寄られたら流石に迷惑だよね……」
特に今の状態では尚更物珍しいものを見る視線が集まっている。男性操縦者に問題児、その真ん中で話を回している一般専用機持ち(?)。転校生二人と歩いている時点で珍しいのに、そこに男性操縦者などの条件が付いてしまうと、どうしてもこうなってしまう。
「ひとまず食堂に行こっか、午後の授業もかなりハードだと思うからね」
「……なんか黒咲さんは周りの女子達とは違うね、僕にそこまで興味が無いような感じがする」
「確かに周りに居る馬鹿共とは違った雰囲気があるな。それに私の腕を正確に蹴り飛ばした上で瞬時にナイフを展開、そしてそのまま私の喉元に突きつけた……あそこまで洗練された動きは久しぶりに見た」
それはそうだろう。確かにデュノアの存在は珍しいものだが、俺からして見れば一人増えただけであり特に何か良いイメージを残そうとも思っていない。
良いイメージを相手に与えてしまえば、いつか来てしまう別れの時にとても辛くなってしまう。
だから俺はそこまで関係を構築することは無い、例え作ったとしてもそれは織斑先生と篠ノ之博士だけだろう。それ以上増えたらどうするか?その時考える。
「ボーデヴィッヒさんは他の皆と仲良くしようとは思わないの?」
「思わないな。特に貴様とはな」
なんともさっぱりとした回答である。軍人さがにじみ出ているが、ここでそれを出したら孤独になるだけだろう。
俺のことを嫌っている理由も分かるが、その態度ももう少し改めた方がいいだろうな。
会話が途切れないよう気をつけながら2人を食堂へと案内する。
食堂ではデュノアが来た事に驚いている女子達が何名か見えたが、そんなことは気にせず食堂のシステムを2人に説明する。
食券機などの事を説明した後3人用の席を取っておく、人数の決まっている席に座れば余計なのがついてこないので安心だろう。
ある程度システムを理解した2人と共に食券を買い、食事を受け取った後席に戻ろうとする。するとボーデヴィッヒが食堂のおばちゃんに何か伝えているようだった。
「あの、オハチください」
「オハチ?」
オハチ……もしかしてお箸のことかな。少し発音が難しかっただろうか?
「お箸を1膳もらえますか?あとスプーンも一応」
「あぁ箸の事ね。どうぞ」
「ありがとうございます」
他女子からの視線が凄く痛いが先に自分を優先させた彼女達が悪いので大人しくしてもらおう。
2人とも日本食を選択していたが、箸の扱いなどは大丈夫だろうか?一応扱えなかった時に備えてスプーンを2つもらってきたが……
「それじゃあ手を合わせて、いただきます」
「「いただきます」」
食事を始めると2人とも箸の扱いに苦戦しながらもなんとか食事を取っている、だがボーデヴィッヒに関しては何度もポロポロ落としてしまうので流石にスプーンを渡すことにした。日本文化を試したいという試みなのだろうが、こればかりは何度も練習しなければ難しいだろう。
デュノアにも渡そうとしたがなんとか食事が出来ているので恐らく問題無いだろう。もしもの時のために
「黒咲さんはそれだけで足りるの?」
「私達よりも量が少ないな……本当に大丈夫なのか?いくらなんでもサンドイッチ三つは、こちらとしても心配になるんだが」
「私はここに来る前の環境が酷かったから、これくらいでも問題無いの。体型維持とかしてる事もあるんだけど、基本的にこれだけ食べばお腹いっぱいになるかな」
「便利な身体だな」
「そうかもね」
話をしながら食事をするといったことはセシリア意外とは久しぶりになる。少し浮かれていたかも知れないが転校生2人の事を知るには十分な時間だった。
「黒咲さんは織斑くんについてどんなイメージを持ってるの?僕と同じように珍しい存在だけどそこまで気にしている風には見えないし」
デュノアが不思議そうに聞いてくる。確かにほとんどの女子は男性操縦者という珍しい存在に興味を引かれ、今一度その存在を見てみたくなるものだろう。確かに俺も気になる人物に対しては直接見に行くことなどはあるが、それ以上の興味はわかないだろう。
「確かにデュノアさんや織斑くんのことは珍しいと思うよ、だけど最初に珍しいと思っていた人達もその内慣れて特に見てくることも無くなると思う。そんなにずっと見ていたら自分たちの事が疎かになるからね」
「自身の事も管理できない相手に、心配されるつもりなどないからな」
「そうだね~口元にソースついてる状態で言われても。って感じだね~」
子供をお世話するように彼女の口元をナプキンで拭き取る。子供扱いをされて屈辱的そうな表情を浮かべている、とどめと言わんばかりに優しく頭を撫でると、そこまで身長が変わらない相手にされたこと、完全に子供扱いされてしまっていることに、苦虫を潰したような表情を浮かべる。
「撫でるな!貴様ッ!」
「ごめんね?ただスプーンで頑張ってご飯食べてるボーデヴィッヒ「ちゃん」が可愛かったからさ」
「くぅぅぅ……!」
悔しそうにこちらを見つめるボーデヴィッヒに、撫でられている彼女と黒咲を交互に見ているデュノア。なんとも面白い状況に食堂にいる女子生徒は釘付けになっていた。
食事も終わりおぼんを返却口へと戻す。食事の時間はゆったり取ったつもりだが時計を見るとまだ幾分か余裕がある、これなら歩いても午後の授業には遅れることは無いだろう。
そんなことを考えながら2人とグラウンドへ戻ろうとした矢先、織斑先生が食堂にやってきた。先生も食堂を利用することもあるのかと思いながら見ていると、こちらを探していたのか歩み寄ってくる。
「織斑はどうした?」
「わかりません」
「デュノアの面倒を見ろと言ったのにアイツは……」
ため息をつきながら頭に手をやる織斑先生、本当に織斑は何処へ行ってしまったのだろうか?それにセシリアや篠ノ之、凰も食堂には見当たらない。
昼休みに食事を取るのであれば食堂以外あり得ないだろうが、アニメなどの世界では屋上が開いておりそこで昼食を取る演出が入るだろう。
IS学園の屋上は開いているのかわからないが、仮に開いているとしたらそこに居るかもしれないな。
「何かありましたか?」
「あぁ。2人の部屋について少し問題が発生してしまってな。それを伝えに来たんだ」
問題。少し前、黒咲が織斑先生に対して「これから先の転校生はスパイの可能性がある」と言ったことが原因だろうか?ひとまず織斑先生の話を聞いてみるとしよう。
「問題ですか?それは早急に解決出来るものなんですか?」
「残念だが現状どうすることも出来んな」
「そうですか……」
「…………」
2人の部屋が決まっていないのは流石に困るだろう。2人を同じ部屋に入れようとしても絶対に何かしらの問題が発生する気がする。気のせいなら良いのだが、なんとなくそんな気がするのだ。
「ふむ……この1日で2人とかなり親睦を深めたと見えるな黒咲、お前さえ良ければこの2人と相部屋になってくれないか?」
「私が……?」
「そうだ。異例ではあるが問題が解決するまでは3人部屋として生活することになる。黒咲、デュノア、ボーデヴィッヒがそれでも構わなければ今すぐに手配するが……」
突然の事に驚きを隠せない。確かにこの2人には何かしらの問題があるとは思っていたが、それをひとまとめにして俺と同じ部屋で生活させようとしている。何故そんな考えが思い浮かぶのか分からないが、織斑先生にも何か考えがあっての発言だろう。
「私は大丈夫ですけど……」
「僕も大丈夫ですよ、少し不安ですけど」
「私も問題ありません」
デュノア、ボーデヴィッヒ共に問題無いとの回答だった。本当にこれから3人で同じ部屋で生活できるのか不安だが、良いと言ってしまった手前問題を起こさないようにしなければならないな……
「よし、では放課後に部屋の鍵を各自に渡す。時間になったら職員室に来てくれ」
「わかりました」
色々と考えないといけないことが多いが、多分なんとかなるだろうと思いながらも午後の授業に集中するのだった。
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1シャル&ラウラと千春(受け)
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束と千春
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