※この作品はR-18です。

女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活   作:灰崎 快人

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第26話「記憶」

「はぁ……イライラするな」

セシリアと凰、ボーデヴィッヒの戦闘を強制的に停止した俺は、そのまま食堂に足を運んでいた。

途中織斑とデュノアが食堂にやっていて、仲よさそうに食事を取り始めた。今の所、織斑にはデュノアが女の子であると言うことはバレていない。だがバレるのも時間の問題だろう、織斑は唯一の男子だと思って居るデュノアと距離を詰めたいと思っている。何処まで持つだろうか?

ドドドドドドドッ……

また何か問題が起こりそうな予感がする。地鳴りに聞こえるそれは廊下の方から聞こえてくる、気のせいだと思いたいが――

ドカーン!と食堂のドアが吹き飛ぶ。吹き飛ぶほどの人数が押し寄せてくるなんて、相当なことなのだろう。

ドアが吹き飛ぶ光景を見るのはこれで何度目だろうか?こういうことって戦場以外でもあり得るものなのだな。

「織斑君!」

「デュノアくん!」

入ってきたなんて生やさしいものではない。雪崩のように押し寄せた数十名の女子生徒。食堂のおばちゃんがおでこに青筋を浮かべながら集団を見ている。2人を見つけるなり一斉に取り囲み、まるでバーゲンセールの取り合いがごとく手を伸ばしている。まるでホラーゲームのようだ。

「な、なんだなんだ!?」

「ど、どうしたの、みんな!?ちょっと落ち着いて」

「「「「「これ!」」」」」

状況が飲み込めない2人に対して、一斉に女子達が出してきたのは学内の緊急告知文が書かれた申請書だった。

あぁ学園別トーナメントペアの申し込みが今日からなのか、今回の学年別トーナメントはペアでやるに当たって同意が必要になる。それをなんとか得ようと我先にと押し寄せたのか。

「私と組もう!織斑君!」

「私と組んで!デュノア君!」

仕様変更があった経緯は前回のクラス代表戦のような想定外のことが起きないようにという背景がある、だがこれだけで問題を解決出来るのかと聞かれればそうでもないだろう。

2人を囲んでいるのは全員1年生の女子だ。学園内でも2人しか居ない男子と組もうと我先に迫ってきているのだろう。

「えっと……」

デュノアは女子であるため実際に男子は1人なのだが、そんなこと彼女達が知っているわけもない。

デュノアの方を見ていると、数秒間だけ困り果てた顔でこちらを見ていたのに気がついた。織斑では対処出来ないと思ったのだろう。

この場を解決するのにはこれしか方法が無いと思いながら、デュノアに手話で伝える。少し戸惑いながらも俺の事を信じて、女子全員に聞こえるようにきっぱりと大きな声で宣言した。

「ごめんね。僕は織斑君と組むから諦めてね!」

しーん……。いきなりの沈黙に気持ちが後ずさりしそうだ。この提案は流石に不味かっただろうか?

ユックリシテイッテネ!……なんだ今の?

「まあ、そういうことなら……」

「他の女子と組まれるよりはいいし……」

「男同士っていうのも絵になるしね……」

ひとまず納得させることは出来たらしい。女子達は各々仕方ないと口にしながら1人、また1人と食堂を去って行く。それからは改めてペア探しが始まったようで、ばたばたと喧燥の声が聞こえる。

「ふぅ……」

「織斑くん、ごめんね?いきなりこんなこと言って」

「いや大丈夫だ。それに俺もシャルルと組もうとしてたしな」

「なら丁度良かったね!」

ひとまず2人を組ませておけば放課後の特訓も問題なくこれまで通り行う事が出来るだろう。問題があるとすればデュノアの性別がいつかばれる事くらいだろう。


「黒咲さん」

「どうしたの?」

夕食後、部屋に戻るなりデュノアが口を開いた。

「あの、遅くなっちゃったけど……助けてくれてありがとう」

「あの場を抑えるにはあれくらいしか思いつかなかったからね。それにデュノアさんが織斑くんと組むのが1番無難だと思うよ?」

織斑とデュノアで組んだ方が安定するのは間違いないだろう。放課後常に相手をしていることもありお互いに長所と短所を理解出来ているはずだ。それにデュノアの装備をいくつか織斑に使用許諾を発行していることもあり、近距離線しか出来ないISの欠点を補うことが出来るだろう。

「事情を知ってるのは私だけ、組ませたからにはサポートもしっかりするよ」

「ありがとう。黒咲さん」

笑顔でそういうデュノア。この笑顔を見るとこの時間だけは本当にリラックス出来ているのだなと感じる。

デュノアの件に関してはこっそり動いている。アルベール・デュノアとのコンタクトを試みている、あちらからの連絡は今のところ特にない。全く相変わらず口の硬い奴だ。デュノアの少し恥ずかしい写真でも添付してやろうか?寿司を旨そうにほおばってる写真でも添付してやるとするか。それで返信来なかったらもうしらん。

「あ、そうだ。今日はちょっとボーデヴィッヒさんと少しお話したいことがあるんだ。だからデュノアさんには1人で寝て貰うけど……大丈夫?」

「――大丈夫」

複雑そうだった。正直納得してはいないのだろう。デュノアに対して安心できる時間が睡眠の時間だというのに、それを1日だけとりやめてボーデヴィッヒを優先する。それだけでも少し寂しそうな表情をする彼女、この時間に依存し始めていないか不安になってきた。

依存症で無いことを祈りながら優しくデュノアを抱きしめ頭を撫でる。代わりにはならないだろうが俺に出来るのはこのくらいだろう。

そういえば昔もこうやって撫でてあげたんだったな。あの小さい子供がここまで大きくなって再び出会うことになるとは、流石に思わなかったな。

 


シャルロットside

 

ここまで優しくされたのは何時ぶりだろう?

母を亡くしてからずっと、居場所がなかった自分。血のつながりだけの父親には氷の壁に閉ざされたような息苦しさしか感じられず、ただ無為に日々を過ごしていた。

いつしか自分が必要とされることさえ求めなくなって、温度の無い灰色の生活を繰り返すことにもなれてしまった。

昔知らない男の人に1日預けられたときには捨てられるんだって思った。実際は違ったし、その人はとても優しくしてくれた。たしかこんな感じで優しく撫でてくれたっけ?

ゆっくり黒咲さんの顔を覗く。彼女の顔を見ているとどこか懐かしく感じてしまう、IS学園で出会ったのが初めてのはずなのに……どうしてだろう。

性別も違うのになんで彼女からあの男の人を感じてしまうんだろう。

父親の命令でこの日本に行くことが決まった時も、別段何も感じなかった。それなのに――

(どうして彼女はこんなに僕の心を動かすんだろう)

――また出会ってしまった。心から楽しいと思わせてくれる人と。

『お兄さんといると嫌なこと忘れられて楽しい』

楽しかった思い出を振り替える。2人がけのベンチに並んで座る幼いときの僕と男の人。

男の人の顔は記憶がおぼろげな状態なのか、黒い霧がかかっていてよく見えない。でも何故か笑顔であの時の僕を見ているのは分かった。


『……そうか、それは良かったよ。嫌でなければまた遊んでやる』

『いいの?』

喜んでいる時の僕が笑顔で彼に問いかける。

『君のお父さんが許してくれたらな』

僕の父親が許してくれたら……か。結局願いは叶わずこれが最後になってしまったけど、僕には良い思い出だろう。

『お兄さんの名前教えて!』

『俺の?』

僕は彼の名前を確かに尋ねたことがある。だけど今は思い出せない。

『俺の名前はね黒薔千春。覚えてくれていたらまた会えるかもな』

『うん!絶対に忘れない!』

彼が自分の名前を言葉にした時にノイズが走る。思い出せない記憶だからだろう……絶対に忘れないって言ったはずなのに……

『……』

忘れてしまった彼の視線がこちらに向いている様な気がした、そしてこっちに向かって歩き出した。

『えっ……』

『情けない顔するなシャルロット、お前にはそんな顔似合わねえよ』

『あっ……』

『貴女には笑顔が1番似合ってるよ「デュノアさん?」ふふっ』


黒咲さんに声をかけられ我に返る。あの人と黒咲さんが重なって見えた。性別も違うのに。

まったく僕は何処までのめり込んでたんだか。

「大丈夫?」

「う、うん。大丈夫気にしないで。僕先にシャワー浴びるね」

「ボーデヴィッヒさんが帰ってくることも考えて一応男性の服を持っておいてね」

「うん。ありがとう」

黒咲さんの注意を受け取り着替えを持ってシャワールームに移動する。懐かしい思い出に浸りながらシャワーを浴びる。

(どうして黒咲さんとあの人が重なって見えたのかな……)

次の番外編

  • おねショタ(無効票)
  • 1シャル&ラウラと千春(受け)
  • 2シャル&ラウラと千春(攻め)
  • メス堕ち(無効票)(千春総受け)
  • 束と千春
  • 千冬と千春
  • シャル&ラウラと千春
  • 一夏と千春
  • オマケ(無効票)
  • 千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
  • 千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」
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