※この作品はR-18です。

女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活   作:灰崎 快人

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第25話「噂話と薔薇」

「それは本当ですの?」

「う、嘘ついてないでしょうね!?」

火曜日の朝、教室に向かっていた俺は廊下まで聞こえる声に耳を傾けた。

「……」

「大丈夫だよ」

隣ではルームメイトのデュノア(男装バージョン)が震えていた。正体がばれたのではないかと思っているだった。落ち着かせるために頭を撫でる。

「本当だってば!この噂、学園中で持ちきりなのよ?月末の学年別トーナメントで優勝したら織斑君と交際出来るって!」

あぁ……あの噂が学園中で広まってしまったのか。篠ノ之ももう手が付けられなくなってしまったのだな。

「手繋いでいく?」

「目立っちゃうよ。やめよう」

「目立つのは私だけだよ。さぁお手をどうぞ、王子様」

そう微笑んでデュノアに手を差し出す。少し恥ずかしそうに手を取る彼女の姿は王子というよりもお姫様だった。

「俺がなんだって?」

噂話をしているところにその本人がやってきた。びっくりして皆取り乱して悲鳴を上げる。よそよそしすぎて怪しさが全面に出てしまっている。他にも何人かで集まっているグループも同じように自分のクラス・席へと戻っていった。

「……あれなんだったの?」

「気にしない方が良いよ」


はぁ……どうしても女子トイレに行くのはなれないものだな……

本来であれば織斑と同じように学園内に3カ所しかない男子トイレを使用しているはずなのだが、女子として生活しているのでここも徹底しないといけない。こっそり男子トイレを使ってもバレないのでは?と思ったが、俺が男子トイレに行こうとするタイミングで誰かしらに見られたりしているので、世界が俺を男子トイレに行かせないようにしているのでは?としか考えられなくなる。

別の意味でデュノアはつらそうだな……本当は女の子なのに男子トイレを使わないと行けないのだから。

たしか次の授業はISの格闘技能に関する基礎知識と応用だったな。これは俺でも知らない情報があるかも知れない、織斑の育成に役立てるだろう。

「何故こんなところで教師など!」

「やれやれ……」

ふと曲がり角の先から聞き覚えのある声がして、俺は咄嗟に注意を向ける。1人はラウラ・ボーデヴィッヒ、もう一人は織斑千冬で間違いないだろう。

「何度も言わせるな。私には私の役目がある。それだけだ」

「このような極東の地で何の役割があるというのですか!」

ボーデヴィッヒがここまで声を荒げるとは珍しいな。話の内容を確認すると千冬の現在の仕事についての不満や思いの丈をぶつけているらしい。

「お願いです、教官。我がドイツで再びご指導を。ここではあなたの能力の半分もいかされていません」

「ほう?」

「大体、この学園の生徒など教官が教えるにたる人間ではありません」

「なぜだ?」

「意識が甘く、危機感に疎い。ISをファッションかなにかと勘違いしている。その程度の低いものたちに教官が時間を割かれるなど――」

「――そこまでにしておけよ。小娘」

「っ……」

凄味のある千冬の声。ボーデヴィッヒもこれにはすくんでしまった。言葉は途切れたまま、続きが出てこない。

「少し見ない間に随分と偉くなったな。15歳でもう選ばれた人間気取りとは恐れ入る」

「わ、私は……」

声が震えてしまっているのがここからでもわかる。恐怖しているのだろう。圧倒的な力の前に感じる恐怖と、かけがえのない相手に嫌われるという恐怖。

「さて、授業が始まるな。さっさと教室に戻れよ」

「…………」

声色を戻した千冬がせかして、ボーデヴィッヒは黙ったまま早足で去っていった。部屋に戻ったときに少し話を聞かないといけなくなりそうだ。

「そこの女子。盗み聞きか?異常性癖は感心しないぞ」

「どの口がそう言えるんだか……」

「ふっ。お前が可愛いのが悪い」

こいつのほうが異常性癖だろ。全く本当にこれが教師なのかと疑いたくなる。

「彼女について、どう思ってるんだ?」

「ボーデヴィッヒに関してか?私の可愛い教え子だ、色々と問題はあるがな」

問題があると思ってるならそれをしっかりと教育しろ。全くあれを放置していたらとんでもないことになりそうだな。

「そら、走れ女装生。このままだと授業に遅れるぞ」

「わかっている」

「分かっているのなら良い」

にやりと笑みを見せる織斑先生、くるりと背を向け教室までの道のりを走って行った。

「廊下は走るなよ……」


時間は放課後。俺は第3アリーナの整備室にいた。月末の学年別トーナメントに備えISの微調整と追加装備の設定を行っていた。

IS《ノワール》には近距離装備かナイフしかない。ナイフはブレードよりもリーチが短くさらに接近しなければ相手にダメージを与えられない、基本的には接近戦にはなる事が少ないが万が一のことに備え、最低でも1つは近接装備がISには装備されている。

あくまでも装備されているのはショートナイフなど、取り回しを重視している物が選ばれている。まあそもそも使用されることが珍しい。

俺の機体は近中遠距離全てに対応できるように設定してある。また従来の量産機の装備も使用できるよう電子デバイスによる使用制限を強制解除するシステムが組み込まれている。

現在開発が進んでいる第3世代ISの装備を使用することは出来ないが、第2世代機の装備であったとしても強力な物は存在する。

このシステムを組み込んだおかげである程度装備の設定には困らない。IS学園には《打鉄》と《リヴァイヴ》の2機が置かれているので予備の装備を少しいただくことにしよう。

打鉄の近接装備「葵」、リヴァイヴのアサルトカノン「ガルム」、連装ショットガン「レイン・オブ・サタデイ」。この3つを頂いていくことにしよう。予備弾倉は3つあれば充分だろう。あとは個人的にこれがあったら良いと思った兵装を搭載しておくことにしよう。

「よし。あとは微調整すればなんとかな――」

――と、いきなり声を遮って超音速のなにかが通る音が聞こえた。

「っ!?」

音のした方向を見る。そこには青、赤黒、漆黒の機体がたたずんでいた。

「セシリアと凰とボーデヴィッヒ……?どういう組み合わせだ?」

機体名《シュヴァルツェア・レーゲン》ドイツの第3世代型か、少しデータを取らせて貰うか?デュノアの機体データは織斑との特訓の時間にこっそり取らせて貰った。

セシリア、凰、篠ノ之のデータも実はこっそり取っておりデータ化し、搭乗者がよく行っている戦術などをこまめにまとめている。特に悪用なども考えていないので問題は無いだろうが……問題は盗まれたときだな。セキュリティーを設定して盗まれた瞬間破壊されるようにするか。

話は置いといて3人の様子を見る。凰は連結した双天牙月を肩に預けながら、衝撃砲を準戦闘状態へとシフトさせていた。

「中国の《甲龍》にイギリスの《ブルーティアーズ》か。……データで見た時の方がまだ強そうではあったな、第3世代型だというのに黒咲よりも弱そうだ」

いきなりの挑発的な物言いに、凰とセシリアも両方が口元を引きつらせている。彼女らと同じように俺の口元も引きつっていただろう。

「何?やるの?わざわざドイツくんだりからやってきてボコられたいなんて随分なマゾっぷりね?それともジャガイモ農場じゃそういうのが流行ってるの?」

「あらあら鈴さん、こちらの方はどうやら言語をお持ちでないようですから、あまりいじめるのは可哀想ですわよ?犬だってまだワンといいますのに」

ボーデヴィッヒの全てを見下すような目つきに並々ならぬ不快感を抱いた2人は、それでもどうにか怒りのはけ口を言葉に見いだそうとしている。

「はっ……。3人がかりで量産機とただの専用機持ちに負ける程度の力量しか持たぬ物が代表候補生とはな。よほど人材不足と見える。数くらいしかない能のない国と、古いだけが取り柄の国はな」

ぶちっ――!

2人の表情から何かが切れるような音がした。それと同時にISから危険信号が流れてくる。最終安全装置を外したようだ。

「ああ、わかった。わかったわよ。スクラップがお望みなわけね!――セシリア、どっちが先にやるかジャンケンしよ」

「ええ、そうですわね。わたくしとしてはどちらでもいいのですが――」

「はっ!二人がかりで来たらどうだ?1+1は所詮2にしかならん。そんなゴミに、この私が負けるものか」

それは明らかな挑発だったが、堪忍袋の切れている2人にはどうでも良さそうだった。

「とっとと来い」

冷ややかな視線でボーデヴィッヒはわずかに両手を広げて自分側に向けて振る。はぁ……本当に!面倒な!事を!起こすな!

「「上等!」」

 


第三者視点side

 

2人がボーデヴィッヒに飛び込もうと距離を詰める瞬間、3人の間が突如大爆発を起こした。

「っ!?」

「なんですの!?」

「こんなときに誰!」

想定外の状態に3人とも困惑している。土煙が晴れるのと同時に黒い機体が姿を現す。

ボーデヴィッヒのISとは異なる黒い機体。基本的なISよりも小型化されたそれが姿を現した。

「「黒咲!」さん!」

「き、貴様なんのつ――」

言葉を続けようとするボーデヴィッヒの頬を何かが通過する。警告よりも素早い射撃にボーデヴィッヒは一歩も動けなかった。

「く、黒咲……さん?」

オルコットが困惑しながらも彼女に声をかける。普段とは違う雰囲気に隣にいる凰も、対峙していたボーデヴィッヒも言葉を失っていた。

「今のは警告だ、ラウラ・ボーデヴィッヒ」

彼女から今まで感じたことの無い殺意と敵意を感じる。これほどの殺意を向けられたのはそう何度も無い。

「これだからガキは……千冬が疲れる訳だ」

イラつきをを抑え切れていないのか、吐き捨てるようにそう呟く彼女からは今までのような優しい雰囲気は感じない。それに声にも若干違和感を感じる。目の前にいるのは本当に黒咲千春なのか?彼女の姿をした別人なのでは無いかと感じてしまう。

「そんなに戦いたいのなら私が相手をしてあげるよ。ラウラ・ボーデヴィッヒ」

「随分な余裕だな。本当に挑むつも――」

「話をするつもりはない。やるのかやらないのか……早く決めろ小娘。でなければこちらから行くぞ?」

明らかに様子のおかしい黒咲に自身が戦わないと意思表示させるにはこれしかないと思ったのか、ボーデヴィッヒは自身のISの装着状態を解除する。アーマーが光の粒子へ変換され、弾けて消えた。

「オルコット、凰、お前達もこの結果には文句ないな?」

「え、えぇ……」

「良いけど……」

納得は出来ないが今彼女に逆らってしまうのは不味いと思ったのか、自身の思いを押し殺してうなずく。

「この戦いの続きは学年別トーナメントでつけろ。いいな!」

「「「……」」」

「返事は!?」

「「「は、はいぃ!」」」

同年代とは思えない迫力に押された3人は。素直に彼女に返事をするしか無かった。

次の番外編

  • おねショタ(無効票)
  • 1シャル&ラウラと千春(受け)
  • 2シャル&ラウラと千春(攻め)
  • メス堕ち(無効票)(千春総受け)
  • 束と千春
  • 千冬と千春
  • シャル&ラウラと千春
  • 一夏と千春
  • オマケ(無効票)
  • 千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
  • 千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」
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