女装して入学することになった暗殺者によるIS学園生活 作:灰崎 快人
放課後、夕暮れ色に染まる教室で俺と千冬は二人話をしていた。話の内容はもちろん校外特別実習期間の臨海学校についてだった。この身体では満足に楽しむことも出来ないだろう。
それにISも今だ未修復。正直言って今回の臨海学校は体調不良と言うことで欠席しても良いだろうと思っていた。
「臨海学校、お前はどうする気だ?」
「どうするも何も……最悪欠席だな。だがそれでは――」
「約束が守れない。か?お前らしい。だが無理はするなよ。ただでさえ医者から絶対安静と言われているんだ」
「分かってる。それにこの肌に塩水は地獄だからな」
左腕を優しく擦る。こちらの腕は治りかけておりあと1週間すれば問題無いだろう。肋骨に関しては治癒が思って居たよりも早いらしく、数週間で完全にくっついて問題無くなると言われた。人体というのは不思議なものだな。
「水着はどうするつもりだ?」
「……俺は絶対に着な「女性用下着を身につけていて今更着ない、などと言えると思うなよ?」……」
スカートをぎゅっと握りしめる。たしかに千冬のいうとおりなのかもしれないが、下着は誰の目にも入らないから着込んでいるわけで、水着は見えるから着たくないだけだ。それにそこまでしてしまったらいよいよ尊厳破壊に……
「日曜日に水着を買いに行くぞ」
「嫌だ」
「ダメだ、私のも買いに行くんだ」
「千冬だけで行けば良いじゃないか……」
「お前に選んで貰いたいから連れて行くんだ」
はぁ……どうあがいても絶対に連れて行くつもりだな。こうなってしまうともうどうにもならない程頑固になって、大体こちらが折れる形になってしまう。過去に何度もこんな場面があったものだ。特に束。あいつは駄々こねて絶対に自分の意見を押し通す。とんでもない二人と幼馴染みになってしまったもんだ。とんでもねえ奴らと同じ時代に生まれちまったもんだぜ……
「わかったよ。だがあくまでも千冬の水着を決めるだけだ、俺の水着は決めない。いいな?」
「それでいい。アトハオシテイケバナントカナル」
「何か言ったか?」
「いや?とにかく日曜だ。予定を空けておけよ」
「はいはい……」
日曜日か。たしか予定は何も無かった気がしたな。まあ問題無いだろう。
あ、部屋の鍵壊されたの伝えるの忘れてた……
週末の日曜。天気は快晴、素晴らしい。
来週からはじまる臨海学校の準備もあって、俺は千冬と二人で街に繰り出していた。
「行くぞ千春」
「ああ……」
有無を言わさずに俺の手を掴み歩き始める。街に繰り出すのにも女装しなくてはいけないのはすこし辛いが、彼女の水着を決めればすぐに帰れると思えばまだ良いだろう。
千冬は俺と街に繰り出す際には必ずと言っても良いほど上機嫌になる。そんなに俺と出かけるのが楽しみだったのか?と思いながら彼女の後をついて行く。
「………………」
「………………」
駅前へと向かって歩き出す千冬と黒咲。その姿を物陰から見つめるふたつの影があった。
ふたりが青になった横断歩道を渡って人混みに消えると、頃合いとばかりに茂みから姿を現すふたつの影。ひとりは優しさを映し出すブロンドヘアー、ひとりは可憐な銀髪。つまり、シャルロットとボーデヴィッヒであった。
「こっそり後を追ってきてみれば……」
「まさか二人で街に繰り出しているとはな……」
「手、握ってたよね……?」
「ああ、握っていたな……」
ボーデヴィッヒは無表情のまま持っていたペットボトルを握りしめた。ぶしゅ!と音を立ててフタが吹き飛ぶ。
「そっか、見間違えだと思ってたけどやっぱりそっか。――よし、追いかけよう」
無意識のうちに握りしめていた拳。すこしでも早く誘っていれば千冬のポジションは自分たちが立っていたかも知れない。そう考えるとさらに拳に力がこもる。
「あれ?シャルロットさんにボーデヴィッヒさん?」
「なにやってんだ?こんなところで」
「「!?」」
いきなり背後からかけられた声に、驚いて振り返るふたり。
底に立っていたのは織斑、篠ノ之、セシリア、凰であった。
「あ、織斑くん。皆も一緒だったんだ」
「ああ、臨海学校の準備で水着を買いに行かないといけなくてな。正直買うの面倒だから嫌だったんだが、箒と鈴に大バッシングされてな」
買いに行くのをめんどくさがるのは織斑らしいと感じたシャルロット。他のメンツも同じような理由で一緒に行動しており、これから駅前のショッピングモールに移動するようだ。
「僕たちもついて行って良いかな?」
「ああ良いぜ!人数は多い方が良いからな!」
「本当なら黒咲さんもご一緒する予定だったのですが、生憎と不在だったのですわ」
本当であればこのメンツに黒咲さんが?いくら何でも無理だろうと思った二人は決してその言葉を口には出さなかった。
「もしかしたら千春に会えるかもな」
「そうだね」
「「「「???」」」」
よくわかっていない四人がしっかり理解する前にさっさと駅前のショッピングモールに移動するように促す。絶対に合流して二人っきりの時間を終わらせてやると息巻いていた。
「水着売り場はここだな」
駅前のショッピングモールの二階に俺たちは居た。交通網の中心でもあるここは電車に地下鉄、バス、タクシーと何でも揃っている。市のどこからでもアクセスが可能、そして市の何処へでもアクセスが可能というのがメリットだろう。
そして、駅舎を含み周囲の地下街全てと繋がっているショッピングモール『レゾナンス』は食べ物は欧、中、和を問わずに完備、衣服も量販店から海外の一流ブランドまで網羅している。その他にも各種レジャーはぬかりなく、子供からお年寄りまで幅広く対応可能。『ここで無ければ市内の何処にも無い』とまで言わせるほどだ。かなり凄い場所だ。ちなみに俺はシャルロットとボーデヴィッヒをここに連れて来たことがある。
「ところで黒咲は水着を「買わないからな」……」
「絶対に買わない」
先に断言しておく。俺は絶対に女性水着は身につけない。絶対にだ!
「まあいい。今回は私の水着をお前に決めて貰うぞ、お前のセンスが試されるな?」
クスクスと笑いながらこちらを見る千冬。女性用水着に囲まれた売り場の中でアワアワすることしか出来ない俺は、彼女の言葉を半ば聞き流してしまっていた。
とりあえず千冬に似合いそうな水着を探せば良いんだよな?そう思って女性用水着売り場に足を踏み入れる。女装していなければ絶対に縁の無い場所だ。色にしても形にしても男用の比じゃない数。とんでもない種類の水着があって、俺はすこし尻込みしてしまう。
「うぅ……」
「流石に入りづらいか?」
「これだけは慣れないってば……」
男であるが故に下着売り場や水着売り場には入りづらい。とりあえず目に付いた水着を千冬と合わせてみる。
「これは?」
「競泳水着か、こういうのが好きなのか?」
「いやそういうわけじゃ無いんだけど……」
なんとなくで手に取ってしまった水着は、そこまで千冬には刺さらないらしい。もっと可愛い奴の方が良いのかな?それともシンプルなのかな。
「これは――違う。これも――違う気がする」
「ほう?イチゴ柄の水着を私に来て欲しいと。その次は随分とハイレグな水着だな???黒咲」
センスが無いのを分かっていて連れていたのは彼女自身だ。俺なんかよりも千冬で決めた方が絶対良いに決まってるのに。
「正直、千冬はなに着ても似合うと思うけどな……」
ぽつりと呟いた言葉。それは本心から着ているのか、無意識のうちに漏れてしまったのかはわからない。けれど千冬にはしっかりとその言葉が聞こえていた。
「そ、そうか?お前からそう言われるとは……すこし嬉しいな」
「んーこれとこれはどうかな?」
そう言って彼が手にした水着は、スポーティーでありながらメッシュ状にクロスした部分がセクシーさを演出している黒水着だった。
もう片方はそれと対極で、一切の無駄を省いたかのような機能性重視の白水着だった。
どちらもビキニで、肌の露出具合はかなり高そうだった。
(ほう……希に良い物を選ぶじゃないか)
「ではその二つを試着して見るとしよう。それで最終的にお前が決めてくれ」
「えっ?あ、うん」
自分のセンスが通ると思わなかったのか、きょとんとした表情で水着を渡してくる。先の二つに比べればこのビキニの選択はかなりマシな部類だった。
黒咲から二つの水着を受け取り試着室へと入る。まず最初に白の方を着て後の方に黒を着てみるとしよう。
(黒咲がどんな反応をするのか楽しみで仕方が無い)
彼の反応を想像しながら、水着に着替え試着室のカーテンを開ける。
「似合ってると思う」
「……それだけか?」
「身体のラインが強調されてて……えっと」
正直黒咲のセンスは怪しいところがあるので感想を求めたとしても、そこまで嬉しいことを言ってくれるとは限らない。
すぐにカーテンを閉めて、もう片方の黒い水着に着替える。こっちも同じ反応だったらもうどうしようもないだろう。
(黒咲のセンスが多少マシになったと思っていたが、気のせいだったか……)
すこしガッカリしたが、すこしでも期待を込めて再びカーテンを開く。
「あっ――」
「どうだ?」
「に、似合ってると……思うよ」
白の水着の時とは反応が対極であり、頬を赤らめながらすこし視線を外していた。
(なるほど。黒の方か)
「これにするか」
「えっ、まだ他にも水着あるけど……」
「お前が頬を赤らめるくらい似合っているのだろう?昔からそこは変わらないな」
頬が赤くなっているのに気づいていなかったのか、さらに彼の顔が赤く染まる。思春期の男子みたいで可愛い反応だな。
彼が選んでくれた黒水着を脱ぎ、すぐにレジへと持ってく。もう私の目的は達成できた。
後は黒咲の水着を決めるだけだな。
「さて黒咲。次はお前の番だ」
「何言ってるんだ?俺――私は水着はいいって言ってるでしょ?」
ここが女性用水着売り場である事を一瞬忘れてしまっていたが、なんとか口調を女性に戻した。
そう、ここからが本来の目的。黒咲に女性用水着を着させる。これを遂行する。
「まずはこれを着てみろ」
そう言って私が手に取ったのは可愛いフリフリが付いた水色水着。下の方がスカートのようなフリフリが付いており、試着者の可愛らしさを引き出すことが出来るだろう。
「ヤダ。絶対ヤダ」
「何が気に入らない?フリフリか?それとも水色か?」
「まず水着がいらないんだってば!」
ふむ。これは気に入らなかったかならばこれはどうだろうか?そう思い手に取ったのは「モノキニ」と呼ばれる水着だった。
モノキニとは、前から見るとワンピースで後ろ姿はビキニのモノラルビキニの略らしい。ビキニに比べて一体感がある水着でもある。
「無理無理っ!」
「これもダメか……これは?」
次に渡したのはワンピース水着。先ほどのモノキニに比べれば多少の露出は抑えられており、下半身はスカートで隠されるため黒咲の黒咲がしっかりと隠されるタイプ――
「ヤダ」
――わがままなやつだ。
「1度着てみろ、話はそれからだ」
黒咲に水着を押しつけ強制的に試着室へと放り込む。これで彼は水着を着ざる終えないだろう。
おかしい、既に三十分は過ぎているのに黒咲が一向に試着室から出てこない。一体どうしたのだろう?
「……黒咲、大丈夫か?」
「千冬っ……着方が分からないっ……」
すこしカーテンを開けて中の様子をうかがうと、女性用水着に四苦八苦して涙目になっている彼の姿があった。既に下着も脱いでおりあとは水着に着替えるだけなのだが、どうやら彼には女性水着の着方が分からなかったらしい。最初にビキニタイプから着せれば良かったと後悔した。
「……その水着は辞めよう、ひとまず服を着てくれ」
「……わかった」
二分後私服に戻り、手に水着を抱えた状態で出てきた。よく考えれば彼にモノニキなどは着させるべきではなかった。むしろ露出をかなり抑えた水着を用意すれば良かったのだ。
「俺が選んで良いか?」
「あ、ああ……」
沈んだ状態の彼を見え後悔した。流石に今回ばかりは自己中的に動いてしまった私にも非がある。黒咲の意見を尊重するべきだったな。
数分後。黒咲は一つの水着を持ってこちらに戻ってきた。黒咲が選んだのは白黒半袖のラッシュガードとスリットブラ、パンツスタイルという彼が好むようなスタイルの水着だった。
「これでいい」
「……本当にそれでいいんだな?」
「うん、これだったらなんとかごまかせると思う。それに泳がないし」
「じゃあそれにしよう」
試着室にて着替えた後、サイズなど問題が無かったようでそのままレジへと持って行った。
……すこしやり過ぎたな。
「千春さん可哀想だね……」
「やり過ぎです。教官……」
次の番外編
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おねショタ(無効票)
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1シャル&ラウラと千春(受け)
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2シャル&ラウラと千春(攻め)
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メス堕ち(無効票)(千春総受け)
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束と千春
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千冬と千春
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シャル&ラウラと千春
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一夏と千春
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オマケ(無効票)
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千春&箒「これは練習だから浮気じゃない」
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千春&セシリア&鈴「IS3分クッキング」