女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活 作:灰崎 快人
あれから少し時間が経ち就寝時間に入った。ボーデヴィッヒは相変わらず俺の背中に顔を埋めて眠っている。どうもボーデヴィッヒは俺の匂いが好きらしく、毎晩抱き枕にされている。
これが癖にならなければ良いのだが……今はそれよりも大きな問題がある。今目の前てこちらを申し訳なさそうに見ているデュノア、彼女に問題があったのだ。
簡単に言ってしまえばデュノアは男の子では無く女の子だった。
それが発覚した原因?俺がシャワールームから彼女が出てきたところに遭遇したからだよ!これだけ言えば馬鹿でも分かるだろ!もう思い出したくないんだよ!
「……」
「……」
かれこれ1時間はこの状態で見つめ合っている。デュノアが寝返りをしてくれれば目を合わせることは無いんだが、ずっとこの状態なので本当にどうしたものなのか困っている。
「聞かないの?」
「えっ?」
「僕がどうして男のフリしてたのか……」
「……私の考えなんだけど。実家のデュノア社からそうしろって言われたんでしょ?」
「うん。僕の父がそこの社長。その人から直接の命令なんだよ」
……命令か。デュノアは確か依頼人の愛人の子だった気がしたな。どうして守らなくてはいけなかったのか、理由までは聞かなかったがおそらく社長の唯一の子供なのだろう。それくらいしか理由が思い浮かばない。
「僕はね。愛人の子なんだ。引き取られたのが2年前で。ちょうどお母さんが亡くなったときにね、父の部下がやってきたの。それで色々と検査する過程でIS適性が高いことがわかって、非公式ではあったんだけれどデュノア社のテストパイロットをやることになってね」
デュノアは本当は話したくもないであろう話をそれでも丁寧に喋ってくれた。俺は黙って胸を貸しながらしっかりと話を聞くことに専念した。
「父に会ったのは3回くらい。会話は数回くらいかな。普段は別邸で生活をしているんだけど、2回だけ本邸に呼ばれてね。最初は酷かったなぁ。本妻の人に殴られてね。「泥棒猫の娘が!」って。参るよね。お母さんもちょっとくらい教えてくれたら、こんなに戸惑わなかったのに」
愛想笑いを繋げるデュノアだったが、その声は乾いていて全く笑っていなかった。流石に愛想笑いは返せない。彼女もそれを望んでいないだろう。俺に出来るのはデュノアを優しく抱きしめることだけだった。
「それから少し経って、知らない男の人と1日を過ごせって言われたときには捨てられたんだと思ったよ。その人は優しくてまるでお母さんみたいだった。名前は……思い出せないけど楽しかったんだ。その人には今でも感謝している」
あぁ。俺の事だ。間違いない。彼女はシャルロット・デュノアだ。名前は忘れられてしまったが、思い出として過ごした時はちゃんと覚えてくれているんだな。
「そこから何年か経って、デュノア社は経営危機に至ったの」
「デュノア社は量産機のシェアは世界三位だけど、その量産機が第2世代型だから?」
「うん。ISの開発にはとてもお金がかかるんだ。ほとんどの企業は国からの支援があってやっと成り立っているんだけど、フランスは欧州連合の統合防衛計画〘イグニッション・プラン〙から除名されているからね。第3世代型の開発は急務だったんだ。国防の為にもなるけど、資本力で負ける国が最初のアドバンテージを取れないと悲惨なことになるからね」
現在欧州連合では〘第3次イグニッション・プラン〙の次期主力機の選定中だと聞いた。《ディアーズ型》、《レーゲン型》、《テンペスタⅡ型》。確かイギリスがリードしているがそれでも難しく絶賛稼働データを取っている状況だという。
「デュノア社でも第3世代型を開発していたんだけど、元々遅れに遅れての第2世代型最後発だからね。圧倒的にデータも時間も不足していて、なかなか形にならなかった。それで政府からの通達で予算を大幅にカットされたの。そして次のトライアルで選ばれなかった場合は援助を全面カット、その上でIS開発許可も剥奪するって流れになったの」
「大体話は見えてきた。男装することで注目を浴びて広告塔、同じ男子の織斑さんに接触して本人のデータとその機体のデータを盗める可能性がある。ってこと?」
「うん。でも織斑くんと同じ部屋にはなれなかったし、黒咲さんにバレちゃったし、きっと僕は本国に呼び戻されるだろうね。デュノア社は潰れるか他企業の傘下に入るか、どのみち今までのようにはいかにだろうけど、僕にはどうでも良いかな」
「……」
「少し話したら楽になったよ。聞いてくれてありがとう。それと、今まで嘘をついててごめんなさい」
少し涙声になっているデュノアを、俺は気がつかないうちに強く抱きしめていた。
色々と思うことはある。言いたいこともある。
特に思うのはデュノア社についてだ。彼女の話が正しければデュノア社は第3世代型で手詰まりしている状態だと言った。
だが俺が仕入れた情報ではデュノア社は既に第3世代型の設計は既に終わっており。現時点では試作機が開発が始まっている状態だと聞いた。設計思想は《リヴァイヴ》がベースだったはずだ。
何故こうも情報が違う?どちらかは偽の情報を掴んでしまっているのか?
「デュノアさんはそれでいいの?」
「良いも悪いもないよ。僕には選ぶ権利がないから、仕方ないよ」
彼女の微笑みはいつもとは違い、とても痛々しいものだった。過去に護衛した女の子がここまで辛い表情を見せてしまっているのが辛かった。
「……それでも3年はここにいてね」
「無理だよ。すぐに本国から帰還命令が来るよ」
「本学園における生徒はその在学中においてありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない。本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則許可しないものとする。覚えておいて損はないよ?」
この特記事項は使える。しっかりと暗記しておいて良かった。
「この学園にいれば少なくとも3年は大丈夫。それだけの時間があれば、なんとかなる方法だって見つけられる。別に急ぐ必要なんてないから」
「黒咲さん」
「なんです?」
「よく覚えられたね。特記事項って55個もあったのに」
「記憶するのは得意だからね」
「流石だね」
少し笑った彼女の表情は、15歳の女の子そのままの笑顔だった。
「こうして眠るときは無理せず男装は解いても良いんだよ?それに辛くなったらこうして抱きしめてあげるから」
「……!ありがとう、黒咲さん」
胸に顔をうずめながら感謝の気持ちを伝えてくれたデュノア。辛かった気持ちから解放されたのかよく眠っている。
俺がこの子のために出来ることはなにがあるだろうか?ひとまずデュノア社の社長とコンタクトをとる必要があるな、確か名は「アルベール・デュノア」だったか?まさか過去に依頼を引き受けてくれた暗殺者が今娘と同じベッ……同じ空か……同じ学園で生活しているとは思わないだろう。
相手のメールアドレスはこちらが既に把握している。あとは匿名で情報を聞き出しながら、幸せそうに眠るデュノアの寝顔写真を送るだけだ。
こうしてみるとあの子はかなり大きく成長したな。俺も歳をとったということだろう。
やさしく彼女の髪を撫でる。ブロンド色で柔らかさとしなやかさをかねそなえている髪質。すらりとした身体に若々しい肌。腰のくびれによって実質的な大きさ以上に強調して見せれる胸──何を考えているんだ俺は。
やはりというか、あの光景を忘れるのには無理がありそうだ。
千冬とは違うレベルの女の子裸。こんなの知られたら社会的に殺される。いや女装してこの学園に来てる時点で死んでいるも同然なのだが……
デュノアを女の子と意識してしまっているのか、彼女の匂いに敏感になってしまった。柔らかい肌にやさしい香り。もう俺はダメかもしれない。
さっきほど、寝る時だけ男装を解いても良いと言ったが……撤回したくなってきた。この状態で彼女の胸があたろうものなら間違いなく男としての本能が反応する気がする。
ボーデヴイッヒでも危険なのに……これは千冬に相談した方がいいのだろうな。
すまん千冬。また問題発生だ。
次の番外編
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おねショタ(無効票)
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1シャル&ラウラと千春(受け)
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2シャル&ラウラと千春(攻め)
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メス堕ち(無効票)(千春総受け)
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束と千春
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千冬と千春
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シャル&ラウラと千春
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一夏と千春
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オマケ(無効票)
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千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
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千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」