女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活 作:灰崎 快人
第34話「騒がしい朝」
「ごめんね、二人とも手伝って貰っちゃって」
「気にしないで、それに千春さん一人は絶対無理だと思うし」
「そうだな。一人でどうにかなるものではないな」
放課後の廊下、赤い夕日が差し込む中を、黒咲とシャルロットそしてボーデヴィッヒが並んで歩いていた。三人とも、その手には今月の学校行事・臨海学校について書かれたプリントを持っている。
「でも良かったの?今日はセシリア達と街に行く予定だったって聞いてるけど」
「いいんだよ。大体千春さんがいないんだったら行ってもしょうがないしね」
「えっ?」
「気にするな。プリントの手伝いでも、好きな相手と一緒が良いと言うことだろう?」
ニヤニヤとボーデヴィッヒがからかうようにシャルロットを見る。彼女の頬がわずかに赤く染まっている。それは夕日の色だけではないように見えた。
「えっと……その、ありがとうなシャルロット」
「うん……」
それ以上の言葉は続かなかった。
「――あ、れ???」
ぼーっとした頭で状況を確認する。
場所はIS学園一年生寮の自室。時刻は早朝朝6時半。
「…………変な夢」
先月の学年別トーナメント以降、本来の性別に戻ったシャルル・デュノアことシャルロット・デュノアは今はもう千春のいない部屋で生活している。
けれど、一週間に一回くらいは黒咲さんと一緒に歩いている夢を見たり、二人で何かをしている夢を見る。違うと分かっているのに隣のベッドに彼の姿を求めて視線をやるのだった。
「……あれ?」
隣のベッドにルームメイトの姿が無い。
それも、起きて何処かに行ったというのでは無く、最初からそのベッドは使われていた形跡がない。
「……まさか!」
嫌な予感がしたシャルロットは急いで布団を退かすと、焦りながら自室を飛び出していった。
チュンチュン……。
「……朝、か」
窓のから朝日が差し込んでくる。目覚めをうながすようにスズメが鳴いていた。
「……あれだけ騒がしい日を送っていると、一人部屋が寂しく感じるな」
先月の件で俺はシャルロットとボーデヴィッヒとは別室が用意され、俺はそこで一人で生活するように言われた。千冬と同室でもないあたり俺の意見をくみ取ってくれたのだろう。
(さっさと起きるか)
ふにっ。
(……?なんだ?こんなに柔らかいもの布団の中に入れたか?)
自分でも分からない未知の物体が、いつの間にか布団の中に潜んでいたことに困惑しつつ、ゆっくりと布団をめくる。
「ん……」
「ぼ、ボーデヴィッヒ……」
そこにはドイツの代表候補生、ラウラ・ボーデヴィッヒ。先月転校してきた千冬の教え子。その後色々あって――まあ色々あったな。
しかしそこは問題ではない。問題は何故彼女がこの部屋にいるのか、何故衣服を纏っていないのかということだ。つまり……彼女は全裸だ。身につけているものは左目の眼帯と待機状態のIS――右太ももの黒いレッグバンドのみ。長い銀髪が腰のラインを撫でている。
「ん……。なんだ……?朝か……?」
「ば、バカ!隠しなさい!てか服は!?そもそもどうやって入ってきた!?」
「落ち着け。黒咲」
落ち着けるわけが無い。寝起きで女子の全裸を見ることになるとは誰も思わないだろう。俺の混乱そっちのけで、ボーデヴィッヒは1度目をこするとそれだけでいつもと同じ顔立ちになる。
「異性を起こすのにはこういう起こし方が日本では一般的と聞いたぞ。特に将来結ばれる者同士の定番だと」
「……ボーデヴィッヒに間違えた知識を吹き込んだのは誰だ?」
「しかし効果はてきめんのようだな、目は覚めただろう」
「当たり前だろ!?」
これで目が覚めない男が世の中にいるのか!?もしいたとしたらそいつは何かの病気だろ!
「まあまあ落ち着け」
「…………」スン
「きゅ、急に落ち着いたな」
「……とりあえず服を着なさい」
朝から頭を悩ませないで欲しい。そもそもどうやって部屋に入ってきたんだ?そう思い自室の扉を確認する。あぁー鍵無かったのねこの部屋――いやあったな。鍵ぶっ壊されてるな。
まさか初日から自室の鍵が破壊されるとは思わなかった。そこまでしてボーデヴィッヒは俺の部屋に入りたかったの?
「ボーデヴィッヒ、鍵壊すほど俺と寝たかったの?」
「……その、一緒に寝ていたせいで寂しくなって」
モジモジしながら恥ずかしそうに呟く。あーそうなのね。とりあえず千冬に報告はしておかないといけないな。
「だとしても鍵破壊はやりすぎだ。……せめて就寝前に言ってくれば良かったのに」
「えっ?」
「とりあえず、さっさと服を着なさい!」
全く服を着る素振りを見せないボーデヴィッヒに少し怒りがわきそうになる。
ガチャ!と、何処かの扉が開く音が聞こえる。恐らく鍵が破壊された扉からした音だ、ってことは大体来る人物の予想出来る。
「ラウラァァァァァ!!!!」
激高したシャルロットが扉を蹴破る勢いで入ってくる。よくここにボーデヴィッヒが来ているとわかったもんだな?それにしても朝から大きな声を出さないで欲しい。頭に響く……
「もう!なにしてるのさ!千春さんに迷惑かけないの!」
「迷惑はかけていない。そうだろう?」
いや迷惑だが?それに部屋の鍵ぶっ壊されているが?普通に侵入者だが???
「僕だって我慢してるのにさ!?」
僕だって?どういうことだ?まさかシャルロットもボーデヴィッヒと同じように侵入を試みていたという事でよろしいか?
「ほう。そうなのか、そうかそうか」
シャルロットをからかうようにニヤニヤしているボーデヴィッヒとは対照的に、はっとした表情で顔を赤く染めているシャルロット。朝から脳の処理が追いつかない展開になるのだけは勘弁して欲しい。
「とりあえず二人とも部屋から出ていけぇ!!!!」
これ以上大事になって溜まるものか!そう思いシャルロットとボーデヴィッヒ(服もまとめて)を一旦追い出す。こうしなければ着替えることもままならない。着替えているところを十代女子に見られながらするなど、一般成人男性がそこまでの度胸を持ち合わせて居ると思うなよ!
「…………」
時間は過ぎ、場所は変わって、一年寮食堂である。朝のトラブルから解放された俺は、すこし遅めの朝食を取っているところだ。
ちなみに俺の隣にはボーデヴィッヒ、反対隣にはシャルロットが座っている。
メニューは俺が牛乳のシリアル。ボーデヴィッヒとシャルロットはパンとコーンスープ、それにサラダ。朝からそんなによく食べれるなと思いながらスプーンを口に運ぶ。
「相変わらず少ないな……」
「千春さんはもっと食べないとダメだと思うんだけど……ね」
二人が心配そうにこちらを見る。確かに平均男性のカロリーよりも俺が食べているのは低いかも知れない。だが本当にこれくらいで俺のお腹は満たされるので問題無い。
「分けてやろうか?」
「僕のも分けるよ?」
「大丈夫だから、二人とも……そこまで心配しなくて良いから」
そもそも身体が回復していない状態で多く食べてしまうと、逆に体調不良になりそうで困る。
「千春さん、あーん」
パンを手でちぎりこちらに向けるシャルロット、まけじと対抗するボーデヴィッヒは自分の口にパンを持ってこちらに向けてくる。
「大丈夫だってば……心配性だな~」
それにしても二人ともあの件以来とても仲が良くなったような気がする。俺が知らないうちに何かあったのかも知れないな。
「それにそんなことしていると授業に遅れますよ?今日は織斑先生のSHRだからね?」
遅刻でもしてみろ、死ぬぞ?
「まだ死にたくない」
「同じく」
「でしょ?だったらすぐに食事を済ませて、予鈴が鳴る前に教室に行こうね?」
「うん」「わかった」
今日の授業は確か通常だったはずだ。IS学園では通常授業数自体少ないが、一般教科も当然ここでは履修する。中間テストなどはないのだが、期末テストはしっかりと存在する。ここで赤点を取れば夏休みは連日補習となるわけで。普通の学生ならそれだけは絶対に避けたいといったところだろう。
俺?20代が赤点など取ってしまっては流石に不味いだろう?そこら辺はしっかり再勉強しているさ。
それと来週から始まる校外特別実習期間では三日間学園を離れることになる。7月頭の校外学習――もとい臨海学校。
三日間の日程のうち、初日は丸々自由時間。もちろんそこは海なので、そこには咲き乱れる十代女子。先週からずっとまわりはテンション上がりっぱなしである。
ちなみに俺は女性用水着を着たくないので買いたくない。しかしそれを口に出したら千冬や二人から猛反発されそうなので、あえて口には出さないようにしている。
男性が女性水着を着ているところなど何処に需要がある?無いだろうに。
しかし海で泳ぐのであればそれなりに用意しなければな……いやこれでは泳げないな。
「海楽しみだね。千春さん」
(もしかして水着は女子のかな?すこし見てみたいな~)
「余り気乗りはしないが、仕方ないだろう」
(ビキニ姿の黒咲か……すこし見てみたい気もするな)
……何故か分からないが背筋が凍りついてしまった。まさかふたりが?――そんな分けないよな?俺の考えすぎだ。
次の番外編
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おねショタ(無効票)
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1シャル&ラウラと千春(受け)
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2シャル&ラウラと千春(攻め)
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メス堕ち(無効票)(千春総受け)
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束と千春
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千冬と千春
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シャル&ラウラと千春
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一夏と千春
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オマケ(無効票)
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千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
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千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」