女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活 作:灰崎 快人
「凄いですね……2週間ちょっとの訓練であそこまでの連携が取れるなんて」
教師だけが入ることを許されている観察室で、モニターに映し出される戦闘映像を眺めながら山田先生は感心したように呟く。
「織斑くんって凄いですね。才能ありますね」
「あれはデュノアが合わせているから成り立っている。あいつ自体は連携の役に立っていない」
身内には相変わらず辛口評価しかしない織斑先生に、山田先生はやや苦笑い気味に言う。
「そうだとしても、他人がそこまで合わせてくれる織斑くん自身が凄いじゃないですか。魅力の無い人には、誰も力を貸してくれないものですよ?」
「まあ……そうかもしれないな」
ぷすっと不貞腐れたような感じで伝える織斑先生だが、山田先生にはそれが照れ隠しなのだと最近分かったので、別段気にしていない。それどころかやっぱり弟さん想いなんだなとしみじみ思う。
「織斑くんデュノアくんペアに対して、ボーデヴィッヒさん黒咲さんのペアはかなり異質ですね。ほとんど連携を取らず2対1の状況になることが多いですし」
「ボーデヴィッヒなにか言われたらしいからな、黒咲から向かうことはあまりない。追い詰められたと判断したときのみ相手の妨害を行うくらいだろう」
ボーデヴィッヒが2人の相手をしている間、黒咲はただじっと3人を見ているだけ。連携する気は全くないですと言わんばかりの態度だ。
「それにしても学年別トーナメントの形式変更は、やっぱり先月の事件のせいですか?」
「詳しくは聞いていないがおそらくそうだろう。より実戦的な戦闘経験を積ませる目的で、ツーマンセルになったのだろうな」
「でも1年生は入学してまだ三ヶ月ですよ?戦争が起こるわけでも無いのに、今の状況で実戦的な戦闘訓練は必要無いと思いますが……」
確かに山田先生の言うことはもっともだろう。けれど、その疑問を投げかけてくるのはわかっていた。
「そこで先月の件が出てくる。特に今年の新入生には第3世代型兵器のテストモデルが多い。そこに謎の敵対者が現れたら、なにを心配するべきだ?」
「――あっ。つまり、自営のため、ですね」
「そうだ。操縦者は勿論、第3世代型兵器を積んだISも守らなくてはいけない。しかし教師の数が有限である以上、それらは原則自分で守るしかない。そのための実戦的な戦闘経験なのさ」
「なるほどなるほど」
「黒咲は真っ先にこれに気づいて私に聞いてきたぞ」
「IS学園の成り立ちの特性上あらゆる法の適応外という側面があるが、全ての法に対してではなくISの技術における試行という項目が重要だろう。『新技術に必要とされる試行活動を許可し、またそれらのデータの提出は自主性に委ねるものとして義務は発生しない』。これはつまり、ISの新技術においてデータ開示をせずに実戦データを集められるのは世界でたった一つ、このIS学園だけということを表している。中国、イギリス、ドイツの第3世代型兵器搭載が送られているのもその為だろ。そしてその真の狙いはおそらく〘ワンオフ・アビリティー〙との融合。3年の間に第二形態に移行し、第3世代型兵器を使った〘ワンオフ・アビリティー〙が生まれれば、その後技術が開示されても問題は無い訳だ。なにせ〘ワンオフ・アビリティー〙は本来絶対に真似できないからな。その間に技術を盗もうとする組織などは多いだろうし、こうしてツーマンセルでの実戦的戦闘経験を積ませることが出来れば、技術や操縦者を失う可能性を低く出来る。そういう算段だろ?」
「――っとな。黒咲の専用機も試験的な意味外が多い、あれを盗まれたりなどしたら大問題だろうからな。」
「よく項目おぼえてますね」
山田先生はモニターに視線を戻す。未だに黒咲は動かずボーデヴィッヒ達をじっと見ていた。
「こちらの手の内を明かさずに最低限の戦闘で終わらせようとしてるんですね」
「それもあるだろう。織斑の成長やデュノア、ボーデヴィッヒの実力を見たいから動かないと言う考えもあるだろうがな」
モニターに映っている黒咲は少しつまらなそうな表情でライフルのスコープを覗いていた。今の彼は私と同じような事を考えているのだろう。
「強さを攻撃力と同一だと思っている。それでは――」
一夏には勝てないだろう。
しかしその言葉はけして口にはしない。言ったが最後山田君になにを言われるか分かった物ではないからだ。
ワァァァァァ!
会場が一気に沸いた。そこ歓声が観察室まで直で伝わってくる。
「織斑くんが〘零落白夜〙を出しましたね!一気に勝負をかけるつもりなんでしょうか」
「さてな。そう上手くいくかな」
「またまた。そんな気にしてないような態度しなくても――」
「山田先生、今度久しぶりに武術組み手をしようか。せっかくだ。10本ほどやろう」
「わ、わたしはその……生徒達の訓練機を見ないと行けませんからっ!」
慌てて首を振り手を振りと大忙しの山田先生に、織斑先生は低い声でたたみかける。
「私は身内のネタで弄られるのが嫌いだ。そろそろ覚えるように」
「は、はい……すみません……」
山田先生は見ていて可哀想なくらいしぼんでしまっている。
「さて、試合続きだ。どう転がるか見物だぞ」
「は、はいっ!」
『これで決める!』
〘零落白夜〙を発動させた織斑は、ボーデヴィッヒへと直進する。
『触れれば一撃でシールドエネルギーを消し去ると聞いているが……それならば当たらなければいいだけだ』
ボーデヴィッヒの〘AIC〙による拘束攻撃が連続で襲いかかる。目に見えない攻撃を織斑は急停止・転身・急加速を駆使してなんとかかわしていた。
『ちょろちょろと目障りなっ!』
立て続けの攻撃にワイヤーブレードも加わり、その攻撃は熾烈を極めていた。しかし、あちらは1人で戦っているわけではないのだ。
『織斑くん!前方二時の方向に突破!』
『わかった!』
射撃武器でボーデヴィッヒを牽制しながら、織斑への防御も抜かりがない。つくづ織斑と組ませて良かったと思う。もし織斑とデュノアが敵対していたら10分も持たないだろう。
『小癪な!』
ワイヤーブレードをくぐり抜けた織斑はボーデヴィッヒを射程圏内へと収める。
『無駄だ。貴様の攻撃は読めている!』
ボーデヴィッヒ。この試合は織斑だけが相手だけじゃない、お前は何度それを忘れたら気が済むんだ?お前の真後ろにはショットガンを手にしたデュノアが零距離まで接近しているぞ?
ショットガン六連射を叩き込まれた瞬間ボーデヴィッヒの大口径レールカノンは轟音と共に爆散した。
〘AIC〙には致命的な弱点がある。それは「停止させる対象物に意識を集中させていなければ効果を維持できない」ことだ。現に織斑への拘束は解除されていた。
セシリアのBT兵器と同様にかなり集中しなければ扱えない兵装、第3世代型兵器は未だに試作的な部分が垣間見えるな。
その後織斑が一撃を放とうとするが、これまで受けてきたダメージが大きかったらしく〘零落白夜〙の刃は音とともに小さくしぼんでいき、そのまま消えてしまった。
限界までエネルギーを消耗してしまえばもう戦う事は出来ないだろう、後一撃でも受けたら織斑は間違いなくアウトだ。援護に入ろうとしたデュノアをワイヤーブレードで牽制する。こうしてみると改めてボーデヴィッヒの技量の高さを思い知るな。
被弾したデュノアに気を取られすぎた織斑の一瞬の隙を逃さず、ボーデヴィッヒの攻撃は確実に織斑を捉えていた。墜ちていく織斑の姿をみて勝利宣言をするボーデヴィッヒに超高速でデュノアが突撃する。
瞬間加速。事前のデータにはデュノアが瞬間加速を使えることは記載されていなかった。今初めて使用した可能性もある。もしそうだとしたらデュノアの器用さには驚きが隠せない、それは特徴ではなくもはや技能の一つだ。もはや〘ワンオフ・アビリティー〙と呼べる者かも知れない。
『だが私の停止結界の前では無力!』
ボーデヴィッヒがいつものようにAIC発動体勢に入る。その瞬間、動きが止まったのはラウラのほうだった。
『なるほど、さっき捨てたアサルトライフルは織斑に使用許諾が降りてるものだったか……』
いきなりあらぬ方向からの射撃を受け、ボーデヴィッヒは視線を巡らせる。そして織斑と目があった。真下からデュノアが捨てた残弾ありのアサルトライフルを構えている織斑と。
ボーデヴィッヒの一撃をなんとか耐えてくれた白式には感謝した方が良いだろうな。
『この距離なら、外さない』
デュノアの盾装甲がはじけ飛び、中からリボルバーと杭が融合した装備が露出した。九口径パイルバンカー「灰色の鱗殻」。通称「盾殺し」。
それを見たボーデヴィッヒの表情に焦りが見えた、それは文字通り必死の形相だった。ピンポイントでパイルバンカーを止めなければ間違いなく直撃だろう。ボーデヴィッヒはその目を集中して一点に狙いを澄ませたが、背後からの射撃に集中力を遮られ外した。
一瞬デュノアの顔が笑みを浮かべる。それは死を宣告する天使の様相であった。
ズガンッ!
ボーデヴィッヒの腹部にパイルバンカーの一撃が叩き込まれる。ISのシールドエネルギーが集中し絶対防御を発動して防ぐが、そのエネルギー残量をごっそり奪われていた。しかも相殺しきれなかった衝撃が彼女の身体を襲っているのだろう、ボーデヴィッヒの表情は苦悶に歪んでいた。
『後退だな』
これ以上は流石に削られたら不味いと思い、デュノアに向かって射撃攻撃を始める。三発連続で打ち込まれていたパイルバンカーにダメージを与え、ワイヤーアンカーでボーデヴィッヒを捕まえ遠心力を利用してこちらまで投げ飛ばす。
パイルバンカーは破壊できなかったがかなりのダメージが入っているように見える。デュノアと織斑の残りエネルギーはそこまで多くない、俺一人でもなんとか削りきることは出来るだろう。
『く、黒咲っ……』
『自分の実力を過信した結果どうでした?見事にやられちゃって……』
ボーデヴィッヒは未だに身体に響いたダメージが辛いのか、表情が歪んだままだった。機体の各箇所からは紫電が走っており、IS強制解除の兆候が見せ始めていた。
『す、すまない。私が――ぐあああぁぁ!?』
『ボーデヴィッヒ!?』
突然、ボーデヴィッヒが身が裂かれんばかりの絶叫を発する。と同時にシュヴァルツェア・レーゲンから激しい電撃が放たれ、俺の身体は吹き飛ばされた。
『一体何が……』
『なにあれ……!?』
『なっ!?』
俺もデュノアも織斑も目を疑った。視線の先では、ボーデヴィッヒがそのISが変形していた。
いやあれは変形とは言えない。装甲をかたどっていた線はすべてグニャグニャに溶け、ドロドロの液体になってボーデヴィッヒを飲み込んでいく。
『ボーデヴィッヒ!』
機体を一気に加速させてボーデヴィッヒを引き剥がそうと試みる。が、そうさせるものかと再び電撃が放たれ弾き飛ばされる。黒い、深く濁った闇が、ボーデヴィッヒを飲み込んでいった。
次の番外編
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おねショタ(無効票)
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1シャル&ラウラと千春(受け)
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2シャル&ラウラと千春(攻め)
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メス堕ち(無効票)(千春総受け)
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束と千春
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千冬と千春
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シャル&ラウラと千春
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一夏と千春
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オマケ(無効票)
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千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
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千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」