女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活 作:灰崎 快人
「あれって……」
「ドイツの第3世代型だ……」
「まだ本国でトライアル段階だって聞いてたのに……」
もう1人の転校生、ドイツの代表候補生ラウラ・ボーデヴィッヒ。
転校初日以来、黒咲以外とつるもうとしない、それどころか会話さえしない孤高の女子。
ちなみに俺も話したことはない。いきなり平手打ちされているのだから、どんな表情をして話かければ良いのか全く分からないのだ。
「おい」
ISの〘オープン・チャンネル〙で声が飛んでくる。初対面がアレだったのだから、その声は忘れもしない。ボーデヴィッヒ本人の声だ。
「――なんだよ」
正直言って気が進まないが無視するわけにも行かない。俺がとりあえず返事をすると、言葉を続けながらも彼女はふわりと飛翔してきた。
「貴様も専用機持ちだそうだな。ならば話は早い。私と戦え」
いきなり戦えと言ってきた。自分が何を言っているのか分かっているのだろうか?
「いやだ。戦う理由がねえよ」
「貴様にはなくとも私にはある」
心当たりが無いと言えば嘘になる。ドイツ。千冬姉、と来たら思いつくのは1つだけ。第2回IS世界大会「モンド・グロッソ」の決勝戦のことだ。
俺自身かなり思い出したくない記憶だが、それと同じくらい忘れられない事でもある。
はっきり言うと、俺はあの決勝戦の日に誘拐された。謎の組織に。未だにその組織のことについては何もわかっていないので「謎の組織」と言うことにしておく。
どういう目的があったのかは未だに不明だが、俺は拘束されて真っ暗闇の場所に閉じ込められた。暗闇の中なので時間の感覚は分からなかったが、しばらくして突然人の悲鳴が聞こえてきた。
何かが爆発したかのような音、人の悲鳴や鳴き声様々な感情が混ざり合ったような声が暗闇の中から聞こえてくる。それが落ち着いたかと思うと俺はまた誰かに連れ去られ、気がつけば俺はISを装備した千冬姉に抱かれていた。決勝戦会場から知らせを受けて文字通り飛んできたらしい。
もちろん決勝戦は千冬姉の不戦敗となり、大会2連覇は果たせなかった。誰もが織斑千冬の優勝を確信していただけに、決勝戦棄権ということは大きな騒動を呼んだ。
俺の誘拐事件に関しては世間的には一切公表されなかったのだが、事件発生時に独自の情報網から俺の監禁場所に関する情報を入手していたドイツ軍関係者は全容を大まかに把握していた為、大会終了後に1年ほどドイツ軍ISで教官をしていた。
それからちょっと足取りがつかめなくなり、いきなりの現役引退、そして現在のIS学園教師という仕事に就くことになる。
その間には倉庫にて大量虐殺が行われた可能性のある殺人現場のニュースなどが流れていたが、俺は暗闇の中に閉じ込められたことを思い出してそっとテレビの電源を切った思い出がある。
「貴様がいなければ教官が大会2連覇の偉業をなしえただろうということは容易に想像できる。だから私は貴様を、貴様という存在を認めない!」
――ということらしい。千冬姉の教え子と言うこと異常委、その強さに惚れ込んでいるのだろう。だから、千冬姉の経歴に傷を付けた俺が憎いと。まぁ気持ちも分からなくはない。俺自身も正直に言えばあの日の無力さが許せないのだから。
しかしそれはそれ、これはこれだ。俺とボーデヴィッヒが戦う理由にはならない。少なくとも、俺はやる気が無い。
「また今度な」
「ふん。ならば――戦わざるを得ないようにしてやる!」
ボーデヴィッヒはその漆黒のISを戦闘状態へとシフトさせる。刹那、左肩に装備された大型の実弾砲が火を噴いた。
「っ!」
「……こんな密集空間でいきなり戦闘を始めようとするなんて、ちょっとないんじゃないかな?」
「貴様……」
横合いから割り込んできたシャルルがシールドで実弾を弾き、同時に右腕に61口径アサルトカノン「ガルム」を展開してボーデヴィッヒに向ける。
「フランスの
「未だに量産化の目処が立たないドイツの
お互いに涼しい顔をした睨み合いが続いていた。
デュノアが割って入ってきた事にも驚いたが、それ以上に装備の呼び出しの早さに凄みを感じていた。
通常であれば1~2秒ほどかかる量子構成をほとんど一瞬で、それも照準を合わせるのと同時に行っていた。これが出来るからこその大容量
持久戦に圧倒的なアドバンテージを持っており、相手の装備を見てから自分の装備を変更できるという強みある。
彼女が代表候補生であること、その専用機が量産型のカスタム機であること、その両方に納得がいく。
「貴様!」
激高したボーデヴィッヒが一気に腕を振りかぶり手首からブラズマを引き起こさせている、面白い装備だと思いながらも流石にアレは止めなければ問題ごとが増えると思い、彼女の腕に狙いを定める。
整備室で制作していた試作品の実験にはもってこいだろう、2人が争っているのを止めるためにやむを得ず。よしこの作戦でいこう。
お試しで制作してみた試作ライフルを手に目標を定める。スコープ越しにボーデヴィッヒの表情が見えるが今回狙うのは彼女の腕、身体に当たっても問題無いのだが高精度の狙撃が行えるかどうかだけ試しておきたい。
身長に狙いを定め呼吸を整える、そして引き金に力を込める。
「狙い撃つぜッ……!」
その言葉と共に発射された弾丸はまっすぐに飛んでいき、彼女の腕にしっかりと着弾した。だがあくまでも試作品であったため耐久性に問題が起こりすぐにスクラップになってしまった。
突然の攻撃にボーデヴィッヒ、デュノア、織斑などが驚いた表情でこちらを向いている。
『ボーデヴィッヒさん?なにをしてるのかな?』
『黒咲……』
ISの〘プライベート・チャンネル〙で通信を行う。俺の声を聞いてか彼女からは少し驚いた様な声色を出していた。
『揉め事はそこまでにしてね?織斑先生に報告されて困るのはボーデヴィッヒさんなんだからね?』
『くっ……わかった』
『……後で詳しく話を聞かせてね』
そう言って通信を切る。使えなくなってしまったスクラップは後日しっかりと使える装備を制作するために残しておく、素材を無駄にするわけにもいかないからな。
ボーデヴィッヒが戦闘態勢を解除してアリーナゲートへと去ったのを確認する。
『織斑くん、デュノアさん大丈夫?』
今度は〘オープン・チャンネル〙にて二人に通信を繋ぐ、ここからでも問題無いことはわかるが万が一のことも備えて確認をする。
『僕は大丈夫だよ』
『俺も大丈夫だ、助かったよ』
つい数秒前まで彼女と対峙していた鋭い眼差しはもうない。いつものような人懐っこい顔のデュノアの顔が見えた。
『今日はもう上がろう、4時を過ぎたしどのみちアリーナの閉館時間だからね』
伝えたいことは伝えたのでそのまま通信を切る。向こうの方では銃の返却が行われたり、また織斑がデュノアと着替えに誘って断られたりなどがあった。
ISの微調整から新装備の制作をおこなってみたが、慣れないことはするものではないな。
「黒咲さん!」
織斑を振り切ったデュノアが近づいてくる。なにかあっただろうか?
「ごめんね、問題一歩手前まで揉めちゃって」
「大丈夫だよ。私も最初から見てたから」
止める気はなかったが問題を起こそうとするのであれば話はべつ。これ以上織斑先生に迷惑や問題事を任せたら胃に穴が空くだろう、まだ入学して二ヶ月しか立っていないのに既に4つ程問題が起きては彼女に報告が行っている。
織斑先生が荒れるのも無理は無いだろう。
「ボーデヴィッヒさんには反省してもらわないとね?」
「なにをすれば反省するのか考えないと……」
正直言って彼女が反省する想像が出来ない。織斑先生はなるべく頼りたくない、頼ったらまた負荷がかかる。
「そんなの簡単だよ」
「というと?」
「しばらく3人で寝ない!」
それで良いのだろうか?本当にそれで彼女が反省するとは思わないのだが……
「それで反省してくれるのかな……とりあえずそれで行くね」
半信半疑のまま着替えを済ませ寮へと戻る。アリーナの更衣室で男とばれずに着替えるのにも慣れてきてしまったな。
部屋へ戻ると先に戻っていたボーデヴィッヒがベッドに座っていた、織斑先生に報告されるかも知れないと思ってこちらをずっと見ている。
「織斑先生には報告してないよ」
「……助かる」
「だけど今日から数日は一緒に寝るの禁止ね?」
「っ!?」
デデン!といった効果音が聞こえるほどの彼女の驚いた表情、そこからとても悲しそうな表情になったとき、本当にこんなことで反省するのだと心から困惑したのだった。
次の番外編
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おねショタ(無効票)
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1シャル&ラウラと千春(受け)
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2シャル&ラウラと千春(攻め)
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メス堕ち(無効票)(千春総受け)
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束と千春
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千冬と千春
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シャル&ラウラと千春
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一夏と千春
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オマケ(無効票)
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千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
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千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」